JP7211121B2 - 電力変換器、及び制御方法 - Google Patents
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Description
一方、自励式変換器では、直流電圧を半導体スイッチで切り刻んで交流回路に交流電圧として発生させて、交流系統電圧と自励式変換器の発生電圧とを交流リアクトル(または変圧器のリアクタンス)で接続して電力のやり取りをするものである。このため自励式変換器では、交流系統電圧がなくても転流動作(変換器動作)が可能である。交流系統電圧が不要であることから、自励式変換器では、直流電圧を交流電圧に変換し、電源として機能する動作も可能である。にもかかわらず、系統間を直流で分断し安定度を向上させる直流送電設備や異なる周波数の系統同士の連系に用いられる周波数変換設備などの電力変換設備では、自励式変換器を電源とするような制御は行われてこなかった。
一方、上述したように自励式変換器は交流系統に電圧がなくても転流動作(変換器動作)が可能であるが、自励式変換器では、直流電圧を交流電圧に変換して同期発電機のない単独系統の電源とするような制御は行ってはいなかった。現状は、電圧型自励式変換器を用いて、交流電流制御による潮流制御を行っている。
このような水力発電設備の利用方法と同様の動作が可能な直流送電設備があれば、例えば水力発電設備が利用できなかった場合にも、大規模停電時の系統復旧に対する信頼度が向上する。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。図1は、本実施形態に係る系統連系ISの一例を示す図である。系統連系ISは、第1系統A1と、第2系統B1と、直流送電設備D1とを備える。
第1系統A1は、一例として50Hzの周波数の系統であり、広範囲停電の状態にある。第2系統B1は、一例として60Hzの周波数の系統であり、健全な状態にある。
直交変換部10は、直流電力供給部2から供給される入力電力DPを、交流電力に変換する。ここで直流電力供給部2から供給される入力電力DPは、直流電力供給部2から直流電圧として供給される。直交変換部10は、変換した交流電圧を出力電圧VOとして充電対象3に供給する。ここで充電対象3は、例えば、図1の所内負荷A111である。
周波数算出部114は、有効電力偏差取得部113が取得した有効電力偏差ΔPに基づいて、出力電圧VOの角周波数ωを算出する。なお、角周波数と周波数とは対応しているため、本明細書では、角周波数と周波数とを区別せず、角周波数のことを周波数という場合がある。
三相/dq変換部119は、連系運転時には、充電対象3との連系点の電圧として出力電圧VOの値を取得し、三相二相変換を行う。三相/dq変換部119は、自立運転時には、内部信号生成部117から供給される内部信号に基づいて三相二相変換を行う。すなわち系統電圧位相検出部118では、連系運転時には充電対象3との連系点電圧の位相および周波数に一致した値が演算され、また自立運転時には周波数算出部で算出された角周波数と内部信号生成部117から供給される信号の位相に一致した値が演算される。
交流電圧制御部116は、出力電圧VOの値を取得し、出力電圧VOが示す交流電圧の値と、交流電圧基準値設定部111の制御結果とに基づいて、交流電圧の振幅を算出する。
内部信号生成部117は、交流電圧制御部116が算出した交流電圧の振幅と、系統電圧位相検出部118が検出した出力電圧VOの位相に基づいて、内部信号を生成する。
dq/三相変換部120は、電流制御部122の制御結果と、三相/dq変換部119によって三相二相変換された交流電圧値に基づいて、二相三相変換を行う。なお、電流制御部122は連系運転中に動作させるため自立運転中は電流制御部のリミッターを閉じるようにする。
制御部11aでは、内部信号生成部117aが内部信号を、三相/dq変換部119aではなく、ゲートパルス発生部121aに供給する点が、図3の制御部11と異なる。
周波数制御部112aは、図3の三相/dq変換部119の代わりに三相/dq変換部119aを備える。
三相/dq変換部119aは、連系運転時または自立運転時によらず、充電対象3に供給される出力電圧VOを取得し、出力電圧VOが示す交流電圧の値に基づいて三相二相変換を行う。
ステップS30:有効電力偏差取得部113は、ステップS20において有効電力偏差ΔPを算出することによって有効電力偏差ΔPを取得する。したがって、有効電力偏差取得部113は、入力電力DPから変換された交流電力である出力電力の値である出力電力値APと出力電力目標値APOとの差である有効電力偏差ΔPを取得する。
ステップS50:周波数制御部112は、ステップS40において周波数算出部114が算出した角周波数ωに基づいて、直交変換部10が充電対象3を充電する出力電圧VOを制御する。
図21は、公知のトルク特性グラフG0の一例を示す図である。トルク特性グラフG0は、公知の誘導電動機の回転速度と、軸トルクとの関係を示すグラフである。誘導電動機の安定領域における力行状態では、軸トルクが大きくなると、軸トルクが大きくなることに応じて滑りが大きくなり(同期速度より小)、回生状態では、回生トルクが大きくなると回生トルクが大きくなることに応じて負の滑り(同期速度より大)になる。
上述した公知の誘導電動機のトルク特性のように、電力変換器1の周波数制御処理では、電力変換器1から第1系統A1(火力発電設備の発電機A112)に供給される出力電力POが出力電力目標値APOよりも大きくなる場合には、角周波数ωに対応する回転速度を同期速度よりも小さくする。一方、電力変換器1の周波数制御処理では、出力電力POが出力電力目標値APOよりも小さくなる場合には、角周波数ωに対応する回転速度を同期速度よりも大きくする。
モデル系統Mでは、自立運転から連系運転への運転切替MCが行われる。自立運転では、電力変換器1はCVCFモードにおいて運転が行われる。モデル系統Mでは、火力発電設備の発電機A112が自立運転中の直流送電設備D1に連系した後に、直流送電設備D1の自励式直流送電の制御モードを交流電圧制御(AC-AVR)から定電力制御(APR)に変更する。
偏差取得部(この一例において、有効電力偏差取得部113)は、直流電力から変換された交流電力である出力電力の値(この一例において、出力電力値AP)と所定の基準値(この一例において、出力電力目標値APO)との差である偏差(この一例において、有効電力偏差ΔP)を取得する。
周波数制御部112は、電力系統(この一例において、第1系統A1)との連系を行わない自立運転時において、偏差取得部(この一例において、有効電力偏差取得部113)が取得する偏差(この一例において、有効電力偏差ΔP)に基づいて出力電圧VOの角周波数ωを制御する。
図11、及び図12に示す有効電力、及び無効電力は、図17に示す有効電力、及び無効電力に比べて変動が小さく、電力変換器1の周波数制御処理によって電力動揺が抑制されていることがわかる。
そこで本実施形態に係る電力変換器1では、例えば、低減電圧で電力系統(この一例において、第1系統A1)を充電し、変圧器など全電圧では大きな電流が流れるようなものは、低減電圧中に操作し、充電完了後に完了信号を受信して全電圧にする。
図13では、電力変換器1の低減電圧処理によって出力電圧VOの値は、自立運転開始時からランプ状に段階的に増加している。図18では、出力電圧は自立運転開始時から第1系統A1の全電圧に対応する電圧となっている。
図13の低減された出力電圧VOでの電流は、図18の全電圧時の電流に比べて電流値が小さく、電力変換器1の低減電圧処理によってインラッシュ電流が抑制されていることがわかる。
図15に示すように、変圧器投入時に電力変換器1が第1系統A1に供給する出力電力POの電流の変動が抑制されている。また、図16に示すように、変圧器投入時に変圧器の電流の変動が抑制されている。つまり、電力変換器1の電力基準値切替処理によってインラッシュ電流が抑制さていることがわかる。
上述した実施形態の系統連系ISにおいては、自励式の直流送電設備D1の片側である電力変換器1を自立運転して大規模停電中の系統の初期電源とし、定格容量の大きな同期発電機の並列運転を可能にして系統復旧を容易にする一例について説明したが、これに限らない。
図19及び図20を参照し、自励式の直流送電設備D1を備える系統連系ISの変形例について説明する。
系統連系ISaでは、系統復旧のための初期電源としての容量を拡大させるため同一地点の複数の直流送電設備を並列して自立運転させる。
系統連系ISbでは、容量拡大のため火力発電設備A11に加えて蓄電池システムA12が並列運転され、直流送電設備D1bによる自立運転が可能である。
なお、上述した実施形態においては、周波数制御部が出力電圧の周波数を制御する場合、つまり電圧の周波数を制御する場合について説明したが、これに限らない。周波数制御部は、電圧の周波数に代えて、電力の周波数や、電流の周波数に基づいて制御を行ってもよい。
Claims (3)
- 電力系統に交流電力を供給する電力変換器であって、
直流電力から変換された交流電力である出力電力の値と所定の基準値との差である偏差を取得する偏差取得部と、
前記電力系統との連系を行わない自立運転時において、前記偏差取得部が取得する前記偏差に基づいて前記出力電力の電圧である出力電圧の周波数を制御する周波数制御部と、
前記電力系統の充電状態に基づいて前記出力電圧を目標値から低下させる出力電圧基準値設定部と、
を備える電力変換器。 - 自立運転から連系運転への切替時における前記出力電力の制御の有効電力の基準値としての前記切替時の直前の自立運転時の有効電力の値、及び無効電力の基準値としての前記切替時の直前の自立運転時の無効電力の値を設定する出力基準値設定部
をさらに備える請求項1に記載の電力変換器。 - 電力系統に交流電力を供給する電力変換器の制御方法であって、
直流電力から変換された交流電力である出力電力の値の偏差を取得する偏差取得過程と、
前記電力系統との連系を行わない自立運転時において前記偏差取得過程によって取得される前記偏差に基づいて前記出力電力の電圧である出力電圧の周波数を制御する周波数制御過程と、
前記電力系統の充電状態に基づいて前記出力電圧を目標値から低下させる出力電圧基準値設定過程と、
を有する制御方法。
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