<第一実施形態>
<撮像装置>
図1は本発明の実施形態に係る撮像装置10の全体構成を示す図である。撮像装置10は例えばミラーレスカメラである。撮像装置10は、レンズユニット1、シャッタ2及び撮像素子3を備える。レンズユニット1は、被写体からの光を結像させるためのレンズ群及びその駆動機構を備える。撮像素子3はレンズユニット1により結像された被写体像を光電変換する素子であり例えばCMOSイメージセンサである。シャッタ2は、撮影光軸1a上においてレンズユニット1と撮像素子3との間に配置され、羽根群の開閉により撮像素子3に対する露光時間等を調節する。
撮像素子3から出力されるアナログ画像信号はAFE(Analog Front End)4によりデジタル画像信号に変換される。DSP(Digital Signal Processor)5は、AFE4から出力されるデジタル画像信号に対する各種画像処理や圧縮・伸張処理などを行なう。DSP5には記憶媒体5a及びRAM5bが接続されている。RAM5bは例えば画像データを一時的に記憶するために用いられる。記憶媒体5aは例えばメモリカードであり、撮影した画像を保存するために用いられる。ディスプレイ6は、液晶ディスプレイ(LCD)などの電子画像表示装置であり、撮影した画像や各種メニュー画面などを表示する。
CPU7は撮像装置10の全体を制御する。CPU7は各種のセンサ7aの検出結果に基づいて、各種の駆動回路7bを制御する。センサ7aは、例えば、撮像装置10の電源電圧を検出するセンサ、温度を検出するセンサ、レンズユニット1やシャッタ2に備えられた各種のセンサを含む。駆動回路7bは、例えば、撮像素子3に駆動信号を供給するタイミングジェネレータ、レンズユニット1やシャッタ2等に備えられたアクチュエータの駆動回路を含む。
<シャッタ(羽根駆動装置)>
本実施形態のシャッタ2はフォーカルプレン式のシャッタである。シャッタ2について図2〜図29を参照して説明する。各図において、矢印X、Y、Zは互いに直交する方向を示し、Z方向は光軸1aと平行な方向であり、Y方向は羽根の走行方向と平行な方向である。なお、一部の図においてはシャッタ2の構成部品を透過態様で図示していたり、省略している場合がある。
<1.全体構成とレイアウト>
図2〜図6を参照してシャッタ2の全体構成と機構のレイアウトについて説明する。図2はシャッタ2の斜視図、図3及び図4はシャッタ2の内部機構を示す図、図5はシャッタ2の分解斜視図、図6は地板30の斜視図である。
シャッタ2は被写体光を撮像素子3に露光/遮蔽する羽根部20と、羽根を動作させる機構部21とに大別される。羽根部20は機構部21よりも薄型の矩形状を有しており、シャッタ2は、その側面視(Y方向)において全体としてL字状をなしている。機構部21はモータ81の直径相当の厚さを有する直方体形状を有している。逆に言えば、シャッタ2のZ方向の厚さは最大でモータ81の直径程度とされている。羽根部20を薄型化して光軸方向におけるシャッタ2と撮像素子3との配設スペースを削減しつつ、機構部21を羽根部20の側方に位置させることで、撮像装置10内の収容空間を有効に活用することができる。また、シャッタ2は全体として矩形状を有してコンパクトに構成されており、ミラーレスカメラのように内部空間が狭い撮像装置に有利である。
シャッタ2は地板30を基本的な支持体とし、地板30上に各部品が搭載されている。地板30は、羽根部20を構成する開口形成部31と、機構部21を構成する機構支持部32とを一体に有しており、例えば、合成樹脂製の部材である。
開口形成部31には被写体光が通過する開口31aが形成されている。開口形成部31の一方面側はカバー板33で覆われ、開口形成部31とカバー板33との間には仕切板34が配置される。カバー板33及び仕切板34には、開口31aと重なる開口33a、開口34aが形成されている。開口形成部31の他方面側(被写体側)もカバー板36で覆われる。カバー板36にも開口31aと重なる開口36aが形成されている。これらの開口31a、33a、34a及び36aは、矩形状を有し、その法線方向はZ方向に、その面方向がX方向及びY方向である。被写体光は、開口36a、開口31a、開口34a及び開口33aを順に通過して撮像素子3を露光する。
仕切板34は、開口形成部31とカバー板33との間の羽根室を先幕用の空間と後幕用の空間とにZ方向に二つに仕切る。シャッタ2には先幕用の羽根機構40と後幕用の羽根機構50が設けられており、羽根室には、先幕を構成する羽根群41と、後幕を構成する羽根群51とが収容されている。図4はカバー板33及び仕切板34が取り外された状態を示している。
機構部21には、羽根機構40及び50を駆動する駆動機構60、羽根群41を開状態に維持可能な係止機構70、及び、駆動機構60に対するチャージ動作を行うチャージ機構80が配置されている。また、これらの機構を覆うカバー部材を兼用したMG地板35と、MG地板35を覆うカバー部材37が設けられている。図3はMG地板35及びカバー部材37が取り外された状態を示している。MG地板35及びカバー部材37は、駆動機構60、係止機構70及びチャージ機構80に対するゴミの侵入を防止する。
チャージ機構80は、その駆動源であるモータ81と、モータ81の駆動力によって駆動機構60に対するチャージ動作を行うチャージスライダ82と、モータ81の駆動力をチャージスライダ82に伝達するギアトレイン85とを含む。なお、本実施形態の場合、チャージ機構80はモータ81を含むが、モータ81として撮像装置10側に備えられたモータを利用することも可能である。つまり、チャージ機構80は、固有のモータを備えた機構であってもよいし、固有のモータを備えず、他のモータから駆動力を受ける機構であってもよい。
モータ81はその回転軸81aがY方向となるように、X方向における開口31aの側方に配置されている。換言すると、矩形状の開口31aの周縁の一辺に沿って配置されている。シャッタ2の動作速度を向上する場合、モータ81として比較的高出力のモータが必要とされるが、モータのサイズは一般に出力に比例して大きくなる。本実施形態のようにモータ81を配置することで、Y方向で見るとモータ81の胴部81bが、羽根群41及び51の走行・格納範囲Yw(図4参照)に収めることが可能となり、高出力のモータを比較的コンパクトに配置することができる。
モータ81の他の配置態様としては、例えば、回転軸81aがZ方向となるように配置することも考えられるが、本実施形態のようにモータ81の全長が長い場合、シャッタ2がZ方向に長くなる。また、モータ81の他の配置態様としては、回転軸81aがX方向となるように配置することも考えられるが、本実施形態のようにモータ81を、X方向で開口31aの側方に配置した場合は、シャッタ2がX方向に長くなる。また、一般にデジタルカメラはシャッタの上下よりも左右に収容空間を確保し易いことから、モータ81をY方向で開口31aの側方に配置した場合には、撮像装置10に対する収容の点で不利な場合がある。このような他の配置態様も採用可能であるが、本実施形態におけるモータ81の配置態様はシャッタ2の高性能化と小型化を両立する点で有利である。
本実施形態の場合、チャージ機構80は、モータ81の駆動力により、チャージスライダ82をY方向に移動させることによって駆動機構60に対するチャージ動作を行う。チャージ動作をチャージスライダ82のY方向の直線移動で行うことで、チャージ用の部材を回動させる構成よりもX方向においてシャッタ2の小型化を図れる。また、チャージスライダ82の往復移動範囲は羽根群41及び51の走行・格納範囲Yw(図4参照)内であり、シャッタ2をY方向に大型化するものでもない。
駆動機構60は、羽根機構40及び50を駆動する一方、チャージ機構80によるチャージ動作を受ける。このため、駆動機構60に対して、羽根機構40及び50並びにチャージ機構80が隣接して配置されていることが機構上並びに小型化を図る上で有利である。本実施形態の場合、駆動機構60はモータ81と開口31aとの間の領域Xwに配置され、チャージスライダ82はモータ81と駆動機構60との間に配置されている。このような配置とすることで、駆動機構60が羽根機構40及び50並びにチャージ機構80に隣接して配置され、機構上、有利である。しかも、モータ81の回転軸方向とチャージスライダ82の移動方向がいずれもY方向であることから、X方向において各機構を狭い領域に集中的に収めることができ、シャッタ2の小型化を図れる。
本実施形態の場合、Y方向でモータ81の一方端部側(回転軸81a側)にはギアトレイン85が配置され、他方端部側には係止機構70が配置されている。Y方向におけるモータ81の胴部81bの両側のスペースに係止機構70、ギアトレイン85を対称的に配置することで、シャッタ2のY方向の小型化を図れる。モータ81の回転軸81aにはウォームギア81cが設けられており、ウォームギア81cは、ギアトレイン85のギア850のウォームホイール850aと噛み合っている。この部分で回転軸方向をY方向(モータ81側)からZ方向(ギアトレイン85側)に変換している。ギアトレイン85の各ギアは回転軸がZ方向であるため、シャッタ2の機構部21のZ方向の厚さを薄くすることができる。
<2.羽根機構>
図5、図6及び図7〜図9を参照して羽根機構40及び50の構成について説明する。図7は羽根機構40及び50の説明図であり、図8及び図9は羽根機構40の説明図である。図7において、状態ST1は羽根群41が閉状態で羽根群51が開状態である状態を示し、状態ST2は羽根群41が開状態で羽根群51が閉状態である状態を示している。開状態とは開口31aを覆わない状態であり、閉状態とは開口31aを覆う状態である。図7等においては羽根、羽根の重なりが視覚的にわかりやすいように、背後に隠れる羽根の輪郭線を実線で表している。
羽根機構40は、羽根群41、主アーム42、副アーム43及びバネ44を含み、先幕を構成する。羽根機構50は、羽根群51、主アーム52、副アーム53及びバネ54を含み、後幕を構成する。本実施形態の場合、羽根群41、51はそれぞれ羽根41a〜41d、51a〜51dから構成されている。しかし、羽根の数は4枚に限られない。各羽根は、例えば、黒色塗料を塗布する樹脂シート(または金属板などの遮光性のある材料もしくは複合材)から形成される。羽根41a〜41dは主アーム42及び副アーム43に連結され、Y方向を羽根の41a〜41dの走行方向とする平行リンク機構を構成する。羽根51a〜51dは主アーム52及び副アーム53に連結され、Y方向を羽根の51a〜51dの走行方向とする平行リンク機構を構成する。
主アーム42は、軸穴42a、係合穴42bを備える。軸穴42a、係合穴42bは、後述する駆動部材61に主アーム42を装着するための穴である。軸穴42aには駆動部材61を介して地板30の軸320が挿入され、主アーム42は軸320を中心として駆動部材61と共に回動自在である。
副アーム43は、軸穴43aを備える。軸穴43aには地板30の軸324が挿入され、副アーム43は軸324を中心として回動自在である。バネ44は、本実施形態の場合、軸324が挿通するねじりコイルバネであり、その一方端部が地板30に係止され、他方端部が副アーム43に係止される。バネ44は、羽根群41を閉状態にする方向に副アーム43付勢する。これにより羽根群41のがたつきを抑制できる。
羽根機構50は羽根機構40と同様の構成である。地板30には軸321、軸325が設けられ、主アーム52には主アーム42の軸穴42a及び係合穴42bに相当する軸穴及び係合穴(いずれも不図示)が設けられ、また、副アーム53には副アーム43の軸穴43aに相当する軸穴(不図示)が設けられる。バネ54もバネ44と同様の装着態様で地板30に取り付けられ、バネ54は、羽根群51を開状態にする方向に副アーム53付勢する。
<3.駆動機構>
駆動機構60について主に図4、図10〜図13を参照して説明する。図10は駆動機構60の説明図であり、図2のI−I線断面図である。図11は駆動機構60を部分的に分解した斜視図である。図12は二方向から見た後幕用の駆動部材62の分解斜視図である。図13は先幕用の駆動部材61の斜視図及びその分解斜視図である。
駆動機構60は、羽根機構50を駆動する機構として、駆動部材62、駆動バネ63B、ウォームホイール64B、ウォーム65B、保持機構66Bを備える。
駆動部材62は、本体部材620、アマチャ622、バネ623及びアマチャ軸624を含む。本体部材620は例えば合成樹脂製の部材である。本体部材620はZ方向に延びる筒状部620aを含む。筒状部620aには、地板30の軸321が挿通され、駆動部材62は軸321回りに回動自在である。駆動部材62(本体部材620)の回動位置は光センサPI2(図2、図3参照)で検知される。光センサPI2はホルダHD2(図3、図5参照)を介して地板30に支持されている。
筒状部620aの地板30側の端部は、羽根機構50の主アーム52の軸穴(不図示。羽根機構40の主アーム42の軸穴42aに相当。)を挿通し、筒状部620aの反対側の端部は駆動バネ63B及びウォームホイール64Bを挿通する。ウォームホイール64Bは筒状部620aに回転自在に支持される。
本体部材620はZ方向に突出するピン基部620cを含む。ピン基部620cには、耐久性向上を目的として金属製で円筒形状のピンカバー621aが装着され、羽根用の駆動ピン621が形成される。駆動ピン621は、羽根機構50の主アーム52の係合穴(不図示。羽根機構40の主アーム42の係合穴42bに相当。)を挿通し、また、地板30に形成された案内溝326B(図6参照)内を移動する。案内溝326Bにおける駆動ピン621の移動端にはゴムなどの緩衝部材326bが設けられ、駆動ピン621が案内溝326Bの周囲壁に当接するときの衝撃を緩衝する。
本体部材620は筒状部620aに対して径方向に延出した係合部620bを含む。係合部620bはチャージ機構80によるチャージ動作時にチャージスライダ82から操作力の入力を受ける。この操作力により、駆動部材62は軸321を回動中心として時計回りに回動する。本体部材620は、また、アマチャ支持部620dを含む。アマチャ支持部620dにはバネ623を介してアマチャ622がアマチャ軸624によって取り付けられる。アマチャ622は保持機構66Bの磁力によって保持機構66Bに解放可能に保持される。
駆動バネ63Bは、本実施形態の場合、ねじりコイルバネである。駆動バネ63Bは駆動部材62とウォームホイール64Bとの間に設けられており、かつ、駆動バネ63Bの一端が駆動部材62に、他端がウォームホイール64Bに、それぞれ係止されている。ウォーム65Bは、MG地板35に回転自在に支持されている。ウォーム65Bは、その軸方向をZ方向から傾斜してMG地板35に支持されており、ウォーム65Bの軸方向をZ方向とする構成よりもシャッタ2をZ方向に薄型化できる。
ウォーム65Bはウォームホイール64Bと噛み合っており、これによりウォームホイール64Bの回転方向の位置が固定される。チャージ動作により駆動部材62は初期位置からチャージ位置へ軸321回りに回転するがウォームホイール64Bはウォーム65Bとの噛み合いによって不動である。このため、駆動バネ63Bに羽根を駆動する弾性エネルギが蓄積される。チャージされた駆動バネ63Bは羽根群51が閉状態となる方向に付勢力を発揮する。羽根群51に対する付勢方向が駆動バネ63Bとバネ54とで逆方向となるが、駆動バネ63Bの付勢力の方がバネ54よりも十分に強い力である。
ウォーム65Bをドライバ等で回転させると、軸321に対するウォームホイール64Bの回転方向の位相が変化する。つまり、チャージ時の駆動バネ63Bの弾性変形量が調整され、羽根群51の走行速度(幕速)を調整することができる。
保持機構66Bは、磁力により駆動部材62をチャージ位置に保持する。図4は駆動部材62がチャージ位置で保持された状態を示している。保持機構66Bは、ヨーク66aとヨーク66aに巻きまわされたコイル66bとを含む電磁石であり、ヨーク66aはMG地板35に支持されている。コイル66bに対する通電と通電遮断により、アマチャ622の吸着と吸着解除が切り替えられる。これにより、チャージ位置での駆動部材62の保持と解放を切り替えることができ、解放によって図7の状態ST2に示すように駆動バネ63Bの付勢力で駆動部材62が反時計回りに回動し、羽根群51が閉状態へ走行する。
次に、羽根機構40を駆動する機構について説明する。駆動機構60は、羽根機構40を駆動する機構として、駆動部材61、駆動バネ63A、ウォームホイール64A、ウォーム65A、保持機構66Aを備える。羽根機構40を駆動する機構は、羽根機構50を駆動する機構と基本的に同じであるが、駆動部材61の構造に違いがある。
駆動部材61は、本体部材610、アマチャ612、バネ613及びアマチャ軸614を含む。本体部材610は、本体部610Aとアーム部610Bとの二部材構成であり、いずれも例えば合成樹脂製の部材である。本体部610AはZ方向に延びる筒状部610aを含み、アーム部610Bは筒状部610aと同軸上に筒状部610eを含む。筒状部610a及び610eには、地板30の軸320が挿通され、本体部610A及びアーム部610Bはそれぞれ独立して軸320回りに回動自在である。
駆動部材61(本体部610A)の回動位置は光センサPI1(図2、図3参照)で検知される。光センサPI1はホルダHD1(図3、図5参照)を介して地板30に支持されている。
筒状部610eは、羽根機構40の主アーム42の軸穴42aを挿通し、筒状部610aは駆動バネ63A及びウォームホイール64Aを挿通する。ウォームホイール64Aは筒状部610aに回転自在に支持される。
アーム部610BはZ方向に突出するピン基部610cを含む。ピン基部610cには、耐久性向上を目的として金属製で円筒形状のピンカバー611aが装着され、羽根用の駆動ピン611が形成される。駆動ピン611は、羽根機構40の主アーム42の係合穴42bを挿通し、また、地板30に形成された案内溝326A(図6参照)内を移動する。案内溝326Aにおける駆動ピン611の移動端にはゴムなどの緩衝部材326aが設けられ、駆動ピン611が案内溝326Aの周囲壁に当接するときの衝撃を緩衝する。
本体部610Aは筒状部610aに対して径方向に延出した係合部610bを含む。係合部610bはチャージ機構80によるチャージ動作時にチャージスライダ82から操作力の入力を受ける。この操作力により、本体部610Aは軸320を回動中心として時計回りに回動する。本体部610Aは、また、アマチャ支持部610dを含む。アマチャ支持部610dにはバネ613を介してアマチャ612がアマチャ軸614によって取り付けられる。アマチャ612は保持機構66Aの磁力によって保持機構66Aに解放可能に保持される。
駆動バネ63Aは、本実施形態の場合、ねじりコイルバネである。駆動バネ63Aは本体部610Aとウォームホイール64Aとの間に設けられており、かつ、駆動バネ63Aの一端が本体部610Aに、他端がウォームホイール64Aに、それぞれ係止されている。ウォーム65Aは、MG地板35に回転自在に支持されている。ウォーム65Aは、その軸方向をZ方向から傾斜してMG地板35に支持されており、ウォーム65Aの軸方向をZ方向とする構成よりもシャッタ2をZ方向に薄型化できる。
ウォーム65Aはウォームホイール64Aと噛み合っており、これによりウォームホイール64Aの回転方向の位置が固定される。チャージ動作により駆動部材61(本体部610A)は初期位置からチャージ位置へ軸320回りに回転するがウォームホイール64Aはウォーム65Aとの噛み合いによって不動である。このため、駆動バネ63Aに羽根を駆動する弾性エネルギが蓄積される。チャージされた駆動バネ63Aは羽根群41が開状態となる方向に付勢力を発揮する。羽根群41に対する付勢方向が駆動バネ63Aとバネ44とで逆方向となるが、駆動バネ63Aの付勢力の方がバネ44よりも十分に強い力である。
本体部610A及びアーム部610Bはそれぞれ独立して軸320回りに回動自在であるが、バネ44は、副アーム43を介してアーム部610Bを時計回りに付勢する。アーム部610Bは、本体部610Aのアマチャ支持部610dに当接する係合部610gを含む。バネ44の付勢により、係合部610gがアマチャ支持部610d側に押し付けられるため、チャージされた駆動バネ63Aの付勢力により本体部610Aが反時計回りに回動すると、アーム部610Bも本体部610Aと一体的に回動して羽根群41が開状態に走行することになる。本実施形態の場合、ピン基部610cの根元部分に係合部610gが形成されている。ピン基部610cには負荷がかかるため、その根元部分は厚みのある基部とすることが好ましいところ、係合部610gによりこの基部を兼用することで、ピン基部610cの剛性を向上しつつ、部品のコンパクト化を図れる。
ウォーム65Aをドライバ等で回転させると、軸320に対するウォームホイール64Aの回転方向の位相が変化する。つまり、チャージ時の駆動バネ63Aの弾性変形量が調整され、羽根群41の走行速度(幕速)を調整することができる。
保持機構66Aは、磁力により駆動部材61(本体部610A)をチャージ位置に保持する。図7の状態ST1は駆動部材61がチャージ位置で保持された状態を示している。保持機構66Aは、ヨーク66aとヨーク66aに巻きまわされたコイル66bとを含む電磁石であり、ヨーク66aはMG地板35に支持されている。コイル66bに対する通電と通電遮断により、アマチャ612の吸着と吸着解除が切り替えられる。これにより、チャージ位置での駆動部材61の保持と解放を切り替えることができ、解放によって図7の状態ST2に示すように駆動バネ63Aの付勢力で駆動部材61が反時計回りに回動し、羽根群41が開状態へ走行する。
<4.係止機構及びバウンド抑制機構>
係止機構70及び羽根群41のバウンド抑制機構について説明する。まず、係止機構70と羽根群41のバウンド抑制機構について主に図14及び図15を参照して説明する。図14は係止機構70の分解斜視図である。図15は係止レバー及び抑制レバーを二方向から見た斜視図である。
係止機構70は、本体部610Aをチャージ位置に維持しつつ羽根群41を開状態に維持可能な機構である。上記のとおり、本実施形態では本体部610A及びアーム部610Bはそれぞれ独立して軸320回りに回動可能である。チャージ動作により、駆動部材61をチャージ位置に移動する際、係止機構70でアーム部610Bを係止することで、本体部610Aがチャージ位置に移動する一方、アーム部610Bは初期位置に留めることができ、シャッタを切る直前まで開口31aを開放しておくことができる。係止機構70によるアーム部610Bの係止を解放すると、バネ44の付勢力でアーム部610Bもチャージ位置へ回動し、羽根群41は閉状態となる。
係止機構70は、ベース部材71、カバー部材72、アクチュエータ73、係止レバー74を含む。係止レバー74には抑制レバー75が係合している。ベース部材71はアクチュエータ73を支持する部材であり、カバー部材72はアクチュエータ73を覆う部材である。ベース部材71は地板30に取り付けられる。
アクチュエータ73は、本実施形態の場合、ロータリソレノイドタイプのアクチュエータであり、回転子730と、電磁石731とを含む。回転子730は円筒状の永久磁石730aと、永久磁石730aに取り付けられたアーム部材730bとを含み、アーム部材730bの端部には駆動ピン730cが一体に設けられている。電磁石731は、ヨーク731aとヨーク731aに巻きまわされたコイル731bとを含む。ヨーク731aはC字型の部分を含み、ここに回転子730が挿入される。コイル731bへの通電により、回転子730がZ方向の軸回りに回動する。コイル731bの通電方向の切り替えにより回転子730の回動方向を切り替えることができる。
係止レバー74は、地板30に設けられた軸323a(図6参照)が挿通する軸穴742を含み、軸323aに回動自在に支持される。係止レバー74の一方端部には、回転子730の駆動ピン730cと係合する係合部740が形成されている。本実施形態の場合、係合部740はC字型を有している。係止レバー74の他方端部には、係止部741が形成されている。係止部741は断面形状がL字型の部分であり、駆動部材61のアーム部610Bの係合部610fと係合してアーム部610Bを係止する。係止部741の裏側にはピン状の連結部743が形成されている。
抑制レバー75は、地板30に設けられた軸323b(図6参照)が挿通する軸穴751を含み、軸323bに回動自在に支持される。抑制レバー75の一方端部には、係止レバー74の連結部743と係合する連結部750が形成されている。本実施形態の場合、連結部750はC字型を有している。抑制レバー75の他方端部には、係止部752が形成されている。係止部752は駆動部材61のアーム部610Bの係合部610hと係合してアーム部610Bのバウンド、つまり、羽根群41のバウンドを抑制する。
係止機構70及び抑制レバー75の動作について図27を参照して説明する。同図はシャッタ2の動作説明図である。状態ST31は回転子730が係止位置にある場合を示し、状態ST32は回転子730が解除位置にある場合を示している。コイル731bへの通電は、回転子730が係止位置または解除位置に回動すれば終了する。
回転子730が係止位置にある場合、係止部741が駆動部材61のアーム部610Bの係合部610fと係合可能となる。状態ST31では本体部610Aはチャージ位置に位置しているが、アーム部610Bは係止レバー74によって初期位置に係止されている。このため、羽根群41は開状態にある。
回転子730が係止位置から解除位置へ回動すると、係止レバー74が軸323aを反時計回りに回動して係止部741と係合部610fとの係合が解除される。バネ44の付勢によりアーム部610Bはチャージ位置へ回動し、羽根群41は閉状態となる。
抑制レバー75は係止レバー74と逆方向に回動する。回転子730が解除位置にある場合、状態ST32に示すように、係止部752はアーム部610Bの係合部610hと係合可能となる。この係合は、羽根群41が閉状態から開状態へ向かう方向へのバウンドを抑制する。つまり、羽根群41がバネ44の付勢により開状態から閉状態へ変化したのち、開状態側へバウンドすることが抑制される。回転子730が解除位置から係止位置へ回動すると、抑制レバー75が軸323bを反時計回りに回動して係止部752と係合部610hとの係合が解除される。これにより、駆動バネ63Aの付勢で羽根群41を閉状態から開状態へ走行させることが可能となる。
<5.チャージ機構>
チャージ機構80について説明する。まず、地板30によるモータ81の支持構造について主に図16〜図18を参照して説明する。図16〜図18はモータの支持構造の説明図であり、図16及び図17はモータ81と地板30の分解斜視図であり、図18は図2のII−II線断面図である。
地板30の機構支持部32はモータ81を支持するモータ支持部328を含む。モータ支持部328はモータ81の胴部81bを受け入れる凹部328aと、胴部81bを固定する取付部328bとを含む。取付部328bは凹部328aのY方向の一端部側においてZ方向に突出して形成されている。取付部328bは、モータ81の胴部81bの端部を固定する取付穴328d、モータ81の回転軸81aが挿通する穴328eを有している。また、取付部328bには、胴部81bの端面に形成された穴と係合して胴部81bの回転を規制するピン状の係合部328fが設けられている。
モータ81は凹部328a上に配置され、取付部328bに固定される。開口形成部31や機構支持部32の凹部328aの周囲における面30aを基準とすると(図18の線L1参照)、モータ81は地板30にZ方向に一部が埋設された態様で支持されている。埋設度合として、本実施形態の場合、開口31aとモータ81の配置方向(X方向)で見ると、胴部81bと開口31aは重なっている。図18でいうと開口31aの位置は線L1と線L2との間にあり、胴部81bと重なっていることが理解される。こうした配置によって、モータ81としてサイズが大きな高出力のモータを採用した場合であっても、Z方向のシャッタ2の厚さをより薄くでき、シャッタ2の小型化を図れる。また、モータ81の重量が重い場合、撮像装置10を誤って落下させた場合などに、モータ81がモータ支持部328から脱落する場合があるが、凹部328aが脱落防止壁となってモータ81の脱落を防止できる。
凹部328aの肉厚は一定とされ、凹部328a地板30の面30a側ではその周囲から凹む一方、反対側の面30b側では、開口形成部31や機構支持部32の凹部328aの周囲における面30bを基準とすると(図18の線L2参照)、その周囲から凸状に隆起している。地板30の厚さを部位によらず、概ね一定とすることでその重量増を抑制できる。例えば、カバー板36を凹部328aが突出するZ方向の範囲内に設けることによって無駄なスペースを少なくできる。
凹部328aはY方向に延設されており、そのX方向の断面形状は、円柱形状を有するモータ81の胴部81bに合わせた円弧形状を有している。凹部328aが、曲面殻形状を有していることで、軽量化とモータ支持部328の剛性向上を図ることができる。また、凹部328aが胴部81bの外形に沿った形状となることで無駄な空間となる隙間を削減し、モータ81の脱落防止壁としての機能も高めることができる。胴部81bの周面は凹部328aの底面に接していても僅かに離れていてもよいが、いずれの場合も、本実施形態では凹部328aの底壁を貫通するスリット328cを形成したことにより、モータ81の放熱性を向上することができる。
なお、図16に示すようにモータ81におけるY方向の他端部側には、モータ端子81dが設けられている。モータ端子81dは、モータ81の製造時に、モータ端子81dとモータ81との位相を調整しながら加締めるため、出力軸を中心に20度程のバラつきを持って回転して固定されることがある。それに対し、モータ81実装時にはモータ81の端子がZ軸の正方向側に向くようにすれば、作業性を向上することができる。そのため、本実施形態においては、モータ端子81dと当接し、端子がZ軸の正方向側に向くように、モータ端子部材81eを取り付けている。
すなわち、モータ端子部材81eは、その側面に形成された曲面に沿うように設けられた電極部81gがモータ端子81dと接触するようにモータ81の他端側に対して取り付けられ、端子81fがZ軸正方向を向くように設けられる。電極部81gは、モータ81の胴部81bの周方向に沿うように所定の長さを有しているため、上述したモータ端子81dのバラつきがあっても、確実に接触させることができるとともに、端子81fがZ軸正方向に向くように容易に固定することができる。
モータ端子部材81eは、その中央に形成された穴部が、モータ81の他端側に設けられた凸部に嵌合することで位置決めされる。加えて、モータ端子部材81eにおけるZ軸負方向側の端部には、平坦部が設けられており、モータ端子部材81eをモータ81に固定するための固定冶具に設けられた位置決めのための平坦面に対して当接させることで、モータ81に対するモータ端子部材81eの取り付け角度を適正な位置に合わせることができる。
なお、本実施形態では、地板30にモータ支持部328を一体的に設けたが、モータ支持部328が地板30と別の部材であってもよく、例えば、撮像装置10側にモータ支持部328及びモータ81が備えられる構造も採用可能である。
次に、開口31aとモータ81との間には、駆動機構60の機構やチャージ機構80のモータ81以外の機構等、羽根群41及び51の動作に関わる機構が配置されている。羽根群41及び51の動作に関わる機構と胴部81bとはX方向に密に配置され、シャッタ2のX方向の小型化を図っている。例えば、図18や図21の線L3は胴部81bのX方向の端点の位置を示しているが、線L3がチャージスライダ82と重なっていることが理解される。つまり、胴部81bはZ方向で見てチャージスライダ82と重なっている。なお、本実施形態では、チャージスライダ82のガイドシャフト84側の部分がZ方向で見て胴部81bと重なっており、チャージスライダ82のガイドシャフト83側の部分は線L3に略接する位置にあるが、軸83側の部分もZ方向で見て胴部81bと重なっていてもよい。
MG地板35は、胴部81bと羽根群41及び51の動作に関わる機構との隙間を覆うカバー部材としても機能する。図18において、線L3よりも胴部81b側にMG地板35の端部が突出しており、胴部81bとチャージスライダ82の上部との隙間を覆っている。これにより、隙間を介してごみが機構へ侵入することを抑制できる。線L4で示すようにMG地板35は地板30からの高さ(Z方向の距離)で胴部81bよりも低い位置に配置される。線L3で示す胴部81bのX方向の端点からずれた位置で胴部81bの外周面へ突出することで、X方向の小型化を図れる。MG地板35の上の領域はフレキシブル基板38の配設領域として活用することができる。つまり、胴部81bのZ方向の幅内に各種の機構やフレキシブル基板38等を収めることができ、シャッタ2のZ方向の小型化を図れる。フレキシブル基板38は、シャッタ2が備えるセンサ用の配線やコイル通電用の配線を含むことができる。特に、フレキシブル基板38上に配置されるコンデンサなどの電気部品をフレキシブル基板38のZ軸正方向側に設け、フレキシブル基板38上に配置される電気部品を避けて後述するカバー部材37を設けることでZ方向の厚みを抑えてカバー部材37を設けることができる。
MG地板35の開口31a側にはL字型のカバー部材37が設けられている。カバー部材37はZ方向およびX方向での駆動機構60へのごみの侵入を抑制できる。
モータ81以外のチャージ機構80の構成について主に図4、図19〜図24を参照して説明する。図19はチャージスライダの案内機構の説明図、図20はチャージスライダ82の斜視図、図21、図22及び図24はチャージ機構80の構造説明図であり、図21は図3のIII−III線断面図である。図23はギアトレイン85の説明図である。
チャージ機構80は、モータ81を駆動源として、駆動機構60に対して駆動バネ63A、63Bのチャージ動作を行う機構である。チャージ機構80は、駆動機構60を操作するチャージスライダ82、チャージスライダ82の移動を案内するガイドシャフト83及び84、モータ81の駆動力をチャージスライダ82に伝達するギアトレイン85、及び、チャージスライダ82を初期位置へ付勢するコイルバネ86を含む。
ガイドシャフト83及び84はいずれもY方向に延設され、かつ、互いにZ方向に離間して配置されている。地板30はガイドシャフト83及び84の両端部を支持する一対の支持部329を含む。支持部329はZ方向に立設された柱状の部材であり、ガイドシャフト83及び84の各端部が嵌合する穴を備えている。チャージスライダ82は、ガイドシャフト83が挿通する一対の穴820aと、ガイドシャフト84が挿通する一対の切欠き820bとを含む。穴820aは円形に閉じた穴であり、切欠き820bはU字型の切欠きである。ガイドシャフト83が一対の穴820aを挿通することで、チャージスライダ82のY方向の直線移動が案内される。ガイドシャフト84が一対の切欠き820bを挿通することで、チャージスライダ82のガイドシャフト83回りの揺動が規制される(回り止め)。一対の切欠き820bも穴820aのように閉じた穴としてもよいが、切欠きとすることでチャージスライダ82の組付性や部品の小型化を図れる。
また、一対の穴820aと一対の切欠き820bをY方向に離間して配置したことで、連続的な穴または切欠きとする構成よりも、チャージスライダ82の小型化やスライド時の低摩擦化を図れる。更に、一対の穴820aとガイドシャフト83の組と、一対の切欠き820bとガイドシャフト84の組とがZ方向に離間していることで、これらがX方向に離間している構成よりもシャッタ2のX方向の小型化を図れる。
チャージスライダ82は、本体部820、係合部821及び822、操作部823及び824を含む。本体部820は例えば合成樹脂により一体的に形成され、上述した穴820a、切欠き820bを形成する部分を含む。本体部820は、図21に示すように、モータ81の胴部81bに隣接して配置され、かつ、胴部81bを避けるようにX方向に凹んだ凹部82aを有している。凹部82aは、穴820a、切欠き820bを形成する部分が胴部81b側へ傾斜していることにより形成されている。本実施形態の場合、本体部820のZ方向の中央部と胴部81bのZ方向の中央部が、地板30の面30aから見て略同じ高さにある。このため、本体部820のうち、Z方向の中央部はX方向で開口31a側へ寄せ、両端部(つまり穴820a、切欠き820bを形成する部分)はX方向でモータ81側に寄せることで、チャージスライダ82をモータ81に近接しつつ、干渉しないように配置している。図21に示すように、チャージスライダ82のモータ81側の側面形状は、胴部81bと同軸の仮想円C1に概ね沿った湾曲面形状(円弧面形状)とされている。このような配置によりシャッタ2のX方向の小型化を図ることができる。本実施形態では、ガイドシャフト83、84の位置が、線L3よりも開口31a側にあるが、その少なくともいずれか一方を、部分的に、線L3よりもモータ81側に位置させることも可能である。これにより、シャッタ2のX方向の小型化を更に図ることができる。
また、チャージスライダ82は、Z方向でモータ81の胴部81bの幅(直径)W1の範囲内に位置している。シャッタ2のZ方向の厚さを略モータ81の直径に収めることができ、シャッタ2の薄型化を図れる。
コイルバネ86は地板30と本体部820との間に設けられており、チャージスライダ82を初期位置へ付勢する。ガイドシャフト83はコイルバネ86を挿通しており、コイルバネ86の支持軸としても機能している。ガイドシャフト83によりチャージスライダ82の移動の案内とコイルバネ86の支持とを兼用することで部品点数を削減できる。
係合部821及び822はギアトレイン85からモータ81の駆動力が入力される部分であり、本実施形態の場合、Z方向の軸回りに回転自在に本体部820に支持された金属製のコロである。操作部823及び824は、駆動機構60を操作する部分であり、本実施形態の場合、Z方向の軸回りに回転自在に本体部820に支持された金属製のコロである。係合部821、822及び操作部823、824はモータ81の駆動力を伝達する部位であり、これらを金属製とすることで機構の耐久性を向上することができる。
図24において、線L5、L6で示すように、二か所の切欠き820bと、操作部823、824とは、Z方向で重なる位置に配置されている。駆動機構60から操作部823、824が受ける反力を、各切欠き820bを介してガイドシャフト84で負担し易くなり、チャージスライダ82のガイドシャフト83回りの揺動の抑制や、チャージスライダ82にかかる応力による変形を抑制できる。
ギアトレイン85は、ギア850〜853を含む。地板30は、これらを回転自在に支持するZ方向の軸327a〜327c及び322を含む(図6等参照)。ギア850は軸327a上にウォームホイール850aと平ギア850bとを備え、これらが一体に回転する。ウォームホイール850aはモータ81の出力軸81aに取り付けられたピニオンギア81cと噛み合う。ここで、駆動力伝達系の回転軸方向をY方向からZ方向へ変換することで、ギア850〜853の直径が大きくてもシャッタ2のZ方向の厚さを薄型化できる。
ギア851は軸327b上に平ギア851a及び851bを備え、これらが一体に回転する。平ギア851aは平ギア850bと噛み合い、平ギア851bはギア852と噛み合う。出力軸81aに対してZ方向で平ギア851aを一方側(図24で下側)に、平ギア851bを他方側(図24で上側)に配置することで、モータ81のZ方向の厚みの範囲内にこれらのギアを配置することができ、シャッタ2のZ方向の小型化(薄型化)を図れる。
ギア852は軸327c上に設けられた平ギアであり、ギア853と噛み合う。ギア853は軸322上に設けられた平ギアである。軸322には回転カム部材854が設けられており、ギア853と回転カム部材854が一体的に回転する。軸327c上には、また、被検知部材852aが設けられている。被検知部材852aはギア852と一体的に回転する。被検知部材852aの回転位置は光センサPI3(図2においてその配置のみ示している。同図でユニットの裏側に配置されている。)により検知される。被検知部材852aの回転位置を検知することで、回転カム部材854の回転位置を検知している。回転カム部材854の回転位置を直接検知するセンサを設けることも可能である。しかし、本実施形態では、機構のレイアウト上、回転カム部材854の周辺にセンサの配置スペースを確保することが困難である。そこで、回転カム部材854と同期的に回転する被検知部材852aを介して、回転カム部材854の回転位置を検知するようにしている。
回転カム部材854は、チャージスライダ82にモータ81の駆動力を入力する板カムである。回転カム部材854は、係合部821に当接する当接部854aと、係合部822に当接する当接部854bとを含む。係合部821及び822はY方向及びZ方向に離間して配置されており、当接部854a及び854bは回転カム部材854における軸322の周方向及びZ方向に離間して配置されている。本実施形態では、係合部821と当接部854aの当接と、係合部822と当接部854bとの当接とを時間差(回転カム部材854の位相差)を置いて生じさせる二段階の押圧により、チャージスライダ82をY方向に直動させる。これにより、コンパクトな構成で、チャージスライダ82の移動ストロークをより大きくとることができる。図25はチャージ機構80の動作説明図であり、回転カム部材854の回転によるチャージスライダ82の移動動作を示す動作説明図である。
モータ81の駆動力がギアトレイン85により伝達され、回転カム部材854を時計回りに回転させる。状態ST11は当接部854aが係合部821に当接し始めた段階を示す。状態ST11の段階では当接部854bは係合部822に当接していない。状態ST12は回転カム部材854の回転が進行した状態を示す。当接部854aが係合部821をY方向に押圧することでチャージスライダ82がY方向に移動する。また、当接部854bが係合部822に係合し始める。状態ST13は回転カム部材854の回転が更に進行した状態を示す。当接部854aと係合部821との当接は解消されるが、当接部854bが係合部822をY方向に押圧することでチャージスライダ82のY方向の移動が継続する。こうしてチャージスライダ82の移動ストロークを大きくとることができる。
図26はチャージ機構80の動作説明図であり、駆動機構60に対するチャージ機構80によるチャージ動作の例を示している。状態ST21は当接部854aが係合部821に当接し始めた段階を示す。状態ST21の段階では当接部854bは係合部822に当接していない。駆動機構60の駆動部材61、62はいずれも初期位置に位置している。
状態ST22は回転カム部材854の回転が進行した状態を示す。当接部854aが係合部821をY方向に押圧することでチャージスライダ82がY方向に移動する。また、当接部854bが係合部822に係合し始める。チャージスライダ82の移動により、操作部823、824が駆動機構60を操作する。具体的には、操作部823が駆動部材61の係合部610bに当接してY方向に押圧する。これにより、駆動部材61は時計回りに回動する。また、操作部824が駆動部材62の係合部620bに当接してY方向に押圧する。これにより、駆動部材62は時計回りに回動する。なお、図26の例では係止機構70によるアーム部610Bの係止は行っておらず、駆動部材61の本体部610Aとアーム部610Bとは一体的に回動している。
状態ST23は回転カム部材854の回転が更に進行した状態を示す。当接部854aと係合部821との当接は解消されるが、当接部854bが係合部822をY方向に押圧することでチャージスライダ82のY方向の移動が継続する。これにより、操作部823、824が駆動部材61、62を回動させ、駆動部材61、62がチャージ位置に到達する。保持機構66A、66Bの駆動により、駆動部材61、62がチャージ位置に保持される。回転カム部材854の回転が更に進行していくと、やがて当接部854bと係合部822との当接も解消され、チャージスライダ82はコイルバネ86の付勢により初期位置に戻ることなる。本実施形態では、チャージスライダ82の往復移動範囲が、モータ81の軸方向の全長YM以内である。これによりシャッタ2のY方向の小型化を図れる。
ここで、図24を参照して、当接部854a、854bと、操作部823、824との位置関係について説明する。線L7で示すように、操作部823及び824はY方向において当接部854bと重なる位置に配置されている。当接部854bからチャージスライダ82へ入力される力の方向線(線L7)上に、駆動機構60から反力を受ける操作部823及び824が位置しているため、本体部820に生じるX方向の軸回りのモーメントをより小さくでき、本体部820の耐久性を向上でき、あるいは、本体部820に要求される強度を低下させることができる。操作部823及び824はY方向において当接部854aと重なる位置に配置されてもよいが、駆動バネ63A及び63Bの巻き上げにより、回転カム部材854やチャージスライダ82の負担はチャージ動作後半において大きくなる。よって、チャージ動作後半に駆動力を伝達する当接部854bと、操作部823及び824がY方向に重なる配置の方が有利である。また、この構成によれば、係合部821と係合部822とをY方向及びZ方向に離間して配置することによって係合部821のZ軸負方向に形成されたスペースに操作部824を設けることができ、操作部824の上部に設けられる切欠き820bを、チャージスライダ82におけるY方向に対して一端側に寄せることができ、駆動機構60の押圧時に掛かるチャージスライダ82に対するこじりを低減することができる。
<6.全体の動作例>
シャッタ2の全体の動作例について図27〜図29を参照して説明する。図27〜図29はシャッタ2の動作説明図であり、主に撮像装置10の単写動作の例を示している。
図27の状態ST31はシャッタ2が待機状態にある段階を示している。シャッタ2は待機状態としてノーマリオープンとノーマリクローズを選択的に選ぶことが可能であるが、ここではノーマリオープンを選択した場合を例示している。羽根群41、51がいずれも開状態にあり、開口31aは開放している。係止機構70の回転子730は係止位置に位置しており、アーム部610Bは係止レバー74によって初期位置に係止されている。駆動部材61、62はチャージ位置に保持されている。
シャッタ操作を検知すると、係止機構70を駆動して回転子730が解除位置に回動する。これによりアーム部610Bと係止レバー74との係合が解除され、バネ44の付勢により状態ST32に示すように羽根群41が一旦閉状態に走行する。抑制レバー75がアーム部610Bと係合して羽根群41のバウンドが抑制される。
続いて図28の状態ST33に示すように、係止機構70を駆動して回転子730を係止位置に戻す。また、モータ81の駆動により回転カム部材854が回転して当接部854bと係合部822との当接が解消され、チャージスライダ82はコイルバネ86の付勢により初期位置に戻る。なお、抑制レバー75は、アーム部610Bの回動によって付勢されても係合が外れないように傾斜面を有し、それにより抑制レバー75の回動軌跡内にアーム部610Bの先端が侵入した状態になっている。そのため、図28の状態ST33にも示すように、回転子730を回転して係止位置に戻す際に抑制レバー75によってアーム部610Bを保持機構66A側に押圧しており、それに伴って羽根群41がオーバーチャージ位置まで一旦移動している。
続いて状態ST34に示すように、保持機構66Aによる駆動部材61の保持が解除され、駆動バネ63Aの付勢により駆動部材61が反時計回りに回動し、羽根群41が開状態へ走行する。開口31aが開放され、撮像素子3が露光する。係止レバー74は、係止位置において、アーム部610Bの走行軌跡内にその先端が侵入するようになっているため、駆動部材61が反時計回りに回動する過程で、アーム部610Bの係合部610fが係止レバー74の係合部741を押し上げるようにして係合部741の左側へ通過し、係合部610fと係合部741とが再び係合し、羽根群41のバウンドが抑制される。係止レバー74は、係合部741が形成される部位の開口31a側の面が曲面となっており、係合部610fによる押上げを円滑なものとする。
設定されているシャッタスピードに応じたタイミングで、保持機構66Bによる駆動部材62の保持が解除され、駆動バネ63Bの付勢により駆動部材62が反時計回りに回動し、図29の状態ST35に示すように羽根群51が閉状態へ走行する。これにより開口31aが閉鎖され、撮像素子3の露光が終了する。
続いてチャージ動作が実行される。モータ81の駆動により回転カム部材854が回転してチャージスライダ82が移動し、駆動バネ63A及び63Bがそれぞれチャージされる。このとき、アーム部610Bと係止レバー74との係合により、羽根群41は開状態が維持され、状態ST36の状態に至る。これは図27の状態ST31と同じ状態である。以上により、一回のシャッタ動作が完了する。
以上説明した実施形態においては、図2におけるY方向における正方向側が鉛直方向上側となるように撮像装置に組み込んでも良いが、Y方向における負方向側が鉛直方向上側となるように撮像装置に組み込んでも良い。Y方向における負方向側が鉛直方向上側となるように撮像装置に組み込んだ場合には、保持機構66A、66Bの吸着面が鉛直方向下側を向くことになる。そうすることによって、保持機構66A、66Bの吸着面に対して埃などのゴミが付着するのを防ぐことができる。もっとも、本実施形態においては、その待機状態やOFF状態においては、アマチャ612、622が、それぞれ保持機構66A、66Bに対して密着する位置に位置するように制御することによって、保持機構66A、66Bの吸着面に対してゴミが付着することを防いでいる。
また、以上説明した実施形態において、チャージスライダ82によって少なくとも駆動部材61が駆動されるように構成すれば良い。本実施形態において駆動部材61は、モータ81の回転軸81aから遠い側に位置しており、直動動作するチャージスライダ82によって駆動部材61を駆動することで、好適に小型化を図ることができる。
<第二実施形態>
図30〜図33を参照して本発明の第二実施形態について説明する。以下の説明における各構成の符号として第一実施形態と同じものを用いているものについては同様の構成であり、その説明を省略し、第一実施形態と異なる部分のみ説明する。
本実施形態においては、第一実施形態とは、係止機構70のバウンド抑制機構の構造が異なる。図30は本実施形態における係止機構70とバウンド抑制機構とを示す正面図である。図31はその要部拡大図(31A)と、その要部を異なる角度から見た状態の斜視図(31B)である。
駆動部材61における本体部610Aに対して、抑制部材615が固定されている。抑制部材615は、板バネ状の金属によって形成されて、その厚み方向が駆動部材61の回転軸方向(Z方向)と垂直になるように設けられている。但し、本実施形態においては、抑制部材615の根元に形成された取り付け部615aが、その厚み方向が駆動部材61の回転軸方向となるように抑制部材615と一体に設けられており、取り付け部615aが本体部610Aに嵌合やビス固定によって固定される。
図31において、駆動部材61はチャージ完了時すなわち、アマチャ612が保持機構66Aに吸着保持された状態になっている。ここで、アーム部610Bが、係止機構70によって係止されていた状態からその係止が解除されたことに伴ってチャージ完了位置に到達した場合、もしくは、係止機構70を作動させずに、本体部610Aとアーム部610Bとを一体に駆動してチャージさせた場合のいずれの場合においても、本体部610Aやアーム部610Bに連結している羽根群41がチャージ完了位置に到達した衝撃によってバウンドすることがある。
抑制部材615は、その先端側に、凸形状が形成されており、アーム部610Bに設けられた突起部610iと係合可能なようになっている。チャージ完了時における羽根群41のバウンドに対して、この抑制部材615に対して突起部610iが当接することによってバウンドを抑えることができる。
また、係止機構70によってアーム部610Bが係止された状態で本体部610Aをチャージする場合には、板バネ状に形成された抑制部材615が撓むことによって突起部610iとの係合状態が解除され、本体部610Aのチャージが可能となる。すなわち、抑制部材615およびその先端の凸形状は、抑制部材615が撓むことによって突起部610iとの係合を解除するのに十分な隙間を設けている。
一方、係止機構70によってアーム部610Bを係止せずに本体部610Aとアーム部610Bとが一体になってチャージするように動作させる場合において、例えば連射などのように比較的高速な駆動を行う場合には、本体部610Aをチャージスライダ82によって高速でチャージすることになるが、アーム部610Bは、基本的にはバネ44の付勢力によってのみ羽根が閉じる方向に付勢されているが、その付勢力は駆動バネ63Aと比較しても弱く、チャージスライダ82によって高速で本体部610Aをチャージした場合にはアーム部610Bが遅れる場合がある。
アーム部610Bが遅れると、本体部610Aを高速でチャージしたとしても、アーム部610Bがチャージ位置に移動しきるのを待ってから露光動作を行う必要があり、結果として高速な駆動を行うことができないことがある。それに対し、本実施形態では本体部610Aに固定された抑制部材615がアーム部610Bに設けられた突起部610iをチャージ方向に押動することによって、アーム部610Bが本体部610Aと一体に移動することができるようになっている。
本実施形態においては、抑制部材615を本体部610Aの周方向に沿うように延在させて配置し、突起部610iを図31に示すようにアーム部610Bにおける本体部610Aと対向する内周面610jから突出するように設けている。このように構成することによって、本体部610Aとアーム部610Bとの移動領域からはみ出して設ける必要がなく、小型化を図ることができる。
なお、本実施形態においては、抑制部材615を金属で形成しているが、上述したような可撓性を有するのであれば樹脂などによって形成しても良い。
図32、図33には、係止機構70のバウンド抑制機構の他の構造例を示している。図30、図31に示した態様においては、抑制部材615が、羽根群41の走行面方向に突出した突出部610iに当接することによって、羽根群41の走行面方向と平行に撓むように構成していた。それに対し、図32、図33に示す態様では、抑制部材615が、駆動部材61の回転軸方向(Z方向)に撓むようになっており、突出部610iも、駆動部材61の回転軸方向(Z方向)に突出するように設けられている。
図32は、本構造例を示す正面図であり、図33は、要部の拡大図(33A)および他の角度から見た複数の斜視図(33B、33C)である。
図33に示すように、本体部610Aに設けられた抑制部材615は、駆動部材61の回転軸方向に撓むように、金属の板状部材によって形成されており、その先端部には、アーム部610B側に突出するように凸形状が設けられている。それに対し、突出部610iは、アーム部610Bにおける本体部610A側となる駆動部材61の回転軸方向に設けられている。なお、突出部610iを図33に示す方向とは駆動部材61の回転軸方向における逆側に突出するように設け、それに対応する位置に抑制部材615が位置するように設けても良い。すなわち、駆動部材61の回転軸方向において、抑制部材615と突出部610iとがいずれの側に位置していても、当接した際に離れる方向に付勢力が掛かるようになっていれば、同様の作用、効果を発揮することができる。この構成によれば、上記の態様と同様に、本体部610Aとアーム部610Bとの移動領域からはみ出して設ける必要がなく、小型化を図ることができる。
<第三実施形態>
図34〜図40を参照して本発明の第三実施形態について説明する。以下に説明する各構成の符号は、上述した第一実施形態とは別に、第三実施形態においてのみ統一的に用いられている。したがって、例えば、第一実施形態の符号と同じ符号が第三実施形態では他の構成を示す符号として用いられている場合がある。
図34は、本発明の第三実施形態におけるシャッタ装置の分解斜視図である。被写体からの光を結像させるための撮像レンズの光軸方向の延長上に、撮像レンズにより結像された被写体像を光電変換する撮像素子が設けられており、フォーカルプレンシャッタ100はその撮影光路上において撮像レンズと撮像素子との間に設けられ、後述する撮像素子の電子先幕動作と連動して撮像素子を露光する時間を調節する。
そして、撮像素子から出力されるアナログ画像信号はAFEによりデジタル信号に変換される。撮像素子の一例としてはCMOSイメージセンサが使用される。
DSP(Digital Signal Processer)は、AFEから出力されるデジタル画像信号に対する各種画像処理や圧縮・伸張処理などを行なう。その結果得られた画像データを記録媒体に記憶する。撮影した画像や各種メニュー画面などが表示部に表示される。表示部としては液晶ディスプレイ(LCD)などが使用される。
タイミングジェネレータ(TG)が、撮像素子に駆動信号を供給する。CPUは、AFE、DSP、TG、シャッタ駆動回路の制御を行う。画像データなどは、DSPと接続されているRAMに一時的に記憶される。
また、シャッタ駆動回路は、CPUによる制御に応じて、フォーカルプレンシャッタを駆動する。
撮像装置の電源電圧を検出する電圧検出ユニット、撮像装置の温度を検出する温度検出ユニット、フォーカルプレンシャッタ内部に備えられた羽根検出ユニットが設けられており、羽根検出ユニットは、後述のフォトセンサ、カム位相板等で構成される。フォーカルプレンシャッタ内部にはカム位相検出ユニットが設けられている。各検出ユニットの検出結果はCPUに入力され、種々の制御に利用される。
レンズ制御ユニットが撮像レンズの焦点距離、絞り径、瞳径、瞳と撮像素子の距離等のレンズ情報をCPUに出力するとともに、CPUによる制御に応じて絞り、レンズ等を駆動する。
シャッタ地板201は、光が通過する開口部を形成する開口形成部材の一例であり、不図示のカメラ本体に固定され、後述する後羽根群230の駆動機構を構成する各部品が取り付けられている。
羽根駆動部材202は、シャッタ地板201の軸201aに回転可能に軸支されている。羽根駆動部材202にはアーマチャ支持部202dが設けられている。
なお、アーマチャ支持部202dに形成された不図示の貫通孔部には、貫通孔部の内径よりも大きなフランジを有し、アーマチャ212に対して一体的に取り付けられたアーマチャ軸213が係合している。アーマチャ軸213は、アーマチャ212の吸着面に対して略直交方向に延びている。
アーマチャ212とアーマチャ支持部202dの間であって、アーマチャ軸213の外周には、不図示の圧縮バネ214が配置されており、アーマチャ212およびアーマチャ支持部202dを互いに離す方向に付勢している。
ラチェット240は、シャッタ地板201の軸201a周りに回転可能に軸支され、羽根駆動部材202より軸先端側に配置されている。
羽根駆動部材202、遮光羽根駆動部材302とラチェット240との間にはねじりコイルバネである羽根駆動バネ241、遮光羽根駆動バネ341が配置されている。
羽根駆動バネ241、遮光羽根駆動バネ341の一端は各々羽根駆動部材202、遮光羽根駆動部材302に掛けられ、他端はラチェット240に掛けられている。
この羽根駆動バネ241、遮光羽根駆動バネ341は各々羽根駆動部材202、遮光羽根駆動部材302に対し、図34において軸先端側(図34上側)から見て時計方向の付勢力を与えている。
羽根群230は1番羽根231、2番羽根232、3番羽根233、主アーム235及び副アーム236で構成されている。遮光羽根群330は羽根群230と同じ構成となっていて配置を裏返して使用している。伝達部材としての主アーム235および副アーム236が後述の駆動部材からの駆動力を受けることにより羽根群230および遮光羽根群330を駆動する。
1番羽根231と2番羽根232、3番羽根233は、黒色塗料を塗布した樹脂シート(または金属板)から成り、主アーム235と副アーム236に回転可能に軸支されており、平行リンクを形成している。
羽根群230の1番羽根231は露光制御羽根であり、その端辺231aは、露光を制御するスリット形成部であり、露光を制御するスリット形成部端面はプレス等の局所的なバリをレーザー加工で縮小させて周辺端面からの突出量を20μm以下に抑えて、端面を均一化している。
2番羽根232、3番羽根233は、1番羽根231に連動して移動し、開口を覆う覆い羽根として機能している。
主アーム235は3番羽根側の軸に、副アーム236は1番羽根231側の軸に軸支されている。遮光羽根群330の1番羽根331の端辺331aは、遮光端形成部であり、副アーム336は1番羽根331側の軸に軸支されている。このような構成によって、羽根群230および遮光羽根群330は、シャッタ地板201の主面に沿って移動可能に設けられ、シャッタ地板201に形成された開口を対して進退可能となっており、開口部を開閉する。
図35は、本実施形態のシャッタ装置の待機状態の概略図である。駆動部をわかりやすくするために、先後それぞれの電磁石と、電磁石を保持する保持地板などの駆動部を覆っている部材、接点部の代わりに設けた光学的位置検出ユニットを保持する部材は省略している。
地板、仕切板、カバー板にはそれぞれを貫くように開口部(アパチャ開口)が設けられている。後羽根は開口部上部に重畳されており、後羽根と連動している後羽根駆動部材(以下後レバー)1はセット完位置(待機位置)にいる。
先羽根は開口部下部に重畳されており、先羽根と連動している先羽根駆動部材(以下先レバー)2は走行完位置にいる。先後それぞれの羽根駆動部材は電磁石に吸着保持されるための鉄片1a、2aを保持している。
先レバー2は回転軸周りに不図示の先駆動ばねが巻き回されており、先羽根を重畳する方向に付勢されている。後レバー1は回転軸周りに不図示の後駆動ばねが巻き回されており、後羽根を展開する方向に付勢されている。セット部材3は先レバー2用のカム面(先カム)3aと後レバー1用のカム面(後カム)3bが設けられており、待機状態では後レバー1のカムフォロア1bに後カム3bが当接することによりメカ的に保持されていて、先カム3aは先レバー2の動作を阻害しない位置にいる。先カム3aと後カム3bが伝達カムとして機能することにより、セット部材3に与えられた駆動力を先レバー2および後レバー1に伝達して先レバー2および後レバー1の駆動を行う。
ここで、図36A及び図36Bに各レバー、セット部材の状態(位置)を検出するための光学検出ユニットを示す。図36Aはセット部材3用と後レバー1用の光学検出ユニットを示す概要図、図36Bは先レバー2用の光学検出ユニットを示す概要図である。本実施形態では光学検出ユニットとしてフォトインタラプタ素子4を使用している。フォトインタラプタ素子4を使用することにより、素子を遮光、解放する遮蔽部5を追加、変更するだけで、それぞれの部材の状態(位置)の検出が可能となる。
図37は本実施形態のシャッタ装置の走行完状態の概略図である。図35と同様に駆動部をわかりやすくするために部材を省略している。後羽根は展開して開口部を覆い、後レバー1は走行完位置まで回転している。先羽根は図35と同様に重畳したままであり、先レバー2も動いていない。セット部材3は、後レバー1が回転可能な位置まで回転している。つまり、後カム3bはカムフォロア1bとの当接が解除されている。
図38は、本実施形態のシャッタ装置のチャージ途中の状態のひとつを示している。先羽根は開口部を完全に覆うまで展開し、先レバー2の鉄片2aは不図示の先レバー用電磁石に接触している位置となっている。後羽根は開口部から完全に退避するまで重畳し、後レバー1の鉄片1aは不図示の後レバー用電磁石に接触している位置となっている。先レバー2、後レバー1はそれぞれセット部材3のカム面3a、3bによりメカ的に支持されている。
次にシャッタ動作について簡単に説明する。カメラ側からの信号を受けて図35の状態で後レバー1の鉄片1aが後レバー用電磁石により吸着保持されると同時に不図示のモータが回転し、連動しているセット部材3が回転することで、後レバー1は走行前位置まで回転する。セット部材3はさらに回転を続け、セット部材3の形状が後レバー1の走行を阻害しない位相まで回転してからモータの停止とともにセット部材3の回転も停止する。
このまま所定の時間の間、待機状態で待った後、後レバー1の吸着が解除され、後レバー1は後駆動ばねの付勢力によって走行完位置まで回転して停止する。これが図37の状態である。次に所定の時間をおいて不図示のモータが回転を始め、連動しているセット部材3が回転を始め、先カム3aが先レバーのカムフォロア2bに当接する。先カム3aにより先レバーのカムフォロア2bが動かされることで先レバー2がチャージされる。
後レバー1も同様に後カム3bによりチャージされる。先カム3a、後カム3bがそれぞれのカムフォロア2b、1bに接するタイミング、接してからのチャージ速度を決定するカム面はそれぞれ自由に設定できる。図38に示すチャージ途中の状態を経て、先レバー2の鉄片2aが先レバー用電磁石に接触してからもさらにセット部材3は回転を続け、先レバー2はオーバーチャージ状態になる。後レバー1も同様である。
本実施形態ではその後、先レバー用電磁石により先レバー2が吸着保持され、先カム面3aは先レバー2のカムフォロア2bから退避する。さらにセット部材3は回転を続け、セット部材3が先レバー2の走行を阻害しない位置まで回転したタイミングでモータが停止し、セット部材3の回転も止まる。これで図35の状態に戻ることになる。
このようにシャッタは、その動作中にさまざまな状態を取るため、適宜カメラ側はシャッタの状態を把握する必要がある。たとえば、後レバー1の走行前にセット部材3が正しい位相で停止していなければ、後レバー1走行時にセット部材3に衝突してしまうし、後レバー1の鉄片1aが電磁石に当接する前に電磁石を励磁してしまうと鉄片1aが勢いよく電磁石に接触してしまい吸着面が破損してしまうといった問題が発生してしまう。
また、シャッタの状態として、鉄片が電磁石に接触するときにゆっくり接触するように異なる傾斜のカム面を設定する場合や、カムからカムフォロアが離れるタイミングがゆっくりになるように異なるカム面を設ける場合もある。これ以外にも電気的にモータの回転数を制御することでセット部材3の回転速度を変化させ、セット部材3を適正な位置に停止させやすくするといった制御を行う場合もあり、このときの制御開始や終了のトリガーとしてセット部材3や先レバー2、後レバー1の位置を検出して使用することもできる。
ところで、フォトインタラプタ4では遮光と解放の2パターンの検出しかできないため、本来であれば2状態の検出しか対応できない。しかし、2パターンの位置検知でもセット部材3、先レバー2、後レバー1の3種類の部品それぞれの位置を3つのフォトインタラプタ4を用いて検知することで、その組み合わせによって図39のように8通りの状態を検知できるように構成することが可能となる。
すなわち、図39に示すように、シャッタの動作状態を、それぞれの状態における各フォトインタラプタ4の出力状態が重複しないように割り当てた8つの状態に分ける。
また、1種類の部品であっても、たとえばA位置では遮光、B位置では解放、C位置では遮光、D位置では解放となるようにフォトインタラプタの遮蔽部5を構成することで4パターンの位置を検知できる。この場合遮光と解放が2回ずつあるためA位置とC位置、B位置とD位置が同じ状態と判定されないように、初期位置からの遮光、解放の回数をカウントすることで、状態を混同しないようにすることができる。もしくは、A位置とC位置、B位置とD位置の検出時間が異なるように、遮蔽部5の周方向の長さを変更することで、直前の位置の検出状態(時間)から位置を判断することができる。
また、これらを同時に行い、切り替わり回数のカウントと数種類の部品の状態を組み合わせることで、さらに細かい状態把握も可能となる。
すなわち、図39に示すようにシャッタの動作状態を8つの状態に対し、2つのフォトインタラプタ4における解放回数(切り替わりの回数)をカウントすることで検出してもよいし、1つのフォトインタラプタ4の解放回数(切り替わりの回数)をカウントすることによって検出してもよい。
また、図39に示すようなシャッタの動作状態をさらに細かい分類に分けて多数の動作状態を検出する際に、各状態から他の状態に遷移したことを各フォトインタラプタ4によって検出した時点からの経過時間を用いて判断してもよい。
すなわち、CPUが、フォトインタラプタ4からの出力の変化を検出した時点からカウントを開始し、所定カウント数を経過することによって、他のシャッタ動作状態に遷移したと判定してもよい。
このように、フォトインタラプタなどの光学検出可能な素子を用いることによって、シャッタの動作状態の把握を、従来のマイクロブラシ等を用いた検出素子よりも小型に実現することができる。
ここで、フォトインタラプタを遮光、解放させる遮蔽部5は、動作する部品それぞれに一体的に作製するとガタもなく効果的である。しかし遮蔽部5を設けると、遮蔽部5がない場合に比べて大きなコストアップにつながる場合がある。
そこで本実施形態においては、図40のように、セット部材3を遮蔽部3c、カム部3d、ギア部3eの3部品に分割することで、型構造が複雑にならないようにし、型費や部品費のコストアップを抑えることができる。
また、一般に部品を分割して設ける場合は部品同士のガタが問題になるが、図40のように、ひとつの部品で軸部3gを構成し、それに対して他の部品を取り付けるようにすることで、スラスト方向のガタを部品一体に作成した時と同様にすることができる。取り付ける部品を軸部に対して圧入にすることで、さらにラジアル方向のガタも、部品を一体で作製した場合と同等にすることができる。本実施形態では一例として、セット部材3を分割した様子を図に示しているが、状態を把握したい他の部品でも同様である。
上記実施形態においては、電子先幕制御によるライブビューモードを実現するものを説明したが、これに限られるものではなく、ライブビュー状態から先羽根群を別途設けられた機構で展開させてから先後の羽根群を使って露出動作を行うものであってもよい。
本実施形態は第一実施形態にも適用可能であり、例えば、PI1〜PI3等に適用可能である。
本実施形態のシャッタ構造をまとめると以下の通りである。
すなわち、本実施形態のシャッタ構造は、
露光用の開口部を有する開口形成部材と、
前記開口部を開閉するべく前記開口形成部材の主面に沿って移動可能に設けられた第1羽根部材および第2羽根部材と、
前記第1の羽根部材を駆動する第1伝達部材と、
前記第2の羽根部材を駆動する第2伝達部材と、
一方向に付勢され、付勢力に抗して回転し前記第1伝達部材をチャージ位置に移動させる第1駆動部材と、
一方向に付勢され、付勢力に抗して回転し前記第2伝達部材をチャージ位置に移動させる第2駆動部材と、
前記第1駆動部材の位相を検出するための第1光学検出手段と、
前記第2駆動部材の位相を検出するための第2光学検出手段と、
モータと、
前記モータの駆動力を前記第1駆動部材及び前記第2駆動部材に伝達するための伝達カムとを備え、
前記伝達カムの位相を検出するための第3光学検出手段を有する。
また、前記第1光学検出手段、前記第2光学検出手段および前記第3光学検出手段の検出結果の組み合わせに基づいてシャッタ状態を判別する。
また、前記第1光学検出手段は前記第1駆動部材に設けられた遮蔽部に対向する位置に設けられたフォトインタラプタであり、
前記第2光学検出手段は前記第2駆動部材に設けられた遮蔽部に対向する位置に設けられたフォトインタラプタであり、
前記第3光学検出手段は前記伝達カムに設けられた遮蔽部に対向する位置に設けられたフォトインタラプタである。
また、本実施形態の撮像装置は、前記第1光学検出手段または前記第2光学検出手段または前記第3光学検出手段における検出結果の切り替わり回数に基づいて、シャッタ状態を判別する上記シャッタ構造を備える。
また、本実施形態のフォーカルプレンシャッタは、
前記第1駆動部材、前記第2駆動部材及び前記伝達カムはそれぞれ、
軸部と、
光学検出のための遮蔽部とを有し、
前記軸部と前記遮蔽部とはそれぞれ別体で構成されている。
本発明は上記実施の形態に制限されるものではなく、本発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、本発明の範囲を公にするために、以下の請求項を添付する。