JP2023048867A - モータ制御装置 - Google Patents

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Yuta Sakai
勉 田村
Tsutomu Tamura
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Abstract

【課題】運転支援モード時において、把持状態であるか手放し状態であるかを正確に判定できるようになるモータ制御装置を提供する。【解決手段】手動操舵指令値生成部は、操舵トルクと、路面負荷トルクを生成するためのばね定数および粘性減衰係数とを用いて手動操舵指令値を生成するように構成されており、運転支援モード時において、ハンズオンオフ判定部による手放し状態であるとの判定結果が所定時間以上継続したときに、ばね定数および粘性減衰係数のうちの少なくとも一方の値を大きくする、路面負荷特性変更部を含む。【選択図】図2

Description

この発明は、舵角制御用の電動モータを制御するモータ制御装置に関する。
特許文献1には、次のような運転支援技術が開示されている。すなわち、操舵制御部は、前方注視距離における目標通過点のX座標xcと推定通過点のX座標xeとを算出する。そして、操舵制御部は、これらのX座標xc、xeの偏差(xc-xe)に第1の制御ゲインGlを乗算した演算項と、ヨー角θcaに第2の制御ゲインGyを乗算した演算項とを加算して、モータの制御量(トルク指令値)Tcを算出する。第1、第2の制御ゲインGl、Gyは、手放し時間が長いほど大きな値に設定され、手放し状態が検出されない場合には、覚醒度が低い、或いは、漫然度が高いほど小さな値に設定される。
特開2011-57037号公報
レベル2相当での運転支援機能ではドライバがハンドルを把持していることが前提条件となっている。したがって、運転支援モードにおいて、手放し状態であるとの判定結果が所定時間以上継続すると警告が出力され、警告後も手放し状態がさらに継続すると、運転支援モードが解除される。
このため、運転支援モードにおいては、把持状態であるか手放し状態であるかを正確に判定する必要がある。しかしながら、トルクセンサによって検出される操舵トルク(トーションバートルク)に基づいて把持状態であるか手放し状態であるかが判定される場合、直線走行などのドライバトルクの入力が少ない状況では、ドライバが把持しているにもかかわらず、手放し状態であると誤判定されるおそれがある。
この発明の一実施形態の目的は、運転支援モード時において、把持状態であるか手放し状態であるかを正確に判定できるようになる、モータ制御装置を提供することである。
本発明の一実施形態は、操舵トルクを検出するためのトルク検出部と、前記操舵トルクを用いて手動操舵指令値を生成する手動操舵指令値生成部と、運転支援モード時に与えられる自動操舵指令値に前記手動操舵指令値を加算して、統合角度指令値を演算する統合角度指令値演算部と、前記統合角度指令値に基づいて、舵角制御用の電動モータを角度制御する制御部と、ドライバがステアリングホイールを把持している把持状態であるか、ドライバが前記ステアリングホイールを把持していない手放し状態であるかを判定するハンズオンオフ判定部とを含み、前記手動操舵指令値生成部は、前記操舵トルクと、路面負荷トルクを生成するためのばね定数および粘性減衰係数とを用いて前記手動操舵指令値を生成するように構成されており、前記運転支援モード時において、前記ハンズオンオフ判定部による手放し状態であるとの判定結果が所定時間以上継続したときに、前記ばね定数および前記粘性減衰係数のうちの少なくとも一方の値を変更する、路面負荷特性変更部をさらに含む、モータ制御装置を提供する。
この構成では、運転支援モード時において、把持状態であるか手放し状態であるかを正確に判定できるようになる。
本発明の一実施形態は、操舵トルクを検出するためのトルク検出部と、実操舵角を検出するための操舵角検出部と、運転支援モード時に与えられる自動操舵指令値に基づいて自動操舵制御量を設定する自動操舵制御部と、前記操舵トルクを用いてアシスト制御量を設定するアシスト制御部と、前記自動操舵制御量と前記アシスト制御量とを加算することによって、統合制御量を演算する統合制御量演算部と、前記統合制御量に基づいて舵角制御用の電動モータを制御する制御部とを含むモータ制御装置であって、ドライバがステアリングホイールを把持している把持状態であるか、ドライバが前記ステアリングホイールを把持していない手放し状態であるかを判定するハンズオンオフ判定部と、前記操舵トルクと前記アシスト制御量とに基づく手動操舵分の操舵角である実手動操舵角を演算する実手動操舵角演算部と、前記実操舵角から前記実手動操舵角を減算することにより、前記自動操舵制御量に基づく自動操舵分の操舵角である実自動操舵角を演算する実自動操舵角演算部とを含み、前記自動操舵制御部は、前記自動操舵角指令値および前記実自動操舵角を用いて前記自動操舵制御量を設定し、前記実手動操舵角演算部は、前記操舵トルクと、前記アシスト制御量と、路面負荷トルクを生成するためのばね定数および粘性減衰係数とを用いて前記実手動操舵角を演算するように構成されており、前記運転支援モード時において、前記ハンズオンオフ判定部による手放し状態であるとの判定結果が所定時間以上継続したときに、前記ばね定数および前記粘性減衰係数のうちの少なくとも一方の値を変更する、路面負荷特性変更部をさらに含む、モータ制御装置を提供する。
この構成では、運転支援モード時において、把持状態であるか手放し状態であるかを正確に判定できるようになる。
図1は、本発明の一実施形態に係るモータ制御装置が適用された電動パワーステアリングシステムの概略構成を示す模式図である。 図2は、モータ制御用ECUの電気的構成を説明するためのブロック図である。 図3は、手動操舵指令値生成部の構成を示すブロック図である。 図4は、操舵トルクTtbに対するアシストトルク指令値T m,adの設定例を示すグラフである。 図5は、指令値設定部で用いられるリファレンスEPSモデルの一例を示す模式図である。 図6は、角度制御部の構成を示すブロック図である。 図7は、電動パワーステアリングシステムの物理モデルの構成例を示す模式図である。 図8は、外乱トルク推定部の構成を示すブロック図である。 図9は、トルク制御部の構成を示す模式図である。 図10は、路面負荷特性設定部によって行われるばね定数設定処理の手順を示すフローチャートである 図11は、モータ制御用ECUの変形例の電気的構成を説明するためのブロック図である。 図12は、自動操舵制御部の構成を示すブロック図である。 図13は、電動パワーステアリングシステムの物理モデルの構成例を示す模式図である。 図14は、外乱トルク推定部の構成を示すブロック図である。
[本発明の実施形態の説明]
本発明の一実施形態は、操舵トルクを検出するためのトルク検出部と、前記操舵トルクを用いて手動操舵指令値を生成する手動操舵指令値生成部と、運転支援モード時に与えられる自動操舵指令値に前記手動操舵指令値を加算して、統合角度指令値を演算する統合角度指令値演算部と、前記統合角度指令値に基づいて、舵角制御用の電動モータを角度制御する制御部と、ドライバがステアリングホイールを把持している把持状態であるか、ドライバが前記ステアリングホイールを把持していない手放し状態であるかを判定するハンズオンオフ判定部とを含み、前記手動操舵指令値生成部は、前記操舵トルクと、路面負荷トルクを生成するためのばね定数および粘性減衰係数とを用いて前記手動操舵指令値を生成するように構成されており、前記運転支援モード時において、前記ハンズオンオフ判定部による手放し状態であるとの判定結果が所定時間以上継続したときに、前記ばね定数および前記粘性減衰係数のうちの少なくとも一方の値を変更する、路面負荷特性変更部をさらに含む、モータ制御装置を提供する。
この構成では、運転支援モード時において、把持状態であるか手放し状態であるかを正確に判定できるようになる。
本発明の一実施形態は、操舵トルクを検出するためのトルク検出部と、実操舵角を検出するための操舵角検出部と、運転支援モード時に与えられる自動操舵指令値に基づいて自動操舵制御量を設定する自動操舵制御部と、前記操舵トルクを用いてアシスト制御量を設定するアシスト制御部と、前記自動操舵制御量と前記アシスト制御量とを加算することによって、統合制御量を演算する統合制御量演算部と、前記統合制御量に基づいて舵角制御用の電動モータを制御する制御部とを含むモータ制御装置であって、ドライバがステアリングホイールを把持している把持状態であるか、ドライバが前記ステアリングホイールを把持していない手放し状態であるかを判定するハンズオンオフ判定部と、前記操舵トルクと前記アシスト制御量とに基づく手動操舵分の操舵角である実手動操舵角を演算する実手動操舵角演算部と、前記実操舵角から前記実手動操舵角を減算することにより、前記自動操舵制御量に基づく自動操舵分の操舵角である実自動操舵角を演算する実自動操舵角演算部とを含み、前記自動操舵制御部は、前記自動操舵角指令値および前記実自動操舵角を用いて前記自動操舵制御量を設定し、前記実手動操舵角演算部は、前記操舵トルクと、前記アシスト制御量と、路面負荷トルクを生成するためのばね定数および粘性減衰係数とを用いて前記実手動操舵角を演算するように構成されており、前記運転支援モード時において、前記ハンズオンオフ判定部による手放し状態であるとの判定結果が所定時間以上継続したときに、前記ばね定数および前記粘性減衰係数のうちの少なくとも一方の値を変更する、路面負荷特性変更部をさらに含む、モータ制御装置を提供する。
この構成では、運転支援モード時において、把持状態であるか手放し状態であるかを正確に判定できるようになる。
本発明の一実施形態では、前記ばね定数および前記粘性減衰係数のうち、前記路面負荷特性変更部によってその値が変更されるものを路面負荷変数とすると、前記路面負荷特性変更部は、前記運転支援モード時において、前記ハンズオンオフ判定部による手放し状態であるとの判定結果が所定時間継続したときには、その時点から手放し状態であるとの判定結果が継続している間は、前記路面負荷変数の値を徐々に増加させ、前記路面負荷変数が所定の上限値に達すると、前記路面負荷変数の値を前記上限値に保持する。
本発明の一実施形態では、前記路面負荷特性変更部は、前記運転支援モード時において、前記ハンズオンオフ判定部による手放し状態であるとの判定結果が所定時間以上継続した後に、前記ハンズオンオフ判定部による判定結果が把持状態に変化したときには、その時点から把持状態であるとの判定結果が継続している間は、前記路面負荷変数の値を徐々に減少させ、前記路面負荷変数が所定の下限値に達すると、前記路面負荷変数を前記下限値に保持する。
[本発明の実施形態の詳細な説明]
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
[1]電動パワーステアリングシステムの概略構成
図1は、本発明の一実施形態に係るモータ制御装置が適用された電動パワーステアリングシステムの概略構成を示す模式図である。
電動パワーステアリングシステム1は、車両を操向するための操舵部材としてのステアリングホイール(ハンドル)2と、このステアリングホイール2の回転に連動して転舵輪3を転舵する転舵機構4と、ドライバの操舵を補助するための操舵補助機構5とを備えている。ステアリングホイール2と転舵機構4とは、ステアリングシャフト6および中間軸7を介して機械的に連結されている。
ステアリングシャフト6は、ステアリングホイール2に連結された入力軸8と、中間軸7に連結された出力軸9とを含む。入力軸8と出力軸9とは、トーションバー10を介して相対回転可能に連結されている。
トーションバー10の近傍には、トルクセンサ12が配置されている。トルクセンサ12は、入力軸8および出力軸9の相対回転変位量に基づいて、ステアリングホイール2に与えられた操舵トルク(トーションバートルク)Ttbを検出する。この実施形態では、トルクセンサ12によって検出される操舵トルクTtbは、例えば、左方向への操舵のためのトルクが正の値として検出され、右方向への操舵のためのトルクが負の値として検出され、その絶対値が大きいほど操舵トルクTtbの大きさが大きくなるものとする。
転舵機構4は、ピニオン軸13と、転舵軸としてのラック軸14とを含むラックアンドピニオン機構からなる。ラック軸14の各端部には、タイロッド15およびナックルアーム(図示略)を介して転舵輪3が連結されている。ピニオン軸13は、中間軸7に連結されている。ピニオン軸13は、ステアリングホイール2の操舵に連動して回転するようになっている。ピニオン軸13の先端には、ピニオン16が連結されている。
ラック軸14は、車両の左右方向に沿って直線状に延びている。ラック軸14の軸方向の中間部には、ピニオン16に噛み合うラック17が形成されている。このピニオン16およびラック17によって、ピニオン軸13の回転がラック軸14の軸方向移動に変換される。ラック軸14を軸方向に移動させることによって、転舵輪3を転舵することができる。
ステアリングホイール2が操舵(回転)されると、この回転が、ステアリングシャフト6および中間軸7を介して、ピニオン軸13に伝達される。そして、ピニオン軸13の回転は、ピニオン16およびラック17によって、ラック軸14の軸方向移動に変換される。これにより、転舵輪3が転舵される。
操舵補助機構5は、操舵補助力(アシストトルク)を発生するための電動モータ18と、電動モータ18の出力トルクを増幅して転舵機構4に伝達するための減速機19とを含む。減速機19は、ウォームギヤ20と、このウォームギヤ20と噛み合うウォームホイール21とを含むウォームギヤ機構からなる。減速機19は、伝達機構ハウジングとしてのギヤハウジング22内に収容されている。以下において、減速機19の減速比(ギヤ比)をNで表す場合がある。減速比Nは、ウォームホイール21の回転角θwwに対するウォームギヤ20の回転角θwgの比θwg/θwwとして定義される。
ウォームギヤ20は、電動モータ18によって回転駆動される。また、ウォームホイール21は、出力軸9に一体回転可能に連結されている。
電動モータ18によってウォームギヤ20が回転駆動されると、ウォームホイール21が回転駆動され、ステアリングシャフト6にモータトルクが付与されるとともにステアリングシャフト6(出力軸9)が回転する。そして、ステアリングシャフト6の回転は、中間軸7を介してピニオン軸13に伝達される。ピニオン軸13の回転は、ラック軸14の軸方向移動に変換される。これにより、転舵輪3が転舵される。すなわち、電動モータ18によってウォームギヤ20を回転駆動することによって、電動モータ18による操舵補助や転舵輪3の転舵が可能となる。電動モータ18には、電動モータ18のロータの回転角を検出するための回転角センサ23が設けられている。
出力軸9(電動モータ18の駆動対象の一例)に加えられるトルクとしては、電動モータ18によるモータトルクと、モータトルク以外の外乱トルクとがある。モータトルク以外の外乱トルクTlcには、操舵トルクTtb、路面負荷トルク(路面反力トルク)Trl、摩擦トルクT等が含まれる。
操舵トルクTtbは、ドライバによってステアリングホイール2に加えられる力(ドライバトルク)や、ステアリング慣性によって発生する力等によって、ステアリングホイール2側から出力軸9に加えられるトルクである。
路面負荷トルクTrlは、タイヤに発生するセルフアライニングトルク、サスペンションやタイヤホイールアライメントによって発生する力、ラックアンドピニオン機構の摩擦力等によって、転舵輪3側からラック軸14を介して出力軸9に加えられるトルクである。
車両には、車両の進行方向前方の道路を撮影するCCD(Charge Coupled Device)カメラ25、自車位置を検出するためのGPS(Global Positioning System)26、道路形状や障害物を検出するためのレーダー27、地図情報を記憶した地図情報メモリ28および車速Vを検出するため車速センサ29が搭載されている。
CCDカメラ25、GPS26、レーダー27、地図情報メモリ28および車速センサ29は、運転支援制御を行うための上位ECU(ECU:Electronic Control Unit)201に接続されている。上位ECU201は、CCDカメラ25、GPS26、レーダー27および車速センサ29によって得られる情報および地図情報を元に、周辺環境認識、自車位置推定、経路計画等を行い、操舵や駆動アクチュエータの制御目標値の決定を行う。
この実施形態では、運転モードとして、通常モードと運転支援モードとがある。上位ECU201は、運転支援モード時には、運転支援のための自動操舵指令値θ c,adを設定する。この実施形態では、運転支援は、車両位置を車線中央(レーンセンタ)に維持するためのレーンセンタリングアシスト(LCA)である。自動操舵指令値θ c,adは、車両を車線の中央に沿って走行させるための操舵角の目標値である。自動操舵指令値θ c,adは、例えば、車速、目標走行ラインに対する横偏差および目標走行ラインに対する車両のヨー偏差に基づいて、設定される。このような自動操舵指令値θ c,adを設定する処理は、周知であるため、ここでは詳細な説明を省略する。なお、通常モード時には、上位ECU201は、自動操舵指令値θ c,adを零に設定する。
また、上位ECU201は、運転モードが通常モードであるか運転支援モードであるかを示すモード信号Smodeを出力する。モード信号Smode、上位ECU201によって設定される自動操舵指令値θ c,adおよび車速Vは、車載ネットワークを介して、モータ制御用ECU202に与えられる。トルクセンサ12によって検出される操舵トルクTtb、回転角センサ23の出力信号は、モータ制御用ECU202に入力される。モータ制御用ECU202は、これらの入力信号および上位ECU201から与えられる情報に基づいて、電動モータ18を制御する。
[2]モータ制御用ECU202
図2は、モータ制御用ECU202の電気的構成を説明するためのブロック図である。
モータ制御用ECU202は、マイクロコンピュータ40と、マイクロコンピュータ40によって制御され、電動モータ18に電力を供給する駆動回路(インバータ回路)31と、電動モータ18に流れる電流(以下、「モータ電流Im,int」という)を検出するための電流検出回路32とを備えている。
マイクロコンピュータ40は、CPUおよびメモリ(ROM、RAM、不揮発性メモリなど)を備えており、所定のプログラムを実行することによって、複数の機能処理部として機能するようになっている。この複数の機能処理部には、回転角演算部41と、減速比除算部42と、ハンズオンオフ判定部43と、路面負荷特性設定部44と、手動操舵指令値生成部45と、統合角度指令値演算部46と、角度制御部47と、トルク制御部48とが含まれる。
回転角演算部41は、回転角センサ23の出力信号に基づいて、電動モータ18のロータ回転角θm,intを演算する。減速比除算部42は、ロータ回転角θm,intを減速比Nで除算することにより、ロータ回転角θm,intを出力軸9の回転角(実操舵角)θc,intに変換する。
ハンズオンオフ判定部43は、ドライバがステアリングホイール2を把持している把持状態(ハンズオン)であるか、ドライバがステアリングホイール2を把持していない手放し状態(ハンズオフ)であるかを判定する。ハンズオンオフ判定部43は、例えば、操舵トルクTtbと、実操舵角θc,intまたはロータ回転角θm,intとに基づいて、ドライバがステアリングホイール2に加えたトルクであるドライバトルクを推定し、ドライバトルクが所定の閾値以上であれば把持状態と判定し、ドライバトルクが閾値未満である状態が所定時間以上継続しているときに手放し状態であると判定するものであってもよい。この場合、ドライバトルクが閾値以上の状態から閾値未満に変化した後、手放し状態であると判定されるまでの間は、把持状態と判定される。このようなハンズオンオフ判定部43としては、例えば、特開2017-114324号公報、特開2018-165156号公報、特開2020-142703号公報、特開2020-59361号公報、特開2020-59362号公報等に記載されている「ハンドル操作状態判定部」を用いることができる。
ハンズオンオフ判定部43は、例えば、操舵トルクTtbが所定の閾値以上であれば把持状態と判定し、操舵トルクTtbが閾値未満である状態が所定時間以上継続しているときに手放し状態であると判定するものであってもよい。この場合、操舵トルクTtbが閾値以上の状態から閾値未満に変化した後、手放し状態であると判定されるまでの間は、把持状態と判定される。
路面負荷特性設定部44は、運転支援モード時に、手動操舵指令値生成部45によって用いられるばね定数kおよび粘性減衰係数cを、ハンズオンオフ判定部43のハンズオンオフ判定結果に基づいて設定する。
手動操舵指令値生成部45は、ドライバがステアリングホイール2を操作した場合に、当該ステアリングホイール操作に応じた操舵角を手動操舵指令値θ c,mdとして設定するために設けられている。手動操舵指令値生成部45は、車速Vとトルクセンサ12によって検出される操舵トルクTtbを用いて手動操舵指令値θ c,mdを生成する。手動操舵指令値生成部45の動作の詳細については、後述する。
統合角度指令値演算部46は、上位ECU201によって設定される自動操舵指令値θθ c,adに手動操舵指令値θ c,mdを加算して、統合角度指令値θ c,intを演算する。
角度制御部47は、統合角度指令値θ c,intに基づいて、電動モータ18のモータトルクの目標値であるモータトルク指令値T m,intを演算する。トルク制御部48は、電動モータ18のモータトルクがモータトルク指令値T m,intに近づくように駆動回路31を駆動する。つまり、角度制御部47およびトルク制御部48からなる制御部は、実操舵角θc,int(出力軸9の回転角θc,int)が統合角度指令値θ c,intに近づくように、駆動回路31を駆動制御する。角度制御部47およびトルク制御部48の動作の詳細については、後述する。
図3は、手動操舵指令値生成部45の構成を示すブロック図である。
手動操舵指令値生成部45は、アシストトルク指令値設定部51と、指令値設定部52とを含む。
アシストトルク指令値設定部51は、手動操作に必要なアシストトルクの目標値であるアシストトルク指令値T m,mdを設定する。アシストトルク指令値設定部51は、車速Vとトルクセンサ12によって検出される操舵トルクTtbに基づいて、アシストトルク指令値T m,mdを設定する。操舵トルクTtbに対するアシストトルク指令値T m,mdの設定例は、図4に示されている。
アシストトルク指令値T m,mdは、電動モータ18から左方向操舵のための操舵補助力を発生させるべきときには正の値とされ、電動モータ18から右方向操舵のための操舵補助力を発生させるべきときには負の値とされる。アシストトルク指令値T m,mdは、操舵トルクTtbの正の値に対しては正をとり、操舵トルクTtbの負の値に対しては負をとる。そして、アシストトルク指令値T m,mdは、操舵トルクTtbの絶対値が大きくなるほど、その絶対値が大きくなるように設定される。アシストトルク指令値T m,mdは、車速Vが大きいほど、その絶対値が小さくなるように設定される。
なお、アシストトルク指令値設定部51は、操舵トルクTtbに予め設定された定数を乗算することによって、アシストトルク指令値T m,mdを演算してもよい。
指令値設定部52は、この実施形態では、リファレンスEPSモデルを用いて、手動操舵指令値θ c.mdを設定する。
図5は、指令値設定部52で用いられるリファレンスEPSモデルの一例を示す模式図である。
このリファレンスEPSモデルは、ロアコラムを含む単一慣性モデルである。ロアコラムは、出力軸9およびウォームホイール21に対応する。図5において、Jは、ロアコラムの慣性であり、θはロアコラムの回転角であり、Ttbは、操舵トルクである。このリファレンスEPSモデルは、操舵トルクTtbと、アシストトルク指令値T m,mdに基づき電動モータ18から出力軸9に作用するトルクN・T m,mdと、路面負荷トルクTrlとがロアコラムに与えられたときのロアコラムの回転角θを生成(推定)するためのモデルである。路面負荷トルクTrlは、ばね定数kおよび粘性減衰係数cを用いて、次式(1)で表される。
rl=-k・θ-c(dθ/dt) …(1)
ばね定数kおよび粘性減衰係数cは、路面負荷特性設定部44によって設定される。路面負荷特性設定部44の動作の詳細については、後述する。
リファレンスEPSモデルの運動方程式は、次式(2)で表される。
・dθ/dt=Ttb+N・T m,md-k・θ-c(dθ/dt) …(2)
指令値設定部52は、Ttbにトルクセンサ12によって検出される操舵トルクTtbを代入し、T m,mdにアシストトルク指令値設定部51によって設定されるアシストトルク指令値T m,mdを代入して、式(2)の微分方程式を解くことにより、ロアコラムの回転角θを演算する。そして、指令値設定部52は、得られたロアコラムの回転角θを手動操舵指令値θ c,mdとして設定する。
図6は、角度制御部47の構成を示すブロック図である。
角度制御部47は、統合角度指令値θ c,intに基づいてモータトルク指令値T m,intを演算する。角度制御部47は、ローパスフィルタ(LPF)61と、フィードバック制御部62と、フィードフォワード制御部63と、外乱トルク推定部64と、トルク加算部65と、外乱トルク補償部66と、減速比除算部67と、減速比乗算部68とを含む。
減速比乗算部68は、減速比除算部67によって演算されるモータトルク指令値T m,intに減速機19の減速比Nを乗算することにより、モータトルク指令値T m,intを出力軸9に作用する出力軸トルク指令値T c,int(=N・T m,int)に換算する。
ローパスフィルタ61は、統合角度指令値θ c,intに対してローパスフィルタ処理を行う。ローパスフィルタ処理後の統合角度指令値θ c,intfは、フィードバック制御部62およびフィードフォワード制御部63に与えられる。
フィードバック制御部62は、減速比除算部42によって演算される実操舵角θc,intを、ローパスフィルタ処理後の統合角度指令値θ c,intfに近づけるために設けられている。フィードバック制御部62は、角度偏差演算部62Aと、PD制御部62Bとを含む。角度偏差演算部62Aは、統合角度指令値θ c,intfと、減速比除算部42(図2参照)によって演算される実操舵角θc,intとの偏差Δθc,int(=θ c,intf-θc,int)を演算する。なお、角度偏差演算部62Aは、統合角度指令値θ c,intfと、外乱トルク推定部64によって演算される操舵角推定値^θc,intとの偏差(θ c,intf-^θc,int)を、角度偏差Δθc,intとして演算するようにしてもよい。
PD制御部62Bは、角度偏差演算部62Aによって演算される角度偏差Δθc,intに対してPD演算(比例微分演算)を行うことにより、フィードバック制御トルクTfb,intを演算する。フィードバック制御トルクTfb,intは、トルク加算部65に与えられる。
フィードフォワード制御部63は、電動パワーステアリングシステム1の慣性による応答性の遅れを補償して、制御の応答性を向上させるために設けられている。フィードフォワード制御部63は、角加速度演算部63Aと慣性乗算部63Bとを含む。角加速度演算部63Aは、統合角度指令値θ c,intfを2階微分することにより、目標角加速度dθ c,intf/dtを演算する。
慣性乗算部63Bは、角加速度演算部63Aによって演算された目標角加速度dθ c,intf/dtに、電動パワーステアリングシステム1の慣性Jを乗算することにより、フィードフォワード制御トルクTff,int(=J・dθ c,intf/dt)を演算する。慣性Jは、例えば、後述する電動パワーステアリングシステム1の物理モデル(図7参照)から求められる。フィードフォワード制御トルクTff,intは、慣性補償値として、トルク加算部65に与えられる。
トルク加算部65は、フィードバック制御トルクTfb,intにフィードフォワード制御トルクTff,intを加算することにより、基本トルク指令値(Tfb,int+Tff,int)を演算する。
外乱トルク推定部64は、プラント(電動モータ18の制御対象)に外乱として発生する非線形なトルク(外乱トルク:モータトルク以外のトルク)を推定するために設けられている。外乱トルク推定部64は、プラントへの入力値である操舵トルク指令値T c,int(=N・T m,int)と、プラントの出力である実操舵角θc,intとに基づいて、外乱トルク(外乱負荷)Tlc、操舵角θc,intおよび操舵角微分値(角速度)dθc,int/dtを推定する。外乱トルクTlc、操舵角θc,intおよび操舵角微分値(角速度)dθc,int/dtの推定値を、それぞれ^Tlc、^θc,intおよびd^θc,int/dtで表す。外乱トルク推定部64の詳細については、後述する。
外乱トルク推定部64によって演算された外乱トルク推定値^Tlcは、外乱トルク補償値として外乱トルク補償部66に与えられる。
外乱トルク補償部66は、基本トルク指令値(Tfb,int+Tff,int)から外乱トルク推定値^Tlcを減算することにより、出力軸トルク指令値T c,int(=Tfb,int+Tff,int-^Tlc)を演算する。これにより、外乱トルクが補償された出力軸トルク指令値T c,int(出力軸9に対するトルク指令値)が得られる。
出力軸トルク指令値T c,intは、減速比除算部67に与えられる。減速比除算部67は、出力軸トルク指令値T c,intを減速比Nで除算することにより、モータトルク指令値T m,intを演算する。このモータトルク指令値T m,intが、トルク制御部48(図2参照)に与えられる。
外乱トルク推定部64について詳しく説明する。外乱トルク推定部64は、例えば、図7に示す電動パワーステアリングシステム1の物理モデル101を使用して、外乱トルクTlc、操舵角θc,intおよび角速度dθc,int/dtを推定する外乱オブザーバから構成されている。
この物理モデル101は、出力軸9および出力軸9に固定されたウォームホイール21を含むプラント(モータ駆動対象の一例)102を含む。プラント102には、ステアリングホイール2からトーションバー10を介して操舵トルクTtbが与えられるとともに、転舵輪3側から路面負荷トルクTrlが与えられる。
さらに、プラント102には、ウォームギヤ20を介して出力軸トルク指令値T c,int(=N・T m,int)が与えられるとともに、ウォームホイール21とウォームギヤ20との間の摩擦によって摩擦トルクTが与えられる。
プラント102の慣性をJとすると、物理モデル101の慣性についての運動方程式は、次式(3)で表される。
Figure 2023048867000002
θc,int/dtは、プラント102の角加速度である。Nは、減速機19の減速比である。Tlcは、プラント102に与えられるモータトルク以外の外乱トルクを示している。この実施形態では、外乱トルクTlcは、操舵トルクTtbと路面負荷トルクTrlと摩擦トルクTとの和として示されているが、実際には、外乱トルクTlcはこれら以外のトルクを含んでいる。
図7の物理モデル101に対する状態方程式は、次式(4)で表わされる。
Figure 2023048867000003
前記式(4)において、xは状態変数ベクトル、uは既知入力ベクトル、uは未知入力ベクトル、yは出力ベクトル(測定値)である。前記式(4)において、Aはシステム行列、Bは第1入力行列、Bは第2入力行列、Cは出力行列、Dは、直達行列である。
前記状態方程式を、未知入力ベクトルuを状態の1つとして含めた系に拡張する。拡張系の状態方程式(拡張状態方程式)は、次式(5)で表される。
Figure 2023048867000004
前記式(5)において、xは、拡張系の状態変数ベクトルであり、次式(6)で表される。
Figure 2023048867000005
前記式(5)において、Aは拡張系のシステム行列、Bは拡張系の既知入力行列、Cは拡張系の出力行列である。
前記式(5)の拡張状態方程式から、次式(7)の方程式で表される外乱オブザーバ(拡張状態オブザーバ)が構築される。
Figure 2023048867000006
式(7)において、^xはxの推定値を表している。また、Lはオブザーバゲインである。また、^yはyの推定値を表している。^xは、次式(8)で表される。
Figure 2023048867000007
式(8)において、^θc,intはθc,intの推定値であり、^TlcはTlcの推定値である。
外乱トルク推定部64は、前記式(7)の方程式に基づいて状態変数ベクトル^xを演算する。
図8は、外乱トルク推定部64の構成を示すブロック図である。
外乱トルク推定部64は、入力ベクトル入力部81と、出力行列乗算部82と、第1加算部83と、ゲイン乗算部84と、入力行列乗算部85と、システム行列乗算部86と、第2加算部87と、積分部88と、状態変数ベクトル出力部89とを含む。
減速比乗算部68(図6参照)によって演算される操舵トルク指令値T c,int(=N・T m,int)は、入力ベクトル入力部81に与えられる。入力ベクトル入力部81は、入力ベクトルuを出力する。
積分部88の出力が状態変数ベクトル^x(前記式(8)参照)となる。演算開始時には、状態変数ベクトル^xとして初期値が与えられる。状態変数ベクトル^xの初期値は、たとえば0である。
システム行列乗算部86は、状態変数ベクトル^xにシステム行列Aを乗算する。出力行列乗算部82は、状態変数ベクトル^xに出力行列Cを乗算する。
第1加算部83は、減速比除算部42(図2参照)によって演算された実操舵角θc,intである出力ベクトル(測定値)yから、出力行列乗算部82の出力(C・^x)を減算する。つまり、第1加算部83は、出力ベクトルyと出力ベクトル推定値^y(=C・^x)との差(y-^y)を演算する。ゲイン乗算部84は、第1加算部83の出力(y-^y)にオブザーバゲインL(前記式(7)参照)を乗算する。
入力行列乗算部85は、入力ベクトル入力部81から出力される入力ベクトルuに入力行列Bを乗算する。第2加算部87は、入力行列乗算部85の出力(Be・u)と、システム行列乗算部86の出力(A・^x)と、ゲイン乗算部84の出力(L(y-^y))とを加算することにより、状態変数ベクトルの微分値d^x/dtを演算する。積分部88は、第2加算部87の出力(d^x/dt)を積分することにより、状態変数ベクトル^xを演算する。状態変数ベクトル出力部89は、状態変数ベクトル^xに基づいて、外乱トルク推定値^Tlc、操舵角推定値^θc,intおよび角速度推定値d^θc,int/dtを演算する。
一般的な外乱オブザーバは、前述の拡張状態オブザーバとは異なり、プラントの逆モデルとローパスフィルタとから構成される。プラントの運動方程式は、前述のように式(3)で表される。したがって、プラントの逆モデルは、次式(9)となる。
Figure 2023048867000008
一般的な外乱オブザーバへの入力は、J・dθc,int/dtおよびN・T m,intであり、実操舵角θc,intの2階微分値を用いるため、回転角センサ23のノイズの影響を大きく受ける。これに対して、前述の実施形態の拡張状態オブザーバでは、積分型で外乱トルクを推定するため、微分によるノイズ影響を低減できる。
なお、外乱トルク推定部64として、プラントの逆モデルとローパスフィルタとから構成される一般的な外乱オブザーバを用いてもよい。
図9は、トルク制御部48の電気的構成を示すブロック図である。トルク制御部48は、モータ電流指令値演算部91と、電流偏差演算部92と、PI制御部93と、PWM(Pulse Width Modulation)制御部94とを含む。
モータ電流指令値演算部91は、角度制御部47によって演算されたモータトルク指令値T m,intを電動モータ18のトルク定数Kで除算することにより、モータ電流指令値I m,intを演算する。
電流偏差演算部92は、モータ電流指令値演算部91によって得られたモータ電流指令値I m,intと電流検出回路32によって検出されたモータ電流Im,intとの偏差ΔIm,int(=I m,int-Im,int)を演算する。
PI制御部93は、電流偏差演算部92によって演算された電流偏差ΔIm,intに対するPI演算(比例積分演算)を行うことにより、電動モータ18に流れるモータ電流Im,intをモータ電流指令値I m,intに導くための駆動指令値を生成する。PWM制御部94は、前記駆動指令値に対応するデューティ比のPWM制御信号を生成して、駆動回路31に供給する。これにより、駆動指令値に対応した電力が電動モータ18に供給されることになる。
次に、路面負荷特性設定部44の動作について詳しく説明する。路面負荷特性設定部44は、運転支援モード時に、ばね定数kを設定するためのばね定数設定処理と、粘性減衰係数cを設定するための粘性減衰係数設定処理とを行う。以下、これらの処理について説明する。
図10は、路面負荷特性設定部44によって行われるばね定数設定処理の手順を示すフローチャートである。図10に示されるばね定数設定処理は、運転支援モードが開始される毎に開始され、運転支援モードが解除されるまで、所定の演算周期毎に繰り返し行われる。
以下において、ΔTは、1演算周期に相当する時間(サンプリングタイム)である。Toffは、手放し状態の継続時間である。kminは、予め設定されたばね定数最小値である。ばね定数kの通常値が、ばね定数最小値kminとして設定される。kmaxは、予め設定されたばね定数最大値である。kdecreaseは、予め設定された1演算周期でのばね定数減少量である。kincreaseは、予め設定された1演算周期でのばね定数増加量である。kの初期値は、kminである。Toffの初期値は、0である。
路面負荷特性設定部44は、ハンズオンオフ判定部43の判定結果が手放し状態であるか否かを判別する(ステップS1)。
ハンズオンオフ判定部43の判定結果が把持状態であれば(ステップS1:NO)、路面負荷特性設定部44は、手放し状態の継続時間Toffを零に設定する(ステップS2)。そして、路面負荷特性設定部44は、ばね定数kがばね定数最小値kminよりも大きいか否か判別する(ステップS3)。
ばね定数kがばね定数最小値kminよりも大きい場合には(ステップS3:YES)、路面負荷特性設定部44は、ばね定数kからばね定数減少量kdecreaseを減算した値を、ばね定数kとして設定する(ステップS4)。ただし、ばね定数kからばね定数減少量kdecreaseを減算した値が、ばね定数最小値kminよりも小さい場合には、路面負荷特性設定部44は、ばね定数最小値kminをばね定数kとして設定する。そして、路面負荷特性設定部44は、今回の演算周期での処理を終了する。
ステップS3において、ばね定数kがばね定数最小値kmin以下であると判別された場合には(ステップS3:NO)、路面負荷特性設定部44は、ばね定数最小値kminをばね定数kとして設定する(ステップS5)。そして、路面負荷特性設定部44は、今回の演算周期での処理を終了する。
ステップS1において、ハンズオンオフ判定部55の判定結果が手放し状態であると判別された場合には(ステップS1:YES)、路面負荷特性設定部44は、手放し状態の継続時間ToffにΔTを加算した値を、Toffに設定する(ステップS6)。つまり、手放し状態の継続時間Toffが更新される。
次に、路面負荷特性設定部44は、手放し状態の継続時間Toffが所定時間TLCAよりも長いか否かを判別する(ステップS7)。手放し状態の継続時間Toffが所定時間TLCA以下であれば、つまり、Toff≦TLCAであれば(ステップS7:NO)、路面負荷特性設定部44は、ステップS3に移行する。
ステップS7において、手放し状態の継続時間Toffが所定時間TLCAよりも長いと判別された場合、つまり、Toff>TLCAであると判別された場合には(ステップS7:YES)、路面負荷特性設定部44は、ばね定数kがばね定数最大値kmaxよりも小さいか否かを判別する(ステップS8)。ばね定数kがばね定数最大値kmaxよりも小さい場合には(ステップS8:YES)、路面負荷特性設定部44は、ばね定数kにばね定数増加量kincreaseを加算した値を、ばね定数kとして設定する(ステップS9)。ただし、ばね定数kにばね定数増加量kincreaseを加算した値が、ばね定数最大値kmaxよりも大きい場合には、路面負荷特性設定部44は、ばね定数最大値kmaxをばね定数kとして設定する。そして、路面負荷特性設定部44は、今回の演算周期での処理を終了する。
ステップS8において、ばね定数kがばね定数最大値kmax以上であると判別された場合には(ステップS8:NO)、路面負荷特性設定部44は、ばね定数最大値kmaxをばね定数kとして設定する(ステップS10:NO)。そして、ゲイン設定部73は、今回の演算周期での処理を終了する。
粘性減衰係数設定処理は、図10のばね定数設定処理と同様である。ただし、粘性減衰係数設定処理においては、図10のばね定数k、ばね定数最小値kmin、ばね定数最大値kmax、ばね定数減少量kdecreaseおよびばね定数増加量kincreaseは、それぞれ、粘性減衰係数c、粘性減衰係数最小値cmin、粘性減衰係数最大値cmax、粘性減衰係数減少量cdecreaseおよび粘性減衰係数増加量cincreaseに置き換えられる。
運転モードが通常モードである場合には、路面負荷特性設定部44は、ばね定数最小値kminをばね定数kとして設定するとともに、粘性減衰係数最小値cminを粘性減衰係数cとして設定する。つまり、通常モード時には、ばね定数kおよび粘性減衰係数cは変更されない。
前述の実施形態では、運転支援モードにおいて、ハンズオンオフ判定部55による手放し状態であるとの判定結果が所定時間以上継続したときに、指令値設定部52で用いられる路面負荷特性(ばね定数kおよび粘性減衰係数c)が大きくされる。路面負荷特性k,cが大きくされると、ドライバトルク(ドライバ入力)に対する手動操舵指令値θ c,mdが小さくなる。これにより、ドライバトルクに基づく出力軸9の回転量が小さくなるので、ドライバ操作によるステアリングホイール2の比較的小さな回転によっても、トーションバー10が捻じれやすくなる。これにより、操舵トルクTtbおよびドライバトルクが大きくなるので、ハンズオンオフ判定部55によるハンズオンオフ判定の精度が高くなる。これにより、直線走行などのドライバトルクの入力が少ない状況において、ドライバがステアリングホイール2を把持しているにもかかわらず手放し状態であるとの誤判定を防止または抑制することができる。
[3]モータ制御用ECU202の変形例
図11は、モータ制御用ECU202の変形例の電気的構成を説明するためのブロック図である。
モータ制御用ECU202は、マイクロコンピュータ40Aと、マイクロコンピュータ40Aによって制御され、電動モータ18に電力を供給する駆動回路(インバータ回路)31と、電動モータ18に流れる電流(以下、「モータ電流Im,int」という)を検出するための電流検出回路32とを備えている。
マイクロコンピュータ40Aは、CPUおよびメモリ(ROM、RAM、不揮発性メモリなど)を備えており、所定のプログラムを実行することによって、複数の機能処理部として機能するようになっている。この複数の機能処理部には、アシスト制御部111と、自動操舵制御部112と、統合トルク演算部(統合制御量演算部)113と、トルク制御部(制御部)114と、実操舵角演算部115と、ハンズオンオフ判定部116と、実自動操舵角演算部117と、路面負荷特性設定部118とを含む。
アシスト制御部111は、手動操舵に必要なアシストトルクの目標値であるアシストトルク指令値(アシスト制御量)T m,mdを設定する。アシスト制御部11は、車速Vとトルクセンサ12によって検出される操舵トルクTtbに基づいて、アシストトルク指令値T m,mdを設定する。アシスト制御部111は、図2のアシストトルク指令値設定部51と同様な方法で、アシストトルク指令値T m,mdを設定する。
自動操舵制御部112は、上位ECU201から与えられる自動操舵角指令値θ c,adと後述する実自動操舵角θc,adとを用いて、自動操舵に必要な自動操舵トルク指令値(自動操舵制御量)T m,adを設定する。自動操舵制御部112の詳細については後述する。
統合トルク演算部113は、アシストトルク指令値T m,mdに自動操舵トルク指令値T m,adを加算することによって、統合トルク指令値(統合制御量)T m,intを演算する。
トルク制御部114は、電動モータ18のモータトルクが統合トルク指令値T m,intに近づくように駆動回路31を駆動する。トルク制御部114の構成は、前述の図9に示されるトルク制御部48の構成と同じなので、その説明を省略する。
実操舵角演算部115は、回転角センサ23の出力信号に基づいて、出力軸9の回転角θc,intを演算する。具体的には、実操舵角演算部115は、回転角演算部115Aと減速比除算部115Bとを含む。回転角演算部115Aは、回転角センサ23の出力信号に基づいて、電動モータ18のロータ回転角θm,intを演算する。減速比除算部115Bは、回転角演算部115Aによって演算されるロータ回転角θm,intを減速機19の減速比Nで除算することにより、ロータ回転角θm,intを出力軸9の回転角(実操舵角)θc,intに換算する。
実操舵角θc,intは、操舵トルクTtbおよびアシストトルク指令値T m,mdに基づく手動操舵分の操舵角(以下、「実手動操舵角θc,md」という。)と、自動操舵トルク指令値T m,adに基づく自動操舵分の操舵角(以下、「実自動操舵角θc,ad」という。)とを含んでいる。
ハンズオンオフ判定部116は、図2のハンズオンオフ判定部42と同様な方法により、把持状態であるか、手放し状態であるかを判定する。
実自動操舵角演算部117は、実操舵角θc,intに含まれている実自動操舵角θc,adを演算する。具体的には、実自動操舵角演算部117は、実手動操舵角演算部117Aと減算部117Bとを含む。実手動操舵角演算部117Aは、操舵トルクTtb、アシストトルク指令値T m,mdならびに路面負荷特性設定部118によって設定されるばね定数kおよび粘性減衰係数cに基づいて、実手動操舵角θc,mdを演算する。減算部117Bは、実操舵角演算部115によって演算される実操舵角θc,intから実手動操舵角演算部117Aによって演算される実手動操舵角θc,mdを減算することによって、実自動操舵角θc,adを演算する。この実自動操舵角θc,adが、自動操舵制御部112に与えられる。
実手動操舵角演算部117Aは、この実施形態では、電動パワーステアリングシステム1のリファレンスモデル(リファレンスEPSモデル)を用いて、実手動操舵角θc,mdを演算する。
実手動操舵角演算部117Aは、例えば、前述の図5で示されるリファレンスEPSモデルを用いて、実手動操舵角θc,mdを演算する。
図5を参照して、路面負荷トルクTrlは、ばね定数kおよび粘性減衰係数cを用いて、前述の式(1)で表される。
ばね定数kおよび粘性減衰係数cは、路面負荷特性設定部118によって設定される。路面負荷特性設定部118は、運転支援モード時に、ハンズオンオフ判定部116のハンズオンオフ判定結果に基づいて、ばね定数kおよび粘性減衰係数cを設定する。路面負荷特性設定部118によるばね定数kおよび粘性減衰係数cの設定方法は、前述の図2の路面負荷特性設定部44によるばね定数kおよび粘性減衰係数cの設定方法と同じなので、その説明を省略する。
図5のリファレンスEPSモデルの運動方程式は、前述の式(2)で表される。実手動操舵角演算部116Aは、式(2)の微分方程式を解くことにより、ロアコラムの回転角θを演算し、得られた回転角θを実手動操舵角θc,mdとして設定する。
以下、自動操舵制御部112について詳しく説明する。
図12は、自動操舵制御部112の構成を示すブロック図である。
自動操舵制御部112は、自動操舵角指令値θ c,adと実自動操舵角θc,adとを用いて、自動操舵トルク指令値T m,adを演算する。自動操舵制御部112は、ローパスフィルタ(LPF)161と、フィードバック制御部162と、フィードフォワード制御部163と、外乱トルク推定部164と、トルク加算部165と、外乱トルク補償部166と、減速比除算部167と、減速比乗算部168とを含む。
減速比乗算部168は、減速比除算部167によって演算される自動操舵トルク指令値T m,adに減速機19の減速比Nを乗算することにより、自動操舵トルク指令値T m,adを、出力軸9(ウォームホイール21)に作用する自動出力軸トルク指令値N・T m,ad(=T c,ad)に換算する。
ローパスフィルタ161は、自動操舵角指令値θ c,adに対してローパスフィルタ処理を行う。ローパスフィルタ処理後の自動操舵角指令値θ c,adfは、フィードバック制御部162およびフィードフォワード制御部163に与えられる。
フィードバック制御部162は、実自動操舵角演算部117(図11参照)によって演算される実自動操舵角θc,adを、ローパスフィルタ処理後の自動操舵角指令値θ c,adfに近づけるために設けられている。フィードバック制御部162は、角度偏差演算部162AとPD制御部162Bとを含む。角度偏差演算部162Aは、自動操舵角指令値θ c,adfと実自動操舵角θc,adとの偏差Δθc,ad(=θ c,adfd-θc,ad)を演算する。なお、角度偏差演算部162Aは、自動操舵角指令値θ c,adfと、外乱トルク推定部164によって演算される実自動操舵角推定値^θc,adとの偏差(θ c,adfd-^θc,ad)を、角度偏差Δθc,adとして演算してもよい。
PD制御部162Bは、角度偏差演算部162Aによって演算される角度偏差Δθc,adに対してPD演算(比例微分演算)を行うことにより、フィードバック制御トルクTfb,adを演算する。フィードバック制御トルクTfb,adは、トルク加算部165に与えられる。
フィードフォワード制御部163は、電動パワーステアリングシステム1の慣性による応答性の遅れを補償して、制御の応答性を向上させるために設けられている。フィードフォワード制御部163は、角加速度演算部163Aと慣性乗算部163Bとを含む。角加速度演算部163Aは、自動操舵角指令値θ c,adfを2階微分することにより、目標角加速度dθ c,adf/dtを演算する。
慣性乗算部163Bは、角加速度演算部163Aによって演算された目標角加速度dθ c,adf/dtに、電動パワーステアリングシステム1の慣性Jを乗算することにより、フィードフォワード制御トルクTff,ad(=J・dθ c,adf/dt)を演算する。慣性Jは、例えば、後述する電動パワーステアリングシステム1の物理モデル(図13参照)から求められる。フィードフォワード制御トルクTff,adは、慣性補償値として、トルク加算部165に与えられる。
トルク加算部165は、フィードバック制御トルクTfb,adにフィードフォワード制御トルクTff,adを加算することにより、基本トルク指令値(Tfb,ad+Tff,ad)を演算する。
外乱トルク推定部164は、主として、電動モータ18の駆動対象に作用するモータトルク以外の外乱トルクTlcに含まれる自動操舵分の外乱トルクTlc,adの推定値である自動外乱トルク推定値^Tlc,adを演算するために設けられている。自動操舵分の外乱トルクTlc,adとは、自動操舵トルク指令値T m,adに基づく自動操舵制御のみが行われていると仮定した場合に、電動モータ18の駆動対象(プラント)に外乱として発生するモータトルク以外のトルクをいう。
自動操舵トルク指令値T m,adに基づく自動操舵制御のみが行われていると仮定した場合には、プラントの目標値は自動出力軸トルク指令値N・T m,ad(=T c,ad)となり、プラントの出力は実自動操舵角θc,adとなる。そこで、外乱トルク推定部164は、自動出力軸トルク指令値N・T m,ad(=T c,ad)と実自動操舵角θc,adとに基づいて、自動外乱トルクTlc,adと、実自動操舵角θc,adと、実自動操舵角θc,adの微分値(実自動角速度)dθc,ad/dtとを推定する。以下において、Tlc,ad、θc,adおよびdθc,ad/dtの推定値を、それぞれ^Tlc,ad、^θc,adおよび^dθc,ad/dtで表すことにする。外乱トルク推定部164の詳細については、後述する。
外乱トルク推定部164によって演算された自動外乱トルク推定値^Tlc,adは、自動外乱トルク補償値として外乱トルク補償部166に与えられる。
外乱トルク補償部166は、基本トルク指令値(Tfb,ad+Tff,ad)から自動外乱トルク推定値^Tlc,adを減算することにより、自動出力軸トルク指令値T c,ad(=Tfb,ad+Tff,ad-^Tlc,ad)を演算する。これにより、自動外乱トルクが補償された自動出力軸トルク指令値T c,ad(出力軸9に対する目標トルク)が得られる。
自動出力軸トルク指令値T c,adは、減速比除算部167に与えられる。減速比除算部167は、自動出力軸トルク指令値T c,adを減速比Nで除算することにより、自動操舵トルク指令値T m,ad(電動モータ18に対する目標トルク)を演算する。この自動操舵トルク指令値T m,adが、統合トルク演算部113(図11参照)に与えられる。
外乱トルク推定部164について詳しく説明する。外乱トルク推定部164は、例えば、図13に示す電動パワーステアリングシステム1の物理モデル101Aを使用して、自動外乱トルク推定値^Tlc,ad、実自動操舵角推定値^θc,adおよび実自動角速度推定値^dθc,ad/dtを演算する、外乱オブザーバから構成されている。ただし、図13は、自動操舵トルク指令値T m,adに基づく自動操舵制御のみが行われていると仮定した場合の物理モデルを示している。
この物理モデル101Aは、出力軸9および出力軸9に固定されたウォームホイール21を含むプラント(モータ駆動対象の一例)102Aを含む。プラント102Aには、トーションバー10の捩じれトルクである操舵トルク(トーションバートルク)Ttbが与えられるとともに、転舵輪3側から路面負荷トルクTrl,adが与えられる。さらに、プラント102Aには、ウォームギヤ20を介してモータから自動出力軸トルク指令値N・T m,adが与えられるとともに、ウォームホイール21とウォームギヤ20との間の摩擦によって摩擦トルクTf,adが与えられる。
プラント102Aの慣性をJとすると、物理モデル101Aの慣性についての運動方程式は、次式(10)で表される。
Figure 2023048867000009
θc,ad/dtは、プラント102Aの角加速度である。Nは、減速機19の減速比である。Tlc,adは、プラント102Aに与えられる自動外乱トルクを示している。この実施形態では、自動外乱トルクTlc,adは、操舵トルクTtbと路面負荷トルクTrl,adと摩擦トルクTf,adとの和として示されているが、実際には、自動外乱トルクTlc,adはこれら以外のトルクを含んでいる。
図13の物理モデル101Aに対する状態方程式は、次式(11)で表わされる。
Figure 2023048867000010
前記式(11)において、xは状態変数ベクトル、u1は既知入力ベクトル、u2は未知入力ベクトル、yは出力ベクトルである。前記式(11)において、Aはシステム行列、B1は第1入力行列、B2は第2入力行列、Cは出力行列、Dは直達行列である。
前記状態方程式を、未知入力ベクトルu2を状態の1つとして含めた系に拡張する。拡張系の状態方程式(拡張状態方程式)は、次式(12)で表される。
Figure 2023048867000011
前記式(12)において、xは、拡張系の状態変数ベクトルであり、次式(13)で表される。
Figure 2023048867000012
前記式(12)において、Aは拡張系のシステム行列、Bは拡張系の既知入力行列、Cは拡張系の出力行列である。
前記式(12)の拡張状態方程式から、次式(14)の方程式で表される外乱オブザーバ(拡張状態オブザーバ)が構築される。
Figure 2023048867000013
式(14)において、^xはxの推定値を表している。また、Lはオブザーバゲインである。また、^yはyの推定値を表している。^xは、次式(15)で表される。
Figure 2023048867000014
式(15)において、^θc,adは実自動操舵角θc,adの推定値であり、^dθc,ad/dtは角速度dθc,ad/dtの推定値であり、^Tlc,adは自動外乱トルクTlc,adの推定値である。
外乱トルク推定部164は、前記式(14)の方程式に基づいて状態変数ベクトル^xを演算する。
図14は、外乱トルク推定部164の構成を示すブロック図である。
外乱トルク推定部164は、入力ベクトル入力部181と、出力行列乗算部182と、第1加算部183と、ゲイン乗算部184と、入力行列乗算部185と、システム行列乗算部186と、第2加算部187と、積分部188と、状態変数ベクトル出力部189とを含む。
減速比乗算部168(図12参照)によって演算される自動出力軸トルク指令値N・T m,ad(=T c,ad)は、入力ベクトル入力部181に与えられる。入力ベクトル入力部181は、入力ベクトルuを出力する。
積分部188の出力が状態変数ベクトル^x(前記式(15)参照)となる。演算開始時には、状態変数ベクトル^xとして初期値が与えられる。状態変数ベクトル^xの初期値は、たとえば0である。
システム行列乗算部186は、状態変数ベクトル^xにシステム行列Aを乗算する。出力行列乗算部182は、状態変数ベクトル^xに出力行列Cを乗算する。
第1加算部183は、実自動操舵角θc,adである出力ベクトルyから、出力行列乗算部182の出力(C・^x)を減算する。つまり、第1加算部183は、出力ベクトルyと出力ベクトル推定値^y(=C・^x)との差(y-^y)を演算する。ゲイン乗算部184は、第1加算部183の出力(y-^y)にオブザーバゲインL(前記式(14)参照)を乗算する。
入力行列乗算部185は、入力ベクトル入力部181から出力される入力ベクトルuに入力行列Bを乗算する。第2加算部187は、入力行列乗算部185の出力(B・u)と、システム行列乗算部186の出力(A・^x)と、ゲイン乗算部184の出力(L(y-^y))とを加算することにより、状態変数ベクトルの微分値d^x/dtを演算する。積分部188は、第2加算部187の出力(d^x/dt)を積分することにより、状態変数ベクトル^xを演算する。状態変数ベクトル出力部189は、状態変数ベクトル^xに基づいて、自動外乱トルク推定値^Tlc,ad、実自動操舵角推定値^θc,adおよび実自動角速度推定値d^θc,ad/dtを演算する。
前述の拡張状態オブザーバの代わりに、プラントの逆モデルとローパスフィルタとから構成される外乱オブザーバを用いてもよい。この場合、プラントの運動方程式は、前述のように式(10)で表される。
したがって、プラントの逆モデルは、次式(16)となる。
Figure 2023048867000015
プラントの逆モデルを用いた外乱オブザーバへの入力は、J・dθc,ad/dtおよびN・T m,adであり、実操舵角θc,adの2階微分値を用いるため、回転角センサ23のノイズの影響を大きく受ける。これに対して、前述の拡張状態オブザーバでは、積分型で外乱トルクを推定するため、微分によるノイズ影響を低減できるという利点がある。
この変形例では、フィードバック制御トルクTfb,ad等に基づいて演算される自動操舵トルク指令値T m,adと、アシストトルク指令値T m,mdとの和である統合トルク指令値T m,intに基づいて電動モータ18が駆動される。したがって、運転支援モード時において、通常時は、自動操舵トルク指令値T m,adに基づいて出力軸9が回転されるとともに、ドライバトルクに基づき発生する、操舵トルクTtbおよびアシストトルク指令値T m,mdに基づいて出力軸9が回転される。
運転支援モード時において、ハンズオンオフ判定部116による手放し状態であるとの判定結果が所定時間以上継続したときに、実手動操舵角演算部117Aで用いられる路面負荷特性(ばね定数kおよび粘性減衰係数c)が大きくされる。路面負荷特性k,cが大きくされると、ドライバトルクに対する実手動操舵角θc,md、すなわち、運転支援に対してドライバの操舵が許容される角度、の絶対値が通常時よりも小さくなる。
その結果、フィードバック制御に用いられる実自動操舵角θc,adの値が通常時より大きくなり、フィードバック制御トルクTfb,ad、自動操舵トルク指令値T m,adを順に介して、モータのトルク指示値に反映される。
その結果、図2の実施形態と同様に、ドライバトルクに基づく出力軸9の回転量が小さくなる。これにより、ステアリングホイール2を回転させてもその回転が伝わりにくくなるため、トーションバー10が捻じれやすくなる。これにより、操舵トルクTtbおよびドライバトルクが大きくなるので、ハンズオンオフ判定部116によるハンズオンオフ判定の精度が高くなる。これにより、直線走行などのドライバトルクの入力が少ない状況において、ドライバがステアリングホイール2を把持しているにもかかわらず手放し状態であるとの誤判定を防止または抑制することができる。
なお、通常モード時においては、アシスト制御部111によって設定されるアシストトルク指令値T m,mdが、統合トルク指令値T m,intとしてトルク制御部114に与えられる。したがって、通常モード時においては、アシストトルク指令値T m,mdのみに基づいて、駆動回路31が駆動される。
前述の実施形態では、運転支援モード時において、路面負荷特性設定部44,118は、ハンズオンオフ判定結果に基づいて、ばね係数kおよび粘性減衰係数cの両方を変更しているが、ばね係数kおよび粘性減衰係数cの内のいずれか一方のみを変更するようにしてもよい。
前述の実施形態では、この発明をコラムタイプEPSのモータ制御に適用した場合の例を示したが、この発明は、コラムタイプ以外のEPSのモータ制御にも適用することができる。
本発明の実施形態について詳細に説明してきたが、これらは本発明の技術的内容を明らかにするために用いられた具体例に過ぎず、本発明はこれらの具体例に限定して解釈されるべきではなく、本発明の範囲は添付の請求の範囲によってのみ限定される。
1…電動パワーステアリング装置、3…転舵輪、4…転舵機構、18…電動モータ、43…ハンズオンオフ判定部、44…路面負荷特性設定部、45…手動操舵指令値生成部、46…統合角度指令値演算部、47…角度制御部、48…トルク制御部、51…アシストトルク指令値設定部、52…指令値設定部、111…アシスト制御部、112…自動操舵制御部、113…統合トルク演算部(統合制御量演算部)、114…トルク制御部(制御部)、115…実操舵角演算部、116…ハンズオンオフ判定部、117…実自動操舵角演算部
117A…実手動操舵角演算部、117B…減算部、118…路面負荷特性設定部、201…上位ECU201、202…モータ制御用ECU

Claims (4)

  1. 操舵トルクを検出するためのトルク検出部と、
    前記操舵トルクを用いて手動操舵指令値を生成する手動操舵指令値生成部と、
    運転支援モード時に与えられる自動操舵指令値に前記手動操舵指令値を加算して、統合角度指令値を演算する統合角度指令値演算部と、
    前記統合角度指令値に基づいて、舵角制御用の電動モータを角度制御する制御部と、
    ドライバがステアリングホイールを把持している把持状態であるか、ドライバが前記ステアリングホイールを把持していない手放し状態であるかを判定するハンズオンオフ判定部とを含み、
    前記手動操舵指令値生成部は、前記操舵トルクと、路面負荷トルクを生成するためのばね定数および粘性減衰係数とを用いて前記手動操舵指令値を生成するように構成されており、
    前記運転支援モード時において、前記ハンズオンオフ判定部による手放し状態であるとの判定結果が所定時間以上継続したときに、前記ばね定数および前記粘性減衰係数のうちの少なくとも一方の値を変更する、路面負荷特性変更部をさらに含む、モータ制御装置。
  2. 操舵トルクを検出するためのトルク検出部と、実操舵角を検出するための操舵角検出部と、運転支援モード時に与えられる自動操舵指令値に基づいて自動操舵制御量を設定する自動操舵制御部と、前記操舵トルクを用いてアシスト制御量を設定するアシスト制御部と、前記自動操舵制御量と前記アシスト制御量とを加算することによって、統合制御量を演算する統合制御量演算部と、前記統合制御量に基づいて舵角制御用の電動モータを制御する制御部とを含むモータ制御装置であって、
    ドライバがステアリングホイールを把持している把持状態であるか、ドライバが前記ステアリングホイールを把持していない手放し状態であるかを判定するハンズオンオフ判定部と、
    前記操舵トルクと前記アシスト制御量とに基づく手動操舵分の操舵角である実手動操舵角を演算する実手動操舵角演算部と、
    前記実操舵角から前記実手動操舵角を減算することにより、前記自動操舵制御量に基づく自動操舵分の操舵角である実自動操舵角を演算する実自動操舵角演算部とを含み、
    前記自動操舵制御部は、前記自動操舵指令値および前記実自動操舵角を用いて前記自動操舵制御量を設定し、
    前記実手動操舵角演算部は、前記操舵トルクと、前記アシスト制御量と、路面負荷トルクを生成するためのばね定数および粘性減衰係数とを用いて前記実手動操舵角を演算するように構成されており、
    前記運転支援モード時において、前記ハンズオンオフ判定部による手放し状態であるとの判定結果が所定時間以上継続したときに、前記ばね定数および前記粘性減衰係数のうちの少なくとも一方の値を変更する、路面負荷特性変更部をさらに含む、モータ制御装置。
  3. 前記ばね定数および前記粘性減衰係数のうち、前記路面負荷特性変更部によってその値が変更されるものを路面負荷変数とすると、
    前記路面負荷特性変更部は、前記運転支援モード時において、前記ハンズオンオフ判定部による手放し状態であるとの判定結果が所定時間継続したときには、その時点から手放し状態であるとの判定結果が継続している間は、前記路面負荷変数の値を徐々に増加させ、前記路面負荷変数が所定の上限値に達すると、前記路面負荷変数の値を前記上限値に保持する、請求項1または2に記載のモータ制御装置。
  4. 前記路面負荷特性変更部は、前記運転支援モード時において、前記ハンズオンオフ判定部による手放し状態であるとの判定結果が所定時間以上継続した後に、前記ハンズオンオフ判定部による判定結果が把持状態に変化したときには、その時点から把持状態であるとの判定結果が継続している間は、前記路面負荷変数の値を徐々に減少させ、前記路面負荷変数が所定の下限値に達すると、前記路面負荷変数を前記下限値に保持する、請求項3に記載のモータ制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2024106377A1 (ja) * 2022-11-14 2024-05-23 株式会社ジェイテクト モータ制御装置

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