JP7225713B2 - 抗ストレプトリジンo測定用ラテックス粒子の製造方法 - Google Patents
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しかしながら、特許文献2や特許文献3で使用されているホウ酸緩衝溶液に含まれるホウ酸化合物は、ヨーロッパのREACH規制の認可対象物質リストに収載されている高懸念物質であるため、ホウ酸化合物を使用しない製法を開発することが望まれていた。
[項1]
カルボキシル基を表面に有するラテックス粒子を使用し、ストレプトリジンOをラテックス粒子に共有結合させ、ブロッキング処理を行った後、界面活性剤を含む緩衝液での洗浄工程を含む抗ストレプトリジンO測定用ラテックス粒子の製造方法。
[項2]
Tween20、TritonX-100、CHAPS、SDS及びデオキシコール酸からなる群より選択される少なくとも1種の界面活性剤を用いる項1に記載の抗ストレプトリジンO測定用ラテックス粒子の製造方法。
[項3]
界面活性剤がTween20を用いる項2に記載の抗ストレプトリジンO測定用ラテックス粒子の製造方法。
[項4]
界面活性剤の緩衝液中における濃度が0.01%から0.1%である項1から3のいずれかに記載の抗ストレプトリジンO測定試薬。
本発明に用いるSLOとしては、特に限定されず、例えば、溶血性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)が菌体外に生産するSLOや組換え大腸菌などを用いて生産された遺伝子組換えのSLO、また、一部のアミノ酸配列を欠損させた改変型のSLO、さらにはMBPなどを融合させた融合型SLOを使用しても良い。例えば、WO2017/204325に開示されているSLOが具体的に例示される。
本発明に用いるラテックス粒子としては、特に限定されないが、例えば、スチレンスルホン酸、メタクリル酸、アクリル酸、アクリル酸エステルなどを共重合させたポリスチレン粒子にカルボキシル基を導入した共有結合法向けのラテックス粒子が挙げられる。また、物理吸着を抑制するため、つまり、親水度を高めるためにポリアクリルアミドを含んだラテックス粒子を使用することもできる。好ましくは、アクリル酸を共重合させたポリスチレン粒子が挙げられ、さらに好ましくはポリアクリルアミドにより親水度が高められたアクリル酸を共重合させたポリスチレン粒子が挙げられる。
ラテックス粒子の表面に有するカルボキシル基にSLOのアミノ基を結合させる方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)などの水溶性カルボジイミドが使用できる。N-ヒドロキシスクシンイミドを併用して、不安定なアシルイソ尿素中間体を、アミンと反応しやすいより安定したスクシンイミジルエステルに変換させてもよい。
また、本発明の免疫測定試薬においては、非特異反応を抑制するためや免疫測定試薬自体の安定性を高めるために、特に限定されるものではないが、例えば、アルブミン、カゼイン、ゼラチンなどの蛋白質、これら蛋白質の分解物、アミノ酸、界面活性剤等の1種類もしくは2種類以上を前記不溶性担体に更に担持させても良い。ブロッキング剤の濃度は適宜決められるが、好ましくは0.1%~5%、さらに好ましくは1%~3%である。処理温度についても適宜決められるが、好ましくは4℃~30℃、さらに好ましくは4℃~20℃である。処理時間についても適宜決められるが、好ましくは0.5時間~24時間、さらに好ましくは1時間~16時間である。
ブロッキング反応後の洗浄工程においては、各種界面活性剤を含む緩衝液での洗浄を実施することが望ましい。界面活性剤としては、Tween20、TritonX-100(ポリエチレングリコールモノ-p-イソオクチルフェニルエーテル)、CHAPS(3-[(3-コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-1-プロパンスルホナート)、SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)、デオキシコール酸などが挙げられる。これらの界面活性剤は単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。使用濃度は適宜決められるが、例えば、0.1%のTween20を含むリン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)などが好適である。
本発明において、ASO試薬は、2つの試薬から構成されてなり、緩衝溶液を第1試薬、ストレプトリジンOを感作したラテックス粒子を含むラテックス試液を第2試薬とする構成からなるものである。そして、第1試薬の緩衝溶液中にポリビニルピロリドンを含有することを、好ましい構成とする。
ASO試薬の性能としては、検出感度、測定範囲、測定精度、再現性、安定性などの項目が挙げられる。本発明によれば、ラテックス粒子をブロッキングした際の洗浄バッファーにTween20を添加すれば、長期間、試薬が安定となる。当該安定性は加速試験により、評価することができる。一般的にラテックス試薬は、通常2~10℃で保存される。このような試薬の長期間の保存安定性を評価するために、20~40℃で短期間保存後の性能評価を行う加速試験が実施される。使用される温度としては37℃で行う加速試験が好ましい。尚、測定に用いたASO試薬の単位(IU/ml)は、世界保健機関(WHO)が定めた抗ストレプトリジンO抗体の国際単位に基づいたものである。
メルク社製カルボキシル基導入ラテックス粒子(製品番号:PSI90-21)0.14mLを遠心分離し、上清を抜き取った。次に50mM MES(pH4.5)を1mL添加し、十分に懸濁した。その後、再び遠心分離を行い、上清を抜き取った。さらに、50mM MES(pH4.5)を0.7mL添加した。これに4%カルボジイミド(EDC)0.35mL及び2.4%N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)0.35mLを加えて、ラテックス粒子の1%濃度とした状態で、25℃で15分撹拌し、カルボキシル基を活性化した後、遠心分離を行い、上清を抜き取った。これに50mM カリウムリン酸緩衝液(以下、「KPB」と示す。)(pH6.5)を0.7mL添加し、再び、遠心分離を行い、上清を抜き取った。これに50mM KPB(pH6.5)を0.7mL添加し、超音波にて分散させることで、活性化ラテックス粒子とした。WO/2017/204325の実施例2に記載の方法で調製したストレプトリジンO(SLO)を3.0(mg/mL)の濃度になるよう50mM KPB(pH6.5)で溶解した。次に、活性化ラテックス粒子0.7mLとSLO溶液0.7mLを混合し、25℃にて2時間撹拌混合することで、SLOをラテックス粒子に共有結合させた。
本発明のASOラテックス試薬における第1試薬としては、0.5%BSAを含む1×PBS(pH7.4)を調製した。次に、自動分析装置日立7180(日立ハイテクノロジーズ製)を用いて、実施例1で調製した各第2試薬の試薬調製直後の感度を測定した。まず、第1試薬120μlに各濃度(0、125、250IU/ml)のASO標準液1.5μlを添加撹拌し、37℃で適時保持した後、第2試薬30μlを添加撹拌し、この後、300秒後から600秒後間の波長546nmでの吸光度変化(ΔmAbs)を評価した。続いて、実施例1で作製した第2試薬をボトルに入れ密栓し、37℃のインキュベーターに入れて加速試験を行った。保存後7日後にインキュベーターより取り出し、再び、感度を測定し、測定値の変化を評価した。その結果、表1に示した通り、洗浄バッファーに含むTween20の濃度依存的に試薬の安定性が向上することを見出した。
Claims (5)
- 50μeq/g~300μeq/gのカルボキシル基を表面に有するラテックス粒子を使用し、ストレプトリジンOをラテックス粒子に共有結合させ、ブロッキング処理を行った後、界面活性剤を含む緩衝液での洗浄工程を含む抗ストレプトリジンO測定用ラテックス粒子の製造方法。
- ポリエチレングリコール、カルボキシルメチルセルロース、メチルセルロース、デキストラン、ポリビニルピロリドン、ポリグリコシルエチルメタクリレート、プルラン、デキストラン、およびエルシナンからなる群より選択される少なくとも1種の水溶性高分子を共存する、請求項1に記載の抗ストレプトリジンO測定用ラテックス粒子の製造方法。
- Tween20、TritonX-100、CHAPS、SDS及びデオキシコール酸からなる群より選択される少なくとも1種の界面活性剤を用いる請求項1または2に記載の抗ストレプトリジンO測定用ラテックス粒子の製造方法。
- 界面活性剤がTween20を用いる、請求項3に記載の抗ストレプトリジンO測定用ラテックス粒子の製造方法。
- 界面活性剤の緩衝液中における濃度が0.01%から0.1%である、請求項1または2に記載の抗ストレプトリジンO測定用ラテックス粒子の製造方法。
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