JP7221493B2 - Iii族窒化物結晶の製造方法 - Google Patents
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Description
窒素を含む雰囲気下において、ガリウム、アルミニウムおよびインジウムから選ばれる少なくとも1つのIII族元素とアルカリ金属とを含む融液に前記種結晶の表面を接触させることによって、前記III族元素と前記窒素とを前記融液中で反応させて前記III族窒化物結晶を成長させる結晶成長工程と、
を含み、
前記結晶成長工程は、
前記複数の種結晶から結晶核を形成する核発生工程と、
前記複数の結晶核から複数の角錐形状の第一のIII族窒化物結晶を成長させる角錐成長工程と、
前記複数の角錐形状の第一のIII族窒化物結晶の間隙を埋め込んで表面が平坦になるように第二のIII族窒化物結晶を成長させる横方向成長工程と、
を含む。
窒素を含む雰囲気下において、ガリウム、アルミニウムおよびインジウムから選ばれる少なくとも1つのIII族元素とアルカリ金属とを含む融液に前記種結晶の表面を接触させることによって、前記III族元素と前記窒素とを前記融液中で反応させて前記III族窒化物結晶を成長させる結晶成長工程と、
を含み、
前記結晶成長工程は、
前記複数の種結晶から結晶核を形成する核発生工程と、
前記複数の結晶核から複数の角錐形状の第一のIII族窒化物結晶を成長させる角錐成長工程と、
前記複数の角錐形状の第一のIII族窒化物結晶の間隙を埋め込んで表面が平坦になるように第二のIII族窒化物結晶を成長させる横方向成長工程と、
を含む。
まず、発明者らのGaN結晶の製造に関して、参考例のIII族窒化物結晶の製造方法を詳しく説明する。
(1)図3に複数のドット状のGaN結晶を備えた基板11の一例の概略断面図を示す。結晶作製用基板として、まずサファイアからなる種結晶基板1を準備する。サファイアを用いるのは、GaNとの格子定数及び熱膨張係数の差が比較的小さいためである。サファイアの他には、例えば、SiCやGaAs、ScAlMgO4などを用いることができる。また、種結晶基板1の厚さとしては、100~3000μm程度であることが好ましく、400~1000μmであることがより好ましい。種結晶基板1の厚みが当該範囲であると、強度が十分に高く、GaN結晶の作製時に割れ等が生じ難い。また、種結晶基板1は産業的用途を考慮して、直径50~200mm程度のウェハー状が好ましい。
(4)続いて、基板11のIII族窒化物種結晶2上に、GaN結晶をフラックス法により形成する工程について説明する。
図4に示すように、製造装置100は、ステンレスや断熱材等で形成された反応室103を有し、当該反応室103内には、坩堝102が設置されている。当該坩堝は、ボロンナイトライド(BN)や、アルミナ(Al2O3)等から形成されたものとすることができる。また、反応室103の周囲には、ヒータ110が配置されており、ヒータ110は、反応室103内部、特に坩堝102内部の温度を調整できるように設計されている。また、製造装置100内には、GaN種結晶を備えた基板11を昇降可能に保持するための基板保持機構114が設置されている。また、反応室103には、窒素ガスを供給するための窒素ガス供給ライン113が接続されており、当該窒素ガス供給ライン113は、原料ガスボンベ(図示せず)等と接続されている。
(4-2)次に、反応室103内を密閉し、坩堝の温度を800℃以上1000℃以下に調整し、さらに反応室103内に窒素ガスを送り込む。このとき、反応室103内のガス圧を1×106Pa以上1×107Pa以下とする。反応室103内のガス圧を高めることで、高温で溶融したNa中に窒素が溶解しやすくなり、前記の温度及び圧力とすることによりGaN結晶が高速に成長できる。
(4-3)その後、Na、Ga、および微量添加物が均一に混合するまで、保持もしくは攪拌混合等を行う。保持もしくは攪拌混合は、1~50時間行うことが好ましい。このような時間の保持もしくは攪拌混合を行うと、Na、Ga、および微量添加物が均一に混合できる。また混合時の温度は870℃付近が最も窒素が溶解し、次の角錐成長を行うのに適している。
(4-5)次に、角錐形状を有する第一のGaN結晶3が成長した基板11に対し、図7に示すように、GaN結晶を横方向に成長させ角錐形状の間隙を埋め込んで表面を平坦化し、第二のIII族窒化物結晶であるGaN結晶4を形成する。このような成長モード変化は、融液中のGaNの過飽和度に依存していると考えられ、過飽和度を上げていく事で横方向への成長が促進される。過飽和度を上げるため、GaN結晶への窒素供給を早くする方法が考えられる。窒素供給を早くするには、窒素圧力を高圧にする、融液を攪拌するなどの方法がある。このように過飽和度を上げるため窒素供給を早くした場合、結晶成長の駆動力を高める事になり、融液12と坩堝102との界面や基板保持機構114との接触部などでGaNの多結晶が大量に発生し、基板11上へのGaN単結晶の成長を阻害してしまう事がある。よって、発明者らは、温度を3~15℃上げてGaNを成長させ、多結晶を抑制している。
(4-6)横方向成長工程にて表面が平坦になったGaN結晶の上に、図8に示したように、必要に応じて所望の厚みの第三のIII族窒化物のGaN結晶5を成長させることができる。第三のGaN結晶5を厚くすると、反りやクラックを抑制することができる。例えば、種結晶基板1よりもGaN結晶の厚さ(3、4、5の合計)が薄い場合は、GaN結晶にクラックが入り易いため、第三のGaN結晶5の膜厚を大きくすることでクラックを抑制できる。また、平坦厚膜成長工程の成長温度は、成長速度や成長時間を考慮して、横方向成長工程よりも3~15℃下げて行う。このとき、第三のGaN結晶5の転位密度は、第一のGaN結晶3で転位を低減させた効果により、106/cm2以下となる。
(4-7)最後に、所望の厚みとなったGaN結晶と種結晶基板1とを、図9に示したように、GaN種結晶の近傍において分離しても良い。850~950℃の結晶成長温度から常温まで冷却する過程で発生する、GaN結晶とサファイア基板との熱膨張係数の差を利用し、断面積が最も小さく破断し易いGaN種結晶の近傍で分離することができる。これにより、反りやクラックの抑制された大サイズのGaN結晶が得られる。
以下に、図19のGaN結晶成長時の時間―温度の関係の一例を示す図を用いて、上記参考例のIII族窒化物結晶の製造方法と比較しながら、本開示の実施の形態1に係るIII族窒化物結晶の製造方法を述べていく。尚、種結晶準備工程に関しては、上記参考例のIII族窒化物結晶の製造方法と同じであるため、説明を省略する。
(a)まず、製造装置100の反応室103内の坩堝102に、フラックスとなるNaとIII族元素であるGaを入れる。
(b)次に、反応室103内を密閉し、坩堝の温度を800℃以上1000℃以下に調整し、さらに反応室103内に窒素ガスを送り込む。このとき、反応室103内のガス圧を1×106Pa以上1×107Pa以下とする。
(c)その後、Na、Ga、および微量添加物が均一に混合するまで、保持もしくは攪拌混合等を行う。
(d)次に、反応室103内を、核発生に必要な温度に設定する。核発生には高い過飽和度が必要であり、874℃以下の低い温度で核発生が起こるが、過飽和度が高くなりすぎると、核発生中に多結晶の起点が出来てしまうため、望ましくない。よって温度領域は、850℃以上874℃以下の温度にすることがより望ましい。この温度域に反応室103を設定し、温度が安定するまで、1時間から5時間の間、この状態を維持する。フラックスの温度は反応室103の温度よりも追従が遅く、安定時間が必要になる。
(f)核発生工程完了後、第一の結晶3(角錐形状)を得るための角錐成長工程に移る。角錐成長工程は、先述のように酸素濃度の取り込みを低減し横方向成長との成長温度差を低減するため、877℃以上で行う。核発生温度850℃~874℃から角錐成長温度の877℃以上までは、15分~2時間かけて昇温を行う。昇温は、図11のように基板11を一旦気中に引き上げてもよいし、図12のように浸漬したままで行ってもよい。基板11を一旦気中に引き上げた場合は、1時間から5時間の温度安定時間の後に、図12のようにもう一度浸漬させる。角錐成長時間は、20時間から100時間がよい。時間がこれより短い場合、あるいは、長い場合は、次の第二のGaN結晶成長時に転位の多いGaN結晶が成長してしまう。この様に結晶成長させることで、図6に示す角錐形状を有する第一のGaN結晶3を得ることができる。
(g)次に、角錐形状を有する第一のGaN結晶3が成長した基板11に対し、融液中のGaNの過飽和度を制御する事で、図7に示すように、GaN結晶を横方向に成長させ、第二のGaN結晶4を形成する。過飽和度を制御するには温度、圧力、輸液の攪拌の制御が考えられるが、これらの制御だけでは横方向成長に十分な過飽和度を得る事が出来なかった。また多結晶の抑制も難しかった。そこで、図4と図5の状態を交互に繰り返すことにより、融液12への浸漬と融液12からの引き上げとを複数回繰り返し、図5に示したように、角錐形状の間隙を埋め込んで表面が平坦になるように、第二のGaN結晶4を成長させる手法で横方向成長を行う。融液中の窒素濃度は、融液表面から窒素が溶け込むことから、融液表面に近いほど高く、高い過飽和度を実現するには、融液表面でGaN結晶を成長させることが有効である。しかしながら、基板11を融液表面で高精度かつ長時間保持することは、高温高圧の容器の中で、かつ結晶成長と原料消費が同時に起こる状況では、非常に難しい。
そこで、発明者らは、基板11を融液12に浸漬して、引き上げることで、基板11の表面に融液の薄い被膜が形成されると考え、実験を行ったところ、表面が平坦になる成長モードを実現することに成功した。一方で、被膜状の融液からGaN結晶を成長させることになるため、融液中のGaが結晶成長に従って枯渇し、成長が停止することも判明した。そこで、角錐形状の間隙を埋め込むために必要な成長厚さを実現するため、浸漬・引き上げを複数回繰り返すという、第二のGaN結晶成長工程を考案した。
(h)第二のGaN結晶成長工程にて表面が平坦になったGaN結晶の上に、図8に示したように、必要に応じて所望の厚みの第三のGaN結晶5を成長させることができる。
参考例と同様、基板11を融液12へ浸漬させて成長させる。この際の温度は、角錐成長時あるいは横方向成長時に発生した多結晶の起点の影響を排除するため、875~885℃に設定する事が望ましい。この温度域であれば過飽和度は小さくなるため、多結晶の起点があっても、そこから多結晶が増殖しにくくなる。また横方向成長でできた、第二の結晶4は、877℃以上で作製されており、第二の結晶4と第三の結晶5との温度差を小さくし、格子不整合を防ぐ意味でも、875~885℃の温度域が良い。より好ましくは、結晶成長温度を、横方向成長温度と同一にする事である。酸素濃度差を無くし、格子不整合を無くして、結晶性を更に上げる事が見込まれる。多結晶の起点や格子不整合の影響が無視できるほど少ない場合、成長速度を優先させるため過飽和度を上げ、温度を870~874℃に設定して成長させてもよい。GaN結晶を厚く作製する事によるクラック抑制の効果は、従来方法同様である。厚膜成長させ第三のGaN結晶5を生成した後、基板11を融液12から引き上げ、温度と圧力を常温・常圧に戻す。
(i)最後に、所望の厚みとなったGaN結晶と種結晶基板1とを分離する。GaN結晶とサファイア基板との熱膨張係数の差を利用し、断面積が最も小さく破断し易いGaN種結晶の近傍で分離することができる。
なお、上記の実施形態において、NaやGaと共に微量添加物を添加すると、得られるGaNの電気伝導性やバンドギャップを調整することが可能となる。微量添加物の例には、ボロン(B)、タリウム(Tl)、カルシウム(Ca)、カルシウム(Ca)を含む化合物、珪素(Si)、硫黄(S)、セレン(Se)、テルル(Te)、炭素(C)、酸素(O)、アルミニウム(Al)、インジウム(In)、アルミナ(Al2O3)、窒化インジウム(InN)、窒化珪素(Si3N4)、酸化珪素(SiO2)、酸化インジウム(In2O3)、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化マグネシウム(MgO)、およびゲルマニウム(Ge)等が含まれる。これらの微量添加物は、1種類のみ添加してもよく、2種以上を添加してもよい。
2 III族窒化物種結晶
3 第一のIII族窒化物結晶(角錐形状)
4 第二のIII族窒化物結晶(複数のIII族窒化物結晶層)
5 第三のIII族窒化物結晶(平坦厚膜成長部)
6 III族窒化物結晶の結晶核
11 III族窒化物種結晶を備えた基板
12 III族元素とアルカリ金属とを含む融液
21 III族窒化物結晶
100 製造装置
102 坩堝
103 反応室
110 ヒータ
113 窒素ガス供給ライン
114 基板保持機構
Claims (8)
- 基板上に複数のドット状のIII族窒化物を、III族窒化物結晶の成長のための複数の種結晶として準備する種結晶準備工程と、
窒素を含む雰囲気下において、ガリウム、アルミニウムおよびインジウムから選ばれる少なくとも1つのIII族元素とアルカリ金属とを含む融液に前記種結晶の表面を接触させることによって、前記III族元素と前記窒素とを前記融液中で反応させて前記III族窒化物結晶を成長させる結晶成長工程と、
を含み、
前記結晶成長工程は、
前記複数の種結晶から結晶核を形成する核発生工程と、
前記複数の結晶核から複数の角錐形状の第一のIII族窒化物結晶を成長させる角錐成長工程と、
前記複数の角錐形状の第一のIII族窒化物結晶の間隙を埋め込んで表面が平坦になるように第二のIII族窒化物結晶を成長させる横方向成長工程と、
前記横方向成長工程の後に、表面が平坦な第三のIII族窒化物結晶を成長させる平坦厚膜成長工程と、
を含み、
前記平坦厚膜成長工程は結晶成長温度を前記横方向成長工程より低い874℃以下で行うと共に、
前記角錘成長工程は、前記核発生工程よりも高い温度であって、前記横方向成長工程の結晶成長温度と同一の温度で行う、III族窒化物結晶の製造方法。 - 前記核発生工程は、874℃以下で行う、請求項1に記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
- 前記核発生工程は、前記複数の種結晶を前記融液に5分以上10時間以内浸漬させる、請求項1に記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
- 前記角錐成長工程は、結晶成長温度を877℃以上で行う、請求項1に記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
- 前記横方向成長工程は、前記基板の前記融液への浸漬と前記融液からの引き上げとを繰り返すことで、前記角錐形状の第一のIII族窒化物結晶の傾斜面上に、III族窒化物結晶層を複数形成する、請求項1に記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
- 前記横方向成長工程は、結晶成長温度を877℃以上で行う、請求項1に記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
- 前記結晶成長工程の後に、前記III族窒化物結晶と前記基板とを分離する工程を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
- 基板上に複数のドット状のIII族窒化物を、III族窒化物結晶の成長のための複数の種結晶として準備する種結晶準備工程と、
窒素を含む雰囲気下において、ガリウム、アルミニウムおよびインジウムから選ばれる少なくとも1つのIII族元素とアルカリ金属とを含む融液に前記種結晶の表面を接触させることによって、前記III族元素と前記窒素とを前記融液中で反応させて前記III族窒化物結晶を成長させる結晶成長工程と、
を含み、
前記結晶成長工程は、
前記複数の種結晶から結晶核を形成する核発生工程と、
前記複数の結晶核から複数の角錐形状の第一のIII族窒化物結晶を成長させる角錐成長工程と、
前記複数の角錐形状の第一のIII族窒化物結晶の間隙を埋め込んで表面が平坦になるように第二のIII族窒化物結晶を成長させる横方向成長工程と、
前記横方向成長工程の後に、表面が平坦な第三のIII族窒化物結晶を成長させる平坦厚膜成長工程と、
を含み、
前記核発生工程は、874℃以下で行い、
前記角錐成長工程は、結晶成長温度を877℃以上で行い、
前記横方向成長工程は、結晶成長温度を877℃以上で行い、
前記平坦厚膜成長工程は、結晶成長温度を874℃以下で行う、III族窒化物結晶の製造方法。
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