JP7212916B2 - 走行車両の自動テスト走行システム - Google Patents

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Description

本発明は、例えば閉鎖された走行路から成る周回コースに沿って走行車両を走行させながら、当該走行車両の走行テストを行なう走行車両のテスト走行システムに関するものである。
一般的に、例えば乗用自動車や貨物自動車等の走行車両の耐久テストを行なう場合、閉鎖された走行路から成るテスト専用の周回コースに沿って、当該走行車両を走行させながら各種の走行テストを行なっている。その際、運転者は、前もって設定された走行プログラムに従って、周回コースの指定された走行レーンに沿って指定された速度等に従って当該走行車両を走行させる必要がある。このような走行テストは、その内容や目的によっては長時間にわたる場合もあるため、運転者は、常に注意を払いながら上記の走行プログラムに従って走行車両を走行させる必要があるので、大きな負担となっている。
また、運転者により運転にクセがあるため、同じ走行プログラムに従って走行車両を走行させたとしても、運転者によって走行テストの結果にバラツキが生ずることも有り、走行テストの精度の点でも問題があった。
また、周回コースに所謂バンク付き曲線路が設けられている場合、バンクの傾斜面により、走行する車両は横方向に傾斜することになるので、この傾斜面による走行車両の横すべりを生じないように、操舵角を平坦路の場合よりも小さく調整する必要がある。
また、前方の障害物を検出するための監視カメラを備えている場合には、バンク付き曲線路では、監視カメラの前方の撮像範囲では走行車両から見て前方に占める路面の割合が大きくなってしまい、障害物があったとしても左右にずれ込む可能性が高いため、このような監視カメラでは、バンク付き曲線路において障害物を検出することが難しい。
これに対して、特許文献1には、自動車のフットペダルを作動するアクチュエータが開示されている。このアクチュエータによれば、自動車の装置の機能テスト及び耐久テスト等を実施する場合にブレーキペダル又はアクセルペダルを選択的に作動でき、所要スペースが最小であり、且つコスト的に妥当なアクチュエータが得られる。
また、特許文献2には、車両自動運転装置及びその搭載方法が開示されている。この車両自動運転装置及びその搭載方法によれば、車両自動運転装置を用いて行なう車両試験の所要時間の短縮を図ることができ、また車両試験開始前の車両の搬入及び車両試験終了後の車両の搬出を一人で行なうことができる。
さらに、特許文献3には、自車両が走行する車線のカーブ半径を推定するカーブ半径推定装置及びカーブ半径推定装置付き自動操舵制御システムが開示されている。このシステムによれば、カーブ半径推定装置が、操舵角に基づいて第一カーブ半径を算出する第一カーブ半径算出手段と、ヨーレートに基づいて第二カーブ半径を算出する第二カーブ半径算出手段と、第一カーブ半径と第二カーブ半径とを所定の合成比で合成してカーブ半径を推定するカーブ半径推定手段と、を備え、カーブ半径推定手段が車速に応じて所定の合成比を変化させる。
また、特許文献4には車両用接触回避支援装置が開示されており、自車と自車前方の障害物との位置関係に基づく接触余裕値を得、接触余裕値が閾値より小さく、かつ操向ハンドルの操作が検出されなかったとき、障害物に対する自車の接触回避支援を行なう車両用接触回避支援装置において、バンク路の走行中に、接触回避支援処理が過剰に作動することを防止する。
特開2002-215250号公報 特開2003-098046号公報 特開平10-103935号公報 特開2011-051572号公報
しかしながら、特許文献1及び特許文献2においては、いずれも自動車の走行時における車速を加速又は減速により制御するものであって、障害物の検出や曲線路等の走行時における操舵を制御するものではない。
また、特許文献3においては、自動車のカーブ走行時に、操舵角によるカーブ半径とヨーレートによるカーブ半径とをそれぞれ算出して、これら二つのカーブ半径を所定の合成比で合成してカーブ半径を推定して操舵角を制御するものである。従って、カーブ走行時に、カーブ半径を常に推定しながら操舵角を制御する必要があり、演算量が多くなると共に演算に時間がかかってしまう。
さらに、特許文献4においては、バンク路の走行中に障害物としてのガードレールを発見したとき、障害物と接触しないように、接触回避支援を行なう際にその接触回避支援処理が過剰に作動しないようにするものであり、バンク路による障害物の正確な認識を行なうものではない。また、障害物の検出のために、車両前部に設けられたミリ波レーダー,レーザーレーダー又はステレオカメラ等が使用されており、前述したバンク付き曲線路において、障害物の検出が困難になるということは考慮されていない。
本発明は以上の点に鑑み、簡単な構成により、閉鎖された走行路から成るバンク付き曲線路を含む周回コースに沿って無人運転車両を走行させて、当該無人運転車両の走行テストを行なう走行車両の自動テスト走行システムを提供することを目的としている。
上記目的は、本発明の構成によれば、閉鎖された走行路から成る周回コースに沿って運転制御部により無人運転車両を走行させ、当該無人運転車両の走行テストを行なう走行車両の自動テスト走行システムであって、周回コースがバンク付曲線路を備えており、無人運転車両が、走行路を走行するための走行部及び操舵部と、走行路における走行状態を検出する位置センサ,車速センサ,三軸加速度センサ及び横傾斜角度を検出する横傾斜センサから成る検出部と、を備えており、運転制御部が、無人運転車両の検出部からの検出信号に基づいて、当該無人運転車両の位置,車速及び姿勢を検出して、走行部及び操舵部を駆動制御することにより当該無人運転車両を周回コースに沿って周回走行させると共に、運転制御部が、バンク付き曲線路では横傾斜角度を参照して、前もって作成した当該周回コースのマップデータから操舵角を演算し、演算された操舵角により操舵部を駆動制御することを特徴とする走行車両の自動テスト走行システムにより達成される。
上記構成によれば、運転制御部が、検出部からの検出信号に基づいて周回コースに沿って無人運転車両が走行するように走行制御部を制御し、走行制御部が走行部及び操舵部を駆動制御することにより、無人運転車両は周回コースに沿って周回し、自動テスト走行することができる。特に周回コースのバンク付き曲線路では、検出部の横傾斜センサからの検出信号を参照して、前もって作成した当該周回コースのマップデータから操舵角を演算するので、無人運転車両の曲線路の走行中に逐次曲線路の曲率を検出して、この曲率から操舵角を演算する必要がない。従って、演算処理が容易に且つ短時間で、しかも低コストで行なわれ得る。
このようにして、本発明による走行車両の自動テスト走行システムを利用することにより、従来、運転者によって走行テストの結果にバラツキが生ずるのに対して、自動運転による走行テストによって常に均一な走行テストを行なうことが可能となり、より精度の高い走行テストデータが得られる。
本発明による走行車両の自動テスト走行システムは、好ましくは、運転制御部が、バンク付き曲線路では前もって作成された当該周回コースのマップデータから当該曲線路の曲率を得て、当該無人運転車両の横傾斜角度と位置及び姿勢により周回コースの進路上の目標点に向かう最適な操舵角を演算する。このように、マップデータから得た当該曲線路の曲率に対して、当該無人運転車両の位置と姿勢から周回コースの進路上の目標点に向かうように操舵角を演算することで、無人運転車両は、周回コースのバンク付き曲線路に沿って確実に走行することが可能である。
本発明による走行車両の自動テスト走行システムは、好ましくは、運転制御部が、バンク付き曲線路では当該無人運転車両の車速及び姿勢から補正操舵角を演算し、操舵角と補正操舵角により操舵部を駆動制御する。バンク付き曲線路のマップデータ上の曲率に対して演算された操舵角に対して、無人運転車両の車速及び姿勢により車体に対して作用する横方向の加速度を勘案した補正操舵角を演算し、操舵角及び補正操舵角により操舵部を駆動制御することによって、バンク付き曲線路を走行する無人運転車両の車体に作用する横方向の加速度に最適に対応することが可能である。
本発明による走行車両の自動テスト走行システムは、好ましくは、走行路のバンク付き曲線路に障害物センサが備えられており、運転制御部が、障害物センサの検出信号に基づいてバンク付き曲線路内の障害物を認識し、走行中に当該障害物と接触しないよう当該無人運転車両の走行部及び操舵部を駆動制御し、かつ必要に応じて、当該無人運転車両を運転停止させる。従って、無人運転車両の車体に設けられた前方を監視するためのカメラでは検出できないようなバンク付き曲線路の進行方向に存在する障害物が、当該バンク付き曲線路側に固定配置された障害物センサにより認識される。バンク付き曲線路における障害物が確実に検出されるので、運転制御部は、バンク付き曲線路に在る障害物に接触しないよう当該無人運転車両の走行部及び操舵部を駆動制御することにより、障害物を回避するようにバンク付き曲線路を走行し、あるいはバンク付き曲線路の手前で緊急停止させることが可能であり、さらには、他車が通過するのを一時停止して待つことも可能となる。
本発明による走行車両の自動テスト走行システムは、好ましくは、障害物センサが、バンク付き曲線路をカバーする撮像範囲を有するライダー又はカメラである。この障害物センサとしてのライダー又はカメラで、バンク付き曲線路全体を撮像することにより、バンク付き曲線路に在る障害物を認識することが可能である。
本発明による走行車両の自動テスト走行システムは、好ましくは、障害物センサが、バンク付き曲線路の曲率中心付近に配置されている。障害物センサで、バンク付き曲線路の走行方向の全角度範囲に対してほぼ同じ距離で撮像することにより、バンク付き曲線路における障害物を確実に認識することが可能である。
本発明による走行車両の自動テスト走行システムは、好ましくは、運転制御部が、障害物センサにエラーが発生し又は障害物センサと外部運転制御部との間に通信エラーが発生したとき、当該無人運転車両の走行部を駆動制御して当該無人運転車両がバンク付き曲線路内に進入しないように緊急停止させる。従って、障害物センサのエラー又は障害物センサと外部運転制御部との間の通信エラーが発生した場合には、いちはやく無人運転車両の運転を中断して緊急停止させることで、特にバンク付き曲線路における安全性が確保される。
本発明による走行車両の自動テスト走行システムは、好ましくは、運転制御部が、前もって設定された複数個のテスト走行パターンの組合せから成るテスト走行プログラムに従って、無人運転車両の走行部を駆動制御する。よって、前もって設定されたテスト走行パターンの組合せにより種々の自動テスト走行を簡便に行なうことが可能である。
本発明による走行車両の自動テスト走行システムは、好ましくは、テスト走行パターンが、周回コースに隣接して設けられたベースから周回コース内の所定箇所までの走行開始パターンと、所定箇所からベースまで帰還する走行終了パターンと、所定箇所から周回コースに沿って再び所定箇所まで周回するテスト走行パターンと、を含んでおり、運転制御部が、所定箇所を基準として、各走行パターンを切り替える。これにより、各走行パターンの切替えが容易に行なわれる。
本発明による走行車両の自動テスト走行システムは、好ましくは、各走行パターンが、それぞれ目標速度を設定されている。これにより、各走行パターン毎に、目標速度を設定することで、より適正な自動テスト走行を行なうことができる。
本発明による走行車両の自動テスト走行システムは、好ましくは、各走行パターンが、それぞれ周回数,速度,横位置,車線,一旦停止等のパラメータを付加され得る。よって、同じ走行パターンであっても、パラメータを変更することにより多彩なテスト走行を行なうことが可能である。
本発明による走行車両の自動テスト走行システムは、好ましくは、運転制御部が、無人運転車両のテスト走行プログラムによる自動運転中に、各走行パターン又は前記各走行パターンの各種パラメータを編集することが可能である。このため、無人運転車両の走行状態を見ながら、各走行パターン又は前記各走行パターンの各種パラメータを編集することで、例えば走行パターン自体の変更、追加、削除や走行速度の増減や走行レーンの変更等を行ない、即時に進行中の自動テスト走行に反映させることが可能である。
このようにして、本発明によれば、簡単な構成により、閉鎖された走行路から成るバンク付き曲線路を含む周回コースに沿って無人運転車両を走行させて、当該無人運転車両の走行テストを行なう走行車両の自動テスト走行システムを提供することができる。
本発明による走行車両の自動テスト走行システムの全体構成を示す概略図である。 図1の自動テスト走行システムにおける周回コースを示す概略図である。 図2のバンク付き曲線路のA-A線断面図である。 図2の周回路に設けられた障害物検出部の構成を示すブロック図である。 図1の自動テスト走行システムにおける無人運転車両の構成を示すブロック図である。 図1の自動テスト走行システムにおける外部運転制御部の構成を示すブロック図である。 図1の自動テスト走行システムにおける走行プログラムを構成する各種走行パターンをそれぞれ示す概略図である。 図5の無人運転車両の自動運転制御部によるバンク付き曲線路走行時の制御方法の一例を示すフローチャートである。
以下、図面に示した実施形態に基づいて本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明による走行車両の自動テスト走行システム(以下、自動テスト走行システムという)の一実施形態の全体構成を示している。図1において、自動テスト走行システム10は、周回コース11と、周回コース11を周回して走行する無人運転車両20と、無人運転車両20を外部から駆動制御する外部運転制御部30と、ネットワーク40と、から構成されている。
周回コース11は、図2に示すように、互いに平行に延びる二本の直線路11a,11bと、これらの直線路11a,11bの両端に配置され且つ双方の直線路11a,11bの端部を結ぶように連結された半円状の曲線路11c,11dと、から成り、閉鎖された走行路12を構成している。この走行路12は、図示の場合、走行路12に沿って長手方向に延びる標識としての白線11eによって二本の走行レーン12a,12bに仕切られている。走行路12は、図示の場合、左回りに走行車両が走行し周回するようになっている。白線11eは、図示の場合には、連続した白線であるが、所謂破線や鎖線等であってもよい。
さらに、周回コース11に隣接して、周回コースをテスト走行すべき走行車両が待機するための駐車スペース11fが配置されており、周回コース11をテスト走行する走行車両は、この駐車スペース11fから出発して周回コース11を周回した後、再びこの駐車スペース11fに帰還する。駐車スペース11fは、ベースとも呼ぶ。
また、周回コース11の一箇所には、切替位置11gが設けられており、周回コース11を周回する走行車両が切替位置11gを通過する際に、後述するように、走行プログラム50を構成する走行パターンの切替えが行なわれる。
さらに、図3に示すように、周回コース11の一方の曲線路11cは、所謂バンク付き曲線路として構成されており、内周に対して外周が高く、幅方向に関して内側に向かって低くなるような横傾斜を備えている。この横傾斜は、図示の場合、曲線路11cの外周側ほど傾斜角度が大きくなるように形成されている。
このバンク付き曲線路11cには、障害物検出部13が備えられている。障害物検出部13は、図4に示すように、障害物センサ13aと、障害物センサ13aで撮像した撮像信号を送信する送信部13bと、から構成されている。障害物センサ13aとしては、ライダー、カメラ、ミリ波レーダー等のセンサデバイスを使用することができる。ライダー13aは、レーザーレーダーとも呼ばれているセンサであり、光検出と測距(LIDAR(Light Detection and Ranging))、又は、レーザー画像検出と測距(Laser Imaging Detection and Ranging)を行うセンサでLIDARとも表記される。ライダー13aとしては、2次元ライダーや3次元ライダーを用いてもよい。3次元ライダーは、曲線路11cのレーザー画像検出と、検出した物体との測距ができる。カメラとしては、単眼カメラ、双眼カメラ、ステレオカメラ等を使用できる。以下の説明においては、障害物センサ13aは3次元ライダーとして説明する。
さらに、バンク付き曲線路11cの走行方向手前には停止位置11hが設けられ、後述するようにバンク付き曲線路11c内に障害物を発見した場合には、無人運転車両20がこの停止位置11hで緊急停止する。
障害物検出部13は、バンク付き曲線路11cや、バンク付き曲線路11c以外の走行レーンをカバーするような撮像範囲θを有している。例えば、3次元ライダー13aは、図2に示すように、バンク付き曲線路11cの曲率中心付近に配置されており、バンク付き曲線路11cの走行路12の全領域、又はバンク付き曲線路11cとその近傍の停止位置11h迄をカバーするような撮像範囲θを有している。
なお、3次元ライダー13aとして、この撮像範囲θより小さい撮像範囲のカメラを使用する場合には複数台のカメラを用意し、これらのカメラの撮像範囲を互いにずらして配置することにより撮像範囲θをカバーするようにしてもよいことは明らかである。
送信部13bは、3次元ライダー13aからの撮像信号13cが入力され、この撮像信号13cをネットワーク40を介して外部運転制御部30に送信する。ここで、撮像信号13cは、3次元ライダー13aが検出した無人運転車両20と障害物との距離情報を含む。
ネットワーク40は、任意の構成のネットワークであって、専用回線ネットワークであってもまた公衆回線ネットワークであってもよい。ネットワーク40により、無人運転車両20と外部運転制御部30、また障害物検出部13と外部運転制御部30がそれぞれ相互に接続され、また後述するように、必要に応じて各種信号が相互に送受信される。
無人運転車両20は、公知の構成の自動運転車両であって、図5に示すように、車両本体21の下部に設けられた走行部22と、操舵部23と、走行部22及び操舵部23を駆動制御する車両制御部24と、自動運転制御部25と、送受信部26と、記憶部27と、検出部28と、運転状態表示部29とから構成されている。無人運転車両20の説明においては、自動運転制御部25は、単に運転制御部とも呼ぶ。
車両本体21は、走行部22,操舵部23及び車両制御部24、そして走行に必要な他の機器21aを含めて、公知の自動車として構成されている。車両本体21は、ドライバーが乗車して通常の自動車と同様に運転することができるようになっている。
走行部22は、例えば四つの車輪22aと、四つの車輪22aのうち、例えば前輪又は後輪を駆動輪として駆動する駆動源22bと、から構成されている。駆動源22bは公知の構成であって、ガソリンエンジン,ディーゼルエンジン等のエンジン、あるいは駆動モータから構成されている。駆動モータは、電気自動車や燃料電池自動車や、ガソリンエンジンと共に駆動源22bとなるモータを示す。
操舵部23は公知の構成であって、四つの車輪22aのうち、例えば前輪を操舵輪として左右に揺動させることにより、無人運転車両20を直進,あるいは左転回又は右転回させる。なお、駆動輪と操舵輪は同じ車輪であってもよい。駆動源22b及び操舵部23がそれぞれ車両制御部24により制御されることで、各車輪22aのうち駆動輪が回転駆動され、また操舵輪が左右に揺動させることで、無人運転車両20が前進,後退又は左右に転回して所定の方向に走行する。
車両制御部24は、後述する走行プログラム50に基づいて走行部22の駆動源22b及び操舵部23を駆動制御し、対応する車輪22a(駆動輪とも呼ぶ)を駆動して、走行プログラム50で設定された車速,前進,後退,左右転回等の走行を行なわせる。さらに、車両制御部24は、車両本体21の各種機器21aを作動させ、あるいは制御することで、車両本体21を確実に走行させ得る。なお、車両制御部24は、当該無人運転車両20に乗車したドライバーが車両本体21を操作することにより、手動で運転を開始した場合には、走行プログラム50に基づく自動テスト走行を中断する。
走行プログラム50は、自動運転制御部25により直接に入力され、又は前もって設定されて記憶部27に記憶され、あるいは送受信部26からネットワーク40を介して外部の外部運転制御部30から受信することで取得され、車両制御部24に入力される。
自動運転制御部25は、検出部28から入力される後述の各種検出信号S1~S5、そして障害物検出部13から外部運転制御部30を介して送られてくる障害物検出信号(撮像信号13c)を参照しながら、走行プログラム50に基づいて走行部22,操舵部23を駆動制御し、また検出信号S1~S5を記憶部27に登録し、あるいは送受信部26からネットワーク40を介して外部の外部運転制御部30に送信する。
送受信部26は、外部に設けられる外部運転制御部30との間でネットワーク40を介して無線通信により検出信号S1~S5及び撮像信号13cを送信すると共に、外部運転制御部30から前もって設定された走行プログラム50を受信して記憶部27に登録し、あるいは走行プログラム50を車両制御部24に伝送する。送受信部26は、外部運転制御部30から前もって設定された走行プログラム50を受信して記憶部27に登録し、かつ、走行プログラム50を車両制御部24に伝送してもよい。
記憶部27は、自動運転制御部25で入力され、又は外部の外部運転制御部30からネットワーク40を介して受信した走行プログラム50と、検出部28からの検出信号S1~S5を逐次記憶する。さらに、記憶部27は、前もって作成された周回コース11の走行路12に関するマップデータが記憶されている。
検出部28は、図示の場合、監視カメラ28aと、位置検出部28bと、車速センサ28cと、三軸加速度センサ28dと、横傾斜センサ28eと、から構成されている。監視カメラ28aとしては、単眼カメラ、双眼カメラ、ステレオカメラ等を使用できる。さらに、検出部28は、前方の監視のために、障害物センサ13aと同様にカメラ又はライダー28fとを備えていてもよい。ライダーとしては、3次元ライダーを用いてもよい。以下の記載においては、ライダー28fを、3次元ライダーとして説明する。
監視カメラ28aは車両本体21の前端付近に配置されており、走行路12の進行方向前方を撮像し、撮像した画像信号を検出信号S1として自動運転制御部25に送出する。自動運転制御部25は、検出信号S1に基づいて無人運転車両20の前方の状況、特に周回コース11の走行路12の白線11eを画像認識して、走行レーン12a,12b内の現在位置を把握して、前もって設定された走行路12のマップデータと比較することにより自己位置推定を行なって、当該走行レーン12a,12b内の進路を保持するように走行プログラム50を修正し、車両制御部24に送出する。
これにより、車両制御部24は操舵部23を制御して、無人運転車両20を走行レーン12a,12bから外れることなく確実に走行レーン12a,12b内で走行させることができる。
位置検出部28bは、例えばGPSセンサによる経度及び緯度を検出する。位置検出部28bは、例えば所定時間毎に無人運転車両20のそのときの測地データを検出し、検出信号S2として自動運転制御部25に送出する。自動運転制御部25は、検出信号S2と記憶部27から読み出した走行路12のマップデータとを比較して、当該無人運転車両20の走行路12での走行位置、そして曲線路11c,11dでの曲率半径を得て、当該走行レーン12a,12b内の進路を保持するように走行プログラムを修正して、車両制御部24に送出する。
車速センサ28cは、例えば車輪22aの回転数を検出して、その回転数を検出信号S3として自動運転制御部25に送出する。
三軸加速度センサ28dは、所謂ジャイロであって、車両本体21の三軸方向の加速度により無人運転車両20の三次元の姿勢を検出し、その検出信号S4を自動運転制御部25に送出する。
横傾斜センサ28eは、車両本体21の横方向の傾斜角度を検出し、その検出信号S5を自動運転制御部25に送出する。なお、三軸加速度センサ28dの検出信号S4によって、車両本体21の横方向の傾斜角度を抽出できる場合には、横傾斜センサ28eは省略してもよい。
さらに、3次元ライダー28fを備えている場合には、3次元ライダー28fは、無人運転車両20の前方の物体とその距離を検出して、前方のレーザー画像と検出した物体との距離のデータを検出信号S6として自動運転制御部25に送出する。
これにより、自動運転制御部25は、監視カメラ28a,位置検出部28b,車速センサ28c,三軸加速度センサ28d及び横傾斜センサ28eからの検出信号S1~S5に基づいて、又、さらに、3次元ライダー28fを備えている場合には、検出信号S1~S6に基づいて、無人運転車両20の走行位置,走行速度,姿勢,横傾斜等の走行状態を把握し、周回コース11上の位置を決定すると共に、そのときの走行プログラム50の進行状況を判断する。3次元ライダー28fを備えている場合には、走行状態として、さらに無人運転車両20の前方領域の物体、例えば障害物や他の車両等との距離を把握することができる。
また、自動運転制御部25は、検出信号S1又は撮像信号13cに基づいて、バンク付き曲線路11cを含む周回コース11の走行路12上に障害物や他の走行車両を発見した場合には、障害物検出信号25aを生成し、当該障害物や他の走行車両と接触しないよう走行プログラム50を修正して、車両制御部24に送出する。
これにより、車両制御部24は、当該障害物や他の走行車両と接触しないよう走行部22を制御して、無人運転車両20を減速又は停止させ、あるいは操舵部23を制御して走行レーン12a,12bを変更する。特に、バンク付き曲線路11c上に障害物を発見した場合には、自動運転制御部25は、走行プログラム50にかかわらず車両制御部24を制御して、無人運転車両20を停止位置11hで緊急停止させる。
また、自動運転制御部25は、障害物検出信号25aを生成したとき、検出信号S1及び/又は障害物検出信号25aを送受信部26からネットワーク40を介して外部運転制御部30に送信する。さらに、自動運転制御部25は、走行プログラム50に含まれる後述の走行停止指令に基づいて車両制御部24を制御して、無人運転車両20の走行を停止させることができる。
運転状態表示部29は、例えば青色,黄色,赤色の三色の点灯表示が可能な表示灯であって、正常に自動テスト走行している場合には青色点灯表示、一旦停止した後に走行開始する場合には黄色表示、エラー発生等や緊急停止の場合には赤色表示を行なう。
自動運転制御部25は、テスト走行が正常に進行している場合には、運転状態表示部29に対して青色点灯の指令を伝送し、運転状態表示部29により青色点灯表示を行なわせる。また、自動運転制御部25は、障害物検出信号25aを生成して無人運転車両20を停止させ、その後走行開始させる場合には、その前に運転状態表示部29に対して黄色点灯の指令を伝送し、運転状態表示部29により黄色点灯表示を行なわせる。さらに、自動運転制御部25は、検出部28から検出信号S1~S5が入力されなくなった場合、機器故障又は通信不良としてエラー信号25bを生成し、車両制御部24及び外部運転制御部30に伝送すると共に、運転状態表示部29に対して赤色点灯の指令を伝送し、運転状態表示部29により赤色点灯表示を行なわせる。このとき、エラー信号25bを受け取った車両制御部24は、走行部22及び操舵部23を駆動制御して無人運転車両20を緊急停止させる。
外部運転制御部30は、周回コース11に隣接して配置されており、図6に示すように、ネットワーク40に接続される送受信部31と、記憶部32と、制御部33と、表示部34と、入力部35と、を含んでいる。外部運転制御部30の制御部33は、送受信部31で受信した無人運転車両20からの検出信号S1~S5及び障害物検出信号25a,25bと、障害物検出部13からの撮像信号13cと、を記憶部32に記憶させると共に、これらの検出信号S1~S5に基づいて、当該無人運転車両20の周回コース11上の位置を表示部34の表示画面上に表示する。これにより、表示部34の表示画面に表示される無人運転車両20の位置を操作者が目視することにより、当該無人運転車両20の周回コース11上の位置が容易に視認される。また、上記制御部33は、障害物検出部13からの撮像信号13cをネットワーク40を介して無人運転車両20に伝送する。
さらに、外部運転制御部30は、入力部35により無人運転車両20のための走行プログラム50を作成し、記憶部32に記憶させる。外部運転制御部30の制御部33は、これらの走行プログラム50を前もって設定することができると共に、走行プログラム50を記憶部32から読み出して、送受信部31からネットワーク40を介して無人運転車両20に伝送する。無人運転車両20は、送受信部26から走行プログラム50を受信して記憶部27に記憶させる。これを受けて、無人運転車両20の車両制御部24は、この走行プログラム50を記憶部27から読み出し、走行部22及び操舵部23を駆動制御する。これにより、無人運転車両20は、前もって設定された走行プログラム50による走行パターンに従ってテスト走行する。
また、外部運転制御部30は、既に作成してある走行プログラム50あるいは無人運転車両20で実行中の走行プログラム50に関して、その修正を行なうことが可能である。その際、外部運転制御部30の制御部33は、走行プログラム50を構成する走行パターンP1からP4のうち、P2及びP3の組合せの変更、あるいは個々の走行パターンP1~P4の内容、即ち走行レーン12a,12bの指定、走行速度等の修正を行なうことができる。
そして、外部運転制御部30の制御部33は、修正された走行プログラム50を即時にネットワーク40を介して無人運転車両20に伝送する。これにより、無人運転車両20では、自動運転制御部25が、修正された走行プログラム50に基づいて無人運転車両20の走行制御部24を制御して、無人運転車両20の現在進行中の走行パターンも変更し、変更した内容で自動テスト走行を継続することが可能である。
ここで、走行プログラム50は、図7に示すように、複数種類の走行パターンの組合せにより構成される。
まず図7(A)は、走行開始パターンP1を示しており、周回コース11の駐車スペース11fから発車して周回コース11の外側の走行レーン12bに進入し、曲線路11cを通過して直進路11bに沿って切替位置11gまで進む走行パターンである。この走行開始パターンP1により、無人運転車両20は、駐車スペース11fから出発して周回コース11内に進入することができる。
また、図7(B)はコース周回パターンP2を示しており、切替位置11gから、外側の走行レーン12bに沿って曲線路11dを通って直線路11aに進入し、途中で内側の走行レーン12aに車線変更した後、再び走行レーン12bに車線変更し、直線路11aから曲線路11c,直線路11bを通って切替位置11gまで進む走行パターンである。このコース周回パターンP2により、無人運転車両20は周回コース11上にて、切替位置11gから切替位置11gまで、設定された周回数だけ周回コース11をテスト走行することができる。
続いて、図7(C)は、走行停止パターンP3を示しており、切替位置11gから、外側の走行レーン12bに沿って曲線路11dを通って直線路11aに進入し、途中の走行停止ゾーン11hの領域において、無人運転車両20の走行を停止し、走行停止ゾーン11hを通過後は、再び無人運転車両20を動作させて、直線路11aから曲線路11c,直線路11bを通って切替位置11gまで進む走行パターンである。この走行停止パターンP3により、無人運転車両20は、周回コース11上の走行停止ゾーン11hで走行が停止できる。
最後に、図7(D)には、走行終了パターンP4を示しており、切替位置11gから外側の走行レーン12bに沿って曲線路11dを通って直線路11aに進入し、途中で内側の走行レーン12aに車線変更した後、再び走行レーン12bに車線変更し、直線路11aから駐車スペース11fに帰還する走行パターンである。この走行終了パターンP4により、無人運転車両20は、周回コース11から駐車スペース11fに帰還することができる。
走行プログラム50は、これら四つの走行パターンP1~P4の組合せにより構成されており、これらの走行パターンP1~P4の切替えは、周回コース11の切替位置11gにて行なわれる。走行プログラム50は、開始時は必ず走行開始パターンP1から始まり、走行終了パターンP4で終わらなければならない。また、コース周回パターンP2及び走行停止パターンP3は、走行プログラム50の途中に何回でも連続してあるいは交互に切り替えて組み合わせることが可能である。
このようにして、走行プログラム50の構成例としては、走行開始パターンP1,コース周回パターンP2(周回数4)及び走行終了パターンP4から成る走行プログラム、又は走行開始パターンP1,走行停止パターンP3(周回数1)及び走行終了パターンP4から成る走行プログラム、あるいは走行開始パターンP1,コース周回パターンP2(周回数2),走行停止パターンP3(周回数1)及び走行終了パターンP4から成る走行プログラム等がある。
さらに、各走行パターンP1~P4は、それぞれ走行すべき横位置や車線としての走行レーン12a,12bや走行速度や一旦停止等がパラメータとして設定されると共に、走行パターンP2及びP3に関しては、周回数も設定される。この場合、走行速度の設定に関しては、周回コース11上の位置毎に速度を変更して、例えば曲線路11c,11dの手前で減速して、より低い速度で曲線路11c,11dを通過した後、再び加速してより高い速度で走行するような設定も可能である。
走行プログラム50は、上述した各走行パターンP1~P4の組合せから構成され、無人運転車両20の自動運転制御部25で作成され、あるいは外部運転制御部30の制御部33で作成されて、ネットワーク40を介して無人運転車両20に伝送され、無人運転車両20の記憶部27に記憶される。
無人運転車両20によるテスト走行開始の際に、無人運転車両20の自動運転制御部25が記憶部27から、前もって作成された走行プログラム50を読み出して車両制御部24に送出することにより、車両制御部24は、走行プログラム50に基づいて走行部22及び操舵部23を駆動制御する。これにより、無人運転車両20は、当該走行プログラム50に従って周回コース11をテスト走行する。
さらに、自動運転制御部25あるいは外部運転制御部30の制御部33が、無人運転車両20のテスト走行プログラムによる自動運転中に、各走行パターンP1~P4又は各走行パターンP1~P4の各種パラメータを編集してもよい。
その際、自動運転制御部25は、監視カメラ28aからの検出信号S1に基づいて周回コース11の白線11eを認識し、走行プログラム50のうち、そのとき進行している走行パターンP1~P4を、無人運転車両20が指定された走行レーン12a又は12bから外れないように修正し、車両制御部24に送出する。これにより、車両制御部24は、修正された走行パターンP1~P4に基づいて走行部22及び操舵部23を駆動制御する。従って、無人走行車両20は、指定された走行レーン12a又は12bから外れることなく、確実に当該走行レーン12a又は12b内でテスト走行を続けることができる。
ここで、無人運転車両20の監視カメラ28aの検出信号S1及び/又はライダー28fの検出信号S6に基づいて、自動運転制御部25が周回コース11上に障害物や他の車両を発見すると、自動運転制御部25は、障害物検出信号25aを生成して、この障害物検出信号25aを外部運転制御部30に伝送すると共に、走行プログラム50のうちそのとき進行している走行パターンP1~P4を、当該無人運転車両20が障害物や他の車両と接触しないように、減速や停止又は走行レーン12a又は12bの車線変更を行なうよう修正し、車両制御部24に送出する。障害物検出部13からの障害物に関する撮像信号13cは、ネットワーク40から送受信部26を介して自動運転制御部25に入力している。さらに、ネットワーク40を介することによる遅延時間が生じないように、障害物検出部13からのライダー等による撮像信号13cは、直接、送受信部26に送出されてもよい。
車両制御部24は、修正された走行パターンP1~P4に基づいて走行部22及び操舵部23を駆動制御する。従って、無人走行車両20は、障害物や他の車両との接触を回避するように、減速や停止又は走行レーン12a,12bの車線変更を行ない、その後、テスト走行を続けることができる。
さらに、自動運転制御部25は、走行プログラム50のうち、そのとき進行している走行パターンP1~P4を、当該無人運転車両20の走行状態を考慮して適宜にパラメータを修正することも可能である。例えば、自動運転制御部25は、走行パターンP1~P4における走行速度や走行レーンの変更、あるいは周回数の増減等の修正を行なうことができる。この場合、自動運転制御部25は、修正された走行パターンP1~P4を含む走行プログラム50を車両制御部24に送出する。これにより、車両制御部24は、修正された走行パターンP1~P4に基づいて走行部22及び操舵部23を駆動制御する。従って、無人走行車両20は、パラメータ修正された走行パターンP1~P4に従ってテスト走行を続けることができる。
自動運転制御部25は、バンク付き曲線路11cにおける走行制御に際して以下のように自己位置推定を行なう。
即ち、自動運転制御部25は、検出部28からの検出信号に基づいて自己位置推定により、当該無人運転車両20が停止しているときに、三軸加速度センサ28dの検出信号S4から得られる三次元の姿勢、即ちピッチ角,ロール角及びヨー角を初期化する、あるいは周回コース11の走行路12のある地点、つまり、マップデータ上の所定の地点を等速直線走行したと判断したとき、マップデータを基準として三次元の姿勢、即ちピッチ角,ロール角及びヨー角を初期化する。
続いて、自動運転制御部25は、三軸加速度センサ28dの検出信号S4から得られる角速度を積分してフィルタリング等の信号処理により、当該無人運転車両20の車両本体21の姿勢角を推定する。具体的には、姿勢角の推定は、例えば単純な積分、EKF(エクステンドカルマンフィルタ)による推定、PF(パーティクルフィルタ)による推定あるいはルンゲクッタ法による積分により行なわれる。
自動運転制御部25は、バンク付き曲線路11cにおける操舵角の制御を、図8のフローチャートに従って以下のようにして行なう。
まずステップST1にて、自動運転制御部25は、前述した走行路12のマップデータからバンク付き曲線路11cの曲率半径を取得する。なお、マップデータによるバンク付き曲線路11cの曲率半径は、バンク付き曲線路11cの水平面への投影像から取得しているため、実際の曲率半径とは異なっている。
続いて、ステップST2にて、自動運転制御部25は、検出部28からの検出信号に基づいて、当該無人運転車両20の位置及び姿勢角として横傾斜角度を取得する。
ステップST3にて、自動運転制御部25は計画経路となる走行進路上に目標点を設定し、ステップST4にて、この目標点に向って走行するために最適な操舵角を演算する。
次に、ステップST5にて、自動運転制御部25は、検出部28からの検出信号に基づいて当該無人運転車両20の速度及びロール角から無人運転車両20に加えられる車速による遠心力及び横傾斜角度による横すべり力、つまり、横方向の力を考慮して補正操舵角を演算する。
最後に、ステップST6にて、自動運転制御部25は、上記操舵角と補正操舵角とを加算した角度を操舵角として車両制御部24に出力する。車両制御部24は、この操舵角に基づいて操舵部23を駆動制御する。
以上の動作を繰り返し行なうことにより、自動運転制御部25は、無人運転車両20の車両本体21をバンク付き曲線路11cに沿って円滑に走行させることができる。
バンク付き曲線路11cにおける障害物の検出は、以下のように行なわれる。
障害物検出部13の撮像信号13cに基づいて、自動運転制御部25がバンク付き曲線路11c上に障害物を発見すると、自動運転制御部25は、走行プログラム50による制御を中断して緊急停止指令25bを生成し、車両制御部24に送出する。これにより、車両制御部24は、緊急停止指令25bに基づいて無人運転車両20をバンク付き曲線路11cの手前の停止位置11hにて緊急停止させる。
本発明実施形態の自動テスト走行システム10は以上のように構成されており、以下のように動作する。
まず、自動テスト走行の前に、無人運転車両20の自動運転制御部25又は外部運転制御部30にて走行プログラム50が作成され、無人運転車両20の記憶部27に記憶される。
自動テスト走行開始時には、無人運転車両20の自動運転制御部25は、記憶部27から走行プログラム50を読み出し、この走行プログラム50に基づいて車両制御部24を制御する。車両制御部24は、走行プログラム50に従って走行部22及び操舵部23を駆動制御するので、無人運転車両20は走行プログラム50に従って自動テスト走行を行なう。この場合、無人運転車両20の運転状態表示部29は青色点灯表示を示している。
その際、自動運転制御部25は、監視カメラ28aの検出信号S1に基づいて周回コース11の白線11eを、また位置検出部28bの検出信号S2に基づいて前もって設定された周回コース11のマップデータと比較することにより当該無人運転車両20の周回コース11上での位置を、それぞれ常に認識している。
従って、無人運転車両20が指定された走行レーン12a又は12bから外れようとすると、自動運転制御部25は即時に無人運転車両20を指定された走行レーン12a又は12b内に戻すよう操舵部23を駆動制御するので、無人運転車両20は、自動テスト走行中に指定された走行レーン12a又は12bから外れるようなことはない。
さらに、自動運転制御部25は、バンク付き曲線路11cを走行する際には、マップデータから取得した当該バンク付き曲線路11cの曲率半径から、車両本体21の横傾斜角度と車速を参照して操舵角を修正する。これにより、無人運転車両20はバンク付き曲線路11cを安定して確実に走行することができる。
また、自動運転制御部25は、監視カメラ28aの検出信号S1及び/又はライダー28fの検出信号S6に基づいて、周回コース11の前方領域に障害物や他の車両を発見した場合には障害物検出信号25aを生成し、車両制御部24及び外部運転制御部30に伝送する。このようにして、車両制御部24は、走行部22及び操舵部23を駆動制御して、当該無人運転車両20が障害物又は他の車両と接触しないよう減速又は停止、あるいは走行レーン12a,12bの変更を行なう。
ここで、無人運転車両20が周回コース11上で停止した場合には、自動運転制御部25は、再び走行開始する前に運転状態表示部29に対して黄色表示の指令を伝送して、運転状態表示部29に黄色点灯表示を行なわせる。
さらに、自動運転制御部25は、障害物検出部13の撮像信号13cに基づいて、周回コース11のバンク付き曲線路11cの領域に障害物や他の車両を発見した場合には緊急停止指令25bを生成し、車両制御部24及び外部運転制御部30に伝送する。
これにより、車両制御部24は、緊急停止指令25bに基づいて走行部22及び操舵部23を駆動制御し、当該無人運転車両20をバンク付き曲線路11cの手前の停止位置11hで停止させる。
これに対して、自動運転制御部25は、検出部28から検出信号S1~S5の何れかが受信できなくなったとき、エラー信号25bを生成して、車両制御部24及び外部運転制御部30に伝送すると共に、運転状態表示部29に対して赤色点灯の指令を伝送し、運転状態表示部29により赤色点灯表示を行なわせる。車両制御部24は、エラー信号25bを受け取って、このエラー信号25bに基づいて走行部22及び操舵部23を駆動制御して無人運転車両20を緊急停止させる。
また、無人運転車両20の運転席にドライバーが乗車している場合にドライバーが無人運転車両20を手動操作すると、自動運転制御部25は、ドライバーによる手動操作を検知して、走行プログラム50による自動テスト走行を中断する。これにより、ドライバーは、当該無人運転車両20を通常の自動車と同様に運転することが可能である。
走行車両の自動テスト走行システム10によれば、走行プログラム50に基づいて、周回コース11を周回する自動テスト走行をドライバーなしで実行することができる。それゆえ、例えば数時間にわたって周回数を重ねるようなテスト走行においても、ドライバーが不要であるのでドライバーの身体的又は精神的負担が生じない。また、同一の走行プログラム50を実行することにより、毎回まったく同じ条件でテスト走行を行なうことが可能であり、従来のようにドライバー毎のテスト結果のバラツキが生じない。
上述した実施例による自動テスト走行システム10では、周回コース11上を走行する一台の無人運転車両20が周回コース11上をテスト走行する場合について説明したが、これに限らず、複数台の無人運転車両20が周回コース11上でテスト走行することも可能なことは明らかである。この場合、外部運転制御部30の制御部33は、各無人運転車両20の自動運転制御部25から、それぞれ当該無人運転車両20の走行状態、即ち各検出信号S1~S5及び障害物検出信号25a又はエラー信号25bをネットワーク40を介して受信することにより、各無人運転車両20の周回コース11上での走行位置,走行速度等の走行状態を把握することができる。
さらに、外部運転制御部30の制御部33は、各無人運転車両20の相互の走行位置及び走行速度等の走行状態から、各無人運転車両20の所定時間後における相互の走行位置及び走行速度等の走行状態を予測することが可能である。これにより、外部運転制御部30の制御部33は、所定時間後に相互に接近しあるいは接触のおそれのある無人運転車両20に対して接近予測情報33aを作成し、ネットワーク40を介して伝送する。接近予測情報33aを受け取った無人運転車両20の自動運転制御部25は、対象となる他の無人運転車両20と接触しないよう走行プログラム50の走行パターンP1~P4を適宜に修正し、減速や停止又は走行レーン12a,12bの車線変更を行なって、他の無人運転車両20との接触を回避することができる。
本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲において様々な形態で実施することができる。
例えば、上述した実施形態においては、無人運転車両20は車輪22aにより地上を走行するように構成されているが、例えば無限軌道等の車輪以外の走行手段を備えるようにしてもよい。
上述した実施形態においては、無人運転車両20の検出部28は、進行方向前方の障害物等を検出するために監視カメラ28aやライダー28fを備えているが、これに限らず、さらにミリ波レーダーを備えていてもよい。車両本体21の周囲に複数個のミリ波レーダー又は複数個の3次元ライダー28fを備えることにより、無人運転車両20の周囲における障害物や他の車両を検出することができ、これにより障害物や他の車両との接触をより効果的に回避することが可能である。
上述した実施形態においては、周回コース11は、所謂オーバルサーキットとして構成されているが、これに限らず、左曲がりや右曲がりを組み合わせた任意の形状の周回コースであってもよく、さらには一般道路を利用して、前もって設定された経路に沿って標識を設けることで、テスト走行用の周回コースを設定してもよいことは明らかである。
10 自動テスト走行システム
11 周回コース
11a,11b 直線路
11c,11d バンク付き曲線路(曲線路)
11e 白線
11f 駐車スペース(ベース)
11g 切替位置
11h 停止位置(走行停止ゾーン)
12 走行路
12a,12b 走行レーン
13 障害物検出部
13a 障害物センサ(ライダー)
13c 撮像信号
20 無人運転車両
21 車両本体
22 走行部
22a 車輪
22b 駆動源
23 操舵部
24 車両制御部
25 自動運転制御部
25a 障害物検出信号
26 送受信部
27 記憶部
28 検出部
28a 監視カメラ
28b 位置検出部
28c 車速センサ
28d 三軸加速度センサ
28e 横傾斜センサ
28f ライダー(3次元ライダー)
29 運転状態表示部
30 外部運転制御部
31 送受信部
32 記憶部
33 制御部
34 表示部
35 入力部
40 ネットワーク
50 走行プログラム
S1~S6 検出信号
P1~P4 走行パターン

Claims (12)

  1. 閉鎖された走行路から成る周回コースに沿って運転制御部により無人運転車両を走行させて当該無人運転車両の走行テストを行なう、走行車両の自動テスト走行システムであって、
    前記周回コースがバンク付曲線路を備えており、
    前記無人運転車両が、走行路を走行するための走行部及び操舵部と、前記走行路における走行状態を検出する位置センサ,車速センサ,三軸加速度センサ及び横傾斜角度を検出する横傾斜センサから成る検出部と、を備えており、
    前記運転制御部が、前記無人運転車両の検出部からの検出信号に基づいて、当該無人運転車両の位置,車速及び姿勢を検出して、前記走行部及び操舵部を駆動制御することにより、当該無人運転車両を前記周回コースに沿って周回走行させると共に、
    前記運転制御部が、前記バンク付き曲線路では、前記横傾斜角度を参照して、前もって作成した当該周回コースのマップデータから操舵角を演算し、演算された操舵角により前記操舵部を駆動制御することを特徴とする、走行車両の自動テスト走行システム。
  2. 前記運転制御部が、前記バンク付き曲線路では前もって作成された当該周回コースのマップデータから当該曲線路の曲率を得て、当該無人運転車両の横傾斜角度と位置及び姿勢により周回コースの進路上の目標点に向かう最適な操舵角を演算することを特徴とする、請求項1に記載の走行車両の自動テスト走行システム。
  3. 前記運転制御部が、前記バンク付き曲線路では当該無人運転車両の車速及び姿勢から補正操舵角を演算し、前記操舵角と補正操舵角により前記操舵部を駆動制御することを特徴とする、請求項2に記載の走行車両の自動テスト走行システム。
  4. 前記走行路のバンク付き曲線路に、障害物センサが備えられており、
    前記運転制御部が、前記障害物センサの検出信号に基づいて前記バンク付き曲線路内の障害物を認識し、走行中に当該障害物と接触しないよう当該無人運転車両の走行部及び操舵部を駆動制御し、かつ必要に応じて当該無人運転車両を運転停止させることを特徴とする、請求項1から3の何れかに記載の走行車両の自動テスト走行システム。
  5. 前記障害物センサが、前記バンク付き曲線路をカバーする撮像範囲を有するライダー又はカメラであることを特徴とする、請求項4に記載の走行車両の自動テスト走行システム。
  6. 前記障害物センサが、前記バンク付き曲線路の曲率中心付近に配置されていることを特徴とする、請求項4又は5に記載の走行車両の自動テスト走行システム。
  7. 前記運転制御部が、前記障害物センサにエラーが発生し又は前記障害物センサと外部運転制御部との間に通信エラーが発生したとき当該無人運転車両の走行部を駆動制御して、当該無人運転車両が前記バンク付き曲線路内に進入しないように緊急停止させることを特徴とする、請求項4から6の何れかに記載の走行車両の自動テスト走行システム。
  8. 前記運転制御部が、前もって設定された複数個のテスト走行パターンの組合せから成るテスト走行プログラムに従って、前記無人運転車両の走行部を駆動制御することを特徴とする、請求項1から7の何れかに記載の走行車両の自動テスト走行システム。
  9. 前記テスト走行パターンが、前記周回コースに隣接して設けられたベースから前記周回コース内の所定箇所までの走行開始パターンと、前記所定箇所から前記ベースまで帰還する走行終了パターンと、前記所定箇所から前記周回コースに沿って再び前記所定箇所まで周回するテスト走行パターンと、を含んでおり、
    前記運転制御部が、前記所定箇所を基準として前記各走行パターンを切り替えることを特徴とする、請求項8に記載の走行車両の自動テスト走行システム。
  10. 前記各走行パターンが、それぞれ目標速度を設定されていることを特徴とする、請求項9に記載の走行車両の自動テスト走行システム。
  11. 前記各走行パターンが、それぞれ周回数,速度,横位置,車線,一旦停止等のパラメータを付加され得ることを特徴とする、請求項9又は10に記載の走行車両の自動テスト走行システム。
  12. 前記運転制御部が、前記無人運転車両のテスト走行プログラムによる自動運転中に、前記各走行パターン又は前記各走行パターンの各種パラメータを編集することが可能であることを特徴とする、請求項11に記載の走行車両の自動走行システム。
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