JP2020186158A - Iii族窒化物結晶の製造方法 - Google Patents

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Yusuke Mori
勇介 森
正幸 今西
Masayuki Imanishi
正幸 今西
吉村 政志
Masashi Yoshimura
政志 吉村
航介 村上
Kosuke Murakami
航介 村上
芳央 岡山
Yoshihisa Okayama
芳央 岡山
真介 小松
Shinsuke Komatsu
真介 小松
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Abstract

【課題】高品質なIII族窒化物結晶を製造するIII族窒化物結晶の製造方法を提供する。【解決手段】III族窒化物結晶の製造方法は、酸化物気相成長法でIII族窒化物種結晶を成長させる種結晶製造工程と、III族窒化物種結晶の表面に孔を形成する孔形成工程と、窒素を含む雰囲気下にて、ガリウム、アルミニウムおよびインジウムから選ばれる少なくとも1つのIII族元素とアルカリ金属とを含む融液に、孔を形成したIII族窒化物種結晶の表面を接触させることによって、III族元素と窒素とを前記融液中で反応させてIII族窒化物結晶を液相成長させる結晶成長工程と、を含むことを特徴とする。【選択図】図11

Description

本開示は、III族窒化物結晶の製造方法に関する。
近年、表示用デバイスである青色LED素子、あるいは、車載用途を始めとしたパワーデバイスの材料であるIII族窒化物が注目されている。特にパワーデバイスとしての応用が期待されており、現在市販されているSiに比べて高耐圧、耐高温特性などの優れた性能を持っている。このようなIII族窒化物の結晶の製造方法の一つとして、Na等のアルカリ金属融液(フラックス)中でIII族元素と窒素とを反応させ、結晶欠陥(転位)の少ない高品質な結晶を成長させるフラックス法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
また、4インチ以上の大きなサイズのIII族窒化物結晶を得るために、格子定数やサファイアのような種サファイア基板上に有機金属気相成長法(MOCVD:Metal-Organic Chemical Vapor Deposition)等で形成したIII族窒化物層の複数の部分を種結晶として選択し、前記種結晶をアルカリ金属融液に接触させてIII族窒化物結晶を成長させる方法が開示されている(例えば、特許文献2及び3参照。)。
特許第4538596号公報 特許第4588340号公報 特許第5904421号公報 特開2009−234800号公報 特許第3864870号公報
しかしながら、特許文献3に開示されている、複数の種結晶から1枚のIII族窒化物ウェハを作製する場合、従来の製造方法では、品質の向上に限界があった。図1に従来の製造方法で作製したIII族窒化物結晶の中央2点について測定したX−Ray Rocking Curve(XRC)による(10−12)面のデータをa1、a2として示し、図2に結晶表面を撮像したフォトルミネッセンス(PL)の250μm□視野像を示す。従来の結晶は、図1のXRCから35〜48arcsecの結晶性、図2のPLから転位密度が9.6×10cm−2であることが分かる。
本開示は、結晶性の良い高品質なIII族窒化物結晶を製造するIII族窒化物結晶の製造方法の提供を目的とする。
上記目的を達成するために、本開示に係るIII族窒化物結晶の製造方法は、酸化物気相成長法でIII族窒化物種結晶を成長させる種結晶製造工程と、
前記III族窒化物種結晶の表面に孔を形成する孔形成工程と、
窒素を含む雰囲気下にて、ガリウム、アルミニウムおよびインジウムから選ばれる少なくとも1つのIII族元素とアルカリ金属とを含む融液に、前記孔を形成した前記III族窒化物種結晶の表面を接触させることによって、前記III族元素と前記窒素とを前記融液中で反応させてIII族窒化物結晶を液相成長させる結晶成長工程と、
を含む。
本開示に係るIII族窒化物結晶の製造方法によれば、結晶欠陥や不純物が少ない高品質なIII族窒化物結晶を得ることができる。
従来の製造方法で作製したIII族窒化物結晶のXRCである。 従来の製造方法で作製したIII族窒化物結晶の表面転位像(250μm□視野)である。 複数のドット状のIII族窒化物結晶を結合させ1枚のIII族窒化物基板を製造する方法の概略断面図である。 従来の製造方法で作製したIII族窒化物結晶の結晶表面の表面転位像(250μm□視野)を示すフォトルミネッセンス(PL)像である。 OVPE法で作製したIII族窒化物結晶の結晶表面の表面転位像(100μm□視野)を示す表面SEM像である。 OVPE法で作製したIII族窒化物結晶の断面SEM像である。 OVPE法で作製したIII族窒化物結晶のピット孔部の断面SEM像である。 OVPE法で作製したIII族窒化物結晶の表面フォトルミネッセンス(PL)像である。 OVPE法で作製したIII族窒化物結晶上にMOCVD法によって作製したGaN結晶の表面フォトルミネッセンス(PL)像である。 OVPE法で作製したIII族窒化物結晶を備えた基板の断面模式図である。 図10のIII族窒化物結晶に対して表面エッチングを行った後の基板の断面模式図である。 図11の基板に対してNaフラックス法によるIII族窒化物結晶を積層した後の断面模式図である。 OVPE法を用いたIII族窒化物結晶製造に用いる装置の断面構成の一例の概略断面図である。 実施の形態1に係るIII族窒化物結晶の製造方法の工程フローである。 Naフラックス法によるIII族窒化物結晶の製造装置の構成例である。 種結晶のアルカリ金属融液による表面エッチング断面SEM像である。 厚膜成長工程にて150μm積んだ後のIII族窒化物単結晶の表面顕微鏡像である。 図17の破線部を三次元形状測定機で深さ測定した結果を示すグラフである。 図17のIII族窒化物結晶を100μm研削研磨した後の表面顕微鏡像である。 図19の破線部を三次元形状測定機で深さ測定した結果を示すグラフである。 温度と横方向成長の関係を検証するためのテスト基板のSEM像である。 図21のテスト基板の上にNaフラックス法でIII族窒化物結晶を作製した後のSEM像である。 裏面の種結晶を加工後のIII族窒化物結晶の断面模式図である。 実施の形態2に係るIII族窒化物結晶の製造方法の工程フローである。 Naフラックス法によるIII族窒化物結晶製造装置の構成例の概略断面図である。 Naフラックス法によるIII族窒化物結晶製造装置の構成例である。 表面エッチング前の種結晶の表面PL像である。 表面エッチング後の種結晶の表面PL像である。 実施の形態3に係るIII族窒化物結晶の製造方法の工程フローである。 OVPE法で作製したIII族窒化物結晶のKOH処理後の表面顕微鏡像である。 図30の種結晶の上にNaフラックス法でIII族窒化物結晶を作製した後の表面顕微鏡像である。 本開示のIII族窒化物結晶の製造方法で作成したIII族窒化物結晶のXRCである。 本開示のIII族窒化物結晶の製造方法で作製したIII族窒化物結晶の表面転位像(250μm□視野)である。
第1の態様に係るIII族窒化物結晶の製造方法は、酸化物気相成長法でIII族窒化物種結晶を成長させる種結晶製造工程と、
前記III族窒化物種結晶の表面に孔を形成する孔形成工程と、
窒素を含む雰囲気下にて、ガリウム、アルミニウムおよびインジウムから選ばれる少なくとも1つのIII族元素とアルカリ金属とを含む融液に、前記孔を形成した前記III族窒化物種結晶の表面を接触させることによって、前記III族元素と前記窒素とを前記融液中で反応させてIII族窒化物結晶を液相成長させる結晶成長工程と、
を含む。
第2の態様に係るIII族窒化物結晶の製造方法は、上記第1の態様において、前記孔形成工程は、前記III族窒化物種結晶を、アルカリ処理することで実施してもよい。
第3の態様に係るIII族窒化物結晶の製造方法は、上記第1の態様において、前記酸化物気相成長法は、転位を一部に集約するように前記III族窒化物種結晶を成長させ、前記孔は、集約した前記転位の位置に形成してもよい。
第4の態様に係るIII族窒化物結晶の製造方法は、上記第1の態様において、前記液相成長で製造した前記III族窒化物種結晶の厚さが150μm以上であってもよい。
第5の態様に係るIII族窒化物結晶の製造方法は、上記第1の態様において、前記結晶成長工程において、前記液相成長は850℃以上かつ880℃以下で実施してもよい。
第6の態様に係るIII族窒化物結晶の製造方法は、上記第1の態様において、前記孔形成工程は、ガリウム、アルミニウムおよびインジウムから選ばれる少なくとも1つのIII族元素とアルカリ金属とを含む融液内に、前記III族窒化物種結晶を1分以上120分以下、100℃以上800℃以下の状態で浸漬させることで行ってもよい。
第7の態様に係るIII族窒化物結晶の製造方法は、上記第1の態様において、前記孔形成工程は、ガリウム、アルミニウムおよびインジウムから選ばれる少なくとも1つのIII族元素とアルカリ金属とを含む融液外にて、前記III族窒化物種結晶をアルカリ金属の蒸気で1時間以上50時間以下エッチングすることで行ってもよい。
第8の態様に係るIII族窒化物結晶の製造方法は、上記第1の態様において、前記孔形成工程は、NaOHとKOHとを1:1で混合した融液を450℃で加熱し、前記III族窒化物種結晶をその融液内に10分間浸漬させることで行ってもよい。
<本発明に至る経緯について>
まず、発明者らのGaN結晶の製造に関して、参考例のIII族窒化物結晶の製造方法と課題を詳しく説明する。
図3に複数のドット状のGaN結晶を結合させ、1枚のGaN基板を製造するIII族窒化物結晶の製造方法の概略断面図を示す。以下に、参考例のIII族窒化物結晶の製造方法の各工程について説明する。
(i)まず、サファイアからなる種結晶基板1上に、複数のドット状のIII族窒化物種結晶2であるGaN種結晶を形成する。これらのGaN種結晶は、MOCVD法を用いて、マスクを用いた選択成長、あるいは、フォトリソグラフィーとエッチングを用いた公知の方法により形成する。
(ii)次に、それらドット状のGaN種結晶を垂直方向に成長させ第一のIII族窒化物結晶3を形成した後、横方向成長に成長させて第二のIII族窒化物結晶4を形成し、結合させ、一体の基板にする。
(iii)その後、厚膜成長させて第三のIII族窒化物結晶5を作製し、バルク単結晶が出来上がる。
これら一連の成長は、先に述べたNaフラックス法を用いて作製することが多く、転位の少ない高品質なGaN単結晶の製造が期待できる。
上記のようなドット状のGaN結晶を結合させ、1枚のGaN基板を作製する場合、各ドット状の結合部で新たに転位が発生してしまう。図4に、結晶表面の表面転位像(250μm□視野)を示すフォトルミネッセンス(PL)像を示す。図4に示すように、右上に、大きなダークスポットが見られる。これは、図2におけるドット状のGaN単結晶を、1枚の基板に結合させる際に発生する。ドット状のGaN単結晶同士が結合する位置において、結合境界面にてボイドが発生し、そこから新たな転位が発生する。ドット状のGaN単結晶が結合する際に必ずしもこのようなボイドが発生する訳ではないが、これらのドット状のGaN単結晶は、2インチウェハを作製する際には約1万個必要であり、大口径基板を作製する際には、全ての結合部でのボイドを無くすことが困難であった。よって基板面積の内、数%は結合部のボイド起因の転位が存在する。以上の理由により、従来の製造方法ではウェハ面積内の数%の領域では品質が悪くなり、2インチ以上のウェハにて転位密度を全面1.0×10 cm−2以下にすることは出来なかった。
一方、III族窒化物結晶を高品質に製造する方法として、III族元素酸化物ガスとアンモニア(NH)ガスとを反応させ、窒化物結晶を生成する、酸化物気相成長法(OVPE法)が提案されている(例えば、特許文献4参照。)。従来のハイドライド気相成長法(HVPE法)ではハロゲン化物ガスを用いるため、結晶生成時の副生成物(例えば、NHCl)が結晶生成装置の排気系を詰まらせることにより、結晶の生成を停止させるという問題があった。OVPE法では、ハロゲン化物ガスを用いることがなく、ハロゲン化物からなる副生成物が発生しないため、排気系を詰まらせるなどの悪影響が発生しない。
このようなOVPE法を用いて作製されたGaN結晶は、従来の方法で作製されたGaN結晶よりも、転位密度が低いことが、発明者らの取組みにより分かってきた。OVPE法で作製したGaN結晶をアルカリエッチングし、転位部に窪み(ピット孔)を形成した結晶表面の表面転位像を示す表面SEM像(100μm□視野)を図5に示す。GaN結晶表面に伝播する転位の近傍は、アルカリ融液により選択的にエッチングされることが知られており、そのピット孔をSEM像にてカウントすることで転位密度が分かる。図5より、転位密度は7.0×10cm−2であることが分かる。
この値は図3に示した、Naフラックス法を用いた複数のドット状のGaN結晶を結合させたGaN結晶よりも、転位密度が低い。また、OVPE法で作製されたGaN結晶の転位密度は面内で均一のため、図4に示したような転位の面内ムラは存在せず、ウエハ面内で転位は均一である。よって、OVPE法で作製されたGaN結晶は、従来法と比較し、転位密度に関しては非常に高品質であることが分かってきた。
OVPE法で作製したGaN結晶の転位密度が低い理由について述べる。図6にOVPE法で作製されたGaN結晶の断面SEM像を示す。OVPE法は、C面を保持した成長よりも、C面から傾斜した凹凸面(ファセット面と呼ぶ)で成長しやすく、図6からもその傾向が見られる。つまり、結晶表面にファセット面で囲まれた窪みを複数形成し、窪みの底部に転位を収束させることにより、低転位化が実現できていると考えられる(例えば、特許文献5参照。)。図5の基板表面SEM像からも、ファセット成長面から転位が収束している様子が分かる。またこれらのファセット成長は、結晶内で均一に発生するため、転位密度の分布も均一になる。HVPE法においても同様のファセット面の形成の事例はあるが、転位密度は5.0×10cm−2以上であり、OVPE法では従来法の10分の1以下の低転位化が可能である。
次に、OVPE法で作製されたGaN結晶の課題に関して述べる。OVPE法では、結晶表面にピット孔が出やすいという課題がある。図7にOVPE法で作製したGaN結晶のピット孔部の断面SEM像の一例を示す。HVPE法で作製した厚み440μmのGaN基板の上に、OVPE法で厚み400〜500μm程度のGaN基板を作製した。この場合、図7のように、基板表面に直径300〜400μm程度の直径のピット孔が出来ることがある。発生するピット孔は、OVPE基板面内に、直径10μm〜数100μmのものが存在し、また、このピット孔の面内密度は数10個cm−2である。前記に述べたファセット成長による転位収束部は数μmの表面凹凸レベルであるが、図7のようなピット孔は10μm以上の大きな直径であり、成長初期から存在する、環境内あるいは反応生成物による異物が反応面に付着して発生していると考えられる。これらのピット孔を無くすため、OVPE法で作製したGaN基板表面を切削加工する必要があるが、この場合、基板厚みを増やす必要がある。また、図7のように、成長初期で発生したピット孔に関しては、切削加工でも除去は不可能である。ピット孔を無くすために、装置環境の改善、反応系の改善に取り組んできたが、上記の数値以下の密度には低減出来ていない。以上の通り、OVPE法では成長中に発生するピット孔が課題の1つであった。
OVPE法で作製されたGaN結晶のもう一つの課題として、収束された転位が、デバイス作製時に、再度散ってしまうことが挙げられる。図8にOVPE法で作製したGaN結晶の表面フォトルミネッセンス(PL)像を示す。図8の丸枠内に、収束した転位が存在する。このGaN基板上に、MOCVD法で8μmの厚みのGaN薄膜を作製し、その薄膜表面の転位の評価を行った。図9にOVPE法で作製したIII族窒化物結晶上にMOCVD法によって作製したGaN結晶の表面フォトルミネッセンス(PL)像を示す。図9に示すように、いったん収束した転位が、MOCVD法で作製したGaN結晶中で散り始めていることが分かる。この場合、元の転位密度よりも大きな値となり、結晶品質が悪化してしまう。LEDデバイスやパワーデバイスを作製するには、GaN基板上にMOCVD法でGaN薄膜を作製する必要があるため、このように転位が散ってしまうことは、デバイスへの悪影響を及ぼす。以上により、収束した転位が再度散ってしまうことが課題の1つであった。
以上のように、OVPE法によるGaN結晶は、従来のGaN結晶よりも高品質であるものの、2つの課題がある。このような課題を解決するため、本発明者らは、OVPE法で作製したGaN結晶表面にピット孔を能動的に形成し、その表面上にNaフラックス法でGaN結晶を作製することを試みた。以下にその理由を示す。
Naフラックス法を用いると、図3に示したように、ドット状のGaN結晶を結合させ、1枚のGaN結晶を作製することが出来る。これらの結合の実現には、Naフラックス法は横方向成長が速いという特徴を用いている。図3のドットのピッチは、通常200〜800μmであり、Naフラックス法を用いると、これらの距離間を横方向成長させて埋めることが出来る。HVPE法でも同様のドット状のGaN結晶の結合が可能だが、その際のドットのピッチは数μm〜数10μm程度であり、それ以上の距離になると、埋めることが困難である。よって、OVPE法で作製したGaN結晶の上にNaフラックス法でGaN結晶を作製することで、前記のピット孔を埋めることが出来ると考えた。
一方、OVPE法で作製したGaN結晶の転位収束部が散ることを止めるために、表面をエッチングして孔を形成することを試みた。図10にOVPE法で作製したGaN結晶を備えた基板の断面模式図を示す。図11は、図10のIII族窒化物結晶に対して表面エッチングを行い、転位の箇所にピット孔を新たに形成した後の基板の断面模式図を示す。図11に示した様に、転位部はアルカリ等でエッチングすることで、表面に数μmのピット孔を形成することが出来る。図12は、図11の基板に対してNaフラックス法によるIII族窒化物結晶を積層した後の断面模式図であり、上記の状態でGaN基板101の上にNaフラックス法でGaN結晶をさせた状態を示す。前記のように、Naフラックス法は横方向成長が速いため、ピット孔103、104はそれ以上広がっていかず、埋まっていく。
この場合、転位収束部102の上には既にエッチングによるピット孔104が形成されているため、Naフラックス法で作製したGaN結晶105へ転位の伝播も起こらず、その表面は、低転位となる。
以上のように、本発明者は、OVPE法で作製したGaN結晶の転位収束部から転位が散ることを、孔形成により抑制し、表面に存在するピット孔を、Naフラックス法で埋めていくことで、より高品質なGaN基板を作製することが出来ると考えた。このような仮説構築と実験とを繰り返した後、具体的にGaN結晶の製造の実証を行った。その結果、本発明者は、本発明に係るIII族窒化物結晶の製造方法に至った。
以下、本開示の実施の形態1のIII族窒化物結晶の製造方法について、III族窒化物結晶としてGaN結晶を作製する実施の形態を例に説明する。図14に、その工程フローを示す。以下に示す種結晶とは、OVPE法で作製されたGaN結晶のことであり、その上に成長したGaN結晶とは、Naフラックス法で作製されたGaN結晶のことである。
(実施の形態1)
(種結晶製造工程)
図13にOVPE法を用いたGaN基板製造に用いるIII族窒化物結晶の製造装置の断面構成の一例の概略断面図を示す。同図において、わかりやすくするために各部の大きさや、比率は実際とは異なる場合がある。図13に示す通り、本例のIII族窒化物結晶の製造装置は、第1容器111内部にN元素含有ガス及びC元素含有ガスを導入するガス導入管を備えている。また、第1容器111は、第1加熱部121により加熱される。第2容器112にはIII族元素材料117が設置されており、第2加熱部122により加熱される。第2容器112にはIII族元素含有ガスを生成するためのガス導入管を備えている。第1容器111及び第2容器112は、それぞれ第1輸送管114及び第2輸送管115により第3容器113に接続されている。第3容器113の内部に基板支持部118が配置されており、基板支持部118に基板119が設置されており、第3加熱部123により加熱される。また、第3容器113には排気管116が接続されている。前記第1容器111、第2容器112及び第3容器113の材質としては、例えば石英、アルミナ、ボロンナイトライド、シリコンカーバイドなどが挙げられる。
<基板>
基板119の材質としては製造する窒化物結晶に応じて適宜選択することが可能であり、製造する窒化物結晶と同じ元素組成比を有する単結晶基板であることが望ましいが、コストの面からこの限りではない。基板119の材質としては例えば、サファイア、ScAlMgO、III族窒化物、LiAlO、ZnOなどが挙げられる。
なお、III族元素材料117としては、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga),インジウム(In)、タリウム(Tl)のいずれかから選択される元素を含有する材料である。また、ハンドリングの観点から個体もしくは液体が使用されることが最適であり、例えば個体ではGa、液体では金属Gaが挙げられる。
III族元素含有ガスを生成するために第2容器112に導入するガスとして、例えば、Hガス、HOガス、HClガスなどがあげられる。また、上記第2容器112への導入するガスは、反応性の制御の観点からキャリアガスと混合して導入することが好ましい。
キャリアガスとしては特に限定されないが、窒素ガス、水素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガスなどが上げられ、また、これらを混合したガスを用いても良い。
図13の構成のIII族窒化物結晶の製造装置を用いてOVPE法によってGaN種結晶を製造した。
本実施例では、III族元素材料117としてGaを用いてIII族元素含有ガスとしてGaOガスを生成するために第2容器112にHを導入し、また、第1容器111にN元素含有ガスとしてNHを、C元素含有ガスとしてCHを導入してHCNガスを生成し、前記GaOガスとHCNガスとを第3容器103に導入して種結晶として窒化ガリウム結晶を製造した。
以下に、第1容器111、第2容器112、及び、第3容器113における各条件について説明する。
(1)第1容器111にCH及びNHを導入してN元素含有ガスとC元素含有ガスの混合部として使用し、第1加熱部121により加熱させ、NHとCHを反応させてHCNガスを生成した。
(2)第2容器112にIII族元素材料117としてGaを設置した石英製のボートを設置して、Hガスを導入し、第2加熱部122により加熱させた。導入したHがGa上方を流れ、Ga表面で反応してGaOガスを生成させた。
(3)第3容器113にはアルミナ製の基板支持部118上に窒化ガリウム基板を基板119として設置し、第3容器113を第3加熱部123により加熱させた。第1容器111で生成したHCNガスを第1輸送管114により、第2容器112で生成したGaOガスを第2輸送管115により第3容器113に導入させ、GaN結晶を成長させた。前述の各反応で副生成するガス及び未反応のガスは排気管116を通して製造装置の外部へと排気させた。
本実施例における種結晶であるGaN結晶の製造は、以下のように行った。
(4)まず、前記NH、CHの混合部、前記Ga及び前記基板を加熱した。
(5)次に、この状態でNHとCHの混合部である第1容器にCH を100sccm、NHを200sccm導入し、さらにキャリアガスとしてHを900sccm導入した。
(6)また、第2容器のガス導入管からHとNの混合ガスを導入した。前記第2容器への導入ガスの流量は300sccmとし、混合比H:N(体積比)は、20:80とした。第3容器へと導入されたGaOガスと、HCNガスが反応して、前記基板上にGaN結晶が生成された。前記HCNガスの生成はCHとNHの混合部の温度を1100℃として、圧力を1.0×10Paとし、前記GaOガスの生成はGaの温度を1100℃として、圧力を1.0×10Paとして実施した。
(7)前記GaN結晶の生成は、前記GaOガスの供給量を1.2g/hとし、前記基板の温度を1200℃とし、圧力を1.0×10Paとして、5時間実施した。
これにより作製したGaN結晶の厚みは400μm程度である。このようにして、OVPE法によるGaN結晶を生成した。
次に、Naフラックス法の製造装置の準備工程を経て、上記で作製した種基板に孔を形成し、その上にGaNを厚膜成長する。図14の工程フローに示すように、孔形成工程と厚膜成長工程とは、Naフラックス法によるGaN結晶製造装置内にて行われる。また、孔形成工程と厚膜成長工程とは、装置内の、III族元素とアルカリ金属とを含む融液内で行う。以下に、その具体方法を述べる。
(準備工程)
図15は、Naフラックス法によるIII族窒化物結晶の製造装置140の構成例である。図15に示すように、III族窒化物結晶の製造装置140は、ステンレスや断熱材等で形成された反応室141を有し、当該反応室141内には、坩堝143が設置されている。当該坩堝143は、ボロンナイトライド(BN)や、アルミナ(Al)等から形成されている。また、反応室141の周囲には、ヒータ142が配置されており、ヒータ142は、反応室141内部、特に坩堝143内部の温度を調整できるように設計されている。また、反応室141には、窒素ガスを供給するための窒素ガス供給ライン144が接続されており、当該窒素ガス供給ライン144は、原料ガスボンベ(図示せず)等と接続されている。
(a)GaN結晶成長の際、まず、製造装置140の反応室141内の坩堝143内に、GaN種結晶を備えた基板132と、フラックスとなるNaと、III族元素であるGaと、を入れる。NaとGaの投入量は、例えばモル量比で85:15〜50:50程度である。このとき、必要に応じて、微量添加物を添加してもよい。
(b)次に、反応室141内を密閉し、坩堝の温度を800℃以上1000℃以下に調整し、さらに反応室141内に窒素ガスを送り込む。このとき、反応室141内のガス圧を1×10Pa以上1×10Pa以下とする。反応室141内のガス圧を高めることで、高温で溶融したNa中に窒素が溶解しやすくなり、前記の温度及び圧力とすることによりGaN結晶が高速に成長できる。
(c)昇温を開始し温度が100℃以上に上がると、坩堝143内のNa、Ga、および微量添加物の混合が開始する。この際、攪拌混合を行い、Na、Ga、および微量添加物が均一に混合することを促進しても良い。攪拌混合は、1〜3時間行うことが好ましい。
(孔形成工程)
これらの混合が行われるにつれ、種結晶132の表面がアルカリ金属融液Naによってエッチングされる。この様子を図16に示す。図16の断面SEM像は、IMAGING CLDF―100(堀場製作所製)を用いて取得した。種結晶の表面がアルカリエッチングが起こり、凹凸が発生していることが分かる。これらの現象が起こることで、図11に示したエッチングで形成したピット孔部104が形成され、転位収束部102の伝播を抑制することが出来る。これらのエッチングは、100℃到達後1分から120分で起こる。次の厚膜成長工程は、その反応開始温度が800℃以上であるため、主に100℃から800℃までに孔が形成されていると考えられる。よって、800℃になる昇温時間を調整することで、エッチングによる孔の形成を制御することが出来る。
(厚膜成長工程)
種結晶132表面に孔を形成した後、800℃以上に温度を上げると、融液131内のGaと、Naに溶解した窒素との反応が始まり、GaN種結晶132の上に、GaN単結晶がエピタキシャル成長する。この状態で一定時間の間、融液131に浸漬させたまま結晶成長させることで、厚膜のGaN基板が出来る。この際、種結晶132の表面に存在する、ピット孔103、およびエッチングで形成したピット孔部104が、図12に示すように埋まっていく。厚膜成長工程後の表面は平坦になり、ピット孔の影響は無くなる。
図17に、厚膜成長工程にて150μmGaN結晶を積み、表面研磨した後の表面顕微鏡像を示す。表面像での斑点位置が、元々の種結晶にピット孔があった位置である。図17の破線部の高さ測定を行い、ピット孔が埋まっているかを確認した。評価には、非接触光学式三次元形状測定装置NH3−SP(三鷹光器製)を用いた。図18は、図17の破線部を三次元形状測定機で深さ測定した結果を示すグラフである。ピット孔径200μmに対し、深さバラつきは3σで0.18μmであり、ピット孔が埋まっていることが確認された。一方、このGaN単結晶150μm厚みを100μm研削研磨し、50μmの厚みにした物の表面顕微鏡像を図19に示す。表面にピット孔が露出してきていることが分かる。図19の破線部を三次元形状測定装置にて深さ方向を測定した結果を示すグラフを、図20に示す。図20に示すように、深さ34μm程度露出してきていることが分かる。このように、ピット孔を完全に埋めるには、厚膜成長工程にて、150μm以上の厚みが必要であることが分かった。
ピット孔を埋めるための成長温度に関しては、850℃以上880℃以下が望ましい。発明者らは、Naフラックス法によりピット孔を埋めるための横方向成長が促進される温度に関して、検証を行った。図21に示すような、直径250μmの円形の複数のGaN結晶ドットをサファイア基板上に配置し、これにNaフラックス法を用いてGaN単結晶を成長させた。成長後のSEM像を図22に示す。850〜880℃にて、元のGaN結晶ドットの直径250μmよりも横方向に大きくなり、横方向成長が促進していることが分かる。既に述べたように、Naフラックス法は横方向成長が速く、上記温度帯では十分な横方向成長が起こることが分かったため、ピット孔を埋めることに適していると考えた。
以上の様な知見を元に、厚膜成長工程として、温度は850〜880℃の間で一定とし、成長時間を7〜100時間にすることで、150μm〜2mmの基板を得ることが出来た。種結晶132よりもGaN結晶の厚さが薄い場合は、GaN結晶にクラックが入り易く結晶反りも大きくなるため、GaN結晶の膜厚を大きくすることが望ましい。例えば種結晶132の厚みが400〜500μmの場合は、800〜1000μmのGaN結晶をNaフラックス法で作製するとよい。成長終了後、温度と圧力を常温・常圧に戻し、GaN結晶を取り出す。
得られたGaN結晶から、図23に示したように、GaN種結晶101を除去し、さらにGaN結晶105の表面(図の上側)、裏側(図の下側)を研磨する。裏面はピット孔を埋め戻している成長層が含まれているため、研削研磨で除去することが望ましい。これらの厚膜成長で出来たGaNウェハの表面は、種結晶132の転位伝播をエッチングにより抑制した効果により、1.0×10cm−2以下の転位密度となる。
(実施の形態2)
次に、本開示の実施の形態2に係るIII族窒化物結晶の製造方法に関して説明する。図24に、実施の形態2に係るIII族窒化物結晶の製造方法の工程フローを示す。図24に示すように、本実施の形態2では、孔形成工程を、Naフラックス法によるGaN結晶製造装置内の、III族元素とアルカリ金属とを含む融液外にて行う。種結晶製造工程に関しては実施の形態1と同様のため、説明を省略する。
図25に、実施の形態2に係るNaフラックス法によるIII族窒化物結晶の製造装置200の断面構成例の概略断面図を示す。このNaフラックス法によるIII族窒化物結晶の製造装置200は、図15に示した製造装置100の構成に対し、反応室141、ヒータ142、坩堝143、窒素ガス供給ライン144などの設置位置・機能・材質等は同じである。Naフラックス法によるIII族窒化物結晶の製造装置200内には、GaN種結晶を備えた基板132を昇降可能に保持するための基板保持機構201が設置されている。
(準備工程)
まず、製造装置200の反応室141内の坩堝143に、フラックスとなるNaとIII族元素であるGaとを入れる。NaとGaの投入量は、例えばモル量比で85:15〜50:50程度である。このとき、必要に応じて、微量添加物を添加してもよい。次に、反応室141内を密閉し、坩堝の温度を800℃以上1000℃以下に調整し、さらに反応室141内に窒素ガスを送り込む。このとき、反応室141内のガス圧を1×10Pa以上1×10Pa以下とする。反応室141内のガス圧を高めることで、高温で溶融したNa中に窒素が溶解しやすくなり、前記の温度及び圧力とすることによりGaN結晶が高速に成長できる。
(孔形成工程)
孔形成工程では、基板保持機構201は、図25のように、融液131に触れない状態で、上に保持しておく。この状態で反応室141内が200℃以上に上がると、融液131内のアルカリ金属Naの蒸気化が始まり、種結晶132の表面はその蒸気によりエッチングされる。この際のNaは、実施の形態1と比較して少量であるため、表面加工時間は実施の形態1よりも長い時間が必要となり、図25の状態での保持時間は1時間以上50時間以下行うことが好ましい。また、種結晶132は融液131内には触れていないため、反応温度である800℃以上に上げてエッチングしてもよい。また、この保持時間の間に、Na、Ga、および微量添加物が熱対流により均一に混合される。混合を促進するために、保持中に攪拌動作を行ってもよい。
図25では、基板保持機構201および種基板132は、製造装置200に対して10度程度傾斜している。これは、融液131から発生するアルカリ金属の蒸気を、種基板132に触れやすくするためであるが、必ずしもこの角度に限らない。傾斜角度を大きくして、90度等にしてもよいが、傾斜角度が大きくなるにつれ、GaN結晶を4インチ、6インチと大口径化すると、製造装置200が大きくなってしまう。発明者らは実験を繰り返し、製造装置の大きさも考慮した結果、傾斜角度は2度から15度とすることが望ましいことが分かった。
本実施の形態でのエッチング前の種結晶の表面PL像を図27に、10時間エッチングした後の種結晶の表面PL像を図28に示す。図28に示すように、表面および転位収束部がエッチングされていることがわかる。これにより、Na蒸気によりピット孔を形成し、転位収束部の伝播が抑制できることが分かった。
(厚膜成長工程)
その後、厚膜成長工程では、図26に示すように、基板132を融液131に浸漬させる。そして、融液31中のGaと溶解している窒素がIII族窒化物種結晶132の表面で反応して、GaN単結晶がIII族窒化物種結晶132上にエピタキシャル成長する。この状態で、一定時間の間、融液131に浸漬して結晶成長させることで、図12に示すGaN結晶を得ることができる。浸漬時間、温度、結晶厚み等の条件は、実施の形態1に示した内容と同様である。成長終了後、基板132を融液131から引き上げ、温度と圧力を常温・常圧に戻し、GaN結晶を取り出す。
取り出したGaN結晶を研削研磨する方法は、実施の形態1と同様である。
本実施の形態2の利点を述べる。実施の形態1では、図14に示すようにNaフラックス法による製造装置内にて、孔形成工程と厚膜成長工程が順に行われる。これらは融液内の同じ位置で行われるため、孔形成工程による種結晶のエッチングが不十分な状態で、次の厚膜成長工程に移る可能性がある。この場合、種結晶の転位収束部がエッチングされずに厚膜成長工程に移り、その結果、厚膜成長したGaN結晶に転位が伝播する恐れがある。一方、本実施の形態では、孔形成工程は基板保持時の融液外で行われ、十分表面エッチングが行われた後、融液内に浸漬させて、厚膜成長工程に移ることが出来る。よって、転位を伝播させる恐れ無く、結晶を作製することが可能となる。
(実施の形態3)
次に、本開示の実施の形態3に係るIII族窒化物結晶の製造方法に関して説明する。図29に、実施の形態3に係るIII族窒化物結晶の製造方法の工程フローを示す。図29に示すように、実施の形態3では、孔形成工程を、Naフラックス法によるGaN結晶製造装置外で行い、孔形成後に、装置内に投入する。種結晶製造工程及び準備工程に関しては実施の形態1と同様のため、説明を省略する。
(孔形成工程)
先に述べた様に、GaN結晶表面に伝播する転位の近傍は、アルカリ融液により選択的にエッチングされることが知られている。発明者らは、GaN種結晶をKOH処理することで、転位収束部にピット孔を形成し、図11のような構造を形成することが出来ると考えた。図30に、OVPE法を用いたGaN種結晶をKOH処理した後の表面顕微鏡像を示す。NaOH:KOH=1:1の溶液を用い、450℃で10分間処理した。処理には、エピクエスト社製のKOHエッチング装置を用いた。図30から、GaN種結晶の表面にエッチピット孔が出来ていることが分かる。これらのピット孔位置は、転位収束部と一致し、ピット密度が転位密度と一致する。よって、KOH処理により、Naフラックス法によるGaN結晶製造装置に投入する前に、図11のような孔形成を行うことが出来る。
(厚膜成長工程)
種結晶のKOH処理後に、HClで24時間洗浄後、アセトン超音波洗浄10分を2回、純水超音波洗浄10分を2回実施した後、次の厚膜成長工程に進む。実施の形態1、実施の形態2では、孔形成工程を装置内の融液内、あるいは融液外で行っていたが、本実施の形態では既に孔形成は完了しているため、厚膜成長工程に関しては、実施の形態1、実施の形態2、いずれの方式で行ってもよい。
図31に、厚膜成長後のGaN結晶の表面顕微鏡像を示す。図30で見えていたピット孔が埋まっていることが分かる。このように、Naフラックス法では、ピット孔の数が転位密度数と同等存在しても、横方向成長にて埋めることが出来る。成長終了後、温度と圧力を常温・常圧に戻し、GaN結晶を取り出す。
取り出したGaN結晶を研削研磨する方法は、実施の形態1、実施の形態2と同様である。
本実施の形態3の利点を述べる。本実施の形態では、KOHによりGaN種結晶の転位収束部を加工し、GaN結晶製造装置投入前に、光学顕微鏡などでその様子を確認することが出来る。実施の形態1、実施の形態2では、GaN結晶製造装置内でGaN種結晶の孔形成を行っている。GaN結晶製造装置内は、窒素ガス圧力1×10Pa以上1×10Pa以下、温度800℃〜1000℃と、高温高圧下であり、観測用の窓を十分に開けることが出来ない。また、装置内は金属Naが高温で液体あるいは気体で存在しているため、各種の観測用センサーを装置内に入れて動作させることも困難である。よって、GaN結晶製造装置内で、GaN種結晶の孔形成の様子を観測することは困難である。よって、実施の形態1、実施の形態2では、転位収束部を十分に加工できたかを確認できない。本実施の形態では、装置外で孔形成の様子を確認できるため、転位収束部の加工ミスを逃さず、歩留まりよく高品質なGaN結晶を作製することが出来る。
以上のような方法で完成したGaN結晶の、中央2点のXRC測定した結果を図32のb1、b2に示し、結晶表面を250μm□で撮像したPL像測定結果を、図33にそれぞれ示す。図32のXRC測定結果から29〜32arcsecの結晶性であることが分かった。測定点全てで40arcsec以下となり、発明者らの参考例の製造方法に比べ、大幅に結晶性を上げることが出来た。また、PL像から転位密度が6.6×10cm−2であることが分かった。これは参考例の転位密度の10分の1以下であり、欠陥を大幅に低減出来たことが分かった。III族窒化物結晶をパワーデバイスに適用する場合、40arcsec以下の結晶性、10cm−2〜10cm−2の転位密度が望ましい。以上の評価結果より、本開示のGaN結晶製造方法にて、パワーデバイスに必要となってくる結晶の品質を満たすことが出来たと考えられる。
(その他の実施の形態)
なお、上記の実施形態において、NaやGaと共に微量添加物を添加すると、得られるGaNの電気伝導性やバンドギャップを調整することが可能となる。微量添加物の例には、ボロン(B)、タリウム(Tl)、カルシウム(Ca)、カルシウム(Ca)を含む化合物、珪素(Si)、硫黄(S)、セレン(Se)、テルル(Te)、炭素(C)、酸素(O)、アルミニウム(Al)、インジウム(In)、アルミナ(Al)、窒化インジウム(InN)、窒化珪素(Si)、酸化珪素(SiO)、酸化インジウム(In)、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化マグネシウム(MgO)、およびゲルマニウム(Ge)等が含まれる。これらの微量添加物は、1種類のみ添加してもよく、2種以上を添加してもよい。
また、フラックスとしてNaを用いる形態を説明したが、本開示はこれに限定されず、フラックスとして、Na以外のアルカリ金属を用いてもよい。具体的には、Na、Li、K、Rb、CsおよびFrからなる群から選択される少なくとも1つを含み、例えば、NaとLiとの混合フラックスなどであってもよい。
さらに上記では、III族窒化物としてGaNの結晶を作製する形態について説明したが、本開示はこれに限定されない。本開示のIII族窒化物は、III族元素(Al、Ga、またはIn)および窒素を含む2元、3元、または4元の化合物とすることができ、例えば、一般式Al1−x−yGaInN(式中、xおよびyは0≦x≦1,0≦y≦1,0≦1−x−y≦1を満たす)で表される化合物とすることができる。また、III族窒化物は、p型またはn型の不純物を含んでいてもよい。なお、III族窒化物種結晶2についても、材料としてGaNを記載したが、上記に示した化合物とすることができる。
なお、本開示においては、前述した様々な実施の形態及び/又は実施例のうちの任意の実施の形態及び/又は実施例を適宜組み合わせることを含むものであり、それぞれの実施の形態及び/又は実施例が有する効果を奏することができる。
本開示に係るIII族窒化物結晶の製造方法を利用することで、結晶欠陥が少ない高品質なIII族窒化物結晶を得ることができ、例えば高電圧・高温でも電気ロスが少ない高性能なパワーデバイスを作製することが出来る。
1 種結晶基板
2 III族窒化物種結晶
3 第一のIII族窒化物結晶(角錐形状)
4 第二のIII族窒化物結晶(複数のIII族窒化物結晶層)
5 第三のIII族窒化物結晶(平坦厚膜成長部)
101 基板
102 転位収束部
103 ピット孔部
104 ピット孔部
105 基板
111 第1容器
112 第2容器
113 第3容器
114 第1輸送管
115 第2輸送管
116 排気管
117 III族元素材料
118 基板支持部
119 基板
121 第1加熱部
122 第2加熱部
123 第3加熱部
131 融液
132 種結晶
140 製造装置
141 反応室
142 ヒータ
143 坩堝
144 窒素ガス供給ライン
200 製造装置
201 基板保持機構

Claims (8)

  1. 酸化物気相成長法でIII族窒化物種結晶を成長させる種結晶製造工程と、
    前記III族窒化物種結晶の表面に孔を形成する孔形成工程と、
    窒素を含む雰囲気下にて、ガリウム、アルミニウムおよびインジウムから選ばれる少なくとも1つのIII族元素とアルカリ金属とを含む融液に、前記孔を形成した前記III族窒化物種結晶の表面を接触させることによって、前記III族元素と前記窒素とを前記融液中で反応させてIII族窒化物結晶を液相成長させる結晶成長工程と、
    を含む、III族窒化物結晶の製造方法。
  2. 前記孔形成工程は、前記III族窒化物種結晶を、アルカリ処理することで実施する、請求項1に記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
  3. 前記酸化物気相成長法は、転位を一部に集約するように前記III族窒化物種結晶を成長させ、前記孔は、集約した前記転位の位置に形成する、請求項1に記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
  4. 前記液相成長で製造した前記III族窒化物種結晶の厚さが150μm以上である、請求項1に記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
  5. 前記結晶成長工程において、前記液相成長は850℃以上かつ880℃以下で実施する、請求項1に記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
  6. 前記孔形成工程は、ガリウム、アルミニウムおよびインジウムから選ばれる少なくとも1つのIII族元素とアルカリ金属とを含む融液内に、前記III族窒化物種結晶を1分以上120分以下、100℃以上800℃以下の状態で浸漬させることで行われる、請求項1に記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
  7. 前記孔形成工程は、ガリウム、アルミニウムおよびインジウムから選ばれる少なくとも1つのIII族元素とアルカリ金属とを含む融液外にて、前記III族窒化物種結晶をアルカリ金属の蒸気で1時間以上50時間以下エッチングすることで行われる、請求項1に記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
  8. 前記孔形成工程は、NaOHとKOHとを1:1で混合した融液を450℃で加熱し、前記III族窒化物種結晶をその融液内に10分間浸漬させることで行われる、請求項1に記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
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