JP4520601B2 - 2液混合塗装装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転霧化頭内に設けられた二重管ノズルの各通路に主剤および硬化剤を個別かつ同時に供給することにより、前記主剤と前記硬化剤とを混合して被塗装物に霧化吐出する2液混合塗装装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、自動車車体等の被塗装物を塗装する際に、主剤と硬化剤とを混合して塗装ガンから吐出する2液混合塗装装置が使用されている。この種の装置として、例えば、特開昭62−216663号公報に開示されている回転霧化静電塗装装置が知られている。
【0003】
上記の従来技術では、図6に示すように、ブラケット1の先端側にエアモータ2を介して回転可能に回転霧化ヘッド3が装着されており、この回転霧化ヘッド3内には接液面3aが形成されている。ブラケット1の所定位置には、塗料供給ノズル部4が取り付けられており、このノズル部4は、主剤供給用パイプ5a、5bと硬化剤供給用パイプ6とを備え、前記主剤供給用パイプ5a、5bの開口部7a、7bと、前記硬化剤供給用パイプ6の開口部8とが、回転霧化ヘッド3の接液面3aに近接する位置に配置されている。なお、ブラケット1には、洗浄液供給ノズル9が取り付けられている。
【0004】
このような構成において、まず、エアモータ2の駆動作用下に回転霧化ヘッド3が高速回転されるとともに、この回転霧化ヘッド3には、直流高電圧が印加されている。このような状態で、ノズル部4には、主剤が主剤供給用パイプ5aまたは5bを介して供給される一方、硬化剤が硬化剤供給用パイプ6を介して導かれる。このため、主剤および硬化剤が、開口部7a、7bおよび8から同時に吐出され、高速で回転する回転霧化ヘッド3の接液面3aに供給される。その際、開口部7a、7bおよび8から噴射される主剤および硬化剤は、空中で相互に合流した後に回動する接液面3aに衝突し、前記回転霧化ヘッド3から霧化吐出されて図示しない被塗装物に塗布されることになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来技術では、ノズル部4が主剤供給用パイプ5a、5bと硬化剤供給用パイプ6とを個別に備えているが、ノズル先端付近、すなわち、開口部7a、7bおよび8の近傍で主剤と硬化剤との混合が発生し易い。このため、塗装間隔が長くなると、ノズル先端では、塗料の硬化や硬化剤単独での硬化が惹起されてしまう。これにより、ノズル部4から吐出される主剤および硬化剤の吐出量や吐出方向が変化し易くなり、安定した品質の塗装作業が遂行されないという問題が指摘されている。
【0006】
本発明はこの種の問題を解決するものであり、ノズル先端付近での塗料の硬化を、簡単な工程で確実に阻止することができ、高品質な塗装作業を効率的に遂行することが可能な2液混合塗装装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る2液混合塗装装置では、回転霧化頭内に設けられている二重管ノズルは、内管の先端が外管の先端よりも突出して形成されており、前記内管内に主剤が、前記内管と前記外管との間に硬化剤が、それぞれ同時に供給される。これにより、主剤と硬化剤とが混合された状態で、被塗装物に霧化吐出されて塗装作業が行われる。
【0008】
そして、塗装間隔が比較的長くなる際には、内管と外管との間に洗浄液が供給されて前記内管の外面が洗浄されるため、この外面に付着し、あるいは硬化した塗料や硬化剤が除去される。次いで、硬化剤が充填されて待機状態に維持された後、主剤および前記硬化剤が二重管ノズルを介して同時に供給されることにより、被塗装物に塗装作業が開始されることになる。
【0009】
このように、外管よりも突出する内管の先端に付着し易い塗料や硬化剤が、内管と外管との間に供給される洗浄液を介して確実に除去されるため、二重管ノズルから供給される主剤と硬化剤の吐出量および吐出方向が変動することがなく、所望の混合比を確実に維持して高品質な塗装作業が効率的に遂行されることになる。
【0010】
この場合、主剤に比べて粘度が高く硬化し易い硬化剤側の通路に洗浄液が供給されるため、硬化物の除去が確実に遂行される。しかも、硬化剤の吐出量は、主剤の吐出量に比べて相当に少なく設定されており、硬化剤側通路の吐出面積が主剤側通路の吐出面積よりも小さくなって、洗浄液の使用量が有効に削減され、経済的なものとなる。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施形態に係る2液混合塗装装置10の概略構成説明図である。
【0012】
塗装装置10は、第1色替え弁機構12から圧送される主剤14を塗装機16に供給するための主剤供給路18と、第2色替え弁機構20から圧送される硬化剤22を前記塗装機16に供給するための硬化剤供給路24とを備える。
【0013】
第1色替え弁機構12は、エア(A)および洗浄液(S)等の供給を制御する第1洗浄弁26と、異なる色の塗料に対応する主剤14を供給することが可能な複数の切り換え弁28a〜28dとを備える。第2色替え弁機構20は、同様に、エア(A)および洗浄液(S)等の供給を制御する第2洗浄弁30と、異なる色の塗料に対応する硬化剤22を供給することが可能な複数の切り換え弁32a〜32iとを備える。各切り換え弁28a〜28dおよび32a〜32iは、図示しない主剤用貯留槽および硬化剤用貯留槽に接続されている。
【0014】
主剤供給路18および硬化剤供給路24は、主剤14および硬化剤22を塗装機16側に圧送する第1および第2ギヤポンプ34、36と、前記第1および第2ギヤポンプ34、36の上流側に配置され、該第1および第2ギヤポンプ34、36に供給される前記主剤14および前記硬化剤22を所定圧に制御する第1および第2圧力制御弁38、40とを備えている。第1および第2ギヤポンプ34、36には、第1および第2サーボモータ42、44が連結されている。
【0015】
主剤供給路18および硬化剤供給路24の出口側には、トリガ弁46a、46bとドレン弁48a、48bとが接続され、前記主剤供給路18および前記硬化剤供給路24には、前記トリガ弁46a、46bを介して塗装機16内に設けられた二重管ノズル49を構成する内管50および外管52が開閉可能に連結される。
【0016】
図2に示すように、塗装機16は、ケーシング54内に組み込まれるエアモータ56を備え、このエアモータ56を介して回転駆動される円筒状回転軸58が、前記ケーシング54内で軸受59を介して回転自在に支持される。回転軸58の先端には、回転霧化頭60が取り付けられており、この回転霧化頭60の内壁面62にハブ部材64が取り付けられる。内壁面62は、平滑化されるとともに、この内壁面62に多数のV字状溝が設けられている。
【0017】
回転軸58内には、内管50と外管52とが同軸的に配置されて二重管ノズル49を構成するとともに、前記内管50の先端が前記外管52の先端よりも前方に所定の長さだけ突出している。内管50内には内側通路66が設けられ、この内側通路66が主剤供給路18に連通可能である。内管50と外管52の間には外側通路68が設けられ、この外側通路68が硬化剤供給路24に連通可能である。
【0018】
図1に示すように、塗装機16には、第3および第4洗浄弁72、74が設けられるとともに、前記塗装機16にドレン管路76a、76bが接続される。ドレン弁48a、48bには、同様にドレン管路78a、78bが接続されている。
【0019】
このように構成される塗装装置10の動作について以下に説明する。
【0020】
まず、第1および第2色替え弁機構12、20において、例えば、切り換え弁28a、32aを開放することにより、所定の塗料に対応する主剤14および硬化剤22が、第1および第2色替え弁機構12、20から主剤供給路18および硬化剤供給路24に圧送される。
【0021】
この場合、第1および第2ギヤポンプ34、36は、第1および第2サーボモータ42、44を介して駆動制御されており、前記第1および第2ギヤポンプ34、36を介して主剤供給路18および硬化剤供給路24の下流側にそれぞれ所定量の主剤14および硬化剤22が圧送される。さらに、主剤14および硬化剤22は、トリガ弁46a、46bの開放作用下に、内側通路66および外側通路68に供給される(図3参照)。
【0022】
塗装機16では、図2に示すように、エアモータ56の作用下に回転軸58が軸受59に支持された状態で回転駆動され、この回転軸58に一体的に取り付けられている回転霧化頭60が回転している。このため、内側通路66および外側通路68から吐出される主剤14および硬化剤22が回転霧化頭60内で混合され、図示しない被塗装物に霧化吐出されて塗装作業が行われる。
【0023】
次いで、塗装機16による塗装が一旦終了し、次の塗装が開始されるまでの間隔が比較的長い場合には、二重管ノズル49の洗浄作業が行われる。すなわち、主剤14および硬化剤22の供給が停止された後、第2色替え弁機構20において、第2洗浄弁30が開放されて洗浄液が硬化剤供給路24に送られる(図4参照)。その際、第1ギヤポンプ34が停止される一方、第2ギヤポンプ36が駆動されており、硬化剤供給路24に洗浄液が圧送されて塗装機16を構成する外側通路68に前記洗浄液が導入される。この洗浄液は、外側通路68を流れることによって内管50の外面を洗浄した後、回転霧化頭60の先端から排出される。
【0024】
この場合、塗装作業時に、内側通路66に主剤14が供給される一方、外側通路68に硬化剤22が供給されており、特に、内管50の先端側に前記主剤14と前記硬化剤22が混合した状態で付着し易い。このため、塗装間隔が比較的に長くなると、内管50の外面に付着した混合物、あるいは、この外面に付着した硬化剤22が硬化するおそれがある。
【0025】
そこで、本実施形態では、外側通路68に洗浄液を供給することにより、内管50の先端側に付着する硬化物を確実に除去することができる。従って、新たな塗装作業を開始する際に、この硬化物が残存することによって硬化剤22や主剤14の吐出量が変動したり、吐出方向が不安定となったりすることがなく、高品質な塗装作業が効率的に遂行されるという効果が得られる。
【0026】
しかも、硬化剤22が供給される外側通路68に洗浄液が供給されるため、特に、主剤14に比べて粘度が高く硬化し易い前記硬化剤22を確実に除去することが可能になり、簡単な工程で、硬化物の発生を可及的に阻止することができる。
【0027】
さらに、硬化剤22の吐出量は、主剤14の吐出量に比べて相当に少量に設定されている。これにより、外側通路68の吐出面積が内側通路66の吐出面積よりも小さく設定されており、この外側通路68に洗浄液を流すことによって前記洗浄液の使用量が有効に削減され、経済的なものとなるという利点がある。
【0028】
ところで、二重管ノズル49の洗浄が行われた後、第2色替え弁機構20において第2洗浄弁30が閉塞される一方、例えば、切り換え弁32aが開放される。このため、図5に示すように、第2ギヤポンプ36の作用下に、硬化剤22が硬化剤供給路24に圧送されて充填作業が行われる。そして、硬化剤22の充填が終了した後、第1および第2ギヤポンプ34、36の駆動作用下に、内側通路66に主剤14が供給されるとともに、外側通路68に硬化剤22が供給され、前記主剤14と前記硬化剤22とが同時に回転霧化頭60に吐出される。従って、主剤14と硬化剤22とが混合され、被塗装物(図示せず)に対して所望の塗装作業が再開される(図3参照)。
【0029】
なお、本実施形態では、、第2色替え弁機構20を構成する第2洗浄弁30により内管50の外面を洗浄しているが、これに限定するものではなく、例えば、第3洗浄弁72を介して前記内管50の外面を洗浄することができる。
【0030】
【発明の効果】
本発明に係る2液混合塗装装置では、二重管ノズルを構成する内管内に主剤が、この内管と外管との間に硬化剤が、それぞれ同時に供給され、回転霧化頭の作用下に前記主剤と前記硬化剤とが混合された状態で霧化吐出される。次いで、硬化剤の供給が停止された後、内管と外管との間に洗浄液が供給され、前記内管の外面が洗浄されてこの外面に付着し易い硬化物や硬化剤が除去された後、前記主剤および前記硬化剤が同時に供給されて被塗装物に塗装が行われる。
【0031】
このため、塗装間隔が比較的に長くなっても、二重管ノズルの先端側に硬化物が残存することがなく、主剤および硬化剤を所望の吐出量でかつ所望の吐出方向に安定して吐出することができる。これにより、簡単な工程で、高品質な塗装作業が効率的に遂行される。しかも、硬化剤の吐出量は、主剤の吐出量に比べて相当に少なく設定されており、硬化剤側通路の吐出面積が主剤側通路の吐出面積よりも小さくなって、洗浄液の使用量が有効に削減され、経済的なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る2液混合塗装装置の概略構成説明図である。
【図2】 前記塗装装置を構成する塗装機の要部断面説明図である。
【図3】 前記塗装装置による塗装作業の説明図である。
【図4】 二重管ノズルを洗浄する際の動作説明図である。
【図5】 前記二重管ノズルを洗浄した後、硬化剤を充填する際の動作説明図である。
【図6】 従来技術に係る静電塗装装置の一部断面説明図である。
【符号の説明】
10…塗装装置 12、20、72、74…色替え弁機構
14…主剤 16…塗装機
18…主剤供給路 22…硬化剤
24…硬化剤供給路 26、30…洗浄弁
28a〜28d、32a〜32i…切り換え弁
34、36…ギヤポンプ 38、40…圧力制御弁
42、44…サーボモータ 49…二重管ノズル
50…内管 52…外管
56…エアモータ 60…回転霧化頭
66…内側通路 68…外側通路

Claims (1)

  1. 主剤と硬化剤とを霧化して被塗装物に吐出する回転霧化頭と、
    外管と、該外管に対し同軸的に配置される内管と、前記内管内に設けられる内側通路と、前記内管と前記外管との間に設けられる外側通路とを備え、前記回転霧化頭内に設けられる二重管ノズルと
    前記内側通路および前記外側通路に前記主剤および前記硬化剤を同時に供給する塗料供給手段と
    有する2液混合塗装装置において
    記二重管ノズルが備える前記内管は、前記外管よりも先端が突出して設けられ、
    前記二重管ノズルが備える前記外側通路の吐出面積は、前記内側通路の吐出面積よりも小さく設けられ
    前記塗料供給手段は前記外側通路に洗浄液を供給する洗浄液供給手段を備える
    ことを特徴とする2液混合塗装装置。
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