以下、本発明に係る羽根駆動装置の実施形態について図1から図23を参照して詳細に説明する。なお、図1から図23において、同一又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。また、図1から図23においては、理解を容易にするために、一部の構成要素を簡略化して図示している場合があり、各構成要素の縮尺や寸法が誇張されて示されている場合や一部の構成要素が省略されている場合もある。
図1は、本発明の一実施形態における羽根駆動装置1を示す正面図、図2は背面図、図3は分解斜視図である。本実施形態における羽根駆動装置1は、カメラなどの光学機器に組み込まれるフォーカルプレーンシャッタであるものとして説明するが、これは例示に過ぎず、本発明に係る羽根駆動装置はこのようなシャッタの用途に限られるものではない。なお、図1から図3は、カメラによる露光動作が完了したときの状態を示している。
図1から図3に示すように、本実施形態における羽根駆動装置1は、矩形状の開口(露出開口)Sが形成された枠体10と、枠体10とカバー(図示せず)との間に形成される空間に収容される8枚の羽根21~28とを含んでいる。この羽根駆動装置1は、CCDやCMOSセンサなどの撮像素子(図示せず)を備えた撮像装置に組み込まれるものであり、図3においては、-Y方向側が被写体側である。被写体からの光は、枠体10の開口Sを通過して、羽根駆動装置1の+Y方向側に配置された撮像素子に入射するようになっている。
羽根21~28のそれぞれは、全体としてX方向に延びる薄板状の部材であり、8枚の羽根21~28が+Y方向に順番に重ねられている。本実施形態においては、8枚の羽根21~28のうち、羽根21~24がフォーカルプレーンシャッタの先幕を構成する先羽根であり、羽根25~28が後幕を構成する後羽根となっている。
羽根駆動装置1は、先羽根21~24に連結された先羽根アーム31,32(先羽根アーム部)と、後羽根25~28に連結された後羽根アーム33,34(後羽根アーム部)とを含んでいる。図4は、先羽根21~24及び先羽根アーム31,32を示す分解斜視図、図5は、後羽根25~28及び後羽根アーム33,34を示す分解斜視図である。
図4に示すように、先羽根21はピン101,102によりそれぞれ先羽根アーム31,32と連結され、先羽根22はピン103,104によりそれぞれ先羽根アーム31,32と連結され、先羽根23はピン105,106によりそれぞれ先羽根アーム31,32と連結され、先羽根24はピン107,108によりそれぞれ先羽根アーム31,32と連結されている。このように、それぞれの先羽根21~24と先羽根アーム31,32とによってリンク機構が構成されている。
また、図5に示すように、後羽根25はピン111,112によりそれぞれ後羽根アーム33,34と連結され、後羽根26はピン113,114によりそれぞれ後羽根アーム33,34と連結され、後羽根27はピン115,116によりそれぞれ後羽根アーム33,34と連結され、後羽根28はピン117,118によりそれぞれ後羽根アーム33,34と連結されている。このように、それぞれの後羽根25~28と後羽根アーム33,34とによってリンク機構が構成されている。
図6は、枠体10を示す前方斜視図である。図6に示すように、枠体10には、+Y方向に延びる先羽根駆動軸11、後羽根駆動軸12、及びカム軸13が形成されている。また、枠体10には、先羽根駆動軸11を中心とする円弧に沿った円弧溝14と、後羽根駆動軸12を中心とする円弧に沿った円弧溝15とが形成されている。さらに、枠体10の円弧溝14の近傍には円筒状のカムストッパ16が形成されている。
図7は、枠体10を示す後方斜視図である。図7に示すように、枠体10には、-Y方向に延びる支軸41~44が形成されている。これらの支軸41~44のうち支軸41は上述した先羽根駆動軸11と同軸上に位置しており、支軸42は後羽根駆動軸12と同軸上に位置している。
図4に示すように、先羽根アーム31の端部近傍には、枠体10の支軸41が挿通される円筒スリーブ312が設けられており、この先羽根アーム31の円筒スリーブ312に支軸41が挿通されることで、先羽根アーム31が枠体10の支軸41を中心として回転できるようになっている。また、先羽根アーム31の円筒スリーブ312から少し離れた位置には、略矩形状のレバー連結孔314が形成されている。
また、先羽根アーム32の端部近傍には、枠体10の支軸43が挿通される軸孔322が形成されており、この先羽根アーム32の軸孔322に支軸43が挿通されることで、先羽根アーム32が枠体10の支軸43を中心として回転できるようになっている。
図5に示すように、後羽根アーム33の端部近傍には、枠体10の支軸44が挿通される軸孔332が形成されている。この後羽根アーム33の軸孔332に支軸44が挿通されることで、後羽根アーム33が枠体10の支軸44を中心として回転できるようになっている。
また、後羽根アーム34の端部近傍には、枠体10の支軸42が挿通される円筒スリーブ342が設けられており、この後羽根アーム34の円筒スリーブ342に支軸42が挿通されることで、後羽根アーム34が枠体10の支軸42を中心として回転できるようになっている。また、後羽根アーム34の円筒スリーブ342から少し離れた位置には、略矩形状のレバー連結孔344が形成されている。
図4に示すように、先羽根21~24は、-Y方向に順番に重なった状態で先羽根アーム31,32に連結されている。したがって、先羽根アーム31が支軸41を中心として回転し、先羽根アーム32が支軸43を中心として回転すると、上述したリンク機構によって、先羽根21~24が互いに重なる領域を変化させつつ、主としてZ方向に移動するようになっている。
同様に、図5に示すように、後羽根25~28は、+Y方向に順番に重なった状態で後羽根アーム33,34に連結されている。したがって、後羽根アーム33が支軸44を中心として回転し、後羽根アーム34が支軸42を中心として回転すると、上述したリンク機構によって、後羽根25~28が互いに重なる領域を変化させつつ、主としてZ方向に移動するようになっている。
図3に戻って、羽根駆動装置1は、枠体10の先羽根駆動軸11に取り付けられる先羽根駆動レバー51と、枠体10の後羽根駆動軸12に取り付けられる後羽根駆動レバー52と、先羽根駆動レバー51に装着される先羽根駆動バネ53と、後羽根駆動レバー52に装着される後羽根駆動バネ54と、枠体10のカム軸13に取り付けられる先羽根カム部材61及び後羽根カム部材62と、先羽根カム部材61に装着される先羽根カムバネ63と、後羽根カム部材62に装着される後羽根カムバネ64と、後羽根カム部材62の回転をロックするためのロック部材70と、ロック部材70を駆動するためのモータ80とを有している。
また、羽根駆動装置1は、先羽根駆動レバー51を所定位置に保持する先羽根レバー保持手段としての先羽根電磁石と、後羽根駆動レバー52を所定位置に保持する後羽根レバー保持手段としての後羽根電磁石とを備えているが、図面においては、理解を容易にするために、先羽根電磁石の構成要素のうち鉄心91のみと後羽根電磁石の構成要素のうち鉄心92のみが示されている。
図8は、図1の羽根駆動装置1の一部を簡略化して示す拡大正面図である。図8に示すように、露光動作が完了した状態においては、先羽根21~24が枠体10の開口Sから+Z方向側に退いており、後羽根25~28が枠体10の開口Sを塞いでいる。
図9は、先羽根駆動レバー51及び後羽根駆動レバー52を示す斜視図である。図9に示すように、先羽根駆動レバー51は、枠体10の先羽根駆動軸11が挿通される軸部511と、軸部511から半径方向外側に延びる腕部512と、腕部512の半径方向外側の端部から-Y方向に延びる先羽根駆動部513と、腕部512から延出する延出部514と、延出部514の端部に取り付けられたローラ515と、金属板516と、金属板516を保持するホルダ517とを有している。先羽根駆動レバー51の軸部511に枠体10の先羽根駆動軸11が挿通されることで、先羽根駆動レバー51が枠体10の先羽根駆動軸11を中心として回転できるようになっている。
先羽根駆動レバー51の先羽根駆動部513は、枠体10の円弧溝14を通って枠体10の-Y方向に突出するように配置される。先羽根駆動レバー51が先羽根駆動軸11を中心として回転すると、先羽根駆動レバー51の先羽根駆動部513が円弧溝14内を移動するようになっている。なお、枠体10の円弧溝14の+Z方向側の端部には衝撃吸収用のダンパ17が設けられている。
図2に示すように、先羽根アーム31のレバー連結孔314には、枠体10の円弧溝14を通って枠体10の-Y方向側に突出する先羽根駆動部513が隙間なく嵌合している。上述したように、枠体10の支軸41は先羽根駆動軸11と同軸上に位置しているため、先羽根駆動レバー51の先羽根駆動部513が先羽根駆動軸11を中心として回転すると、先羽根アーム31は支軸41を中心として回転する。これにより、上述したリンク機構を介して、先羽根アーム32が支軸43を中心として回転し、先羽根21~24が互いに重なる領域を変化させつつ主としてZ方向に移動する。
本実施形態においては、先羽根駆動バネ53はねじりコイルバネで構成されており、図3に示すように、先羽根駆動バネ53のコイル部は、先羽根駆動レバー51の軸部511の周囲に配置される。また、図8に示すように、先羽根駆動バネ53の一端53Aは先羽根駆動レバー51の延出部514の縁部に係合している。先羽根駆動バネ53の他端は羽根駆動装置1が取り付けられるフレーム(図示せず)に係合している。この先羽根駆動バネ53は、図8において先羽根駆動軸11を中心として先羽根駆動レバー51を時計回りに付勢するようにねじられた状態で配置されている。
上述したように、図8は、露光動作が完了した状態を示しているが、この状態から後述する動作によって先羽根駆動レバー51を先羽根駆動バネ53の付勢力に抗して反時計回りに回転してチャージすることができる。先羽根駆動レバー51は、チャージされた位置で先羽根電磁石により保持され、所定のタイミングで先羽根電磁石による保持が解除される。これにより、先羽根駆動レバー51は、先羽根駆動バネ53の付勢力によって図8に示す位置まで時計回りに回転する。以下、図8に示す先羽根駆動レバー51の位置を「先羽根リリース位置」といい、先羽根電磁石により保持される位置を「先羽根チャージ位置」ということとする。また、先羽根駆動レバー51が先羽根駆動バネ53により付勢される方向、すなわち先羽根チャージ位置から先羽根リリース位置に向かう方向(図8の時計回り)を「先羽根リリース方向」といい、これと反対の方向を「先羽根チャージ方向」ということとする。
図9に示すように、後羽根駆動レバー52は、枠体10の後羽根駆動軸12が挿通される軸部521と、軸部521から半径方向外側に延びる腕部522と、腕部522の半径方向外側の端部から-Y方向に延びる後羽根駆動部523と、腕部522から延出する延出部524と、延出部524に取り付けられたローラ525と、金属板526と、金属板526を保持するホルダ527とを有している。この後羽根駆動レバー52の軸部521に枠体10の後羽根駆動軸12が挿通されることで、後羽根駆動レバー52が枠体10の後羽根駆動軸12を中心として回転できるようになっている。
後羽根駆動レバー52の後羽根駆動部523は、枠体10の円弧溝15を通って枠体10の-Y方向に突出するように配置される。後羽根駆動レバー52が後羽根駆動軸12を中心として回転すると、後羽根駆動レバー52の後羽根駆動部523が円弧溝15内を移動するようになっている。なお、枠体10の円弧溝15の+Z方向側の端部には衝撃吸収用のダンパ18が設けられている。
図2に示すように、後羽根アーム34のレバー連結孔344には、枠体10の円弧溝15を通って枠体10の-Y方向側に突出する後羽根駆動部523が隙間なく嵌合している。上述したように、枠体10の支軸42は後羽根駆動軸12と同軸上に位置しているため、後羽根駆動レバー52の後羽根駆動部523が後羽根駆動軸12を中心として回転すると、後羽根アーム34は支軸42を中心として回転する。これにより、上述したリンク機構を介して、後羽根アーム33が支軸44を中心として回転し、後羽根25~28が互いに重なる領域を変化させつつ主としてZ方向に移動する。
本実施形態においては、後羽根駆動バネ54はねじりコイルバネで構成されており、図3に示すように、後羽根駆動バネ54のコイル部は、後羽根駆動レバー52の軸部521の周囲に配置される。また、図8に示すように、後羽根駆動バネ54の一端54Aは後羽根駆動レバー52の延出部524の縁部に係合している。後羽根駆動バネ54の他端は羽根駆動装置1が取り付けられるフレーム(図示せず)に係合している。この後羽根駆動バネ54は、図1において後羽根駆動軸12を中心として後羽根駆動レバー52を時計回りに付勢するようにねじられた状態で配置されている。
上述した先羽根駆動レバー51と同様に、図8に示す状態から後述する動作によって後羽根駆動レバー52を後羽根駆動バネ54の付勢力に抗して反時計回りに回転してチャージすることができる。後羽根駆動レバー52は、チャージされた位置で後羽根電磁石により保持され、所定のタイミングで後羽根電磁石による保持が解除される。これにより、後羽根駆動レバー52は、後羽根駆動バネ54の付勢力によって図8に示す位置まで時計回りに回転する。以下、図8に示す後羽根駆動レバー52の位置を「後羽根リリース位置」といい、後羽根電磁石により保持される位置を「後羽根チャージ位置」ということとする。また、後羽根駆動レバー52が後羽根駆動バネ54により付勢される方向、すなわち後羽根チャージ位置から後羽根リリース位置に向かう方向(図8の時計回り)を「後羽根リリース方向」といい、これと反対の方向を「後羽根チャージ方向」ということとする。
図10は、先羽根カム部材61及び後羽根カム部材62を示す分解斜視図である。図10に示すように、先羽根カム部材61は、枠体10のカム軸13が挿通される軸部611と、軸部611から半径方向外側に延びる操作部612と、操作部612とは異なる方向で軸部611から半径方向外側に延びるカム片613と、後羽根カム部材62の一部を内側に収容する収容筒614と、後羽根カムバネ64の端部を保持するバネ保持筒615と、後羽根カム部材62を回転可能に支持する支持部618とを有している。先羽根カム部材61の軸部611は、支持部618をY方向に貫通するように延びている。この先羽根カム部材61の軸部611に枠体10のカム軸13が挿通されることで、先羽根カム部材61が枠体10のカム軸13を中心として回転できるようになっている。
本実施形態においては、先羽根カムバネ63はねじりコイルバネで構成されており、先羽根カムバネ63のコイル部は、先羽根カム部材61の軸部611の下端部611Aの周囲に配置される。先羽根カムバネ63の一端63A(図8参照)は、先羽根カム部材61のカム片613の縁部613A(図10参照)に係合しており、他端63B(図8参照)は、枠体10に形成された突起19(図6参照)に係合している。この先羽根カムバネ63は、図8においてカム軸13を中心として先羽根カム部材61を反時計回りに付勢するようにねじられた状態で配置されている。
先羽根カム部材61のカム片613は、枠体10のカムストッパ16に当接するストッパ当接部616と、先羽根駆動レバー51のローラ515に当接可能な先羽根レバー当接部617とを有している。
先羽根カム部材61の操作部612は、カメラ本体側の駆動部材(図示せず)によって押されるように構成されており、この操作部612がカメラ本体側の駆動部材によって押されると、先羽根カム部材61が先羽根カムバネ63の付勢力に抗してカム軸13を中心として図8における時計回りに回転するようになっている。このように先羽根カム部材61が時計回りに回転すると、カム片613の先羽根レバー当接部617が先羽根駆動レバー51のローラ515に接触して、先羽根カム部材61が図8における反時計回りに先羽根駆動レバー51を回転させるようになっている。このように、先羽根レバー当接部617が当接する先羽根駆動レバー51の面が曲面(ローラ515の外周面)であるため、先羽根レバー当接部617が先羽根駆動レバー51に当接する際の摩擦力を軽減することができ、先羽根駆動レバー51を回転させるために必要なトルクを軽減することができる。なお、先羽根駆動レバー51のローラ515に代えて円筒状のピンを用いてもよい。
先羽根カム部材61の操作部612に外力が作用していないときには、図8に示すように、先羽根カム部材61のストッパ当接部616が先羽根カムバネ63の付勢力によって枠体10のカムストッパ16に当接した状態となり、先羽根カム部材61の反時計回りの回転が規制される。以下、先羽根カム部材61が先羽根カムバネ63により付勢される方向(図8の反時計回り)を「カム付勢方向」といい、これと反対の方向を「カム作動方向」ということとする。
図10に示すように、後羽根カム部材62は、枠体10のカム軸13が挿通される軸部621と、軸部621から半径方向外側に延びるカム片622と、カム片622の端部に取り付けられたローラ623とを有している。この後羽根カム部材62の軸部621に枠体10のカム軸13が挿通されることで、後羽根カム部材62が枠体10のカム軸13を中心として回転できるようになっている。
本実施形態においては、後羽根カムバネ64はねじりコイルバネで構成されており、図3に示すように、後羽根カムバネ64のコイル部は、後羽根カム部材62の軸部621の周囲に配置される。後羽根カムバネ64のコイル部の下端部は、先羽根カム部材61のバネ保持筒615と後羽根カム部材62の軸部621との間で保持される。図8に示すように、後羽根カムバネ64の一端64Aは、後羽根カム部材62のカム片622に設けられた突起624(図10参照)に係合しており、他端は、羽根駆動装置1が取り付けられるフレーム(図示せず)に係合している。この後羽根カムバネ64は、カム軸13を中心として後羽根カム部材62をカム付勢方向(図8の反時計回り)に付勢するようにねじられた状態で配置されている。
後羽根カム部材62のカム片622は、後羽根駆動レバー52のローラ525に当接可能な後羽根レバー当接部625と、カム作動方向に回転する先羽根カム部材61の軸部611の端面611Bに係合可能な係合部626(図10参照)とを有している。先羽根カム部材61及び後羽根カム部材62に力が作用していない状態では、後羽根カム部材62は、後羽根カムバネ64によってカム付勢方向に付勢され、後羽根カム部材62の係合部626が先羽根カム部材61の軸部611の端面611Bに当接した状態(図8に示す状態)となる。
上述のように先羽根カム部材61の操作部612に外力が作用することによって先羽根カム部材61がカム作動方向に回転すると、カム片613の先羽根レバー当接部617が先羽根駆動レバー51のローラ515に接触して、先羽根カム部材61が先羽根駆動レバー51を先羽根チャージ方向(図8の反時計周り)に回転させ、先羽根駆動レバー51をチャージする。
このとき、先羽根カム部材61の軸部611の端面611Bが後羽根カム部材62のカム片622の係合部626に係合するため、後羽根カム部材62が後羽根カムバネ64の付勢力に抗して先羽根カム部材61とともにカム作動方向に回転する。そして、後羽根カム部材62がカム作動方向に回転すると、カム片622の後羽根レバー当接部625が後羽根駆動レバー52のローラ525に接触して、後羽根カム部材62が図1における反時計回りに後羽根駆動レバー52を回転させるようになっている。このように先羽根駆動レバー51と同様に後羽根駆動レバー52をチャージすることができる。ここで、後羽根レバー当接部625が当接する後羽根駆動レバー52の面が曲面(ローラ525の外周面)であるため、後羽根レバー当接部625が後羽根駆動レバー52に当接する際の摩擦力を軽減することができ、後羽根駆動レバー52を回転させるために必要なトルクを軽減することができる。なお、後羽根駆動レバー52のローラ525に代えて円筒状のピンを用いてもよい。
図10において、先羽根カム部材61の軸部611の端面611Bからもう1つの端面611Cまでのカム軸13を中心とした角度は約180°となっているが、後羽根カム部材62のカム片622の係合部626からカム片622の端面627までのカム軸13を中心とした角度は約120°となっている。したがって、先羽根カム部材61から後羽根カム部材62に力が作用していない状態では、後羽根カム部材62は、先羽根カム部材61に対してカム軸13を中心として約60°の範囲で独立して回転することが可能となっている。
ここで、後羽根カム部材62の軸部621及びカム片622の一部は、先羽根カム部材61の支持部618上で回転可能な状態で配置されている。このように、先羽根カム部材61の支持部618により後羽根カム部材62を支持することにより、先羽根カム部材61と後羽根カム部材62との組み合わせをコンパクトな構成にすることができる。また、先羽根カム部材61のバネ保持筒615により後羽根カムバネ64のコイル部の下端部を保持することにより、先羽根カム部材61と後羽根カム部材62との組み合わせをコンパクトな構成にすることができる。
図11は、ロック部材70及びこれに関連する部分を抽出して示す斜視図である。図11に示すように、ロック部材70は、シャフト71によって枠体10に対して回転可能に取り付けられており、後羽根カム部材62のローラ623に当接可能な係合片72と、シャフト71を中心とする円弧に沿って形成されたギア部73と、枠体10に形成された長溝120内に挿入される規制片74とを有している。なお、ロック部材70の係合片72が係合する後羽根カム部材62の面が曲面(ローラ623の外周面)であるため、ロック部材70の係合片72が後羽根カム部材62に係合する際の摩擦力を軽減することができ、ロック部材70を回転させるために必要なトルクを軽減することができる。なお、後羽根カム部材62のローラ623に代えて円筒状のピンを用いてもよい。
モータ80は例えばステッピングモータにより構成され、そのモータ軸には、ロック部材70のギア部73に噛合するピニオン81が取り付けられている。したがって、モータ80を駆動することによって、ロック部材70のギア部73とピニオン81との噛合によりロック部材70がシャフト71を中心として揺動するようになっている。なお、ロック部材70の規制片74が枠体10の長溝120に挿入されているため、ロック部材70は、長溝120内で規制片74が移動できる範囲でのみ揺動できるようになっている。
次に、このような構成の羽根駆動装置1の動作について説明する。本実施形態における羽根駆動装置1は、1)ノーマリークローズ動作モード、2)ノーマリーオープン動作モード、3)電子先幕動作モードという3つの動作モードで動作できるように構成されている。図12は、ノーマリークローズ動作モードにおける動作を示すタイミングチャート、図13は、ノーマリーオープン動作モードにおける動作を示すタイミングチャート、図14は、電子先幕動作モードにおける動作を示すタイミングチャートである。以下、これら3つの動作モードについてそれぞれ説明する。
ノーマリークローズ動作モード
ノーマリークローズ動作モードにおいては、露光完了状態から先羽根21~24が枠体10の開口Sを閉じ、後羽根25~28が枠体10の開口Sから退避した位置に移動することでセット動作が完了し、撮影時には、先羽根21~24が開口Sを開き始めることによって撮影露光が開始される。先羽根21~24に続いて後羽根25~28が開口S内に進入し、後羽根25~28が開口Sを閉じ切ったときに撮影露光が完了する。以下、このノーマリークローズ動作モードにおける動作を説明する。
露光動作が完了した状態(図8参照)からセット動作を開始する際(図12のA1)には、カメラ本体側の駆動部材を駆動して、初期位置にある先羽根カム部材61の操作部612をカム作動方向に回転させる。このとき、先羽根カム部材61の端面611Bが羽根カム部材62のカム片622の係合部626(図10参照)に係合するため、後羽根カム部材62が先羽根カム部材61とともに図8に示す初期位置からカム作動方向に回転する。
先羽根カム部材61及び後羽根カム部材62がカム作動方向に回転すると、図15に示すように、まず、先羽根カム部材61の先羽根レバー当接部617が先羽根駆動レバー51のローラ515に接触して、先羽根カム部材61の回転とともに先羽根駆動レバー51が先羽根チャージ方向(図8における反時計周り)に回転する(図12のA2)。上述したように、先羽根駆動レバー51の先羽根駆動部513は、先羽根アーム31のレバー連結孔314に嵌合しているため、先羽根駆動レバー51の先羽根チャージ方向への回転に伴い、先羽根アーム31は支軸41を中心として回転する。これにより、上述したリンク機構を介して、先羽根アーム32も支軸43を中心として回転し、先羽根21~24が互いに重なる領域を変化させつつ主として-Z方向に移動して枠体10の開口S内に進入する。
さらに先羽根カム部材61及び後羽根カム部材62がカム作動方向に回転すると、図15に示すように、後羽根カム部材62の後羽根レバー当接部625が後羽根駆動レバー52のローラ525に接触して、後羽根カム部材62の回転とともに後羽根駆動レバー52が後羽根チャージ方向(図8における反時計周り)に回転する(図12のA3)。上述したように、後羽根駆動レバー52の後羽根駆動部523は、後羽根アーム34のレバー連結孔344に嵌合しているため、後羽根駆動レバー52の後羽根チャージ方向への回転に伴い、後羽根アーム34は支軸42を中心として回転する。これにより、上述したリンク機構を介して、後羽根アーム33も支軸44を中心として回転し、後羽根25~28が互いに重なる領域を変化させつつ主として-Z方向に移動して枠体10の開口Sの外側に退避する。
このように先羽根カム部材61及び後羽根カム部材62がカム作動方向に回転することにより、先羽根駆動レバー51が図8に示す先羽根リリース位置から先羽根チャージ位置まで移動し、セット動作が完了する(図12のA4)。このとき、図16に示すように、先羽根21~24は-Z方向に移動して枠体10の開口Sを閉じ、後羽根25~28は-Z方向に移動して枠体10の開口Sの外側に位置している。
図16に示すように、先羽根駆動レバー51が先羽根チャージ位置にあるときは、先羽根駆動レバー51の金属板516が先羽根電磁石の鉄心91に当接している。また、同様に、後羽根駆動レバー52が後羽根チャージ位置にあるときは、後羽根駆動レバー52の金属板526が後羽根電磁石の鉄心92に当接している。
この状態でカメラのレリーズボタンが押されると(図12のA5)、先羽根電磁石のコイル(図示せず)及び後羽根電磁石のコイル(図示せず)に電流が供給される。これにより、先羽根駆動レバー51の金属板516が磁力により先羽根電磁石の鉄心91に吸着され、先羽根駆動レバー51が先羽根チャージ位置に保持される。同様に、後羽根駆動レバー52の金属板526が磁力により後羽根電磁石の鉄心92に吸着され、後羽根駆動レバー52が後羽根チャージ位置に保持される。
また、レリーズボタンの押下により、先羽根カム部材61を回転させていたカメラ本体側の駆動部材が元の位置に戻る。これにより、先羽根カム部材61及び後羽根カム部材62は、それぞれ先羽根カムバネ63及び後羽根カムバネ64の付勢力によって、図17に示すように先羽根カム部材61のストッパ当接部616が枠体10のカムストッパ16に当接するまで(初期位置まで)カム付勢方向に回転する(図12のA6)。このとき、先羽根駆動レバー51及び後羽根駆動レバー52は、上述した電磁石によりそれぞれ先羽根チャージ位置及び後羽根チャージ位置に保持されたままである。
露光動作を開始する際は、まず先羽根電磁石のコイルへの電流の供給を止める(図12のA7)。これにより、先羽根電磁石による先羽根駆動レバー51の電磁吸着が解除され、先羽根駆動レバー51が先羽根駆動バネ53の付勢力により先羽根チャージ位置から先羽根リリース位置に向かって移動する。これに伴い、先羽根駆動レバー51の先羽根駆動部513に連結された先羽根アーム31と上述したリンク機構を介して、先羽根21~24が互いに重なる領域を変化させつつ主として+Z方向に移動する。
露光動作開始から所望の露光時間経過後、後羽根電磁石のコイルへの電流の供給を止める(図12のA8)。これにより、後羽根電磁石による後羽根駆動レバー52の電磁吸着が解除され、後羽根駆動レバー52が後羽根駆動バネ54の付勢力により後羽根チャージ位置から後羽根リリース位置に向かって移動する。これに伴い、後羽根駆動レバー52の後羽根駆動部523に連結された後羽根アーム34と上述したリンク機構を介して、後羽根25~28が互いに重なる領域を変化させつつ主として+Z方向に移動する。
このような露光動作によって、図18に示すように、先羽根21と後羽根28との間に形成される露光用の間隙Eが枠体10の開口Sの下方から上方に向かって移動し、撮像素子に対する露光が行われる。先羽根駆動レバー51及び後羽根駆動レバー52がそれぞれ先羽根リリース位置及び後羽根リリース位置に至ることで露光動作が完了し(図12のA9)、図8に示す状態となる。
ノーマリーオープン動作モード
ノーマリーオープン動作モードにおいては、露光完了状態から先羽根21~24が枠体10の開口Sを閉じ、後羽根25~28が枠体10の開口Sから退避した位置に移動し、後羽根25~28がその位置に留まったまま、先羽根21~24が枠体10の開口Sから退避した位置に移動することでセット動作が完了する。撮影時には、先羽根21~24が枠体10の開口Sを閉じ、ノーマリークローズ動作モードのセット動作の完了時と同じ状態になった後、ノーマリークローズ動作モードと同様の方法により撮影露光が行われる。以下、このノーマリーオープン動作モードにおける動作を説明する。
露光動作が完了した状態(図8参照)からセット動作を開始する際(図13のB1)には、カメラ本体側の駆動部材を駆動して、初期位置にある先羽根カム部材61の操作部612をカム作動方向に回転させる。これに伴い、図15に示すように、先羽根カム部材61の先羽根レバー当接部617が先羽根駆動レバー51のローラ515に接触して、先羽根カム部材61の回転とともに先羽根駆動レバー51が先羽根チャージ方向に回転する(図13のB2)。これにより、先羽根駆動レバー51の先羽根駆動部513に連結された先羽根アーム31と上述したリンク機構を介して、先羽根21~24が互いに重なる領域を変化させつつ主として-Z方向に移動する。
また、先羽根カム部材61とともに後羽根カム部材62がカム作動方向に回転し、図15に示すように、後羽根カム部材62の後羽根レバー当接部625が後羽根駆動レバー52のローラ525に接触して、後羽根駆動レバー52が後羽根チャージ方向に回転する(図13のB3)。これにより、後羽根駆動レバー52の後羽根駆動部523に連結された後羽根アーム34と上述したリンク機構を介して、後羽根25~28が互いに重なる領域を変化させつつ主として-Z方向に移動して枠体10の開口Sの外側に退避する(図16に示す状態)。
次に、モータ80を駆動して、図19に示すように、ピニオン81とギア部73との噛合によりロック部材70をシャフト71周りに回転させる。これにより、ロック部材70の係合片72を図8に示すアンロック位置から後羽根カム部材62のローラ623に係合するロック位置まで移動させる(図13のB4)。
この後、先羽根カム部材61を回転させていたカメラ本体側の駆動部材が元の位置に戻る。これにより、先羽根カム部材61は、先羽根カムバネ63の付勢力によって、図19に示すように先羽根カム部材61のストッパ当接部616が枠体10のカムストッパ16に当接するまで(初期位置まで)カム付勢方向に回転する(図13のB5)。この先羽根カム部材61のカム付勢方向への回転に伴い、先羽根カム部材61の先羽根レバー当接部617と先羽根駆動レバー51のローラ515との当接を介して、先羽根駆動バネ53の付勢力により先羽根駆動レバー51が先羽根リリース方向に回転する。これにより、先羽根駆動レバー51の先羽根駆動部513に連結された先羽根アーム31と上述したリンク機構を介して、先羽根21~24が互いに重なる領域を変化させつつ主として+Z方向に移動する。
このとき、ロック部材70の係合片72が後羽根カム部材62のローラ623に係合しているため、後羽根カム部材62はカム付勢方向に回転しない。したがって、後羽根駆動レバー52も回転することなく、後羽根25~28は枠体10の開口Sの外側の位置に留まる。これによりセット動作が完了し、枠体10の開口Sが開放された状態となる(図19)。この状態では、撮影前の被写体をカメラの撮像素子で撮像して電子ファインダや液晶モニタに表示することができる。
この状態でカメラのレリーズボタンが押されると(図13のB6)、先羽根電磁石のコイル(図示せず)及び後羽根電磁石のコイル(図示せず)に電流が供給される。これにより、後羽根電磁石の鉄心92に後羽根駆動レバー52の金属板526が磁力により吸着され、後羽根駆動レバー52が後羽根チャージ位置に保持される。
また、カメラ本体側の駆動部材を駆動して、先羽根カム部材61の操作部612をカム作動方向に回転させる。これに伴い、図20に示すように、先羽根カム部材61の先羽根レバー当接部617が先羽根駆動レバー51のローラ515に接触して、先羽根カム部材61の回転とともに先羽根駆動レバー51が先羽根チャージ方向に回転する(図13のB7)。これにより、先羽根駆動レバー51の先羽根駆動部513に連結された先羽根アーム31と上述したリンク機構を介して、先羽根21~24が互いに重なる領域を変化させつつ主として-Z方向に移動して、枠体10の開口Sを閉じる(図21に示す状態)。このとき、先羽根電磁石のコイルに電流が供給されているため、図21に示すように、先羽根駆動レバー51が先羽根チャージ位置に至ると、先羽根駆動レバー51の金属板516が磁力により先羽根電磁石の鉄心91に吸着され、先羽根駆動レバー51が先羽根チャージ位置に保持される。
そして、モータ80を逆方向に駆動して、ピニオン81とギア部73との噛合によりロック部材70をシャフト71周りに回転させる(図13のB8)。これにより、ロック部材70の係合片72をロック位置から後羽根カム部材62のローラ623と干渉しないアンロック位置に移動させる。また、先羽根カム部材61を回転させていたカメラ本体側の駆動部材が元の位置に戻る。これにより、先羽根カム部材61及び後羽根カム部材62は、図17に示すように、それぞれ先羽根カムバネ63及び後羽根カムバネ64の付勢力によって、先羽根カム部材61のストッパ当接部616が枠体10のカムストッパ16に当接するまで(初期位置まで)カム付勢方向に回転する(図13のB9)。このとき、先羽根駆動レバー51及び後羽根駆動レバー52は、上述した電磁石によりそれぞれ先羽根チャージ位置及び後羽根チャージ位置に保持されたままである。
露光動作を開始する際は、まず先羽根電磁石のコイルへの電流の供給を止める(図13のB10)。これにより、先羽根電磁石による先羽根駆動レバー51の電磁吸着が解除され、先羽根駆動レバー51が先羽根駆動バネ53の付勢力により先羽根チャージ位置から先羽根リリース位置に向かって移動する。これに伴い、先羽根駆動レバー51の先羽根駆動部513に連結された先羽根アーム31と上述したリンク機構を介して、先羽根21~24が互いに重なる領域を変化させつつ主として+Z方向に移動する。
露光動作開始から所望の露光時間経過後、後羽根電磁石のコイルへの電流の供給を止める(図13のB11)。これにより、後羽根電磁石による後羽根駆動レバー52の電磁吸着が解除され、後羽根駆動レバー52が後羽根駆動バネ54の付勢力により後羽根チャージ位置から後羽根リリース位置に向かって移動する。これに伴い、後羽根駆動レバー52の後羽根駆動部523に連結された後羽根アーム34と上述したリンク機構を介して、後羽根25~28が互いに重なる領域を変化させつつ、先羽根21~24に続いて主として+Z方向に移動する。
このような露光動作によって、図18に示すように、先羽根21と後羽根28との間に形成される露光用の間隙Eが枠体10の開口Sの下方から上方に向かって移動し、撮像素子に対する露光が行われる。先羽根駆動レバー51及び後羽根駆動レバー52がそれぞれ先羽根リリース位置及び後羽根リリース位置に至ることで露光動作が完了し(図13のB12)、図8に示す状態となる。
電子先幕動作モード
電子先幕動作モードにおいては、セット動作はノーマリーオープン動作モードと同一であるが、露光動作は、先幕としての先羽根21~24を+Z方向に移動させることに代えて、撮像素子を電子制御回路により制御することで撮影露光を開始するものである。以下、この電子先幕動作モードにおける動作を説明する。
露光動作が完了した状態(図8参照)からセット動作を開始する際(図14のC1)には、カメラ本体側の駆動部材(図示せず)を駆動して、初期位置にある先羽根カム部材61の操作部612をカム作動方向に回転させる。これに伴い、図15に示すように、先羽根カム部材61の先羽根レバー当接部617が先羽根駆動レバー51のローラ515に接触して、先羽根カム部材61の回転とともに先羽根駆動レバー51が先羽根チャージ方向に回転する(図14のC2)。これにより、先羽根駆動レバー51の先羽根駆動部513に連結された先羽根アーム31と上述したリンク機構を介して、先羽根21~24が互いに重なる領域を変化させつつ主として-Z方向に移動する。
また、先羽根カム部材61とともに後羽根カム部材62がカム作動方向に回転し、図15に示すように、後羽根カム部材62の後羽根レバー当接部625が後羽根駆動レバー52のローラ525に接触して、後羽根駆動レバー52が後羽根チャージ方向に回転する(図14のC3)。これにより、後羽根駆動レバー52の後羽根駆動部523に連結された後羽根アーム34と上述したリンク機構を介して、後羽根25~28が互いに重なる領域を変化させつつ主として-Z方向に移動して枠体10の開口Sの外側に退避する(図16)。
次に、モータ80を駆動して、図19に示すように、ピニオン81とギア部73との噛合によりロック部材70をシャフト71周りに回転させる。これにより、ロック部材70の係合片72を図8に示すアンロック位置から後羽根カム部材62のローラ623に係合するロック位置まで移動させる(図14のC4)。
この後、先羽根カム部材61を回転させていたカメラ本体側の駆動部材が元の位置に戻る。これにより、図19に示すように、先羽根カム部材61は、先羽根カムバネ63の付勢力によって、先羽根カム部材61のストッパ当接部616が枠体10のカムストッパ16に当接するまで(初期位置まで)カム付勢方向に回転する(図14のC5)。この先羽根カム部材61のカム付勢方向への回転に伴い、先羽根カム部材61の先羽根レバー当接部617と先羽根駆動レバー51のローラ515との当接を介して、先羽根駆動バネ53の付勢力により先羽根駆動レバー51が先羽根リリース方向に回転する。これにより、先羽根駆動レバー51の先羽根駆動部513に連結された先羽根アーム31と上述したリンク機構を介して、先羽根21~24が互いに重なる領域を変化させつつ主として+Z方向に移動する。
このとき、ロック部材70の係合片72が後羽根カム部材62のローラ623に係合しているため、後羽根カム部材62はカム付勢方向に回転しない。したがって、後羽根駆動レバー52も回転することなく、後羽根25~28は枠体10の開口Sの外側の位置に留まる。これによりセット動作が完了し、枠体10の開口Sが開放された状態となる(図19)。
この状態でカメラのレリーズボタンが押されると(図14のC6)、後羽根電磁石のコイルに電流が供給される。これにより、後羽根駆動レバー52の金属板526が磁力により後羽根電磁石の鉄心92に吸着され、後羽根駆動レバー52が後羽根チャージ位置に保持される。
そして、モータ80を逆方向に駆動して、図22に示すように、ピニオン81とギア部73との噛合によりロック部材70をシャフト71周りに回転させる(図14のC7)。これにより、ロック部材70の係合片72をロック位置から後羽根カム部材62のローラ623と干渉しないアンロック位置に移動させる。これにより、後羽根カム部材62の回転を規制するものがなくなるため、後羽根カム部材62は、図22に示すように、後羽根カムバネ64の付勢力によって、後羽根カム部材62の係合部626が先羽根カム部材61の端面611Bに当接するまで(初期位置まで)カム付勢方向に回転する(図14のC8)。このとき、後羽根駆動レバー52は、後羽根電磁石により後羽根チャージ位置に保持されたままである。
露光動作を開始する際は、電子制御回路により撮像素子からの出力信号を-Z方向側から順番に走査する(図14のC9)。この走査開始から所望の露光時間経過後、後羽根電磁石のコイルへの電流の供給を止める(図14のC10)。これにより、後羽根電磁石による後羽根駆動レバー52の電磁吸着が解除され、図23に示すように、後羽根駆動レバー52が後羽根駆動バネ54の付勢力により後羽根チャージ位置から後羽根リリース位置に向かって移動する。これに伴い、後羽根駆動レバー52の後羽根駆動部523に連結された後羽根アーム34と上述したリンク機構を介して、後羽根25~28が互いに重なる領域を変化させつつ主として+Z方向に移動する。後羽根25~28が枠体10の開口Sを閉じきった時点で露光動作が完了し(図14のC11)、図8に示す状態となる。
以上のように、本実施形態によれば、先羽根カム部材61とは独立して回転可能な後羽根カム部材62の回転をロック部材70により規制することができるので、簡単な構造によってノーマリークローズ動作モードだけではなく、ノーマリーオープン動作モード及び電子先幕動作モードを実現することが可能となる。また、先幕を構成する先羽根21~24を駆動する先羽根駆動レバー51を1つの部品により構成することができるので、先羽根駆動レバー51に生じる製造誤差を最小限にすることができ、先羽根の性能の低下を防止することができる。
上述した実施形態においては、フォーカルプレーンシャッタの先幕として4枚の先羽根21~24を用い、後幕として4枚の後羽根25~28を用いた例を説明したが、先幕を構成する先羽根及び後幕を構成する後羽根の枚数はそれぞれ1枚以上であれば何枚であってもよい。
また、上述した実施形態では、ロック部材70をモータ80により駆動してアンロック位置とロック位置との間で移動させているが、ロック部材70をロック位置に付勢するロックバネ(図示せず)を設け、このロックバネを用いてロック部材70をアンロック位置とロック位置との間で移動させてもよい。
なお、本明細書において使用した位置関係を示す用語は、図示した実施形態との関連において使用されているのであり、装置の相対的な位置関係によって変化するものである。
これまで本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。