以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態に係る筒状カラーを圧造成形する圧造成形装置の概略構成図を示している。また、図2は図1の圧造成形装置による各圧造工程を経て得られた筒状カラーを示し、(a)は筒状カラーの一部(軸線mの左側部分)切欠き断面図、(b)は軸線方向から見た平面図をそれぞれ示している。
この図1及び図2に示すように、圧造成形装置X1では、コイル材より所定の長さに剪断された円柱状のブランクBを5つの第1~第5圧造工程ステーションS1~S5での各圧造成形により、筒状カラーとしての円筒状カラーCが得られるようにしている。この場合、ブランクBは、円筒状カラーCとほぼ同じ体積の金属素材であり、鉄、アルミニウム、ステンレス、真鍮などからなるコイル材が用いられる。
円筒状カラーCには、その中心を軸線m方向に沿って貫通する貫通孔Oが設けられている。また、円筒状カラーCの軸線m方向の両端部にはそれぞれ外径部分を拡径させた拡径部K,Kが設けられ、被装着物(図示せず)に対し円筒状カラーCを軸線m方向へ抜け止めしている。
更に、円筒状カラーCの軸線m方向の外周面の軸線方向中央部付近つまり両端部の拡径部K,K同士の間には、それぞれ軸線m方向へ延びた状態で被装着物に対し軸線m回りに回り止めする平目ローレットHが周方向全域に亘って設けられている。この場合、円筒状カラーCは、たとえば合成樹脂製などにより成形される被装着物としての自動車用室内パネル類などを射出成形する際などに一体成形され、その被装着物に対し軸線m方向に抜け止めされかつ軸線m回りに回り止めされた状態で装着される。
第1~第5圧造工程ステーションS1~S5による圧造成形は、横型の圧造成形装置X1を使用して行われ、該装置X1の5つの圧造工程ステーションS1~S5にそれぞれ型装置が配備される。各圧造工程ステーションS1~S5の型装置は、第1~第5ダイスユニットD1~D5と、第1~第5パンチユニットP1~P5とによって構成される。図1において、左側がダイスユニットD1~D5側、右側がパンチユニットP1~P5側である。
図3は図1の圧造成形装置X1の第1圧造工程ステーションS1で用いられる型装置の構成を示す断面図を示している。また、図4は図3の第1圧造工程ステーションS1での第1圧造工程を示し、(a)は第1圧造工程前のブランクB周辺の断面図、(b)は第1圧造工程後のブランクB周辺の断面図をそれぞれ示している。
図3及び図4に示すように、第1圧造工程ステーションS1は、互いに前後方向(図3では左右方向)に対峙する第1ダイスユニットD1及び第1パンチユニットP1を備えている。第1ダイスユニットD1は、圧造成形装置X1のダイブロックDの取付け穴D11に取り付けられた第1ダイスD12を備えている。また、第1パンチユニットP1は、圧造成形装置X1のラムRに配備され、圧造成形時に第1ダイスD12の内部に進出する第1パンチP11を備えている。
第1圧造工程ステーションS1では、第1パンチP11及び第1ダイスD12による圧造成形により、図示しないコイル材から切断された円柱状のブランクBの軸線m方向両端面(図4では上下両端面)をそれぞれ矯正したブランクB1を得るようにしている。このとき、ブランクB1は、第1パンチP11及び第1ダイスD12による圧造成形により、第1パンチP11及び第1ダイスD12に則した形状に矯正される。この場合、第1圧造工程ステーションS1には、コイル材から切断された円柱状のブランクBを第1圧造工程ステーションS1に受け渡すチャック(図示せず)が設けられている。
また、第1ダイスD12にはKOピンD13が軸線?方向へスライド自在に設けられ、第1パンチP11及び第1ダイスD12による圧造成形により矯正されたブランクB1を第1ダイスD12の内部より第1パンチP11側に押し出すようにしている。
図5は図1の圧造成形装置X1の第2圧造工程ステーションS2で用いられる型装置の構成を示す断面図を示している。また、図6は図5の第2圧造工程ステーションS2での第2圧造工程を示し、(a)は第2圧造工程前のブランクB1周辺の断面図、(b)は第2圧造工程後のブランク周辺の断面図をそれぞれ示している。
図5及び図6に示すように、第2圧造工程ステーションS2は、互いに前後方向(図5では左右方向)に対峙する第2ダイスユニットD2及び第2パンチユニットP2を備えている。第2ダイスユニットD2は、圧造成形装置X1のダイブロックDの取付け穴D21に取り付けられた第2ダイスD22を備えている。
また、第2パンチユニットP2は、圧造成形装置X1のラムRに取り付けられ、圧造成形時に第2ダイスD22の内部に進出する第2パンチP21を備えている。この第2パンチP21の先端には円柱形状の凸部P22が突設され、この凸部P22の裾野には略45°に傾斜する斜面P23が設けられている。この場合、凸部P22の径は、円筒状カラーCの貫通孔Oの径と一致している。
第1圧造工程ステーションS1と第2圧造工程ステーションS2との間には、第1圧造工程ステーションS1においてKOピンD13により第1ダイスD12から第1パンチP11側に押し出されたブランクB1を第2圧造工程ステーションS2に受け渡す第1チャックC1が設けられている。この第1チャックC1は、KOピンD13により押し出されたブランクB1を把持した状態で当該ブランクB1をその一端面と他端面との向きが180°変換されるように反転させ、第2パンチ21の進出時に第2ダイスD22の内部つまりKOピンD23(後述する)に対し他端面が当接する位置までブランクB1を移動させている。
第2圧造工程ステーションS2は、第1圧造工程ステーションS1において矯正したブランクB1の軸線m方向の両端面のうちの一端面(図6では上端面)に一端側ガイド凹部B22を第2パンチP21及び第2ダイスD22によって圧造成形する一端側ガイド凹部圧造工程を行うようにした一端側ガイド凹部圧造工程ステーションのことである。また、第2パンチP21及び第2ダイスD22による圧造成形によって、ブランクB1の他端面(図6では下面)を再矯正している。
一端側ガイド凹部B22は、円筒状カラーCの軸線m方向へ貫通する貫通孔Oを形成する際のベースとなる真円形状の凹部であって、その開口縁が比較的大きく面取りされた状態で圧造成形される。このとき、一端側ガイド凹部B22の開口縁は、その一端側ガイド凹部B22を形成したブランクB2の外周面とブランクB2の一端面とが互いに直交するピン角を面取りする面取り面よりも大きく面取りされた面取り部O1を有し、この面取り部O1によってブランクB1の一端面での面積を半径方向内側において大きく減少させている。
ブランクB1は、第2パンチP21及び第2ダイスD22による圧造成形により、第2パンチP21及び第2ダイスD22に則した形状、つまり一端面に一端側ガイド凹部B22を有しかつ他端面が再矯正されたブランクB2が得られるようにしている。
また、第2ダイスD22には、KOピンD23が軸線m方向にスライド自在に設けられている。このKOピンD23は、第2パンチP21側への進出時、第2パンチP21及び第2ダイスD22により圧造成形されたブランクB2を第2ダイスD22の内部より第2パンチP21側に押し出すようにしている。
図7は図1の圧造成形装置X1の第3圧造工程ステーションS3で用いられる型装置の構成を示す断面図を示している。また、図8は図7の第3圧造工程ステーションS3での第3圧造工程を示し、(a)は第3圧造工程前のブランクB2周辺の断面図、(b)は第3圧造工程後のブランク周辺の断面図をそれぞれ示している。
図7及び図8に示すように、第3圧造工程ステーションS3は、互いに前後方向(図7では左右方向)に対峙する第3ダイスユニットD3及び第3パンチユニットP3を備えている。第3ダイスユニットD3は、圧造成形装置X1のダイブロックDの取付け穴D31に取り付けられた第3ダイスD32を備えている。
また、第3パンチユニットP3は、圧造成形装置X1のラムRに取り付けられ、圧造成形時に第3ダイスD32の内部に進出する第3パンチP31を備えている。この第3パンチP31の先端には円柱形状の凸部P32が突設され、この凸部P32の裾野には略45°に傾斜する斜面P33が設けられている。この場合、凸部P32の径は、円筒状カラーCの貫通孔Oの径と一致している。
第2圧造工程ステーションS2と第3圧造工程ステーションS3との間には、第2圧造工程ステーションS2においてKOピンD23により第2ダイスD22から第2パンチP21側に押し出されたブランクB2を第3圧造工程ステーションS3に受け渡す第2チャックC2が設けられている。この第2チャックC2は、KOピンD23により押し出されたブランクB2を把持した状態で一端面と他端面との向きが180°変換されるように反転させ、第3パンチ31の進出時に第3ダイスD32の内部つまりKOスリーブD34(後述する)に対し他端面(図8では下端面)が当接する位置までブランクB1を移動させる。
第3圧造工程ステーションS3では、第2圧造工程ステーションS2において一端側ガイド凹部B22を形成したブランクB2の一端面とは反対側の他端面(図8では上面)に第3パンチP31及び第3ダイスD32によって他端側ガイド凹部B32を圧造成形している。
他端側ガイド凹部B32は、円筒状カラーCの軸線m方向へ貫通する貫通孔Oを形成する際のベースとなる真円形状の凹部であって、その開口縁が比較的大きく面取りされた状態で圧造成形される。このとき、他端側ガイド凹部B32の開口縁は、その他端側ガイド凹部B32を形成したブランクB3の外周面とブランクB3の他端面とが互いに直交するピン角を面取りする面取り面よりも大きく面取りされた面取り部O2を有し、この面取り部O2によってブランクB3の他端面での面積を半径方向内側において大きく減少させている。この場合、ブランクB3の一端側ガイド凹部B22と他端側ガイド凹部B32とは互いに同じ径に設定され、その開口縁の面取り部O1,O2同士も同じ大きさに設定されている。
また、第3ダイスD32には、軸線mと同心上を上方へ延びるポンチD33が固設されている。このポンチD33は、ブランクB3の一端側ガイド凹部B22と同じ径に設定され、第3パンチP31及び第3ダイスD32による圧造成形により、一端側ガイド凹部B22を他端側ガイド凹部B32に近付けるように一端側ガイド凹部B22側より内径を伸ばした貫通孔Oの内径部B35を形成している。この場合、第3圧造工程ステーションS3は、第3パンチP31及び第3ダイスD32によって、ブランクB2の他端面に他端側ガイド凹部B32を圧造成形し、かつ一端側ガイド凹部B22側より貫通孔Oの内径部B35を圧造成形する内径部圧造工程を行うようにした内径部圧造工程ステーションのことである。
更に、第3ダイスD32の内周面には、軸線m方向へ延びるギヤ状の突起D35,D35,…が周方向等間隔置きに設けられ、第3パンチP31及び第3ダイスD32による圧造成形により、ブランクB3の外周面に平目ローレットHをも形成するようにしている。つまり、第3圧造工程ステーションS3(内径部圧造工程ステーション)は、第3パンチP31及び第3ダイスD32によって、他端側ガイド凹部B32及び貫通孔Oの内径部B35を圧造成形する内径部圧造工程に加え、ブランクB3の外周面に平目ローレットHを圧造成形する平目ローレット圧造成形工程を備えている。
また、第3ダイスD32には、ポンチD33に対し軸線m方向へスライド自在に移動するKOスリーブD34が設けられている。このKOスリーブD34は、軸線mと同心上に配置され、第3パンチP31側への進出時、その先端(図7では右端)がブランクB3の他端面つまり他端側ガイド凹部B32の周縁部に当接し、第3パンチP31及び第3ダイスD32により圧造成形されたブランクB3を第3ダイスD32の内部より第3パンチP31側に押し出すようにしている。
図9は図1の圧造成形装置X1の第4圧造工程ステーションS4で用いられる型装置の構成を示す断面図を示している。また、図10は図9の第4圧造工程ステーションS4での第4圧造工程を示し、(a)は第4圧造工程前のブランクB3周辺の断面図、(b)は第4圧造工程後のブランク周辺の断面図をそれぞれ示している。
図9及び図10に示すように、第4圧造工程ステーションS4は、互いに前後方向(図9では左右方向)に対峙する第4ダイスユニットD4及び第4パンチユニットP4を備えている。第4ダイスユニットD4は、圧造成形装置X1のダイブロックDの取付け穴D41に取り付けられた第4ダイスD42を備えている。
また、第4パンチユニットP4は、圧造成形装置X1のラムRに取り付けられ、圧造成形時に第4ダイスD42の内部に進出する第4パンチP41を備えている。この第4パンチP41は、円筒形状に形成され、先端(図10では下端)がブランクB3の一端面(図10では上端面)に対し当接している。そして、第4パンチP41は、第4ダイスD42の内周面に沿って軸線m方向にスライド移動する。
一方、第4ダイスD42には、軸線mと同心上を第4パンチP41側へ延びる穴抜きポンチD43が固設されている。この穴抜きポンチD43は、ブランクB3の貫通孔Oの内径つまり他端面の他端側ガイド凹部B32と同じ径に設定され、内径部B35の芯B36に対し他端側ガイド凹部B32側から先端(図10では上端)が当接している。
第3圧造工程ステーションS3と第4圧造工程ステーションS4との間には、第3圧造工程ステーションS3においてKOスリーブD34により第3ダイスD32から第3パンチP31側に押し出されたブランクB3を第4圧造工程ステーションS4に受け渡す第3チャックC3が設けられている。この第3チャックC3は、KOスリーブD34により押し出されたブランクB3を把持した状態で一端面と他端面との向きが180°変換されるように反転させた状態で、第4圧造工程ステーションS4に受け渡している。このとき、第4圧造工程ステーションS4に受け渡されたブランクB3は、第4パンチP41の進出時にブランクB3の一端面に当接した状態で第4ダイスD42の内部に押され、芯B36が穴抜きポンチD43の先端に当接するまで移動する。
第4圧造工程ステーションS4では、第4パンチP41及び第4ダイスD42による圧造成形により、第3圧造工程ステーションS3において第3パンチP31と第3ダイスD32との圧造成形後に残存するブランクB3の芯B36に穴抜きポンチD43の先端を当接させた状態で第4パンチP41を第4ダイスD42側へ進出させることで、芯B36を抜き芯B37としてブランクB4から除去する。この場合、第4圧造工程ステーションS4は、第4パンチP41及び第4ダイスD42により、第3圧造工程ステーションS3において貫通孔Oの内径部B35を圧造成形したブランクB3の他端側ガイド凹部32を一端側ガイド凹部22まで貫通させて貫通孔Oを圧造成形する貫通孔圧造工程を行うようにした貫通孔圧造工程ステーションのことである。
また、第4ダイスD42には、穴抜きポンチD43に対し軸線m方向へスライド自在に移動する円筒形状のKOスリーブD44が設けられている。このKOスリーブD44は、軸線mと同心上に配置され、第4パンチP41側への進出時、その先端(図10では上端)がブランクB4の他端面に当接し、第4パンチP41及び第4ダイスD42により圧造成形されたブランクB4を第4ダイスD42の内部より第4パンチP41側に押し出すようにしている。
図11は図1の圧造成形装置X1の第5圧造工程ステーションS5で用いられる型装置の構成を示す断面図を示している。また、図12は図11の第5圧造工程ステーションS5での第5圧造工程を示し、(a)は第5圧造工程前のブランクB4周辺の断面図、(b)は第5圧造工程中のブランクB4周辺の断面図、(c)は第5圧造工程後のブランク周辺の断面図をそれぞれ示している。
図11及び図12に示すように、第5圧造工程ステーションS5は、互いに前後方向(図11では左右方向)に対峙する第5ダイスユニットD5及び第5パンチユニットP5を備えている。第5ダイスユニットD5は、圧造成形装置X1のダイブロックDの取付け穴D51に取り付けられた第5ダイスD52(大径ダイス)を備えている。この第5ダイスD52の内径は、ブランクB4の外径よりも若干大きめに設定され、第4圧造工程ステーションS4において圧造成形されたブランクB4の外径との間に半径方向へ均一な隙間Sを存している。
また、第5パンチユニットP5は、圧造成形装置X1のラムRに取り付けられ、圧造成形時に第5ダイスD52の内部に進出する第5パンチP51を備えている。この第5パンチP51としては、軸線mと同心上を軸線m方向にスライド移動する円筒形状のパンチスリーブが適用されている。この第5パンチP51(パンチスリーブ)は、その内径がブランクB4の貫通孔Oと同じ径に設定されている一方、外径が第5ダイスD52の内径と一致するようにブランクB4の外径よりも若干大きめに設定されている。
一方、第5ダイスD52には、軸線mと同心上を延びるマンドレルD53が固設されている。このマンドレルD53は、ブランクB4の貫通孔Oの内径と同一の外径に設定され、当該貫通孔Oを貫通して第5パンチP51の内周面に先端が挿通されている。また、マンドレルD53の外周面には、軸線mと同心上をスライド移動する円筒形状のKOスリーブD54が設けられている。このKOスリーブD54は、ブランクB4の貫通孔Oの内径と同一の内径に設定されている一方、外径が第5ダイスD52の内径と一致するようにブランクB4の外径よりも若干大きめに設定されている。これは、後述する第5パンチP51と第5ダイスD52との圧造成形によるブランクB4の両端部での外径部分の拡径をそれぞれ許容するためである。
第4圧造工程ステーションS4と第5圧造工程ステーションS5との間には、第4圧造工程ステーションS4においてKOスリーブD44により第4ダイスD42から第4パンチP41側に押し出されたブランクB4を第5圧造工程ステーションS5に受け渡す第4チャックC4が設けられている。この第4チャックC4は、KOスリーブD44により押し出されたブランクB4を把持した状態で一端面と他端面との向きを変換させずにそのままの状態で、第5圧造工程ステーションS5に受け渡している。
この第5圧造工程ステーションS5に受け渡されたブランクB4は、第5パンチP51の進出時に第5ダイスD52の内部、つまりKOスリーブD54の先端にブランクB4の一端面(図12の(a)では下端面)が当接するまで移動させる。このとき、第5パンチP51の先端とKOスリーブD54の先端とは、ブランクB4の両端面に対し当接している。
第5圧造工程ステーションS5では、第5パンチP51及び第5ダイスD52による圧造成形により、第4圧造工程ステーションS4により貫通孔Oを形成したブランクB4の両端部の外径部分をそれぞれ半径方向外方へ拡径させるようにしている。つまり、第5圧造工程ステーションS5は、第5パンチP51及び第5ダイスD52により、第4圧造工程ステーションS4により貫通孔Oを形成したブランクB4の両端部の外径部分を当該ブランクB4の両端面での各ガイド凹部B22,B32の開口縁の面取り部分O1,O2による接触面積の減少によりブランクB4の両端部を第5ダイスD52(型)の内周面との隙間Sに向かってそれぞれ半径方向外方へ滑らせながら拡径させるように圧造成形する拡径圧造工程を行うようにした拡径圧造工程ステーションのことである。
図13は図11の第5圧造工程ステーションS5においてブランクB4の軸線方向両端面の各ガイド凹部の開口縁を面取りせずに圧造工程を行った際のブランク周辺の断面図を示している。
第5圧造工程ステーションS5において第5パンチP51及び第5ダイスD52による圧造成形を行うに当たり、ブランクB0の両端面での各ガイド凹部の開口縁の面取りを十分に行わず、ブランクB0の両端面での内側の面積を大きく減少させなかった場合について説明する。
このようなブランクB0を、第5圧造工程ステーションS5において第5パンチP51及び第5ダイスD52による圧造成形を行うと、図13に示すように、ブランクB0の両端面での貫通孔O(各ガイド凹部)の開口縁に面取り部分がなければ、第5パンチP51及び第5ダイスD52により圧造成形した際の摩擦圧によりブランクB0の両端面が半径方向外方(隙間S側)へ滑らず、軸線m方向中央部分が半径方向外方へ膨らんで樽状に変形してしまう。そのため、ブランクB0の両端面での各ガイド凹部の開口縁に十分に大きな面取り部分がなければ、ブランクB0の両端部を第5ダイスD52(型)の内周面との隙間Sに向かってそれぞれ半径方向外方へ滑らせながら拡径させるように圧造成形することがなく、両端部に拡径部K,Kを有する円筒状カラーCを得ることができない。
次に、圧造成形装置X1の第1~第5圧造工程ステーションS1~S5による圧造成形によってコイル材より剪断した円柱状のブランクBから円筒状カラーCを得るまでの手順の一例を図14に基づいて説明する。
図14は図1の圧造成形装置X1の各圧造工程において順次圧造成形されるブランクの変遷状態を示し、ブランク及び円筒状カラーCの一部となる軸線mの左側部分を切欠いている。この図14において、(a)はコイルより切断された円柱状のブランクBの一部切欠き断面図、(b)は第1圧造工程ステーションにより圧造成形されたブランクB1の一部切欠き断面図、(c)は第2圧造工程ステーションにより圧造成形されたブランクB2の一部切欠き断面図、(d)は第3圧造工程ステーションにより圧造成形されたブランクB3の一部切欠き断面図、(e)は第4圧造工程ステーションにより圧造成形されたブランクB4の一部切欠き断面図、(f)は第5圧造工程ステーションにより圧造成形された円筒状カラーCの一部切欠き断面図をそれぞれ示している。
先ず、図14の(a)に示すように、コイル材から円柱状のブランクBを切断し、このブランクBをチャック(図示せず)により第1圧造工程ステーションS1に受け渡す。その後、図14の(b)に示すように、ブランクBの両端面を第1圧造工程ステーションS1の第1パンチP11及び第1ダイスD12による圧造成形によりそれぞれ矯正してブランクB1を得る。それから、ブランクB1を第1チャックC1により一端面と他端面との向きが180°変換されるように反転させ、第2圧造工程ステーションS2に受け渡す。
この第2圧造工程ステーションS2では、図14の(c)に示すように、第2パンチP21及び第2ダイスD22による圧造成形により、ブランクB1の一端面に一端側ガイド凹部B22を形成するとともに、ブランクB1の他端面を再矯正し、ブランクB2を得る。その後、ブランクB2を第2チャックC2により一端面と他端面との向きが180°変換されるように反転させ、第3圧造工程ステーションS3に受け渡す。
この第3圧造工程ステーションS3では、図14の(d)に示すように、第3パンチP31及び第3ダイスD32による圧造成形により、ブランクB2の他端面に他端側ガイド凹部B32を形成し、かつブランクB2の一端側ガイド凹部B22側より貫通孔Oの内径部B35を形成するとともに、ブランクB2の外周面に平目ローレットHを形成し、ブランクB3を得る。その後、ブランクB3を第3チャックC3により反転させ、第4圧造工程ステーションS4に受け渡す。
この第4圧造工程ステーションS4では、図14の(e)に示すように、第4パンチP41及び第4ダイスD42による圧造成形により、ブランクB3に残存する芯B36を抜き芯B37として除去し、ブランクB4を得る。その後、ブランクB4を第4チャックC4により反転させずにそのまま第5圧造工程ステーションS5に受け渡す。
この第5圧造工程ステーションS5では、図14の(f)に示すように、第5パンチP51及び第5ダイスD52による圧造成形により、ブランクB4の両端部の外径部分を当該ブランクB4の両端面での各ガイド凹部B22,B32の開口縁の面取り部分O1,O2による接触面積の減少によりブランクB4の両端部を第5ダイスD52の内周面との隙間Sに向かってそれぞれ半径方向外方へ滑らせながら拡径させ、両端部に拡径部K,Kを有する円筒状カラーCを得る。
したがって、本実施の形態では、円筒状カラーCの圧造成形方法として、円柱形状のブランクBの両端面を矯正し、その矯正したブランクB1の両端面に一端側及び他端側ガイド凹部B22,B32を開口縁が面取り部分O1,O2によって面取りされつつ形成してから、ブランクB3の他端側ガイド凹部B32から一端側ガイド凹部B22まで貫通する貫通孔Oを圧造成形する。その後、ブランクB4を軸線方向両側から圧造成形すると、その軸線方向両端面での各ガイド凹部B22,B32の開口縁の面取り部分O1,O2による表面積の減少によりブランクB4の両端部を第5ダイスD52(型)の内周面との隙間Sに向かってそれぞれ半径方向外方へ滑らせながら拡径させる。このとき、ブランクB2,B3の両端面での各ガイド凹部B22,B32の開口縁に面取り部分O1,O2がなければ、圧造成形した際の摩擦圧によりブランクB4の両端面が半径方向外方へ滑らず、軸線方向中央部分が半径方向外方へ膨らんで樽状に変形してしまう。
これにより、各工程での圧造成形によってブランクB4の両端部の外径部分を第5ダイスD52の内周面との隙間Sに向かってそれぞれ拡径させた拡径部K,Kを有する円筒状カラーCを得ることができる。よって、円筒状カラーCの圧造成形途中にブランクを一側端部の拡径部からダイスの型空間に挿通する必要がなくなって割型が不要となり、円筒状カラーCの成形工程の簡素化及び低廉化を図ることができる。
しかも、割型が不要となることから、ブランクB4の外面に割型の割れ目に沿った複数条のパーティングラインが入ることがなく、圧造成形品としての円筒状カラーCの見栄えや品質の向上を図ることができる。
また、第3圧造工程ステーションS3では、一端側ガイド凹部B22を他端側ガイド凹部B32に近付けるように一端側ガイド凹部B22側より内径を伸ばす貫通孔Oの内径部B35を形成する内径部圧造工程時に、ブランクB3の外周面の軸線m方向中央部付近において軸線m方向へ延びた状態で被装着物に対し軸線m回りに回り止めする平目ローレットHが第3ダイスD32の内周面を軸線m方向へ延びるギヤ状の突起D35,D35,…により形成されている。このため、貫通孔Oの内径部B35を形成する際に平目ローレットHをギヤ状の各突起D35により圧造成形することが可能となり、別途機械加工による平目ローレットの加工工程を廃止できる上、平目ローレットHの圧造成形を貫通孔Oの内径部B35を形成する際に複合して行えて工程数を削減できる。これにより、別途機械加工によるローレットの加工工程の廃止に伴う円筒状カラーCを得るまでの成形工程全体のコンパクト化を図ることができる。しかも、被装着物に対する円筒状カラーCの軸線m回りの回転を平目ローレットHによって確実に防止することができる。
更に、円筒状カラーCの圧造成形装置X1として、円柱形状のブランクBの両端面をそれぞれ矯正する第1圧造工程ステーションS1と、ブランクB1の他端面を再矯正しかつ一端面に一端側ガイド凹部22を開口縁が面取りされつつ形成する第2圧造工程ステーションS2とを備える。また、ブランクB2の他端面に他端側ガイド凹部32を開口縁が面取りされつつ形成しかつこの他端側ガイド凹部32に近付けるように一端側ガイド凹部22側より内径を伸ばした内径部B35を圧造成形する第3圧造工程ステーションS3を備える。更に、ブランクB3の一端側ガイド凹部B22より貫通孔Oを圧造成形する第4圧造工程ステーションS4と、ブランクB4の両端面での各ガイド凹部B22,B32の開口縁の面取り部分O1,O2による表面積の減少により当該ブランクB4の両端部を第5ダイスD52の内周面に拘束されない半径方向外方へ滑らせるように変形させてそれぞれ拡径する拡径部K,Kを有する円筒状カラーCを得る第5圧造工程ステーションS5とを備える。
これにより、各圧造工程ステーションS1~S5での圧造成形によってブランクB4の軸線m方向中央部分を半径方向外方へ膨らませずに軸線m方向両端部の外径部分のみを拡径させた拡径部K,Kを有する円筒状カラーCを得ることができ、割型を不要にした円筒状カラーCの圧造成形装置Xの簡素化及び低廉化を図ることができる。
次に、本発明の第2の実施の形態を図15~図20に基づいて説明する。
この実施の形態では、第3及び第4圧造工程ステーションでの圧造成形を変更している。なお、平目ローレットを形成するギヤ状の突起D35を設ける部位を除くその他の構成は前記第1の実施の形態の場合と同じであり、同一部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
図15は本発明の第2の実施の形態に係る筒状カラーを圧造成形する圧造成形装置の概略構成図を示している。この図15に示すように、圧造成形装置X2においても、コイル材より所定の長さに剪断された円柱状のブランクBを5つの第1~第5圧造工程ステーションS1,S2,S3a,S4a,S5での圧造成形により、円筒状カラーCが得られるようにしている。
図16は図15の圧造成形装置の第3圧造工程ステーションS3aで用いられる型装置の構成を示す断面図を示している。また、図17は図16の第3圧造工程ステーションS3aでの第3圧造工程を示し、(a)は第3圧造工程前のブランク周辺の断面図、(b)は第3圧造工程後のブランク周辺の断面図をそれぞれ示している。
図16及び図17に示すように、第3圧造工程ステーションS3aは、互いに前後方向(図16では左右方向)に対峙する第3ダイスユニットD3a及び第3パンチユニットP3aを備えている。第3ダイスユニットD3aは、圧造成形装置X2のダイブロックDの取付け穴D31に取り付けられた第3ダイスD32aを備えている。
第3パンチユニットP3aは、圧造成形装置X2のラムRに取り付けられ、圧造成形時に第3ダイスD32aの内部に進出する第3パンチP31を備えている。また、第2圧造工程ステーションS2と第3圧造工程ステーションS3aとの間には、第2チャックC2が設けられている。
第3圧造工程ステーションS3aでは、第3パンチP31及び第3ダイスD32aによる圧造成形により、第2圧造工程ステーションS2において一端側ガイド凹部B22を形成したブランクB2の他端面(図17では上端面)に他端側ガイド凹部B32を圧造成形する。この場合、第3圧造工程ステーションS3aは、第3パンチP31及び第3ダイスD32aによって、ブランクB2の他端面に他端側ガイド凹部B32を圧造成形し、かつ一端側ガイド凹部B22側より貫通孔Oの内径部B35を圧造成形する内径部圧造工程を行うようにした内径部圧造工程ステーションのことである。
また、第3ダイスD32aには、軸線mと同心上を第3パンチP31側へ向かって延びるポンチD33が固設されている。そして、第3パンチP31及び第3ダイスD32aによる圧造成形により、一端側ガイド凹部B22を他端側ガイド凹部B32に近付けるように一端側ガイド凹部B22側より内径を伸ばした貫通孔Oの内径部B35を形成している。
図18は図15の圧造成形装置X2の第4圧造工程ステーションS4aで用いられる型装置の構成を示す断面図を示している。また、図19は図18の第4圧造工程ステーションS4aでの第4圧造工程を示し、(a)は第4圧造工程前のブランク周辺の断面図、(b)は第4圧造工程後のブランク周辺の断面図をそれぞれ示している。
図18及び図19に示すように、第4圧造工程ステーションS4aは、互いに前後方向(図18では左右方向)に対峙する第4ダイスユニットD4a及び第4パンチユニットP4aを備えている。第4ダイスユニットD4aは、圧造成形装置X1のダイブロックDの取付け穴D41に取り付けられた第4ダイスD42aを備えている。
また、第4パンチユニットP4aは、圧造成形装置X2のラムRに取り付けられ、圧造成形時に第4ダイスD42aの内部に進出する第4パンチP41を備えている。一方、第4ダイスユニットD4aには、第4パンチP41側へ延びる穴抜きポンチD43が固設されている。
第3圧造工程ステーションS3aと第4圧造工程ステーションS4aとの間には、第3圧造工程ステーションS3aにおいてKOスリーブD34により第3ダイスD32から第3パンチP31側に押し出されたブランクB3aを第4圧造工程ステーションS4aに受け渡す第3チャックC3が設けられている。この第3チャックC3は、KOスリーブD34により押し出されたブランクB3aを把持した状態で一端面と他端面との向きが180°変換されるように反転させた状態で、第4圧造工程ステーションS4aに受け渡している。
この第4圧造工程ステーションS4aに受け渡されたブランクB3aは、第4パンチP41の進出時にブランクB3aの芯B36に対し先端を当接させた状態で、穴抜きポンチD43の先端がブランクB3aの芯B36に当接するまで移動する。
第4圧造工程ステーションS4aでは、第4パンチP41及び第4ダイスD42aによる圧造成形により、第3圧造工程ステーションS3において第3パンチP31と第3ダイスD32との圧造成形後に残存するブランクB3aの芯B36に穴抜きポンチD43の先端を当接させた状態で第4パンチP41を第4ダイスD42a側へ進出させることで、芯B36を抜き芯B37としてブランクB4aから除去する。この場合、第4圧造工程ステーションS4aは、第4パンチP41及び第4ダイスD42aにより、第3圧造工程ステーションS3aにおいて貫通孔Oの内径部B35を圧造成形したブランクB3aの一端側ガイド凹部22を他端側ガイド凹部32まで貫通させて貫通孔Oを圧造成形する貫通孔圧造工程を行うようにした貫通孔圧造工程ステーションのことである。
更に、第4ダイスD42aの内周面には、軸線m方向へ延びるギヤ状の突起D35,D35,…が周方向等間隔置きに設けられ、第4パンチP41及び第4ダイスD42aによる圧造成形により、ブランクB3aの外周面に平目ローレットHを形成している。つまり、第4圧造工程ステーションS4a(貫通孔圧造工程ステーション)は、第4パンチP41及び第4ダイスD42aによって、貫通孔Oを圧造成形する貫通孔圧造工程に加え、ブランクB3aの外周面に平目ローレットHを圧造成形する平目ローレット圧造成形工程を備えている。
また、第4ダイスD42aには、穴抜きポンチD43に対し軸線m方向へスライド自在に移動するKOスリーブD44が設けられている。このKOスリーブD44の第4パンチP41側への進出時、第4パンチP41及び第4ダイスD42aにより圧造成形されたブランクB4を第4ダイスD42aの内部より第4パンチP41側に押し出すようにしている。
次に、圧造成形装置X2の第1~第5圧造工程ステーションS1~S5による圧造成形によってコイル材より剪断した円柱状のブランクBから円筒状カラーCを得るまでの手順の一例を図20に基づいて説明する。
図20は図15の圧造成形装置X2の各圧造工程において順次圧造成形されるブランクの変遷状態を示し、ブランク及び円筒状カラーCの一部となる軸線mの左側部分を切欠いている。この図20において、(a)はコイルより切断された円柱状のブランクBの一部切欠き断面図、(b)は第1圧造工程ステーションS1により圧造成形されたブランクB1の一部切欠き断面図、(c)は第2圧造工程ステーションS2により圧造成形されたブランクB2の一部切欠き断面図、(d)は第3圧造工程ステーションS3aにより圧造成形されたブランクB3aの一部切欠き断面図、(e)は第4圧造工程ステーションS4aにより圧造成形されたブランクB4の一部切欠き断面図、(f)は第5圧造工程ステーションS5により圧造成形された円筒状カラーCの一部切欠き断面図をそれぞれ示している。
先ず、図20の(a)に示すように、コイル材から円柱状のブランクBを切断し、このブランクBをチャック(図示せず)により第1圧造工程ステーションS1に受け渡す。その後、図20の(b)に示すように、ブランクBの両端面を第1圧造工程ステーションS1の第1パンチP11及び第1ダイスD12による圧造成形によりそれぞれ矯正してブランクB1を得る。それから、ブランクB1を第1チャックC1により一端面と他端面との向きが180°変換されるように反転させ、第2圧造工程ステーションS2に受け渡す。
この第2圧造工程ステーションS2では、図20の(c)に示すように、第2パンチP21及び第2ダイスD22による圧造成形により、ブランクB1の一端面に一端側ガイド凹部B22を形成するとともに、ブランクB1の他端面を再矯正し、ブランクB2を得る。その後、ブランクB2を第2チャックC2により一端面と他端面との向きが180°変換されるように反転させ、第3圧造工程ステーションS3に受け渡す。
この第3圧造工程ステーションS3aでは、図20の(d)に示すように、第3パンチP31及び第3ダイスD32による圧造成形により、ブランクB2の他端面に他端側ガイド凹部B32を形成し、かつブランクB2の一端側ガイド凹部B22側より貫通孔Oの内径部B35を形成し、ブランクB3aを得る。その後、ブランクB3aを第3チャックC3により反転させ、第4圧造工程ステーションS4aに受け渡す。
この第4圧造工程ステーションS4aでは、図20の(e)に示すように、第4パンチP41及び第4ダイスD42による圧造成形により、ブランクB3aに残存する芯B36を抜き芯B37として除去するとともに、ブランクB3aの外周面に平目ローレットHを形成し、ブランクB4を得る。その後、ブランクB4を第4チャックC4により反転させずにそのまま第5圧造工程ステーションS5に受け渡す。
この第5圧造工程ステーションS5では、図20の(f)に示すように、第5パンチP51及び第5ダイスD52による圧造成形により、ブランクB4の両端部の外径部分を当該ブランクB4の両端面での各ガイド凹部B22,B32の開口縁の面取り部分O1,O2による接触面積の減少によりブランクB4の両端部を第5ダイスD52の内周面との隙間Sに向かってそれぞれ半径方向外方へ滑らせながら拡径させ、両端部に拡径部K,Kを有する円筒状カラーCを得る。
したがって、本実施の形態においても、ブランクの両端面にそれぞれ一端側及び他端側ガイド凹部B22,B32を開口縁が面取り部分O1,O2によって面取りされつつ形成してから貫通孔Oを圧造成形した後、軸線方向両側からの圧造成形によって各ガイド凹部B22,B32の開口縁の面取り部分O1,O2による表面積の減少によりブランクB4の両端部を第5ダイスD52の内周面との隙間Sに向かってそれぞれ半径方向外方へ滑らせながら拡径させることで、両端部に拡径部K,Kを有する円筒状カラーCを得るようにしている。これにより、円筒状カラーCの圧造成形途中にブランクを一側端部の拡径部からダイスの型空間に挿通する必要がなくなって割型が不要となり、円筒状カラーCの成形工程の簡素化及び低廉化を図ることができる。
しかも、第4圧造工程ステーションS4では、貫通孔を圧造成形する際に、ブランクB3aの外周面の軸線方向中央部付近において平目ローレットHを軸線方向へ延びる複数条の突起D35,D35,…により圧造成形している。このため、貫通孔Oを圧造成形する際に平目ローレットHを複数条の突起D35,D35,…により圧造成形することが可能となり、別途機械加工による平目ローレットの加工工程を廃止できる上、平目ローレットHの圧造成形を貫通孔Oの圧造成形時に複合して行えて工程数を削減できる。これにより、円筒状カラーCを得るまでの成形工程全体のコンパクト化を同様に図ることができる。しかも、被装着物に対する円筒状カラーCの軸線m回りの回転を平目ローレットHによって同様に確実に防止することができる。
次に、本発明の第3の実施の形態を図21~図28に基づいて説明する。
この実施の形態では、第3~第5圧造工程ステーションでの圧造成形を変更している。なお、平目ローレット及び拡径部を形成する部位を除くその他の構成は前記第1の実施の形態の場合と同じであり、同一部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
図21は本発明の第3の実施の形態に係る円筒状カラーCを圧造成形する圧造成形装置X3の概略構成図を示している。この図21に示すように、圧造成形装置X3においても、コイル材より所定の長さに剪断された円柱状のブランクBを6つの第1~第6圧造工程ステーションS1,S2,S3a,S4b,S5b,S6での圧造成形により、円筒状カラーCが得られるようにしている。
図22は図21の圧造成形装置X3の第4圧造工程ステーションS4bで用いられる型装置の構成を示す断面図を示している。また、図23は図22の第4圧造工程ステーションS4bでの第4圧造工程を示し、(a)は第4圧造工程前のブランクB3a周辺の断面図、(b)は第4圧造工程後のブランクB4b周辺の断面図をそれぞれ示している。
図22及び図23に示すように、第4圧造工程ステーションS4bは、互いに前後方向(図22では左右方向)に対峙する第4ダイスユニットD4b及び第4パンチユニットP4bを備えている。第4ダイスユニットD4bは、圧造成形装置X3のダイブロックDの取付け穴D41に取り付けられた第4ダイスD42bを備えている。
また、第4パンチユニットP4bは、圧造成形装置X3のラムRに取り付けられ、圧造成形時に第4ダイスD42bの内部に進出する第4パンチP41を備えている。一方、第4ダイスD42bには、第4パンチP41側へ延びる穴抜きポンチD43が固設されている。
第3圧造工程ステーションS3aと第4圧造工程ステーションS4bとの間には、第3圧造工程ステーションS3aにおいてKOスリーブD34により第3ダイスD32から第3パンチP31側に押し出されたブランクB3aを第4圧造工程ステーションS4bに受け渡す第3チャックC3が設けられている。この第3チャックC3は、KOスリーブD34により押し出されたブランクB3aを把持した状態で一端面と他端面との向きが180°変換されるように反転させた状態で、第4圧造工程ステーションS4bに受け渡している。
この第4圧造工程ステーションS4bに受け渡されたブランクB3aは、第4パンチP41の進出時にブランクB3aの芯B36に対し先端を当接させた状態で、穴抜きポンチD43の先端がブランクB3aの芯B36に当接するまで移動する。
第4圧造工程ステーションS4bでは、第4パンチP41及び第4ダイスD42bによる圧造成形により、第3圧造工程ステーションS3aにおいて第3パンチP31と第3ダイスD32との圧造成形後に残存するブランクB3aの芯B36に穴抜きポンチD43の先端を当接させた状態で第4パンチP41を第4ダイスD42b側へ進出させることで、芯B36を抜き芯B37としてブランクB4bから除去する。この場合、第4圧造工程ステーションS4bは、第4パンチP41及び第4ダイスD42bにより、第3圧造工程ステーションS3aにおいて貫通孔Oの内径部B35を圧造成形したブランクB3aの一端側ガイド凹部22を他端側ガイド凹部32まで貫通させて貫通孔Oを圧造成形する貫通孔圧造工程を行うようにした貫通孔圧造工程ステーションのことである。
第4圧造工程ステーションS4bでは、第4パンチP41及び第4ダイスD42bによる圧造成形により、第3圧造工程ステーションS3aにおいて第3パンチP31と第3ダイスD32との圧造成形後に残存するブランクB3aの芯B36に穴抜きポンチD43の先端を当接させた状態で第4パンチP41を第4ダイスD42b側へ進出させることで、芯B36を抜き芯B37としてブランクB4から除去する。この場合、第4圧造工程ステーションS4bは、第4パンチP41及び第4ダイスD42bにより、第3圧造工程ステーションS3aにおいて貫通孔Oの内径部B35を圧造成形したブランクB3aの一端側ガイド凹部22を他端側ガイド凹部32まで貫通させて貫通孔Oを圧造成形する貫通孔圧造工程を行うようにした貫通孔圧造工程ステーションのことである。
図24は図21の圧造成形装置X3の第5圧造工程ステーションS5bで用いられる型装置の構成を示す断面図を示している。また、図25は図24の第5圧造工程ステーションS5bでの第5圧造工程を示し、(a)は第5圧造工程前のブランク周辺の断面図、(b)は第5圧造工程後のブランク周辺の断面図をそれぞれ示している。
図24及び図25に示すように、第5圧造工程ステーションS5bは、互いに前後方向(図24では左右方向)に対峙する第5ダイスユニットD5b及び第5パンチユニットP5bを備えている。第5ダイスユニットD5bは、圧造成形装置X3のダイブロックDの取付け穴D51に取り付けられた第5ダイスD52bを備えている。
第5ダイスD52bの内周面には、軸線m方向へ延びるギヤ状の突起D35,D35,…が周方向等間隔置きに設けられ、第5パンチP51及び第5ダイスD52bによる圧造成形により、ブランクB4bの外周面に平目ローレットHを形成している。この場合、第5圧造工程ステーションS5bは、第5パンチP51及び第5ダイスD52bにより、第4圧造工程ステーションS4bにおいて貫通孔Oを圧造成形したブランクB4bの外周面に平目ローレットHを圧造成形する平目ローレット圧造成形工程を行うようにした平目ローレット圧造成形工程ステーションのことである。つまり、第5圧造工程ステーションS5b(平目ローレット圧造成形工程ステーション)は、第4圧造工程ステーションS4b(貫通孔圧造工程ステーション)と第6圧造工程ステーションS6(拡径圧造工程)との間に位置している。
また、第5ダイスD52bには、穴抜きポンチD53に対し軸線m方向へスライド自在に移動するKOスリーブD54が設けられている。このKOスリーブD54の第5パンチP51側への進出時、第5パンチP51及び第5ダイスD52bにより圧造成形されたブランクB5bを第5ダイスD52bの内部より第5パンチP51側に押し出すようにしている。
図26は図21の圧造成形装置X3の第6圧造工程ステーションS6で用いられる型装置の構成を示す断面図を示している。また、図27は図26の第6圧造工程ステーションS6での第6圧造工程を示し、(a)は第6圧造工程前のブランク周辺の断面図、(b)は圧造工程中のブランク周辺の断面図、(c)は第6圧造工程後の円筒状カラーC周辺の断面図をそれぞれ示している。
図26及び図27に示すように、第6圧造工程ステーションS6は、互いに前後方向(図26では左右方向)に対峙する第6ダイスユニットD6及び第6パンチユニットP6を備えている。第6ダイスユニットD6は、圧造成形装置X3のダイブロックDの取付け穴D61に取り付けられた第6ダイスD62(大径ダイス)を備えている。この第6ダイスD62の内径は、ブランクB5bの外径よりも若干大きめに設定され、第5圧造工程ステーションS5bにおいて圧造成形されたブランクB5bの外径との間に半径方向へ均一な隙間Sを存している。
また、第6パンチユニットP6は、圧造成形装置X3のラムRに取り付けられ、圧造成形時に第6ダイスD62の内部に進出する第6パンチP61を備えている。この第6パンチP61としては、軸線mと同心上を軸線m方向にスライド移動する円筒形状のパンチスリーブが適用されている。この第6パンチP61(パンチスリーブ)は、その内径がブランクB5bの貫通孔Oと同じ径に設定されている一方、外径が第6ダイスD62の内径と一致するようにブランクB5bの外径よりも若干大きめに設定されている。
一方、第6ダイスD62には、軸線mと同心上を延びるマンドレルD63が固設されている。このマンドレルD63は、ブランクB5bの貫通孔Oの内径と同一の外径に設定され、当該貫通孔Oを貫通して第6パンチP61の内周面に先端が挿通されている。また、マンドレルD63の外周面には、軸線mと同心上をスライド移動する円筒形状のKOスリーブD64が設けられている。このKOスリーブD64は、ブランクB5bの貫通孔Oの内径と同一の内径に設定されている一方、外径が第6ダイスD62の内径と一致するようにブランクB5bの外径よりも若干大きめに設定されている。これは、後述する第6パンチP61と第6ダイスD62との圧造成形によるブランクB5bの両端部での外径部分の拡径をそれぞれ許容するためである。
第5圧造工程ステーションS5bと第6圧造工程ステーションS6との間には、第5圧造工程ステーションS5bにおいてKOスリーブD54により第5ダイスD52から第5パンチP51側に押し出されたブランクB5bを第6圧造工程ステーションS6に受け渡す第5チャックC5が設けられている。この第5チャックC5は、KOスリーブD54により押し出されたブランクB5bを把持した状態で一端面と他端面との向きを変換させずにそのままの状態で、第6圧造工程ステーションS6に受け渡している。
この第6圧造工程ステーションS6に受け渡されたブランクB5bは、第6パンチP61の進出時に第6ダイスD62の内部、つまりKOスリーブD64の先端にブランクB5bの他端面(図27の(a)では下面)が当接するまで移動させる。このとき、第6パンチP61の先端とKOスリーブD64の先端とは、ブランクB5bの両端面に対し当接している。
第6圧造工程ステーションS6では、第6パンチP61及び第6ダイスD62による第6圧造成形により、第5圧造工程ステーションS5bにより平目ローレットHを形成したブランクB5bの両端部の外径部分をそれぞれ半径方向外方へ拡径させるようにしている。つまり、第6圧造工程ステーションS6は、ブランクB5bの両端部の外径部分を当該ブランクB5bの両端面での各ガイド凹部B22,B32の開口縁の面取り部分O1,O2による接触面積の減少によりブランクB5bの両端部を第6ダイスD62(型)の内周面との隙間Sに向かってそれぞれ半径方向外方へ滑らせながら拡径させる拡径圧造工程を行うようにした拡径圧造成形ステーションのことである。この第6圧造工程ステーションS6での拡径圧造工程によって、両端部に拡径部K,Kを有する円筒状カラーCを得るようにしている。
次に、圧造成形装置X3の第1~第6圧造工程ステーションS1~S6による圧造成形によってコイル材より剪断した円柱状のブランクBから円筒状カラーCを得るまでの手順の一例を図28に基づいて説明する。
図28は図21の圧造成形装置X3の各圧造工程において順次圧造成形されるブランクの変遷状態を示し、ブランク及び円筒状カラーCの一部となる軸線mの左側部分を切欠いている。この図28において、(a)はコイルより切断された円柱状のブランクBの一部切欠き断面図、(b)は第1圧造工程ステーションS1により圧造成形されたブランクB1の一部切欠き断面図、(c)は第2圧造工程ステーションS2により圧造成形されたブランクB2の一部切欠き断面図、(d)は第3圧造工程ステーションS3aにより圧造成形されたブランクB3aの一部切欠き断面図、(e)は第4圧造工程ステーションS4bにより圧造成形されたブランクB4bの一部切欠き断面図、(f)は第5圧造工程ステーションS5bにより圧造成形されたブランクの一部切欠き断面図、(g)は第6圧造工程ステーションS6により圧造成形された円筒状カラーCの一部切欠き断面図をそれぞれ示している。
先ず、図28の(a)に示すように、コイル材から円柱状のブランクBを切断し、このブランクBをチャック(図示せず)により第1圧造工程ステーションS1に受け渡す。その後、図28の(b)に示すように、ブランクBの両端面を第1圧造工程ステーションS1の第1パンチP11及び第1ダイスD12による圧造成形によりそれぞれ矯正してブランクB1を得る。それから、ブランクB1を第1チャックC1により一端面と他端面との向きが180°変換されるように反転させ、第2圧造工程ステーションS2に受け渡す。
この第2圧造工程ステーションS2では、図28の(c)に示すように、第2パンチP21及び第2ダイスD22による圧造成形により、ブランクB1の一端面に一端側ガイド凹部B22を形成するとともに、ブランクB1の他端面を再矯正し、ブランクB2を得る。その後、ブランクB2を第2チャックC2により一端面と他端面との向きが180°変換されるように反転させ、第3圧造工程ステーションS3aに受け渡す。
この第3圧造工程ステーションS3aでは、図28の(d)に示すように、第3パンチP31及び第3ダイスD32による圧造成形により、ブランクB2の他端面に他端側ガイド凹部B32を形成し、かつブランクB2の一端側ガイド凹部B22側より貫通孔Oの内径部B35を形成し、ブランクB3aを得る。その後、ブランクB3aを第3チャックC3により反転させ、第4圧造工程ステーションS4bに受け渡す。
この第4圧造工程ステーションS4bでは、図28の(e)に示すように、第4パンチP41及び第4ダイスD42による圧造成形により、ブランクB3aに残存する芯B36を抜き芯B37として除去し、ブランクB4bを得る。その後、ブランクB4bを第4チャックC3により反転させずにそのまま第5圧造工程ステーションS5bに受け渡す。
この第5圧造工程ステーションS5bでは、図28の(f)に示すように、第5パンチP51及び第5ダイスD52による圧造成形により、ブランクB4bの外周面に平目ローレットHを形成し、ブランクB5bを得る。その後、ブランクB5bを第5チャックC5により反転させずにそのまま第6圧造工程ステーションS6に受け渡す。
この第6圧造工程ステーションS6では、図28の(g)に示すように、第6パンチP61及び第6ダイスD62による圧造成形により、ブランクB5bの両端部の外径部分を当該ブランクB5bの両端面での各ガイド凹部B22,B32の開口縁の面取り部分O1,O2による接触面積の減少によりブランクB5bの両端部を第6ダイスD62の内周面との隙間Sに向かってそれぞれ半径方向外方へ滑らせながら拡径させ、両端部に拡径部K,Kを有する円筒状カラーCを得る。
したがって、本実施の形態においても、ブランクの両端面にそれぞれ一端側及び他端側ガイド凹部B22,B32を開口縁が面取り部分O1,O2によって面取りされつつ形成してから貫通孔Oを圧造成形した後、平目ローレットHを形成してから、軸線方向両側からの圧造成形によって各ガイド凹部B22,B32の開口縁の面取り部分O1,O2による表面積の減少によりブランクB4bの両端部を第5ダイスD52の内周面との隙間Sに向かってそれぞれ半径方向外方へ滑らせながら拡径させることで、両端部に拡径部K,Kを有する円筒状カラーCを得るようにしている。これにより、円筒状カラーCの圧造成形途中にブランクを一側端部の拡径部からダイスの型空間に挿通する必要がなくなって割型が不要となり、円筒状カラーCの成形工程の簡素化及び低廉化を図ることができる。
しかも、第4圧造工程ステーションS4bで貫通孔Oを圧造成形した後でかつ第6圧造工程ステーションS6でブランクB5bの両端部を拡径させる圧造成形の前の第5圧造工程ステーションS5bにおいて、ブランクB4bの外周面に平目ローレットHを軸線m方向へ延びる複数条の突起D35,D35,…により圧造成形している。このため、貫通孔Oを圧造成形する際に平目ローレットHを複数条の突起D35,D35,…により単独で圧造成形することが可能となり、別途機械加工による平目ローレットHの加工工程を廃止できる。これにより、円筒状カラーCを得るまでの成形工程全体のコンパクト化を図ることができることに加え、平目ローレットHを単独で安定して圧造成形することができる。
なお、本発明は、前記各実施の形態に限定されるものではなく、その他種々の変形例を包含している。たとえば、前記各実施の形態では、第1~第4圧造工程ステーションS1~S4(S4a,S4b)間での第1~第3チャックC1~C3によるブランクの受け渡し時に当該ブランクをその都度一端面と他端面との向きが180°変換されるように反転させた状態で受け渡すようにしたが、第2~第4圧造工程ステーションでの各パンチ及び各ダイスの構成を逆にすることでダイス側へのパンチの進出動作によりブランクが圧造成形されるようにしてもよく、その場合には、ブランクをチャックによって反転させずにそのまま受け渡せばよい。
また、前記各実施の形態では、ブランクB2,B3a,B4bの外周面に平目ローレットHを圧造成形する平目ローレット圧造成形工程を設けたが、平目ローレット圧造成形工程は必須でなくてもよく、芯を抜き芯として除去したブランクの両端部をそれぞれ拡径した拡径部を有する筒状カラーの圧造成形方法及び圧造成形装置であってもよい。
また、前記各実施の形態では、第1圧造工程ステーションS1での圧造成形によって円柱状のブランクBの軸線方向両端面をそれぞれ矯正したが、コイル材から切断された円柱状のブランクの軸線方向両端面が軸線に対し直交する面とそれぞれ平行であれば、第1パンチ及び第1ダイスによる圧造成形によりブランクの軸線方向両端面をそれぞれ矯正する必要がなく、第1圧造工程ステーションによる圧造成形を不要にしてもよい。また、第2圧造工程ステーションでのブランクの他端面の圧造成形による再矯正についても同様である。
更に、前記各実施の形態では、円筒状カラーCを圧造成形する場合について述べたが、楕円筒状カラーを圧造成形する場合にも適用できるのはいうまでもない。