<第1実施形態>
(1:デジタルカメラ)
図を用いて、フォーカルプレーンシャッタ装置190を搭載したデジタルカメラ1の概要について説明する。なお、フォーカルプレーンシャッタ装置190は、本実施形態のデジタルカメラ1以外のカメラにも搭載可能である。
図1は、第1実施形態に係るデジタルカメラ1の斜視図である。図2は、カメラ本体100の斜視図である。図3は、デジタルカメラ1の機能ブロック図である。
デジタルカメラ1は、交換レンズ式のデジタルカメラであり、カメラ本体100と、カメラ本体100に装着可能なレンズユニット200と、を備えている。
図4は、デジタルカメラ1の概略断面図である。図5は、カメラ本体の背面図である。カメラ本体100は、主に、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサー110と、CMOS回路基板113と、カメラモニタ120と、操作部130と、カメラコントローラー140を含むメイン回路基板142と、ボディマウント150と、電源160と、カードスロット170と、フォーカルプレーンシャッタ装置190と、を備えている。
CMOSイメージセンサー110(撮像素子の一例)は、レンズユニット200を介して入射される被写体の光学像(以下、被写体像ともいう)を画像データに変換する。生成された画像データは、CMOS回路基板113のADコンバーター111でデジタル化される。ADコンバーター111でデジタル化された画像データは、カメラコントローラー140で様々な画像処理が施される。ここで言う様々な画像処理とは、例えば、ガンマ補正処理、ホワイトバランス補正処理、キズ補正処理、YC変換処理、電子ズーム処理、JPEG圧縮処理等である。
CMOSイメージセンサー110は、タイミング発生器112で生成されるタイミング信号に基づいて動作する。CMOSイメージセンサー110は、CMOS回路基板113の制御により、静止画データおよび動画データの取得を行うことができる。取得された動画データは、スルー画像の表示にも用いられる。なお、静止画データおよび動画データは、画像データの一例である。
ここで、スルー画像とは、動画データのうちメモリーカード171に記録されない画像である。スルー画像は、主に動画像であり、動画像または静止画像の構図を決めるためにカメラモニタ120に表示される。
CMOSイメージセンサー110は、スルー画像として用いられる低解像度の動画像の取得と、記録用として用いられる高解像度の動画像の取得とが可能である。高解像度の動画像としては、例えば、HDサイズ(ハイビジョンサイズ:1920×1080画素)の動画像が考えられる。なお、CMOSイメージセンサー110は被写体の光学像を電気的な画像信号に変換する撮像素子の一例である。撮像素子は、CMOSイメージセンサー110の他に、CCDイメージセンサー等の光電変換素子を含む概念である。
CMOSイメージセンサー110は、後述する先幕21の走行方向に順次画素をリセットする電子先幕機能を有している。
CMOS回路基板113は、CMOSイメージセンサー110を制御する回路基板である。CMOS回路基板113は、CMOSイメージセンサー110から出力される画像データに所定の処理を施す回路基板であり、タイミング発生器112およびADコンバーター111を含む。CMOS回路基板113は、撮像素子を駆動制御し、撮像素子から出力される画像データにAD変換等の所定の処理を施す撮像素子回路基板の一例である。
カメラモニタ120は、例えば液晶ディスプレイであり、表示用画像データが示す画像等を表示する。表示用画像データは、カメラコントローラー140で生成される。表示用画像データは、例えば、画像処理された画像データ、デジタルカメラ1の撮影条件、操作メニュー等を画像として表示するためのデータである。カメラモニタ120は、動画像も静止画像も選択的に表示可能である。
カメラモニタ120は、カメラ本体100に設けられている。本実施形態では、カメラ本体100の背面に配置されているが、カメラモニタ120はカメラ本体100のどこに配置されていてもよい。
なお、カメラモニタ120はカメラ本体100に設けられた表示部の一例である。表示部としては、他にも、有機EL、無機EL、プラズマディスプレイパネル等、画像を表示できるものを用いることができる。また、表示部は、カメラ本体100の背面でなく、側面や上面等、他の場所に設けてもよい。
操作部130は、ユーザーによる操作を受け付ける。具体的には図6および図7に示すように、操作部130は、ユーザーによるフォーカルプレーンシャッタ操作を受け付けるレリーズ釦131と、カメラ本体100の上面に設けられた回転式のダイアルスイッチである電源スイッチ132と、を含む。操作部130は、ユーザーによる操作を受け付けることができればよく、ボタン、レバー、ダイアル、タッチパネル等を含む。
カメラコントローラー140は、カメラ本体100の各部を制御する。カメラコントローラー140は、操作部130からの指示を受け付ける。カメラコントローラー140は、レンズユニット200を制御するための信号を、ボディマウント150及びレンズマウント250を介して、レンズコントローラー240に送信し、レンズユニット200の各部を間接的に制御する。すなわち、カメラコントローラー140は、デジタルカメラ1全体を制御する。
カメラコントローラー140は、CMOS回路基板113を制御する。具体的には、カメラコントローラー140はCMOS回路基板113に制御信号を送信し、CMOS回路基板113は受信した制御信号に基づきCMOSイメージセンサー110を制御する。つまり、カメラコントローラー140は、CMOSイメージセンサー110を制御する。また、カメラコントローラー140は、CMOSイメージセンサー110により生成され、CMOS回路基板113によりAD変換等の所定の処理を施された画像データを取得し、さらに処理を施す。例えば、カメラコントローラー140は、CMOS回路基板113により処理された画像データから、表示用画像データや記録用動画データなどを生成する。
さらに、カメラコントローラー140は、後述するフォーカルプレーンシャッタ装置190を制御する。具体的には、カメラコントローラー140は、電子先幕撮影機能を使用して撮影する時、第2チャージ完了位置でチャージレバー29が停止するようにモータ46を制御する、。チャージ機構194が後幕走行バネ35への第2付勢力F23(図7参照)の付与を完了し、チャージ機構194が先幕走行バネ25への第1付勢力F13の付与を完了していない時点で、カメラコントローラー140はフォーカルプレーンシャッタ装置190を電子先幕撮影待機状態とする(図13参照)。
カードスロット170は、メモリーカード171を装着可能である。カードスロット170は、カメラコントローラー140から送信される制御信号に基づいて、メモリーカード171を制御する。具体的には、カードスロット170は、メモリーカード171に画像データを格納する。カードスロット170は、メモリーカード171から画像データを出力する。また、カードスロット170は、メモリーカード171に動画データを格納する。カードスロット170は、メモリーカード171から動画データを出力する。
メモリーカード171は、カメラコントローラー140が画像処理により生成した画像データを格納可能である。例えば、メモリーカード171は、非圧縮のRAW画像ファイルや圧縮されたJPEG画像ファイル等を格納できる。また、メモリーカード171は、あらかじめ内部に格納された画像データ又は画像ファイルを、カードスロット170を介して出力できる。メモリーカード171から出力された画像データ又は画像ファイルは、カメラコントローラー140で画像処理される。例えば、カメラコントローラー140は、メモリーカード171から取得した画像データ又は画像ファイルに伸張処理を施し、表示用画像データを生成する。
メモリーカード171は、さらに、カメラコントローラー140が画像処理により生成した動画データを格納可能である。例えば、メモリーカード171は、動画圧縮規格であるH.264/AVCに従って圧縮された動画ファイルを格納できる。また、メモリーカード171は、あらかじめ内部に格納された動画データ又は動画ファイルを、カードスロット170を介して出力できる。メモリーカード171から出力された動画データまたは動画ファイルは、カメラコントローラー140で画像処理される。例えば、カメラコントローラー140は、メモリーカード171から取得した動画データまたは動画ファイルに伸張処理を施し、表示用動画データを生成する。
なお、メモリーカード171は記憶部の一例である。記憶部は、メモリーカード171のようにカメラ本体100に装着可能なものでもよく、デジタルカメラ1に固定されているものでもよい。
電源160は、デジタルカメラ1で使用するための電力を各部に供給する。電源160は、例えば、乾電池であってもよいし、充電池であってもよい。また、電源160は、電源コード等を介して外部の電源から電力の供給を受け、デジタルカメラ1に電力を供給するユニットであってもよい。
ボディマウント150は、レンズマウント250と係合する。ボディマウント150は、レンズユニット200を支持する。また、ボディマウント150とレンズマウント250とは、電気的に接続可能である。カメラ本体100は、ボディマウント150とレンズマウント250とを介して、レンズユニット200との間で、データおよび制御信号のうち少なくとも一方を送受信できる。
フォーカルプレーンシャッタ装置190(フォーカルプレーンシャッタ装置の一例)は、CMOSイメージセンサー110の前側(被写体側)に配置されており、CMOSイメージセンサー110の露光時間を制御する。フォーカルプレーンシャッタ装置190は、光学系LからCMOSイメージセンサー110に向かう光を遮蔽する状態(閉状態)と、光学系LからCMOSイメージセンサー110に向かう光を透過する状態(開状態)と、を有している。フォーカルプレーンシャッタ装置190の詳細については後述する。
レンズユニット200は、カメラ本体100に装着可能であり、被写体の光学像を形成する。具体的には、レンズユニット200は、光学系Lと、駆動部215と、レンズマウント250と、レンズコントローラー240と、レンズ筒260と、を有している。
光学系Lは、CMOSイメージセンサー110の受光面に、被写体の光学像を形成する。
レンズコントローラー240は、カメラコントローラー140から送信される制御信号に基づいて、レンズユニット200全体を制御する。
(2:フォーカルプレーンシャッタ装置の構成)
図6から図11を用いて、第1実施形態に係るフォーカルプレーンシャッタ装置190を説明する。
フォーカルプレーンシャッタ装置190は、開口部開閉機構191と、開口部開閉機構191を駆動するための駆動ユニット199と、を有している。
(2.1:開口部開閉機構191)
図6に示すように、開口部開閉機構191は、シャッタ地板11と、先幕21と、先幕駆動アーム22と、先幕従動アーム23と、後幕31と、後幕駆動アーム32と、後幕従動アーム33と、を有している。
シャッタ地板11は、2つの板を有している。2つの板の間には、先幕21および後幕31が走行可能な程度に隙間が形成されている。シャッタ地板11は、光学系Lからの被写体光をCMOSイメージセンサー110へ導くための開口部(アパーチャともいう。)11aを有している。
図6および図12に示すように、先幕21(先幕の一例)は、第1先幕位置P11(第1先幕位置の一例)と第2先幕位置P12(第2先幕位置の一例)との間を移動可能に配置されている。第1先幕位置P11では先幕21は開口部11aを覆っている。図6に示すように、第2先幕位置P12では先幕21は開口部11aから退避している。先幕21が開口部11aを覆った状態を先幕21の撮影待機状態とも言う。図12に示すように、先幕21が開口部11aから退避した状態を先幕21の走行完了状態とも言う。先幕21は、先幕駆動アーム22および先幕従動アーム23により第1先幕位置P11および第2先幕位置P12の間を移動可能に支持されている。
先幕駆動アーム22はシャッタ地板11に対して回転可能に配置されている。図12に示すように、先幕駆動アーム22は、回転軸22a、軸22b、軸22cおよび軸22dを有している。先幕21は、第1先幕羽根21a、第2先幕羽根21bおよび第3先幕羽根21cを有している。先幕駆動アーム22はシャッタ地板11により回転軸22aを中心に回転可能に支持されている。第1先幕羽根21aは軸22b、第2先幕羽根21bは軸22c、第3先幕羽根21cは軸22dを中心にそれぞれ回転可能に先幕駆動アーム22により支持されている。
また、先幕従動アーム23はシャッタ地板11に対して回転可能に配置されている。具体的には、先幕従動アーム23は、回転軸23a、軸23b、軸23cおよび軸23dを有している。先幕従動アーム23はシャッタ地板11により回転軸23aを中心に回転可能に支持されている。第1先幕羽根21aは軸23b、第2先幕羽根21bは軸23c、第3先幕羽根21cは軸23dを中心にそれぞれ回転可能に先幕従動アーム23により支持されている。
このように、先幕21、先幕駆動アーム22および先幕従動アーム23はいわゆる平行リンク機構を構成している。先幕駆動アーム22および先幕従動アーム23の回転に伴い、第1先幕羽根21a、第2先幕羽根21bおよび第3先幕羽根21cは、開口部11aの長辺と平行な状態を保ったまま、開口部11aの短辺方向に順次移動する。
図6および図10に示すように、後幕31(後幕の一例)は、第1後幕位置P21(第1後幕位置の一例)と第2後幕位置P22(第2後幕位置の一例)との間を移動可能に配置されている。第1後幕位置P21では後幕31は開口部11aを覆っている。図10に示すように、第2後幕位置P22では後幕31は開口部11aから退避している。図6に示すように、後幕31が開口部11aを覆った状態を後幕31の撮影待機状態とも言う。図10に示すように、後幕31が開口部11aから退避した状態を後幕31の走行完了状態とも言う。後幕31は、後幕駆動アーム32および後幕従動アーム33により第1後幕位置P21および第2後幕位置P22の間を移動可能に支持されている。
後幕駆動アーム32はシャッタ地板11に対して回転可能に配置されている。図6に示すように、後幕駆動アーム32は、回転軸32a、軸32b、軸32cおよび軸32dを有している。後幕31は、第1後幕羽根31a、第2後幕羽根31bおよび第3後幕羽根31cを有している。後幕駆動アーム32はシャッタ地板11により回転軸32aを中心に回転可能に支持されている。第1後幕羽根31aは軸32b、第2後幕羽根31bは軸32c、第3後幕羽根31cは軸32dを中心にそれぞれ回転可能に後幕駆動アーム32により支持されている。
また、後幕従動アーム33はシャッタ地板11に対して回転可能に配置されている。具体的には、後幕従動アーム33は、回転軸33a、軸33b、軸33cおよび軸33dを有している。後幕従動アーム33はシャッタ地板11により回転軸33aを中心に回転可能に支持されている。第1後幕羽根31aは軸33b、第2後幕羽根31bは軸33c、第3後幕羽根31cは軸33dを中心にそれぞれ回転可能に後幕従動アーム33により支持されている。
このように、後幕31、後幕駆動アーム32および後幕従動アーム33はいわゆる平行リンク機構を構成している。後幕駆動アーム32および後幕従動アーム33の回転に伴い、第1後幕羽根31a、第2後幕羽根31bおよび第3後幕羽根31cは、開口部11aの長辺と平行な状態を保ったまま、開口部11aの短辺方向に順次移動する。
(2.2:駆動ユニット199)
駆動ユニット199は、先幕21および後幕31をチャージするために設けられており、先幕走行バネ25の弾性力に逆らう第1付勢力および後幕走行バネ35の弾性力に逆らう第2付勢力を先幕走行バネ25および後幕走行バネ35に付与可能に設けられている。
また、駆動ユニット199は、先幕走行バネ25に第1付勢力を付与する際に先幕21を第2先幕位置P12に保持し、先幕走行バネ25への第1付勢力の付与が完了している状態で、先幕21を第2先幕位置P12に保持する。
さらに、駆動ユニット199は、後幕走行バネ35に第2付勢力を付与する際に後幕31を第1後幕位置P21に保持し、後幕走行バネ35への第2付勢力の付与が完了している状態で、後幕31を第1後幕位置P21に保持する。
以上の機能を実現するために、駆動ユニット199は、先幕駆動機構192と、後幕駆動機構193と、チャージ機構194と、を有している。
(2.2.1:先幕駆動機構192)
図6および図7に示すように、先幕駆動機構192は、先幕21を駆動するために設けられており、先幕駆動レバー28と、先幕セットバネ27と、チャージレバー29と、先幕セットレバー24と、先幕走行バネ25と、先幕用電磁石26と、を有している。
先幕駆動レバー28(先幕駆動部材の一例)は、第1先幕位置P11および第2先幕位置P12の間を移動可能に先幕21をシャッタ地板11に連結している。図16に示すように、先幕駆動レバー28は駆動連結ピン28aおよび爪部28cを有している。図6に示すように、先幕駆動アーム22は連結穴22eを有している。連結穴22eには、駆動連結ピン28aが挿入されている。先幕駆動レバー28は、先幕駆動アーム22と同様に、回転軸22aを中心に回転可能に回転軸22aにより支持されている。先幕駆動アーム22と先幕駆動レバー28とは、回転軸22aを中心に一体回転可能となっている。
先幕セットバネ27(第3弾性部材の一例)は先幕21が開口部11aを覆う方向へ先幕駆動レバー28を付勢している。具体的には図7に示すように、先幕21が第1先幕位置P11から第2先幕位置P12へ移動するように先幕セットバネ27は先幕21に弾性力F12を付与している。先幕セットバネ27の弾性力F12は先幕走行バネ25の弾性力F11よりも小さい。先幕セットバネ27は先幕従動アーム23に引っかけられているので、先幕セットバネ27の弾性力F12は先幕駆動アーム22に作用している。本実施形態では、先幕セットバネ27は、先幕駆動レバー28に時計回りの回転力を与えている。
図16に示すように、先幕駆動レバー28は先幕駆動レバー当接部28bを有している。図17(A)に示すように、先幕セットレバー24は先幕セットレバー当接部24aを有している。図7に示すように、先幕駆動レバー当接部28bは先幕セットレバー当接部24aと当接する。先幕セットレバー24は、先幕駆動レバー28と同様に、回転軸22aを中心に回転可能に回転軸22aにより支持されている。先幕セットレバー24が反時計回りに回転すると、先幕セットレバー当接部24aにより先幕駆動レバー当接部28bが押され、先幕駆動レバー28が反時計回りに回転する。第1先幕位置P11から第2先幕位置P12へ先幕21が移動する際、先幕セットレバー24は、先幕駆動レバー28を介して先幕走行バネ25の弾性力F11を先幕21に伝達する。つまり、チャージ機構194は、先幕走行バネ25に第1付勢力F13を付与する際、先幕セットレバー24を介して先幕走行バネ25に第1付勢力F13を付与する。
また、先幕セットバネ27の弾性力F12により先幕駆動レバー28には時計回りに回転力が付与されている。このため、先幕セットレバー当接部24aと先幕駆動レバー当接部28bとが接触している。先幕セットレバー24はストッパ(図示せず)により反時計回りの回転が図6に示す位置で規制されている。このため、先幕セットレバー24および先幕駆動レバー28が一体となって反時計回りに回転すると、先幕セットレバー24および先幕駆動レバー28が図6に示す位置で停止する。先幕走行バネ25の弾性力F11により先幕セットレバー24および先幕駆動レバー28は図6に示す位置を保つ。つまり、先幕駆動レバー28は先幕セットレバー24を介して先幕走行バネ25の弾性力F11を先幕21に伝達することができる。
一方で、先幕セットレバー24が時計回りに回転しても、先幕セットレバー当接部24aは先幕駆動レバー当接部28bと接触しないので、先幕セットレバー24が時計回りに回転する場合は先幕セットレバー24は先幕駆動レバー28と独立して回転する。したがって、チャージ機構194が先幕走行バネ25に第1付勢力F13を付与する際、先幕セットレバー24は、先幕駆動レバー28を介さずに先幕走行バネ25に第1付勢力F13を付与する。
図7に示すように、先幕走行バネ25(第1弾性部材の一例)は先幕セットレバー24に反時計回りの強い弾性力F11を常に付与している。具体的には、先幕21が第1先幕位置P11から第2先幕位置P12へ移動するように先幕走行バネ25は先幕21に弾性力F11を付与している。先幕走行バネ25の弾性力F11により先幕セットレバー24には反時計回りの回転力が作用している。先幕セットレバー24は先幕走行バネ25の弾性力F11を先幕駆動レバー28に伝達可能に配置されている。したがって、例えば図6に示すように、先幕セットレバー当接部24aと先幕駆動レバー当接部28bとが接触している状態では、先幕走行バネ25の弾性力F11は先幕駆動レバー28に伝達される。つまり、先幕21が第1先幕位置P11に配置されている場合、先幕走行バネ25は先幕駆動レバー28に反時計回りの強い弾性力F11を付与している。先幕走行バネ25の弾性力F11は先幕駆動レバー28を介して先幕駆動アーム22および先幕21にも伝達される。したがって、先幕走行バネ25は先幕21が開口部11aから退避する方向に先幕21を付勢する。
ここで、先幕走行バネ25が先幕駆動レバー28に与える反時計回りの弾性力F11は、先幕セットバネ27が先幕駆動レバー28に与える時計回りの弾性力F12よりも強い。したがって、先幕21に先幕セットバネ27の弾性力F12が作用している状態でも、先幕走行バネ25の弾性力F11により先幕21が開口部11aから退避する方向へ走行させることができる。先幕21が走行する際の力は、先幕走行バネ25の弾性力F11と先幕セットバネ27の弾性力F12との合力に相当する。
さらに、図7に示すように、先幕セットレバー24の端部には先幕吸着片24bが固定されている。先幕吸着片24bは先幕用電磁石26に吸着可能に配置されている。先幕用電磁石26に電力が供給されると、先幕用電磁石26が磁力を発生する。このため、先幕吸着片24bが先幕用電磁石26に接触している状態で先幕用電磁石26に電力が供給されると、先幕吸着片24bは先幕用電磁石26の磁力により先幕用電磁石26に吸着される。先幕吸着片24bと先幕用電磁石26との間の吸着力は、先幕走行バネ25の弾性力F11に対抗できるだけの十分な大きさを有している。したがって、先幕吸着片24bが先幕用電磁石26に吸着されている状態では、先幕走行バネ25の弾性力F11が先幕セットレバー24に作用していても、先幕セットレバー24の位置が図9に示すチャージ位置に保たれる。
(2.2.2:後幕駆動機構193)
図6および図7に示すように、後幕駆動機構193は、後幕31を駆動するために設けられており、後幕駆動レバー39(後幕駆動部材の一例)と、後幕セットレバー34(後幕セット部材の一例)と、後幕走行バネ35(第1弾性部材の一例)と、後幕ロックレバー52(後幕ロック部材の一例)と、を有している。
図7および図18に示すように、後幕駆動レバー39は、第1後幕位置P21および第2後幕位置P22の間を移動可能にシャッタ地板11に後幕31を連結している。後幕駆動レバー39は後幕駆動レバー連結ピン39aを有している。後幕駆動アーム32は後幕駆動アーム連結穴32eを有している。後幕駆動アーム連結穴32eには後幕駆動レバー連結ピン39aが挿入されている。
また、後幕駆動レバー39および後幕駆動アーム32は、回転軸32aを中心に回転可能に回転軸32aにより支持されている。後幕駆動アーム32と後幕駆動レバー39とは、回転軸32aを中心に一体的に回転可能となっている。
後幕セットバネ54は後幕31が開口部11aから退避する方向へ後幕駆動レバー39を付勢している。具体的には図7に示すように、後幕31が第1後幕位置P21から第2後幕位置P22へ移動するように後幕セットバネ54は後幕31に弾性力F22を付与している。後幕セットバネ54の弾性力F22は後幕走行バネ35の弾性力F21よりも小さい。後幕セットバネ54の弾性力F22は後幕駆動アーム32および後幕従動アーム33へ伝達されている。この結果、後幕セットバネ54は後幕駆動レバー39に時計回りの弾性力F22を与えている。
図18に示すように、後幕駆動レバー39は後幕駆動レバー当接部39bを有している。図17(B)に示すように、後幕セットレバー34は後幕セットレバー当接部34aを有している。図7に示すように、後幕駆動レバー当接部39bは後幕セットレバー当接部34aと当接する。後幕セットレバー34は、後幕駆動レバー39と同様に、回転軸32aを中心に回転可能に回転軸32aにより支持されている。後幕セットレバー34が反時計回りに回転すると、後幕セットレバー当接部34aにより後幕駆動レバー当接部39bを押され、後幕駆動レバー39が反時計回りに回転する。第1後幕位置P21から第2後幕位置P22へ後幕31が移動する際、後幕セットレバー34は、後幕駆動レバー39を介して後幕走行バネ35の弾性力F21を後幕31に伝達する。つまり、チャージ機構194は、後幕走行バネ35に第2付勢力F23を付与する際、後幕セットレバー34を介して後幕走行バネ35に第2付勢力F23を付与する。
また、後幕セットバネ54の弾性力F22により後幕駆動レバー39には時計回りに回転力が付与されている。このため、後幕セットレバー当接部34aと後幕駆動レバー当接部39bとが接触している。後幕セットレバー34はストッパ(図示せず)により反時計回りの回転が図6に示す位置で規制されている。このため、後幕セットレバー34および後幕駆動レバー39が一体となって反時計回りに回転すると、後幕セットレバー34および後幕駆動レバー39が図7に示す位置で停止する。後幕走行バネ35の弾性力F21により後幕セットレバー34および後幕駆動レバー39は図7に示す位置を保つ。つまり、後幕駆動レバー39は後幕セットレバー34を介して後幕走行バネ35の弾性力F21を後幕31に伝達することができる。
一方で、後幕セットレバー34が時計回りに回転しても、後幕セットレバー当接部34aは後幕駆動レバー当接部39bと接触しないので、後幕セットレバー34が時計回りに回転する場合は後幕セットレバー34が後幕駆動レバー39と独立して回転する。したがって、チャージ機構194が後幕走行バネ35に第2付勢力F23を付与する際、後幕セットレバー34は、後幕駆動レバー39を介さずに後幕走行バネ35に第2付勢力F23を付与する(図19参照)。
後幕ロックレバー52は、後幕31が第1後幕位置P21から第2後幕位置P22へ移動する際に後幕駆動レバー39の移動を規制可能に設けられている。具体的には図18に示すように、後幕駆動レバー39は、さらに後幕ロック部39cを有しており、後幕ロックレバー52はロック爪52bを有している。後幕31が開口部11aを覆った状態で、後幕ロック部39cはロック爪52bに引っかかっている。後幕ロックレバー52は回転軸52aを中心に回転可能に回転軸52aにより支持されている。回転軸52aは、シャッタ地板11に固定されている。後幕ロックレバー52には後幕ロックバネ53(後幕ロック弾性部材の一例)により反時計回りの回転力が付与されている。後幕ロックバネ53は後幕ロックレバー52が後幕駆動レバー39の移動を規制した状態を保つように後幕ロックレバー52に弾性力を付与している。したがって、後幕ロック部39cがロック爪52bに引っかかっている状態が後幕ロックバネ53の弾性力により保持される。
また、後幕ロックレバー52はロック解除爪52cを有している。ロック解除爪52cはチャージレバー229の後幕ロック解除部29h(後述)と接触可能に配置されている。チャージレバー29が反時計回りに回転すると、チャージレバー29の後幕ロック解除部29hが後幕ロックレバー52のロック解除爪52cと接触し、後幕ロックバネ53の弾性力に逆らうようにチャージレバー29を介して後幕ロックレバー52がモータ46により駆動される。このため、後幕ロックレバー52が後幕ロックバネ53の弾性力に逆らって時計方向に回転し、ロック爪52bが後幕ロック部39cから外れる。こうして、後幕駆動レバー39のロックが解除される。
図7に示すように、後幕走行バネ35(第2弾性部材の一例)は、後幕31が開口部11aを覆う方向へ後幕31を付勢している。具体的には、後幕31が第2後幕位置P22から第1後幕位置P21へ移動するように後幕走行バネ35は後幕駆動アーム32を介して後幕31に弾性力F21を付与している。後幕走行バネ35の弾性力F21により後幕セットレバー34には反時計回りの強い回転力が作用している。後幕セットレバー34は後幕走行バネ35の弾性力F21を後幕駆動レバー39に伝達可能に配置されている。したがって、例えば図7に示すように、後幕セットレバー当接部34aが後幕駆動レバー当接部39bと接触している状態では、後幕走行バネ35の弾性力F21は後幕セットレバー34を介して後幕駆動レバー39に伝達される。つまり、後幕31が第2後幕位置P22に配置されている場合、後幕走行バネ35は後幕駆動レバー39に反時計回りの強い弾性力F21を付与している。後幕走行バネ35の弾性力F21は後幕駆動レバー39を介して後幕駆動アーム32および後幕31に伝達される。したがって、後幕走行バネ35は後幕31が開口部11aを覆う方向に後幕31を付勢する。
ここで、後幕走行バネ35が後幕駆動レバー39に与える反時計回りの弾性力F21は、後幕セットバネ54が後幕駆動レバー39に与える時計回りの弾性力F22よりも強い。したがって、後幕31に後幕セットバネ54の弾性力F22が作用している状態でも、後幕走行バネ35の弾性力F21により後幕31が開口部11aを覆う方向へ走行させることができる。後幕31が走行する際の力は、後幕走行バネ35の弾性力F21と後幕セットバネ54の弾性力F22との合力に相当する。
さらに、図7に示すように、後幕セットレバー34の端部には後幕吸着片34bが固定されている。後幕吸着片34bは後幕用電磁石36へ吸着可能に配置されている。後幕用電磁石36に電力が供給されると、後幕用電磁石36が磁力を発生する。このため、後幕吸着片34bが後幕用電磁石36に接触している状態で後幕用電磁石36に電力が供給されると、後幕吸着片34bは後幕用電磁石36の磁力により後幕用電磁石36に吸着される。後幕吸着片34bと後幕用電磁石36との間の吸着力は、後幕走行バネ35の弾性力F21に対抗できるだけの十分な大きさを有している。したがって、後幕吸着片34bが後幕用電磁石36に吸着されている状態では、後幕走行バネ35の弾性力F21が後幕セットレバー34に作用していても、後幕セットレバー34の位置が図9に示すチャージ位置に保たれる。
(2.2.3:チャージ機構194)
続いて、チャージ機構194について説明する。
チャージ機構194(チャージ機構の一例)は、先幕走行バネ25の弾性力F11に逆らう第1付勢力F13および後幕走行バネ35の弾性力F21に逆らう第2付勢力F23を先幕走行バネ25および後幕走行バネ35に付与可能に設けられている。具体的には図7に示すように、チャージ機構194は、先幕リンクレバー37と、先幕連結アーム50と、後幕リンクレバー38と、後幕連結アーム51と、チャージレバー29と、欠歯ギヤ部29eと、チャージレバー復帰バネ30と、欠歯ギヤ40と、遊星ギヤ41と、遊星キャリア42と、太陽ギヤ43と、ウォームギヤ44と、チャージレバー検知スイッチ48と、を有している。
図17(A)に示すように、先幕連結アーム50の第1端部50aは軸24dを介して先幕セットレバー24に回転可能に連結されている。軸24dは先幕連結アーム50の第1端部50aまたは先幕セットレバー24に固定されている。図17(B)に示すように、後幕連結アーム51の第1端部51aは軸34dを介して後幕セットレバー34に回転可能に連結されている。軸34dは後幕連結アーム51の第1端部51aまたは後幕セットレバー34に固定されている。
図17(A)に示すように、先幕連結アーム50の第2端部50bは軸37cを介して先幕リンクレバー37の第1端部37dに回転可能に連結されている。軸37cは先幕連結アーム50の第2端部50bまたは先幕リンクレバー37の第1端部37dに固定されている。図17(B)に示すように、後幕連結アーム51の第2端部51bは軸38cを介して後幕リンクレバー38の第1端部38aに回転可能に連結されている。軸38cは後幕連結アーム51の第2端部51bまたは後幕リンクレバー38の第1端部38aに固定されている。先幕リンクレバー37および後幕リンクレバー38は回転軸37aにより回転可能に支持されている。回転軸37aはシャッタ地板11に設けられている。
さらに、図17(A)に示すように、先幕リンクレバー37の第2端部には、チャージレバー29の先幕セットカム29bと当接する先幕チャージレバーローラー37bが回転可能に装着されている。図17(B)に示すように、後幕リンクレバー38には、チャージレバー29の後幕セットカム29cと当接する後幕チャージレバーローラー38bが回転可能に装着されている。
モータ46(アクチュエータの一例)は、先幕走行バネ25へ付与される第1付勢力F13および後幕走行バネ35へ付与される第2付勢力F23を発生する。具体的には、モータ46は、先幕走行バネ25への第1付勢力F13の付与が開始される先幕チャージ開始位置(第1チャージ開始位置の一例)と、先幕チャージ開始位置と異なる位置であって後幕走行バネ35への第2付勢力F23の付与が開始される後幕チャージ開始位置(第2チャージ開始位置の一例)と、へチャージレバー29を駆動可能である。さらに、モータ46は、先幕走行バネ25への第1付勢力F13の付与が完了する先幕チャージ完了位置(第1チャージ完了位置の一例)と、先幕チャージ完了位置と異なる位置であって後幕走行バネ35への第2付勢力F23の付与が完了する後幕チャージ完了位置(第2チャージ完了位置の一例)と、へチャージレバー29を駆動可能である。
後幕チャージ完了位置(図8および図9に示す位置)は、後幕チャージ開始位置(図6および図7に示す位置)と先幕チャージ完了位置(図10および図11に示す位置)との間に配置されている。モータ46は、先幕チャージ完了位置に対して先幕チャージ開始位置(図7に示す位置と図9に示す位置との間の位置)と先幕走行待機位置(図12および図13に示す位置)へチャージレバー29を駆動可能である。さらに、モータ46は、チャージレバー29の規制位置へチャージレバー29を駆動可能である。本実施形態では、チャージレバー29の規制位置は先幕チャージ完了位置(図10および図11に示す位置)と同じ位置である。チャージレバー29がストッパ11bと当接している原点位置は後幕チャージ開始位置と同じ位置である。
チャージレバー29(チャージ部材の一例)は、先幕セットレバー24を介して先幕走行バネ25に第1付勢力F13を伝達可能に配置されており、後幕セットレバー34を介して後幕走行バネ35に第2付勢力F23を伝達可能に配置されている。具体的には図19に示すように、チャージレバー29は、先幕駆動レバー28、先幕セットレバー24および後幕セットレバー34を駆動するために設けられており、回転軸29aと、先幕セットカム29bと、後幕セットカム29cと、先幕保持部29dと、反転防止部29daと、後幕ロック解除部29h(後幕ロック解除部の一例)と、を有している。チャージレバー29は回転軸29aを中心にシャッタ地板11に対して回転可能に設けられている。
図7に示すように、先幕セットカム29b(先幕カム部の一例)は、先幕セットレバー24と当接可能に配置されており、先幕セットレバー24を時計回りに回転駆動する。より詳細には、先幕セットカム29bは先幕リンクレバー37の先幕チャージレバーローラー37bと当接可能に配置されている。先幕セットカム29bが先幕チャージレバーローラー37bと当接した状態でチャージレバー29が反時計回りに回転すると、先幕走行バネ25の弾性力F11に逆らいながら先幕リンクレバー37が回転軸37aを中心に反時計回りに回転し、それに伴い先幕セットレバー24が時計回りに回転する。先幕チャージレバーローラー37bが先幕セットカム29bの外周面29fに達すると、先幕吸着片24bと先幕用電磁石26とが接触する。このように、先幕21を走行させるための弾性力をチャージレバー29により先幕走行バネ25にチャージすることができる。チャージレバー29が先幕チャージ完了位置にある場合に、先幕セットカム29bは先幕チャージレバーローラー37bと当接している。
また、後幕セットカム29cは、後幕リンクレバー38と当接可能に配置されており、後幕セットレバー34を時計回りに回転駆動する。後幕セットカム29cは後幕リンクレバー38の後幕チャージレバーローラー38bと当接可能に配置されている。後幕セットカム29cが後幕チャージレバーローラー38bと当接した状態でチャージレバー29が反時計回りに回転すると、後幕走行バネ35の弾性力F21に逆らいながら後幕リンクレバー38が反時計回りに回転し、それに伴い後幕セットレバー34が時計回りに回転する。後幕チャージレバーローラー38bが後幕セットカム29cの外周面29gに達すると、後幕吸着片34bと後幕用電磁石36とが接触する。このように、後幕31を走行させるための付勢力をチャージレバー29により後幕走行バネ35にチャージすることができる。図9に示すように、チャージレバー29が後幕チャージ完了位置にある場合に、後幕チャージレバーローラー38bは後幕セットカム29cと当接しており、後幕リンクレバー38は後幕セットカム29cにより図9に示す位置に保持されている。
先幕チャージレバーローラー37bおよび後幕チャージレバーローラー38bは図6および図7の紙面に垂直な方向に並んで配置されているので、図6および図7では、先幕チャージレバーローラー37bおよび後幕チャージレバーローラー38bがほぼ同じ位置に配置されているように見える。
ここで、図11に示すように、先幕吸着片24bと先幕用電磁石26とが吸着可能な位置にある状態を先幕21のチャージ完了状態とも言う。また、後幕吸着片34bと後幕用電磁石36とが吸着可能な位置にある状態を後幕31のチャージ完了状態とも言う。先幕21をチャージ完了状態にすることを、先幕21をチャージするとも言う。さらに、後幕31をチャージ完了状態にすることを、後幕31をチャージするとも言う。
チャージレバー29は先幕駆動レバー28を介して先幕21を第2先幕位置P12に保持可能である。チャージレバー29が先幕チャージ完了位置にある場合に、チャージレバー29は、先幕駆動レバー28を介して先幕21を第2先幕位置P12に保持する。具体的には、先幕保持部29d(先幕保持部の一例)は、先幕駆動レバー28を介して先幕21を第2先幕位置P12で保持する。先幕駆動レバー28は、先幕保持部29dと当接可能に設けられた爪部28c(爪部の一例)を有している。チャージレバー29が先幕チャージ開始位置から先幕チャージ完了位置まで回転する間、先幕保持部29dは第2先幕位置P12から第1先幕位置P11へ先幕21が移動する際の爪部28cの移動領域内に入り込んでいる。したがって、先幕21のチャージ開始から完了までの間、先幕保持部29dは爪部28cと当接可能となり、先幕駆動レバー28の時計回りの回転がチャージレバー29により規制される(例えば、図11および図20(B)参照)。これにより、先幕21が開口部11aから退避した状態がチャージレバー29により保たれる。つまり、チャージ機構194は、先幕走行バネ25に第1付勢力F13を付与している間、先幕21を第2先幕位置P12に保持することができる。
一方、チャージレバー29が開放位置にある場合に、チャージレバー29は、第2先幕位置P12での先幕21の保持を解除する。具体的には図12および図13に示すように、チャージレバー29が開放位置にある場合に、先幕保持部29dは爪部28cの移動領域から退避している。この状態では、先幕保持部29dは爪部28cと当接しないので、先幕保持部29dにより先幕駆動レバー28の時計回りの回転が規制されない。
また、チャージレバー29が規制位置(図10および図11に示す位置)にある場合に、先幕駆動レバー28は、チャージレバー29が原点位置(図6および図7に示す位置)に戻るのを規制する。具体的には、先幕保持部29dは反転防止部29daを有している。反転防止部29daは段差を有している。反転防止部29daに爪部28cの先端が引っかかっている状態では、チャージレバー29は時計回りに回転するのを爪部28cにより規制される。チャージレバー29が規制位置にある場合に、爪部28cが反転防止部29daに引っかかるようになっている。
後幕ロック解除部29hは後幕ロックレバー52による後幕駆動レバー39の規制を解除するために設けられている。後幕ロック解除部29hは、後幕ロックレバー52のロック解除爪52cと接触可能に配置されている。後幕ロック解除部29hによりロック解除爪52cが押されると、後幕ロックレバー52が後幕ロックバネ53の弾性力に逆らって時計方向に回転する(図39(A)および(B)参照)。これにより、後幕ロックレバー52による先幕21のロックか解除される。
欠歯ギヤ部29eは、チャージレバー29と一体回転可能に設けられている。チャージレバー29と欠歯ギヤ部29eとは、回転軸29aにより回転可能に支持されている。チャージレバー29は、チャージレバー復帰バネ30により時計回りへ付勢されている。チャージレバー復帰バネ30(復帰弾性部材の一例)は、チャージレバー29が第1付勢力F13および第2付勢力F23の付与を開始する前の原点位置に戻るようにチャージレバー29に弾性力F3を付与する。シャッタ地板11に設けられたストッパ11bは、チャージレバー29と当接し、チャージレバー29がチャージレバー復帰バネ30により回転するのを規制する。図6および図7に示すように、チャージレバー29にチャージレバー復帰バネ30の付勢力以外の力が働いていない状態では、チャージレバー29はストッパ11bと当接した原点位置に保持される。
欠歯ギヤ部29eは、欠歯ギヤ40と噛み合い可能である。欠歯ギヤ40は、シャッタ地板11により回転可能に支持されている。欠歯ギヤ40は、段ギヤで構成されており、全周歯を有するギヤ部40aを有している。ギヤ部40aは遊星ギヤ41と噛み合い可能である。
遊星ギヤ41は遊星キャリア42により回転可能に支持されている。遊星キャリア42は、太陽ギヤ43と同じ軸43bを中心に、シャッタ地板11により回転可能に支持されている。太陽ギヤ43と遊星ギヤ41とは噛み合っている。ここで、太陽ギヤ43に適度な回転負荷を与えることによって、太陽ギヤ43の回転方向に応じて、遊星キャリア42および遊星ギヤ41が軸43bを中心に回転する。遊星ギヤ41が軸43bを中心に回転すると、遊星ギヤ41が噛み合うギヤを欠歯ギヤ40または連結ギヤ47に切り替えることができる。
遊星キャリア42は、第1回転規制部42aおよび第2回転規制部42bを有している。第1回転規制部42aおよび第2回転規制部42bは、それぞれ、シャッタ地板11に設けられた第1ストッパ11cおよび第2ストッパ11dに当接する。これにより、シャッタ地板11に対する遊星キャリア42の回転が所定の範囲内に規制されている。
太陽ギヤ43は、段ギヤで構成されており、ウォームギヤ44と噛み合うウォームホイール43aを有している。ウォームギヤ44はモータ46の回転軸46aに固定されている。ウォームギヤ44は、エンコーダ羽根44aを有している。エンコーダ羽根44aがフォトインタラプタ45の光を遮断することによってモータ46の回転量(駆動量)や速度を測定することが可能である。
チャージレバー検知スイッチ48は、シャッタ地板11に固定されており、チャージレバー29の回転位置を検出する。より詳細には、チャージレバー検知スイッチ48はチャージレバー29が近接しているか否かを検出する。
(3:スリット露光撮影の動作)
次に、スリット露光撮影の動作について説明する。図21に示すフローチャートは、スリット露光撮影のフローチャートである。図23に示すタイムチャートは、スリット露光撮影の動作のタイミングを示すタイムチャートである。
(3.1:走行完了状態)
図6は、フォーカルプレーンシャッタ装置190の撮影終了状態、つまり、先幕21および後幕31の走行が完了した状態を示す。図7は、図6の要部拡大図である。
図6に示す走行完了状態では、先幕走行バネ25の弾性力F11により、先幕21が開口部11aよりも上側に退避している。先幕21が第2先幕位置P12に配置されている状態では、先幕セットバネ27の弾性力F12と先幕走行バネ25の弾性力F11とによって、先幕セットレバー当接部24aと先幕駆動レバー当接部28bが当接した状態で、先幕セットレバー24と先幕駆動レバー28とは反時計回りに回転した状態を保持している。また、後幕31は、後幕走行バネ35の弾性力F21によって開口部11aを覆った状態を保っている。後幕走行バネ35の弾性力F21によって、後幕セットレバー当接部34aと後幕駆動レバー当接部39bが当接した状態で、後幕セットレバー34と後幕駆動レバー39とは反時計回りに回転した状態を保持している。
(3.2:チャージ動作)
図8は、後幕31のチャージが完了した状態の図である。図6に示す走行完了状態において、モータ46へ通電が行われ、モータ46によって太陽ギヤ43が時計回りに回転される(ステップS1)。すると、遊星キャリア42が回転負荷によって時計回りに回転し、第2回転規制部42bが第2ストッパ11dと当接する。その後、遊星ギヤ41は反時計回りに回転し、さらに欠歯ギヤ40を時計回りに回転させる。欠歯ギヤ40に設けた欠歯部40bは、チャージレバー29に設けた欠歯ギヤ部29eと噛み合い、欠歯ギヤ部29eを反時計回りに回転させる。欠歯ギヤ部29eと一体的に設けられたチャージレバー29は、チャージレバー復帰バネ30の弾性力F23に逆らって反時計回りに回転する。
ここで、モータ46の通電と同時に、チャージレバー検知スイッチ48によりチャージレバー29が近接しているか否かの検出が開始される(ステップS2)。チャージレバー29の回転が進みチャージレバー検知スイッチ48によりチャージレバー29が検出されると、フォトインタラプタ45およびエンコーダ羽根44aを用いてモータ46の駆動量の検出が開始される(ステップS3)。なお、ステップS1におけるモータ46による駆動はフォーカルプレーンシャッタ装置190の状態が図8に示す状態から図10に示す状態になるまで続行される。
図6および図7に示す状態でチャージレバー29が反時計回りに回転すると、後幕セットカム29cにより後幕チャージレバーローラー38bが押圧され、後幕リンクレバー38が反時計回りに回転する。後幕リンクレバー38が反時計回りに回転すると、後幕連結アーム51を介して後幕セットレバー34が時計回りに回転する。後幕セットレバー34が時計回りに回転すると、後幕31が第1後幕位置P21から第2後幕位置P22へ向かって移動し、後幕31が開口部11aから退避する。後幕チャージレバーローラー38bが後幕セットカム29cの外周面29gに達すると、後幕31が第2後幕位置P22に到達し、後幕吸着片34bが後幕用電磁石36へ押し付けられる(図8および図9参照)。後幕セットカム29cの外周面29gにより後幕セットレバー34の位置が保持されるので、後幕走行バネ35の弾性力F21がチャージレバー29に回転力として作用しない。
同様に、チャージレバー29が反時計回りに回転すると、先幕セットカム29bにより先幕チャージレバーローラー37bが押圧され、先幕リンクレバー37が反時計回りに回転する。先幕リンクレバー37が反時計回りに回転すると、先幕連結アーム50を介して先幕セットレバー24が時計回り回転する。先幕セットレバー24が時計回りに回転すると、先幕21が第1先幕位置P11から第2先幕位置P12へ向かって移動し、先幕21が開口部11aから退避する。
しかし、図8および図9に示す状態では、先幕チャージレバーローラー37bが先幕セットカム29bの外周面29fまで到達していないので、先幕吸着片24bは先幕用電磁石26に押し付けられておらず、先幕用電磁石26が先幕吸着片24bを吸着可能な位置まで先幕吸着片24bは回転していない。このように、先幕セットカム29bおよび後幕セットカム29cの形状は、後幕吸着片34bと後幕用電磁石36との接触が先幕吸着片24bと先幕用電磁石26との接触よりも先に行われるように、形成されている。
後幕セットレバー34が時計回りに回転するとき、後幕セットバネ54の弾性力F23によって後幕駆動レバー39も同様に時計回りに回転しようとする。しかし、後幕ロック部39cに後幕ロックレバー52のロック爪52bが引っかかっているため、後幕駆動レバー39の時計回りの回転が後幕ロックレバー52により規制される。したがって、後幕セットレバー34だけが時計回りに回転する。後幕駆動レバー39が回転しないので、上述のチャージ動作中、後幕31は第2後幕位置P22で保持され、後幕31が開口部11aを遮蔽した状態が維持される。そのため、CMOSイメージセンサー110からの画像データの読み出しと後幕31のチャージとを並行して行うことが可能である。なお、本実施形態では、後幕31のチャージ動作が完了するまで、後幕31が開口部11aを遮蔽した状態が維持される。
CMOSイメージセンサー110からの読み出しが完了すると、モータ46が太陽ギヤ43をさらに回転駆動し、チャージレバー29がさらに反時計回りに回転する。チャージレバー29が反時計回りに回転すると、チャージレバー29の後幕ロック解除部29hが後幕ロックレバー52のロック解除爪52cと接触し、後幕ロックレバー52が後幕ロックバネ53の弾性力に逆らって時計方向に回転する。この結果、ロック爪52bが後幕ロック部39cから外れて、後幕駆動レバー39のロックが解除される(図39(A)および(B)参照)。
後幕駆動レバー39のロックが解除されると、後幕駆動レバー39は後幕セットバネ54の弾性力F22により、後幕セットレバー当接部34aと後幕駆動レバー当接部39bが当接するまで時計回りに回転し、後幕31が開口部11aから退避する。チャージ動作後も、後幕セットカム29cと後幕チャージレバーローラー38bとが当接しており、後幕31は開口部11aから退避した状態を維持する。こうして、フォーカルプレーンシャッタ装置190は図10および図11に示す後幕チャージ完了状態になる。
一方、チャージレバー29が反時計回りに回転すると、やがて先幕チャージレバーローラー37bが先幕セットカム29bの外周面29fに到達し、モータ46によるチャージレバー29の回転駆動が停止される(ステップS4)。先幕チャージレバーローラー37bが先幕セットカム29bの外周面29fと当接している状態では、先幕吸着片24bが先幕用電磁石26へ押し付けられている。
先幕セットレバー24が時計回りに回転するとき、先幕セットバネ27の弾性力F22によって先幕駆動レバー28も同様に時計回りに回転しようとする。しかし、チャージレバー29が反時計回りに回転するとき、先幕保持部29dが爪部28cの回転軌跡(移動領域)内に入り込み、先幕保持部29dが先幕駆動レバー28の時計回りの回転を規制する。したがって、先幕セットレバー24だけが時計回りに回転する。先幕駆動レバー28が回転しないので、上述のチャージ動作中、先幕21が開口部11aから退避した状態が維持される。チャージ動作後も、爪部28cが先幕保持部29dと当接しているので、先幕21が開口部11aから退避した状態が維持される。このように、チャージ動作中およびチャージ完了後に、フォーカルプレーンシャッタ装置190は、開口部11aが開放された状態を機械的に維持可能である。
図10に示す状態では、被写体からの光がCMOSイメージセンサー110に導かれる。この状態は、CMOSイメージセンサー110を露光した状態を維持したいときに特に有効である。たとえば、カメラ本体100によってライブビュー機能による被写体観察やフレーミングを行ったり、動画撮影を行ったりする際に特に有効である。
なお、カメラコントローラー140はモータ46の駆動量に基づいてチャージレバー29の回転位置を把握できる。カメラコントローラー140は、エンコーダ羽根44aおよびフォトインタラプタ45によりモータ46の回転量を把握することができ、さらに、チャージレバー検知スイッチ48の検出結果に基づいてチャージレバー29の原点位置を把握することができる。したがって、原点位置を基準としてチャージレバー29の回転位置(後幕チャージ完了位置、規制位置および開放位置)をカメラコントローラー140は把握することができる。
(3.3:モータの反転)
図10および図11に示す状態で、モータ46を反転させると、太陽ギヤ43が反時計回りに回転し、それに伴い遊星キャリア42が軸43bを中心に反時計回りに回転する。この結果、遊星キャリア42の第1回転規制部42aが第1ストッパ11cと当接する。第1回転規制部42aが第1ストッパ11cと当接している位置では、遊星ギヤ41が欠歯ギヤ40ではなく連結ギヤ47と噛み合うので、太陽ギヤ43の回転が遊星ギヤ41を介して連結ギヤ47に伝達される。連結ギヤ47を他の駆動部材に連結することで、連結ギヤ47の回転を利用して他の駆動部材を駆動することも可能である。他の駆動部材としては、例えばフラッシュのポップアップが挙げられる。
遊星ギヤ41と欠歯ギヤ40とが噛み合っているときは、ウォームギヤ44のセルフロック機能によって太陽ギヤ43および遊星ギヤ41が回転せず、遊星ギヤ41と噛み合っている欠歯ギヤ40も回転しない。したがって、欠歯ギヤ40が欠歯ギヤ部29eと噛み合っていれば、チャージレバー29は回転しない。
しかし、遊星ギヤ41が軸43bを中心に反時計回りに回転すると、遊星ギヤ41と欠歯ギヤ40との噛み合いが外れる。したがって、ウォームギヤ44のセルフロック機能が欠歯ギヤ40およびチャージレバー29に働かず、チャージレバー復帰バネ30の弾性力F22によりチャージレバー29が時計回りに回転してしまう。チャージレバー29が時計回りに回転すると、先幕セットレバー24および後幕セットレバー34も時計回りに回転し、先幕21および後幕31のチャージも解除されてしまう。
そこで、図10および図11に示すように、チャージレバー29の先幕保持部29dに設けた反転防止部29daに爪部28cの先端が引っかかっている。これにより、チャージレバー29の時計回りの回転を規制することができ、チャージ完了状態を維持しつつ、モータ46の逆回転を他の部材の駆動などに自由に利用することが可能となる。
(3.4:スリット露光待機状態)
図10に示す状態でユーザーによりレリーズ釦131が操作されると、カメラコントローラー140により測光等の必要な撮影情報が取得される。撮影情報の取得完了後、レリーズ動作が開始される。
具体的には、先幕21および後幕31のチャージ完了状態を維持するために、図21に示すように、レリーズ釦131が押されると、モータ46が駆動される前に、先幕用電磁石26および後幕用電磁石36に給電が開始される(ステップS5、S6)。この結果、先幕吸着片24bが先幕用電磁石26に吸着され、後幕吸着片34bが後幕用電磁石36に吸着される。したがって、先幕セットレバー24および後幕セットレバー34が反時計回りに回転可能になっても、先幕セットレバー24および後幕セットレバー34はチャージ位置に保持される。
先幕用電磁石26および後幕用電磁石36に給電が開始された後、カメラコントローラー140によりモータ46が所定の駆動量だけ駆動される(ステップS7、S8、S9)。具体的には、モータ46により太陽ギヤ43が時計回りに回転駆動されると、チャージレバー29が反時計回りに回転する。チャージレバー29が反時計回りに回転すると、欠歯ギヤ40と欠歯ギヤ部29eとの噛み合いが外れる前に、チャージレバー29の先幕保持部29dが先幕駆動レバー28の爪部28cの移動領域から退避して、先幕保持部29dと爪部28cとの当接が解除される。このため、先幕セットバネ27の弾性力F12により先幕駆動レバー28が時計回りに回転し、先幕21が第2先幕位置P12から第1先幕位置P11へ走行する。先幕セットレバー当接部24aに先幕駆動レバー当接部28bが当接すると、先幕駆動レバー28の回転は停止し、先幕21は第1先幕位置P11で停止する。したがって、図10に示すように、先幕21により開口部11aが遮蔽される。
チャージレバー29が反時計回りに回転すると、欠歯ギヤ40とチャージレバー29の欠歯ギヤ部29eとの噛み合いが外れる。欠歯ギヤ40と欠歯ギヤ部29eの噛み合いが外れると、チャージレバー復帰バネ30の弾性力F23によりチャージレバー29が時計回りに回転し、先幕チャージレバーローラー37bと先幕セットカム29bとの当接が解除される。先幕チャージレバーローラー37bと先幕セットカム29bとの当接が解除されると、先幕セットレバー24は先幕走行バネ25の弾性力F11により反時計回りに回転可能となる。また、チャージレバー復帰バネ30の弾性力F23によりチャージレバー29が時計回りに回転すると、後幕チャージレバーローラー38bと後幕セットカム29cとの当接が解除される。後幕チャージレバーローラー38bと後幕セットカム29cとの当接が解除されると、後幕セットレバー34が後幕走行バネ35の弾性力F21により反時計回りに回転可能となる。
しかし、前述のように、モータ46の駆動が開始される前に先幕用電磁石26および後幕用電磁石36に給電を開始しているので、先幕セットレバー24および後幕セットレバー34が反時計回りに回転可能になっても、先幕セットレバー24および後幕セットレバー34はチャージ位置に保持される。つまり、先幕21および後幕31のチャージ完了状態を維持することができる。
こうして、フォーカルプレーンシャッタ装置190の状態が図10に示す状態から図12に示すスリット露光待機状態に移行する。図12に示す状態では、先幕21および後幕31のチャージ完了状態を維持しつつ先幕21により開口部11aが遮蔽されている。
(3.5:スリット露光)
その後、カメラコントローラー140からのレリーズ指令に基づいて先幕用電磁石26への給電が停止される(ステップS10)。すると、先幕セットレバー24が先幕走行バネ25の弾性力F11により反時計回りに回転する。このとき、先幕駆動レバー当接部28bが先幕セットレバー当接部24aに押されるので、先幕駆動レバー28は先幕セットレバー24と反時計回りに一体回転し、先幕21が第1先幕位置P11から第2先幕位置P12へ走行する。この結果、開口部11aを通ってCMOSイメージセンサー110に光が入射し、CMOSイメージセンサー110の露光が開始される。
その一方で、先幕用電磁石26の給電停止から予め設定された露光時間が経過した後に、後幕用電磁石36の給電が停止される(ステップS11、S12)。露光時間はカメラコントローラー140により露出情報等に基づいて設定される。後幕用電磁石36への給電が停止されると、後幕走行バネ35の弾性力F21により後幕セットレバー34が反時計回りに回転し、後幕31が第2後幕位置P22から第1後幕位置P21へ走行する。この結果、後幕31により開口部11aの下方から順に開口部11aが遮蔽される。このとき、先幕21と後幕31との間にはスリットが形成され、このスリットが開口部11aの下側から上側へ移動する。このため、CMOSイメージセンサー110はこのスリットを通って入射する光によって露光される。このようなスリットによる露光動作をスリット露光撮影という。先幕21および後幕31の走行が完了すると、フォーカルプレーンシャッタ装置190の状態は図6に示す状態となる。チャージ動作が行われと、フォーカルプレーンシャッタ装置190の状態は図8に示す状態となり、次の撮影に備える。
このように、チャージと読み出しとを並行して行うことで、次の撮影への準備時間を短くすることが出来る。これにより、例えば、連続撮影の間隔を小さくすることができ、高速な連射が可能になる。
なお、後幕31の走行が完了したとき、図6に示すように、後幕ロックレバー52のロック爪52bが後幕ロック部39cに引っかかり、後幕ロックレバー52により後幕31が第1後幕位置P21でロックされる。
(4:電子先幕撮影の動作)
次に、電子先幕撮影の動作について説明する。図17に示すフローチャートは、電子先幕撮影のフローチャートである。図19に示すタイムチャートは、電子先幕撮影の動作のタイミングを示すタイムチャートである。
(4.1:走行完了状態)
電子先幕撮影の動作の終了状態は、上述のスリット露光撮影の終了状態と同じである。つまり、図6は、電子先幕撮影によって後幕31の走行が完了した状態を示す。
(4.2チャージ動作)
図14および図15は電子先幕撮影のために後幕31のみチャージが完了した状態を示している。スリット露光撮影の際のチャージ動作と同様に、図6に示す走行完了状態でモータ46への通電が行われ、太陽ギヤ43が時計回りに回転する(ステップS21)。太陽ギヤ43が時計回りに回転すると、チャージレバー29が反時計回りに回転する。
図6に示す状態から図8に示す状態までのフォーカルプレーンシャッタ装置190の動作は、スリット露光撮影のときと同様である。具体的には、モータ46の通電と同時に、チャージレバー検知スイッチ48によりチャージレバー29が近接しているか否かの検出が開始される(ステップS22)。チャージレバー29の回転が進みチャージレバー検知スイッチ48によりチャージレバー29が検出されると、フォトインタラプタ45およびエンコーダ羽根44aを用いてモータ46の駆動量の検出が開始される(ステップS23)。モータ46によりチャージレバー29が反時計回りに回転駆動されると、後幕31のチャージが開始され、その後、先幕21のチャージが開始される。スリット露光撮影のときと同様に、CMOSイメージセンサー110からの画像データの読み出しと後幕31のチャージとが並行して行われる。図8に示す位置までチャージレバー29がモータ46により駆動されると、カメラコントローラー140がモータ46を停止する(ステップS24)。図8に示す状態では、チャージレバー29の後幕ロック解除部29hは後幕ロックレバー52のロック解除爪52cに接触していないので、後幕31のロック状態が維持されている。
CMOSイメージセンサー110からの画像データの読み出しが完了すると、モータ46によるチャージレバー29の駆動が再び開始され、チャージレバー29がさらに反時計回りに回転する(ステップS25、S26)。図8に示す位置からチャージレバー29が反時計回りに回転すると、チャージレバー29の後幕ロック解除部29hが後幕ロックレバー52のロック解除爪52cと接触する。後幕ロック解除部29hによりロック解除爪52cが押されると、後幕ロックレバー52が後幕ロックバネ53の弾性力F24に逆らって時計方向に回転する。この結果、ロック爪52bが後幕ロック部39cから外れて、後幕駆動レバー39のロックが解除される。後幕駆動レバー39のロックが解除されると、後幕セットバネ54の弾性力F22により、後幕31が第1後幕位置P21から第2後幕位置P22へ移動し、後幕31が開口部11aから退避した状態が維持される。この状態を、電子先幕撮影のチャージ完了状態とも呼ぶ。
後幕31のロック解除後、チャージレバー29が図10に示す位置よりも少し手前で停止する(ステップS27、S28)。チャージレバー29が図10に示す位置よりも少し手前で停止すると、図10に示す状態と異なり、先幕保持部29dに設けた反転防止部29daに爪部28cの先端が引っかからない。この状態では、ウォームギヤ44のセルフロック機能のみにより、チャージレバー復帰バネ30の弾性力F23によるチャージレバー29の時計回りの回転が規制されている。
なお、チャージレバー29が図10に示す位置よりも少し手前で停止するので、電子先幕撮影のチャージ動作時は、フォーカルプレーンシャッタ装置190は図10に示す状態にならない。
電子先幕撮影のチャージ完了状態では、先幕保持部29dが爪部28cの回転軌跡(移動領域)内に入り込んでいるので、爪部28cが先幕保持部29dと当接している。これにより、先幕21が開口部11aから退避した状態が維持される。このように、フォーカルプレーンシャッタ装置190では、開口部11aを開いた状態を機械的に維持可能である。つまり、フォーカルプレーンシャッタ装置190は、いわゆるノーマリーオープンの機能を有している。
先幕21が開口部11aから退避した状態が維持されるので、電子先幕撮影のチャージ完了状態では、被写体からの光がCMOSイメージセンサー110に導かれる。この状態は、CMOSイメージセンサー110を露光した状態を維持したいときに特に有効である。たとえば、カメラ本体100によってライブビュー機能による被写体観察やフレーミングを行ったり、動画撮影を行ったりする際に特に有効である。
(4.3:電子先幕撮影待機状態)
ユーザーによりレリーズ釦131が操作されると、カメラコントローラー140により測光等の必要な撮影情報が取得される。撮影情報の取得完了後、レリーズ動作が開始される。レリーズ動作が開始されると、フォーカルプレーンシャッタ装置190は図14に示す電子先幕撮影待機状態に移行する。
具体的には、ユーザーによりレリーズ釦131が操作されると、カメラコントローラー140によりモータ46が反転駆動され、遊星ギヤ41と欠歯ギヤ40との噛み合いが解除される(ステップS29、S30)。この結果、ウォームギヤ44のセルフロック機能がチャージレバー29に働かなくなり、チャージレバー復帰バネ30の弾性力F23により、チャージレバー29の当接部29kがストッパ11bに当接するまで時計回りに回転する。
チャージレバー29の当接部29kがストッパ11bに当接している状態では、チャージレバー29の先幕保持部29dと先幕駆動レバー28の爪部28cとの当接が解除されるので、先幕21が第2先幕位置P12から第1先幕位置P11へ移動しようとする。しかし、先幕チャージレバーローラー37bと先幕セットカム29bとの当接も解除されるので、先幕セットレバー24は先幕走行バネ25の弾性力F11により反時計回りに回転する。この結果、先幕セットレバー24により先幕駆動レバー28が反時計回りに押されて、先幕21が開口部11aから退避した状態が維持される。
一方、チャージレバー29の当接部29kがストッパ11bに当接している状態では、後幕チャージレバーローラー38bと後幕セットカム29cとの当接が解除されるが、後幕チャージレバーローラー38bと後幕セットカム29cとの当接が解除される前に、後幕用電磁石36に給電が開始される(ステップS30)。この結果、後幕吸着片34bが後幕用電磁石36により吸着され、図14に示すように、後幕セットレバー34のチャージ状態が維持される。電子先幕撮影では、先幕21を使用しないため、先幕用電磁石26には給電する必要が無く、省電効果も期待できる。
レリーズ釦131の操作から所定時間経過後、モータ46が停止する(ステップS31、S32)。
上述のように、チャージ動作から電子先幕撮影待機状態に至るまで、先幕21は開口部11aから退避した状態を維持し、先幕21はほとんど動くことが無い。したがって、先幕21の駆動時間待ちやバウンドの収束待ち等の必要がなくなり、モータ46および後幕用電磁石36への給電とほぼ同時に、CMOSイメージセンサー110による電子先幕撮影を開始させることが可能となる。これにより、レリーズタイムラグを非常に短くすることができる。
(4.4:電子先幕露光)
その後、カメラコントローラー140からのレリーズ指令により、CMOSイメージセンサー110の下方のラインの画素から、電荷のリセットおよび電荷の蓄積の開始が行われる(ステップS33)。電荷のリセットは、順次、下方のラインから上方のラインにかけて行われる。続いて、電荷のリセットおよび電荷の蓄積の開始がされた後、設定された露光時間後に、後幕用電磁石36の給電が停止される(ステップS34、S35)。露光時間はカメラコントローラー140により露出情報に基づいて設定される。
後幕用電磁石36への給電が停止すると、後幕セットレバー34が反時計回りに回転可能となるので、後幕セットレバー34が後幕走行バネ35の弾性力F21により反時計回りに回転する。後幕セットレバー当接部34aが後幕駆動レバー39と当接しているので、後幕セットレバー34が反時計回りに回転すると、後幕駆動レバー39も後幕セットレバー34とともに一体回転する。この結果、後幕31が第2後幕位置P22から第1後幕位置P21へ走行し、開口部11aの下方から開口部11aが遮蔽されていく。電荷がリセットされてから後幕31によって入射光が遮蔽されるまでの間、CMOSイメージセンサー110は露光される。このように後幕31の走行と同調してCMOSイメージセンサー110を駆動し露光領域を走査させる露光動作を、電子先幕撮影という。後幕31の走行が完了すると、フォーカルプレーンシャッタ装置190は再び図6に示す状態となる。チャージ動作が再び行われると、フォーカルプレーンシャッタ装置190は図8に示す状態となる。後幕31のチャージ動作と並行して、カメラコントローラー140は、取得した画像データの読み出しを行うようにCMOSイメージセンサー110を制御する。画像データの読み出し完了後、電子先幕撮影のチャージ完了状態に移行し、次の撮影に備える。
このように、チャージと読み出しとを並行して行うことで、次の撮影への準備時間を短くすることが出来る。これにより、例えば、連続撮影の間隔を小さくすることができ、高速な連射が可能になる。
<第2実施形態>
前述の第1実施形態では、先幕21のロック機構をチャージレバー29の先幕保持部29dおよび先幕駆動レバー28の爪部28cで実現しているが、後幕31と同様に、チャージレバー29とは別の部材で先幕21のロック機構を実現してもよい。
なお、以降の説明では、前述の第1実施形態の構成と実質的に同じ機能を有する構成については、同じ符号を使用し、その詳細な説明は省略する場合もある。
(1:フォーカルプレーンシャッタ装置290の構成)
図25から図38(B)を用いて、第2実施形態に係るフォーカルプレーンシャッタ装置290を説明する。
フォーカルプレーンシャッタ装置290は、開口部開閉機構191と、駆動ユニット299と、を有している。駆動ユニット299は、先幕駆動機構292と、後幕駆動機構293と、チャージ機構294と、を有している。
(1.1:開口部開閉機構191)
図25に示すように、第2実施形態に係る開口部開閉機構191は、第1実施形態に係る開口部開閉機構191と実質的に同じ構成を有しているので、詳細な説明は省略する。
(1.2:先幕駆動機構292)
続いて、先幕21を駆動するための先幕駆動機構292について説明する。
図25および図26に示すように、先幕駆動機構292は、先幕駆動レバー28と、先幕セットバネ27と、チャージレバー29と、先幕セットレバー24と、先幕走行バネ25と、先幕用電磁石26と、リターンロックレバー137と、を有している。
先幕駆動レバー28(先幕駆動部材の一例)は、第1先幕位置P11および第2先幕位置P12の間を移動可能に先幕21をシャッタ地板11に連結している。図35(A)に示すように、先幕駆動レバー28は駆動連結ピン28aを有している。図25に示すように、先幕駆動アーム22は連結穴22eを有している。連結穴22eには、駆動連結ピン28aが挿入されている。先幕駆動レバー28は、先幕駆動アーム22と同様に、回転軸22aを中心に回転可能に回転軸22aにより支持されている。先幕駆動アーム22と先幕駆動レバー28とは、回転軸22aを中心に一体回転可能となっている。
先幕セットバネ27(第3弾性部材の一例)は先幕21が開口部11aを覆う方向へ先幕駆動レバー28を付勢している。具体的には図26に示すように、先幕21が第1先幕位置P11から第2先幕位置P12へ移動するように先幕セットバネ27は先幕21に弾性力F12を付与している。先幕セットバネ27の弾性力F12は先幕走行バネ25の弾性力F11よりも小さい。先幕セットバネ27は先幕従動アーム23に引っかけられているので、先幕セットバネ27の弾性力F12は先幕駆動アーム22に作用している。本実施形態では、先幕セットバネ27は、先幕駆動レバー28に時計回りの回転力を与えている。
図35(A)に示すように、先幕駆動レバー28は先幕駆動レバー当接部28bを有している。図36(A)に示すように、先幕セットレバー24は先幕セットレバー当接部24aを有している。図26に示すように、先幕駆動レバー当接部28bは先幕セットレバー当接部24aと当接する。先幕セットレバー24は、先幕駆動レバー28と同様に、回転軸22aを中心に回転可能に回転軸22aにより支持されている。先幕セットレバー24が反時計回りに回転すると、先幕セットレバー当接部24aにより先幕駆動レバー当接部28bが押され、先幕駆動レバー28が反時計回りに回転する。第1先幕位置P11から第2先幕位置P12へ先幕21が移動する際、先幕セットレバー24は、先幕駆動レバー28を介して先幕走行バネ25の弾性力F11を先幕21に伝達する。つまり、チャージ機構194は、先幕走行バネ25に第1付勢力F13を付与する際、先幕セットレバー24を介して先幕走行バネ25に第1付勢力F13を付与する。
また、先幕セットバネ27の弾性力F12により先幕駆動レバー28には時計回りに回転力が付与されている。このため、先幕セットレバー当接部24aと先幕駆動レバー当接部28bとが接触している。先幕セットレバー24はストッパ(図示せず)により反時計回りの回転が図6に示す位置で規制されている。このため、先幕セットレバー24および先幕駆動レバー28が一体となって反時計回りに回転すると、先幕セットレバー24および先幕駆動レバー28が図6に示す位置で停止する。先幕走行バネ25の弾性力F11により先幕セットレバー24および先幕駆動レバー28は図6に示す位置を保つ。つまり、先幕駆動レバー28は先幕セットレバー24を介して先幕走行バネ25の弾性力F11を先幕21に伝達することができる。
一方で、先幕セットレバー24が時計回りに回転しても、先幕セットレバー当接部24aは先幕駆動レバー当接部28bと接触しないので、先幕セットレバー24が時計回りに回転する場合、先幕セットレバー24は先幕駆動レバー28と独立して回転する。したがって、チャージ機構194が先幕走行バネ25に第1付勢力F13を付与する際、先幕セットレバー24は、先幕駆動レバー28を介さずに先幕走行バネ25に第1付勢力F13を付与する。
図26に示すように、先幕走行バネ25(第1弾性部材の一例)は先幕セットレバー24に反時計回りの強い弾性力F11を常に付与している。具体的には、先幕21が第1先幕位置P11から第2先幕位置P12へ移動するように後幕走行バネ35は先幕21に弾性力F11を付与している。先幕走行バネ25の弾性力F11により先幕セットレバー24には反時計回りの回転力が作用している。先幕セットレバー24は先幕走行バネ25の弾性力F11を先幕駆動レバー28に伝達可能に配置されている。したがって、例えば図6に示すように、先幕セットレバー当接部24aと先幕駆動レバー当接部28bとが接触している状態では、先幕走行バネ25の弾性力F11は先幕駆動レバー28に伝達される。つまり、先幕21が第1先幕位置P11に配置されている場合、先幕走行バネ25は先幕駆動レバー28に反時計回りの強い弾性力F11を付与している。先幕走行バネ25の弾性力F11は先幕駆動レバー28を介して先幕駆動アーム22および先幕21にも伝達される。したがって、先幕走行バネ25は先幕21が開口部11aから退避する方向に先幕21を付勢する。
ここで、先幕走行バネ25が先幕駆動レバー28に与える反時計回りの弾性力F11は、先幕セットバネ27が先幕駆動レバー28に与える時計回りの弾性力F12よりも強い。したがって、先幕21に先幕セットバネ27の弾性力F12が作用している状態でも、先幕走行バネ25の弾性力F11により先幕21が開口部11aから退避する方向へ走行させることができる。先幕21が走行する際の力は、先幕走行バネ25の弾性力F11と先幕セットバネ27の弾性力F12との合力に相当する。
さらに、図26に示すように、先幕セットレバー24の端部には先幕吸着片24bが固定されている。先幕吸着片24bは先幕用電磁石26に吸着可能に配置されている。先幕用電磁石26に電力が供給されると、先幕用電磁石26が磁力を発生する。このため、先幕吸着片24bが後幕用電磁石36の近くに配置されている状態で先幕用電磁石26に電力が供給されると、先幕吸着片24bは先幕用電磁石26の磁力により先幕用電磁石26に吸着される。先幕吸着片24bと先幕用電磁石26との間の吸着力は、先幕走行バネ25の弾性力F11に対抗できるだけの十分な大きさを有している。したがって、先幕吸着片24bが先幕用電磁石26に吸着されている状態では、先幕走行バネ25の弾性力F11が先幕セットレバー24に作用していても、先幕セットレバー24の位置が図9に示すチャージ位置に保たれる。
図36(A)に示すように、先幕セットレバー24は先幕セットレバーローラー24cを回転可能に支持している。図37(A)および(B)に示すように、チャージレバー29は先幕セットカム229b(先幕カム部の一例)を有している。図26に示すように、先幕セットレバーローラー24cは先幕セットカム229bと当接可能に配置されている。
ここで、このフォーカルプレーンシャッタ装置290では、先幕21が開口部11aから退避している状態を先幕ロックレバー253により保持される。具体的には、先幕ロックレバー253は、先幕21が第2先幕位置P12から第1先幕位置P11へ移動する際に先幕駆動レバー28の移動を規制可能に設けられており、シャッタ地板11により回転可能に支持されている。先幕ロックバネ255(先幕ロック弾性部材の一例)は、先幕ロックレバー253が先幕駆動レバー28の移動を規制した状態を保つように先幕ロックレバー253に弾性力を付与しており、先幕ロックレバー253に反時計回りの回転力を付与している。先幕ロックレバー253は先幕ロック爪253bを有している。先幕21が第2先幕位置P12に配置されている状態で、先幕ロック爪253bは先幕駆動レバー28の先幕ロック部228eに引っかかっている。先幕ロック部228eは段差を有しており、この段差に先幕ロック爪253bは引っかかる。
さらに、このフォーカルプレーンシャッタ装置290では、先幕ロックレバー253による先幕21のロックを解除することもできる。具体的には図35(A)に示すように、先幕ロックレバー253はロック解除爪253cを有している。先幕ロックレバー253はチャージレバー229の先幕ロック解除部229yと接触可能に配置されている。チャージレバー229が反時計回りに回転すると、ロック解除爪253cに先幕ロック解除部229yが接触し、先幕ロックバネ255の弾性力に逆らうようにチャージレバー29を介して先幕ロックレバー253がモータ46により駆動される。この結果、先幕ロックレバー253が時計回りに回転して、先幕ロック爪253bが先幕駆動レバー28の先幕ロック部228eから外れる。先幕ロック爪253bが先幕ロック部228eから外れると、先幕セットバネ27の弾性力F12により先幕駆動レバー28が時計回りに回転し、先幕21が第2先幕位置P12から第1先幕位置P11に走行する。
このように、先幕21を第2先幕位置P12で機械的に保持することができ、さらに、チャージレバー229を用いて先幕21のロックを解除することができる。
また、このフォーカルプレーンシャッタ装置290では、チャージレバー229の回転を規制することができる。具体的には、先幕駆動レバー28はリターンロック解除突起228cを有している。リターンロック解除突起228cはリターンロックレバー237の被駆動突起237bと接触可能に配置されている。より詳細には、先幕21が第2先幕位置P12から第1先幕位置P11へ走行する際に、リターンロック解除突起228cは被駆動突起237bと接触する。リターンロック解除突起228cにより被駆動突起237bが押されると、リターンロックレバー237が反時計回りに回転する(図38(A)および(B)参照)。
図26に示すように、リターンロックレバー237は軸237aを介してシャッタ地板11により回転可能に支持されている。リターンロックバネ254はリターンロックレバー237に時計回りの回転力を付与している。図37(A)および(B)に示すように、リターンロックレバー237はロック爪237cを有している。ロック爪237cはチャージレバー229の時計回りの回転を規制する。ロック爪237cはチャージレバー229の反転防止部229xに引っかかるようになっている。図30に示す状態では、リターンロックバネ254の弾性力によりロック爪237cは反転防止部229xに嵌りこんでいる(図30および図38(A)参照)。この状態でリターンロック解除突起228cにより被駆動突起237bが押されると、リターンロックレバー237が反時計回りに回転し、ロック爪237cが反転防止部229xから外れる(図32および図38(B)参照)。これにより、チャージレバー229が時計回りに回転可能となる。
一方、図26および図28に示す状態では、リターンロックレバー237はチャージレバー229の外周面に当接しているだけであるため、リターンロックレバー237によるチャージレバー229の回転規制は行われない。
(1.3:後幕駆動機構293)
続いて、後幕31を駆動するための後幕駆動機構293について説明する。
図25および図26に示すように、後幕駆動機構293は、後幕駆動レバー39と、後幕セットレバー34と、後幕走行バネ35と、後幕ロックレバー52と、を有している。
後幕駆動レバー39は、第1後幕位置P21および第2後幕位置P22の間を移動可能にシャッタ地板11に後幕31を連結している。図35(B)に示すように、後幕駆動レバー39は後幕駆動レバー連結ピン39aを有している。図25に示すように、後幕駆動アーム32は後幕駆動アーム連結穴32eを有している。後幕駆動アーム連結穴32eには後幕駆動レバー連結ピン39aが挿入されている。後幕駆動レバー39および後幕駆動アーム32は、回転軸32aを中心に回転可能に回転軸32aにより支持されている。後幕駆動アーム32と後幕駆動レバー39とは、回転軸32aを中心に一体的に回転可能となっている。
後幕セットバネ54は後幕31が開口部11aから退避する方向へ後幕駆動レバー39を付勢している。具体的には図26に示すように、後幕31が第1後幕位置P21から第2後幕位置P22へ移動するように後幕セットバネ54は後幕31に弾性力F22を付与している。後幕セットバネ54の弾性力F22は後幕走行バネ35の弾性力F21よりも小さい。後幕セットバネ54の弾性力F22は後幕駆動アーム32および後幕従動アーム33へ伝達されている。この結果、後幕セットバネ54は後幕駆動レバー39に時計回りの弾性力F22を与えている。
図35(B)に示すように、後幕駆動レバー39は後幕駆動レバー当接部39bを有している。図36(B)に示すように、後幕セットレバー34は後幕セットレバー当接部34aを有している。図26に示すように、後幕駆動レバー当接部39bは後幕セットレバー当接部34aと当接する。後幕セットレバー34は、後幕駆動レバー39と同様に、回転軸32aを中心に回転可能に回転軸32aにより支持されている。後幕セットレバー34が反時計回りに回転すると、後幕セットレバー当接部34aにより後幕駆動レバー当接部39bを押され、後幕駆動レバー39が反時計回りに回転する。第1後幕位置P21から第2後幕位置P22へ後幕31が移動する際、後幕セットレバー34は、後幕駆動レバー39を介して後幕走行バネ35の弾性力F21を後幕31に伝達する。つまり、チャージ機構194は、後幕走行バネ35に第2付勢力F23を付与する際、後幕セットレバー34を介して後幕走行バネ35に第2付勢力F23を付与する。
また、後幕セットバネ54の弾性力F22により後幕駆動レバー39には時計回りに回転力が付与されている。このため、後幕セットレバー当接部34aと後幕駆動レバー当接部39bとが接触している。後幕セットレバー34はストッパ(図示せず)により反時計回りの回転が図26に示す位置で規制されている。このため、後幕セットレバー34および後幕駆動レバー39が一体となって反時計回りに回転すると、後幕セットレバー34および後幕駆動レバー39が図26に示す位置で停止する。後幕走行バネ35の弾性力F21により後幕セットレバー34および後幕駆動レバー39は図26に示す位置を保つ。つまり、後幕駆動レバー39は後幕セットレバー34を介して後幕走行バネ35の弾性力F21を後幕31に伝達することができる。
一方で、後幕セットレバー34が時計回りに回転しても、後幕セットレバー当接部34aは後幕駆動レバー当接部39bと接触しないので、後幕セットレバー34が時計回りに回転する場合は後幕セットレバー34が後幕駆動レバー39と独立して回転する。したがって、チャージ機構194が後幕走行バネ35に第2付勢力F23を付与する際、後幕セットレバー34は、後幕駆動レバー39を介さずに後幕走行バネ35に第2付勢力F23を付与する。
図35(B)に示すように、後幕駆動レバー39は、さらに後幕ロック部39cを有している。後幕ロックレバー52はロック爪52bを有している。後幕31が開口部11aを覆った状態で、後幕ロック部39cはロック爪52bに引っかかっている。後幕ロックレバー52は回転軸52aを中心に回転可能に回転軸52aにより支持されている。回転軸52aは、シャッタ地板11に固定されている。後幕ロックレバー52には後幕ロックバネ53により反時計回りの回転力が付与されている。したがって、後幕ロック部39cがロック爪52bに引っかかっている状態が後幕ロックバネ53の弾性力により保持される。
図26に示すように、後幕走行バネ35(第2弾性部材の一例)は、後幕31が開口部11aを覆う方向へ後幕31を付勢している。具体的には、後幕31が第2後幕位置P22から第1後幕位置P21へ移動するように後幕走行バネ35は後幕駆動アーム32を介して後幕31に弾性力F21を付与している。後幕走行バネ35の弾性力F21により後幕セットレバー34には反時計回りの強い回転力が作用している。後幕セットレバー34は後幕走行バネ35の弾性力F21を後幕駆動レバー39に伝達可能に配置されている。したがって、例えば図6に示すように、後幕セットレバー当接部34aが後幕駆動レバー当接部39bと接触している状態では、後幕走行バネ35の弾性力F21は後幕セットレバー34を介して後幕駆動レバー39に伝達される。つまり、後幕31が第2後幕位置P22に配置されている場合、後幕走行バネ35は後幕駆動レバー39に反時計回りの強い弾性力F21を付与している。後幕走行バネ35の弾性力F21は後幕駆動レバー39を介して後幕駆動アーム32および後幕31に伝達される。したがって、後幕走行バネ35は後幕31が開口部11aを覆う方向に後幕31を付勢する。
ここで、後幕走行バネ35が後幕駆動レバー39に与える反時計回りの弾性力F21は、後幕セットバネ54が後幕駆動レバー39に与える時計回りの弾性力F22よりも強い。したがって、後幕31に後幕セットバネ54の弾性力F22が作用している状態でも、後幕走行バネ35の弾性力F21により後幕31が開口部11aを覆う方向へ走行させることができる。後幕31が走行する際の力は、後幕走行バネ35の弾性力F21と後幕セットバネ54の弾性力F22との合力に相当する。
さらに、図26に示すように、後幕セットレバー34の端部には後幕吸着片34bが固定されている。後幕吸着片34bは後幕用電磁石36へ吸着可能に配置されている。後幕用電磁石36に電力が供給されると、後幕用電磁石36が磁力を発生する。このため、後幕吸着片34bが後幕用電磁石36の近くに配置されている状態で後幕用電磁石36に電力が供給されると、後幕吸着片34bは後幕用電磁石36の磁力により後幕用電磁石36に吸着される。後幕吸着片34bと後幕用電磁石36との間の吸着力は、後幕走行バネ35の弾性力F21に対抗できるだけの十分な大きさを有している。したがって、後幕吸着片34bが後幕用電磁石36に吸着されている状態では、後幕走行バネ35の弾性力F21が後幕セットレバー34に作用していても、後幕セットレバー34の位置が図9に示すチャージ位置に保たれる。
図36(B)に示すように、後幕セットレバー34は後幕セットレバーローラー34cを回転可能に支持している。図37(A)および(B)に示すように、チャージレバー29は後幕セットカム229c(後幕カム部の一例)を有している。図26に示すように、後幕セットレバーローラー34cは後幕セットカム29cと当接可能に配置されている。
(1.4:チャージ機構294)
続いて、チャージ機構294について説明する。
チャージ機構294(チャージ機構の一例)は、先幕走行バネ25の弾性力F11に逆らう第1付勢力F13および後幕走行バネ35の弾性力F21に逆らう第2付勢力F23を先幕走行バネ25および後幕走行バネ35に付与可能に設けられている。具体的には図26に示すように、チャージ機構294は、チャージレバー229と、欠歯ギヤ部229eと、チャージレバー復帰バネ30と、欠歯ギヤ40と、遊星ギヤ41と、遊星キャリア42と、太陽ギヤ43と、ウォームギヤ44と、チャージレバー検知スイッチ48と、を有している。
モータ46(アクチュエータの一例)は、先幕走行バネ25へ付与される第1付勢力F13および後幕走行バネ35へ付与される第2付勢力F23を発生する。具体的には、モータ46は、先幕走行バネ25への第1付勢力F13の付与が完了する先幕チャージ完了位置と、先幕チャージ完了位置と異なる位置であって後幕走行バネ35への第2付勢力F23の付与が完了する後幕チャージ完了位置と、へチャージレバー229を駆動可能である。さらに、モータ46は、先幕走行バネ25への第1付勢力F13の付与が開始される先幕チャージ開始位置と、先幕チャージ開始位置と同じまたは異なる位置であって後幕走行バネ35への第2付勢力F23の付与が開始される後幕チャージ開始位置と、へチャージレバー229を駆動可能である。
後幕チャージ完了位置は、後幕チャージ開始位置と先幕チャージ完了位置との間に配置されている。モータ46は、先幕チャージ完了位置に対して先幕チャージ開始位置と反対側の開放位置へチャージレバー229を駆動可能である。さらに、モータ46は、先幕チャージ完了位置に対して先幕チャージ開始位置と反対側の規制位置へチャージレバー229を駆動可能である。
チャージレバー229(チャージ部材の一例)は、先幕セットレバー24を介して先幕走行バネ25に第1付勢力F13を伝達可能に配置されており、後幕セットレバー34を介して後幕走行バネ35に第2付勢力F23を伝達可能に配置されている。具体的には図37(A)および(B)に示すように、チャージレバー229は、先幕駆動レバー28、先幕セットレバー24および後幕セットレバー34を駆動するために設けられており、回転軸29aと、先幕セットカム229bと、後幕セットカム229cと、を有している。チャージレバー229は回転軸29aを中心にシャッタ地板11に対して回転可能に設けられている。
図26に示すように、先幕セットカム229b(先幕カム部の一例)は、先幕セットレバー24と当接可能に配置されており、先幕セットレバー24を時計回りに回転駆動する。より詳細には、先幕セットカム229bは先幕セットレバー24の先幕セットレバーローラー24cと当接可能に配置されている。先幕セットカム229bが先幕セットレバーローラー24cと当接した状態でチャージレバー229が反時計回りに回転すると、先幕走行バネ25の弾性力F11に逆らいながら先幕セットレバー24が時計回りに回転し、先幕吸着片24bと先幕用電磁石26とが接触する。このように、先幕21を走行させるための弾性力をチャージレバー229により先幕走行バネ25にチャージすることができる。チャージレバー229が先幕チャージ完了位置にある場合に、先幕セットカム229bは、先幕セットレバー24と当接している。
また、後幕セットカム229cは、後幕セットレバー34と当接可能に配置されており、後幕セットレバー34を時計回りに回転駆動する。後幕セットカム229cは後幕セットレバー34の後幕セットレバーローラー34cと当接可能に配置されている。後幕セットカム229cが後幕セットレバーローラー34cと当接した状態でチャージレバー229が反時計回りに回転すると、後幕走行バネ35の弾性力F21に逆らいながら後幕セットレバー34が時計回りに回転し、後幕吸着片34bと後幕用電磁石36とが接触する。このように、後幕31を走行させるための付勢力をチャージレバー229により後幕走行バネ35にチャージすることができる。図28に示すように、チャージレバー229が後幕チャージ完了位置にある場合に、後幕セットレバーローラー34cは後幕セットカム229cと当接しており、後幕セットレバー34は後幕セットカム229cにより図28に示す位置に保持されている。
ここで、先幕吸着片24bと先幕用電磁石26とが吸着可能な位置にある状態を先幕21のチャージ完了状態とも言う。また、後幕吸着片34bと後幕用電磁石36とが吸着可能な位置にある状態を後幕31のチャージ完了状態とも言う。先幕21をチャージ完了状態にすることを、先幕21をチャージするとも言う。さらに、後幕31をチャージ完了状態にすることを、後幕31をチャージするとも言う。
チャージレバー229は先幕21のロックおよび後幕31のロックを解除することができる。具体的には図38(A)および(B)に示すように、チャージレバー229は、先幕ロック解除部229y(先幕ロック解除部の一例)と、後幕ロック解除部229h(後幕ロック解除部の一例)と、を有している。
先幕ロック解除部229yは、先幕ロックレバー253による先幕駆動レバー28の規制を解除するために設けられており、先幕ロックレバー253のロック解除爪253cと接触可能に配置されている。チャージレバー229が反時計回りに回転すると、先幕ロック解除部229yがロック解除爪253cと接触し、先幕ロックバネ255の弾性力に逆らって先幕ロックレバー253はモータ46により時計回りに駆動される。この結果、先幕ロック爪253bが先幕駆動レバー28の先幕ロック部228eから外れる。先幕ロック爪253bが先幕ロック部228eから外れると、先幕セットバネ27の弾性力F12により先幕駆動レバー28が時計回りに回転し、先幕21が第2先幕位置P12から第1先幕位置P11に走行する。
後幕ロック解除部229hは後幕ロックレバー52のロック解除爪52cと接触可能に配置されている。チャージレバー229が反時計回りに回転すると、後幕ロック解除部229hがロック解除爪52cを押す。この結果、後幕ロックレバー52が後幕ロックバネ53の弾性力に逆らって時計方向に回転して、ロック爪52bが後幕ロック部39cから外れる。ロック爪52bが後幕ロック部39cから外れると、後幕セットバネ54の弾性力F22により後幕駆動レバー39が時計回りに回転し、後幕31が第1後幕位置P21から第2後幕位置P22に走行する。
欠歯ギヤ部229eはチャージレバー229と一体回転可能に設けられている。チャージレバー229と欠歯ギヤ部229eとは、回転軸29aにより回転可能に支持されている。チャージレバー229は、チャージレバー復帰バネ30により時計回りへ付勢されている。チャージレバー復帰バネ30は、チャージレバー229が第1付勢力F13および第2付勢力F23の付与を開始する前の原点位置に戻るようにチャージレバー229に弾性力F22を付与する。シャッタ地板11に設けられたストッパ11bは、チャージレバー229と当接し、チャージレバー229がチャージレバー復帰バネ30により回転するのを規制する。チャージレバー229にチャージレバー復帰バネ30の付勢力以外の力が働いていない状態では、チャージレバー229はストッパ11bと当接した位置に保持される。
欠歯ギヤ部229eは、欠歯ギヤ40と噛み合い可能である。欠歯ギヤ40はシャッタ地板11により回転可能に支持されている。欠歯ギヤ40は、段ギヤで構成されており、全周歯を有するギヤ部40aを有している。ギヤ部40aは遊星ギヤ41と噛み合い可能である。
遊星ギヤ41は遊星キャリア42により回転可能に支持されている。遊星キャリア42は、太陽ギヤ43と同じ軸43bを中心に、シャッタ地板11により回転可能に支持されている。太陽ギヤ43と遊星ギヤ41とは噛み合っている。ここで、太陽ギヤ43に適度な回転負荷を与えることによって、太陽ギヤ43の回転方向に応じて、遊星キャリア42および遊星ギヤ41が軸43bを中心に回転する。遊星ギヤ41が軸43bを中心に回転すると、遊星ギヤ41が噛み合うギヤを欠歯ギヤ40または連結ギヤ47に切り替えることができる。
遊星キャリア42は第1回転規制部42aおよび第2回転規制部42bを有している。第1回転規制部42aおよび第2回転規制部42bは、それぞれ、シャッタ地板11に設けられた第1ストッパ11cおよび第2ストッパ11dに当接する。これにより、シャッタ地板11に対する遊星キャリア42の回転が所定の範囲内に規制されている。
太陽ギヤ43は、段ギヤで構成されており、ウォームギヤ44と噛み合うウォームホイール43aを有している。ウォームギヤ44はモータ46の回転軸46aに固定されている。ウォームギヤ44はエンコーダ羽根44aを有している。エンコーダ羽根44aがフォトインタラプタ45の光を遮断することによってモータ46の回転量(駆動量)や速度を測定することが可能である。
チャージレバー検知スイッチ48は、シャッタ地板11に固定されており、チャージレバー229の回転位置を検出する。より詳細には、チャージレバー検知スイッチ48はチャージレバー229が近接しているか否かを検出する。
(2:スリット露光撮影の動作)
次に、スリット露光撮影の動作について説明する。図39に示すフローチャートは、スリット露光撮影のフローチャートである。図40に示すタイムチャートは、スリット露光撮影の動作のタイミングを示すタイムチャートである。
(2.1:走行完了状態)
図25は、フォーカルプレーンシャッタ装置290の撮影終了状態、つまり、先幕21および後幕31の走行が完了した状態を示す。図26は、図25の要部拡大図である。
図25に示す走行完了状態では、先幕走行バネ25の弾性力F11により先幕21が開口部11aよりも上側に退避している。先幕21が第2先幕位置P12に配置されている状態では、先幕セットレバー24と先幕駆動レバー28とは、先幕セットバネ27の弾性力F12と先幕走行バネ25の弾性力F11とによって、先幕セットレバー当接部24aが先幕駆動レバー当接部28bに当接している。また、後幕走行バネ35の弾性力F21により後幕31が開口部11aを覆った状態が維持されている。後幕走行バネ35の弾性力F21により後幕セットレバー当接部34aが後幕駆動レバー当接部39bに当接した状態で、後幕セットレバー34は反時計回りに回転した状態を保持している。
(2.2:チャージ動作)
図27は、先幕21及び後幕31のチャージが完了した状態を示している。図25に示す走行完了状態でモータ46へ通電が行われ、モータ46によって太陽ギヤ43が時計回りに回転される(ステップS41)。すると、遊星キャリア42が回転負荷によって時計回りに回転し、第2回転規制部42bが第2ストッパ11dに当接する。
その後、遊星ギヤ41は、反時計回りに回転し、さらに欠歯ギヤ40を時計回りに回転させる。欠歯ギヤ40に設けた欠歯ギヤ部40bは、チャージレバー229の欠歯ギヤ部29eと噛み合い、欠歯ギヤ部29eを反時計回りに回転させる。欠歯ギヤ部29eと一体的に設けられたチャージレバー229は、チャージレバー復帰バネ30の弾性力F22に逆らって反時計回りに回転する。
ここで、モータ46の通電と同時に、チャージレバー検知スイッチ48によりチャージレバー229が近接しているか否かの検出が開始される(ステップS42)。チャージレバー229の回転が進みチャージレバー検知スイッチ48によりチャージレバー229が検出されると、フォトインタラプタ45およびエンコーダ羽根44aを用いてモータ46の駆動量の検出が開始される(ステップS43)。
図25および図26に示す状態でチャージレバー229が反時計回りに回転すると、後幕セットカム29cにより後幕セットレバーローラー34cが押圧され、後幕セットレバー34は時計回りに回転する。後幕セットレバー34が時計回りに回転すると、後幕31が第1後幕位置P21から第2後幕位置P22へ向かって移動し、後幕31が開口部11aから退避する。後幕セットレバーローラー34cが後幕セットカム29cの外周面29gに達すると、後幕31が第2後幕位置P22に到達し、後幕吸着片34bが後幕用電磁石36へ押し付けられる(図27および図28参照)。後幕セットカム29cの外周面29gにより後幕セットレバー34の位置が保持されるので、後幕走行バネ35の弾性力F21がチャージレバー229に回転力として作用しない。
同様に、チャージレバー229が反時計回りに回転すると、先幕セットカム29bにより先幕セットレバーローラー24cが押圧され、先幕セットレバー24は時計回り回転する。先幕セットレバーローラー24cが先幕セットカム29bの外周面29fに達すると、先幕吸着片24bが先幕用電磁石26へ押し付けられる。先幕セットカム29bの外周面29fにより先幕セットレバー24の位置が保持されるので、先幕走行バネ25の弾性力F11がチャージレバー229に回転力として作用しない。
後幕セットレバー34が時計回りに回転するとき、後幕セットバネ54の弾性力F12によって後幕駆動レバー39も後幕セットレバー34とともに時計回りに回転しようとする。
しかし、後幕ロック部39cに後幕ロックレバー52のロック爪52bが引っかかっているので、後幕駆動レバー39の時計回りの回転が規制される。したがって、後幕セットレバー34はチャージレバー229に押されて時計回りに回転するが、後幕駆動レバー39は時計回りに回転しない。これにより、上述のチャージ動作中、後幕31が第2後幕位置P22で保持され、後幕31が開口部11aを遮蔽した状態が維持される。
上述のチャージ動作中、後幕31が開口部11aを遮蔽した状態が維持されるので、CMOSイメージセンサー110からの画像データの読み出しと後幕31のチャージとを並行して行うことが可能である。なお、本実施形態では、後幕31のチャージ動作が完了するまで、後幕31が開口部11aを遮蔽した状態が維持される。
モータ46の駆動量が所定値に達すると、モータ46の駆動が停止される(ステップS44)。このとき、チャージレバー229は図27および図28に示す位置で停止する。チャージレバー229が図27および図28に示す位置で停止するので、チャージ動作後も、先幕21が第2先幕位置P12でロックされている状態および後幕31が第2後幕位置P22でロックされている状態が維持される。
CMOSイメージセンサー110からの画像データの読み出しが完了すると、モータ46によるチャージレバー229の駆動が再び開始され、チャージレバー229がさらに反時計回りに回転する(ステップS45、S46)。図27に示す位置からチャージレバー229が反時計回りに回転すると、チャージレバー229の後幕ロック解除部29hが後幕ロックレバー52のロック解除爪52cと接触する。後幕ロック解除部29hによりロック解除爪52cが押されると、後幕ロックバネ53の弾性力に逆らって後幕ロックレバー52は時計回りに回転する。この結果、ロック爪52bが後幕ロック部39cから外れて、後幕駆動レバー39のロックが解除される。図29および図30に示すように、後幕駆動レバー39のロックが解除されると、後幕セットバネ54の弾性力により、後幕31が第1後幕位置P21から第2後幕位置P22へ移動し、後幕31が開口部11aから退避した状態が維持される。モータ46の駆動量が所定値に達すると、モータ46によるチャージレバー229の駆動が停止する(ステップS47、S48)。こうして、フォーカルプレーンシャッタ装置290は図29および図30に示す状態となる。
一方、図29に示す位置では、チャージレバー229の先幕ロック解除部229yが先幕ロックレバー253のロック解除爪253cと接触していない。したがって、先幕ロックレバー253による先幕21のロックは継続され、先幕21が開口部11aから退避した状態が維持される。
図29に示す状態では、被写体からの光がCMOSイメージセンサー110に導かれる。この状態は、CMOSイメージセンサー110を露光した状態を維持したいときに特に有効である。たとえば、カメラ本体100によってライブビュー機能による被写体観察やフレーミングを行ったり、動画撮影を行ったりする際に特に有効である。
このように、フォーカルプレーンシャッタ装置290は、チャージ動作中およびチャージ動作後において、開口部11aの開放状態を機械的に維持可能である。つまり、フォーカルプレーンシャッタ装置290は、いわゆるノーマリーオープンの機能を有している。
(2.3:モータの反転)
図29に示す状態で、モータ46を反転させると、太陽ギヤ43が反時計回りに回転し、それに伴い遊星キャリア42が軸43bを中心に反時計回りに回転する。この結果、遊星キャリア42の第1回転規制部42aが第1ストッパ11cと当接する。第1回転規制部42aが第1ストッパ11cと当接している位置では、遊星ギヤ41が欠歯ギヤ40ではなく連結ギヤ47と噛み合うので、太陽ギヤ43の回転が遊星ギヤ41を介して連結ギヤ47に伝達される。連結ギヤ47を他の駆動部材に連結することで、連結ギヤ47の回転を利用して他の駆動部材を駆動することも可能である。他の駆動部材としては、例えばフラッシュのポップアップが挙げられる。
遊星ギヤ41と欠歯ギヤ40とが噛み合っているときは、ウォームギヤ44のセルフロック機能によって太陽ギヤ43および遊星ギヤ41が回転せず、遊星ギヤ41と噛み合っている欠歯ギヤ40も回転しない。したがって、欠歯ギヤ40が欠歯ギヤ部29eと噛み合っていれば、チャージレバー29は回転しない。
しかし、遊星ギヤ41が軸43bを中心に反時計回りに回転すると、遊星ギヤ41と欠歯ギヤ40との噛み合いが外れる。したがって、ウォームギヤ44のセルフロック機能が欠歯ギヤ40およびチャージレバー29に働かず、チャージレバー復帰バネ30の弾性力F22によりチャージレバー29が時計回りに回転してしまう。チャージレバー29が時計回りに回転すると、先幕セットレバー24および後幕セットレバー34も時計回りに回転し、先幕21および後幕31のチャージも解除されてしまう。
そこで、図29および図30に示すように、チャージレバー229の反転防止部229xにリターンロックレバー237のロック爪237cが引っかかっている。これにより、チャージレバー229の時計回りの回転を規制することができ、チャージ完了状態を維持しつつ、モータ46の逆回転を他の部材の駆動などに自由に利用することが可能となる。
(2.4:スリット露光待機状態)
図29に示す状態でユーザーによりレリーズ釦131が操作されると、カメラコントローラー140により測光等の必要な撮影情報が取得される。撮影情報の取得完了後、レリーズ動作が開始される。
具体的には、先幕21および後幕31のチャージ完了状態を維持するために、図39に示すように、レリーズ釦131が押されると、モータ46が駆動される前あるいはモータ46が駆動されるのと同時に、先幕用電磁石26および後幕用電磁石36に給電が開始される(ステップS49、S50)。この結果、先幕吸着片24bが先幕用電磁石26に吸着され、後幕吸着片34bが後幕用電磁石36に吸着される。したがって、先幕セットレバー24および後幕セットレバー34が反時計回りに回転可能になっても、先幕セットレバー24および後幕セットレバー34はチャージ位置に保持される。
先幕用電磁石26および後幕用電磁石36に給電が開始された後、カメラコントローラー140によりモータ46が所定の駆動量だけ駆動される(ステップS50、S51、S52)。具体的には、モータ46により太陽ギヤ43が時計回りに回転駆動されると、チャージレバー29が反時計回りに回転する。チャージレバー229が反時計回りに回転すると、先幕ロック解除部229yが先幕ロックレバー253のロック解除爪253cと接触する。先幕ロック解除部229yによりロック解除爪253cが押されると、先幕ロックレバー253が先幕ロックバネ255の弾性力に逆らって時計回りに回転する。この結果、先幕ロック爪253bが先幕ロック部228eから外れて、先幕駆動レバー28のロックが解除される。先幕駆動レバー28のロックが解除されると、先幕セットバネ27の弾性力F12により先幕21が第2先幕位置P12から第1先幕位置P11へ移動し、図31に示すように、先幕21により開口部11aが覆われる。
さらに、モータ46によりチャージレバー229が反時計回りに回転駆動されると、欠歯ギヤ40と欠歯ギヤ部29eとの噛み合いが外れ、チャージレバー復帰バネ30の弾性力によりチャージレバー229が時計回りに回転する。この結果、図31に示すように、先幕セットレバーローラー24cと先幕セットカム29bとの当接が解除され、後幕セットレバーローラー34cと後幕セットカム29cとの当接が解除される。
しかし、欠歯ギヤ40とチャージレバー229の欠歯ギヤ部29eとの噛み合いが外れる前に、先幕用電磁石26および後幕用電磁石36に給電が開始されているので、先幕セットレバー24および後幕セットレバー34はチャージ状態を維持することができる。
(2.5:スリット露光)
その後、カメラコントローラー140からのレリーズ指令に基づいて先幕用電磁石26への給電が停止される(ステップS53)。すると、先幕セットレバー24が先幕走行バネ25の弾性力F11により反時計回りに回転する。このとき、先幕駆動レバー当接部28bが先幕セットレバー当接部24aに押されるので、先幕駆動レバー28は先幕セットレバー24と反時計回りに一体回転し、先幕21が第1先幕位置P11から第2先幕位置P12へ走行する。この結果、開口部11aを通ってCMOSイメージセンサー110に光が入射し、CMOSイメージセンサー110の露光が開始される。
その一方で、先幕用電磁石26の給電停止から予め設定された露光時間が経過した後に、後幕用電磁石36の給電が停止される(ステップS54、S55)。露光時間はカメラコントローラー140により露出情報等に基づいて設定される。後幕用電磁石36への給電が停止されると、後幕走行バネ35の弾性力F21により後幕セットレバー34が反時計回りに回転し、後幕31が第2後幕位置P22から第1後幕位置P21へ走行する。この結果、後幕31により開口部11aの下方から順に開口部11aが遮蔽される。このとき、先幕21と後幕31との間にはスリットが形成され、このスリットが開口部11aの下側から上側へ移動する。このため、CMOSイメージセンサー110はこのスリットを通って入射する光によって露光される。このようなスリットによる露光動作をスリット露光撮影という。先幕21および後幕31の走行が完了すると、フォーカルプレーンシャッタ装置290の状態は図25に示す状態となる。チャージ動作が行われと、フォーカルプレーンシャッタ装置290の状態は図27に示す状態となり、次の撮影に備える。
このように、チャージと読み出しとを並行して行うことで、次の撮影への準備時間を短くすることが出来る。これにより、例えば、連続撮影の間隔を小さくすることができ、高速な連写が可能になる。
なお、後幕31の走行が完了したとき、図25に示すように、後幕ロックレバー52のロック爪52bが後幕ロック部39cに引っかかり、後幕ロックレバー52により後幕31が再びロックされる。
<その他の実施形態>
本発明は、前述の実施形態に限られず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の修正および変更が可能である。
(1)前述の実施形態では,カメラ本体100とレンズユニット200が分離可能な交換レンズ式デジタルカメラを示しているが、レンズユニットがカメラ本体に固定され、フォーカルプレーンシャッタ装置によって露出制御されるデジタルカメラであっても同様の効果をもたらすことが出来る。
(2)前述の実施形態では、駆動ユニット199および299を例に駆動ユニットについて説明しているが、駆動ユニットは前述の構成に限定されない。駆動ユニットが、先幕走行バネ25に第1付勢力F13を付与する際に先幕21を第2先幕位置P12に保持し、かつ、後幕走行バネ35に第2付勢力F23を付与する際に後幕31を第1後幕位置P21に保持する構成を有していればよい。
(3)前述の実施形態では、駆動ユニット199および299は、後幕走行バネ35への第2付勢力F23の付与が完了している状態で、後幕31を第1後幕位置P21に保持している。しかし、駆動ユニットが、後幕走行バネ35への第2付勢力F23の付与が完了する前に後幕31の保持が解除されてもよい。
(4)前述の実施形態では、駆動ユニット199および299は、先幕走行バネ25への第1付勢力F13の付与が完了している状態で、先幕21を第2先幕位置P12に保持している。しかし、駆動ユニットが、先幕走行バネ25への第1付勢力F13の付与が完了する前に先幕21の保持が解除されてもよい。
(5)前述の実施形態では、駆動ユニット199および299は、後幕31が第1後幕位置P21から第2後幕位置P22へ移動する際に後幕駆動レバー39の移動を規制可能に設けられた後幕ロックレバー52を有している。しかし、後幕31の移動を規制する構成は前述の構成に限定されない。例えば、後幕31が第2後幕位置P22へ移動するのをチャージレバー29により規制してもよい。
(6)前述の実施形態では、後幕ロックレバー52による後幕駆動レバー39の規制がチャージレバー29および229により解除されている。しかし、後幕ロックレバー52による後幕駆動レバー39の規制を他の部材により解除してもよい。
(7)前述の第1実施形態では、チャージレバー29が先幕駆動レバー28を介して先幕21を第2先幕位置P12で保持しているが、第2実施形態のように他の部材により先幕21を第2先幕位置P12で保持してもよい。
(8)前述の実施形態では、チャージ機構194が後幕走行バネ35のチャージを完了するタイミングは、チャージ機構194が先幕走行バネ25のチャージを完了するタイミングよりも早くなっている。しかし、チャージ機構194が後幕走行バネ35のチャージを完了するタイミングが、チャージ機構194が先幕走行バネ25のチャージを完了するタイミングが同じでもよい。また、チャージ機構194が先幕走行バネ25のチャージを完了するタイミングが、チャージ機構194が後幕走行バネ35のチャージを完了するタイミングよりも早くてもよい。
(9)前述の実施形態では、チャージ機構194が先幕走行バネ25のチャージを開始するタイミングが、チャージ機構194が後幕走行バネ35のチャージを開始するタイミングよりも早い。しかし、チャージ機構194が先幕走行バネ25のチャージを開始するタイミングが、チャージ機構194が後幕走行バネ35のチャージを開始するタイミングと同じであってもよく、チャージ機構194が後幕走行バネ35のチャージを開始するタイミングが、チャージ機構194が先幕走行バネ25のチャージを開始するタイミングよりも早くてもよい。
(10)前述の実施形態では、反転防止部29daおよび爪部28cによりチャージレバー29が原点位置に戻るのが規制されているが、チャージレバー29が反転防止部29daを有していなくてもよい。
<実施形態の特徴>
上記実施形態において特徴的な部分を以下に列記する。なお、上記実施形態に含まれる発明は、以下に限定されるものではない。なお、各構成の後ろに括弧で記載したものは、特徴の理解を助けるために記載した、各構成の具体例である。各構成はこれらの具体例に限定されるものではない。また、各特徴について記載された効果を得るために、記載された特徴以外の構成は変形または削除されてもよい。
(1)第1の特徴に係るフォーカルプレーンシャッタ装置は、
開口部(11a)を有するシャッタ地板(11)と、
前記開口部(11a)を覆う第1先幕位置(P11)と前記開口部(11a)から退避した第2先幕位置(P12)との間を移動可能に配置された先幕(21)と、
前記第1先幕位置(P11)から前記第2先幕位置(P12)へ前記先幕(21)が移動するように前記先幕(21)に弾性力を付与する第1弾性部材(先幕走行バネ25)と、
前記開口部(11a)を覆う第1後幕位置(P21)と前記開口部(11a)から退避した第2後幕位置(P22)との間を移動可能に配置された後幕(31)と、
前記第1後幕位置(P21)から前記第2後幕位置(P22)へ前記後幕(31)が移動するように前記後幕(31)に弾性力を付与する第2弾性部材(後幕走行バネ35)と、
前記第1弾性部材(先幕走行バネ25)の弾性力に逆らう第1付勢力および前記第2弾性部材(後幕走行バネ35)の弾性力に逆らう第2付勢力を前記第1および第2弾性部材(後幕走行バネ35)に付与可能に設けられ、前記第1弾性部材(先幕走行バネ25)に前記第1付勢力を付与する際に前記先幕(21)を前記第2先幕位置(P12)に保持し、前記第2弾性部材(後幕走行バネ35)に前記第2付勢力を付与する際に前記後幕(31)を前記第1後幕位置(P21)に保持する駆動ユニット(199、299)と、を備えている。
このフォーカルプレーンシャッタ装置では、駆動ユニット(199、299)により、第1弾性部材に(先幕走行バネ25)第1付勢力を付与する際に先幕(21)が第2先幕位置(P12)に保持され、第2弾性部材(後幕走行バネ35)に第2付勢力を付与する際に後幕(31)が第1後幕位置(P21)に保持される。このため、先幕(21)と後幕(31)とを用いたスリット露光ができ、先幕(21)と後幕(31)とをチャージする際に先幕(21)を退避しつつ開口部(11a)を遮蔽した状態を維持できる。したがって、例えば、先幕(21)を退避した状態で、先幕(21)と後幕(31)のチャージと並行して撮像素子からの画像データの読み出しを行うことが可能である。
(2)第2の特徴に係るフォーカルプレーンシャッタ装置は、第1の特徴に係るフォーカルプレーンシャッタ装置において、
前記駆動ユニット(199、299)は、前記第2弾性部材(後幕走行バネ35)への前記第2付勢力の付与が完了している状態で、前記後幕(31)を前記第1後幕位置(P21)に保持する。
(3)第3の特徴に係るフォーカルプレーンシャッタ装置は、第1または第2の特徴に係るフォーカルプレーンシャッタ装置において、
前記駆動ユニット(199、299)は、前記第1弾性部材(先幕走行バネ25)への前記第1付勢力の付与が完了している状態で、前記先幕(21)を前記第2先幕位置(P12)に保持する。
(4)第4の特徴に係るフォーカルプレーンシャッタ装置は、第1から第3のいずれかの特徴に係るフォーカルプレーンシャッタ装置において、
前記駆動ユニット(199、299)は、前記第1付勢力および前記第2付勢力を発生するアクチュエータ(モータ46)と、前記第1弾性部材(先幕走行バネ25)に前記第1付勢力を伝達可能に配置され前記第2弾性部材(後幕走行バネ35)に前記第2付勢力を伝達可能に配置されたチャージ部材(チャージレバー29、229)と、を有している。
(5)第5の特徴に係るフォーカルプレーンシャッタ装置は、第4の特徴に係るフォーカルプレーンシャッタ装置において、
前記駆動ユニット(199、299)は、前記第1後幕位置(P21)および前記第2後幕位置(P22)の間を移動可能に前記シャッタ地板(11)に前記後幕(31)を連結する後幕駆動部材(後幕駆動レバー39)と、前記後幕(31)が前記第1後幕位置(P21)から前記第2後幕位置(P22)へ移動する際に前記後幕駆動部材(後幕駆動レバー39)の移動を規制可能に設けられた後幕ロック部材(後幕ロックレバー52)と、を有している。
(6)第6の特徴に係るフォーカルプレーンシャッタ装置は、第5の特徴に係るフォーカルプレーンシャッタ装置において、
前記チャージ部材(チャージレバー29、229)は、前記後幕ロック部材(後幕ロックレバー52)による前記後幕駆動部材(後幕駆動レバー39)の規制を解除する後幕ロック解除部(29h)を有している。
(7)第7の特徴に係るフォーカルプレーンシャッタ装置は、第5または第6の特徴に係るフォーカルプレーンシャッタ装置において、
前記駆動ユニット(199、299)は、前記後幕ロック部材(後幕ロックレバー52)が前記後幕駆動部材(後幕駆動レバー39)の移動を規制した状態を保つように前記後幕ロック部材(後幕ロックレバー52)に弾性力を付与する後幕ロック弾性部材(後幕ロックバネ53)を有しており、
前記アクチュエータ(モータ46)は、前記後幕ロック弾性部材(後幕ロックバネ53)の弾性力に逆らうように前記チャージ部材(チャージレバー29、229)を介して前記後幕ロック部材(後幕ロックレバー52)を駆動可能である。
(8)第8の特徴に係るフォーカルプレーンシャッタ装置は、第5から第7のいずれかの特徴に係るフォーカルプレーンシャッタ装置において、
前記駆動ユニット(199、299)は、前記第2弾性部材(後幕走行バネ35)の弾性力を前記後幕駆動部材(後幕駆動レバー39)に伝達可能に配置された後幕セット部材(後幕セットレバー34)を有しており、
前記後幕セット部材(後幕セットレバー34)は、前記第2付勢力を前記第2弾性部材(後幕走行バネ35)に付与する際に前記チャージ部材(チャージレバー29、229)を介して前記アクチュエータ(モータ46)により駆動される。
(9)第9の特徴に係るフォーカルプレーンシャッタ装置は、第4から第8のいずれかの特徴に係るフォーカルプレーンシャッタ装置において、
前記駆動ユニット(199)は、前記第1先幕位置(P11)および前記第2先幕位置(P12)の間を移動可能に前記シャッタ地板(11)に前記先幕(21)を連結する先幕駆動部材(先幕駆動レバー28)を有しており、
前記チャージ部材(チャージレバー29、229)は、前記先幕駆動部材(先幕駆動レバー28)を介して前記先幕(21)を前記第2先幕位置(P12)で保持する先幕保持部(29d)を有しており、
前記先幕駆動部材(先幕駆動レバー28)は、前記先幕保持部(29d)と当接可能に設けられた当接部を有している。
(10)第10の特徴に係るフォーカルプレーンシャッタ装置は、第9の特徴に係るフォーカルプレーンシャッタ装置において、
前記アクチュエータ(モータ46)は、前記第1弾性部材(先幕走行バネ25)への前記第1付勢力の付与が完了する第1チャージ完了位置と、前記第1チャージ完了位置と異なる位置であって前記第2弾性部材(後幕走行バネ35)への前記第2付勢力の付与が完了する第2チャージ完了位置と、へ前記チャージ部材(チャージレバー29)を駆動可能であり、
前記チャージ部材(チャージレバー29)が前記第1チャージ完了位置にある場合に、前記先幕保持部(29d)は、前記第2先幕位置(P12)から前記第1先幕位置(P11)へ前記先幕(21)が移動する際の前記当接部の移動領域内に入り込んでいる。
(11)第11の特徴に係る撮像装置は、
請求項10に記載のフォーカルプレーンシャッタ装置(190、290)と、
被写体の光学像を画像信号に変換する撮像素子(CMOSイメージセンサー110)と、
前記撮像素子(CMOSイメージセンサー110)と前記フォーカルプレーンシャッタ装置(190、290)とを制御する制御部(カメラコントローラー140)と、を備え、
前記撮像素子(CMOSイメージセンサー110)は、前記先幕(21)の走行方向に順次画素をリセットする電子先幕撮影機能を有し、
前記制御部(カメラコントローラー140)は、前記電子先幕撮影機能を使用して撮影する時、前記第2チャージ完了位置で前記チャージ部材(29、229)が停止するように前記アクチュエータ(モータ46)を制御し、前記駆動ユニット(199、299)が前記第2弾性部材(後幕走行バネ35)への前記第2付勢力の付与を完了し、前記駆動ユニット(199、299)が前記第1弾性部材(先幕走行バネ25)への前記第1付勢力の付与を完了していない時点で、電子先幕撮影待機状態とする。
(12)第12の特徴に係るフォーカルプレーンシャッタ装置は、第4から第8のいずれかの特徴に係るフォーカルプレーンシャッタ装置において、
前記駆動ユニット(299)は、前記第1先幕位置(P11)および前記第2先幕位置(P12)の間を移動可能に前記シャッタ地板(11)に前記先幕(21)を連結する先幕駆動部材(先幕駆動レバー28)と、前記先幕(21)が前記第2先幕位置(P12)から前記第1先幕位置(P11)へ移動する際に前記先幕駆動部材(先幕駆動レバー28)の移動を規制可能に設けられた先幕ロック部材(先幕ロックレバー253)と、を有している。
(13)第13の特徴に係るフォーカルプレーンシャッタ装置は、第12の特徴に係るフォーカルプレーンシャッタ装置において、
前記チャージ部材(チャージレバー229)は、前記先幕ロック部材(先幕ロックレバー253)による前記先幕駆動部材(先幕駆動レバー28)の規制を解除する先幕ロック解除部(29h)を有している。
(14)第14の特徴に係るフォーカルプレーンシャッタ装置は、第12または第13の特徴に係るフォーカルプレーンシャッタ装置において、
前記駆動ユニット(299)は、前記先幕ロック部材(先幕ロックレバー253)が前記先幕駆動部材(先幕駆動レバー28)の移動を規制した状態を保つように前記先幕ロック部材(先幕ロックレバー253)に弾性力を付与する先幕ロック弾性部材(先幕ロックバネ255)を有しており、
前記アクチュエータ(モータ46)は、前記先幕ロック弾性部材(先幕ロックバネ255)の弾性力に逆らうように前記チャージ部材(チャージレバー29、229)を介して前記先幕ロック部材(先幕ロックレバー253)を駆動可能である。
(15)第15の特徴に係るフォーカルプレーンシャッタ装置は、第12から第14のいずれかの特徴に係るフォーカルプレーンシャッタ装置において、
前記駆動ユニット(299)は、前記第1弾性部材(先幕走行バネ25)の弾性力を前記先幕駆動部材(先幕駆動レバー28)に伝達可能に配置された先幕セット部材(先幕セットレバー24)を有しており、
前記先幕セット部材(先幕セットレバー24)は、前記第1付勢力を前記第1弾性部材(先幕走行バネ25)に付与する際に前記チャージ部材(チャージレバー29、229)を介して前記アクチュエータ(モータ46)により駆動される。
(16)第16の特徴に係るフォーカルプレーンシャッタ装置は、第4から第15のいずれかの特徴に係るフォーカルプレーンシャッタ装置において、
前記駆動ユニット(199、299)は、前記チャージ部材(チャージレバー29、229)が前記第1付勢力および前記第2付勢力の付与を開始する前の原点位置に戻るように前記チャージ部材(チャージレバー29、229)に弾性力を付与する復帰弾性部材(チャージレバー復帰バネ30)と、前記チャージ部材(チャージレバー29、229)が前記原点位置に戻るのを規制する復帰ロック部材(先幕駆動レバー28、リターンロックレバー237)と、を有している。
(17)第16の特徴に係るフォーカルプレーンシャッタ装置は、第1から第16のいずれかの特徴に係るフォーカルプレーンシャッタ装置において、
前記駆動ユニット(199、299)が前記第1弾性部材(先幕走行バネ25)への前記第1付勢力の付与を完了するタイミングは、前記駆動ユニット(199、299)が前記第2弾性部材(後幕走行バネ35)への前記第2付勢力の付与を完了するタイミングと異なっている。
第1弾性部材(先幕走行バネ25)への第1付勢力の付与の完了時またはその近辺において、第1付勢力の付与に必要な力が最大となる。また、第2弾性部材(後幕走行バネ35)への第2付勢力の付与の完了時またはその近辺において、第2付勢力の付与に必要な力が最大となる。
しかし、このフォーカルプレーンシャッタ装置では、チャージ機構(194)が第1弾性部材(先幕走行バネ25)への第1付勢力の付与を完了するタイミングは、チャージ機構(194)が第2弾性部材(後幕走行バネ35)への第2付勢力の付与を完了するタイミングと異なっている。このため、第1付勢力および第2付勢力の合計の最大値を小さくすることができる。したがって、チャージ機構(194)の負荷を低減することができる。
また、このフォーカルプレーンシャッタ装置では、先幕(21)および後幕(31)によりスリット露光撮影を行うことができる。
したがって、このフォーカルプレーンシャッタ装置であれば、先幕(21)と後幕(31)とを用いたスリット露光撮影ができ、さらに、先幕(21)および後幕(31)をチャージする際の駆動源の負荷を低減できる。
(18)第18の特徴に係るフォーカルプレーンシャッタ装置は、第1から第17のいずれかの特徴に係るフォーカルプレーンシャッタ装置において、
前記駆動ユニット(199、299)が前記第2弾性部材(後幕走行バネ35)への前記第2付勢力の付与を完了するタイミングは、前記駆動ユニット(199、299)が前記第1弾性部材(先幕走行バネ25)への前記第1付勢力の付与を完了するタイミングよりも早い。
このフォーカルプレーンシャッタ装置では、後幕(31)のチャージ完了を早くできるので、電子先幕撮影の高速化が可能となる。
(19)第19の特徴に係るフォーカルプレーンシャッタ装置は、第1から第18のいずれかの特徴に係るフォーカルプレーンシャッタ装置において、
前記駆動ユニット(199、299)が前記第2弾性部材(後幕走行バネ35)への前記第2付勢力の付与を開始するタイミングは、前記駆動ユニット(199、299)が前記第1弾性部材(先幕走行バネ25)への前記第1付勢力の付与を開始するタイミングよりも早い。