JP7220847B2 - 四塩化ケイ素の測定ユニット、四塩化ケイ素の品質評価方法、四塩化ケイ素の品質管理方法、炭化ケイ素基板の製造方法、および、炭化ケイ素基板製造装置 - Google Patents

四塩化ケイ素の測定ユニット、四塩化ケイ素の品質評価方法、四塩化ケイ素の品質管理方法、炭化ケイ素基板の製造方法、および、炭化ケイ素基板製造装置 Download PDF

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本発明は、四塩化ケイ素の測定ユニット、四塩化ケイ素の品質評価方法、四塩化ケイ素の品質管理方法、炭化ケイ素基板の製造方法、および、炭化ケイ素基板製造装置に関する。
炭化ケイ素は、ケイ素と炭素で構成される、化合物半導体材料である。炭化ケイ素は、絶縁破壊電界強度がケイ素の10倍で、バンドギャップがケイ素の3倍であり、半導体材料として優れている。さらに、デバイスの作製に必要なp型、n型の制御が広い範囲で可能であることなどから、ケイ素の限界を超えるパワーデバイス用材料として期待されている。
しかしながら、炭化ケイ素半導体は、従来広く普及しているケイ素半導体と比較して、大面積の炭化ケイ素単結晶基板を得ることが難しく、製造工程も複雑である。これらの理由から、炭化ケイ素半導体は、ケイ素半導体と比較して大量生産が難しく、高価であった。
これまでにも、炭化ケイ素半導体のコストを下げるために、様々な工夫が行われてきた。例えば、特許文献1には、炭化ケイ素基板の製造方法であって、少なくとも、マイクロパイプの密度が30個/cm以下の炭化ケイ素単結晶基板と炭化ケイ素多結晶基板を準備し、前記炭化ケイ素単結晶基板と前記炭化ケイ素多結晶基板とを貼り合わせる工程を行い、その後、単結晶基板を薄膜化する工程を行い、多結晶基板上に単結晶層を形成した基板を製造することが記載されている。
更に、特許文献1には、単結晶基板と多結晶基板とを貼り合わせる工程の前に、単結晶基板に水素イオン注入を行って水素イオン注入層を形成する工程を行い、単結晶基板と多結晶基板とを貼り合わせる工程の後、単結晶基板を薄膜化する工程の前に、350℃以下の温度で熱処理を行い、単結晶基板を薄膜化する工程を、水素イオン注入層にて機械的に剥離する工程とする炭化ケイ素基板の製造方法が記載されている。
このような方法により、1つの炭化ケイ素単結晶インゴットからより多くの炭化ケイ素貼り合わせ基板が得られるようになった。
特許文献1の方法で製造された炭化ケイ素貼り合わせ基板の大部分が、多結晶基板である。炭化ケイ素多結晶基板からパワーデバイス等のデバイスを作製する製造工程においては、イオン注入や熱処理等など、炭化ケイ素多結晶基板が高温にさらされる機会が多く存在する。
従来、炭化ケイ素多結晶基板の製造においては、化学蒸着法によって例えば黒鉛支持基板上に炭化ケイ素多結晶膜を成膜したのち、必要に応じで端面を研削して支持基板を側面から露出させて、さらに焼成して黒鉛支持基板を気化させる等の手段により、黒鉛支持基板を一部もしくは全てを破壊することで、炭化ケイ素多結晶膜を分離していた。そして、炭化ケイ素多結晶膜を分離した後、平面研削及び平面研磨により、平滑な炭化ケイ素多結晶基板を得ていた(例えば、特許文献2参照)。
特開2009-117533号公報 特開平8-188468号公報
炭化ケイ素膜を化学蒸着法によって成膜する場合、シリコン(Si)系の原料としては、例えば、四塩化ケイ素(SiCl)、トリクロロシラン(SiHCl)、ジクロロシラン(SiHCl)、シラン(SiH)等が用いられる。なかでも、四塩化ケイ素は、常温で液体状であり取り扱いが容易であること、また、他の原料と比べて安価であることから、炭化ケイ素膜の原料として用いられることが多い。
しかしながら、四塩化ケイ素は、式(1)に示すように、空気中に含まれる水分と常温で反応して、固体状の二酸化ケイ素(以下、「シリカ」、または「SiO」とする場合がある。)と気体状の塩化水素(HCl)となる場合がある。
[化1]
SiCl + 2HO → SiO + 4HCl・・・(1)
液体状の四塩化ケイ素において上記の反応がおこると、四塩化ケイ素中に微細粒子状の二酸化ケイ素が生成する。微細粒子状の二酸化ケイ素を含む四塩化ケイ素を原料として用いて炭化ケイ素膜を蒸着すると、炭化ケイ素膜の品質を損なう可能性があり、また、四塩化ケイ素を供給する配管内に詰まりが発生したり、四塩化ケイ素の流量を制御する液体マスフローコントローラが故障したりするという可能性がある。また、上記反応により発生した塩化水素は気体状のため、四塩化ケイ素を供給する配管や原料タンクを腐食させる原因となり得る。
以上のことから、四塩化ケイ素はできるだけ空気と接触しないように、四塩化ケイ素を供給する配管や原料タンクの気密性を確保する必要があり、また、二酸化ケイ素の生成の有無を確認して四塩化ケイ素の品質を管理する必要がある。しかしながら、四塩化ケイ素を供給する配管や原料タンクは金属を用いて高気密性を有する構成であることから、これらの内部を目視できないため、目視で四塩化ケイ素の品質を確認することが困難であった。よって、四塩化ケイ素が変質しているか否かは、成膜された炭化ケイ素膜の品質を確認することでしか判断できないという問題があった。また、液体マスフローコントローラの故障によって四塩化ケイ素の品質が明らかとなる場合があった。
本発明は、原料となる四塩化ケイ素の品質を事前に評価して、高品質で歩留まりのよい製品の製造を可能とする、四塩化ケイ素の測定ユニット、四塩化ケイ素の品質評価方法、四塩化ケイ素の品質管理方法、炭化ケイ素基板の製造方法、および、炭化ケイ素基板製造装置を提供することを目的とする。
本発明の四塩化ケイ素の測定ユニットは、液体状の四塩化ケイ素の光吸収係数を測定する測定ユニットであって、光源と、液体状の前記四塩化ケイ素を供給する原料供給配管に設けられ、前記光源からの光を透過する光透過部と、前記光透過部を透過する前記光を受光する受光素子と、を備える。
本発明の四塩化ケイ素の測定ユニットにおいて、前記光源と前記受光素子とが、前記光透過部を挟んで対向して設けられており、前記光透過部において、液体状の前記四塩化ケイ素が流れる方向と、前記光源と前記受光素子との対向方向とが直交していてもよい。
本発明の四塩化ケイ素の品質評価方法は、本発明の測定ユニットを用いて、液体状の四塩化ケイ素の品質を評価する品質評価方法であって、液体状の四塩化ケイ素の光吸収係数を算出する光吸収係数算出工程と、前記光吸収係数算出工程で算出した前記光吸収係数が、基準を満たすか否かを判定する判定工程と、を備える。
本発明の四塩化ケイ素の品質評価方法において、前記光吸収係数の前記基準が、400nm~700nmの波長範囲において、0.1cm-1以下であってもよい。
本発明の四塩化ケイ素の品質管理方法は、本発明の四塩化ケイ素の品質評価方法を用いて、液体状の四塩化ケイ素の品質を評価する品質評価工程と、前記判定工程において前記基準を満たした液体状の前記四塩化ケイ素の、前記原料供給配管での供給を継続する供給工程を含む。
本発明の四塩化ケイ素の品質管理方法において、前記判定工程において前記基準を満たさない液体状の前記四塩化ケイ素を廃棄する廃棄工程を含んでいてもよい。
本発明の四塩化ケイ素の品質管理方法において、前記判定工程において前記基準を満たさない液体状の前記四塩化ケイ素を濾過する濾過工程を含んでいてもよい。
本発明の四塩化ケイ素の品質管理方法において、前記濾過工程の後に、濾過された液体状の前記四塩化ケイ素を、前記品質評価工程に供してもよい。
本発明の炭化ケイ素基板の製造方法は、本発明の四塩化ケイ素の品質管理方法を用いて、液体状の四塩化ケイ素の品質を管理する品質管理工程と、炭化ケイ素基板製造工程と、を含み、前記炭化ケイ素基板製造工程が、前記品質管理工程において前記基準を満たした液体状の四塩化ケイ素を用いて、炭化ケイ素の化学蒸着を行う蒸着工程を含む。
本発明の炭化ケイ素基板製造装置は、液体状の四塩化ケイ素を貯蔵する原料タンクと、炭化ケイ素を化学蒸着する蒸着炉と、液体状の前記四塩化ケイ素を気化する気化器と、前記原料タンクから前記気化器に液体状の前記四塩化ケイ素を供給する原料供給配管と、液体状の前記四塩化ケイ素の光吸収係数を測定する測定ユニットと、を備え、前記測定ユニットが、光源と、前記光源からの光を透過する光透過部と、前記光透過部を透過する前記光を受光する受光素子と、を有し、前記光透過部が前記原料供給配管に設けられている。
本発明の炭化ケイ素基板製造装置において、前記原料供給配管が、本流管と、前記本流管から分岐して、前記本流管を流れる液体状の前記四塩化ケイ素の一部が分岐して流れたのちに前記本流管に合流するように構成された支流管と、を有し、前記光透過部が前記支流管に設けられていてもよい。
本発明の炭化ケイ素基板製造装置において、液体マスフローコントローラをさらに備え、前記原料供給配管は、前記原料タンクと前記液体マスフローコントローラをつなぐ第1原料供給配管と、前記液体マスフローコントローラと前記気化器とをつなぐ第2原料供給配管と、を有し、前記光透過部が、前記第1原料供給配管に設けられていてもよい。
本発明の炭化ケイ素基板製造装置において、前記第1原料供給配管に接続された廃棄タンクをさらに有していてもよい。
本発明の炭化ケイ素基板製造装置において、前記第1原料供給配管に接続された原料濾過部をさらに有してしてもよい。
本発明の四塩化ケイ素の測定ユニットは、四塩化ケイ素の光吸収係数を測定する測定ユニットであって、光源と、液体状の前記四塩化ケイ素を供給する原料供給配管に設けられ、前記光源からの光を透過する光透過部と、前記光透過部を透過する前記光を受光する受光素子と、を備える。これにより、液体状の四塩化ケイ素の光吸収係数を算出して、原料となる四塩化ケイ素の品質評価を行うことができる。よって、原料となる四塩化ケイ素の品質を事前に評価して、高品質で歩留まりのよい製品の製造が可能となる。
本発明の四塩化ケイ素の品質評価方法は、本発明の測定ユニットを用いて、液体状の四塩化ケイ素の品質を評価する品質評価方法であって、液体状の四塩化ケイ素の光吸収係数を算出する光吸収係数算出工程と、前記光吸収係数算出工程で算出した前記光吸収係数が、基準を満たすか否かを判定する判定工程と、を備える。これにより、液体状の四塩化ケイ素の光吸収係数を算出して、原料となる四塩化ケイ素の品質評価を行うことができる。よって、原料となる四塩化ケイ素の品質を事前に評価して、高品質で歩留まりのよい製品の製造が可能となる。
本発明の四塩化ケイ素の品質管理方法は、本発明の四塩化ケイ素の品質評価方法を用いて、液体状の四塩化ケイ素の品質を評価する品質評価工程と、前記判定工程において前記基準を満たした液体状の前記四塩化ケイ素の、前記原料供給配管での供給を継続する供給工程を含む。これにより、液体状の四塩化ケイ素の光吸収係数を算出して、原料となる四塩化ケイ素の品質評価を行うことができる。よって、原料となる四塩化ケイ素の品質を事前に評価して、高品質で歩留まりのよい製品の製造が可能となる。
本発明の炭化ケイ素基板の製造方法は、本発明の四塩化ケイ素の品質管理方法を用いて、液体状の四塩化ケイ素の品質を管理する品質管理工程と、炭化ケイ素基板製造工程と、を含み、前記炭化ケイ素基板製造工程が、前記品質管理工程において前記基準を満たした液体状の四塩化ケイ素を用いて、炭化ケイ素の化学蒸着を行う蒸着工程を含む。これにより、液体状の四塩化ケイ素の光吸収係数を算出して、原料となる四塩化ケイ素の品質評価を行うことができる。よって、原料となる四塩化ケイ素の品質を炭化ケイ素の成膜前に評価して、高品質で歩留まりのよい炭化ケイ素基板の製造が可能となる。
本発明の炭化ケイ素基板製造装置は、液体状の前記四塩化ケイ素の光吸収係数を測定する測定ユニットを、を備え、前記測定ユニットが、光源と、前記光源からの光を透過する光透過部と、前記光透過部を透過する前記光を受光する受光素子と、を有し、前記光透過部が前記原料供給配管に設けられている。これにより、液体状の四塩化ケイ素の光吸収係数を算出して、原料となる四塩化ケイ素の品質評価を行うことができる。よって、原料となる四塩化ケイ素の品質を炭化ケイ素の成膜前に評価して、高品質で歩留まりのよい炭化ケイ素基板の製造が可能となる。
本発明の一実施形態にかかる炭化ケイ素基板製造装置の構成を模式的に示す図である。 図1に示した炭化ケイ素基板製造装置の矢視A-A線断面における測定ユニットと、測定ユニットの変形例を示す図である。 本発明の一実施形態にかかる炭化ケイ素基板製造装置の変形例の構成を模式的に示す図である。 本発明の一実施形態にかかる炭化ケイ素基板製造装置の、他の変形例の構成を模式的に示す図である。 本発明の一実施形態にかかる炭化ケイ素基板製造装置のさらに他の変形例の構成を模式的に示す図である。
[炭化ケイ素基板製造装置、および、測定ユニット]
本発明の一実施形態にかかる炭化ケイ素基板製造装置および、測定ユニットについて、図1、図2を参照して説明する。図1は、炭化ケイ素基板製造装置500の構成を模式的に示す図であり、図中の矢印は液体状の四塩化ケイ素が流れる方向を示している。本実施形態にかかる炭化ケイ素基板製造装置500は、例えば、熱化学蒸着法により、成膜対象である支持基板上に炭化ケイ素のエピタキシャル膜や炭化ケイ素多結晶膜を成膜させて、炭化ケイ素基板を製造することに用いることができる。以下の説明では、支持基板に炭化ケイ素多結晶膜を成膜して、炭化ケイ素多結晶基板を製造することについて例示する。
また、本実施形態にかかる測定ユニット100は、液体状の四塩化ケイ素の光吸収係数を測定するための測定ユニットである。なお、測定ユニット100が備えられる炭化ケイ素基板の製造装置は、液体状の四塩化ケイ素を原料とすることができるものであれば特に限定されず、本実施形態の炭化ケイ素基板製造装置500でもよいし、例えば、後述する、炭化ケイ素基板製造装置500A、500B、500Cに備えられていてもよい。また、測定ユニット100は、炭化ケイ素基板製造装置のみならず、合成石英や合成石英ガラスなどの製造装置等、液体状の四塩化ケイ素を原料とする装置に備えることもできる。
図1に示すように、炭化ケイ素基板製造装置500は、液体状の四塩化ケイ素を貯蔵する原料タンク10と、炭化ケイ素を化学蒸着する蒸着炉20と、液体状の四塩化ケイ素を気化する気化器30と、原料タンク10から気化器30に液体状の四塩化ケイ素を供給する原料供給配管40と、液体マスフローコントローラ50と、廃棄タンク60と、気化器30から四塩化ケイ素ガスを蒸着炉20に供給するガス供給配管70と、原料供給配管40と廃棄タンク60とをつなぐ廃棄配管80と、液体状の四塩化ケイ素の光吸収係数を測定する測定ユニット100と、製造装置の動作の制御を行う不図示の制御部と、を備えている。また、原料タンク10から気化器30への四塩化ケイ素の供給は、例えば、Ar等の不活性ガスを用いた圧送により行うことができる。
原料供給配管40は、原料タンク10と液体マスフローコントローラ50をつなぐ第1原料供給配管41と、液体マスフローコントローラ50と気化器30とをつなぐ第2原料供給配管42と、を有している。
原料タンク10、原料供給配管40、廃棄タンク60、ガス供給配管70、および、廃棄配管80は、例えば、SUS304などのステンレス等の四塩化ケイ素に耐性のある材料で形成されている。また、液体マスフローコントローラ50、気化器30の内部における四塩化ケイ素が流れる箇所も同様に、例えば、SUS304などのステンレス等の四塩化ケイ素に耐性のある材料で形成されている。また、四塩化ケイ素は、式(1)に示すように、空気中に含まれる水分と常温で反応して、固体状の二酸化ケイ素と気体状の塩化水素(HCl)となる場合がある。このことから、上記の四塩化ケイ素が流れる箇所は、高い気密性を保つことができるように構成されている。
[化2]
SiCl + 2HO → SiO + 4HCl・・・(1)
蒸着炉20では、化学蒸着により、支持基板上に炭化ケイ素多結晶膜を成膜させることができる。蒸着炉20は、炭化ケイ素の蒸着に一般的に用いられる蒸着炉を用いることができる。一例として、本実施形態の蒸着炉20は、蒸着炉20の外装となる筐体と、支持基板に炭化ケイ素多結晶膜を成膜させる成膜室と、成膜室より排出された原料ガスやキャリアガスを後述のガス排出口へ導入する排出ガス導入室と、排出ガス導入室を覆うボックスと、ボックスの外部より成膜室内を加温する、カーボン製のヒーターと、成膜室の上部に設けられ、成膜室に原料ガスやキャリアガスを導入するガス導入口と、ガス排出口と、支持基板を載置する載置部と、を有する。
気化器30は、液体状の四塩化ケイ素を気化する装置であり、液体材料の気化に一般的に用いられる装置を用いることができる。気化器30は、例えば、ヒーターと圧力調節機構とを有し、液体状の四塩化ケイ素を加熱しておき、減圧することで気化することができる。気化器30で気化された液体状の四塩化ケイ素は、ガス供給配管70を通じて蒸着炉20に供給される。
液体マスフローコントローラ50は、気化器30に供給される液体状の四塩化ケイ素の流量を調節するための装置である。液体マスフローコントローラ50は、例えば、流量センサと、電気回路と、流量制御バルブと、を有し、流量センサが計測した液体状の四塩化ケイ素の質量流量に応じて、流量制御バルブを動作させることにより、液体状の四塩化ケイ素の流量を制御することかできる。なお、本実施形態では、気化器と液体マスフローコントローラとが別体の装置として構成されているが、気化器の機能と、液体マスフローコントローラの機能の両方を備える装置を用いてもよい。
廃棄タンク60は、後述する、四塩化ケイ素の品質管理方法において、基準を満たさない液体状の四塩化ケイ素を廃棄するために貯蔵するタンクである。廃棄タンク60は、廃棄配管80を介して第1原料供給配管41に接続されている。廃棄配管80と第1原料供給配管41との接続部分には、四塩化ケイ素の送液方向を液体マスフローコントローラ50と廃棄タンク60とに切り換える、切換器410aが設けられている。
また、測定ユニット100は、光源110と、必要に応じて光源110からの光Lを分光する不図示の分光器と、分光された光源110からの光を透過する光透過部120と、光透過部120を透過した光(透過光L’)を受光する受光素子130と、を有し、光透過部120が原料供給配管40に設けられている。また、光源110以外の外部からの光を遮断するために、光源110と、光透過部120と、受光素子130とは、遮光可能な筐体内(不図示)に納められていてもよい。また、測定ユニット100は、不図示の演算部を有していてもよい。
光源110は、使用する光の波長等に合わせて最適なランプを用いることができ、例えば、ハロゲンランプ、重水素ランプ等のランプを備える。分光器は、光源110からの光を測定に使用する波長に応じて分光するものであり、例えば、プリズムや回折格子を有している。
また、光透過部120は、例えば、断面形状が原料供給配管40と同じに形成された、円管状の部材である。光透過部120を形成する素材は、四塩化ケイ素に対する安定性、光透過性、空気遮断性を有していれば、特に限定されず、例えば、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)等のフッ素系樹脂、ガラス、石英等の素材を用いることができる。第1原料供給配管41の途中に、第1原料供給配管41に連なって接続されている。すなわち、第1原料供給配管41の中を流れてきた液体状の四塩化ケイ素は、光透過部120の中を通過して、再び第1原料供給配管41の中に流れていく。
四塩化ケイ素が流れる方向において、光透過部120の長さは、できるだけ多くの光源110からの光Lが入光するように、十分な長さを有していることが好ましく、例えば、5cm程度であり、1cm~10cm程度の範囲とすることができる。また、光透過部120の径寸法は、特に限定されないが、二酸化ケイ素が生成したときに、生成していない場合との光吸収係数の差を検出しやすい程度に径寸法が大きいことが好ましい。また、光透過部120の径寸法が大きすぎると、光透過性が低下して、光吸収係数の誤差が大きくなることがある。光透過部120の径寸法としては、例えば、外径は8mm程度であり、6mm~20mm程度の範囲、内径は6mm程度であり、4mm~18mm程度の範囲とすることができる。
なお、光透過部120の形状は、光源110からの光Lを透過して、透過した光(透過光L’)が受光素子130に受光されれば、特に限定されず、本実施形態のように断面視円形状でもよいし、例えば、断面視矩形状でもよい。また、光透過部120と原料供給配管40との気密性が保たれていれば、光透過部120と原料供給配管40との断面形状において、前述のように同じ大きさでもよいし、小さくても大きくてもよい。
図2(A)は、図1に示した測定ユニット100の矢視A-A線断面を示す図である。また、図2(B)、図2(C)は、図2(A)に示した測定ユニット100の変形例(測定ユニット100b、100c)を示す図である。光透過部120は、図2(A)に示すように管の周方向の全部が光透過性を有していてもよいし、図2(B)、図2(C)に示すように、光源110と受光素子130とを結ぶ直線上であって、周方向の一部が光透過性を有していてもよい。すなわち、光透過性を有しない管状部材140b、140cが第1原料供給配管41に連なって接続されており、この管状部材の一部に光透過性材料により形成された光透過部120b1、120b2、120c1、120c2が設けられていてもよい。
受光素子130は、光透過部120を透過した光源110からの光(透過光L’)を受光して電気信号に変換する光検出器である。受光素子130としては、測定に使用する光の波長等に応じて最適な光検出器を用いることができ、例えば、光電子倍増管やフォトダイオードを用いることができる。
演算部は、受光素子130が受光した光の電気信号用いて、光吸収係数を算出するものである。光透過部120に入射前の光Lの強度Iと、入射後の光(透過光L’)の強度Iと、光透過部120の径寸法(経路長)x(cm)、光吸収係数α(cm-1)の関係は、ランベルト・ベールの法則に基づき、下記式(2)のように示すことができる。演算部において、下記式(2)に基づいた光吸収係数算出プログラムを用いて、光吸収係数αが算出される。
[数1]
I=I-αx ・・・(2)
測定ユニット100においては、図1、図2(A)に示すように、光源110と受光素子130とが、光透過部120を挟んで対向して設けられており、光透過部120において、液体状の四塩化ケイ素が流れる方向と、光源110と受光素子130との対向方向とが直交している。また、光源からの光Lが、四塩化ケイ素が流れる配管の中心を通って、入光した箇所(図2(A)の入光箇所121)から周方向に180°の箇所(図2(A)の透過箇所122)から配管の外に透過する。
図2(B)の測定ユニット100bにおいては、前述のように管状部材140bの一部に光透過部120b1、120b2が設けられている。測定ユニット100bにおいては、測定ユニット100と同様に、光源からの光Lが、四塩化ケイ素が流れる配管の中心を通って、入光した箇所(図2(B)の光透過部120b1)から周方向に180°の箇所(図2(B)の光透過部120b2)から配管の外に透過する。光源からの光Lの進路は、受光素子に透過光L’が受光されれば、特に限定されない。図2(C)に示した測定ユニット100cは、管状部材140bの一部に光透過部120c1、120c2が設けられており、光透過部120c2は光透過部120c1から周方向に90°の箇所に設けられている。測定ユニット100cのように、測定ユニットの設置の都合に応じて、光Lが、四塩化ケイ素が流れる配管の中心を通らずに、入光した箇所(光透過部120c1)から例えば周方向に90°の箇所(光透過部120c2)から透過して受光素子130に受光されるように構成されていてもよい。また、測定ユニット100cの場合、光が管状部材140c内の反射鏡で角度を変えて反射して、受光素子130等へ進むという態様も取り得る。
上記に示した測定ユニット100においては、測定ユニット100の演算部において光吸収係数を算出していたが、光吸収係数を算出する演算部は外部のコンピュータや炭化ケイ素基板製造装置500の制御部等、測定ユニット以外に設けられていてもよい。また、上記に示した測定ユニット100の光透過部120以外の構成に替えて、一般的な分光光度計の測定室に原料供給配管40を通して、その分光光度計の測定室内に通した原料供給配管40に光透過部120を設けて、測定ユニットとしてもよい。この場合、吸光度を測定したのちに、測定ユニット外の演算部において、光吸収係数を算出してもよい。
本実施形態の炭化ケイ素基板製造装置500は、液体状の四塩化ケイ素の光吸収係数を測定する測定ユニット100を備え、測定ユニット100が、光源110と、光源110からの光Lを透過する光透過部120と、光透過部120を透過した光(透過光L’)を受光する受光素子130と、を有し、光透過部120が原料供給配管40に設けられている。これにより、液体状の四塩化ケイ素の光吸収係数を算出して、原料となる四塩化ケイ素の品質評価を行うことができる。よって、原料となる四塩化ケイ素の品質を炭化ケイ素の成膜前に評価して、高品質で歩留まりのよい炭化ケイ素基板の製造が可能となる。
また、炭化ケイ素基板製造装置500が液体マスフローコントローラ50を備え、液体マスフローコントローラ50が第1原料供給配管41に設けられていることから、気化器30よりも上流で、二酸化ケイ素が生成することによる四塩化ケイ素の品質の変化を検知することができる。また、液体状の四塩化ケイ素に生成した二酸化ケイ素による液体マスフローコントローラ50の故障を防ぐことができる。
また、炭化ケイ素基板製造装置500が第1原料供給配管41に接続された廃棄タンク60を備えることから、二酸化ケイ素が生成することにより品質が変化した四塩化ケイ素を液体マスフローコントローラ50や気化器30に供給することなく廃棄することができる。
本実施形態の四塩化ケイ素の測定ユニット100は、光源110と、液体状の四塩化ケイ素を供給する原料供給配管40に設けられ、光源110からの光Lを透過する光透過部120と、光透過部120を透過した光(透過光L’)を受光する受光素子130と、を備える。これにより、液体状の四塩化ケイ素の光吸収係数を算出して、原料となる四塩化ケイ素の品質評価を行うことができる。よって、炭化ケイ素基板の原料となる四塩化ケイ素の品質を事前に評価して、高品質で歩留まりのよい炭化ケイ素基板の製造が可能となる。
また、液体状の四塩化ケイ素の原料タンクからサンプリングして四塩化ケイ素の品質評価をする場合、空気に接触することで、四塩化ケイ素中に二酸化ケイ素が生成し得る。よって、原料タンク中の四塩化ケイ素の状態を正確に評価できない可能性がある。そこで、本実施形態の測定ユニット100を用いることにより、別途サンプリングせずに四塩化ケイ素の品質評価を行うことができ、原料タンク中の四塩化ケイ素の状態を評価することできる。
また、本実施形態の測定ユニット100は、光源110と受光素子130とが、光透過部120を挟んで対向して設けられており、光透過部120において、液体状の四塩化ケイ素が流れる方向と、光源110と受光素子130との対向方向とが直交している。このことから、受光素子130において、光透過部120を透過した光源110からの光を、より効率よく受光することができ、安定して光吸収係数を算出することができる。
[品質評価方法]
次に、本発明の一実施形態にかかる品質評価方法について、図1を参照して説明する。本実施形態にかかる品質評価方法は、前述した測定ユニットを用いて、液体状の四塩化ケイ素の品質を評価するものである。以下の説明においては、前述した炭化ケイ素基板製造装置500の測定ユニット100を用いて、四塩化ケイ素の品質を評価する方法について説明する。
本実施形態の四塩化ケイ素の品質評価方法は、液体状の四塩化ケイ素の光吸収係数を算出する光吸収係数算出工程と、光吸収係数算出工程で算出した光吸収係数が、基準を満たすか否かを判定する判定工程と、を備える。
まず、光吸収係数算出工程において、原料タンク10から流れてきた液体状の四塩化ケイ素の光吸収係数を算出する。予め、二酸化ケイ素が生成していない液体状の四塩化ケイ素を用いて、空試験(ブランク測定)を行っておく。この光吸収係数算出工程は、四塩化ケイ素の測定ユニット100を用いて行うことができる。まず、光源110から光Lを出力し、四塩化ケイ素が流れる光透過部120に当て、光透過部120を透過した光(透過光L’)が受光素子130に受光される。受光された光が電気信号に変換され、測定ユニット100の演算部において光吸収係数が算出される。このとき、四塩化ケイ素中に二酸化ケイ素が生成している場合、透過光L’の強度が小さくなり、光吸収係数が大きくなる。なお、光吸収算出工程においては、連続的に光吸収係数を算出してもよいし、断続的に(例えば、所定時間毎に)光吸収係数を算出してもよい。
次に、判定工程において、光吸収係数算出工程において算出した光吸収係数が、基準を満たすか否かを判定する。判定工程は、炭化ケイ素基板製造装置500が備える制御部において行われる。光吸収係数の値が基準を満たした場合、四塩化ケイ素の品質に問題はないと判定する。光吸収係数の値が基準を満たさない場合、四塩化ケイ素の品質に問題があると判定する。また、四塩化ケイ素の光吸収係数の基準は、400nm~700nmの波長範囲において、0.1cm-1以下とすることができる。四塩化ケイ素の光吸収係数が、400nm~700nmの波長範囲において0.1cm-1以下であれば、炭化ケイ素を蒸着する原料として用いても、製造された炭化ケイ素基板の品質への影響や装置の不具合の発生を抑制することができる。高品質の基板を製造する観点から、より好ましい四塩化ケイ素の光吸収係数の基準は、400nm~700nmの波長範囲において0.05cm-1以下である。なお、判定工程は、炭化ケイ素基板製造装置500の操作者が行ってもよいし、外部の演算装置や測定ユニット100の演算部において行ってもよい。なお、判定工程の基準に用いる指標としては、吸光度よりも、経路長に依存しない光吸収係数を用いることが好ましいことから、本実施形態においては、光吸収係数を用いるものとする。
また、光吸収係数は、400nm~700nmの波長範囲における、1点の波長の光吸収係数を算出してもよいし、複数の波長の光吸収係数を算出してもよい。複数の波長の光吸収係数を算出する場合、算出したすべての光吸収係数が基準(例えば0.1cm-1以下)を満たす場合に、四塩化ケイ素が基準を満たすと判定するものとする。
本実施形態の四塩化ケイ素の品質評価方法は、前述した本実施形態の測定ユニット100を用いて、液体状の四塩化ケイ素の品質を評価する品質評価方法であって、液体状の四塩化ケイ素の光吸収係数を算出する光吸収係数算出工程と、光吸収係数算出工程で算出した光吸収係数が、基準を満たすか否かを判定する判定工程と、を備える。これにより、液体状の四塩化ケイ素の光吸収係数を算出して、原料となる四塩化ケイ素の品質評価を行うことができる。よって、原料となる四塩化ケイ素の品質を事前に評価して、高品質で歩留まりのよい製品の製造が可能となる。
[品質管理方法]
次に、本発明の一実施形態にかかる品質管理方法について、図1を参照して説明する。本実施形態にかかる品質管理方法は、前述した四塩化ケイ素の品質評価方法を用いて、例えば炭化ケイ素基板製造装置500等の炭化ケイ素基板製造装置において、液体状の四塩化ケイ素の品質を評価するものである。以下の説明においては、前述した炭化ケイ素基板製造装置500における、四塩化ケイ素の品質管理方法について説明する。
本実施形態の品質管理方法は、前述した品質評価方法を用いて液体状の四塩化ケイ素の品質を評価する品質評価工程と、判定工程において基準を満たした液体状の四塩化ケイ素の、原料供給配管40での供給を継続する供給工程を含む。また、判定工程において前記基準を満たさなかった場合、液体状の前記四塩化ケイ素を廃棄する廃棄工程を含む。
品質評価工程において液体状の四塩化ケイ素が基準を満たした場合、液体状の四塩化ケイ素の、原料供給配管40での供給を継続する供給工程が行われる。すなわち、炭化ケイ素基板製造装置500の制御部により、切換器410aが、四塩化ケイ素の送液方向を液体マスフローコントローラ50とするように設定される。また、品質評価工程において液体状の四塩化ケイ素が基準を満たさなかった場合、液体状の前記四塩化ケイ素を廃棄する廃棄工程が行われる。すなわち、炭化ケイ素基板製造装置500の制御部により、切換器410aが、四塩化ケイ素の送液方向を廃棄タンク60とするように設定される。
本実施形態の四塩化ケイ素の品質管理方法は、前述した四塩化ケイ素の品質評価方法を用いて、液体状の四塩化ケイ素の品質を評価する品質評価工程と、判定工程において基準を満たした液体状の四塩化ケイ素の、原料供給配管40での供給を継続する供給工程を含む。これにより、液体状の四塩化ケイ素の光吸収係数を算出して、原料となる四塩化ケイ素の品質評価を行うことができる。よって、四塩化ケイ素の品質を事前に評価して、基準を満たした液体状の四塩化ケイ素を原料として供給することにより、高品質で歩留まりのよい製品の製造が可能となる。
また、判定工程において前記基準を満たさない液体状の前記四塩化ケイ素を廃棄する廃棄工程を含む。よって、品質が低下した四塩化ケイ素を炭化ケイ素基板の原料とすることなく、低品質の炭化ケイ素基板を製造することを抑制することができる。また、二酸化ケイ素の混入による液体マスフローコントローラ50や気化器30の故障を防止することができる。
[製造方法]
次に、本発明の一実施形態にかかる炭化ケイ素基板の製造方法について、図1を参照して説明する。本実施形態にかかる炭化ケイ素基板の製造方法は、前述した四塩化ケイ素の品質管理方法を用いて、例えば炭化ケイ素基板製造装置500等の炭化ケイ素基板製造装置において、炭化ケイ素多結晶膜や炭化ケイ素エピタキシャル膜を蒸着して、炭化ケイ素基板を製造するものである。以下の説明においては、前述した炭化ケイ素基板製造装置500における、炭化ケイ素基板の製造方法について説明する。
本実施形態の炭化ケイ素基板の製造方法は、前述した四塩化ケイ素の品質管理方法を用いて、液体状の四塩化ケイ素の品質を管理する品質管理工程と、炭化ケイ素基板製造工程と、を含み、炭化ケイ素基板製造工程が、品質管理工程において基準を満たした液体状の四塩化ケイ素を用いて、炭化ケイ素の化学蒸着を行う蒸着工程を含む。
次に、炭化ケイ素基板製造工程について説明する。炭化ケイ素基板製造工程においては、蒸着工程が行われる。品質管理工程において基準を満たした液体状の四塩化ケイ素が気化器30に供給され、四塩化ケイ素が気化される。さらに、ガス供給配管70を介して、蒸着炉20にガス状の四塩化ケイ素が供給される。ガス状の四塩化ケイ素の供給と同時に、他の原料ガス、キャリアガスも蒸着炉20に供給される。
本実施形態において、原料ガスとしては、Si系原料ガスは、四塩化ケイ素が用いられる。C系原料ガスとしては、炭化ケイ素膜を成膜させることができれば、特に限定されず、一般的に炭化ケイ素膜の成膜に使用されるC系原料ガスを用いることができ、例えば、メタン(CH)、プロパン(C)、アセチレン(C)等の炭化水素等を用いることができる。
また、キャリアガスとしては、炭化ケイ素多結晶膜の成膜を阻害することなく、原料ガスを支持基板へ展開することができれば、一般的に使用されるキャリアガスを用いることができる。例えば、熱伝導率に優れ、炭化ケイ素に対してエッチング作用があるHガスをキャリアガスとして用いることができる。また、これら原料ガス及びキャリアガスと同時に、第3のガスとして、不純物ドーピングガスを同時に供給することもできる。例えば、炭化ケイ素多結晶基板の導電型をn型とする場合には窒素(N)、p型とする場合にはトリメチルアルミニウム(TMA)を用いることができる。
炭化ケイ素多結晶膜の蒸着工程においては、上記のガスを適宜混合して供給する。また、所望の炭化ケイ素多結晶膜の性状に応じて、蒸着工程の途中でガスの混合割合を変更してもよい。
蒸着炉20の成膜室内に支持基板を載置して、減圧状態で、Ar等の不活性ガス雰囲気下で、成膜の反応温度まで、ヒーターにより支持基板を加熱する。成膜の反応温度(例えば、1350℃程度)まで達したら、不活性ガスの供給を止めて、成膜室内に原料ガスやキャリアガスを供給する。支持基板の成膜対象面や気相での化学反応により、加熱した支持基板に炭化ケイ素膜を成膜させることができる。以上により、蒸着工程が終了する。
また、成膜対象である支持基板としては、黒鉛製支持基板や、ケイ素製支持基板を用いることができる。炭化ケイ素基板製造工程においては、炭化ケイ素膜を成膜した後、必要に応じて、支持基板の除去工程を行うことができる。また、支持基板の厚さ寸法は、0.5mm~10mm程度のものを工程に用いることができる。厚さが0.5mm程度よりも薄い場合には、強度が不足しやすくなり、厚さが10mm程度よりも厚い場合には、支持基板を除去する場合の工程の時間が長くなりすぎることがある。また、支持基板を厚くしすぎずに、適切な厚さとすることで、支持基板の材料のコストを抑えることができる。なお、炭化ケイ素のエピタキシャル膜を成膜する場合には、炭化ケイ素単結晶製の支持基板を用いることができる。
支持基板として、黒鉛製の支持基板を用いた場合には、炭化ケイ素膜が蒸着した支持基板を燃焼して、支持基板を除去することができる。燃焼による支持基板の除去工程は、例えば、二珪化モリブデン製のヒーターを備える燃焼炉等を用いることができる。炭化ケイ素膜が蒸着した支持基板を燃焼炉内に保持して、燃焼炉内にOや空気等の酸化性ガスを供給しながら、常圧または減圧状態で、ヒーターにより燃焼炉内を数百度(例えば、800℃程度)に加熱する。加熱により、支持基板のみが燃焼して、炭化ケイ素基板が得られる。
また、支持基板として、ケイ素製の支持基板を用いた場合には、炭化ケイ素膜が蒸着した支持基板を硝フッ酸(硝酸とフッ化水素酸の混合酸)に浸漬して、ケイ素製の支持基板のみを溶解することで、炭化ケイ素基板が得られる。
なお、炭化ケイ素基板製造工程においては、支持基板の全面が炭化ケイ素膜で覆われた場合には、支持基板を露出させるため、炭化ケイ素膜が蒸着した支持基板の外周端部を切断して支持基板を露出させる切断工程を行ってもよい。
また、品質管理工程は、炭化ケイ素基板製造工程における蒸着工程の前のみではなく、蒸着工程が終了するまで、連続的、あるいは断続的に行うことが好ましい。これにより、蒸着工程の途中で液体状の四塩化ケイ素の品質が変化した場合においても、四塩化ケイ素の供給を停止することができ、低品質の炭化ケイ素基板を製造することを抑制することができる。
本発明の炭化ケイ素基板の製造方法は、前述した四塩化ケイ素の品質管理方法を用いて、液体状の四塩化ケイ素の品質を管理する品質管理工程と、炭化ケイ素基板製造工程と、を含み、炭化ケイ素基板製造工程が、品質管理工程において基準を満たした液体状の四塩化ケイ素を用いて、炭化ケイ素の化学蒸着を行う蒸着工程を含む。これにより、液体状の四塩化ケイ素の光吸収係数を算出して、原料となる四塩化ケイ素の品質評価を行うことができる。よって、原料となる四塩化ケイ素の品質を炭化ケイ素の成膜前に評価して、基準を満たした液体状の四塩化ケイ素を原料として用いることにより、高品質で歩留まりのよい炭化ケイ素基板の製造が可能となる。
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
炭化ケイ素基板製造装置500の変形例として、炭化ケイ素基板製造装置500A(図3)、500B(図4)、500C(図5)を示して説明する。変形例において、炭化ケイ素基板製造装置500と同じ構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
図3に示す、炭化ケイ素基板製造装置500Aは、測定ユニット100Aが、原料供給配管40Aの支流管430に設けられている点において、炭化ケイ素基板製造装置500とは異なる。炭化ケイ素基板製造装置500Aは、原料タンク10と、蒸着炉20と、気化器30と、原料タンク10から気化器30に液体状の四塩化ケイ素を供給する原料供給配管40Aと、液体マスフローコントローラ50と、廃棄タンク60と、ガス供給配管70と、原料供給配管40Aと廃棄タンク60とをつなぐ廃棄配管80と、液体状の四塩化ケイ素の光吸収係数を測定する測定ユニット100Aと、四塩化ケイ素を原料タンク10から気化器30に供給するための不図示のポンプと、製造装置の動作の制御を行う不図示の制御部を備えている。
原料供給配管40Aは、第1供給配管41Aと、第2原料供給配管42とを有している。また、第1供給配管41Aは、本流管420と、本流管420から分岐して、本流管420を流れる液体状の前記四塩化ケイ素の一部が分岐して流れたのちに本流管420に合流するように構成された支流管430と、を有している。また、図3に示すように、支流管430は、本流管420からの分岐口430aで分岐して、合流口430bで本流管420と合流するように接続される。また、測定ユニット100Aの光透過部120Aが支流管430に設けられている。なお、測定ユニット100Aは、光透過部120Aが支流管430に設けられている点以外は測定ユニット100と同様の構成である。
測定ユニット100Aの光透過部120Aが支流管430に設けられている。また、測定ユニット100Aには、少量の四塩化ケイ素が供給されれば光吸収係数を算出することができることから、支流管430の径寸法を、例えば本流管420よりも小さくして、光吸収係数を測定するために好適な寸法とすることができ、炭化ケイ素基板製造装置の設置スペースを小さくすることができる。また、測定ユニット100Aの光透過部120Aが支流管430に設けられていることから、設置箇所の状況に応じて、測定ユニット100Aを炭化ケイ素基板製造装置本体から離れて設置することができる。また、既存の炭化ケイ素基板製造装置に、後から測定ユニット100Aを追加して設置することもできる。
また、例えば、分岐口430aと合流口430bに四塩化ケイ素の供給を調節するバルブを設けてもよい。これにより、四塩化ケイ素の光吸収係数を測定するときのみ四塩化ケイ素を支流管430に流れるようにすることができる。また、測定ユニット100Aのメンテナンス性を向上させることができる。
図4に示す炭化ケイ素基板製造装置500Bは、液体状の四塩化ケイ素を濾過することができる原料濾過部90が設けられている点において、炭化ケイ素基板製造装置500とは異なる。炭化ケイ素基板製造装置500Bは、原料タンク10と、蒸着炉20と、気化器30と、原料タンク10から気化器30に液体状の四塩化ケイ素を供給する原料供給配管40Bと、液体マスフローコントローラ50と、ガス供給配管70と、液体状の四塩化ケイ素を濾過することができる原料濾過部90と、液体状の四塩化ケイ素の光吸収係数を測定する測定ユニット100と、四塩化ケイ素を原料タンク10から気化器30に供給するための不図示のポンプと、製造装置の動作の制御を行う不図示の制御部を備えている。
原料濾過部90には、液体状の四塩化ケイ素中に生成した固体状の二酸化ケイ素を濾過するための濾過機構が設けられている。濾過機構は、例えば、ガラス、FEPなどのフッ素樹脂等で形成されたフィルターや、繊維状のこれらの材料を充填したカラム等を用いることができる。濾過機構の目開きは、生成した二酸化ケイ素を捕捉できれば特に限定されず、液体状の四塩化ケイ素が判定工程における基準を満たすように二酸化ケイ素を除去することができるように、設定すればよい。
原料供給配管40Bは、第1供給配管41Bと、第2原料供給配管42とを有している。また、第1供給配管41Bは、本流管420と、後述する切換器410bと液体マスフローコントローラ50を接続する440と、本流管420から分岐して本流管420に合流するように構成された濾過部接続管450と、を有している。濾過部接続管450には、原料濾過部90が設けられている。
本流管420と濾過部接続管450との接続部分には、切換器410b(下流側)、410c(上流側)が設けられている。切換器410bは、図4に示すように、測定ユニット100の下流側に設けられ、四塩化ケイ素の送液方向を液体マスフローコントローラ50と、原料濾過部90とに切り換えることができる。また、切換器410cは、図4に示すように、測定ユニット100の下流側に設けられ、濾過部接続管450を流れてきた四塩化ケイ素を本流管420に合流させることができる。
炭化ケイ素基板製造装置500Bにおける四塩化ケイ素の管理方法は、判定工程において基準を満たさない液体状の四塩化ケイ素を濾過する濾過工程を含んでいてもよい。この濾過工程は、炭化ケイ素基板製造装置500Bの原料濾過部90に、基準を満たさない液体状の四塩化ケイ素を供給して濾過することにより、行うことができる。
また、四塩化ケイ素の管理方法において、濾過工程の後に、濾過された液体状の四塩化ケイ素を、品質評価工程に供してもよい。原料濾過部90における濾過工程の後、濾過された液体状の四塩化ケイ素を、切換器410cを介して測定ユニット100の上流側から本流管420に合流させて、測定ユニット100において光吸収係数を算出して行うことができる。
炭化ケイ素基板製造装置500Bが、原料濾過部90を有している。また、品質管理工程において、濾過工程を含む。これにより、液体状の四塩化ケイ素中に二酸化ケイ素が生成した場合においても、廃棄せずに、二酸化ケイ素を除去して炭化ケイ素基板の原料とすることができる。よって、原料コストを抑えて、高品質な炭化ケイ素基板を製造することができる。
また、品質管理工程において、濾過工程の後に、濾過された液体状の四塩化ケイ素を、品質評価工程に供することにより、より確実に、基準を満たす液体状の四塩化ケイ素を気化器30に供給することができ、低品質な炭化ケイ素基板を製造することを防ぐことができる。
図5に示す炭化ケイ素基板製造装置500Cは、測定ユニット100Aが、原料供給配管40Aの支流管430に設けられ、液体状の四塩化ケイ素を濾過することができる原料濾過部90が設けられている点において、炭化ケイ素基板製造装置500とは異なる。炭化ケイ素基板製造装置500Cは、原料タンク10と、蒸着炉20と、気化器30と、原料タンク10から気化器30に液体状の四塩化ケイ素を供給する原料供給配管40Cと、液体マスフローコントローラ50と、ガス供給配管70と、液体状の四塩化ケイ素を濾過する原料濾過部90と、液体状の四塩化ケイ素の光吸収係数を測定する測定ユニット100Cと、四塩化ケイ素を原料タンク10から気化器30に供給するための不図示のポンプと、製造装置の動作の制御を行う不図示の制御部を備えている。
原料供給配管40Cは、第1供給配管41Cと、第2原料供給配管42とを有している。また、第1供給配管41Cは、本流管420と、本流管420から分岐して、本流管420を流れる液体状の前記四塩化ケイ素の一部が分岐して流れたのちに本流管420に合流するように構成された支流管430と、切換器410bと液体マスフローコントローラ50を接続する440と、本流管420から分岐して本流管420に合流するように構成された濾過部接続管450と、を有している。また、図5に示すように、支流管430は、本流管420からの分岐口430aで分岐して、合流口430bで本流管420と合流するように接続される。また、測定ユニット100Aの光透過部120Aが支流管430に設けられている。なお、測定ユニット100Aは、光透過部120Aが支流管430に設けられている点以外は測定ユニット100と同様の構成である。
本流管420と濾過部接続管450との接続部分には、切換器410b(合流口430bの下流側)、410c(分岐口430aの上流側)が設けられている。切換器410bは、図4に示すように、測定ユニット100の下流側に設けられ、四塩化ケイ素の送液方向を液体マスフローコントローラ50と、原料濾過部90とに切り換えることができる。また、切換器410cは、図4に示すように、測定ユニット100の下流側に設けられ、濾過部接続管450を流れてきた四塩化ケイ素を本流管420に合流させることができる。
測定ユニット100Aの光透過部120Aが支流管430に設けられている。また、測定ユニット100Aには、少量の四塩化ケイ素が供給されれば光吸収係数を算出することができることから、支流管430の径寸法を、例えば本流管420よりも小さくして、光吸収係数を測定するために好適な寸法とすることができ、炭化ケイ素基板製造装置の設置スペースを小さくすることができる。
また、例えば、分岐口430aと合流口430bに四塩化ケイ素の供給を調節するバルブを設けてもよい。これにより、四塩化ケイ素の光吸収係数を測定するときのみ四塩化ケイ素を支流管430に流れるようにすることができる。また、測定ユニット100Aのメンテナンス性を向上させることができる。
炭化ケイ素基板製造装置500Cにおける四塩化ケイ素の管理方法は、判定工程において基準を満たさない液体状の四塩化ケイ素を濾過する濾過工程を含んでいてもよい。この濾過工程は、炭化ケイ素基板製造装置500Cの原料濾過部90に、基準を満たさない液体状の四塩化ケイ素を供給して濾過することにより、行うことができる。
また、四塩化ケイ素の管理方法において、濾過工程の後に、濾過された液体状の四塩化ケイ素を、品質評価工程に供してもよい。原料濾過部90における濾過工程の後、濾過された液体状の四塩化ケイ素を、切換器410cを介して測定ユニット100の上流側から本流管420に合流させて、測定ユニット100において光吸収係数を算出して行うことができる。
炭化ケイ素基板製造装置500Cが、原料濾過部90を有している。また、品質管理工程において、濾過工程を含む。これにより、液体状の四塩化ケイ素中に二酸化ケイ素が生成した場合においても、廃棄せずに、二酸化ケイ素を除去して炭化ケイ素基板の原料とすることができる。よって、原料コストを抑えて、高品質な炭化ケイ素基板を製造することができる。
また、品質管理工程において、濾過工程の後に、濾過された液体状の四塩化ケイ素を、品質評価工程に供することにより、より確実に、基準を満たす液体状の四塩化ケイ素を気化器30に供給することができ、低品質な炭化ケイ素基板を製造することを防ぐことができる。
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部、もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
以下、本発明の実施例及び比較例によって、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によって何ら限定されることはない。
本実施例においては、前述した実施形態の炭化ケイ素基板製造装置500、測定ユニット100を用いて、前述した炭化ケイ素基板の製造方法により、炭化ケイ素多結晶膜を成膜して、炭化ケイ素多結晶基板を製造した。
[炭化ケイ素多結晶膜の成膜および評価]
(実施例1)
炭化ケイ素多結晶基板となる、炭化ケイ素多結晶膜を成膜する条件は以下の通りである。支持基板として、直径150mm、厚さ500μmの黒鉛基板を使用した。透明配管は、FEP製の円管状で、内径6mm、外径8mm、長さ5cmとした。本支持基板を炭化ケイ素基板製造装置500の蒸着炉内に固定し、炉内を排気ポンプにより真空引きを行った後、1350℃まで加熱した。原料ガスとして、SiCl(四塩化ケイ素)、CHを用い、キャリアガスとしてHを用い、不純物ドーピングガスとしてNを用いた。炭化ケイ素多結晶膜の蒸着工程においては、SiCl:CH:H:N=1:1:10:10の条件で、40時間の成膜を実施した。
まず、品質管理工程を行った。品質管理工程の品質評価工程において、液体状の四塩化ケイ素の基準を400nm~700nmの波長範囲において、0.1cm-1以下とした。測定ユニットで測定された液体状の四塩化ケイ素の光吸収係数は、波長400nm~700nmにおいて、0.05cm-1であった。これにより、液体状の四塩化ケイ素が基準を満たしたことから、基準を満たした液体状の前記四塩化ケイ素の原料供給配管での供給を継続する供給工程を行った。以上により、四塩化ケイ素の品質管理工程を終了し、前述した条件にて炭化ケイ素基板製造工程における蒸着工程を行い、100枚の炭化ケイ素多結晶膜の蒸着を行った。
次に、支持基板に成膜した炭化ケイ素多結晶膜の外観について、色むらや異物生成の有無を目視にて確認した。液体マスフローコントローラ、気化器には異常は認められなかったものの、蒸着炉から取り出した支持基板に成膜した炭化ケイ素多結晶膜の外観を目視で観察したところ、成膜した炭化ケイ素多結晶膜100枚中、外観に異常が見られたのは0枚であった。また、さらに支持基板を燃焼除去して炭化ケイ素多結晶基板を製造したところ、外観に異常が見られたものはなく、高品質の炭化ケイ素多結晶基板が得られた。
(比較例1)
比較例1として、気化器に供給された液体状四塩化ケイ素の光吸収係数が0.20cm-1であること以外は実施例1と同じ方法で成膜を行った。支持基板に成膜した炭化ケイ素多結晶膜の外観について、色むらや異物生成の有無を目視にて確認したところ、成膜した炭化ケイ素多結晶膜100枚中、色むらや異物生成が見られたのは20枚であった。炭化ケイ素多結晶膜におけるこれらの異常は、ガス状の四塩化ケイ素に残存する二酸化ケイ素由来の酸素源の混入により、色味の変化、低効率の悪化、空孔の発生が起こったものと考えられた。
[評価結果の考察]
以上の評価結果により本発明の例示的態様である実施例1のように、蒸着炉に供給する四塩化ケイ素を気化する気化器に供給される、液体状の四塩化ケイ素の光吸収係数を測定することで、四塩化ケイ素が空気と接触して変質したことを成膜する前に検知でき、炭化ケイ素多結晶膜の品質が向上することが確認された。また、液体状の四塩化ケイ素の品質の変化を炭化ケイ素の成膜前および成膜中に検知することができるため、高品質で歩留まりのよい炭化ケイ素基板の製造が可能となることが示された。また、液体マスフローコントローラや気化器等の、各装置の故障のリスクが低減され、生産性が向上することが見込まれた。
500、500A、500B、500C 炭化ケイ素基板製造装置
100、100A 測定ユニット
10 原料タンク
20 蒸着炉
30 気化器
40 原料供給配管
41、41A、41B、41C 第1原料供給配管
42 第2原料供給配管
50 液体マスフローコントローラ
60 廃棄タンク
90 原料濾過部
110 光源
120、120A 光透過部
130 受光素子
420 本流管
430 支流管
L 光
L’ 透過した光

Claims (9)

  1. 液体状の四塩化ケイ素の光吸収係数を算出する光吸収係数算出工程と、
    前記光吸収係数算出工程で算出した前記光吸収係数が、基準を満たすか否かを判定する判定工程と、を備える、測定ユニットを用いる、液体状の四塩化ケイ素の品質を評価する四塩化ケイ素の品質評価方法を用いて、液体状の四塩化ケイ素の品質を評価する品質評価工程と、
    前記判定工程において前記基準を満たした液体状の前記四塩化ケイ素の、液体状の前記四塩化ケイ素を供給する原料供給配管での供給を継続する供給工程と、
    前記判定工程において前記基準を満たさない液体状の前記四塩化ケイ素を濾過する濾過工程を含
    前記測定ユニットは、液体状の四塩化ケイ素の光吸収係数を測定する測定ユニットであって、
    光源と、
    液体状の前記四塩化ケイ素を供給する前記原料供給配管に設けられ、前記光源からの光を透過する光透過部と、
    前記光透過部を透過する前記光を受光する受光素子と、を備える、四塩化ケイ素の測定ユニットである、四塩化ケイ素の品質管理方法。
  2. 前記判定工程において前記基準を満たさない液体状の前記四塩化ケイ素を廃棄する廃棄工程を含む、請求項に記載の四塩化ケイ素の品質管理方法。
  3. 前記濾過工程の後に、濾過された液体状の前記四塩化ケイ素を、前記品質評価工程に供する、請求項1または2に記載の四塩化ケイ素の品質管理方法。
  4. 前記測定ユニットは、前記光源と前記受光素子とが、前記光透過部を挟んで対向して設けられており、
    前記光透過部において、液体状の前記四塩化ケイ素が流れる方向と、前記光源と前記受光素子との対向方向とが直交する、請求項1~3のいずれかに記載の四塩化ケイ素の品質管理方法。
  5. 前記光吸収係数の前記基準が、400nm~700nmの波長範囲において、0.1cm -1 以下である、請求項1~4のいずれかに記載の四塩化ケイ素の品質管理方法。
  6. 請求項のいずれか1項に記載の四塩化ケイ素の品質管理方法を用いて、液体状の四塩化ケイ素の品質を管理する品質管理工程と、
    炭化ケイ素基板製造工程と、を含み、
    前記炭化ケイ素基板製造工程が、前記品質管理工程において前記基準を満たした液体状の四塩化ケイ素を用いて、炭化ケイ素の化学蒸着を行う蒸着工程を含む、炭化ケイ素基板の製造方法。
  7. 液体状の四塩化ケイ素を貯蔵する原料タンクと、
    炭化ケイ素を化学蒸着する蒸着炉と、
    液体状の前記四塩化ケイ素を気化する気化器と、
    前記原料タンクから前記気化器に液体状の前記四塩化ケイ素を供給する原料供給配管と、
    液体状の前記四塩化ケイ素の光吸収係数を測定する測定ユニットと、
    液体マスフローコントローラと、を備え、
    前記測定ユニットが、光源と、前記光源からの光を透過する光透過部と、前記光透過部を透過する前記光を受光する受光素子と、を有し、
    前記光透過部が前記原料供給配管に設けられており、
    前記原料供給配管は、前記原料タンクと前記液体マスフローコントローラをつなぐ第1原料供給配管と、
    前記液体マスフローコントローラと前記気化器とをつなぐ第2原料供給配管と、を有し、
    前記光透過部が、前記第1原料供給配管に設けられており、
    前記第1原料供給配管に接続された原料濾過部をさらに有する、炭化ケイ素基板製造装置。
  8. 前記原料供給配管が、本流管と、前記本流管から分岐して、前記本流管を流れる液体状の前記四塩化ケイ素の一部が分岐して流れたのちに前記本流管に合流するように構成された支流管と、を有し、
    前記光透過部が前記支流管に設けられている、請求項に記載の炭化ケイ素基板製造装置。
  9. 前記第1原料供給配管に接続された廃棄タンクをさらに有する、請求項7または8に記載の炭化ケイ素基板製造装置。
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