JP7209347B2 - 給湯装置、給湯プログラムおよび給湯方法 - Google Patents
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Description
給湯装置は、たとえば給湯管のみの配管で供給する、所謂単管式の場合や複数の給湯負荷に対して湯を供給する中央給湯方式の場合、給湯負荷の変動が少ないため、フレームロッドが設置されていないバーナー部のみの燃焼が継続する場合がある。この場合、給湯装置では、バーナーの燃焼状態の監視およびその燃焼改善が行えない状態が続くおそれがある。
斯かる課題について、特許文献1には開示や示唆はなく、特許文献1に開示された構成では斯かる課題を解決することができない。
上記給湯装置において、前記燃焼制御部は、前記第2の燃焼モードが継続して設定された後の次回の燃焼運転開始時に、前記燃焼部を第1の燃焼モードで燃焼させてよい。
上記給湯装置において、さらに、前記バーナーに給気する給気ファンを備え、前記燃焼調整制御部は、前記燃焼部の燃焼状態が設定条件を満たすように前記給気ファンの回転数を調整してよい。
上記目的を達成するため、本発明の給湯プログラムの一側面は、コンピュータで実現する給湯プログラムであって、給湯要求に応じて設定される燃焼部の燃焼モードを監視する機能と、炎の燃焼状態情報を検出する炎センサーが設置された第1のバーナー部を燃焼させない第2の燃焼モードが継続している場合、給湯設定温度または給水量を調整して少なくとも前記第1のバーナー部を燃焼させる第1の燃焼モードに変更する機能と、前記炎センサーで検出した前記第1のバーナー部の燃焼状態情報を取り込み、前記第1のバーナー部および前記第1のバーナー部と異なる本数のバーナーを含む第2のバーナー部を備えた前記燃焼部の燃焼調整処理を実行する機能とを含む。
上記目的を達成するため、本発明の給湯方法の一側面は、給湯要求に応じて設定される燃焼部の燃焼モードを監視し、炎の燃焼状態情報を検出する炎センサーが設置された第1のバーナー部を燃焼させない第2の燃焼モードが継続している場合、給湯設定温度または給水量を調整して少なくとも前記第1のバーナー部を燃焼させる第1の燃焼モードに変更し、前記炎センサーで検出した前記第1のバーナー部の燃焼状態情報を取り込み、前記第1のバーナー部および該第1のバーナー部と異なる本数のバーナーを含む第2のバーナー部を備えた燃焼部の燃焼調整処理を実行する処理を含む。
(1) 炎センサーで燃焼状態が検出できない燃焼モードで燃焼が継続した場合、燃焼モードを変更して燃焼状態の監視および燃焼改善を行うことで、給湯装置の安全性の向上や燃焼による環境負荷の軽減などが図れる。
(2) 複数の区分に分けたバーナー部の一部にのみ設置した炎センサーを利用し、給湯要求による燃焼モードに応じた監視処理を行うことで、部品数を削減しつつバーナーの燃焼状態を把握することができる。
(3) 給湯要求による燃焼制御に関わらず、定期的または定量的に燃焼状態を監視することができ、給湯装置の信頼性の向上が図れる。
(4) 燃焼状態の監視処理において、給湯温度が設定温度よりも低下し、または上昇するのを防止でき、湯温を安定させることができる。
<給湯装置2>
図1は、第1の実施の形態に係る給湯装置の構成例を示している。図1に示す構成は一例であり、本発明が斯かる構成に限定されない。
この給湯装置2は、たとえば図1に示すように、燃料ガスを燃焼して高温の燃焼排気を発生させる燃焼部4と、少なくとも燃焼部4の燃焼の制御機能や燃焼状態の監視機能および調整処理機能を含む制御部5を備える。給湯装置2は、燃焼部4と制御部5が同一の筐体内に収納されてもよく、または燃焼部4および図示しない給湯機能部が収納された筐体の外部に制御部5が設置されてもよい。
燃焼部4のバーナーは、複数本のバーナーを数本ずつ異なる本数にまとめて区分けした第1のバーナー部6-1、第2のバーナー部6-2を含む。
給湯装置2は、被加熱流体である湯や水または熱媒を第1のバーナー部6-1、第2のバーナー部6-2のいずれか、または両方で生成した燃焼排気と熱交換させて出湯させ、または浴槽水の加熱、その他熱負荷に対する熱の供給を行う。第1のバーナー部6-1と第2のバーナー部6-2は、異なる本数のバーナーを備えている。これにより第1のバーナー部6-1、第2のバーナー部6-2は、異なる燃焼能力を有しており、それぞれ単独で燃焼する場合およびこれらを組み合せて燃焼することで、給湯要求に対応した給湯能力を発揮できる。
燃焼制御部10は、第1のバーナー部6-1、第2のバーナー部6-2の燃焼状態を制御する手段の一例であり、バーナーの燃焼状態を監視し、燃焼改善処理として、第1のバーナー部6-1、第2のバーナー部6-2の燃焼量や燃焼段数の設定のほか、燃焼モードの変更などを指示する。
燃焼調整制御部12は、バーナーの燃焼状態を監視するとともに、燃料ガスGと空気の混合比率を調整して燃焼状態を調整する手段の一例である。制御部5は、炎センサー8で検出した燃焼状態情報を燃焼調整制御部12で取込み、燃焼状態を判断する。そして燃焼調整制御部12は、判断結果に応じて燃焼部4に対して燃焼調整指示を出力する。
給湯装置2の燃焼部4には、バーナーの燃焼制御として、給湯要求に対して必要な燃焼量を調整するために燃焼段数が設定されている。
この燃焼段数は、たとえば第1のバーナー部6-1のみを燃焼させる1段燃焼、第2のバーナー部6-2のみを燃焼させる2段燃焼、全てのバーナーを燃焼させる3段燃焼が含まれる。給湯装置2の給湯能力は、燃焼部4の燃焼段数により設定される。通常の給湯運転において、1段燃焼は、燃焼量が少なく、たとえば3号~8号の燃焼能力が得られる。2段燃焼は、中程度の燃焼量であり、たとえば6号~16号の燃焼能力が得られる。3段燃焼は、燃焼量が多く、たとえば9号~24号の燃焼能力が得られる。
この給湯装置2では、たとえば図2のAに示すように、燃焼部4が2段燃焼で燃焼する場合、第1のバーナー部6-1の燃焼を停止させる第2の燃焼モードとなり、炎センサー8による燃焼状態の監視が行えない。制御部5では、第2の燃焼モードが長時間継続し、または第2の燃焼モードが断続して、設定されている積算時間が一定以上となった場合、少なくとも第1のバーナー部6-1を燃焼させる第1の燃焼モードで燃焼制御を行う。この第1の燃焼モードでは、2段燃焼が設定されている燃焼部4に対し、たとえば図2のBに示すように第1のバーナー部6-1のみが燃焼する1段燃焼に切替え、または図2のCに示すように第2のバーナー部6-2とともに第1のバーナー部6-1を燃焼させる3段燃焼を行う。
図3は、給湯制御の処理手順の一例を示している。図3に示す処理手順、処理内容は一例であり、本発明が斯かる構成に限定されない。また、この給湯処理は本発明の給湯プログラムまたは給湯方法の一例を示している。
給湯装置2は、給湯要求に応じて燃焼部4の燃焼量を設定する(S11)。この燃焼量の設定処理では、たとえば給湯設定温度、入水温度、入水流量などにより燃焼量が算出される。そして制御部5は、算出された燃焼量によって燃焼部4の燃焼段数を設定する。
制御部5は、燃焼部4の監視処理として、設定した燃焼段数から燃焼モードを確認する(S12)。
制御部5は、燃焼部4が燃焼状態情報を検出できない燃焼モードが所定時間継続しているか否かを判断する(S13)。つまり、2段燃焼により第2の燃焼モードが継続して設定されているか否かを判断する。制御部5は、燃焼状態情報を検出できない燃焼モードが継続している場合(S13のYES)、燃焼モードの変更指示を出力する(S14)。制御部5は、2段燃焼が設定されている燃焼部4に対し、たとえば燃焼量を増減させてバーナーを1段燃焼または3段燃焼させる。さらに、制御部5は、燃焼部4の燃焼モードを変更させる場合、第1のバーナー部6-1と第2のバーナー部6-2のいずれかまたは両方の燃焼範囲を変更させてもよい。つまり制御部5は、たとえば給湯要求に対応可能な燃焼能力として、1段燃焼または3段燃焼を選択するとともに、1段燃焼の燃焼範囲の上限を引き上げ、または3段燃焼の燃焼範囲の下限を引き下げてもよい。
この燃焼部4の燃焼調整Fでは、燃焼状態の監視(S15)と燃焼調整処理(S16)を繰り返し行って、設定された条件を満たすようにバーナーの燃焼を調整すればよい。
斯かる構成によれば、次のいずれかの効果が得られる。
(1) 給湯要求に関わらず、燃焼部の燃焼状態の監視処理および燃焼調整処理が実行でき、燃焼部の燃焼状態を把握し、また燃焼状態の調整が行えるので、給湯装置の信頼性が高められる。
(2) 複数の区分に分けたバーナーの一部にのみ設置した炎センサーを利用して、バーナーの燃焼状態の監視処理が行えるので、部品数を削減できる。
(3) 給湯要求に関わらず、定期的に燃焼部の燃焼状態を把握し、その監視結果によって燃焼部の状態を改善することで、燃焼部で生成される燃焼排気による環境負荷を低減できる。
(4) 燃焼状態の監視処理において、給湯温度が設定温度よりも低下し、または上昇するのを防止でき、湯温を安定させることができる。
図4は、第2の実施の形態に係る給湯装置の構成例を示している。図4に示す構成は一例であり、本発明が斯かる構成に限定されない。図4において図1と同一部分には同一符号を付している。
この記憶部20は、給湯処理や燃焼部の監視や燃焼調整処理を行った後の燃焼状態情報などを記憶する手段の一例である。
タイマー22は、第1のバーナー部6-1、第2のバーナー部6-2の燃焼積算時間や給湯時間などを計時する手段の一例である。タイマー22による計時情報は、たとえば燃焼状態情報とともに、記憶部20に記憶されてよい。
また、記憶部20は、たとえば図4のBに示すように、燃焼モード設定情報24や炎センサー8から検出した燃焼状態情報26、燃焼調整情報28、積算時間情報30などが記憶される。
燃焼モード設定情報24は、たとえば燃焼状態を監視できない第2の燃焼モードで燃焼する燃焼部4に対し、燃焼監視条件に達したときに第1の燃焼モードに変更させる指示情報である。この指示情報は、たとえば給湯要求に対する設定温度の増減や、給水量の調整、その他の方法が含まれる。
燃焼状態情報26は、炎センサー8が検出した情報の一例である。
燃焼調整情報28は、検出した燃焼状態情報に基づいてバーナーや給気ファン18に対する調整処理内容の一例である。
積算時間情報30は、少なくとも給湯装置2が2段燃焼(第2の燃焼モード)で継続する積算時間情報の一例であり、その他、全体の給湯運転時間などを含んでもよい。
図5は、給湯運転処理例を示している。図5に示す処理手順、処理内容は一例であり、本発明が斯かる構成に限定されない。また、この給湯運転制御は本発明の給湯プログラムまたは給湯方法の一例を示している。
給湯装置2の制御部5は、燃焼部4の監視処理として、設定されている燃焼段数から燃焼モードを確認する(S21)。
制御部5は、燃焼状態情報を検出できない第2の燃焼モードで燃焼部4の燃焼か否かを判断する(S22)。つまり、2段燃焼により第2の燃焼モードが設定されているか否かを判断する。第2の燃焼モードでない場合(S22のNO)、通常給湯処理を実行する(S23)。
第2の燃焼モードで燃焼している場合(S22のYES)、タイマー22を利用して、第2の燃焼モードでの積算時間TAの計時処理を行う(S24)。タイマー22で計時した積算時間TAは、記憶部20に積算時間情報30として格納される。
そして燃焼調整制御部12は、たとえば燃焼調整情報28を読み出して、給気ファン18などの機能部の調整を行う(S29)。
この燃焼部4の燃焼調整Fでは、燃焼状態の監視(S28)と燃焼調整処理(S29)を繰り返し行って、設定された条件を満たすようにバーナーの燃焼を調整すればよい。
斯かる構成によれば、次のいずれかの効果が得られる。
(1) 給湯要求の変動が少ない給湯負荷に対して給湯する場合でも、定期的に燃焼状態の監視や燃焼調整処理が実行でき、給湯装置の信頼性や安全性の向上が図れる。
(2) 炎センサー8によって燃焼状態情報が検出できない状態となっている積算時間TAをタイマー22によって監視することで、断続的に給湯が行われる場合でも、バーナーの使用時間によって燃焼状態の監視および燃焼調整処理に移行させるので、給湯装置2の安全性を向上させることができる。
(3) 複数本ずつに区分けしたバーナーを組み合せて燃焼能力を調整するバーナーにおいて、全てのバーナー部に炎センサーを設置せずに、燃焼状態の監視や燃焼調整処理が行えるので、部品数が削減でき、省コスト化に貢献できる。
図6は、実施例1に係る給湯装置40を示している。図6において、図1、図4と同一部分には同一符号を付してある。
この給湯装置40は、たとえば図6に示すように、燃料ガスGを供給するガス供給管14-1、14-2や、給水Wを取り込む給水管42、加熱された湯HWを出湯する給湯管44が接続されている。給湯装置40は、ガス供給管14-1、14-2を通じて取り込んだ燃料ガスGを燃焼して燃焼排気を生成する。そして給湯装置40は、給水管42から取り込んだ低温の給水Wを燃焼排気と熱交換させて温水HWを生成し、給湯管44から出湯させる。
燃焼室46には、バーナー部6-1のガス噴出孔付近に点火プラグ60やフレームロッド62が設置される。点火プラグ60は、たとえば燃焼室46の外部に設置されたイグナイター64に接続されており、バーナー部6-1に着火させる。バーナー48は、たとえばバーナー部6-1が点火した後、バーナー部6-1の炎を利用してバーナー部6-2を点火させる。
フレームロッド62は、バーナー部6-1の燃焼状態の監視および燃焼調整に利用する炎センサーの一例である。
なお、さらに燃焼室46には、たとえばバーナー部6-1、6-2の着火状態のみを検出するフレームロッドを備えてもよい。
熱交換器52は、排気経路の上流側に設置されており、熱交換器50で熱交換した給水Wとの間で熱交換することで、主として燃焼排気の顕熱を回収する一次熱交換器の一例である。
熱交換器50、52は直列に接続され、熱交換器52からの温水HWが出湯管76に流れる。この出湯管76には温度センサー78、水制御弁80が設置されている。温度センサー78は熱交換器52の出口側に流れる温水HWの出湯温度を検出する。水制御弁80は、開閉により給湯の有無を規制するが、バイパス管74を通して給水Wと温水HWとを混合するミキシング室を兼用している。給湯管44に設置される温度センサー82は、給湯装置40から出湯される湯HWの温度を検出する手段であり、水制御弁80により給水Wを混合した湯HWの温度を検出する。
給湯装置40は、水制御弁80の開閉により給水Wの取込み、湯HWの出湯を制御している。すなわち、給湯装置40は、水制御弁80を開状態として給水Wが流入可能な状態にすると、給水源からの水圧によって給水Wが給水管42に流入する。
図7は、制御装置の構成例を示している。
この制御装置90はコンピュータで構成されており、たとえば図7に示すように、プロセッサ92、メモリ部94、表示部96、タイマー22、外部のリモコン装置100と通信する通信部98および入出力部(I/O)102を含む。
プロセッサ92は、たとえばメモリ部94にあるプログラムを実行し、給湯装置40の給湯制御、バーナー部6-1、6-2の燃焼制御や燃焼状態の監視および燃焼調整処理などの情報処理を行う。
メモリ部94は、給湯制御や燃焼状態監視処理などのプログラムや、検出した燃焼状態情報などを格納する記憶手段であり、ROM(Read-Only Memory)、RAM(Random-Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory )などの記憶素子を備える。
表示部96は、給湯要求である設定温度情報を表示するほか、燃焼状態の監視や燃焼調整処理などの実行中の処理内容や報知情報などを表示する手段の一例である。表示部96には、たとえばLCD(Liquid Crystal Display)などが用いられる。
タイマー22は、燃焼状態の監視処理において第2の燃焼モードの燃焼時間を計時する手段の一例である。このタイマー22は、たとえば制御基板上に実装されるハードウェアクロックを利用してもよく、またはOS(Operating System)などの制御プログラムで計時するソフトウェアクロックを利用してもよい。
通信部98は、プロセッサ92の制御により、リモコン装置100との通信を行い、給湯制御などに必要な情報やバーナーの燃焼状態の監視結果、その他、バーナーの燃焼改善処理などの情報交換を行う。
図8は、燃焼状態の監視処理例を示している。
フレームロッド62は、たとえば燃焼中の炎に接触させることで、その炎の状態に応じて変化する燃焼状態情報を検出する炎センサーの一例である。燃焼中の炎の形状を示している図8のA中の「FRA」が、フレームロッド62が炎に接触している部位である。フレームロッド62は、炎の高さに応じて変化する燃焼状態情報として、炎電流値を検出している。
図8のBは、燃焼中の炎の部位と電流値との関係を示している。炎の中心部付近(PB)では検出される炎電流値が最大となり、それよりもバーナーに近い高さのPAや、炎の先端側のPCの位置では炎電流値が減少する。つまり、炎の中心部付近から離れるに従って電流値が減少する。すなわち、フレームロッド62は、配置位置が固定されているため、バーナーの燃焼状態に応じた炎の形状変化を電流値を利用して監視できる。つまり炎が小さくなり、PBがFRAに近づくと電流値が大きくなる。炎が大きくなり、PBがFRAから離れると、電流値が小さくなる。
制御装置90は、検出した電流値と炎の形状変化との関係を利用し、バーナー48の燃焼改善を行う。この燃焼改善処理では、たとえばバーナー48に対して空気を送る給気ファン54の回転数の調整を行う。
制御装置90は、たとえばフレームロッド62を利用して検出した電流値が理想値より大きい場合には、給気ファン54の回転数を増加させ、電流値が理想値より小さい場合には、給気ファン54の回転数を減少させる制御を行う。
図9は、燃焼状態の監視処理を実行するタイミングの一例を示している。図9に示す処理内容や処理タイミングは一例である。
制御装置90は、たとえば図9のAに示すように、2段燃焼での給湯処理が断続的に継続する場合、タイマー22を利用してそれぞれの燃焼時間t1、t2、・・・・、tnを計時する。給湯装置40は、メモリ部94に計時した燃焼時間を積算して記憶していき、その積算時間TAが所定時間TXとして、たとえば30時間を超えると、燃焼状態監視の処理モードが設定される。そして、給湯装置40は、次回の給湯運転開始時に燃焼状態監視の処理として、給湯要求に関わらず、一定時間TCである、たとえば10〔秒〕間に、強制的に第1の燃焼モード(1段燃焼または3段燃焼)で燃焼させた後、給湯要求に応じた段数で燃焼を行う。
そのほか、制御装置90は、たとえば積算時間TAが所定時間TXを超えた後の次回の給湯運転開始までの経過時間TBを計時しておき、この経過時間TBの長さに応じて、次回の給湯運転時の燃焼能力を設定してもよい。
図10は、給湯運転処理例を示している。図10に示す処理手順、処理内容は一例であり、本発明が斯かる構成に限定されない。また、この給湯制御が本発明の給湯プログラムまたは給湯方法の一例を示している。
制御装置90は、燃焼部4の監視処理を行い、第2の燃焼モードで給湯処理が行われていることを監視する。ステップS31~ステップS34は、図5のステップS21~ステップS23、ステップS26と同様の処理を行えばよい。
図11は、燃焼改善処理例を示している。図11に示す処理内容や処理手順は一例であり、本発明が斯かる構成に限定されない。
この燃焼改善処理は、燃焼部4の調整処理の一例であり、たとえば燃焼状態の監視結果に基づいて、空気供給量の調整を行う。
制御装置90は、フレームロッド62が検出した炎電流値を取得し(S51)、燃焼部4の燃焼条件により炎電流値の理想値を取得する(S52)。この炎電流値の理想値は、給気ファン54による理想給気量、またはその回転数の情報であり、給湯装置40のメモリ部94に格納されてもよく、または通信手段により外部データベースなどから取得してもよい。
制御装置90は、炎電流値が理想値未満であると判断した場合(S53のYES)、給気ファン54の回転数をマイナス側に補正(S54)する。
制御装置90は、炎電流値が理想値未満でなければ(S53のNO)、炎電流値が理想値より大きい値かを判断する(S55)。制御装置90は、炎電流値が理想値より大きい値の場合(S55のYES)、給気ファン54の回転数をプラス側に補正する(S56)。
また、制御装置90は、炎電流値が理想値より大きい値でない場合(S55のNO)、バーナー48の燃焼状態が理想状態であると判断し、給気ファン54の回転数を維持させる。
なお、給気ファン54の回転数の調整量は、給湯装置40の種類や大きさ、給湯可能な号数のほか、給湯装置に対する安全規制基準などの条件により設定される。
この実施例1によれば、次の何れかの効果が得られる。
(1) フレームロッド62が設置されない第2のバーナー部6-2のみを燃焼させる給湯運転が継続しても、燃焼状態の監視や燃焼調整処理を行うことができる。
(2) 燃焼モードに関わらず、バーナー48の燃焼状態の監視や調整処理が行えるので、給湯装置の安全性の確保や信頼性の向上が図れる。
(3) 複数のバーナー部6-1、6-2に区分けされた燃焼部4において、バーナー部6-1、6-2毎にフレームロッド62を備える必要がなく、部品数の削減によるコストの低減が図れる。
(4) 燃焼状態の監視および燃焼部の調整を定期的に実行でき、バーナー48の不完全燃焼、または燃料ガスが過剰な状態での燃焼を回避でき、環境負荷の低減が図れる。
(5) バーナー48を第1の燃焼モードで燃焼させて燃焼状態の監視および調整処理を行うことで、給湯要求を超えた燃焼能力で高温の湯HWが出湯するのを回避でき、給湯装置の利用者の安全性が高められる。
(6) バーナー48を1段燃焼または3段燃焼で燃焼させて燃焼状態の監視および調整処理を行うことで、2段燃焼部分をカバーし、給湯要求を満たす燃焼能力で低温の湯HWまたは高温の湯HWが出湯するのを回避することで、給湯中の温度変化を回避できるので、給湯装置40の利用者の利便性が高められる。
図12は、実施例2に係る給湯装置110を示している。図12において、図1、図4と同一部分には同一符号を付してある。
この給湯装置110では、フレームロッド62を備えない第2のバーナー部6-2のみが燃焼しているときの燃焼状態の監視および燃焼部4の調整処理として、バーナーの燃焼積算時間TAが所定時間TXを超えたタイミングで燃焼可能なバーナーの数を増加させる処理を行う。給湯装置110には、たとえば図12に示すように、燃焼部4や制御部5を備えるとともに、記憶部20内に燃焼モード切替テーブル112が記憶されている。
この燃焼モード切替テーブル112は、2段燃焼中のバーナー48を3段燃焼に強制的に変更させる場合の限界閾値情報の一例である。給湯装置110は、バーナー48の燃焼によって得られる熱エネルギーによって給湯能力である号数が決まる。バーナー48は、たとえば2段燃焼のときに6~16〔号〕の給湯能力を持っている。給湯能力の1〔号〕は、1〔L〕の水を1〔分〕で25〔℃〕上昇させる燃焼量であり、1時間〔h〕当たりの燃焼量が1〔号〕=1500〔キロカロリー/h〕となる。燃焼中のバーナー48の燃焼段数を増加させるために、給湯の設定温度を増加させると、給湯可能な流量が減少する。
給湯装置110のバーナー48には、たとえば過剰な燃焼を防ぎ、熱交換器50、52内での水の沸騰を防ぐために、最低限の流量を示す点火流量が規定されている。そのため、燃焼部4では、設定温度を増加させ過ぎると、第1のバーナー部6-1と第2のバーナー部6-2の両方で燃焼させる点火流量よりも低い流量になり、燃焼段数が上昇できないおそれがある。
給湯装置110は、2段燃焼が継続している場合の燃焼状態の監視および燃焼調整処理において、斯かる燃焼モード切替テーブル112の限界閾値Pを利用しながら、燃焼段数を変更させる。
図14は、給湯運転処理例を示している。図14に示す処理手順、処理内容は一例であり、本発明が斯かる構成に限定されない。また、この給湯運転処理は本発明の給湯プログラムまたは給湯方法の一例を示している。
給湯装置110は、燃焼部4の監視処理を行い、第2の燃焼モードで給湯処理が行われていることを監視する。ステップS61~ステップS64は、図5のステップS21~ステップS23、ステップS26と同様の処理を行えばよい。
給湯装置110は、3段燃焼となった後に、フレームロッド62の検出情報を利用して燃焼状態を監視し(S67)、その監視結果に基づいて燃焼調整処理を行う(S68)。
また給湯装置110は、たとえば設定温度を変更して3段燃焼の着火を確認したときに、強制的に給水管からの給水量を増加させてもよい。
この実施例2によれば、次の何れかの効果が得られる。
(1) 定期的にバーナーの燃焼状態の監視および燃焼部の改善処理が行えるので、給湯装置の信頼性や安全性が高められる。
(2) 給湯要求に応じて大きな燃焼量でバーナーを燃焼させる場合でも、その燃焼量を落とさずにバーナーの燃焼状態を監視できる。
(3) 燃焼状態の監視処理において、給湯温度が低下するのを防止できる。
図15は、実施例3に係る給湯処理の一例を示している。図15に示す処理手順、処理内容は一例であり、本発明が斯かる構成に限定されない。
この給湯処理では、第2の燃焼モードで給湯運転が継続した場合に燃焼部4の燃焼モードを変更する処理において、燃焼部4の燃焼能力の範囲を変更させる処理を行う。
給湯装置40は、給湯運転開始時や給湯要求を受けたときに動作準備(イニシャライズ)を行い(S71)、給湯を開始する。そして制御装置90は、バーナー48が燃焼中か否かを監視し(S72)、バーナー48が燃焼中であれば(S72のYES)、燃焼状態の確認要求があるか否かを判断する(S73)。燃焼状態の確認要求では、たとえば給湯装置の自己診断処理として、既述のように、バーナーの燃焼が第2の燃焼モードで継続して設定されているか否かを判断すればよい。
制御装置90は、燃焼能力の範囲を調整したのち、たとえば10〔秒〕間の燃焼状態の監視処理を行い(S75のYES)、燃焼改善が必要であるか否かを判断する(S76)。
そして制御装置90は、燃焼改善が必要と判断した場合(S76のYES)、燃焼改善処理を実行し(S77)、燃焼状態の確認時間として、たとえば10〔秒〕間、燃焼状態の再監視処理を行って、更なる燃焼改善が必要か否かの判断を行う(S78)。
制御装置90は、燃焼改善が必要無いと判断した場合(S76のNO)、燃焼状態確認処理を解除する(S79)。
制御装置90は、給湯要求の号数が第1の燃焼モードである1段燃焼または3段燃焼でない場合(S81のNO)、すなわち2段燃焼により燃焼状態が監視できていない場合、タイマー22で燃焼状態の自己診断をしていない時間を計測する(S84)。
この実施例3によれば、次の何れかの効果が得られる。
(1) 燃焼部4の燃焼能力の範囲を変更することで、燃焼状態の監視処理および燃焼改善処理の実行時でも給湯要求に応じた給湯を行うことができる。
(2) 定期的にバーナーの燃焼状態の監視および燃焼部の改善処理が行えるので、給湯装置の信頼性や安全性が高められる。
(3) 給湯要求に応じて大きな燃焼量でバーナーを燃焼させる場合でも、その燃焼量を落とさずにバーナーの燃焼状態を監視できる。
(4) 燃焼状態の監視処理において、給湯温度が設定温度よりも低下し、または上昇するのを防止できる。
4 燃焼部
5 制御部
6-1 第1のバーナー部
6-2 第2のバーナー部
8 炎センサー
10 燃焼制御部
12 燃焼調整制御部
14-1、14-2 ガス供給管
16-1、16-2 切替弁
18、54 給気ファン
20 記憶部
22 タイマー
24 燃焼モード設定情報
26 燃焼状態情報
28 燃焼調整情報
30 積算時間情報
42 給水管
44 給湯管
46 燃焼室
48 バーナー
50、52 熱交換器
55 排気口
56 元ガス電磁弁
58 給湯ガス比例弁
60 点火プラグ
62 フレームロッド
64 イグナイター
66 ドレン受け
68、78、82 温度センサー
70 水量センサー
72 混合水制御弁
74 バイパス管
76 出湯管
80 水制御弁
90 制御装置
92 プロセッサ
94 メモリ部
96 表示部
98 通信部
112 燃焼モード切替テーブル
Claims (11)
- バーナーで生成した炎の燃焼状態情報を検出する炎センサーが設置された第1のバーナー部および該第1のバーナー部と異なる本数のバーナーを含む第2のバーナー部とを備えており、これらのいずれか一方または両方が燃焼する燃焼部と、
給湯要求に応じて設定される前記燃焼部の燃焼モードを監視し、前記第1のバーナー部を燃焼させない第2の燃焼モードが継続している場合、少なくとも前記第1のバーナー部を燃焼させる第1の燃焼モードに変更する燃焼制御部と、
前記炎センサーで検出した前記第1のバーナー部の燃焼状態情報を取り込んで、前記燃焼部の燃焼調整処理を実行する燃焼調整制御部と、
を備え、
前記燃焼制御部は、前記第2の燃焼モードの継続を示す監視結果により前記燃焼モードを変更する場合、前記第1の燃焼モードで燃焼させる前記第1のバーナーの燃焼能力の範囲を変更することを特徴とする給湯装置。 - 経過時間を計時するタイマーを備え、
前記燃焼制御部は、前記第2の燃焼モードを設定してから設定時間が経過している場合、一定時間が経過するまで前記燃焼部を前記第1の燃焼モードに変更して燃焼させることを特徴とする請求項1に記載の給湯装置。 - 前記燃焼制御部は、前記第2の燃焼モードが継続して設定された後の次回の燃焼運転開始時に、前記燃焼部を第1の燃焼モードで燃焼させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の給湯装置。
- バーナーで生成した炎の燃焼状態情報を検出する炎センサーが設置された第1のバーナー部および該第1のバーナー部と異なる本数のバーナーを含む第2のバーナー部とを備えており、これらのいずれか一方または両方が燃焼する燃焼部と、
給湯要求に応じて設定される前記燃焼部の燃焼モードを監視し、前記第1のバーナー部を燃焼させない第2の燃焼モードが継続している場合、給湯設定温度または給水量を調整して少なくとも前記第1のバーナー部を燃焼させる第1の燃焼モードに変更する燃焼制御部と、
前記炎センサーで検出した前記第1のバーナー部の燃焼状態情報を取り込んで、前記燃焼部の燃焼調整処理を実行する燃焼調整制御部と、
を備えることを特徴とする給湯装置。 - さらに、前記バーナーに給気する給気ファンを備え、
前記燃焼調整制御部は、前記燃焼部の燃焼状態が設定条件を満たすように前記給気ファンの回転数を調整することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかの請求項に記載の給湯装置。 - コンピュータで実現する給湯プログラムであって、
給湯要求に応じて設定される燃焼部の燃焼モードを監視する機能と、
炎の燃焼状態情報を検出する炎センサーが設置された第1のバーナー部を燃焼させない第2の燃焼モードが継続している場合、少なくとも前記第1のバーナー部を燃焼させる第1の燃焼モードに変更する機能と、
前記炎センサーで検出した前記第1のバーナー部の燃焼状態情報を取り込み、前記第1のバーナー部および前記第1のバーナー部と異なる本数のバーナーを含む第2のバーナー部を備えた前記燃焼部の燃焼調整処理を実行する機能と、
前記第2の燃焼モードの継続を示す監視結果により前記燃焼モードを変更する場合、前記第1の燃焼モードで燃焼させる前記第1のバーナーの燃焼能力の範囲を変更する機能と、
を含むことを特徴とする給湯プログラム。 - 経過時間を計時する機能と、
前記第2の燃焼モードを設定してから設定時間が経過している場合、一定時間が経過するまで前記燃焼部を前記第1の燃焼モードに変更して燃焼させる機能と、
を含むことを特徴とする請求項6に記載の給湯プログラム。 - コンピュータで実現する給湯プログラムであって、
給湯要求に応じて設定される燃焼部の燃焼モードを監視する機能と、
炎の燃焼状態情報を検出する炎センサーが設置された第1のバーナー部を燃焼させない第2の燃焼モードが継続している場合、給湯設定温度または給水量を調整して少なくとも前記第1のバーナー部を燃焼させる第1の燃焼モードに変更する機能と、
前記炎センサーで検出した前記第1のバーナー部の燃焼状態情報を取り込み、前記第1のバーナー部および前記第1のバーナー部と異なる本数のバーナーを含む第2のバーナー部を備えた前記燃焼部の燃焼調整処理を実行する機能と、
を含むことを特徴とする給湯プログラム。 - 給湯要求に応じて設定される燃焼部の燃焼モードを監視し、
炎の燃焼状態情報を検出する炎センサーが設置された第1のバーナー部を燃焼させない第2の燃焼モードが継続している場合、少なくとも前記第1のバーナー部を燃焼させる第1の燃焼モードに変更し、
前記炎センサーで検出した前記第1のバーナー部の燃焼状態情報を取り込み、前記第1のバーナー部および該第1のバーナー部と異なる本数のバーナーを含む第2のバーナー部を備えた燃焼部の燃焼調整処理を実行し、
前記第2の燃焼モードの継続を示す監視結果により前記燃焼モードを変更する場合、前記第1の燃焼モードで燃焼させる前記第1のバーナーの燃焼能力の範囲を変更させる、
処理を含むことを特徴とする給湯方法。 - 経過時間を計時させ、
前記第2の燃焼モードを設定してから設定時間が経過している場合、一定時間が経過するまで前記燃焼部を前記第1の燃焼モードに変更して燃焼させる、
処理を含むことを特徴とする請求項9に記載の給湯方法。 - 給湯要求に応じて設定される燃焼部の燃焼モードを監視し、
炎の燃焼状態情報を検出する炎センサーが設置された第1のバーナー部を燃焼させない第2の燃焼モードが継続している場合、給湯設定温度または給水量を調整して少なくとも前記第1のバーナー部を燃焼させる第1の燃焼モードに変更し、
前記炎センサーで検出した前記第1のバーナー部の燃焼状態情報を取り込み、前記第1のバーナー部および該第1のバーナー部と異なる本数のバーナーを含む第2のバーナー部を備えた燃焼部の燃焼調整処理を実行する、
処理を含むことを特徴とする給湯方法。
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