JP7219123B2 - モールド機器 - Google Patents
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Description
本発明で用いられるエポキシ樹脂としては、好ましくは、ビスフェノールA型またはビスフェノールF型エポキシ樹脂である。より好ましいエポキシ樹脂としては、エポキシ当量が200g/eq以下のものが、ワニス粘度の低減の観点から好ましい。
酸無水物としては、常温で液状である酸無水物を用いる事が好ましい。その例としては、日立化成工業(株)製HN-2000(酸無水物当量166g/eq、粘度30~50mPa・s/25℃)、HN-5500(酸無水物当量168g/eq、粘度50~80mPa・s/25℃)、MHAC-P(酸無水物当量178g/eq、粘度150~300mPa・s/25℃)、DIC(株)製EPICLON B-570H(酸無水物当量166g/eq、粘度40mPa・s/25℃)等を挙げることができる。
反応誘起剤Cとしては、重合禁止剤を10~100ppm含有するスチレンと、N-フェニルマレイミドと、(2)に記載した酸無水物との混合物が好ましい。特に該スチレンが14~18wt%、N-フェニルマレイミドが24~30wt%、該酸無水物が53~61wt%であり、該スチレンとN-フェニルマレイミドとのモル比が等モルないしは、誤差5モル%の範囲で混合することが好ましい。本範囲で混合することによって、N-フェニルマレイミドは該スチレン及び該酸無水物の混合溶液に溶解し、室温が低い冬季保管時にもN-フェニルマレイミドの析出を防止できるほか、室温が高い夏季保管時の自己重合も抑制できるので保存安定性に優れた反応有機剤Cを製造することができる。
本発明のエポキシ樹脂と酸無水物との硬化反応を促進するエポキシ樹脂硬化触媒の例としては、トリメチルアミン,トリエチルアミン,テトラメチルブタンジアミン,トリエチレンジアミン等の3級アミン類,ジメチルアミノエタノール,ジメチルアミノペンタノール,トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、N-メチルモルフォリン等のアミン類、又、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド,セチルトリメチルアンモニウムクロライド,セチルトリメチルアンモニウムアイオダイド,ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド,ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド,ドデシルトリメチルアンモニウムアイオダイド,ベンジルジメチルテトラデシルアンモニウムクロライド,ベンジルジメチルテトラデシルアンモニウムブロマイド,アリルドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド,ベンジルジメチルステアリルアンモニウムブロマイド,ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド,ベンジルジメチルテトラデシルアンモニウムアセチレート等の第4級アンモニウム塩、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、2-メチル-4-エチルイミダゾール、1-ブチルイミダゾール、1-プロピル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-アジン-2-メチルイミダゾール、1-アジン-2-ウンデシル等のイミダゾール類、アミンとオクタン酸亜鉛やコバルト等との金属塩、1,8-ジアザ-ビシクロ(5,4,0)-ウンデセン-7、N-メチル-ピペラジン,テトラメチルブチルグアニジン,トリエチルアンモニウムテトラフェニルボレート、2-エチル-4-メチルテトラフェニルボレート、1,8-ジアザ-ビシクロ(5,4,0)-ウンデセン-7-テトラフェニルボレート等のアミンテトラフェニルボレート,トリフェニルホスフィン,トリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート,アルミニウムトリアルキルアセトアセテート,アルミニウムトリスアセチルアセトアセテート,アルミニウムアルコラート,アルミニウムアシレート,ソジウムアルコラート等が挙げられる。
ラジカル重合触媒の例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルのようなベンゾイン系化合物、アセトフェノン、2、2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノンのようなアセトフェノン系化合物、チオキサントン、2、4-ジエチルチオキサントンのようなチオキサンソン系化合物、4、4’-ジアジドカルコン、2、6-ビス(4’-アジドベンザル)シクロヘキサノン、4、4’-ジアジドベンゾフェノンのようなビスアジド化合物、アゾビスイソブチロニトリル、2、2-アゾビスプロパン、m、m’-アゾキシスチレン、ヒドラゾン、のようなアゾ化合物、2、5-ジメチル-2、5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、2、5-ジメチル-2、5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、ジクミルパーオキシド、t-ブチルパーオキシマレイン酸、n-ブチル-4,4-ビス(t-ブチルパーオキシ)バレラート、2、5-ジメチル-2、5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン、ジクミルパーオキシサイドのような有機過酸化物等が挙げられる。中でも保存安定性の観点からは10時間半減期温度が100℃以上であるラジカル重合開始剤を好ましく用いるものである。
本発明の主剤A及び硬化剤Bには破砕状結晶質シリカ及び溶融シリカを含むことが樹脂硬化物の耐クラック性、高熱伝導性、低熱膨張性の観点から好ましい。
コアシェルゴム粒子はクラックの進展を最小限に抑制するものである。また、コアシェルゴム粒子はエポキシ樹脂に対して分散性が優れていることも選択の基準になっている。
カップリング剤としては、各種のシラン系、チタネート系カップリング剤が使用できる。そのようなカップリング剤の例としては、シラン系カップリング剤としては、信越化学工業(株)製KBM-402、KBM-403、KBM-502、KBM-504等のエポキシシラン、ビニルシランが好ましい例として挙げられる。チタネート系カップリング剤としては、日本曹達(株)製S-151、S-152、S-181等を挙げる事が出来る。
分散剤としては、各種のノニオン系界面活性剤が好ましく、その例としてはビックケミージャパン(株)製、BYK-W903、BYK-W980、BYK-W996、BYK-W9010等を挙げる事が出来る。
実施例1~4では、マイカ層の構成を変えたサンプルを作製し、絶縁破壊電圧を評価した。実施例1~4の試薬および評価方法を以下に示す。
jER828:三菱化学(株)製ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ等量約190g/eq
jER807:三菱化学(株)製ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシ当量約170g/eq
HN-5500:日立化成(株)製3-又は4-メチル-ヘキサヒドロ無水フタル酸、酸無水物当量168g/eq
2E4MZ-CN:四国化成工業(株)製1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、エポキシ硬化触媒
25B:日油(株)製1、2、5-ジメチル-2、5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン、ラジカル重合開始剤,10時間半減期温度128.4℃
XJ-7:(株)龍森製結晶性破砕状シリカ、粒径約6.3μm、破砕状結晶質シリカ
FB-20D:電気化学工業(株)製溶融シリカ、粒径約22μm、溶融シリカ
KBM-503:信越化学工業(株)製3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、カップリング剤
KBM-403:信越化学工業(株)製3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、カップリング剤
KS603:信越化学工業(株)製、シリコーン系消泡剤
コアシェルゴム粒子:ガンツ化成(株)製スタフィロイドAC3355平均粒径0.1~0.5μm
分散剤:ビックケミージャパン(株)製BYK-W-9010
スチレン:東京化成工業(株)製スチレン、ラジカル重合禁止剤として30ppmの4-tert-ブチルカテコールを含有する
N-フェニルマレイミド:東京化成工業(株)製N-フェニルマレイミド
マイカ1:(株)ヤマグチマイカ製B82(平均粒径180μm)
マイカ2:(株)ヤマグチマイカ製SJ005(平均粒径5μm)
YP-70:新日鉄住金化学(株)製フェノキシ樹脂、マイカ層2の結着剤として使用
メチルエチルケトン:富士フィルム和光純薬(株)製、マイカ層2を形成する塗料の溶媒として使用
2-イソシアナトエチルメタクリレート:昭和電工(株)製、YP-70の側鎖にメタクリレート基を導入する変性剤として使用
ウレタン化触媒:サンアプロ(株)製、Polycat8、YP-70の変性触媒に使用
着色剤:ナガセケムテックス(株)製WD06、ビスフェノールF型エポキシ樹脂に赤鉄鋼とカーボンブラックを添加した着色剤
所定の配合比で上述した成分を配合し、(株)シンキー製AR-100型自転・公転式ミキサーで3分間攪拌してモールドワニスを作製した。モールドワニスrの組成を後述する表1に示す。なお、表中の数値は質量部を示す。
主剤(A)、硬化剤(B)および反応誘起剤(C)のワニスの粘度は、E型粘度計を用いて60℃における値を観測した。主剤(A)、硬化剤(B)および反応誘起剤(C)のそれぞれの粘度と、これらを含むワニスの測定結果を後述する表1に併記する。
所定量のメチルエチルケトン、2-イソシアナトエチルメタクリレート、Polycat8、フェノキシ樹脂1gをサンプル瓶に採取し、室温で攪拌した。フェノキシ樹脂が溶解した後、所定量のKBM503とマイカをフェノキシ樹脂溶液に加えて攪拌してマイカ層形成用塗料を作製した。マイカ層中のマイカの濃度、マイカ層の膜厚を変えたサンプルを作製した(実施例1~4)。マイカ層の構成を後述する表2に記載する。
先に作製したモールドワニスを60℃に予熱した。厚さ1mm、幅140mm、長さ120mmの注型スペースを有する金型を80℃に予熱し、上述したモールドワニスを金型に流し込み、真空脱泡した。脱泡条件は80℃、1mmHgで10分とした。本金型を恒温槽に移動し、大気中で100℃/5時間、170℃/10時間の2段階加熱で硬化した。金型を解体して厚さ1mm、幅140mm、長さ約100mmの樹脂板を作製した。この樹脂板を、マイカ層のない破壊電圧試験用サンプルとした。
上記(4)で作製した樹脂板20を用いてJIS規格(C2110)に準拠して絶縁破壊電圧を観測した。高電圧が印加される電極には直径20mmの真鍮製の球状電極、接地側の電極にはSUS製の平板電極を用いた。両電極に間に樹脂板20を挟み、電気絶縁油(フロリナート、FC-3283)中で東京変圧器(株)製、絶縁耐力試験装置(100kV/10kA、商用周波数50Hz)を用いて、昇圧速度2kV/秒、遮断電流8mAの条件で絶縁破壊電圧を観測した。実施例1~4の絶縁破壊電圧の評価結果を後述する表2に併記する。
比較例1は、フィラーを含まないエポキシ樹脂硬化物の絶縁破壊試験例である。モールドワニスの組成と硬化物の絶縁破壊電圧の関係を後述する表3に示す。フィラーを含まないエポキシ樹脂硬化物の絶縁破壊電圧は30kV/mmであり、上述したマイカ層2を有する実施例1~4に比べて低い絶縁破壊電圧を示した。
比較例2は、実施例1~4で使用したモールドワニスの絶縁破壊試験例である。評価結果を表1に併記した。比較例2の絶縁破壊電圧は32kV/mmであり、比較例1よりも高い絶縁破壊電圧を示したものの、マイカ層2を有する実施例1~4よりも耐圧性は低かった。この結果から、マイカ層2の設置が絶縁破壊電圧を向上していることが確認できた。
比較例3は、モールドワニスにマイカを充填した例である。モールドワニス全量に対して16質量%のマイカを含有する高濃度マイカ含有のモールドワニスの例である。その組成と粘度、絶縁破壊電圧の評価結果を後述する表4に示す。マイカ含有率の高いモールドワニスの粘度は、60℃において113Pa・sと非常に高く、絶縁破壊電圧は34kV/mmと比較的低い値であった。これはモールドワニスの高粘度化の影響でモールド内部の脱泡が不十分となり、絶縁破壊電圧が十分に向上しなかったものと思われた。この結果から、モールドワニスへのマイカの高充填化の手法は、ワニス粘度を増してボイドの残留を助長することから、絶縁層の高耐圧化には不向きであると思われる結果を得た。
実施例5は着色剤を含有する高濃度マイカ層の色濃度と膜厚の関係を検討した例である。実施例5のマイカ層の構成を後述する表5に示す。マイカには平均粒径5μmのSJ005を用い、結着剤には日東シンコー(株)製エポキシ樹脂塗料N600(濃度40%)を用い、希釈剤には同社製のシンナーを用いた。着色剤には赤鉄鋼とカーボンブラックを含有するエポキシ系着色剤DW06を用いた。白色の真空バルブを模したアルミナ板上にスプレー塗布し、120℃で1時間乾燥して膜厚の異なるマイカ層を有する塗装サンプルを作製した。
実施例5に記載の高濃度マイカ層用ワニスを200g準備した。スプレー塗装によって約50μmの厚さになるように真空バルブおよび電界シールド、電極にマイカ層を塗布し、120℃で1時間乾燥した。その後、固体絶縁開閉器を成形する型に各種部品を組み付け、型を80℃に予熱した。実施例1で用いたモールドワニス25kgを60℃に予熱して、1mmHg、15分の条件で脱泡した後、上述した型にモールドワニスを3mmHg、80℃条件で真空注型した。その後、大気中で80℃/20時間、140℃/10時間の2段階で硬化し、1夜炉内で自然冷却した。
Claims (10)
- モールド機器を構成する部品と、
前記部品の表面に設けられたマイカを含むマイカ層と、
前記マイカ層の表面に設けられたモールド層とを含み、
前記マイカ層における前記マイカの含有率が10質量%以上90質量%以下であり、
前記モールド層に含まれるエポキシ樹脂のエポキシ当量が200g/eq以下であることを特徴とするモールド機器。 - 前記マイカ層は結着剤を含み、前記モールド層は硬化性樹脂を含み、
前記マイカ層の前記結着剤は、前記モールド層の前記硬化性樹脂と化学結合可能な官能基を有することを特徴とする請求項1に記載のモールド機器。 - 前記結着剤が熱硬化性を有することを特徴とする請求項2に記載のモールド機器。
- 前記マイカ層が、前記部品と異なる色の着色剤を更に含むことを特徴とする請求項1に記載のモールド機器。
- 前記マイカ層が、濃度の異なる複数のマイカ層を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のモールド機器。
- 前記マイカ層の厚さが10μm以上100μm以下であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のモールド機器。
- 前記モールド機器が、前記部品として巻線を含む変圧器であり、
前記巻線の表面に前記マイカ層が設けられ、前記マイカ層が設けられた前記巻線が前記モールド層によって覆われていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のモールド機器。 - 複数の前記巻線の間に絶縁フィルムが設けられており、絶縁フィルムの表面に前記マイカ層および前記モールド層が設けられていることを特徴とする請求項7に記載のモールド機器。
- 前記モールド機器が、前記部品として真空バルブを含む固体絶縁開閉機であり、
前記真空バルブの表面に前記マイカ層が設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のモールド機器。 - さらに、電界緩和シールドおよび内蔵電極を含み、
前記電界緩和シールドおよび前記内蔵電極の表面に前記マイカ層が設けられていることを特徴とする請求項9に記載のモールド機器。
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