本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。各実施例では、従来とは異なる新規なアーチ形部材の施工用架台装置とこれを用いた施工方法を採用することにより、従来にないアーチ形部材の施工用架台装置とこれを用いた施工方法が得られ、そのアーチ形部材の施工用架台装置とこれを用いた施工方法について記述する。
以下、本発明の実施例について添付図面を参照して説明する。図1~図14は本発明の実施例1を示し、同図はアーチ形構造物であるスノーシェルター1の例を示す。このスノーシェルター1は、図3に示すように、アーチ形部材である左右のアーチ形ユニット板2,2を組み立ててなり、このアーチ形ユニット板2は、プレキャスト製であって、PC鋼材(図示せず)で緊張したプレストレストコンクリートからなる。
前記左右のアーチ形ユニット板2,2は、その頂部3,3を連結して略半円状に形成され、それらアーチ形ユニット板2,2を道路4の長さ方向に並設すると共に、頂部3,3同士を連結して複数のアーチ形ユニット板2,2により道路4上が覆われる。また、前記道路4の左右両側には、コンクリート基礎5,5が設けられ、これら左右のコンクリート基礎5,5上に前記左右のアーチ形ユニット板2,2の下端部が連結される。尚、この例の道路4は左右の二車線4L,4Rを有するが、道路4は3車線以上でもよい。
前記アーチ形ユニット板2の施工には架台装置11が用いられる。この架台装置11は、道路4の中央に配置する架台中央部12と、前後方向である道路4の長さ方向に並設する複数の架台本体13,13・・・とを備え、これら架台本体13,13・・・は同一形状をなす。前記架台中央部12は前記架台本体13より高く形成され、前記架台本体13の幅は道路4の片側車線の幅員より狭く形成されている。尚、前記架台中央部12は、アーチ形部材の上部の施工に用いられ、例えばアーチ形部材の頂部を支持する際に用いられ、または、頂部同士の連結作業などに用いられ、好ましくは前記架台本体13に比べて高く形成されている。尚、架台中央部12と架台本体13は鋼製などからなる。そして、前記架台本体13は正面視、側面視及び平面視で方形又は長方形の形状をなす。
前記架台中央部12は、前後に間隔を置いて立設された2本の支柱部16,16と、これら支柱部16,16の上部に連結された道路4の長さ方向の上梁部17とを一体に備える。前記支柱部16,16の間隔は、複数台(2台)の前記架台本体13,13が挿通可能な間隔に設定されている。また、前記支柱部16の下端は道路4に接地される。尚、前記上梁部17は前記架台本体13に比べて高い位置にある。
図5に示すように、前記上梁部17と前記支柱部16の上部との間には、鋼材などからなる前後の斜材19,19が配置され、これら前後の斜材19,19の端部は、前記上梁部17の下側のフランジ部17Fの下面と前記支柱部16の側面部とに固定されており、このように斜材19,19を設けることにより上梁部17が安定する。
また、図5に示すように、前記上梁部17は、支柱部16,16の間が上梁中央部17Aであり、支柱部16,16から前後外側が上梁両側部17B,17Bであり、これら上梁両側部17B,17Bの先端は自由端になっている。尚、前記支柱部16は角パイプなどからなり、前記上梁部17はH形鋼などからなり、前記上梁部17のフランジ部17F,17Fは、上下に位置する。
図1及び図5に示すように、上梁部17のフランジ部17F,17F同士はウエブ部17Wにより連結されている。また、前記架台中央部12を前記上梁部17の前記上梁中央部17Aの前後方向中央で分割して2分割してもよく、この場合は分割箇所をボルト・ナット(図示せず)などの連結手段により連結して現場で一体化する。
前記上梁部17の上側のフランジ部17F上には、帯板状の上板部18が固定され、この上板部18は前記フランジ部17Fより道路4の幅方向に幅広に形成されている。また、図4及び図5に示すように、前記上板部18を中央で2分割して分割上板部18A,18Aを形成してもよく、この場合は分割箇所をボルト・ナット(図示せず)などの連結手段により連結して現場で一体化すると共に、上板部18をボルト・ナット(図示せず)などの連結手段により前記上梁部17に固定する。このように上梁部17及び上板部18を道路4の長さ方向に分割して現場で組み立てることにより、運搬が容易となる。
前記架台本体13は、道路4の長さ方向に間隔を置いて平行に配置した前後一対の門型枠21,21を備える。これら前後の門型枠21,21は、道路4の幅方向両側に立設した左右の脚部22,22と、これら脚部22,22の上部を連結する左右方向の横梁部23を一体に備え、前記一対の門型枠21,21の上角部21K,21Kを前後方向の連結梁部24,24により連結してなる。
前記支柱部16,16の間隔は前記架台本体13の長さの2倍程度であり、それら支柱部16,16及び上梁中央部17Aとの間に、架台本体挿通部14が設けられており、この架台本体挿通部14は、2台の架台本体13,13が道路4の幅方向に挿通可能である。また、支柱部16及び上梁両側部17Bとの間には、架台本体挿通部15が設けられており、この架台本体挿通部15は、1台の架台本体13が道路4の幅方向に挿通可能である。尚、前記上梁両側部17Bの長さは前記架台本体13の長さと略等しい。尚、架台本体挿通部14を少なくとも1台の架台本体13を挿通することが好ましいから、架台本体13は3台以上が好ましく、後述するように支柱部16,16の間に位置する図12中で右から2台目と3台目の架台本体13,13をそれぞれ前後の支柱部16,16に連結するから、架台本体13は4台以上がより好ましい。
前記脚部22の下端には移動用の車輪26が設けられており、この車輪26は旋回可能に設けられると共に、全方向で向きを固定することができ、この例では道路4の長さ方向に移動する際は前後向きに固定され、道路4の幅方向に移動する際は左右向きに固定される。また、前記車輪26は、昇降手段たる流体圧シリンダ27により、前記脚部22の下端から出没自在に設けられている。
図8及び図9に示すように、前記横梁部23は伸縮構造31により伸縮可能に設けられており、前記伸縮構造31によって前記左右の脚部22,22の間隔が調整可能に形成されている。このため前記横梁部23は、丸パイプや角パイプからなり、横梁中央部32と、この横梁中央部32の両側に連結する横梁両側部33,33に3分割され、前記横梁中央部32は、前記横梁両側部33,33と同形な横梁中央本体部32Aと、この横梁中央本体部32Aの両側に設けた鞘管部32Bとを備え、この鞘管部32Bが前記横梁両側部33内にスライド可能に挿入される。
また、前記鞘管部32Bと横梁両側部33には、それぞれ位置決め孔34,34が複数間隔を置いて穿設され、それら鞘管部32Bと横梁両側部33の位置決め孔34,34に、連結材たる位置決めピン35を挿入することにより、横梁部23の長さを調整することができる。これにより道路4の幅員に対応して架台本体13の幅を調整することができる。尚、位置決めピン35に変えて連結材としてボルトを用い、このボルトにナットを螺合してもよい。
図7(C)に示すように、前記支柱部16の下部内には、伸縮脚部38が設けられている。そして、前記支柱部16の下端は、前記脚部22の下端より僅かに高く設定されており、脚部22の下端を道路4に接地した後、伸縮脚部38を伸長して接地する。
図10に示すように、前記架台中央部12と架台本体13とを連結及び連結解除可能な連結手段41を備える。この例では、前記支柱部16と、この支柱部16を前後で挟む架台本体13,13の脚部22,22とが連結手段41,41により連結される。この連結手段41としては、ボルト42とナット43が用いられ、図10に示すように、前記脚部22の前後左右にそれぞれ透孔44,44,44,44を穿設し、この透孔44に対応して前記支柱部16の前後の側面部16S,16Sに透孔45,45を穿設している。また、図5及び図10に示すように、前記支柱部16の左右一方の側面部16Sには、連結操作用の開口部16Kが形成されている。
そして、架台中央部12と架台本体13の連結作業においては、外側から脚部22の透孔44,44と支柱部16の透孔45にボルト42を挿通し、挿通したボルト42の先端にナット43を螺合して、支柱部16と脚部22とを固定する。この場合、前記開口部16Kから支柱部16内に手を入れてナット43を操作することができる。尚、透孔44,45は上下に間隔を置いて多段に設けられている。
さらに、隣り合う門型枠21,21同士を連結する連結手段41A(図11)は、それら隣り合う脚部22,22の透孔44,44,44,44にボルト42Aを挿通し、このボルト42Aの先端にナット43を螺合することにより、隣り合う門型枠21,21同士を連結することができる。
この場合、2台目と3台目の架台本体13,13が前記架台本体挿通部14を挿通し易くするため、2台目と3台目の架台本体13,13の間には隙間46が設けられている。尚、図4において、後側から前側に向かって1~4台目の架台本体13,13,13,13が道路4の長さ方向に並設されている。また、図4においては、ボルト42,42A及びナット43を図示省略している。
尚、透孔44,45のいずれか又は両者を上下方向に長い長孔に形成してもよい。また、前後の支柱部16,16の間に位置する中央の2台目と3台目の架台本体13,13同士は、道路4の幅方向両側をそれぞれ連結手段41Aにより連結してもよい。
尚、2台目と3台目の架台本体13,13は前後の支柱部16,16に固定されているから、2台目と3台目の架台本体13,13同士を必ずしも連結しなくてもよい。
次に、前記架台装置11を用いたスノーシェルター1の施工の一例を説明する。図1及び図12に示すように、4台の架台本体13,13,13,13を道路4の長さ方向に並べると共に、図12中で右から1台目と2台目の架台本体13,13の間に支柱部16を挟んだ状態で、1台目と2台目の架台本体13,13及び間の支柱部16を連結手段41,41により連結すると共に、図12中で右から3台目と4台目の架台本体13,13の間に支柱部16を挟んだ状態で、3台目と4台目の架台本体13,13及び間の支柱部16を連結手段41,41により連結する。
このようにして、4台の架台本体13,13,13,13と架台中央部12とを一体化した架台装置11を組み立て、図1に示すように、架台中央部12を道路4の中央に配置すると共に、架台本体13を道路4の片側である一側の車線4Lに配置する。また、据付用のクレーン48及びアーチ形ユニット板2の運搬車両(図示せず)は他側の車線4Rに配置する。
この場合、流体圧シリンダ27を駆動して脚部22内に車輪26を収納し、脚部22の下端を道路4に接地し、これにより複数の脚部22によって架台装置11が支持され、また、支柱部16の下端は、伸縮脚部38を伸長して伸縮脚部38の下端を道路4に接地し、架台装置11の荷重の一部を支柱部16により支持する。
これにより図1に示すように、架台本体13,13,13,13の内部を通って道路4の一方の車線4Lを使った片側通行を確保することができる。この状態で、道路4の他側の車線4R上に、クレーン48を用いて複数のアーチ形ユニット板2を配置する。この場合、上板部18には支持部材20を配置してアーチ形ユニット板2の頂部3を支持し、アーチ形ユニット板2の下端はコンクリート基礎5により支持する。尚、図1及び図2では、架台本体13内を走行する走行車両49を図示している。
アーチ形ユニット板2の配置を繰り返し、後側から前側に向かって複数(4枚)のアーチ形ユニット板2を道路4の長さ方向に並べて配置したら、全面通行止めとし、以下のようにして、架台中央部12を動かすことなく、複数の架台本体13を道路4の幅方向他側の車線4Rに移動する。
複数の架台本体13を道路4の幅方向に移動する場合、連結を解除して、1台ずつ、2台ずつ、3台ずつと移動することができ、少なくとも1台の一側の架台本体13を架台中央部12の支柱部16,16に連結して支柱部16,16をそれぞれ支持した状態で、一側の他の架台本体13を移動する。また、少なくとも1台の他側に移動した架台本体13を架台中央部12の支柱部16,16に連結して支柱部16,16をそれぞれ支持した後、残りの一側の架台本体13を移動することができる。このように常時少なくとも1台の架台本体13を支柱部16に連結し、全ての支柱部16,16を支持しておく。この場合、移動の途中で、一側の架台本体13により一方の支柱部16を支持し、他側の架台本体13より他方の支柱部16を支持してもよい。
架台本体13を2台ずつ移動する例を説明すると、図12の状態から、支柱部16を前後で挟む1台目と3台目の架台本体13,13の連結手段41,41による連結を解除し、また、2台目と3台目の架台本体13,13の連結手段41Aによる連結を解除し、1台目と3台目の架台本体13,13の車輪26を降下して車輪26を道路4に接地する。尚、接地前に車輪26は左右方向に向けておく。
この後、一側(左側)の1台目と3台目の架台本体13,13を、架台本体挿通部15,14を通して他側(右側)の車線4Rに移動し、1台目と3台目の架台本体13,13の車輪26を上昇して脚部22の下端により架台本体13,13を支持し、道路4の中央側に移動した左側の脚部22,22を連結手段41,41により支柱部16,16に連結する(図13)。
他側の車線4Rの1台目と3台目の架台本体13,13により架台中央部12の支柱部16,16を支持した状態で、一側の残りの2台目及び4台目の架台本体13,13と架台中央部12との連結手段41,41による連結を解除し、同様にして、2台目と4台目の架台本体13,13の脚部22を降下して車輪26を接地し、車輪26を用いて2台目と4台目の架台本体13,13を道路4の他側の車線4Rに移動し、車輪26を上昇して脚部22の下端により架台本体13,13を支持し、道路4の中央側に移動した左側の脚部22,22を連結手段41,41により支柱部16,16に連結し、また、2台目と3台目の架台本体13,13の左側の脚部22,22同士を連結手段41Aにより連結する(図14)。
また、図2に示すように、クレーン48及び運搬車両を一側の車線4Lに移動する。これにより他側の車線4Rの通行を確保した状態で、後側から前側に向かって、一側の車線4L上にアーチ形ユニット板2を道路4の長さ方向に複数並設し、両側のアーチ形ユニット板2,2の頂部3,3同士を連結して据え付けることができる。
複数組のアーチ形ユニット板2,2を据え付けた後、全面通行止めとし、車輪26の向きを道路4の長さ方向に向けて固定し、車輪26を降下し、車輪26により架台装置11を据付済みのアーチ形ユニット板2,2の外部に移動し、そのままの車線4Rに架台装置11を配置し、片側交通を確保し、次のアーチ形ユニット板2の据付を繰り返す。
このように本実施例では、請求項1に対応して、アーチ形部材たるアーチ形ユニット板2を道路4上に据え付けるためのアーチ形部材の施工用架台装置において、道路4の中央に配置される据付用の架台中央部12と、道路4の幅方向一側で該道路4の長さ方向に複数並設され、内部を通行可能な架台本体13と、架台本体13を道路4の幅方向に移動可能にする移動手段たる車輪26と、架台中央部12と架台本体13とを連結及び連結解除可能な連結手段41と、架台中央部12に設けられ、架台本体13を道路4の幅方向に移動可能な架台本体挿通部14,15とを備えるから、道路4の幅方向一側に複数の架台本体13を並設し、架台本体13と架台中央部12とを連結して架台中央部12を支持し、それら複数の架台本体13の内部により通行を確保した状態で、架台中央部12を用いて道路4の幅方向他側上にアーチ形ユニット板2を配置することができる。この後、架台中央部12との連結を解除して架台本体13を道路4の幅方向一側から他側に移動し、同様に道路4の幅方向他側の通行を確保した状態で、道路4の幅方向一側上に複数のアーチ形ユニット板2を配置して据え付けることができる。このように架台本体13の道路4の幅方向への移動と架台装置11の道路4の長さ方向の移動の際以外は片側通行を確保することができ、施工効率も向上する。
このように本実施例では、請求項2に対応して、架台中央部12は、道路4の長さ方向に間隔を置いて立設する複数の支柱部16,16と、これら複数の支柱部16,16の上部を連結する道路4の長さ方向の上梁部17とを備え、道路4の長さ方向に隣り合う複数の支柱部16,16と上梁部17との間に架台本体挿通部14が設けられているから、支柱部16,16の間に位置する架台本体13を、架台本体挿通部14を通して道路4の幅方向に移動することができる。
このように本実施例では、請求項3に対応して、請求項2記載の施工用架台装置11を用いてアーチ形部材たるアーチ形ユニット板2を道路4上に据え付ける施工方法であって、架台本体13を道路4の幅方向一側で道路4の長さ方向に複数並設し、道路4の幅方向一側の複数の架台本体13の少なくとも1つと架台中央部12の支柱部16,16とを連結手段41,41により連結して複数の支柱部16,16をそれぞれ架台本体13,13により支持し、道路4の長さ方向に複数並設した架台本体13の内部を通行可能とし、道路4の幅方向他側で該道路4上に複数のアーチ形ユニット板2を配置した後、道路4の幅方向一側の少なくとも1つの架台本体13と架台中央部12の支柱部16,16とを連結手段41,41により連結しての前記支柱部16,16をそれぞれ支持した状態で、複数又は単数の架台本体13を道路4の幅方向他側に移動し、道路4の幅方向他側に移動した架台本体13の少なくとも1つと架台中央部12の支柱部16,16とを連結手段41,41により連結した後、残りの道路4の幅方向一側の架台本体13を道路4の幅方向他側に移動するから、架台本体13により架台中央部12の複数の支柱部16,16をそれぞれ支持した状態で、複数の架台本体13を効率よく道路4の幅方向に移動することができる。
以下、実施例上の効果として、横梁部23は伸縮構造31により伸縮可能に設けられているから、架台本体13の幅を道路4の幅に対応して調整することができる。また、架台本体13の脚部22には、移動用の車輪26が設けられており、この車輪26は旋回可能に設けられると共に、前後向き及び左右向きで向きを固定することができるから、車輪26を、架台装置11の道路4の幅方向の移動時だけでなく、道路4の長さ方向の移動にも用いることができる。さらに、車輪26は脚部22の下端に出没自在に設けられているから、移動時には車輪26を用い、車輪26に非使用時には脚部22を接地することができる。また、前記支柱部16の下部内には、伸縮脚部38が設けられているから、連結手段41の連結により脚部22の下端と支柱部16との下端の高さ位置がずれても、脚部22の下端を接地した後、伸縮脚部38を伸長して接地することにより、前記高さ位置のずれを解消できる。
図15~図18は本発明の実施例2を示し、前記実施例1と同一部分に同一符号を付し、その説明を省略して詳述すると、この例では、架台中央部12と架台本体13との連結手段51の変形例を示す。
前記連結手段51は、前記支柱部16と脚部22を連結するものであり、この脚部22の道路4の幅方向外側にボルト52とナット53により連結部材54の固定部55を固定し、この連結部材54は板状をなし、前記支柱部16の外側に重なる重複部56を備える。この重複部56の内面は、前記脚部22の外面と平行で、該脚部22の外面に重ね合わせ可能である。
前記重複部56に透孔56Tを穿設し、この透孔56Tに対応して、前記フランジ部16F,16Fに透孔16T,16Tを穿設し、それら透孔56T,16T,16Tにボルト57を挿通し、内側のフランジ部16Fの透孔16Tを挿通したボルト57の先端にナット58を螺合することにより、脚部22と支柱部16とを連結することができる。
また、ボルト57とナット58を外すことにより、脚部22と支柱部16の連結を解除することができる。そして、脚部22と支柱部16の連結を解除すると、図15に示すように、架台本体13を道路4の幅方向一側から他側に移動することができる。
前記透孔56T,16T,16Tは、上下方向に間隔を置いて、複数設けられている。また、透孔56T,16T,16Tを上下方向に長い長孔に形成してもよい。さらに、ボルト52,ナット53を用いずに、溶着などにより脚部22に連結部材54を固定してもよい。
次に、上記架台装置11の架台本体13の移動方法について説明する。図16に示すように、道路4の一側の車線4Lに、架台本体13,13,13,13を並べて、支柱部16に隣り合うそれぞれの脚部22,22,22,22を支柱部16,16に連結手段51により連結する。尚、隣り合う2台目と3台目の架台本体13同士は、必要に応じて連結手段41Aにより連結する。
こうして道路4の一側の車線4Lを通行可能とした状態で、道路4の他側の車線4R上への複数のアーチ形ユニット板2の配置が完了したら、一時全面通行止めにして、車輪26を降下し、車輪26を用いて架台本体13,13,13,13を道路4の他側の車線4Rに移動する。
1台目と3台目の架台本体13,13の支柱部16と脚部22の連結を解除し、1台目と3台目の架台本体13,13を道路4の他側の車線4Rに移動し、移動後、車輪26を上昇して脚部22の下端を接地し、1台目と3台目の架台本体13,13の道路4の中央側の脚部22と支柱部16を連結手段51により連結する(図17)。
この後、同様にして、残りの2台目と4台目の架台本体13,13を道路4の他側の車線4Rに移動し、それぞれの脚部22を支柱部16に連結する(図18)。これにより、2台ずつ架台本体13,13を移動する際、少なくとも2台の架台本体13,13と支柱部16とが連結手段51により固定することができる。
このように本実施例では、連結手段51を備えるから、上記実施例1と同様な作用・効果を奏する。
また、実施例上の効果として、実施例1と同様に支柱部16の前後の架台本体13をそれぞれ別々に支柱部16に連結することができるから、架台本体13の移動パターンの変更が容易となり、例えば、1台目と4台目の架台本体13,13を移動した後、2台目と3台目の架台本体13,13を移動したり、2台目と3台目の架台本体13,13を移動した後、1台目と4台目の架台本体13,13を移動したりすることができる。
図23は本発明の実施例6を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その説明を省略して詳述すると、この例のアーチ形部材は、トンネルの内面を覆うトンネル用プレキャスト板61である。このプレキャスト板61は、コンクリート製であって、新設トンネルの覆工又は老朽化したトンネルの改修用覆工に用いられ、左右のプレキャスト板61,61によりアーチ形構造物を構成している。
アーチ形トンネル穴62の内面63の下端には、側壁コンクリート64,64が現場打ちコンクリートにより形成される。前記アーチ形トンネル穴62の内面63には、トンネル穴62の内面63を周方向に略2分割した形状を有する化粧板として湾曲状プレキャスト板61がアーチ形に組み立てられ、各湾曲状プレキャスト板61,61の下端はそれぞれ前記側壁コンクリート64,64上に支持され、且つ頂部61T,61T同士が衝合される。また、各プレキャスト板61は止着手段(図示せず)によってトンネル穴62の内面63に止着固定されていると共に、頂部61T,61T同士が頂部連結部材(図示せず)によって締結一体化されている。
前記プレキャスト板61の据付装置71は、自走式の車両にプレキャスト板61を下から上へ持ち上げる機能を付与したものである。
また、前記架台中央部12は、前記上板部18とトンネル穴62の内面63との間に、前記プレキャスト板61の頂部61Tの締結作業をするための空間を形成する高さに設定されている。
次に、前記架台装置11を用いたプレキャスト板61の施工の一例を説明する。架台本体13を道路4の一側の車線4Lに配置して架台装置11を配置する。道路4の他側の車線4Rに据付装置71及びプレキャスト板61の運搬車両(図示せず)を配置し、運搬車両上のプレキャスト板61を据付装置71により、その頂部61Tをトンネル穴62の頂部内面と上板部18とに間に位置させる。
そして、プレキャスト板61の下端を側壁コンクリート64により支持すると共に、プレキャスト板61の頂部61Tの内面と上板部18との間に支持部材72を配置し、この支持部材72によりプレキャスト板61の頂部61T側を支持する。この後、プレキャスト板61を止着部材(図示せず)によりトンネル穴62の内面63に固定する。
複数のプレキャスト板61をトンネル穴62の長さ方向に複数並設した後、実施例1又は2と同様に、架台本体13を道路4の他側の車線4Rに移動し、一側の車線4Lの通行を確保した状態で、同様にして他側の車線4R上のトンネル穴62の内面63にプレキャスト板61を固定する。また、両側のプレキャスト板61,61の頂部61T,61T同士の接合には、作業員が上板部18を使って作業を行うことができる。
このように本実施例では、アーチ形部材たるプレキャスト板61を道路4上に据え付けるから、上記各実施例と同様な作用・効果を奏する。
また、実施例上の効果として、架台装置11を用いることにより、トンネル穴62の内面63にプレキャスト板61を効率よく据え付けることができる。
尚、本発明は、本実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、実施例では、架台装置が4台の架台本体を備えた例を示したが、架台本体は4台に限定されず、2台や3台、5台以上でもよく、架台装置の支柱部は3本以上でもよい。また、実施例では、隣り合う支柱部の間に2台の架台本体を配置したが、1台(全体で3台)でも3台(全体で5台)以上でもよい。さらに、2本の支柱部の間を挿通可能な1台の架台本体を用いる場合は、この1台の架台本体を前後の2本の支柱部に連結して支持すればよい。また、架台本体の道路前後方向の長さは、適宜選定可能であり、アーチ形ユニット板の道路前後方向の幅に略対応するように設定してもよい。また、連結手段は実施例に限定されずに各種の手段を用いることができる。さらに、連結手段に用いるボルトを挿通する透孔は、いずれも縦方向に長い長孔でもよい。さらに、脚部に伸縮構造を設けて脚部の長さを調整可能としてもよい。