しかし、この種の塗装システムでは塗装品生産能率の向上を図るため、各回の塗装工程の終了後、次の塗装工程の開始に至るまでに要するインターバル時間の短縮が要求されるが、前記の従来システムでは、このインターバル時間を短縮するのに、一連の各工程のうち塗装工程以外の工程で要する時間、即ち、充填工程での塗料タンクへの塗料充填に要する時間や、塗装後洗浄工程での洗浄に要する時間、あるいは、塗装機と接合ステーションとの接合及び離間に要する可動支持アームの動作時間などを短縮するしかなく、そのためインターバル時間の短縮、及び、それによる生産能率の向上に限界があった。
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、合理的な作業進行形態を採るシステム構成にすることで、この種の塗装システムにおける塗装品生産能率を効果的に向上させる点にある。
〔1〕本発明の第1特徴構成は、塗装作業用の可動支持アームに取り付けた塗装機に塗料タンクを装備するとともに、前記可動支持アームの動作により前記塗装機を接合及び離脱させる接合ステーションを設け、
前記塗装機を前記接合ステーションに接合させた状態で、その接合により接続される接合路を通じた塗料送給により前記塗料タンクに塗料を充填する充填工程と、
その充填工程の後、前記接合ステーションから前記塗装機を離脱させた状態で、前記塗料タンクにおける充填塗料を前記塗装機から被塗物に対し噴出させる塗装工程と、
その塗装工程の後、前記塗装機を前記接合ステーションに接合させて、その接合により接続される接合路を通じた洗浄液送給により前記塗料タンクを洗浄する塗装後洗浄工程とを、その順に繰り返して実施する制御器を設けた塗装システムにおいて、
前記塗料タンクとして第1塗料タンクと第2塗料タンクを前記塗装機に装備し、
前記制御器を、前記第1塗料タンクに対する充填工程と前記第2塗料タンクに対する塗装後洗浄工程とを併行させ、かつ、前記第2塗料タンクに対する充填工程と前記第1塗料タンクに対する塗装後洗浄工程とを併行させる形態で、前記第1塗料タンク及び第2塗料タンクの夫々に対する前記充填工程、前記塗装工程、前記塗装後洗浄工程をその順に繰り返して実施する構成にしてある点にある。
つまり、この第1特徴構成では、第1塗料タンクに充填した塗料を塗装機から噴出させて実施する塗装(第1塗料タンクの塗装工程)と、第2塗料タンクに充填した塗料を塗装機から噴出させて実施する塗装(第2塗料タンクの塗装工程)とを交互に繰り返す形態で、制御器による可動支持アーム、塗装機、接合ステーションの制御により塗装作業を進行させる。
すなわち(図10参照)、可動支持アームの動作により塗装機を接合ステーションから離脱させた状態で、塗料充填済み第1塗料タンクの塗装工程(イ)として、第1塗料タンクの充填塗料による塗装を実施するが、このとき、先の塗装後洗浄工程で洗浄した洗浄済みの第2塗料タンクは空のままで、塗装機を接合ステーションから離脱させて第1塗料タンクの塗装工程(イ)を実施する。
塗装工程終了後、可動支持アームの動作により塗装機を接合ステーションに再び接合させた状態で、洗浄済み空状態の第2塗料タンクに対する充填工程として、塗装機と接合ステーションとにわたる接合路を通じたステーション側からの塗料送給により次の塗装工程で用いる塗料を第2塗料タンクに充填するのに伴い、先の塗装工程(イ)で用いた第1塗料タンクに対する塗装後洗浄工程として、同じく塗装機と接合ステーションとにわたる接合路を通じたステーション側からの洗浄液送給により第1塗料タンクを洗浄(一般的には第1塗料タンクに対する連通塗料経路も合わせて洗浄)する。
その後、可動支持アームの動作により塗装機を接合ステーションから再び離脱させた状態で、塗料充填済み第2塗料タンクの塗装工程(ニ)として、第2塗料タンクの充填塗料による塗装を実施するが、このとき、先の塗装後洗浄工程で洗浄した洗浄済みの第1塗料タンクは空のままで、塗装機を接合ステーションから離脱させて第2塗料タンクの塗装工程(ニ)を実施する。
次に、可動支持アームの動作により塗装機を接合ステーションに接合させた状態で、(洗浄済み空状態の)第1塗料タンクに対する充填工程として、塗装機と接合ステーションとにわたる接合路を通じたステーション側からの塗料送給により次の塗装工程で用いる塗料を第1塗料タンクに充填するのに伴い、先の塗装工程(ニ)で用いた第2塗料タンクに対する塗装後洗浄工程として、同じく塗装機と接合ステーションとにわたる接合路を通じたステーション側からの洗浄液送給により第2塗料タンクを洗浄(一般的には第2塗料タンクに対する連通塗料経路も合わせて洗浄)する。
そして以後、この一連の作業進行形態を繰り返すことで、第1塗料タンクに充填した塗料を塗装機から噴出させて実施する塗装と、第2塗料タンクに充填した塗料を塗装機から噴出させて実施する塗装とを交互に繰り返す形態で塗装作業を進める。
従って、上記第1特徴構成によれば、塗装機に1つの塗料タンクのみを装備して、その1つの塗料タンクについて充填工程と塗装工程と塗装後洗浄工程とをその順に繰り返すだけの従来システムに比べ、各回の塗装工程の終了後、次の塗装工程の開始に至るまでに要する各回のインターバル時間を、一方の塗料タンクに対する充填工程と他方の塗料タンクに対する塗装後洗浄工程との併行時間分だけ短縮することができ、これにより、この種の塗装システムにおける塗装品生産能率を効果的に向上させることができる。
なお、この第1特徴構成では、塗装機を接合ステーションから離脱させて、その離脱により接合路の接続を断った状態で塗装工程を実施するから、塗装工程において塗装機と接合ステーションとは塗料経路による繋がりがなく、従って、この第1特徴構成による塗装システムは、塗料経路中の塗料を通じた漏電を防止することが要求される導電性塗料を用いた静電塗装に極めて好適なシステムであるが、第1特徴構成の実施において塗料は、水性塗料などの導電性塗料に限られるものではなく、有機溶剤系塗料などの非導電性塗料であってもよい。
第1特徴構成の実施において、塗装機に装備する第1塗料タンク及び第2塗料タンクは夫々、1つに限られるものではなく、場合によっては複数であってもよい。
また、第1特徴構成の実施において、併行させる一方の塗料タンクに対する充填工程と他方の塗料タンクに対する塗装後洗浄工程との併行部分は、必ずしも、それら充填工程及び塗装後洗浄工程夫々の全体である必要はなく、それら充填工程及び塗装後洗浄工程夫々の一部分であってもよい。
〔2〕本発明の第2特徴構成は、第1特徴構成の実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記制御器を、前記第1塗料タンク及び第2塗料タンクの夫々に対する前記充填工程の後、それに続く前記塗装工程のために前記塗装機を前記接合ステーションから離脱させるまでの間に、その充填工程で塗料送給に用いた前記接合路をその接合路への洗浄液通過により洗浄する充填後洗浄工程を実施する構成にしてある点にある。
つまり、この第2特徴構成によれば、第1塗料タンク及び第2塗料タンクの夫々に対する充填工程の完了時において、その充填工程で塗料タンクへの塗料送給に用いた接合路(即ち、その後の塗装機と接合ステーションとの離脱により接続が切断される接合路)に残存する塗料を、充填工程に続く上記充填後洗浄工程での洗浄液通過による洗浄で除去することができ、これにより、その残存塗料が塗装機と接合ステーションとの離脱後、接続が断たれた接合路の接続口から外部に漏出したり、接合路の接続口で硬化するなどのことを効果的に防止することができて、それら残存塗料の外部漏出や硬化によるトラブルを一層確実に防止することができる。
〔3〕本発明の第3特徴構成は、第2特徴構成の実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記制御器を、前記第1塗料タンクに対する充填工程及びそれに続く充填後洗浄工程の夫々と前記第2塗料タンクに対する塗装後洗浄工程とを併行させ、かつ、前記第2塗料タンクに対する充填工程及びそれに続く充填後洗浄工程の夫々と前記第1塗料タンクに対する塗装後洗浄工程とを併行させる形態で、前記第1塗料タンク及び第2塗料タンクの夫々に対する前記充填工程、前記充填後洗浄工程、前記塗装工程、前記塗装後洗浄工程をその順に繰り返して実施する構成にしてある点にある。
つまり、この第3特徴構成によれば、前記第2特徴構成の実施において、一方の塗料タンクに対する充填工程及びそれに続く充填後洗浄工程のうち充填工程に対してのみ他方の塗料タンクに対する塗装後洗浄工程を併行させ、一方の塗料タンクに対する充填後洗浄工程は単独で実施する形態を採るのに比べ、それら充填工程、充填後洗浄工程、塗装後洗浄工程夫々の必要時間を十分に確保しながらも、一方の塗料タンクに対する充填後洗浄工程と他方の塗料タンクに対する塗装後洗浄工程との併行時間分だけ、各回の塗装工程の終了後、次の塗装工程の開始に至るまでに要する各回のインターバル時間をさらに短縮することができ、これにより、この種の塗装システムにおける塗装品生産能率を一層効果的に向上させることができる。
なお、第3特徴構成の実施において、併行させる一方の塗料タンクに対する充填後洗浄工程と他方の塗料タンクに対する塗装後充填工程との併行部分は、必ずしも充填後洗浄工程の全体である必要はなく、充填後洗浄工程の一部区間であってもよい。
〔4〕本発明の第4特徴構成は、第1〜第3特徴構成のいずれかの実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記塗装後洗浄工程又は前記充填後洗浄工程において、洗浄に用いた洗浄液を前記塗装機と前記接合ステーションとの接合により接続される接合路を通じて前記塗装機から前記接合ステーションへ戻す構成にしてある点にある。
つまり、この第4特徴構成によれば、塗装後洗浄工程や充填後洗浄工程で接合ステーションの側から接合路を通じ送給して塗料タンク(及びそれに連通する塗料経路)の洗浄や接合路の洗浄に用いた洗浄液を、例えば塗装機の塗料噴出口から外部に放出させて排出するのに比べ、それら使用済み洗浄液を送給塗料や送給洗浄液と同様に接合路を通じて接合ステーションに戻すことで、接合ステーションやそれに接合している塗装機などへの使用済み洗浄液の飛散を一層確実に防止することができて、その飛散による種々のトラブルを一層確実に回避することができる。
〔5〕本発明の第5特徴構成は、第1〜第4特徴構成のいずれかの実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記第1塗料タンク及び第2塗料タンクの夫々について、その塗料タンクの内部を前記塗装機の塗料噴出口に連通する塗料室と作動液路を通じて作動液シリンダに連通する作動液室とに区画する塗料ピストンを設け、
この塗料ピストンの操作手段として、モータによる作動液ピストンの往動により前記作動液シリンダ内の作動液を密閉路状態の前記作動液路を通じて前記作動液室の側へ加圧送給することで、作動液圧力により前記塗料ピストンを往動させる塗料吐出モードと、
前記作動液室からの前記作動液路を通じた前記作動液シリンダの側への作動液の戻り、及び、その作動液戻りによる前記作動液ピストンの復動を許した状態で、前記塗料室への塗料の加圧供給に伴い塗料圧力により前記塗料ピストンを復動させる塗料充填モードとのモード切り換えを可能にした作動液供給装置を、前記第1塗料タンク及び第2塗料タンクの各々に対して設けてある点にある。
つまり、この第5特徴構成では、作動液圧力により塗料ピストンを往動させる塗料吐出モードにおいて、その塗料ピストンの往動により各塗料タンクの塗料室における充填塗料を塗料室から押し出し、この押し出しにより充填塗料を塗装機の塗料噴出口から噴出させて被塗物を塗装する。
また、作動液シリンダへの作動液の戻り、及び、その作動液戻りによる作動液ピストンの復動を許す塗料充填モードにおいて、各塗料タンクの塗料室に塗料を加圧供給することで、その塗料圧力により塗料ピストンを復動させながら各塗料タンクの塗料室に次使用の塗料を充填する。
そして、この第5特徴構成によれば、モータ、作動液シリンダ、作動液ピストンを備える塗料ピストン操作手段としての作動液供給装置を作動液路の延設により各塗料タンクから十分に離れた適当箇所(すなわち、可動支持アームにおける塗装機装備部分から十分に離れた適当箇所)に配置することができて、塗料ピストン駆動用のモータ及び機械式伝動機構を塗装機ないし塗装機近傍に配置する構成の塗装システムに比べ、可動支持アームにおける塗装機装備部分を効果的に小型化及び軽量化することができ、これにより、塗装機装備部分と他物との干渉による塗装対象物の制限や塗装対象部位の制限を効果的に解消することができて、システムの汎用性を高めることができ、また、可動支持アームの動作性を高めて塗装精度や塗装能率も高めることができる。
また、塗料吐出モードでは、作動液シリンダにおける作動液ピストンの往動に伴い密閉路状態の作動液路における作動液(即ち、非圧縮性流体)を介して各塗料タンクにおける塗料ピストンを往動させるから、さらにまた、塗料充填モードでは、各塗料タンクの塗料室に加圧供給する塗料の圧力により塗料ピストンを復動させることで、塗料ピストンと作動液ピストンとの間の作動液を正圧に保ちながら作動液を作動液シリンダの側に戻すようにし、それにより、密閉路状態の作動液路に外部空気(即ち、圧縮性流体)が侵入するのを防止した状態で作動液シリンダにおける作動液ピストンを復動させるから、このように作動液を介在させながらも塗料ピストンと作動液ピストンとを機械的に連結したのと同様に一体的に連動させることができて、高い動作精度で塗料ピストンを往動させることができ、これにより、モータによるピストンロッドの駆動で塗料ピストンを往動させる機械式伝動方式の塗装システムと同等の高い制御精度で塗料噴出流量を制御することもできる。
しかも、各塗料タンクにおける塗料ピストン、及び、作動液シリンダにおける作動液ピストンの夫々が常に作動液と接した状態にあるから、その作動液を潤滑剤として機能させることができて、それら塗料ピストン及び作動液ピストン夫々の動作を常に滑らかかつ低抵抗な状態に保つことができ、これにより、塗料ピストンの動作精度を一層高く安定的に保つことができて塗料噴出流量の制御性を一層高めることができるとともに、ピストン動作による摩耗を効果的に抑止してシステムの耐久性も効果的に高めることができる。
そしてまた、作動液として非導電性液を用いれば、塗料を電圧印加状態で塗料噴出口から噴出させる静電塗装において、電圧印加状態の導電性塗料から作動液を通じてモータ側へ漏電することも確実に防止することができ、その分、全体としての漏電対策も容易にすることができて、この点で、静電塗装用としても一層好適な塗装システムにすることができる。
図1は所定間隔でコンベア搬送される被塗物W(本例では自動車ボディ)を順次に自動塗装する塗装システムを示し、1は被塗物搬送経路の横脇に設置した塗装ロボットであり、この塗装ロボット1は基台部1aと、基台部1aに対して縦軸芯周りでの旋回動作が可能な胴部1bと、その胴部1bから延出する多関節型の作業アーム1cとを備え、この作業アーム1cを塗装作業用の可動支持アームとして、その作業アーム1cの先端に塗装機2(塗装ガン)を取り付けてある。
3は設定プログラムに従って塗装ロボット1及び塗装機2を動作させる制御器であり、この制御器3による動作制御により、塗装ロボット1の各部を動作させて、先端塗装機2の位置や向きを逐次変更しながら塗装機2を塗料噴出動作させることで被塗物Wの各部位を順次塗装する。
4は塗装ロボット1の近傍に設置した接合ステーションであり、この接合ステーション4には、同図1及び図2に示す如く、塗料源タンクから水性塗料等の導電性塗料Twを給送する塗料色別の複数の塗料路5a〜5nを接続するとともに、主洗浄液路6及び主洗浄空気路7を接続してあり、一方、塗装機2には、有機溶剤系塗料等の非導電性塗料Ttを給送する塗料直送路50(場合によっては省略する場合もある)を塗装ロボット1の作業アーム1cから渡らせて接続してある。
この塗料直送路50は、塗料源タンクから非導電性塗料Ttを給送する塗料色別の複数の専用塗料路51a〜51n、並びに、専用洗浄液路52及び専用洗浄空気路53を接続した第2色替弁ユニットCCV2のマニホールド54から延設したものであり、この第2色替弁ユニットCCV2のマニホールド54には、各専用塗料路51a〜51nを開閉する塗料弁vt、並びに、専用洗浄液路52及び専用洗浄空気路53の夫々を開閉する洗浄弁vcを一体的に装備してある。なお、図中の方形記号は弁を示す。
塗装機2は、塗料噴出口2aから噴出する塗料Tw,Ttをベルカップ2bの回転による遠心作用により霧状にして放出する回転霧化式の塗装機であり、この塗装機2には、それから放出する塗料Tw,Ttを塗装機内での電圧印加により帯電させる静電塗装用の高電圧発生器8を装備してある。なお、塗装機2としては回転霧化式に限らず空気霧化式などの他形式のものを採用することもできる。
また、塗装機2には同構造の2個の塗料タンク9A,9Bを内装してあり、これに対し、作業アーム1cの基部寄り部分には同構造の2つ作動液供給装置10A,10Bを搭載し、そして、作業アーム1cにわたらせて、第1の作動液供給装置10Aと第1の塗料タンク9Aとを第1作動液路11aにより接続し、同じく第2の作動液供給装置10Bと第2の塗料タンク9Bとを第2作動液路11bにより接続してある。
図2,図3に示す如く、各塗料タンク9A,9Bには、そのタンク内部を塗料室12a,12bと作動液室13a,13bとに仕切る摺動隔壁としての塗料ピストン14a,14bを内装してあり、各塗料タンク9A,9Bの塗料室12a,12bは分岐吐出路15a,15b及び主吐出路15を通じて塗装機2の塗料噴出口2aに連通させてある。
各作動液供給装置10A,10Bは、作動液ピストン16a,16bを内装した作動液シリンダ17a,17bと、ピストンロッド18a,18bを介して作動液ピストン16a,16bを駆動するモータ19a,19bとを備えており、第1作動液シリンダ17aのシリンダ室20aは前記第1作動液路11aを通じて第1塗料タンク9Aの作動液室13aに連通させ、同じく第2作動液シリンダ17bのシリンダ室20bは前記第2作動液路11bを通じて第2塗料タンク9Bの作動液室13bに連通させてある。
そして、これら第1系統及び第2系統夫々の塗料タンク9A,9Bの作動液室13a,13bと作動液路11a,11bと作動液シリンダ17a,17bのシリンダ室20a,20bとにおいて、塗料ピストン14a,14bと作動液ピストン16a,16bとの間には潤滑性を備える非導電性の作動液Lを満液状態で充填してある。
21は各作動液シリンダ17a,17bのシリンダ室20a,20bに作動液タンク22から作動液Lを加圧供給する作動液供給路、23はそれらシリンダ室20a,20bから作動液Lを排出するシリンダ側作動液排出路、24は各塗料タンク9A,9Bの作動液室13a,13bから作動液Lを排出するタンク側作動液排出路であり、これら作動液供給路21、作動液排出路23,24に介装の開閉弁vmを閉弁することにより、各作動液路11a,11bは密閉室である作動液室13a,13bとシリンダ室20a,20bとにのみ連通する密閉路になる。なお、各作動液路11a,11bには路内の作動液圧力pを検出する圧力センサ55を装備してある。
各作動液排出路23,24は塗装ロボット1の作業アーム1cにわたらせて回収タンクに接続してあり、各作動液排出路23,24を通じて排出する作動液Lは、この回収タンク(図示を省略)に回収する。
各作動液ピストン16a,16bとそのピストンロッド18a,18bとは非連結の分離した構造にしてあり、モータ19a,19bの正転運転によるピストンロッド18a,18bの前進駆動では、ピストンロッド18a,18bの先端を作動液ピストン16a,16bに当接させた状態でのピストンロッド18a,18bによる押圧により作動液ピストン16a,16bを往動(シリンダ室容積を減少させる側へ摺動)させ、一方、モータ19a,19bの逆転運転によるピストンロッド18a,18bの後退駆動では、作動液ピストン16a,16bから離脱した状態でピストンロッド18a,18bのみが後退するようにしてある。
つまり、これら作動液供給装置10A,10Bは、塗料ピストン操作手段として、各塗料タンク9A,9Bの塗料ピストン14a,14bを往動させることで各塗料タンク9A,9Bにおける塗料室12a,12bの充填塗料Tw(導電性塗料)を塗装機2の塗料噴出口2aから噴出させる塗料吐出モードと、各塗料タンク9A,9Bの塗料室12a,12bに対する塗料Tw(導電性塗料)の加圧供給に伴い塗料ピストン14a,14bを復動させる塗料充填モードとのモード切り換えを可能にしてある。
具体的には、塗料吐出モードでは、モータ19a,19bの正転運転によるピストンロッド18a,18bの前進駆動により作動液ピストン16a,16bを往動させ、この作動液ピストン16a,16bの往動により作動液シリンダ17a,17bにおけるシリンダ室20a,20bの作動液Lを密閉路状態の作動液路11a,11bを通じ塗料タンク9A,9Bの側へ加圧送給することで、その作動液圧力により塗料ピストン14a,14bを往動させ、これにより、各塗料タンク9A,9Bにおける塗料室12a,12bの充填塗料Tw(導電性塗料)を各分岐吐出路15a,15bを通じ主吐出路15へ押し出して塗装機2の塗料噴出口2aから噴出させる。
また、塗料充填モードでは、モータ19a,19bの逆転運転によりピストンロッド18a,18bを作動液ピストン16a,16bから離脱させて後退させることで、密閉路状態の作動液路11a,11bを通じた塗料タンク作動液室13a,13bからの作動液シリンダ17a,17bの側への作動液Lの戻り、及び、その作動液戻りによる作動液ピストン16a,16bの復動を許す状態にし、この復動許容状態での流入路25a,25bを通じた塗料タンク塗料室12a,12bへの次使用塗料Tw(導電性塗料)の加圧供給に伴い、その塗料圧力により塗料ピストン14a,14bを復動させるとともに、それに伴う作動液シリンダ17a,17bへの作動液戻りにより作動液ピストン16a,16bを復動させる。
各作動液供給装置10A,10Bには、塗料充填モードにおいて作動液ピストン16a,16bの復動の許容限界位置ST′を規定することで、塗料圧力による塗料ピストン14a,14bの復動の限界位置STを規定し、これにより塗料タンク塗料室12a,12bへの塗料充填量を規定する復動規制手段を備えさせてあり、具体的には、作動液ピストン16a,16bのピストンロッド18a,18bをモータ19a,19bの逆転運転により作動液ピストン16a,16bから離脱させて後退させることにおいて、上記許容限界位置ST′に対応する後退位置までピストンロッド18a,18bを後退させた状態でモータ19a,19bを停止して、その後退位置でピストンロッド18a,18bを待機させ、この待機状態のピストンロッド18a,18bを復動規制手段として、塗料タンク塗料室12a,12bへの塗料供給に伴う作動液ピストン16a,16bの復動を待機ピストンロッド18a,18bに対する作動液ピストン16a,16bの当接により停止させることで、作動液ピストン16a,16bの復動の許容限界位置ST′を規定する。
そして、この許容限界位置ST′の設定変更として、塗料充填モードにおけるピストンロッド18a,18bの後退待機位置を制御器3によるモータ19a,19bの自動制御上で次の塗料吐出モードにおける必要塗料噴出量に応じて変更することにより、塗料タンク塗料室12a,12bに対する塗料充填モード各回の塗料充填量をそれに続く塗料吐出モード各回の必要塗料噴出量に応じた量(具体的には、必要塗料噴出量に少量の所定余裕量を加算した量)に規定する構成にしてある。
塗装機2の側面部には接合台部26を設け、この接合台部26には、塗装機2と接合ステーション4との接合により接続される塗装機側接合路の接続口として、第1塗料タンク用の第1流入ポート27a及び第1流出ポート28a、第2塗料タンク用の第2流入ポート27b及び第2流出ポート28b、並びに、先端洗浄用ポート31aの計5つの塗装機側ポートを設けてあり、そして、塗装機2の内部において、第1流入ポート27aと第1塗料タンク9Aの塗料室12aとを第1流入路25aにより連通させるとともに、第2流入ポート27bと第2塗料タンク9Bの塗料室12bとを第2流入路25bにより連通させ、また、第1塗料タンク9Aの側の第1分岐吐出路15aから分岐した第1流出路29aを第1流出ポート28aに連通させるとともに、第2塗料タンク9Bの側の第2分岐吐出路15bから分岐した第2流出路29bを第2流出ポート28bに連通させてある。
さらに、第1流入路25aから分岐した第1バイパス路30aを第1流出路29aの途中箇所に連通させるとともに、第2流入路25bから分岐した第2バイパス路30bを第2流出路29bの途中箇所に連通させ、また、先端洗浄用ポート31aに連通させた先端洗浄用路31をベルカップ2bの内側及び外側に対して並列的に開口させてあり、各流入路25a,25b、各分岐吐出路15a,15b、各流出路29a,29b、各バイパス路30a,30bには塗装機側の経路切換弁vxを介装してある。
そしてまた、非導電性塗料Ttを給送する塗料直送路50は、第1及び第2分岐吐出路15a,15bと同様、経路切換弁vxを介して主吐出路15に連通させてある。
一方、接合ステーション4にはステーション側の接合台部33を設け、このステーション側の接合台部33には、塗装機2と接合ステーション4との接合により接続されるステーション側接合路の接続口として、塗装ロボット1の作業アーム動作により塗装機側の接合台部26をステーション側の接合台部33に接合させた状態で、塗装機側の第1流入ポート27aに連通させる第1送給ポート34a、第2流入ポート27bに連通させる第2送給ポート34b、第1流出ポート28aに連通させる第1排出ポート35a、第2流出ポート28bに連通させる第2排出ポート35b、並びに、先端洗浄用ポート31に連通させる先端洗浄用送給ポート32aの計5つのステーション側ポートを設けてある。
また、接合ステーション4には、非導電性塗料用の前記第2色替弁ユニットCCV2と同様、導電性塗料用の各塗料路5a〜5n、並びに、主洗浄液路6及び主洗浄空気路7から分岐した共通洗浄液路6c及び共通洗浄空気路7cをマニホールド36に接続するとともに、それら塗料路5a〜5nを開閉する塗料弁vt、並びに、共通洗浄液路6c及び共通洗浄空気路7cを開閉する洗浄弁vcをマニホールド36に一体的に装備した第1色替弁ユニットCCV1を設けてあり、そして、接合ステーション4の内部において、第1色替弁ユニットCCV1のマニホールド36から延出させた主送給路37を第1及び第2の分岐送給路37a,37bを通じて第1送給ポート34aと第2送給ポート34bとに並列に連通させるとともに、第1及び第2排出ポート35a,35bの夫々を第1及び第2排出路38a,38bに連通させてある。
さらに、第1分岐送給路37aから分岐した第1洗浄用渡り路39aに対し、主洗浄液路6及び主洗浄空気路7から分岐した第1洗浄液路6aと第1洗浄空気路7aとを並列に連通させるとともに、第2分岐送給路37bから分岐した第2洗浄用渡り路39bに対し、同じく主洗浄液路6及び主洗浄空気路7から分岐した第2洗浄液路6bと第2洗浄空気路7bとを並列に連通させ、また、先端洗浄用送給ポート32aに連通させた先端洗浄用送給路32に対し、同じく主洗浄液路6及び主洗浄空気路7から分岐した第3洗浄液路6d及び第3洗浄空気路7dを並列的に連通させてあり、各分岐送給路37a,38b、各洗浄用渡り路39a,39b、各洗浄液路6a,6b,6d、並びに、各洗浄空気路7a,7b,7dにはステーション側の経路切換弁vyを介装してある。
即ち、塗装機2における第1流入路25a、第2流入路25b、第1流出路29a、第2流出路29b、先端洗浄用路31、並びに、接合ステーション4における第1分岐送給路37a、第2分岐送給路37b、第1排出路38a、第2排出路38b、先端洗浄用送給路32が、塗装機2と接合ステーション4との接合により塗装機側並びにステーション側の接合路である。
そして、以上のシステム構成において制御器3は被塗物搬送と連係して各弁vx,vy,vt,vcの開閉による経路切換制御、モータ19a,19bの回転制御、並びに、塗装ロボット1の動作制御により、次の(イ)〜(ヘ)の手順で塗装作業を自動的に進める構成にしてある(図10参照)。
なお、塗装作業の各工程を示す図4〜図9において、白抜きの方形記号で示す弁は開弁状態にあり、×を付した方形記号で示す弁は閉弁状態にある。また、塗料Tw,Ttの流れは太実線で示し、洗浄液S及び洗浄空気Aの流れは白抜きの太実線で示し、作動液Lは太破線で示してある。
(イ)図4は第1塗料タンク9Aの塗料室12aに充填した塗料Tw(導電性塗料)を使用して塗装を行っている塗装工程を示し、この工程では、第1塗料タンク9Aの塗料室12aにのみ塗料Tw(導電性塗料)を充填した状態(すなわち、第2塗料タンク9Bの塗料室12bは空のままの状態)で、作業アーム1cの動作により塗装機2を接合ステーション4から離脱させて所要塗装位置に位置させ、この離脱状態において第1作動液供給装置10Aを塗料吐出モードにすることで、作動液圧力により第1塗料タンク9Aの塗料ピストン14aを前端位置近くまで往動させて、第1塗料タンク9Aの塗料室12aにおける充填塗料Twを、高電圧発生装置8による発生電圧の印加状態の下で第1分岐吐出路15a−主吐出路15−塗料噴出口2aを通じてベルカップ2bから被塗物Wに向け必要塗料噴出量だけ帯電状態で放出させる。
なお、この第1塗料タンク9Aの塗装工程において、塗料Twへの印加電圧が導電性塗料Twを通じて塗料供給源の側に漏電することは接合ステーション4からの塗装機2の離脱による接合路切断により防止され、また、その印加電圧が作動液Lを通じて外部に漏電することは作動液Lの非導電性により防止され、その他の部材を介しての漏電は適所に配した電気絶縁材により防止される。
(ロ)図5は図4に示す塗装工程の完了に続く洗浄・充填工程を示し、この工程では、高電圧発生装置8による電圧印加を停止した状態で、作業アーム1cの動作により塗装機2を接合ステーション4に接合させて塗装機側の各ポート27a,27b,28a,28b,31aをステーション側の対応ポート34a,34b,35a,35b,32aに連通させ、この接合状態において、先ず、第1作動液供給装置10Aを再び塗料吐出モードにすることで、作動液圧力により第1塗料タンク9Aの塗料ピストン14aを前端位置まで往動させて、第1塗料タンク9Aの塗料室12aにおける若干量の残存塗料Twを第1分岐吐出路15a−主吐出路15−塗料噴出口2aを通じて外部に排出する。
そして、この残存塗料の排出に続き、第1塗料タンク9A及び塗装機先端部に対する塗装後洗浄工程(系統洗浄・先端洗浄)として、第1洗浄液路6a及び第1洗浄空気路7aから洗浄液S(本例では洗浄水)と洗浄空気Aとを、ステーション側の第1洗浄用渡り路39a−第1分岐送給路37aの下流部−第1送給ポート34a−塗装機側の第1流入ポート27a−第1流入路25a−第1塗料タンク9Aの塗料室12a−第1分岐吐出路15a−第1流出路29a−第1流出ポート28a−ステーション側の第1排出ポート35a−第1排出路38aを通じて交互に通過させるとともに、第3洗浄液路6d及び第3洗浄空気路7dから洗浄液Sと洗浄空気Aとを、ステーション側の先端洗浄用送給路32−先端洗浄用ポート32a−塗装機側の先端洗浄用ポート31a−先端洗浄用路31を通じてベルカップ2bの内側及び外側の夫々に対し交互に噴出させ、これにより、先の(イ)の塗装工程で生じた塗料汚れを除去する。
また、これら残存塗料排出及び塗装後洗浄に併行させる形態での第2塗料タンク9Bに対する充填工程として、第2作動液供給装置10Bを塗料充填モードにした状態で、次に使用する塗料Tw(導電性塗料)の塗料弁vtを開弁して、その次使用塗料Twを接合ステーション4における第1色替弁ユニットCCV1のマニホールド36−主送給路37−第2分岐送給路37b−第2送給ポート34b−塗装機側の第2流入ポート27b−第2流入路25bを通じ第2塗料タンク9Bの塗料室12bに加圧供給し、これにより、第2塗料供給装置10Bの作動液ピストン16bを復動させながら、次回の塗装工程(すなわち、次の被塗物Wの塗装)で必要な量の次使用塗料Twを第2塗料タンク9Bの塗料室12bに充填する。
そして、この塗料充填において、第2作動液供給装置10Bの作動液ピストン16bが後退待機位置にあるピストンロッド18bへの当接で復動停止して第2作動液路11bにおける圧力センサ55の検出作動液圧力pが上昇すると、先に開弁した塗料弁vtを閉弁して第2塗料タンク9bへの塗料Twの加圧送給を停止する。
(ハ)図6は図5に示す洗浄・充填工程に続く後段洗浄工程を示し、この工程では、同じく電圧発生装置8による電圧印加を停止するとともに塗装機2を接合ステーション4に接合させた状態で、引き続き第1塗料タンク9Bに対する塗装後洗浄工程として、第1洗浄液路6a及び第1洗浄空気路7aから洗浄液Sと洗浄空気Aとを、ステーション側の第1洗浄用渡り路39a−第1分岐送給路37aの下流部−第1送給ポート34a−塗装機側の第1流入ポート27a−第1流入路25a−第1塗料タンク9Aの塗料室12a−第1分岐吐出路15a−第1流出路29a−第1流出ポート28a−ステーション側の第1排出ポート35a−第1排出路38aを通じ交互に通過させ、これにより、第1塗料タンク系統の洗浄をより完全にする。
また、第2塗料タンク9Bに対する塗料充填の完了に続き、第1塗料タンク9Aに対する塗装後洗浄(系統洗浄)に併行させる形態での第2塗料タンク9Bに対する充填後洗浄工程(接続部洗浄)として、第1色替弁ユニットCCV1における洗浄弁vcの操作により、共通洗浄液路6c及び共通洗浄空気路7cから洗浄液Sと洗浄空気Aとを、接合ステーション4における第1色替弁ユニットCCV1のマニホールド36−主送給路37−第2分岐送給路37b−第2送給ポート34b−塗装機側の第2流入ポート27b−第2流入路25b−第2洗浄用渡り路30b−第2流出路29b−第2流出ポート28b−ステーション側の第2排出ポート35b−第2排出路38bを通じ交互に通過させ、これにより、第2塗料タンク9Bに対する塗料充填で生じた塗料汚れを除去する。
その後、この工程では、第2作動液供給装置10Bのモータ19bを僅かに逆転運転してピストンロッド18bを僅かに後退させることで、作動液ピストン16bを第2作動液路11b内の残存作動液圧力により僅かに復動させ、このとき、第2作動液路11bの圧力センサ55による検出作動液圧力pが設定値psよりも低下すれば、第2塗料タンク9Bの塗料室12bと第2作動液路11bと第2作動液供給装置10Bの作動液室20bとからなる密閉状態の作動液充填域に気泡の混入がない適正な状態が維持されていると判定して、作業アーム1cの動作により塗装機2を接合ステーション4から離脱させ、次の塗装工程(ニ)に進む。
また、第2作動液路11bの圧力センサ55による検出作動液圧力pが設定値ps以下に低下しなければ、密閉の上記作動液充填域に気泡の混入があった不適正状態にあると判定して、異常報知などの所定の対応処理を行う。
(ニ)図7は第2塗料タンク9Bの塗料室12bに充填した塗料Tw(導電性塗料)を使用して塗装を行っている塗装工程を示し、この工程では、(イ)の塗装工程と同様、第2塗料タンク9Bの塗料室12bにのみ塗料Twを充填した状態(第1塗料タンク9Aの塗料室12aはのままの状態)で、作業アーム1cの動作により塗装機2を接合ステーション4から離脱させて所要塗装位置に位置させ、この離脱状態において第2作動液供給装置10Bを塗料吐出モードにすることで、作動液圧力により第2塗料タンク9Bの塗料ピストン14bを前端位置近くまで往動させて、第2塗料タンク9Bの塗料室12bにおける充填塗料Twを、高電圧発生装置8による発生電圧の印加状態の下で第2分岐吐出路15b−主吐出路15−塗料噴出口2aを通じてベルカップ2bから被塗物Wに向け必要塗料噴出量だけ帯電状態で放出させる。
なお、この第2塗料タンク9Bの塗装工程においても、塗料Twへの印加電圧が導電性の塗料Twを通じて塗料供給源の側に漏電することは接合ステーション4からの塗装機2の離脱による接合路切断により防止され、また、その印加電圧が作動液Lを通じて外部に漏電することは作動液Lの非導電性により防止され、その他の部材を介しての漏電は適所に配した電気絶縁材により防止される。
(ホ)図8は図7に示す塗装工程の完了に続く洗浄・充填工程を示し、この工程では、高電圧発生装置8による電圧印加を停止した状態で、作業アーム1cの動作により塗装機2を接合ステーション4に接合させて塗装機側の各ポート27a,27b,28a,28b,31aをステーション側の対応ポート34a,34b,35a,35b,32aに連通させ、この接合状態において、先ず、第2作動液供給装置10Bを再び塗料吐出モードにすることで、作動液圧力により第2塗料タンク9Bの塗料ピストン14bを前端位置まで往動させて、第2塗料タンク9Bの塗料室12bにおける若干量の残存塗料Twを第2分岐吐出路15b−主吐出路15−塗料噴出口2aを通じて外部に排出する。
そして、この残存塗料の排出に続き、第2塗料タンク9B及び塗装機先端部に対する塗装後洗浄工程(系統洗浄・先端洗浄)として、第2洗浄液路6b及び第2洗浄空気路7bから洗浄液Sと洗浄空気Aとを、ステーション側の第2洗浄用渡り路39b−第2分岐送給路37bの下流部−第2送給ポート34b−塗装機側の第2流入ポート27b−第2流入路25b−第2塗料タンク9Bの塗料室12b−第2分岐吐出路15b−第2流出路29b−第2流出ポート28b−ステーション側の第2排出ポート35b−第2排出路38bを通じ交互に通過させるとともに、第3洗浄液路6d及び第3洗浄空気路7dから洗浄液Sと洗浄空気Aとを、ステーション側の先端洗浄用送給路32−先端洗浄用ポート32a−塗装機側の先端洗浄用ポート31a−先端洗浄用路31を通じてベルカップ2bの内側及び外側の夫々に対し交互に噴出させ、これにより、先の(ニ)の塗装工程で生じた塗料汚れを除去する。
また、これら残存塗料排出及び塗装後洗浄に併行させる形態での第1塗料タンク9Aに対する充填工程として、第1作動液供給装置10Aを塗料充填モードにした状態で、次に使用する塗料Tw(導電性塗料)の塗料弁vtを開弁して、その次使用塗料Tを接合ステーション4における第1色替弁ユニットCCV1のマニホールド36−主送給路37−第1分岐送給路37a−第1送給ポート34a−塗装機側の第1流入ポート27a−第1流入路25aを通じ第1塗料タンク9Aの塗料室12aに加圧供給し、これにより、第1塗料供給装置10Aの作動液ピストン16aを復動させながら、次回の塗装工程(すなわち、次の被塗物Wの塗装)で必要な量の次使用塗料Twを第1塗料タンク9Aの塗料室12aに充填する。
そして、この塗料充填において、第1作動液供給装置10Aの作動液ピストン16aが後退待機位置にあるピストンロッド18aへの当接で復動停止して第1作動液路11aにおける圧力センサ55の検出作動液圧力pが上昇すると、先に開弁した塗料弁vtを閉弁して第1塗料タンク9aへの塗料Twの加圧送給を停止する。
(ヘ)図9は図8に示す洗浄・充填工程に続く後段洗浄工程を示し、この工程では、同じく電圧発生装置8による電圧印加を停止するとともに塗装機2を接合ステーション4に接合させた状態で、引き続き第2塗料タンク9Bに対する塗装後洗浄工程として、第2洗浄液路6b及び第2洗浄空気路7bから洗浄液Sと洗浄空気Aとを、ステーション側の第2洗浄用渡り路39b−第2分岐送給路37bの下流部−第2送給ポート34b−塗装機側の第2流入ポート27b−第2流入路25b−第2塗料タンク9Bの塗料室12b−第2分岐吐出路15b−第2流出路29b−第2流出ポート28b−ステーション側の第2排出ポート35b−第2排出路38bを通じ交互に通過させ、これにより、第2塗料タンク系統の洗浄をより完全にする。
また、第1塗料タンク9Aに対する塗料充填の完了に続き、第2塗料タンク9Bに対する塗装後洗浄(系統洗浄)に併行させる形態での第1塗料タンク9Aに対する充填後洗浄工程(接続部洗浄)として、第1色替弁ブユニットCCV1における洗浄弁vcの操作により、共通洗浄液路6c及び共通洗浄空気路7cから洗浄液Sと洗浄空気Aとを、接合ステーション4における第1色替弁ユニットCCV1のマニホールド36−主送給路37−第1分岐送給路37a−第1送給ポート34a−塗装機側の第1流入ポート27a−第1流入路25a−第1洗浄用渡り路30a−第1流出路29a−第1流出ポート28a−ステーション側の第1排出ポート35a−第1排出路38aを通じ交互に通過させ、これにより、第1塗料タンク9Aに対する塗料充填で生じた塗料汚れを除去する。
その後、この工程では、第1作動液供給装置10Aのモータ19aを僅かに逆転運転してピストンロッド18aを僅かに後退させることで、作動液ピストン16aを第1作動液路11a内の残存作動液圧力により僅かに復動させ、このとき、第1作動液路11aの圧力センサ55による検出作動液圧力pが設定値psよりも低下すれば、第1塗料タンク9Aの塗料室12aと第1作動液路11aと第1作動液供給装置10Aの作動液室20aとからなる密閉状態の作動液充填域に気泡の混入がない適正な状態が維持されていると判定して、作業アーム1cの動作により塗装機2を接合ステーション4から離脱させ、次の塗装工程(イ)に進む。
また、第1作動液路11aの圧力センサ55による検出作動液圧力pが設定値ps以下に低下しなければ、密閉の上記作動液充填域に気泡の混入があった不適正状態にあると判定して、異常報知などの所定の対応処理を行う。
以後、コンベアによる被塗物搬送において導電性塗料Twによる塗装を行うべき被塗物Wが続くことに対し、上記(イ)〜(ヘ)の工程をその順に繰り返すことにより、第1塗料タンク9Aと第2塗料タンク9Bとを交互使用する形態で、それら搬送被塗物Wを各々の指定色に順次塗装する。
また一方、コンベアによる被塗物搬送において非導電性塗料Ttによる塗装を行うべき被塗物Wが介在した場合には、第1及び第2塗料タンク9A,9Bを用いた塗装に代え、第2色替弁ユニットCCV2において、その被塗物Wの指定色に応じた塗料Tt(非導電性塗料)の塗料弁vtを開弁することで、その塗料Ttを第2色替弁ユニットCCV2のマニホールド54−塗料直送路50を通じて塗装機2の塗料噴出口2aから噴出させ、これにより、その被塗物Wを指定色の非導電性塗料Ttにより塗装する。
そして、この非導電性塗料Ttによる塗装後、第2色替弁ユニットCCV2における洗浄弁vcの操作により、専用洗浄液路52及び専用洗浄空気路53から洗浄液S′(例えばシンナ)と洗浄空気Aとを、第2色替弁ユニットCCV2のマニホールド54−塗料直送路50を通じて塗料噴出口2aから交互に噴出させ、これにより、非導電性塗料Ttによる第2色替弁ユニットCCv2から塗料噴出口2aにかけての塗料汚れを除去する。
なお、非導電性塗料Ttによる塗装にあたっては、第1及び第2塗料タンク9A,9Bをともに空にした状態で作業アーム1aを動作させる作業形態、あるいは、第1ないし第2塗料タンク9A,9Bのうち前回の導電性塗料Twによる塗装で使用しなかった塗料タンク(すなわち、次回の導電性塗料Twによる塗装で使用する塗料タンク)に次使用の導電性塗料Twを充填した状態で作業アーム1cを動作させる作業形態のいずれを採ってもい。
以上要するに、本実施形態では、塗装作業用の可動支持アーム1aに取り付けた塗装機2に塗料タンク9A,9Bを装備するとともに、可動支持アーム1aの動作により塗装機2を接合及び離脱させる接合ステーション4を設け、そして、
塗装機2を接合ステーション4に接合させた状態で、その接合により接続される接合路25a・37a,25b・37bを通じた塗料送給により塗料タンク9A,9Bに塗料Twを充填する充填工程と、
その充填工程の後、接合ステーション4から塗装機2を離脱させた状態で、塗料タンク9A,9Bにおける充填塗料Twを塗装機2から被塗物Wに対し噴出させる塗装工程と、
その塗装工程の後、塗装機2を接合ステーション4に接合させて、その接合により接続される接合路25a・37a,25b・37bを通じた洗浄液送給により塗料タンク9A,9B及びそれに対する連通塗料経路を洗浄する塗装後洗浄工程とを、その順に繰り返して実施する制御器3を設ける塗装システムにおいて、
塗料タンクとして第1塗料タンク9Aと第2塗料タンク9Bを塗装機2に装備し、そして、上記制御器3を、第1塗料タンク9Aに対する充填工程と第2塗料タンク9Bに対する塗装後洗浄工程とを併行させ、かつ、第2塗料タンク9Bに対する充填工程と第1塗料タンク9Aに対する塗装後洗浄工程とを併行させる形態で、それら第1塗料タンク9A及び第2塗料タンク9Bの夫々に対する充填工程、塗装工程、塗装後洗浄工程をその順に繰り返して実施する構成にしてある。
また、制御器3を、第1塗料タンク9A及び第2塗料タンク9Bの夫々に対する充填工程の後、それに続く塗装工程のために塗装機2を接合ステーション4から離脱させるまでの間に、その充填工程で塗料送給に用いた接合路25a・37a,25b・37bをその接合路への洗浄液通過により洗浄する充填後洗浄工程を実施する構成にするとともに、
第1塗料タンク9Aに対する充填工程及びそれに続く充填後洗浄工程の夫々と第2塗料タンク9Bに対する塗装後洗浄工程とを併行させ、かつ、第2塗料タンク9Bに対する充填工程及びそれに続く充填後洗浄工程の夫々と第1塗料タンク9Aに対する塗装後洗浄工程とを併行させる形態で、第1塗料タンク9A及び第2塗料タンク9Bの夫々に対する充填工程、充填後洗浄工程、塗装工程、塗装後洗浄工程をその順に繰り返して実施する構成にもしてある。
つまり、このように一方の塗料タンクに対する充填工程と他方の塗料タンクに対する塗装後洗浄工程とを併行させることにより、更には、一方の塗料タンクに対する充填後洗浄工程も充填工程とともに他方の塗料タンクに対する塗装後洗浄工程と併行させることにより、各回の塗装工程の終了後、次の塗装工程の開始に至るまでに要する各回のインターバル時間を効果的に短縮し、これにより、この種の塗装システムにおける塗装品生産能率を向上させるようにしてある。
また、本実施形態の塗装システムでは、第1塗料タンク9A及び第2塗料タンク9Bの夫々に対する塗装後洗浄工程及び充填後洗浄工程において、洗浄に用いた洗浄液Sを塗装機2と接合ステーション4との接合により接続される接合路29a・38a,29b・38bを通じて塗装機2から接合ステーション4へ戻す構成にしてあり、これにより、それら使用済みの洗浄液Sを塗装機2の塗料噴出口2aから外部に放出させて排出するなどに比べ、接合ステーション4やそれに接合している塗装機2などへの使用済み洗浄液Sの飛散を確実に防止するようにしてある。
塗装作業については以上の通りであるが、この塗装システムでは、システムの始動時及びオペレータによる指示時に、次の(a)〜(d)のエア抜き処理を制御器3による動作制御により自動的に行う(図11〜図15参照)。
(a)図11に示す如く、高電圧発生装置8による電圧印加を停止した状態で、作業アーム1cの動作により塗装機2を接合ステーション4に接合させて塗装機側の各ポート27a,27b,28a,28b,31aをステーション側の対応ポート34a,34b,35a,35b,32aに連通させ、この接合状態において、シリンダ側作動液排出路23及びタンク側作動液排出路24の開閉弁vmを開弁し、また、作動液供給路21及び作動液路11a,11bの開閉弁vmを閉弁した状態で、塗料ピストン14a,14bを接合ステーション4における第1,第2洗浄液路6a,6bからの塗料タンク塗料室12a,12bへの洗浄液Sの供給により後端位置まで復動させて、塗料タンク9A,9Bの作動液室13a,13bにおける空気をタンク側作動液排出路24へ排出するとともに、モータ19a,19bの正転運転により作動液ピストン 16a,16bを前端位置まで往動させて、作動液シリンダ17a,17bのシリンダ室20a,20bにおける空気をシリンダ側作動液排出路23へ排出する。
(b)次に図12に示す如く、作動液供給路21の開閉弁vmを開弁して、作動液シリンダ17a,17bのシリンダ室20a,20bに対する作動液Lの供給を開始し、これにより、作動液ピストン26a,26bの往動で隙間状態にあるシリンダ室20a,20bの残存空気を作動液Lによりパージする形態で完全にシリンダ側作動液排出路23へ排出する。その後、所定の待ち時間が経過すると、図13に示す如く、シリンダ側作動液排出路23の開閉弁vmを閉弁するとともに、作動液路11a,11bの開閉弁vmを開弁して、作動液供給路21からの供給作動液Lを作動液シリンダ17a,17bのシリンダ室20a,20bから作動液路11a,11bを通じて塗料タンク9A,9Bの作動液室13a,13bに供給し、これにより、塗料ピストン14a,14bの復動により隙間状態にある塗料タンク作動室13a,13bの残存空気を作動液Lによりパージする形態で完全にタンク側作動液排出路24へ排出する。
(c)その後、図14に示す如く、塗料タンク塗料室12a,12bへの洗浄液供給圧力により塗料ピストン14a,14bを後端位置に保持したままの状態において、タンク側作動液排出路24の開閉弁vmを閉弁するとともに、モータ19a,19bの逆転運転により作動液ピストン16a,16bのピストンロッド18a,18bを所定後退位置まで後退させることで、作動液供給路21からの供給作動液Lにより作動液ピストン16a,16bをシリンダ室20a,20bの容積が塗料タンク塗料室12a,12bの最大容積よりも僅かに大きくなる位置まで復動させ、そして、その復動において作動液ピストン16a,16が所定後退位置にあるピストンロッド18a,18bへの当接で復動停止して作動液路11a,11bにおける圧力センサ55の検出作動液圧力pが上昇すると、作動液充填の完了として作動液供給路23の開閉弁vmを閉弁し、作動液シリンダ17a,17bのシリンダ室20a,20bに対する作動液供給を停止する。
(d)これに続き、図15に示す如く、接合ステーション4における第1,第2洗浄液路6a,6bの経路切換弁vy及び塗装機2における第1,第2流入路25a,25bの開閉弁vxを閉弁して塗料タンク塗料室12a,12bに対する洗浄液供給を停止するとともに、塗装機2における第1,第2流出路29a,29bの経路切換弁vxを開弁した状態で、モータ19a,19bの正転運転により作動液ピストン16a,16bを往動させ、これにより、塗料タンク塗料室12a,12bの洗浄液Sを接合ステーション4の第1、第2排出路38a,38bへ排出する。そして、塗料ピストン14a,14bが前端位置に至り停止して作動液路11a,11bにおける圧力センサ55の検出作動液圧力pが上昇すると、塗料タンク塗料室12a,12bからの洗浄液排出が完了したとして、モータ19a,19bを停止し、これをもってエア抜き処理を完了する。
〔別の実施形態〕
次の本発明の別実施形態を列記する。
前述の実施形態では、作動液圧力により塗料ピストン14a,14bを往動させることで塗料タンク9A,9Bの充填塗料Twを塗装機2から噴出させる構造を示したが、これに代え、塗料ピストン14a,14bを機械的伝動機構により往動させたり空気圧等の気体圧力により往動させたりすることで、塗料タンク9A,9Bの充填塗料Twを塗装機2から噴出させる構造を採用してもよい。
また、前述の実施形態では、水性塗料などの導電性塗料Twによる塗装に塗料タンク9A,9Bを用いる例を示したが、有機溶剤系塗料などの非導電性塗料Ttによる塗装に塗料タンク9A,9Bを用いるようにしてもよく、さらに、導電性塗料Twによる塗装と非導電性塗料Ttによる塗装とが混在する塗装に塗料タンク9A,9Bを用いるようにしてもよい。
前述の実施形態では回転霧化式の塗装機を示したが、塗装機2は回転霧化式に限らず、圧縮空気噴射式など、どのような形式のものであってもよい。
塗装機2を初めとするシステム構成装置の具体的形状・構造やその内部流路構造などは、前述の実施形態で示した形状・構造に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に記載の範囲内で種々の構成変更が可能である。