JP7200835B2 - ポット精紡機 - Google Patents
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Description
また、弾性支持部材は、細長部材に当接する当接部材と、前記当接部材を細長部材に付勢する弾性体とを有してもよい。
また、弾性支持部材は先端部を基端部に対して弾性的に支持することで、先端部を傾動方向に対して弾性的に支持してもよい。
また、案内部材は、細長部材を傾動方向に交差する方向から挟持する弾性体を有してもよい。
また、傾動駆動部は、複数のポットの細長部材を同時に傾動させてもよい。
また、細長部材は磁性体により構成され、案内部材は、細長部材との間の引力により細長部材の落下を防止する磁石部を有してもよい。
図1は、本発明の実施の形態1に係るポット精紡機のポットより上部の構成例を示す概略図である。
図1に示すように、ポット精紡機1は、ドラフト装置10と、導糸管11と、ポット12と、ボビン支持部13と、を備えている。なお、これらの構成要素は、精紡の一単位となる1つの紡錘を構成するものである。ポット精紡機1は、複数の紡錘を備えるものであるが、図1ではそのうちの1つの紡錘の構成について説明する。
ポット20の上方にはドラフト装置が設けられている。ドラフト装置10は、粗糸などの糸材料を所定の細さに引き伸ばす装置である。ドラフト装置10は、バックローラ対15、ミドルローラ対16およびフロントローラ対17からなる複数のローラ対を用いて構成されている。複数のローラ対は、糸材料の搬送方向の上流側から下流側に向かって、バックローラ対15、ミドルローラ対16およびフロントローラ対17の順に配置されている。
導糸管11は、ドラフト装置10で所定の細さに引き伸ばされた糸18をポット12内に導くものである。導糸管11は、細長い管状に形成されている。導糸管11を長さ方向と直交する方向に断面したときの形状は円形になっている。
ポット12は、ケーク28の形成と糸の巻き返しに用いられるものである。ポット12は、円筒形に形成されている。ポット12は、ポット12の中心軸回りに回転可能に設けられている。ポット12の中心軸Kは、鉛直方向と平行に配置されている。このため、ポット12の中心軸方向の一方は上方、他方は下方となっている。
ポット精紡機1の下部には、ボビンレール26の上に載せられた円筒形のボビン25と、ボビン25を収容することができるポット20と、フィラー(細長部材)73と、ワゴンユニット75とが設けられている。ボビン25及び細長部材73は、ボビンレール26に沿って紡錘の数だけ複数配置されている。
ボビンレール26は、垂直方向に昇降可能に構成されている。ボビンレール26の下方には、スライドパイプ71がボビンレール26に沿って設けられている。スライドパイプ71は、ボビンレール26に固定されたスライダガイド72に、ボビンレール26に沿って水平方向に移動可能に支持されている。細長形状の細長部材73はボビンレール26を貫通可能に設けられ、フィラーホルダ40によってボビンレール26に上下自在に支持されている。細長部材73は例えばSUS等の鉄により形成されている。
ポット精紡機1は、制御部51と、ドラフト駆動部52と、導糸管駆動部53と、ポット駆動部54と、ボビン駆動部55と、巻き返し手段駆動部56と、駆動用エアシリンダ77と、ワゴンユニット75を備えている。
制御部51は、ポット精紡機1全体の動作を統括的に制御するものである。制御部51には、動作制御の対象として、ドラフト駆動部52、導糸管駆動部53、ポット駆動部54、ボビン駆動部55、巻き返し手段駆動部56及びワゴンユニット75が電気的に接続されている。また、制御部51には、糸センサ19が電気的に接続されている。糸センサ19は、ドラフト装置10で糸切れが発生した場合に、その旨を知らせる糸切れ発生信号を制御部51に出力する。
ドラフト駆動部52は、バックローラ対15、ミドルローラ対16およびフロントローラ対17をそれぞれ所定の回転数で回転させるものである。ドラフト駆動部52は、制御部51からドラフト駆動部52に与えられるドラフト駆動信号に基づいて駆動することにより、バックローラ対15、ミドルローラ対16およびフロントローラ対17を回転させる。
導糸管駆動部53は、導糸管11を動作させるものである。導糸管駆動部53は、導糸管11を上下方向に移動させるように動作させる。導糸管駆動部53は、制御部51から導糸管駆動部53に与えられる導糸管駆動信号に基づいて駆動することにより、導糸管11を上下方向に移動させる。
ポット駆動部54は、ポット12を回転させるものである。ポット駆動部54は、制御部51から与えられるポット駆動信号に基づいて駆動することにより、ポット12の中心軸Kを回転中心としてポット12を回転させる。
ボビン駆動部55は、ボビン25を動作させるものである。ボビン駆動部55は、ボビン支持部13のボビン装着部27に装着されたボビン25を、ボビン支持部13およびボビンレール26と一体に上下方向に移動させるように動作させる。ボビン駆動部55は、制御部51から与えられるボビン駆動信号に基づいて駆動することにより、ボビン25を上下方向に移動させる。
巻き返し手段駆動部56は、通常巻き返しを行う場合に図示しない巻き返し手段を動作させるものである。巻き返し手段駆動部56は、制御部51から与えられる巻き返し手段駆動信号に基づいて駆動することにより、巻き返し手段を動作させる。
続いて、本発明の実施の形態1に係るポット精紡機によるポット精紡方法について説明する。
図7は、ポット精紡機によるポット精紡方法の基本的な流れを示す図である。
図7に示すように、ポット精紡方法は、紡出動作において、ケーク端部検知ステップS1と、細長部材位置調整ステップS2とを有する。また、巻き返し動作において、ボビン配置ステップS3と、細長部材接触ステップS4と、移動ステップS5と、細長部材退避ステップS6と、ボビン配置ステップS3Aと、巻き返し手段駆動ステップS7とを有する。
最初に、引き伸ばし動作が図1に示すようにドラフト装置10を用いて行われる。ドラフト駆動部52は、制御部51から与えられるドラフト駆動信号に基づいて駆動することにより、バックローラ対15、ミドルローラ対16およびフロントローラ対17をそれぞれ所定の回転速度で回転させる。これにより、粗糸などの糸材料は、各々のローラ対15,16,17の回転に従って搬送される。
次に、ケーク形成ステップが、導糸管11とポット12を用いて行われる。導糸管駆動部53は、制御部51から与えられる導糸管駆動信号に基づいて駆動することにより、導糸管11を所定量だけ下方に移動させる。また、ポット駆動部54は、制御部51から与えられるポット駆動信号に基づいて駆動することにより、ポット12の回転を継続する。なお、導糸管11を下方に移動させると、糸供給管14から導糸管11が離間した状態となる。また、糸供給管14から導糸管11に導入された糸18は、導糸管11の下端部11aから紡出される。
図9において、導糸管11は、まず、P1位置まで下降した後、P2位置まで上昇し、次いでP3位置まで下降した後、P4位置まで上昇する。つまり、導糸管11は繰り返し上下方向に往復移動する。この場合、導糸管11がP1位置に到達してからP3位置に到達するまでの期間T1、および、導糸管11がP2位置に到達してからP4位置に到達するまでの期間T2が、それぞれ一周期となる。また、導糸管11の位置を相対的に下方に変位させるため、P3位置はP1位置よりも低位となり、P4位置はP2位置よりも低位となる。P1位置とP3位置との上下方向のズレ量H1、および、P2位置とP4位置との上下方向のズレ量H2は、それぞれ一周期における導糸管11の変位ステップ量となる。つまり、導糸管11は、一定の周期で繰り返し上下方向への往復移動を繰り返しながら、一定の変位ステップ量ずつ下方に変位する。このような導糸管11の動作は、導糸管11がPm位置に到達するまで続く。この場合、P1位置は、図1に示すケーク28の巻き始め側の端部(以下、「ケーク上端部」ともいう。)28aを規定し、Pm位置は、同図に示すケーク28の巻き終わり側の端部(以下、「ケーク下端部」ともいう。)28bを規定する。
糸切りは、ポット12の内壁22に予め決められた所定量の糸18が巻かれた段階で意図的に行われるものである。これに対し、糸切れは、ポット12の内壁22に所定量の糸18が巻かれる前に何らかの理由によって途中で糸18が切れてしまう現象である。
ケーク形成ステップの完了前に糸切れが発生した場合は、ケーク端部検知ステップS1が行われる。このケーク端部検知ステップS1は、糸切れが発生したポット12毎に行われる。糸切れが糸センサ19に検知されると、糸切れ発生信号を制御部51に出力する。このとき、制御部51は糸切れ発生信号が入力されたタイミングから、ケーク28のケーク下端部28bの位置を検知する。図9に示すように、例えば導糸管11がP1位置に到達してからP3位置に到達するまでの期間T1においては、P1より上方で糸切れが発生した場合はP1がケーク下端部28bとなり、下降中にP1に達してからP3に至るまでに糸切れが発生した場合は、糸切れ発生時の導糸管11の位置がケーク下端部28bとなる。このように、制御部51は、糸切れ発生信号が入力されたタイミングがどの期間であるかを判定することで、そのポット12におけるケーク下端部28bの位置を検知する。
次に、細長部材位置調整ステップS2においては、制御部51が、ワゴンユニット75(図2参照)に駆動信号を入力して糸切れの発生したポット12の位置まで走行させる。糸切れの発生したポット12の位置に到達したワゴンユニット75は、制御部51から駆動信号を入力されることにより、押上腕76を上昇させて細長部材73を持ち上げる。このときの細長部材73の位置は、後述する細長部材接触ステップS4の開始時において細長部材73の先端部高さが、ポット12内部のケーク下端部28bと同じ高さとなる位置である。細長部材73が持ち上げられたら、押上腕76は下降する。フィラーホルダ40のばね48の付勢力により先端部材47が細長部材73を押圧し、細長部材73が第1ホルダ面42と先端部材47とによって挟持されて支持されている。これにより細長部材73は所定の高さに保持され、重力で下方へ移動することがない。
巻き返し動作は、ケーク形成ステップが完了した後に行われる。なお、以降の図8、図11~図14においては、ケーク端部検知ステップS1において糸切れが検知されていたポット12を図示する。
ケーク形成ステップにおいて、糸切れが検知されていたポット12においては、ボビン配置ステップS3が行われる。ボビン配置ステップS3では、ポット駆動部54(図6参照)の駆動により、開口部23を通してポット12内にボビン25を配置する。ポット駆動部54は、制御部51から与えられるポット駆動信号に基づいて駆動することにより、ポット12の回転を継続する。ボビン駆動部55は、制御部51から与えられるボビン駆動信号に基づいて駆動することにより、ボビン支持部13を上方に移動させる。これにより、後述する図10に示すようにボビン装着部27(図1参照)に装着されているボビン25が、共に上方に移動する。
ケーク形成ステップにおいて糸切れが発生していた場合には、糸部18aが正常に形成されず、通常巻き返しによる巻き返しは行えない。しかし、糸切れが発生したポット12においては、多くの場合切れた糸の糸端はケーク28の下に位置しており、また、遠心力でポット12の内壁22に張り付いている。そのため、以下に示す糸切れ巻き返しが行われる。
糸切れ巻き返しにおいては、まず細長部材接触ステップS4が行われる。制御部51(図6参照)が駆動用エアシリンダ77(図2参照)を駆動することで、スライドパイプ71がボビンレール26に沿う方向に移動し、各プッシャー78がボビンレール26に沿って水平方向に一斉に移動する。
次に、ケーク28を形成しているすべての糸がボビン25に巻き返されると、細長部材退避ステップS6(図7参照)が行われる。制御部51は、ボビン駆動部55にボビン駆動信号を与えることにより、ボビンレール26を下降させる。次に、制御部51は示すワゴンユニット75に駆動信号を与えることにより、押上腕76を下降させて上昇していた細長部材73を下降させる。これにより、糸切れ巻き返しが終了する。
また、ケーク形成ステップにおいて糸切れが検知していないポット12においては、図7に示すように通常巻き返しのためにボビン配置ステップS3Aが行われる。ボビン配置ステップS3Aは、上記ボビン配置ステップS3と同じ動作であり、ボビン配置ステップS3と同時に行われる。
次に、この発明の実施の形態2に係るポット精紡機の構成について説明する。尚、実施の形態2において、図1~図15の参照符号と同一の符号は、同一又は同様な構成要素であるので、その詳細な説明は省略する。
この実施の形態2に係るポット精紡機の構成は、実施の形態1に対して、細長部材の先端部が基端部に対して弾性的に支持されているものである。
プッシャー78が細長部材73の基端部73bを押すことにより、細長部材73が傾動し先端部73aがポット内壁22の接触点Dに当接する。
Claims (7)
- 開口部を有するポットの内壁に当接可能な先端部と、前記先端部を支持する基端部と、を有する細長部材と、
前記先端部の高さ方向の位置を前記ポットの内壁に巻付けられた糸の糸端位置に調節する昇降駆動部と、
前記細長部材を傾動方向に交差する方向から挟持し、傾動する前記細長部材を案内する案内部材と、
前記先端部を前記傾動方向に対して弾性的に支持する弾性支持部材と、
前記細長部材を傾動させ、前記細長部材の前記先端部を前記ポットの内壁に当接させる傾動駆動部と
を備えるポット精紡機。 - 前記弾性支持部材は、前記基端部を前記案内部材に対して弾性的に支持することで、前記先端部を前記傾動方向に対して弾性的に支持する請求項1に記載のポット精紡機。
- 前記弾性支持部材は、前記細長部材に当接する当接部材と、前記当接部材を前記細長部材に付勢する弾性体とを有する請求項2に記載のポット精紡機。
- 前記弾性支持部材は前記先端部を前記基端部に対して弾性的に支持することで、前記先端部を前記傾動方向に対して弾性的に支持する請求項1に記載のポット精紡機。
- 前記案内部材は、前記細長部材を傾動方向に交差する方向から挟持する弾性体を有する請求項1~4のいずれか一項に記載のポット精紡機。
- 前記傾動駆動部は、複数の前記ポットの前記細長部材を同時に傾動させる請求項1~5のいずれか一項に記載のポット精紡機。
- 前記細長部材は磁性体により構成され、
前記案内部材は、前記細長部材との間の引力により前記細長部材の落下を防止する磁石部を有する請求項1~6のいずれか一項に記載のポット精紡機。
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