[第1の実施形態]
第1の実施形態について図1を参照して説明する。図1は、第1の実施形態に係る建設機械であるクレーン車を示している。
図1に示されるように、クレーン車10は、走行車体12と、走行車体12の上に旋回可能に設けられた旋回体18とを備えている。
走行車体12は、移動のために複数の車輪14を有している。車輪14は、図示しない駆動機構によって駆動可能に構成されている。一部の車輪14は、図示しない操舵機構によって操舵可能に構成されている。また、走行車体12は、前後の両側に、クレーン作業時に走行車体12を地面に対して安定に支持するためのアウトリガ16を有している。
旋回体18は、旋回台20と、旋回台20に起伏可能に支持された伸縮ブーム24と、クレーン車10の運転とクレーン作業の操作のための運転室22とを備えている。また、伸縮ブーム24と旋回台20との間には、伸縮ブーム24を起伏させるためのブーム起伏装置26が設けられている。
ブーム起伏装置26は、伸縮ブーム24と旋回台20に連結されたブーム起伏シリンダ28を備えている。伸縮ブーム24には、主巻ワイヤロープ54A(図7と図8と図13参照)を介して主フック62Aが支持されている。
また、旋回体18は、伸縮ブーム24の長さを補うジブ30と、ジブ30を起伏させるジブ起伏機構32とを備えている。ジブ30は、長手軸に沿って延設されている。ジブ30は、使用時には、伸縮ブーム24に連結される。また、ジブ30は、不使用時には、伸縮ブーム24の下面に沿って、伸縮ブーム24の下面と走行車体12の上面との間に格納される。言い換えれば、ジブ30は、下抱き状態で伸縮ブーム24の下側に格納される。ジブ起伏機構32は、ジブ30と一体化されている構造体であり、ジブ30の不使用時には、ジブ30と共に格納される。ジブ30には、補巻ワイヤロープ54Bを介して補フック62Bが支持されている。
伸縮ブーム24とジブ30の相互間には、伸縮ブーム24にジブ30を連結しておくジブ連結機構34が設けられている。ジブ連結機構34は、ジブ30が格納位置に配置されたときに伸縮ブーム24にジブ30を連結し、伸縮ブーム24の伸長によってジブ30が伸縮ブーム24の先端側に移動されたときに伸縮ブーム24とジブ30の連結が外れるように構成されている。
たとえば、ジブ連結機構34は、伸縮ブーム24に固定されたジブ連結ピンと、ジブ30に固定されたジブ連結リングとを備えている。ジブ連結ピンは、伸縮ブーム24の長手軸に平行に、伸縮ブーム24の先端側に向かって延びている。ジブ30が伸縮ブーム24に沿って伸縮ブーム24の先端側に格納位置から移動される際にジブ連結ピンがジブ連結リングから抜けることにより、伸縮ブーム24とジブ30の連結が外れる。反対に、ジブ30が伸縮ブーム24に沿って伸縮ブーム24の基端側に移動されて格納位置に配置される際にジブ連結ピンがジブ連結リングに挿入されることにより伸縮ブーム24にジブ30が連結される。格納時のジブ30の移動の際にジブ30を適切な位置へ案内する案内機構が設けられている。
運転室22には、走行車体12の自走のため、アクセル、ブレーキ、ステアリング等の複数の制御装置が設けられており、これらの制御装置によって、車輪14の駆動および操舵を制御できるように構成されている。運転室22にはまた、クレーン作業のため、複数の操作レバーや操作ペダル等の制御装置が設けられており、これらの制御装置によって、旋回体18の旋回、伸縮ブーム24の起伏および伸縮、ジブ30の張り出し等を制御できるように構成されている。
ここで、ジブ起伏機構32について図2を参照して説明する。図2に示されるように、伸縮ブーム24は、伸縮式の多段ブーム36と、多段ブーム36の先端ブームの先端に固定されたブームヘッド44とを備えている。
ブームヘッド44は、主巻ワイヤロープ54Aが掛けられる主巻ガイドシーブ46Aと、補巻ワイヤロープ54Bが掛けられる補巻ガイドシーブ46Bと、主巻ワイヤロープ54Aが掛けられるブームトップシーブ48Aと、ジブ30の不使用時に補巻ワイヤロープ54Bが掛けられるルースタートップシーブ48Bとを有している。主フック62Aは、主巻ガイドシーブ46Aとブームトップシーブ48Aに掛けられた主巻ワイヤロープ54Aによって吊り下げられる。補フック62Bは、ジブ30の不使用時に、補巻ガイドシーブ46Bとルースタートップシーブ48Bに掛けられた補巻ワイヤロープ54Bによって吊り下げられる。
ブームヘッド44はまた、ブームリンク64を備えている。ブームリンク64は、一端部がブームヘッド44のシャフト66によって軸支されており、ブームヘッド44に回動可能に連結されている。ブームヘッド44はさらに、ブームリンク64を受けるブームリンクストッパ68を備えている。
ジブ30は、ジブ後方部70と、ジブ前方部76とから構成されている。ここにおいて、ジブ30がブームヘッド44に連結される側を後方、その反対側を前方としている。ジブ30の後方の端部を基端部、ジブ30の前方の端部を先端部と称する。また、上下は、ジブ30が水平に張り出された状態を基準にして規定するものとする。さらに、左右は、ジブ30の後方から前方へ向かう方向を基準にして規定するものとする。
ジブ後方部70は、二股状になっているジブ基端部72L,72R、言い換えれば、二股に延びた一対のジブ基端部72L,72Rを有している。一対のジブ基端部72L,72Rは、主フック62Aが通過できる間隔を置いて延びている。各ジブ基端部72L,72Rのそれぞれは、後端部に、ブームヘッド44に連結されるジブフート部74を有している。ジブフート部74は、ブームヘッド44のブームトップシーブシャフト52にジブフートピンにより着脱自在に連結されるように構成されている。たとえば、ジブフート部74は、ブームトップシーブシャフト52に係合する凹部を有する二股状のフォーク部と、フォーク部の一対の端部のそれぞれに形成されたジブフートピン挿入穴とを有している。ジブフートピン挿入穴には、ジブフートピンが挿入され、ジブフートピンによって、ジブフート部74からのブームトップシーブシャフト52の脱落が防止される。
ジブ前方部76は、ベースジブ78と、先端ジブ84とを有している。ベースジブ78は、ジブ後方部70から前方に延びた固定ジブ80と、固定ジブ80に対して前後方向に移動可能な可動ジブ82とを有している。ベースジブ78は、可動ジブ82を移動させるためのジブ起伏シリンダを固定ジブ80の内部に有し、このジブ起伏シリンダによって、固定ジブ80に対して可動ジブ82を前後方向に移動できるように構成されている。
先端ジブ84は、可動ジブ82に対して、前後方向に移動可能となっている。先端ジブ84の前後方向の移動は手動でおこなわれる。先端ジブ84の先端部には、ジブ30の使用時に、補巻ワイヤロープ54Bが掛けられるジブトップシーブ86が設けられている。
ジブ起伏機構32はまた、並列に設けられた2本のテンションロッド90L,90Rを備えている。各テンションロッド90L,90Rは、一端部が可動ジブ82の先端部に回動可能に連結されており、他端部がジブ30の使用時にブームヘッド44のブームリンク64に回動可能に連結される。
各テンションロッド90L,90Rは、テンションロッド本体92とエクステンション94とを備えている。エクステンション94は、一端部が可動ジブ82の先端部に軸支されており、可動ジブ82の先端部に回動可能に連結されている。
エクステンション94は、筒状をしており、テンションロッド本体92の一部が挿入可能となっている。言い換えれば、テンションロッド90L,90Rは、伸縮可能となっている。
テンションロッド90L,90Rはまた、所定の長さに固定可能となっている。このため、たとえば、テンションロッド本体92とエクステンション94には、テンションロッドセットピンを挿入するためのセットピン挿入穴がそれぞれ形成されている。テンションロッド本体92のセットピン挿入穴とエクステンション94のセットピン挿入穴が整列され、それらにテンションロッドセットピンが挿入されることにより、テンションロッド90L,90Rは所定の長さに固定される。
テンションロッド本体92は、ブームリンク64に連結可能に構成されている。たとえば、ブームリンク64とテンションロッド本体92には、それらの端部に、連結ピン96が挿入される連結ピン挿入穴がそれぞれ形成されている。ブームリンク64の連結ピン挿入穴とテンションロッド本体92の連結ピン挿入穴が整列され、それらに連結ピン96が挿入されることにより、テンションロッド90L,90Rは、連結ピン96によって、ブームリンク64に回動可能に連結される。
前述したように、ジブ30は、下抱き状態で伸縮ブーム24の下側に格納される。格納状態では、テンションロッド90L,90Rは、重力方向に関して、ジブ30よりも下側に位置する。このため、ジブ起伏機構32は、ジブ30の格納時に、2本のテンションロッド90L,90Rをそれぞれ支持する2つのテンションロッド保持機構98を備えている。各テンションロッド保持機構98は、ジブ30に固定されている。
次に、ジブ30の張り出しとそれに続くジブ30の起伏動作について簡単に説明する。ここで、ジブ30の張り出しは、ジブ30を格納状態から起伏動作の開始状態に移るまでの動作を意味している。
ジブ30の張り出しでは、まず、ジブ30のジブフート部74をブームヘッド44のブームトップシーブシャフト52に連結する。これにより、ジブ30はブームヘッド44に回動可能に連結される。
次に、テンションロッド本体92をエクステンション94から引き出し、テンションロッド本体92をブームヘッド44のブームリンク64に連結する。これにより、テンションロッド90L,90Rはブームリンク64に回動可能に連結される。テンションロッド保持機構98による保持を解除して、テンションロッド90L,90Rを解放する。
続いて、伸縮ブーム24を最起立させた後、伸縮ブーム24を所定の長さだけ伸長させる。これにより、ジブ連結機構34による伸縮ブーム24に対するジブ30の連結が解除され、ジブ30が重力方向に垂れ下がる。言い換えれば、ジブ30はほぼ垂直な姿勢で支持される。
その後、ジブ起伏機構32に対する次の作業を地上の作業者がおこなえる程度まで伸縮ブーム24を倒伏させる。その間、テンションロッド90L,90Rは伸縮可能であり、伸縮ブーム24に対するジブ30の角度は変化可能である。
次に、テンションロッド本体92とエクステンション94のセットピン挿入穴を整列させ、それらにテンションロッドセットピンを挿入して、テンションロッド90L,90Rの長さを固定する。
続いて、伸縮ブーム24を起立させていく。伸縮ブーム24が起立されていくにつれて、ジブ30は前方に張り出されていく。これにより、ジブ30の張り出しは完了する。張り出し完了時のジブ30は、続いておこなわれる起伏動作の開始状態にある。
起伏動作の開始状態にあるジブ30は、最倒伏状態にあり、図1に最も下側に描かれている。その後、ベースジブ78を伸長させるにつれて、ジブ30は起立されていく。最起立されたジブ30が、図1に最も上側に描かれている。反対に、ベースジブ78を縮小させるにつれて、ジブ30は倒伏されていく。つまり、ベースジブ78を伸縮させることによってジブ30が起伏される。
ジブ30の張り出しの間に、ジブ30の一対のジブ基端部72L,72Rは主フック62Aの両側を通る。言い換えれば、主フック62Aは、ジブ30の一対のジブ基端部72L,72Rの間を通る。実際に移動するのはジブ30であるが、ここでは、便宜上、主フック62Aがジブ30の一対のジブ基端部72L,72Rの間を通ると表現する。
主フック62Aが一対のジブ基端部72L,72Rの間を通る際、テンションロッド90L,90Rに主フック62Aが接触したり衝突したりすることが懸念される。主フック62Aとテンションロッド90L,90Rの接触や衝突は、テンションロッド90L,90Rの破損の原因となる。このため、主フック62Aとテンションロッド90L,90Rの接触や衝突は回避されることが望ましい。
このため、図2に示されるように、ジブ起伏機構32は、主フック62Aとテンションロッド90L,90Rの接触を避けるため、ジブ30の張り出しの間に一対のジブ基端部72L,72Rの間を通る主フック62Aがテンションロッド90Lに直接接触するのを防止する保護機構100を有している。
本実施形態では、ブームトップシーブ48Aと主フック62Aに対する主巻ワイヤロープ54Aの複数回の掛け回しに起因して、主フック62Aは、鉛直上方から見て、いくらか時計回りに旋回している。また、ジブ30は、テンションロッド90Lの側に、いくらか傾斜している。このため、すなわち、主フック62Aの旋回とジブ30の傾斜とのため、主フック62Aとの接触が懸念されるのはテンションロッド90Lであり、テンションロッド90Rについては主フック62Aとの接触の心配が少ない。このため、保護機構100は、テンションロッド90Lだけに設けられており、テンションロッド90Rには設けられていない。
また、ジブ起伏機構32は、保護機構100を受ける受け部182を有している。受け部182は、ジブ基端部72Lに設けられている。
さらに、ジブ30の張り出しの間に一対のジブ基端部72L,72Rの間を通る主フック62Aがジブ基端部72Lに直接接触するのを防止する保護プレート184を有している。テンションロッド90L,90Rと同様の理由から、主フック62Aとの接触が懸念されるのはジブ基端部72Lであり、ジブ基端部72Rについては主フック62Aとの接触の心配が少ない。このため、保護プレート184は、ジブ基端部72Lだけに設けられており、ジブ基端部72Rには設けられていない。
もちろん、保護機構100は、テンションロッド90Lに加えて、テンションロッド90Rにも設けられても構わない。これに伴い、受け部182と保護プレート184も、ジブ基端部72Lに加えて、ジブ基端部72Rにも設けられても構わない。
次に、図3~図6を参照しながら、保護機構100の構造について説明する。図3と図4は、図2に示された保護機構とテンションロッドの斜視図である。図3では、保護機構の支持構造体とガード部材が分解されて描かれている。図4では、組み立てられた保護機構が描かれている。図5は、テンションロッドの中心軸線に沿った図4に示された保護機構の縦断面図である。図6は、図5に示された13F-13F線に沿った支持構造体の断面図である。
保護機構100は、テンションロッド90Lの少なくとも内側の面を覆うガード部材110と、テンションロッド90Lとガード部材110との間に間隔が形成される状態でガード部材110を支持する一対の支持構造体120とを有している。ここで、テンションロッド90Lの内側の面とは、テンションロッド90Rに向かい合う側の面である。言い換えれば、テンションロッド90Lの内側の面とは、テンションロッド90Lの中心軸を通り、かつ、鉛直方向に平行な平面で、テンションロッド90Lを仮想的に二つの部分に分割したとき、テンションロッド90Rの側に位置する方の部分の外周面の一部である。
ガード部材110は、たとえば、金属製である。ガード部材110は筒形状をしている。たとえば、ガード部材110は、これに限らないが、円筒形状をしている。テンションロッド90Lはガード部材110の内側の空間の中を通っている。したがって、ガード部材110は、中心軸に沿う方向についてテンションロッド90Lの一部分を全周に渡って覆っている。
支持構造体120は、円筒形状のガード部材110がテンションロッド90Lと同中心に位置するように、ガード部材110を支持している。さらに、支持構造体120は、ガード部材110が自由に回転できるように、ガード部材110に支持している。ガード部材110の回転軸は、テンションロッド90Lの中心軸と一致または略一致している。
保護機構100は、ジブ基端部72Lの近くにおいて、テンションロッド90Lに設けられている。つまり、支持構造体120は、ジブ基端部72Lの近くにおいて、ガード部材110を支持している。
各支持構造体120は、半円筒形状の一対のストッパ130と、半円筒形状の一対のスペーサ150と、テンションロッド90Lに貼り付けられた両面テープ160とを有している。
両面テープ160は、テンションロッド90Lにスペーサ150を貼り付ける働きをする。
スペーサ150は、たとえば、樹脂製たとえばナイロン(登録商標)製である。スペーサ150は、両面テープ160によって、テンションロッド90Lに固定されている。一対のスペーサ150は、テンションロッド90Lに固定された際に、円筒形状を形作る。
ストッパ130は、たとえば、金属製である。一対のストッパ130は、それぞれ、一対のねじ172によって、一対のスペーサ150に固定されている。一対のストッパ130は、また、一対のねじ174によって互いに固定されている。一対のストッパ130は、互いに固定された際に、円筒形状を形作る。
前述したように、一対のストッパ130は、それぞれ、一対のねじ172によって、一対のスペーサ150に固定されている。詳しくは、各ストッパ130は、中央部にねじ穴132を有し、各スペーサ150は、中央部に貫通穴152を有している。貫通穴152は、ねじ172のねじ部よりも大きい径を有している。ねじ穴132は、大径部と小径部を有する段差穴で構成されている。小径部は、スペーサ150に面する側に位置し、大径部は外部に面する側に位置している。小径部は、ねじ172のねじ部と螺合するねじ溝を有している。大径部は、ねじ172のねじ頭が入る径を有している。また、大径部は、ねじ172がねじ穴132に完全にねじ込まれた状態において、ねじ172のねじ頭が完全に埋没するような深さを有している。つまり、ねじ172のねじ頭は、ストッパ130から突出していない。一対のストッパ130は、各ストッパ130にねじ込まれたねじ172が各スペーサ150に形成された貫通穴152に挿入されることによって、互いにほぼ位置決めされる。
前述したように、一対のストッパ130は、一対のねじ174によって互いに固定されている。詳しくは、各ストッパ130は、一方の端部に貫通穴134を有し、他方の端部にねじ穴136を有している。貫通穴134とねじ穴136は、一対のストッパ130が円筒形状を形作った際に、互いに整列するように形成されている。ねじ穴136は、ねじ174のねじ部と螺合するねじ溝を有している。貫通穴134は、大径部と小径部を有する段差穴で構成されている。小径部は、他のストッパ130のねじ穴136に面する側に位置し、大径部は外部に面する側に位置している。小径部は、ねじ174のねじ部は通すが、ねじ頭は通さない径を有している。大径部は、ねじ174のねじ頭が入る径を有している。また、大径部は、一対のストッパ130がねじ174によって互いに固定された状態において、ねじ174のねじ頭が完全に埋没するような深さを有している。つまり、ねじ174のねじ頭は、ストッパ130から突出していない。
各ストッパ130は、互いに連続している小径部142と大径部144とを有している。小径部142は、ガード部材110が位置する側に位置し、大径部144は、ガード部材110の反対側に位置している。大径部144はまた、小径部142の反対側に、丸みを有するように面取りされたエッジ部146を有している。
以下、一対のストッパ130が互いに固定されているものとして説明する。小径部142は、円筒形状のガード部材110の内径よりもわずかに小さい径を有している。したがって、小径部142は、ガード部材110に嵌合し得る。大径部144は、ガード部材110の内径よりも大きい径を有している。したがって、大径部144は、ガード部材110の端面に当接して、テンションロッド90Lの中心軸に沿ったガード部材110の移動を規制し得る。たとえば、大径部144は、ガード部材110の外径に等しい径を有している。
各支持構造体120は、ストッパ130の小径部142がガード部材110に嵌合するように、テンションロッド90Lに取り付けられる。好ましくは、各支持構造体120は、ストッパ130の大径部144とガード部材110の間にいくらかの隙間が確保される状態で、テンションロッド90Lに取り付けられる。これにより、円筒形状のガード部材110は、一対の支持構造体120によって、前述したように、テンションロッド90Lと同中心に位置し、自由に回転できるように支持される。
受け部182は、図2に示されるように(図9~図12も参照)、保護機構100に面する部分が円弧状に形作られている。さらに、受け部182は、円弧状の部分が、保護機構100の円筒形状のガード部材110の外径と等しいか、それよりもいくらか大きい径を有するように形作られている。
また、保護プレート184は、スペーサ(図示せず)を介して、ジブ基端部72Lと保護プレート184との間に間隔が形成される状態で、ジブ基端部72Lに取り付けられている。
次に、図7~図12を参照しながら、主フック62Aが保護機構100に接触または衝突した場合の動作について説明する。図7と図8は、異なる方向から見た図2に示された伸縮ブームとブームヘッドとジブ起伏機構の斜視図であり、主フックが保護機構に接触した様子が描かれている。図9と図10は、主フックと保護機構の接触前における、異なる方向から見た保護機構およびその周辺部の斜視図である。図11と図12は、主フックと保護機構の接触後における、異なる方向から見た保護機構およびその周辺部の斜視図である。図9と図11は、同じ方向から見た斜視図であり、図10と図12は、同じ方向から見た斜視図である。
主フック62Aが保護機構100に接触しない限りにおいては、図9と図10に示されるように、テンションロッド90Lは、ジブ基端部72Lの上方に、ジブ基端部72Lに沿って延びている。さらに、テンションロッド90Lは、保護機構100が受け部182から離れている程度に、ジブ基端部72Lから離れている。
図7と図8に示されるように、主フック62Aが保護機構100のガード部材110に接触した場合、ガード部材110は主フック62Aから衝撃を受ける。しかし、ガード部材110は、一対の支持構造体120によってテンションロッド90Lとガード部材110との間に間隔が形成される状態で支持されているため、ガード部材110が受けた衝撃は、テンションロッド90Lに直接は伝達されない。
さらに、ガード部材110は、一対の支持構造体120によって回転可能に支持されているため、ガード部材110が受けた衝撃は、ガード部材110の回転運動に変換されて、好適に逃がされる。
また、ガード部材110が受けた衝撃によって、テンションロッド90Lが撓む場合もある。しかし、そのような場合であっても、図11と図12に示されるように、保護機構100のガード部材110は、受け部182に受け止められるため、ジブ基端部72Lに直接接触することはない。
さらに、受け部182は、円筒形状のガード部材110の外径と等しいか、それよりもいくらか大きい径を有する円弧状に形作られているため、ガード部材110は受け部182に円弧状の面同士で接触する。その結果、ガード部材110が受け部182から受ける力が小さく抑えられる。これにより、ガード部材110が不所望に大きく変形することが抑えられる。
また、主フック62Aが保護機構100に接触するのではなく、保護プレート184に接触する場合もある。主フック62Aが保護プレート184に接触した場合、保護プレート184は主フック62Aから衝撃を受ける。しかし、保護プレート184は、スペーサ(図示せず)によって、ジブ基端部72Lと保護プレート184との間に間隔が形成される状態で、ジブ基端部72Lに取り付けられている。このため、保護プレート184が受けた衝撃は、ジブ基端部72Lに直接は伝達されない。
さらに、主フック62Aが保護機構100に接触するのではなく、主フック62Aを吊っている主巻ワイヤロープ54Aが保護機構100に接触する場合もある。図13は、伸縮ブーム24とブームヘッド44とジブ起伏機構32の斜視図であり、主巻ワイヤロープ54Aが保護機構100に接触した様子が描かれている。
その場合、主巻ワイヤロープ54Aは、多くの場合、図13に示されるように、保護機構100の端部に接触する。前述したように、保護機構100の端部に位置するストッパ130は、丸みを有するように面取りされたエッジ部146を有している。また、ストッパ130を固定しているねじ172とねじ174は共に、ストッパ130から突出していない。このため、主巻ワイヤロープ54Aが保護機構100の端部すなわちストッパ130に接触した際に主巻ワイヤロープ54Aが受ける痛みが少なく抑えられる。
[第2の実施形態]
第2の実施形態について図14と図15を参照して説明する。図14と図15は、第2の実施形態に係る保護機構とテンションロッドの斜視図である。図14は、内側から見た斜視図であり、図15は、外側から見た斜視図である。
図14と図15に示されるように、本実施形態に係る保護機構200は、テンションロッド90Lの内側の面を覆うガード部材210と、テンションロッド90Lとガード部材210との間に間隔が形成される状態でガード部材210を支持する一対の支持構造体220とを有している。
ガード部材210は、たとえば、金属製である。ガード部材210は、テンションロッド90Lに沿って延びた帯状のプレート部材で構成されている。ガード部材210は、テンションロッド90Lの中心軸に平行に延びた中央部分において、折り曲げられている。
支持構造体220は、ガード部材210の折り曲げ部がテンションロッド90Lの内側に位置するように、ガード部材210を支持している。
保護機構200は、ジブ基端部72Lの近くにおいて、テンションロッド90Lに設けられている。つまり、支持構造体220は、ジブ基端部72Lの近くにおいて、ガード部材210を支持している。
各支持構造体220は、ガード部材210に固定されたスペーサ230と、スペーサ230をテンションロッド90Lに固定する固定部材240とを有している。
たとえば、スペーサ230と固定部材240は共に、金属製である。固定部材240は、一対のねじ250によって、スペーサ230に固定されている。詳しくは、固定部材240は、両端部に貫通穴242を有し、スペーサ230は、両端部にねじ穴(図示せず)を有している。ねじ穴は、ねじ250のねじ部と螺合するねじ溝を有している。
主フック62Aが保護機構200のガード部材210に接触した場合、ガード部材210は主フック62Aから衝撃を受ける。しかし、ガード部材210は、一対の支持構造体220によってテンションロッド90Lとガード部材210との間に間隔が形成される状態で支持されている。このため、本実施形態においても第1の実施形態と同様、ガード部材210が受けた衝撃は、テンションロッド90Lに直接は伝達されない。
ここでは、本実施形態の建設機械が、不使用時にジブ30を下抱き状態で格納するクレーン車である例について説明したが、不使用時にジブ30をいったん下抱き状態にして格納した後に横抱き状態にして格納するクレーン車であってもよい。
また、ジブ30が取り付けられる対象が伸縮ブーム24である例について説明したが、ジブ30が取り付けられる対象は、伸縮ブーム24に限らず、伸縮しないタイプのブームであってもよい。
本実施形態の建設機械は、クレーン車に限らず、固定のクレーンであってもよい。つまり、本実施形態の建設機械は、伸縮ブームとジブを備えたクレーン装置であってよい。さらには、本実施形態の建設機械は、広く一般に、ブームとジブを備えたクレーン装置であってよい。
これまで、図面を参照しながら本発明の実施形態を述べたが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において様々な変形や変更が施されてもよい。ここにいう様々な変形や変更は、上述した実施形態を適当に組み合わせた実施も含む。