JP6622912B2 - CVD−SiC膜および複合材 - Google Patents

CVD−SiC膜および複合材 Download PDF

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Description

本発明は、CVD−SiC膜の製造方法および当該方法で製造されたCVD−SiC膜に関する。
SiCは、耐熱性、機械的強度、耐食性を有する素材であるため、様々な分野で使用されている。例えば、半導体製造における熱処理部材であるサセプタ、ライナーチューブ、プロセスチューブ、ウェハボート、単結晶引き上げ装置用部材などが挙げられる。
また、SiCをCVD法で形成したCVD−SiC材は、緻密で気孔がなく、高純度の素材が得られるので、上記用途では、黒鉛、SiCなどの基材に被覆した複合材、あるいはCVD−SiC膜を基材から分離して単体で用いられることもある。
特許文献1には、CVD法によりSiC被膜が黒鉛基材面に強固に被着されており、急速加熱や急速冷却などの熱衝撃に対し優れた耐熱衝撃性を有し、また耐蝕性にも優れたSiC被覆黒鉛部材が記載されている。具体的には、半導体製造における熱処理用部材などとして好適に用いられるSiC被覆黒鉛部材として、黒鉛基材面にCVD法により析出したSiC被膜を被覆した黒鉛部材であって、黒鉛基材が平均気孔径0.4〜3μm、最大気孔径10〜100μmの気孔性状を備え、黒鉛基材面から深さ150μmの黒鉛基材表層部におけるSiCの占有率が15〜50%であって、SiC被膜の平均結晶粒径が1〜3μmのSiC被覆黒鉛部材である。
また、特許文献1では、SiC被膜の結晶性はSiC(111)面への配向性が強く、X線回折によるSiC(111)面の回折ピークの強度が全結晶面SiC(hkl)の強度の80%以上に高配向していることが好ましく、SiC(111)面に高配向したSiC被膜によって優れた耐蝕性が付与されることが記載されている。
特開2002−3285号公報
しかしながら、上記記載された発明は、平均結晶粒径が1〜3μmである上に111以外の方向に配向した結晶も共存するため、結晶粒子間に隙間ができやすく、気孔もできやすいため、十分に緻密な構造のCVD膜を得ることは困難である。
また、111方向の配向のCVD−SiC膜は、低い製膜温度で得られる膜であるが、製膜温度が低いと充分な分解速度が得られず、厚いCVD−SiC膜を得るには長時間を要し、効率的にCVD−SiC膜を得ることは困難である。
本発明では、前記課題を鑑み、緻密で気孔の少ないCVD−SiC膜および複合材ならびにこのようなCVD−SiC膜を効率よく製造する製造方法を提供することを目的とする。
本発明のCVD−SiC膜の製造方法は、
(1)原料ガスを供給しながらCVD炉内で基材上に沈積させる光CVD法によるCVD−SiC膜の製造方法であって、
前記光CVD法は、製膜温度(t[K])と全圧(p[kPa])が下記式(1)を満たす。
本発明のCVD−SiC膜の製造方法によれば、式(1)を満たす高い圧力で製膜しているので原料ガスが効率よく基材に供給され、速い製膜速度でCVD−SiC膜を形成することができる。また、所定の製膜温度で基材を加熱しながら光線を照射する光CVD法で製膜しているので、熱と光線との相互作用により基材近傍で原料ガスを分解しやすくすることができる。このため、空中での原料ガスが分解を抑制することにより無秩序なSiCの沈積を防止し、基材の表面で原料ガスが分解することにより、緻密で結晶方向の揃ったCVD−SiC膜を効率よく速い製膜速度で得ることができる。
(2)前記全圧pは、6〜10kPaである。
製膜時のCVD炉内の全圧が6kPa以上であると、基材に充分に原料ガスを供給することができるので、効率よく結晶方向の揃った緻密なCVD−SiC膜を形成することができる。また、製膜時のCVD炉内の全圧が10kPa以下であると、原料ガスによる光線の吸収を抑えることができるので、光線が基材に到達するまでの原料ガスの分解を抑止し、空中での原料ガスの分解を抑制することができ、緻密で結晶方向の揃ったCVD−SiC膜を効率よく速い製膜速度で得ることができる。
(3)前記製膜温度tは、1600〜1700Kである。
製膜温度tが1600K以上であると、製膜に必要な光線のエネルギーを小さくすることができる。このため、基材の表面に到達する前の光路で原料ガスの分解を抑制し、基材の表面で原料を効率よく分解させることができる。また、製膜温度が1700K以下であると、熱CVDの作用だけではCVD−SiC膜を十分に形成することができず、光線の作用と組み合わせて基材の表面でのCVD−SiC膜の形成を促進することができる。このため、空中での原料ガスの分解を抑制することにより無秩序なSiCの沈積を防止し、基材の表面でのCVD−SiC膜の形成を促進することができるので、緻密で結晶粒子の揃ったCVD−SiC膜を効率よく速い製膜速度で得ることができる。
(4)前記光線は、波長が1500nm以下である。
前記光線の波長が1500nm以下であると、原料ガスを分解させ、CVD−SiC膜を得るために充分な光子エネルギーを有しているので、緻密で結晶粒子の揃ったCVD−SiC膜を効率よく速い製膜速度で得ることができる。
(5)本発明のCVD−SiC膜は、上記製造方法で製造されてなる。
本発明のCVD−SiC膜は、上記製造方法で製造されているので、緻密で結晶粒子の揃ったCVD−SiC膜を効率よく速い製膜速度で得ることができる。
上記課題を解決するための本発明のCVD−SiC膜は、
(6)膜厚の方向に延び、上端部が正六角錐の結晶粒子を含み、前記膜厚の方向におけるF111(111方向のLotgering Factor)が0.8〜1.0である。
本発明のCVD−SiC膜においては、膜厚の方向に延び、上端部が正六角錐の形状を呈する結晶粒子が構成されている。すなわち、当該結晶粒子は、CVD−SiC膜を成長させる基材の表面(CVD−SiC膜の厚み方向に対して垂直な面)に対して垂直方向に延び、多数の結晶粒子が配列している。よって、結晶粒子が乱雑に積み重なることなく、結晶粒子間の隙間を小さくすることができる。このため、緻密で気孔の少ないCVD−SiC膜を得ることができる。
結晶粒子の上端部は正六角錐の形状を呈する。正六角形は、60°回転するごとに元の図形と重なりかつ内角の3倍が360°となるので、柱状の結晶粒子が互いに隙間を小さくするように並ばせることができる。このため、結晶方向の乱れた結晶粒子が隙間に形成されにくく、隙間の少ない緻密なCVD−SiC膜を得ることができると考えられる。
また、結晶粒子の上端部が正六角錐の形状を呈し、先端が尖っているので、正面への光を反射する平坦面がない。すなわち、斜面のみでCVD−SiC膜の表面が構成されているので、当たった光は散乱し、平坦面と斜面との比率によって正反射率に対して影響を受けにくくすることができる。このため、結晶粒子の成長の仕方によって反射に与える影響を小さくすることができる。
Lotgering Factorとは、X線回折によって得られる結晶の配向度を、ピークの半値幅の影響を排除して判断する指標であり、完全に配向した試料の場合、数値が1となり、ランダムに配向した試料の場合、0となる。
本発明のCVD−SiC膜は、当該CVD−SiC膜の膜厚の方向におけるF111が0.8〜1.0である。膜厚の方向(基材の表面に垂直な方向)に対して111方向(111面に垂直な[111]方向)が強く配向したCVD−SiC膜であるので、結晶粒子の配列の乱れが少なく、より緻密で気孔の少ないCVD−SiC膜を得ることができる。
さらに本発明のCVD−SiC膜は以下の態様であることが望ましい。
(7)前記F111が0.9〜1.00である。
本発明のCVD−SiC膜によれば、膜厚の方向におけるF111が0.9〜1.0である。膜厚の方向に対して111方向がさらに強く配向したCVD−SiC膜であるので、結晶粒子の配列の乱れが少なく、さらに緻密で気孔の少ないCVD−SiC膜を得ることができる。
(8)前記結晶粒子の直径の最大値は、50〜300μmである。
結晶粒子の直径の最大値とは、多数散在する結晶粒子の中で、最も大きな結晶粒子の直径である。
一般にCVD−SiC膜は、CVD炉において製膜の開始から終了まで間に結晶粒子が徐々に成長していく。結晶粒子の大きさは、製膜の開始から終了までの間に継続して成長したものが最も大きく、製膜の途中で成長が止まったもの、製膜の途中から成長を開始したものでは、それより小さくなる。このため、CVD−SiC膜の表面に観察される最も大きな結晶粒子は、製膜の開始から成長してきたものであり、結晶粒子の直径の分布において、ほぼ同等の大きさの結晶粒子が「大きな結晶粒子」の群を構成し、製膜の途中から成長を開始した「小さな結晶粒子」がその隙間を埋める。このため、特異的に大きな結晶粒子が存在することはない。また、製膜の開始には多数あった結晶粒子が淘汰しながら「大きな結晶粒子」に成長していくので、CVD−SiC膜の表面は、結晶粒子の直径の分布において「大きな結晶粒子」の群が面積の大半を占有する。
本発明の結晶粒子の直径の最大値は300μm以下であるので、粗大な結晶粒子がなく、熱伝導、輻射率など熱的な特性を均一化することができ、例えば、半導体などの用途で好適に利用することができる。
また、本発明の結晶粒子の直径の最大値は50μm以上であるので、CVD−SiC膜の表面の面積の大半を占有する「大きな結晶粒子」の群が、表面に形成される粒子間の隙間の数を減らし、緻密なCVD−SiC膜を形成することができる。
また、前記課題を解決するための複合材は、
(9)基材と、前記記載のCVD−SiC膜とからなる。
CVD−SiC膜は、高純度の原料ガスが原材料であるので、高純度であり、気孔の少ない緻密な素材である。
本発明の複合材によれば、緻密なCVD−SiC膜で覆われているので、基材とCVD−SiC膜の外側とのガスの流通を遮断することができ、基材を外部の腐食性ガスから保護するとともに、基材からの不純物ガスの放出を防止することができる。このため、腐食性ガスに強く、不純物ガスの放出の少ない複合材を提供することができる。
(10)前記基材は、黒鉛である。
一般に黒鉛は、耐熱性、強度が高く、さらに加工性がよいため、様々な形状に加工できる。一方、黒鉛は、酸化しやすく、高温の酸化雰囲気では消耗が早いことが欠点である。
本発明の複合材は、前記CVD−SiC膜で被覆することによって、基材の酸化を防止することができる。また、CVD−SiC膜で被覆することによって多孔質である黒鉛が吸着したガスなどをCVD−SiC膜の外側に放出しにくくすることができる。このため、耐熱性に優れ、強度が高く、様々な形状に対応できる複合材を提供することができる。
本発明のCVD−SiC膜の製造方法によれば、高い圧力で製膜しているので原料ガスが効率よく基材に供給され、速い製膜速度でCVD−SiC膜を形成することができる。また、基材を加熱しながら光線を照射する光CVD法で製膜しているので、熱と光線との相互作用により基材近傍で原料ガスを分解しやすくすることができる。このため、空中での原料ガスが分解を抑制することにより無秩序なSiCの沈積を防止し、基材の表面で原料ガスが分解することにより、緻密で結晶方向の揃ったCVD−SiC膜を効率よく速い製膜速度で得ることができる。
本発明のCVD−SiC膜においては、上端部が正六角錐の結晶粒子が配列しているので、結晶粒子が乱雑に積み重なることなく、結晶粒子間の隙間を小さくすることができる。このため、緻密で気孔の少ないCVD−SiC膜を得ることができる。
本発明の複合材は、緻密なCVD−SiC膜で覆われているので、基材とCVD−SiC膜の外側とのガスの流通を遮断することができ、基材を外部の腐食性ガスから保護するとともに、基材からの不純物ガスの放出を防止することができる。このため、腐食性ガスに強く、不純物ガスの放出の少ない複合材を提供することができる。
本発明の実施の形態のCVD−SiC膜を得るためのCVD装置の一例である。 本発明の実施例の確認試験におけるa1〜h5および比較例i1〜i4の試験条件及びその結果を示す表である。 本発明の実施例の確認試験におけるa1〜h5の試験で得られたCVD−SiC膜をX線回折法により解析し、得られたピークから解析した配向方向を示す模式図である。 図3の模式図の部分拡大図であり、4〜10kPaの範囲を拡大し、縦軸を実数軸にして表した図であり、CVD−SiC膜の配向方向に分けてその区分している。 本発明の実施例の確認試験におけるa1〜h5の試験における製膜速度を示す説明図である。 本発明の実施例の確認試験における全圧が2kPaであるa1の試料で得られたCVD−SiC膜のSEM写真である。 本発明の実施例の確認試験における全圧が2kPaであるa2の試料で得られたCVD−SiC膜のSEM写真である。 本発明の実施例の確認試験における全圧が2kPaであるa3の試料で得られたCVD−SiC膜のSEM写真である。 本発明の実施例の確認試験における全圧が2kPaであるa4の試料で得られたCVD−SiC膜のSEM写真である。 本発明の実施例の確認試験における全圧が2kPaであるa5の試料で得られたCVD−SiC膜のSEM写真である。 本発明の実施例の確認試験における全圧が4kPaであるb1の試料で得られたCVD−SiC膜のSEM写真である。 本発明の実施例の確認試験における全圧が4kPaであるb2の試料で得られたCVD−SiC膜のSEM写真である。 本発明の実施例の確認試験における全圧が4kPaであるb3の試料で得られたCVD−SiC膜のSEM写真である。 本発明の実施例の確認試験における全圧が4kPaであるb4の試料で得られたCVD−SiC膜のSEM写真である。 本発明の実施例の確認試験における全圧が4kPaであるb5の試料で得られたCVD−SiC膜のSEM写真である。 本発明の実施例の確認試験における全圧が5kPaであるc1の試料で得られたCVD−SiC膜のSEM写真である。 本発明の実施例の確認試験における全圧が5kPaであるc2の試料で得られたCVD−SiC膜のSEM写真である。 本発明の実施例の確認試験における全圧が5kPaであるc3の試料で得られたCVD−SiC膜のSEM写真である。 本発明の実施例の確認試験における全圧が5kPaであるc4の試料で得られたCVD−SiC膜のSEM写真である。 本発明の実施例の確認試験における全圧が5kPaであるc5の試料で得られたCVD−SiC膜のSEM写真である。 本発明の実施例の確認試験における全圧が6kPaであるd1の試料で得られたCVD−SiC膜のSEM写真である。 本発明の実施例の確認試験における全圧が6kPaであるd2の試料で得られたCVD−SiC膜のSEM写真である。 本発明の実施例の確認試験における全圧が6kPaであるd3の試料で得られたCVD−SiC膜のSEM写真である。 本発明の実施例の確認試験における全圧が6kPaであるd4の試料で得られたCVD−SiC膜のSEM写真である。 本発明の実施例の確認試験における全圧が6kPaであるd5の試料で得られたCVD−SiC膜のSEM写真である。 本発明の実施例の確認試験における全圧が8kPaであるe1の試料で得られたCVD−SiC膜のSEM写真である。 本発明の実施例の確認試験における全圧が8kPaであるe2の試料で得られたCVD−SiC膜のSEM写真である。 本発明の実施例の確認試験における全圧が8kPaであるe3の試料で得られたCVD−SiC膜のSEM写真である。 本発明の実施例の確認試験における全圧が8kPaであるe4の試料で得られたCVD−SiC膜のSEM写真である。 本発明の実施例の確認試験における全圧が8kPaであるe5の試料で得られたCVD−SiC膜のSEM写真である。 本発明の実施例の確認試験における全圧が10kPaであるf1の試料で得られたCVD−SiC膜のSEM写真である。 本発明の実施例の確認試験における全圧が10kPaであるf2の試料で得られたCVD−SiC膜のSEM写真である。 本発明の実施例の確認試験における全圧が10kPaであるf3の試料で得られたCVD−SiC膜のSEM写真である。 本発明の実施例の確認試験における全圧が10kPaであるf4の試料で得られたCVD−SiC膜のSEM写真である。 本発明の実施例の確認試験における全圧が10kPaであるf5の試料で得られたCVD−SiC膜のSEM写真である。 本発明の実施例の確認試験における全圧が20kPaであるg1の試料で得られたCVD−SiC膜のSEM写真である。 本発明の実施例の確認試験における全圧が20kPaであるg2の試料で得られたCVD−SiC膜のSEM写真である。 本発明の実施例の確認試験における全圧が20kPaであるg3の試料で得られたCVD−SiC膜のSEM写真である。 本発明の実施例の確認試験における全圧が20kPaであるg4の試料で得られたCVD−SiC膜のSEM写真である。 本発明の実施例の確認試験における全圧が20kPaであるg5の試料で得られたCVD−SiC膜のSEM写真である。 本発明の実施例の確認試験における全圧が40kPaであるh1の試料で得られたCVD−SiC膜のSEM写真である。 本発明の実施例の確認試験における全圧が40kPaであるh2の試料で得られたCVD−SiC膜のSEM写真である。 本発明の実施例の確認試験における全圧が40kPaであるh3の試料で得られたCVD−SiC膜のSEM写真である。 本発明の実施例の確認試験における全圧が40kPaであるh4の試料で得られたCVD−SiC膜のSEM写真である。 本発明の実施例の確認試験における全圧が40kPaであるh5の試料で得られたCVD−SiC膜のSEM写真である。 本発明の比較例である熱CVD法での製膜試験で得られたi1の試料のCVD−SiC膜のSEM写真である。 本発明の比較例である熱CVD法での製膜試験で得られたi2の試料のCVD−SiC膜のSEM写真である。 本発明の比較例である熱CVD法での製膜試験で得られたi3の試料のCVD−SiC膜のSEM写真である。 本発明の比較例である熱CVD法での製膜試験で得られたi4の試料のCVD−SiC膜のSEM写真である。
本発明のCVD−SiC膜およびCVD−SiC膜の製造方法の実施の形態について以下に説明する。最初に、CVD−SiC膜の製造装置について説明する。
図1は、CVD−SiC膜の製造装置であるCVD装置100の概略図である。CVD装置100は、筐体としてのCVD炉10と、放射温度計21と、導入パイプ22と、光源23と、駆動源31と、支持部材32と、テーブル33と、加熱装置41と、黒鉛ヒーター42とを備える。
CVD炉10はステンレスなどにより形成され、内部に試料としての基材(黒鉛基材)Sが配置される。放射温度計21と、導入パイプ22と、光源23は、CVD炉10の上面に配置されている。放射温度計21は、CVD炉10の内部における放射熱から、CVD炉10の内部の温度、ひいては黒鉛基材Sにおける製膜温度を測定することが可能である。原料供給部である導入パイプ22は、CVD炉10の内部へ原料ガスを供給する。光源23は半導体レーザ等により構成され、黒鉛基材Sにレーザ光線Lを照射する。
モータなどにより構成された駆動源31は、支持部材32とテーブル33をX方向、Y方向に駆動する。テーブル33には黒鉛基材Sが配置され、支持部材32によって駆動源31に連結されたテーブル33が、X方向、Y方向に移動することにより、黒鉛基材S上におけるレーザ光線Lの照射位置もX方向、Y方向に移動する。
CVD炉10の下面においては加熱装置41と加熱ヒーターとしての黒鉛ヒーター42が設けられ、加熱装置41が駆動することにより、黒鉛ヒーター42が熱を発生し、CVD炉10の内部を加熱する。
CVD装置100には、各種の制御装置、真空ポンプ、バルブなどの他の部材が設けられるが、CVD装置100の具体的な構成は特に限定されない。
CVD炉10に供給される原料ガスは特に限定されない。例えば、炭素源と珪素源を同時に有するメチルトリクロロシラン(MTS)などの原料ガス、炭素源と珪素源をそれぞれ混合した原料ガスなどが利用できる。炭素源は、例えばメタン、エタン、プロパンなどが利用できる。珪素源は、例えば、シランのほか、テトラクロロシランなどのハロゲン化シランが利用できる。
また、本発明のCVD法は、光線および熱を励起エネルギーとして併用し原料ガスを分解させる。このため、CVD炉には加熱ヒーター(黒鉛ヒーター42)及び光源23を有している。加熱ヒーターは、基材(黒鉛基材S)に輻射熱の形式で熱を伝え、光源23は基材の表面に光線(レーザ光線L)を照射する。光源23は特に限定されないが、電球、放電ランプ、レーザなどどのようなものでも利用することができる。光源23は、図1ではCVD炉外に設けられているが、CVD炉内に設けられてもよい。図1のようにCVD炉外に備える場合には、CVD炉10に備えられた透明な窓を通して光線を基材に照射することができる。
ここで、当該CVD法においては、黒鉛基材Sの製膜温度(t[K])とCVD炉10の内部の全圧(p[kPa])が下記式(1)を満たす。すなわち、基材が配置されたCVD炉10の内部の基材は、光線が照射され、かつ、一定の温度と圧力の関係が維持されている。
本発明のCVD−SiC膜の製造方法によれば、CVD法の中でも基材に光線を照射する光CVD法を用い、式(1)を満たす高い圧力で製膜している。したがって、基材の表面に対して垂直方向(CVD−SiC膜の膜厚の方向)に延びる多数の柱状の結晶粒子を得ることができると考えられる。これは、次のメカニズムである。
一般に熱CVD法によるCVD−SiC膜は、低温では111方向(111面に対して垂直な方向であって[111]方向のこと)、高温では他の方向に配向しやすくなることが知られている。熱CVD法であるJP1994−92761A公報(0012)には、1323〜1473K、1.3〜13kPaの条件下では、111方向への配向度が高い111配向が得られ、温度が高く、圧力が低くなるにつれて他の方向への配向度が増加し、111配向が得られにくくなり、1473〜1623K、0.13〜1.3kPaの条件下では220方向への配向度が高い220配向がが得られることが記載されている。これは、SiCの結晶粒子の成長速度差に基づくもので、111方向の成長速度が速いためであると考えられる。低い製膜温度の熱CVD法では、基材の表面からCVD−SiC膜が成長する過程で、成長速度の速い111方向以外の成長が淘汰され、111方向に配向したCVD−SiC膜が得られやすくなる。熱CVD法では、製膜温度を高くすることにより、原料ガスが空中で分解し、分解生成物が沈積するようになるので、成長速度の速い111方向は横倒しとなり、111方向に配向したCVD−SiC膜が得られにくくなると考えられる。
一方、本発明の光CVD法によるCVD−SiC膜の製造方法によれば、光と熱の相互作用で基材の表面で原料ガスが分解する。このため、空中での結晶粒子の成長速度よりも、光が照射される基材の表面での成長速度の方が相対的に速いので、結晶粒子が横倒しとなりにくく、成長速度の速い111方向に配向したCVD−SiC膜を速い速度で成長させることができる。
また、111方向に配向した結晶粒子は、先端が尖った形状になって得られるので、照射された光が反射を繰り返しながら原料ガスの分解に繰り返し作用する。このため、基材の表面で効率的に原料ガスを分解させることができ、111方向への配向度の高いCVD−SiC膜を効率よく得ることができると考えられる。さらに、照射された光は、反射を繰り返しながら尖った結晶粒子の間に吸収されていく。このため結晶粒子の間に形成される隙間でもCVD−SiC膜の成長を促すことができ、緻密なCVD−SiC膜を得ることができると考えられる。
上述した全圧pは、6〜10kPaの範囲に設定することが好ましい。製膜時のCVD炉内10の全圧が6kPa以上であると、黒鉛基材Sに充分に原料ガスを供給することができるので、効率よく結晶方向の揃った緻密なCVD−SiC膜を形成することができる。また、製膜時のCVD炉10内の全圧が10kPa以下であると、原料ガスによる光線の吸収を抑えることができるので、レーザ光線Lが黒鉛基材Sに到達するまでの原料ガスの分解を抑止し、空中での原料ガスの分解を抑制することができ、緻密で結晶方向の揃ったCVD−SiC膜を効率よく速い製膜速度で得ることができる。
また、上述した製膜温度tは、1600〜1700Kの範囲であることが好ましい。製膜温度tが1600K以上であると、製膜に必要なレーザ光線Lのエネルギーを小さくすることができる。このため、黒鉛基材Sの表面に到達する前の光路で原料ガスの分解を抑制し、黒鉛基材Sの表面で原料を効率よく分解させることができる。また、製膜温度が1700K以下であると、熱CVDの作用だけではCVD−SiC膜を十分に形成することができず、レーザ光線Lの作用と組み合わせて黒鉛基材Sの表面でのCVD−SiC膜の形成を促進することができる。このため、空中での原料ガスの分解を抑制することにより無秩序なSiCの沈積を防止し、黒鉛基材Sの表面でのCVD−SiC膜の形成を促進することができるので、緻密で結晶粒子の揃ったCVD−SiC膜を効率よく速い製膜速度で得ることができる。
また、レーザ光線Lは、波長が1500nm以下であることが好ましい。レーザ光線Lの波長が1500nm以下であると、原料ガスを分解させ、CVD−SiC膜を得るために充分な光子エネルギーを有しているので、緻密で結晶粒子の揃ったCVD−SiC膜を効率よく速い製膜速度で得ることができる。
次に、製造されるCVD−SiC膜は、Lotgering Factor(Lotgering配向度ともいう)という指標により説明される。Lotgering Factorとは、X線回折における半値幅、分析装置の性能などによる影響を排除して、結晶の配向度を評価するための手法で、X線回折の回折パターンを解析することよって得ることができる。完全に配向した試料の場合、数値が1となり、ランダムに配向した試料の場合、0となる。本書面においては、hkl方向のLotgering Factorは、Fhklという記号で表され、例えば、111方向のLotgering Factorは、F111と表される。
本発明のCVD−SiC膜は、当該CVD−SiC膜の膜厚の方向(基材の表面に対して垂直方向)におけるF111が0.8〜1.0であり、強く配向した111方向が膜厚の方向に対して配向したCVD−SiC膜で構成されるので、結晶粒子の配列の乱れが少なく、より緻密で気孔の少ないCVD−SiC膜を得ることができる。
以下hkl方向のLotgering配向度Fhklを算出する方法を説明する。まず、目的の試料のX線回折パターンを測定し、無配向試料のX線回折パターンとの比較によって配向度を評価する。
下記の式(2)は、Fhklを算出する計算式であり、式(3)は、式(2)に用いられるPの値を算出する計算式である。
hklは、目的の試料のピークの総和に対し、測定する配向に関するピークの総和である。ΣI(hkl)とは、例えばΣI(111)の場合、(111)方向の整数倍であるI(111)、I(222)、・・・、I(nnn)の総和であり、ΣI(002)の場合、(002)方向の整数倍であるI(002)、I(004)、・・・、I(00n)の総和である。また、ΣIは、目的の試料の総てのピークの総和である。
は、無配向試料におけるピークの総和に対し、測定する配向に関するピークの総和である。Pと同様に算出する。
本発明のCVD−SiC膜は、上述したように、111方向のLotgering Factor、F111が0.8〜1.0である。そして、結晶粒子は、膜厚の方向に延び、上端部が正六角錐の形状を呈する。すなわち、当該結晶粒子は、CVD−SiC膜を成長させる基材の表面(CVD−SiC膜の厚み方向に対して垂直な面)に対して垂直方向に延び、多数の結晶粒子が配列している。よって、結晶粒子が乱雑に積み重なることなく、結晶粒子間の隙間を小さくすることができる。このため、緻密で気孔の少ないCVD−SiC膜を得ることができる。
結晶粒子の上端部は正六角錐の形状を呈する。正六角形は、60°回転するごとに元の図形と重なりかつ内角の3倍が360°となるので、柱状の結晶粒子が互いに隙間を小さくするように並ばせることができる。このため、結晶方向の乱れた結晶粒子が隙間に形成されにくく、隙間の少ない緻密なCVD−SiC膜を得ることができると考えられる。
また、結晶粒子の上端部が正六角錐の形状を呈し、先端が尖っているので、正面への光を反射する平坦面がない。すなわち、斜面のみでCVD−SiC膜の表面が構成されているので、当たった光は散乱し、平坦面と斜面との比率によって正反射率に対して影響を受けにくくすることができる。このため、結晶粒子の成長の仕方によって反射に与える影響を小さくすることができる。
また、F111が0.9〜1.00であることがさらに好ましい。この範囲では、膜厚の方向に対して111方向がさらに強く配向したCVD−SiC膜であるので、結晶粒子の配列の乱れが少なく、さらに緻密で気孔の少ないCVD−SiC膜を得ることができる。
また、結晶粒子の直径の最大値は、50〜300μmであることが好ましい。ここで、 結晶粒子の直径の最大値とは、多数散在する結晶粒子の中で、最も大きな結晶粒子の直径である。
一般にCVD−SiC膜は、CVD炉において製膜の開始から終了まで間に結晶粒子が徐々に成長していく。結晶粒子の大きさは、製膜の開始から終了までの間に継続して成長したものが最も大きく、製膜の途中で成長が止まったもの、製膜の途中から成長を開始したものでは、それより小さくなる。このため、CVD−SiC膜の表面に観察される最も大きな結晶粒子は、製膜の開始から成長してきたものであり、結晶粒子の直径の分布において、ほぼ同等の大きさの結晶粒子が「大きな結晶粒子」の群を構成し、製膜の途中から成長を開始した「小さな結晶粒子」がその隙間を埋める。このため、特異的に大きな結晶粒子が存在することはない。また、製膜の開始には多数あった結晶粒子が淘汰しながら「大きな結晶粒子」に成長していくので、CVD−SiC膜の表面は、結晶粒子の直径の分布において「大きな結晶粒子」の群が面積の大半を占有する。
結晶粒子の直径の最大値は300μm以下である場合、粗大な結晶粒子がなく、熱伝導、輻射率など熱的な特性を均一化することができ、例えば、半導体などの用途で好適に利用することができる。
また、結晶粒子の直径の最大値は50μm以上である場合、CVD−SiC膜の表面の面積の大半を占有する「大きな結晶粒子」の群が、表面に形成される粒子間の隙間の数を減らし、緻密なCVD−SiC膜を形成することができる。
さらに、基材と、前記記載のCVD−SiC膜とから複合材が形成される。
CVD−SiC膜は、高純度の原料ガスが原材料であるので、高純度であり、気孔の少ない緻密な素材である。
本発明の複合材によれば、緻密なCVD−SiC膜で覆われているので、基材とCVD−SiC膜の外側とのガスの流通を遮断することができ、基材を外部の腐食性ガスから保護するとともに、基材からの不純物ガスの放出を防止することができる。このため、腐食性ガスに強く、不純物ガスの放出の少ない複合材を提供することができる。
また、基材は、黒鉛であることが好ましい。
一般に黒鉛は、耐熱性、強度が高く、さらに加工性がよいため、様々な形状に加工できる。一方、黒鉛は酸化しやすく、高温の酸化雰囲気では消耗が早いことが欠点である。
本発明の複合材は、前記CVD−SiC膜で被覆することによって、基材の酸化を防止することができる。また、CVD−SiC膜で被覆することによって多孔質である黒鉛が吸着したガスなどをCVD−SiC膜の外側に放出しにくくすることができる。このため、耐熱性に優れ、強度が高く、様々な形状に対応できる複合材を提供することができる。
本発明のCVD−SiC膜の製造方法について、図1を用いて具体的に説明する。
まず、CVD装置100のCVD炉10に黒鉛基材Sを入れる。黒鉛基材Sの下には、黒鉛ヒーター42が備えられている。外部の加熱装置41が黒鉛ヒーター42に電流を流し、黒鉛ヒーター42の抵抗発熱により発熱することができる。発熱方法はこれに限定されず、誘導加熱、高周波過熱などの他の方法を用いることが可能であり、特に限定されない。
CVD炉10の上部には例えば石英ガラスの窓を通して、光源23からレーザ光線Lを照射する。石英ガラスは、熱膨張係数が小さく、耐熱性を有するとともに、紫外域から赤外域まで、高い透過率を有しているので、窓を構成する材料として好適に利用することができる。レーザ光線は高出力であり、反射による光学部品の熱損傷、ケガを防止するため、レーザ波長にあわせ、石英ガラス入射面に反射防止コーティングを施す。例えば、フッ素系光学コーティングを用いることが好ましい。
光源23は、たとえばレーザ光源を利用することができる。レーザ光源は半導体レーザ、ガスレーザなど利用でき特に限定されない。光源から窓を通して黒鉛基材S上にレーザ光線Lを照射する。また、別の窓を通して、放射温度計21を用い、黒鉛基材Sの表面の温度を測定することができる。
CVD炉10の例えば上部には、原料ガスの導入パイプ22を有している。原料ガスの導入パイプ22を通してCVD炉10の内部に原料ガスを供給することができる。
CVD−SiC膜の製膜に先立って、CVD炉10の内部のガスを真空ポンプで排出し、減圧するとともに炉内を製膜温度まで加熱する。CVD炉の内部の圧力(全圧)、製膜温度は、例えばそれぞれ8kPa、1623Kに設定される。製膜温度とは、黒鉛基材Sの表面の温度である。加熱と減圧は同時に行ってもよいし、逆の順で行ってもよく、順序は特に限定されない。
次に、黒鉛基材Sの表面に光源23からレーザ光線Lを石英ガラスの窓を通して照射する。光源23には例えばAlGaAs半導体レーザを用いることができる。
駆動源31、支持部材、テーブル33を用いて、黒鉛基材Sを動かしながらレーザ光線Lにより原料ガスを熱分解させながら黒鉛基材S上にCVD−SiC膜を成長させる。なお、図1の例ではCVD−SiC膜を形成する際に、黒鉛基材Sを動かすが、黒鉛基材Sを固定した状態で、光源23を駆動し、レーザ光線Lを動かしてもよい。
このようにして黒鉛基材Sの表面にCVD−SiC膜を形成することができる。得られたCVD−SiC膜は、黒鉛基材Sとともに用いてもよいし、黒鉛基材Sを分離してCVD−SiC膜のみで用いてもよい。例えば基材が本例のように黒鉛である場合、切削加工、酸化雰囲気中での酸化、機械的な剥離によってCVD−SiC膜を分離することができる。機械的にCVD−SiC膜を基材から分離する場合には、CVD−SiC膜が基材の気孔に侵入しないように、基材の表面の気孔を封止しておくことが望ましい。封止の方法は、ガラス状カーボン、熱分解炭素などを被覆することで気孔を封止し、剥離しやすくすることができる。このようにして、CVD−SiC膜を基材から分離することができる。
(実施例)
本発明のCVD−SiC膜の製造できる範囲を確認するため、レーザ光線を用い、基材を加熱しながら光CVD法でCVD−SiC膜を形成し、得られたCVD−SiC膜の性状を確認した。
試験の水準は、圧力条件が8水準、温度条件が5水準である。
試験条件には、a1〜a5、b1〜b5、c1〜c5、d1〜d5、e1〜e5、f1〜f5、g1〜g5、h1〜h5の符号を付与し区別した。
添え字のアルファベットは、CVD炉内の全圧を示し、“a”は2kPa、“b”は4kPa、“c”は5kPa、“d”は6kPa、“e”は8kPa、“f”は10kPa、“g”は20kPa、“h”は40kPaである。
添え字の数字は、CVD炉内の製膜温度を示し、“1”は1473K、“2”は1523K、“3”は1573K、“4”は1623K、“5”は1673Kである。
共通する製造条件を以下に示す。
気化器 :液体原料のバブリング
CVD炉:横型炉
光源 :半導体レーザ(AlGaAs)
ビーム径:10mm
波長 :1064nm
加熱 :黒鉛ヒーター
排気 :ドライ式真空ポンプ
排気処理:フィルター、コールドトラップ、スクラバー
制御 :Labview
基材 :黒鉛基材(φ10×1mm)
測温 :放射温度計
原料ガス:SiCl、CH、H
ガス比率:
SiCl:CH:H=1:0.5:3.5
黒鉛基材を、CVD炉内のテーブルに置き、次に炉を閉鎖して真空引きした。真空ポンプで十分に圧力を下げた後、補助加熱源である黒鉛ヒーターで炉内を加熱した。60分かけて黒鉛基材の温度が1273Kとなるように加熱した後、レーザ光線を照射し、黒鉛基材の温度が安定したあと、原料ガスを流し、CVD−SiC膜を成長させた。
30分間原料ガスを流し、CVD−SiC膜を製膜した後、原料ガスを止め、製膜を停止した。
レーザ光線の出力は、製膜温度が1473Kであるa1〜h1の水準では350W、製膜温度が1523Kであるa2〜h2の水準では400W、製膜温度が1573Kであるa3〜h3の水準では450W、製膜温度が1623Kであるa4〜h4の水準では500W、製膜温度が1673Kであるa5〜h5の水準では550Wとし、レーザ光による加熱で温度を微調整した。
CVD炉内の全圧は、排気のバルブの開度を調整することで行う。排気のバルブは、真空ポンプとCVD炉との間に備えられている。
全圧[kPa」と、製膜温度[K]から算出される「−0.04t+72」の値とを比較するために、以下の式(4)の値を算出した。得られた値が「正」または「0」であれば式(1)の条件を満たし、「負」であれば式(1)の条件を満たさない。
次に得られたCVD−SiC膜の試料をX線回折法で分析し、得られたチャートを解析し、配向方向を確認し、さらに111方向のLotgering Factorを得た。また、得られたSiC膜の厚さと製膜時間より、製膜速度を算出した。
図2は、試験の条件及び得られた結果を示す表である。図3は実施例の確認試験におけるa1〜h5の試験で得られたCVD−SiC膜をX線回折法により解析し、得られたピークから解析した配向方向を示す模式図である。図4は、図3の模式図の部分拡大図であり、4〜10kPaの範囲を拡大し、縦軸を実数軸にして表した図であり、CVD−SiC膜の配向方向に分けてその区分している。図5は、本発明の実施例の確認試験におけるa1〜h5の試験における製膜速度を示す説明図である。さらに、得られたCVD−SiC膜をSEMにより撮影した。撮影により得られたSEM写真を図6〜図13に示す。
「全圧」はCVD炉内の圧力[kPa]、製膜温度は基材の表面の温度[K]、製膜速度は、得られたCVD−SiC膜の製膜速度[μm/h]、「p−(−0.04t+72)」は、式(4)に相当して式(1)を判定する式であり「正」または「0」であれば該当する。F111は算出される111方向のLotgering Factorである。また、SEM写真により、「基材の表面に対して垂直方向に延びる上端部が正六角錐の結晶粒子」の形成の有無を判定し、形成されている場合を「○」とした。さらに「基材の表面に対して垂直方向に延びる上端部が正六角錐の結晶粒子」が形成されている水準において、「結晶粒子の直径の最大値」をSEM写真より計測した。
「p−(−0.04t+72)」の値が、正であるd5、e4、e5、f3、f4、f5、g1〜g5、h1〜h5の試料では、速い製膜速度が得られる上に、得られたCVD−SiC膜のF111の値が0.8〜1.0の範囲となり、111方向へ強く配向していることが確認された。また、圧力が10kPa以下であるd5、e4、e5、f3、f4、f5の試料では「基材の表面に対して垂直方向に延びる上端部が正六角錐の結晶粒子」が得られ、さらに「結晶粒子の直径の最大値」が50〜300μmであることが確認された。
<比較例>
また、図14は、レーザ光線を照射することなく、補助加熱源のみで加熱した熱CVD法によるCVD−SiC膜のSEM写真を示す。これらの製造方法は光CVD法でないので本発明のCVD−SiC膜の製造方法には当たらない。製膜温度が低い1473Kのi1の試料(図14A)では111配向のCVD−SiC膜が得られているが、製膜速度は遅い。製膜温度が高い1773Kのi1の試料(図14D)では、速い製膜速度が得られているものの、110配向であり、111配向は得られなかった。これらの中間の1573Kのi2(図14B)、1673Kのi3(図14C)の試料では、111配向と、110配向の混合したCVD−SiC膜が得られ、111配向のCVD−SiC膜は得られなかった。すなわち、熱CVD法では、低温では111配向が得られるが製膜速度が遅く、高温では製膜速度が速いものの111配向が得られないことが確認された。
10 CVD炉(筐体)
21 放射温度計
22 導入パイプ(原料供給部)
23 光源
31 駆動源
32 支持部材
33 テーブル
41 加熱装置
42 黒鉛ヒーター(加熱ヒーター)
100 CVD装置
S 黒鉛基材(基材)

Claims (4)

  1. 膜厚の方向に延び、上端部が正六角錐の結晶粒子を含み、
    前記膜厚の方向におけるF111(111方向のLotgering Factor)が0.8〜1.0であり、
    前記結晶粒子の直径の最大値が50〜300μmであることを特徴とするCVD−SiC膜。
  2. 前記F111が0.9〜1.0であることを特徴とする請求項に記載のCVD−SiC膜。
  3. 基材と、請求項1または2に記載のCVD−SiC膜とからなる複合材。
  4. 前記基材は、黒鉛であることを特徴とする請求項に記載の複合材。
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