JP7202528B2 - ドライバトルク推定装置 - Google Patents
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Description
この発明の一実施形態では、前記ハンドル回転角に関連する値は、nを0または自然数として、前記ハンドル回転角のn階微分値またはnが異なる2以上の前記n階微分値の組み合わせからなる。
この発明の一実施形態では、前記ハンドル回転角に関連する値は、前記ハンドル回転角と前記ハンドル回転角の2階微分値とからなる。
この発明の一実施形態では、前記ハンドル回転角に関連する値は、前記ハンドル回転角と、前記ハンドル回転角の1階微分値と、前記ハンドル回転角の2階微分値とからなる。
この発明の一実施形態では、前記ニューラルネットワークは、前記ハンドルが把持されていない手放状態において取得された、前記ハンドル回転角に関連する値および前記トーションバートルクのうち、前記ハンドル回転角に関連する値を入力データとし、前記トーションバートルクを教師データとして学習されたニューラルネットワークである。
この電動パワーステアリング装置(操舵装置)1は、コラム部に電動モータと減速機とが配置されているコラムアシスト式電動パワーステアリング装置(以下、「コラム式EPS」という。)である。
ステアリングシャフト6は、ハンドル2に連結された第1軸8と、第1ユニバーサルジョイント28を介して中間軸7に連結された第2軸9とを含む。第1軸8と第2軸9とは、トーションバー10を介して相対回転可能に連結されている。
第1軸8には、スパイラルケーブル装置30が連結されている。スパイラルケーブル装置30は、ステータ31と、ロテータ32と、スパイラルケーブル33とを備えている。ステータ31は車体側に固定されている。ステータ31は、図示しない第1コネクタを有している。ロテータ32は、ステータ31に対して相対的に回転自在に取り付けられている。ロテータ32は、第1軸8と一体的に回転(同行回転)するようにハンドル2または第1軸8に固定されている。ロテータ32は、図示しない第2コネクタを有している。
ステアリングシャフト6の周囲には、トルクセンサ(トルク検出部)11が設けられている。トルクセンサ11は、第1軸8および第2軸9の相対回転変位量に基づいて、トーションバー10に加えられているトーションバートルクを検出する。トルクセンサ11によって検出されるトーションバートルクは、ECU(電子制御ユニット:Electronic Control Unit)12に入力される。
操舵補助機構5は、操舵補助力を発生するための電動モータ18と、電動モータ18の出力トルクを増幅して転舵機構4に伝達するための減速機19とを含む。この実施形態では、電動モータ18は、三相ブラシレスモータである。減速機19は、ウォームギヤ20と、このウォームギヤ20と噛み合うウォームホイール21とを含むウォームギヤ機構からなる。減速機19は、ギヤハウジング22内に収容されている。以下において、減速機19の減速比(ギヤ比)をrwgで表す場合がある。減速比rwgは、ウォームホイール21の角速度ωwwに対するウォームギヤ20の角速度ωwgの比ωwg/ωwwとして定義される。
電動モータ18は運転者の操舵状態に応じて駆動され、電動モータ18によってウォームギヤ20が回転駆動される。これにより、ウォームホイール21が回転駆動され、ステアリングシャフト6にモータトルクが付与されるとともにステアリングシャフト6(第2軸9)が回転する。そして、ステアリングシャフト6の回転は、中間軸7を介してピニオン軸13に伝達される。ピニオン軸13の回転は、ラック軸14の軸方向移動に変換される。これにより、転舵輪3が転舵される。すなわち、電動モータ18によってウォームギヤ20を回転駆動することによって、電動モータ18による操舵補助が可能となっている。
図2は、ECU12の電気的構成を示す概略図である。
マイクロコンピュータ40は、CPUおよびメモリ(ROM、RAM、不揮発性メモリなど)を備えており、所定のプログラムを実行することによって、複数の機能処理部として機能するようになっている。この複数の機能処理部には、モータ制御部41と、ハンドル操作状態判定部42とが含まれる。
具体的には、モータ制御部41は、トーションバートルクおよび車速に基づいて、電動モータ18に流れるモータ電流の目標値である電流指令値を設定する。電流指令値は、操舵状況に応じた操舵補助力(アシストトルク)の目標値に対応している。そして、モータ制御部41は、電流検出部39によって検出されるモータ電流が電流指令値に近づくように、駆動回路38を駆動制御する。これにより、操舵状況に応じた適切な操舵補助が実現される。
図3は、ハンドル操作状態判定部42の電気的構成を示すブロック図である。
ローパスフィルタ52は、ドライバトルク推定部51によって推定されたドライバトルクTdに対してローパスフィルタ処理を行う。ハンズオン/オフ判定部53は、ローパスフィルタ52によるローパスフィルタ処理後のドライバトルクTd’に基づいて、ハンズオン状態かハンズオフ状態かを判定する。以下、これらについて説明する。
ドライバトルク推定部51は、第1ローパスフィルタ61と、第2ローパスフィルタ62と、第1微分演算部63と、第2微分演算部64と、ニューラルネットワーク65と、減算部(ドライバトルク演算部)66とを含む。
第1ローパスフィルタ61は、トルクセンサ11の出力信号に対してローパスフィルタ処理を施す。これにより、ノイズが除去されたトーションバートルクTtbが得られる。第1ローパスフィルタ61によって得られたトーションバートルクTtbは、減算部66に与えられる。
第1微分演算部63は、ハンドル回転角θswを時間微分することにより、ハンドル角速度dθsw/dtを演算する。第1微分演算部63によって演算されたハンドル角速度dθsw/dtは、第2微分演算部64に与えられると同時に、ニューラルネットワーク65に第2の入力信号として与えられる。
この実施形態では、ハンドル回転角θsw、ハンドル角速度dθsw/dtおよびハンドル角加速度d2θsw/dt2は、本発明の「ハンドル回転角に関連する値」の一例である。
次式(1)に示すように、トーションバートルクTtbには、ドライバトルクTd以外の外乱トルクTothersが含まれている。
ドライバトルクTd以外の外乱トルクTothersには、例えば、ハンドル慣性トルク、粘性摩擦トルク、回転アンバランストルク、クーロン摩擦トルク、スパイラルケーブルトルク等が含まれる。
ハンドル慣性トルクは、ハンドル慣性モーメントによってハンドル2に作用するトルクである。粘性摩擦トルクは、第1軸8およびハンドル2に作用する粘性摩擦トルクである。回転アンバランストルクは、ハンドル2の回転平面における重心位置とハンドル2の回転中心とが一致しないことに起因して、第1軸8に作用するトルクである。クーロン摩擦トルクは、第1軸8およびハンドル2に作用するクーロン摩擦トルクである。スパイラルケーブルトルクは、スパイラルケーブル33のばね特性によってハンドル2に作用するトルクである。
減算部66は、第1ローパスフィルタ61から与えられるトーションバートルクTtbから、ニューラルネットワーク65によって推定された外乱トルクTothersを減算することによって、ドライバトルクTd を演算する。
ハンドル2を把持していない手放状態において、電動パワーステアリング装置1の様々な使用状態でのハンドル回転角θsw、ハンドル角速度dθsw/dt、ハンドル角加速度d2θsw/dt2およびトーションバートルクTtbのデータを収集する。ハンドル回転角θswは、舵角センサ25に基づいて取得できる。トーションバートルクTtbはトルクセンサ11に基づいて取得できる。ハンドル角速度dθsw/dtおよびハンドル角加速度d2θsw/dt2は、取得したハンドル回転角θswから演算できる。
このようにして、ハンドル回転角θsw、ハンドル角速度dθsw/dt、ハンドル角加速度d2θsw/dt2およびトーションバートルクTtbのデータセットが複数組収集されると、各データセットのハンドル回転角θsw、ハンドル角速度dθsw/dtおよびハンドル角加速度d2θsw/dt2を入力とし、トーションバートルクTtbを教師データとして、ニューラルネットワーク65を学習する。
なお、手放状態での電動パワーステアリング装置1の様々な使用状態は、車両を自動運転によって自動走行させることよって実現することもできる。
図3に戻り、ローパスフィルタ52は、ドライバトルク推定部51によって演算されたドライバトルクTdのうち、所定のカットオフ周波数fcより高い周波数成分を減衰させる。カットオフ周波数fcは、例えば、3[Hz]以上7[Hz]以下の範囲内の値に設定される。ローパスフィルタ52は、この実施形態では、2次のバターワースフィルタからなる。ローパスフィルタ52によるローパスフィルタ処理後のドライバトルクTd’は、ハンズオン/オフ判定部53に与えられる。
ハンズオン/オフ判定部53の動作説明においては、ローパスフィルタ52によるローパスフィルタ処理後のドライバトルクTdを、単に「ドライバトルクTd’」ということにする。
ハンズオン/オフ判定部53は、ドライバのハンドル操作状態として、「閾値より上のハンズオン状態(ST1)」と、「閾値以下のハンズオン状態(ST2)」と、「閾値以下のハンズオフ状態(ST3)」と、「閾値より上のハンズオフ状態(ST4)」との4状態を識別する。ハンズオン/オフ判定部53は、所定時間T[sec]毎にこれら4状態の識別を行う。
この実施形態では、ドライバトルク推定部51によって高精度にドライバトルクTdが推定される。そして、推定されたドライバトルクTdの高周波数成分が除去される。この高周波数成分除去後のドライバトルクTd’に基づき、トルク閾値αとタイムカウンタ値hod_timerとを用いてハンズオン/オフ判定が行われる。このため、運転者がハンドルを握っているハンズオン状態であるか運転者がハンドルを握っていないハンズオフ状態であるかを高精度に判定できる。
図6は、ドライバトルク推定部の他の例を示すブロック図である。図6において、前述の図4の各部に対応する部分には、図4と同じ符号を付して示す。
ドライバトルク推定部51Aは、第1ローパスフィルタ61と、乗算部71と、第2ローパスフィルタ72と、ロータ回転角演算部73と、第2軸回転角演算部(θww演算部)73と、加算部75と、第1微分演算部63と、第2微分演算部64と、ニューラルネットワーク65と、減算部(ドライバトルク演算部)66とを含む。
乗算部71は、第1ローパスフィルタ61によって得られたトーションバートルクTtbに、トーションバー10の剛性ktbの逆数を乗算する。
ロータ回転角演算部73は、第2ローパスフィルタ72の出力信号に基づいて、電動モータ18の回転角(ロータ回転角)θmを演算する。第2軸回転角演算部(θww演算部)74は、次式(2)に基づいて、第2軸回転角θwwを演算する。
θm:ロータ回転角演算部73によって検出されるロータ回転角(電動モータ18の回転角)
rwg:減速機19の減速比
Tm:モータトルク推定値
kgear:ウォームギヤとウォームホイール間の剛性
モータトルク推定値Tmは、例えば、電流検出部39(図2参照)によって検出されるモータ電流(相電流)に電動モータ18のトルク定数を乗算することによって演算することができる。
θww=θm/rwg …(3)
前記式(2)からわかるように、kgearが大きい場合には(Tm/kgear)の値は小さな値となるが、kgearが小さい場合には(Tm/kgear)の値は大きな値となる。したがって、kgearが大きい場合には、式(3)に基づいて第2軸回転角θwwを演算してもよいが、kgearが小さい場合には、式(2)に基づいて第2軸回転角θwwを演算することが好ましい。
つまり、加算部75は、次式(4)に基づいて、ハンドル回転角θswを演算する。
θsw=(Ttb/ktb)+θww …(4)
加算部75によって得られたハンドル回転角θswは、第1微分演算部63に与えられると同時に、ニューラルネットワーク65に第1の入力信号として与えられる。
第2微分演算部64は、第1微分演算部63によって演算されたハンドル角速度dθsw/dtを時間微分することにより、ハンドル角加速度d2θsw/dt2を演算する。第2微分演算部64によって演算されたハンドル角加速度d2θsw/dt2は、ニューラルネットワーク65に第3の入力信号として与えられる。
減算部66は、第1ローパスフィルタ61から与えられるトーションバートルクTtbから、ニューラルネットワーク65によって推定された外乱トルクTothersを減算することによって、ドライバトルクTd を演算する。
図4のドライバトルク推定部51では、第1ローパスフィルタ61および第2ローパスフィルタ62が設けられているが、これらのローパスフィルタ61,62は設けられなくてもよい。同様に、図6のドライバトルク推定部51では、第1ローパスフィルタ61および第2ローパスフィルタ72が設けられているが、これらのローパスフィルタ61,72は設けられなくてもよい。
また、図6のドライバトルク推定部51では、トーションバートルクTtbおよび第2軸回転角θwwを用いて演算されたハンドル回転角θswをハンドル2の回転角としてドライバトルクTdを演算しているが、前記式(2)または式(3)によって演算される第2軸回転角θwwをハンドル回転角θswとしてドライバトルクTdを演算してもよい。
また、前述の実施形態では、この発明をコラムアシスト式EPSに適用した場合の例を示したが、この発明は、デュアルピニオン式EPS、ラックアシスト式EPS等のコラムアシスト式EPS以外のEPSにも適用することができる。
Claims (7)
- 車両を操舵するためのハンドルと、前記ハンドルと一体的に回転される回転軸の中間部に設けられたトーションバーと、前記トーションバーに加えられているトーションバートルクを検出するためのトルク検出部と、前記ハンドルの回転角を演算するハンドル回転角演算部とを備えた操舵装置におけるドライバトルク推定装置であって、
前記ハンドル回転角に関連する値を入力とし、前記トーションバートルクに含まれる前記ドライバトルク以外の外乱トルクを推定するニューラルネットワークと、
前記トーションバートルクから、前記ニューラルネットワークによって推定される外乱トルクを減算することにより、前記ドライバトルクを演算するドライバトルク演算部とを含む、ドライバトルク推定装置。 - 前記ハンドル回転角に関連する値は、nを0または自然数として、前記ハンドル回転角のn階微分値またはnが異なる2以上の前記n階微分値の組み合わせからなる、請求項1に記載のドライバトルク推定装置。
- 前記ハンドル回転角に関連する値は、前記ハンドル回転角の2階微分値である、請求項2に記載のドライバトルク推定装置。
- 前記ハンドル回転角に関連する値は、前記ハンドル回転角と前記ハンドル回転角の2階微分値とからなる、請求項2に記載のドライバトルク推定装置。
- 前記ハンドル回転角に関連する値は、前記ハンドル回転角と、前記ハンドル回転角の1階微分値と、前記ハンドル回転角の2階微分値とからなる、請求項2に記載のドライバトルク推定装置。
- 前記回転軸における、前記トーションバーに対して前記ハンドルとは反対側の部分に、減速機を介して電動モータが連結されており、
前記ハンドル回転角演算部は、前記トーションバートルクと前記電動モータの回転角とを用いて、前記ハンドル回転角を演算するように構成されている、請求項1~5のいずれか一項に記載のドライバトルク推定装置。 - 前記ニューラルネットワークは、前記ハンドルが把持されていない手放状態において取得された、前記ハンドル回転角に関連する値および前記トーションバートルクのうち、前記ハンドル回転角に関連する値を入力データとし、前記トーションバートルクを教師データとして学習されたニューラルネットワークである、請求項1~6のいずれか一項に記載のドライバトルク推定装置。
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