JP7201216B2 - 浴室の洗い場床パネル - Google Patents
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Description
そこで、発明者は、パネル本体の下に設けられる金属製の底板から周側板を立ち上げることで箱状のパネル殻体となし、発泡樹脂製のパネル本体を前記パネル殻体に収容することを発案した(特願2016-114066)。
このため、気温が低い冬場は、パネル本体がパネル殻体よりも収縮し過ぎて位置ずれが起きやすくなる。適当な冶具を用いて位置出しすることが考えられるが、そうやってパネル本体をパネル殻体に収容した後、接着剤の硬化工程の間にパネル本体が動くこともあり得る。位置ずれしていると、排水口部材や浴室壁フレームなどの取り付けに支障を来すおそれがある。
一方、気温が高い夏場は、パネル本体がパネル殻体に対して膨張し過ぎて、パネル本体をパネル殻体に嵌め込めなくなるおそれがある。
本発明は、かかる事情に鑑み、発泡樹脂製のパネル本体と金属製のパネル殻体を気温変化による膨張、収縮などに拘わらず、正確に位置出し(芯出し)可能な浴室洗い場床パネルを提供することを目的とする。
発泡樹脂からなるパネル本体と、
底板及び前記底板の周縁部から立ち上がる周側板を有して、前記パネル本体が収容される金属製のパネル殻体と、
を備え、前記周側板の上端高さにおける前記パネル本体の平面断面が前記底板より大きく、前記パネル本体の底面が前記底板より小さいことを特徴とする。
好ましくは、冬場の極端な低温時においても、パネル本体の前記平面断面がパネル殻体の底板より大きくなるように寸法設定する。これによって、パネル本体の側面がパネル殻体の周側板に確実に当たるようにことができる。この当たりによって、パネル本体とパネル殻体を位置決め(芯出し)できる。
高膨張率のパネル本体を低膨張率のパネル殻体で囲んで拘束することによって、気温が変動してもパネル本体が大きく膨張、収縮するのを抑制できる。パネル本体の膨張、収縮を抑制することによって、パネル本体の周りの水密材のちぎれ等を防止できる。
パネル本体をパネル殻体に嵌め入れる際は、パネル本体の側面の傾斜部がパネル殻体の周板部の各側板部に当たる。更に各側板部が傾斜部の案内作用によって外方へ傾斜される。パネル本体は各側板部の弾性力によって内方へ押される。これによって、パネル本体をパネル殻体に対して芯出しできる。
これによって、パネル本体をパネル殻体に嵌め入れる際、傾斜部による前記案内作用を確実に発現させることができる。
前記傾斜角度が2°未満であると、気温によってパネル本体の底面がパネル殻体の底板より大きくなったり、パネル本体の前記平面断面が底板より小さくなったりするおそれがある。
前記傾斜角度が10°超であると、パネル本体をパネル殻体に嵌め込む際に周側板の上端部が傾斜部に突き刺さるおそれがある。
これによって、側板部どうしが縁切りされる。したがって、各側板部が、曲げ変形されやすくなり、パネル本体の側面に倣って確実に傾斜されるようにできる。
接着剤としては、例えば2液混合ウレタン系などの熱硬化性接着剤を用いることができる。パネル本体の側面にパネル殻体の周側板が弾性的に当たって保持されることによって、前記接着剤が硬化するまでの間に位置ずれが起きるのを防止できる。
更に前記蓋板上に表層シートが被さっていることが好ましい。表層シートによって、クッション感、意匠性、防水性等を確保できる。
図1は、建物内に納められる浴室ユニットの洗い場を示したものである。洗い場の底部に洗い場床パネル3が設けられている。図1~図3に示すように、洗い場床パネル3は、パネル本体10と、パネル殻体20と、表層シート30を備え、平面視で長方形状(四角形状)になっている。
なお、パネル本体10の材質は、EPSに限られず、発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレン等であってもよい。
図示は省略するが、パネル本体10と枠部材43,44との間は水密材によって防水処理されている。
なお、パネル本体10の浴槽側(図2において左側)の縁部には立ち上り部12(土手部)が上方へ突出するように形成されている。
図4(a)に示すように、傾斜部14bの鉛直方向に対する傾斜角度αは、好ましくはα=2°~10°程度であり、より好ましくはα=6°程度である。
なお、図4においては、高さ方向ないしは厚み方向(同図の上下方向)が、幅方向(同図の左右方向)に対して誇張されている。
パネル本体10の上面10aには、排水用装着穴15へ向かう下がり勾配が付けられている。
なお、図2における前記勾配は、作図の都合上、誇張されている。
下殻部材21は、鋼板などの金属板を成形(シャーリング、穴開け、折り曲げなど)することによって構成されている。下殻部材21の厚みは、好ましくは0.5mm~1.2mm程度であり、より好ましくは0.6mm程度であるが、必ずしも前記数値に限定されるものではない。鋼製の下殻部材21の線膨張係数は約11.7X10-6/K程度である。
したがって、パネル本体10が下殻部材21よりも気温変化による膨張、収縮の度合が大きい。
かつ好ましくは、冬場の極端な低温時(例えば0℃~10℃程度)においても、パネル本体10の平面断面10cが底板23より大きくなるように寸法設定されている。
更に好ましくは、前記極端な高温時又は極端な低温時に加えて、パネル本体10及び下殻部材21の製造誤差が最大許容値であるときでも、要するに複合公差の上限又は下限においても、パネル本体10の平面断面10cが底板23より大きく、かつパネル本体10の底面10bが底板23より小さくなるように設定されている。
なお、所要の接合性を得られるのであれば、接着剤をパネル本体10と下殻部材21との間の一部分に塗布してもよい。
蓋板22の排水口位置には、排水用切欠凹部22cが形成されている。
なお、立ち上り部12の浴槽側面(図2において左側面)及び上面には、アルミ押出成形材からなる立ち上り補強カバー26が被さっている。
排水口ベース部材51と排水縁部材53とによって排水口部材50が構成されている。
更に、図1及び図2に示すように、各取付金具63,64に支柱部材1gの下端部が連結されて支持されている。隣接する支柱部材1gどうしの間に浴室壁又は浴室扉枠1fが設置されるとともに、浴室壁又は浴室扉枠1fの側端部が支柱部材1gに連結されて支持されている。浴室壁又は浴室扉枠1fの下端部が枠部材43,44に挿し込まれている。
洗い場床パネル3の構成部材をそれぞれ作製する。
下殻部材21及びパネル本体10の一方(好ましくは下殻部材21)に熱硬化性接着剤を塗布する。
詳細には、図4(a)に示すように、パネル本体10を下殻部材21の上方にある程度位置合わせしながら降ろす。
すると、図4(b)に示すように、パネル本体10の底面10bが下殻部材21の開口21aより小さいから、パネル本体10の底部が下殻部材21の開口21aに入り込む。そして、パネル本体10の側面14の傾斜部14bが周側板24の上端部に当たる。
パネル本体10が収縮する冬場(図4(b)の三点鎖線)はもちろんのこと、パネル本体10が膨張する夏場(図4(b)の二点鎖線)であっても、パネル本体10の底部を下殻部材21内に確実に挿し入れることができ、パネル本体10の側面傾斜部14bを周側板24の上端部に確実に当てることができる。
パネル本体10の四方の傾斜部14bが側板部24aにそれぞれ当たるようにすることで、パネル本体10を下殻部材21に対して容易に位置調節できる。
各側板部24aは、縁切りスリット24cによって隣接する側板部24aから縁切りされているため容易に弾性変形可能である。
傾斜部14bの傾斜角度αをα=2°~10°程度、より好ましくはα=6°程度とすることによって、周側板24をスムーズに外方へ傾斜させていくことができる。
α>10°であると、パネル本体10をパネル殻体20に嵌め込む際に周側板24の上端部が傾斜部14bに突き刺さるおそれがある。
図6(b)に示すように、パネル本体10が膨張する夏場はもちろんのこと、図6(c)に示すように、パネル本体10が収縮する冬場であっても、周側板24をパネル本体10に確実に当てることができ、位置ずれを確実に防止することができる。
これらパネル積層体10,21,22を真空圧空熱プレス機で圧力を加えながら加熱することによって、熱硬化性接着剤を硬化させる。
パネル本体10の側面14に周側板24が当たって保持されているから、熱硬化性接着剤が硬化するまでの間に位置ずれが起きるのを防止できる。
排水用装着穴15,25にはトラップベース部材51を設ける。パネル本体10と下殻部材21が正確に位置合わせされているから、排水用装着穴15,25どうしを確実に一致させることができ、トラップベース部材51を確実に装着することができる。
次に、表層シート30を粘着テープで蓋板22に貼り付ける。
このようにして、洗い場床パネル3が作製される。
例えば、冬場などの極端な低温時には、パネル本体10の平面断面10cが下殻部材21の開口21aより僅かに小さく、パネル本体10の側面14と下殻部材21の周側板24との間に僅かなクリアランス(例えば0.5mm程度以内)が形成されるようになっていてもよい。
パネル本体10の側面14が、上方側が下方側よりせり出す段差を有していてもよい。
蓋板22を省略してもよい。パネル本体10に表層シート30を直接貼り付けてもよい。
浴室とはシャワー室も含む。
3 洗い場床パネル
10 パネル本体
10b 底面
10c 平面断面
14 側面
14b 傾斜部
20 パネル殻体
21 下殻部材
21a 開口
22 蓋板
23 底板
24 周側板
24a 側板部
24c 縁切りスリット
30 表層シート
43,44 枠部材
50 排水口部材
63,64 取付金具
Claims (6)
- 浴室の洗い場に設けられる洗い場床パネルであって、
発泡樹脂からなるパネル本体と、
底板及び前記底板の周縁部から立ち上がる周側板を有して、前記パネル本体が収容される金属製のパネル殻体と、
を備え、前記周側板の上端高さにおける前記パネル本体の平面断面が前記底板より大きく、前記パネル本体の底面が前記底板より小さく、前記パネル本体と前記パネル殻体とが接着剤によって接着されていることを特徴とする洗い場床パネル。 - 前記パネル本体の側面が上方へ向かうにしたがって外方へ傾く傾斜部を有していることを特徴とする請求項1に記載の洗い場床パネル。
- 前記傾斜部の鉛直方向に対する傾斜角度が、2°~10°であることを特徴とする請求項2に記載の洗い場床パネル。
- 前記周側板が互いに交差する側板部を有し、これら側板部どうしの間に縁切りスリットが形成されていることを特徴と請求項1~3の何れか1項に記載の洗い場床パネル。
- 前記パネル本体と前記周側板との間に隙間があることを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の洗い場床パネル。
- 前記パネル殻体が、前記パネル本体の上面に被さる蓋板を有していることを特徴とする請求項1~5の何れか1項に記載の洗い場床パネル。
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