JP7195798B2 - グラフト共重合体の製造方法 - Google Patents
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Description
耐衝撃性を高める方法として、アクリル系樹脂にグラフト共重合体を配合することが知られている。例えば、特許文献1には、シリコーン系共重合体にメチルメタクリレートがグラフト重合したグラフト共重合体と、アクリル系樹脂とを含む組成物が開示されている。
[1] ポリオルガノシロキサンとアルキル(メタ)アクリレート系重合体とが複合した複合ゴム状重合体に、1種以上のビニル系単量体がグラフト重合したグラフト共重合体であって、
前記ポリオルガノシロキサンと前記アルキル(メタ)アクリレート系重合体との合計を100質量%としたときに、前記ポリオルガノシロキサンの割合が4~14質量%であり、
前記複合ゴム状重合体の体積平均粒子径が240nmを超えて360nm以下であり、かつ前記複合ゴム状重合体の全粒子中に占める、粒子径が300~800nmである粒子の割合が7.5~25体積%である、グラフト共重合体。
[2] 前記複合ゴム状重合体の全粒子中に占める、粒子径が600nm以上である粒子の割合が5体積%以下である、[1]に記載のグラフト共重合体。
[3] [1]または[2]に記載のグラフト共重合体と、アクリル系樹脂とを含有する、熱可塑性樹脂組成物。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物によれば、耐候性、耐温水白化性、耐衝撃性、および発色性に優れる成形品が得られる。
なお、以下の説明において、「成形品」とは、本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形してなるものである。
「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」および「メタクリレート」の総称である。
「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」および「メタクリル酸」の総称である。
「(メタ)アクリル系モノマー」とは、「アクリル系モノマー」および「メタクリル系モノマー」の総称である。
本発明のグラフト共重合体(E)は、ポリオルガノシロキサン(A)とアルキル(メタ)アクリレート系重合体(B)とが複合した複合ゴム状重合体(C)に、1種以上のビニル系単量体(d)がグラフト重合した共重合体である。
なお、グラフト共重合体(E)においては、複合ゴム状重合体(C)に1種以上のビニル系単量体(d)がどのように重合しているか特定することは困難である。すなわち、グラフト共重合体(E)をその構造または特性により直接特定することが不可能であるか、またはおよそ実際的ではないという事情(不可能・非実際的事情)が存在する。したがって、グラフト共重合体(E)は「複合ゴム状重合体(C)に1種以上のビニル系単量体(d)がグラフト重合した」と規定することがより適切とされる。
複合ゴム状重合体(C)を構成するポリオルガノシロキサン(A)としては特に制限されないが、ビニル重合性官能基を含有するポリオルガノシロキサン(ビニル重合性官能基含有ポリオルガノシロキサン)が好ましく、ビニル重合性官能基含有シロキサン単位と、ジメチルシロキサン単位とを有するポリオルガノシロキサンがより好ましい。
ビニル重合性官能基含有シロキサン単位は、ビニル重合性官能基以外の他の有機基を有していてもよい。他の有機基としては、例えばメチル基等のアルキル基、フェニル基等が挙げられる。
ここで、ポリオルガノシロキサン(A)の平均粒子径は、動的光散乱方式の粒度分布測定器を用いて質量基準の粒子径分布を測定し、得られた粒子径分布より算出される値(質量平均粒子径)である。
ポリオルガノシロキサン(A)は、例えばジメチルシロキサンと、ビニル重合性官能基含有シロキサンとを含むシロキサン混合物を重合することで得られる。
ビニル重合性官能基を含有するアルコキシシラン化合物として具体的には、β-メタクリロイルオキシエチルジメトキシメチルシラン、γ-メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、γ-メタクリロイルオキシプロピルメトキシジメチルシラン、γ-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロイルオキシプロピルエトキシジエチルシラン、γ-メタクリロイルオキシプロピルジエトキシメチルシラン、δ-メタクリロイルオキシブチルジエトキシメチルシラン等のメタクリロイルオキシシロキサン;テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン等のビニルシロキサン;p-ビニルフェニルジメトキシメチルシラン、γ-メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシロキサンなどが挙げられる。これらビニル重合性官能基含有シロキサンは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
乳化剤としてはアニオン系乳化剤が好ましい。具体的には、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸エステルナトリウムなどが挙げられる。これらの中でも、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸系の乳化剤が好ましい。これら乳化剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
乳化剤の使用量は、シロキサン混合物100質量部に対して0.05~5質量部が好ましい。乳化剤の使用量が0.05質量部以上であれば、シロキサン混合物の分散状態が安定しやすく、微小な粒子径の乳化状態を保持しやすくなる。一方、乳化剤の使用量が5質量部以下であれば、乳化剤に起因する成形品の着色を抑制できる。
これらの中でも、後述するシロキサンラテックス(a)のラテックスの安定化作用にも優れている点で、脂肪族置換ベンゼンスルホン酸が好ましく、n-ドデシルベンゼンスルホン酸が特に好ましい。また、n-ドデシルベンゼンスルホン酸と硫酸等の鉱酸とを併用すると、ポリオルガノシロキサン(A)の製造に用いた乳化剤の色が成形品の色に与える影響を小さく抑えることができる。
酸触媒の添加量は適宜決めればよいが、通常、シロキサン混合物100質量部に対して0.1~20質量部程度である。
得られるポリオルガノシロキサン(A)の粒子径を制御しやすいことから、シロキサンラテックス(a)を微粒子化した後に、微粒子化したシロキサンラテックス(a)と酸触媒とを混合することが好ましい。特に、微粒子化したシロキサンラテックス(a)を酸触媒水溶液中に一定速度で滴下することが好ましい。
なお、酸触媒をシロキサン混合物と乳化剤と水とを混合するタイミングで混合する場合は、これらを混合した後に微粒子化することが好ましい。
シロキサン混合物と乳化剤と水と酸触媒とを混合する方法や、微粒子化したシロキサンラテックス(a)と酸触媒とを混合する方法としては、例えば高速攪拌による混合、ホモジナイザー等の高圧乳化装置による混合などが挙げられる。中でも、ホモジナイザーを使用した方法は、ポリオルガノシロキサン(A)の粒子径の分布を小さくできるので好適である。
なお、微粒子化したシロキサンラテックス(a)を酸触媒水溶液中に滴下する場合、酸触媒水溶液の温度は50℃以上が好ましく、80℃以上が好ましい。
重合時間は、シロキサン混合物と乳化剤と水とを混合するタイミングで酸触媒を混合する場合は、2時間以上が好ましく、5時間以上がさらに好ましい。一方、微粒子化したシロキサンラテックス(a)と酸触媒とを混合する場合は、微粒子化したシロキサンラテックス(a)を酸触媒水溶液中に滴下した後、1時間程度保持することが好ましい。
重合の停止は、反応液を冷却した後、反応液の25℃におけるpHが6~8程度になるように水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムなどのアルカリ性物質で反応液を中和することによって行うことができる。
ポリオルガノシロキサン(A)の平均粒子径は、シロキサン混合物の組成、酸触媒の使用量(酸触媒水溶液中の酸触媒の含有量)、重合温度などを調整することで制御できる。例えば、酸触媒の使用量が少なくなるほど平均粒子径は大きくなる傾向にあり、重合温度が高くなるほど平均粒子径は小さくなる傾向にある。
複合ゴム状重合体(C)を構成する(メタ)アクリレート系重合体(B)は、アルキル(メタ)アクリレート単量体を1種以上含む単量体成分を重合して得られるものである。すなわち、(メタ)アクリレート系重合体(B)は、1種以上のアルキル(メタ)アクリレート単量体単位を有する重合体である。
この単量体成分には、アルキル(メタ)アクリレート単量体以外の単量体(他の単量体)が含まれていてもよい。すなわち、(メタ)アクリレート系重合体(B)は、他の単量体単位をさらに有していてもよい。
単量体成分の総質量に対するアルキル(メタ)アクリレート単量体の割合は、80~100質量%が好ましく、90~100質量%がより好ましい。すなわち、アルキル(メタ)アクリレート系重合体(B)中のアルキル(メタ)アクリレート単量体単位の含有量は、全単量体単位の総質量に対して、80~100質量%が好ましく、90~100質量%がより好ましい。
複合ゴム状重合体(C)は、ポリオルガノシロキサン(A)とアルキル(メタ)アクリレート系重合体(B)とが複合した複合ゴムである。
ここで、複合ゴム状重合体(C)の体積平均粒子径は、動的光散乱方式の粒度分布測定器を用いて複合ゴム状重合体(C)の体積基準の粒子径分布を測定し、得られた粒子径分布より算出される値である。
また、複合ゴム状重合体(C)の全粒子中に占める、粒子径が600nm以上である粒子の割合は、成形品の耐衝撃性と耐候性のバランスがさらに良好なものとなる点から、5体積%以下が好ましく、3体積%以下がより好ましく、1体積%以下がさらに好ましい。
ここで、粒子径が300~800nmである粒子の割合、粒子径が600nm以上である粒子の割合はそれぞれ、動的光散乱方式の粒度分布測定器を用いて複合ゴム状重合体(C)の体積基準の粒子径分布を測定し、得られた粒子径分布より算出される値である。
複合ゴム状重合体(C)の製造方法は特に制限されないが、ポリオルガノシロキサン(A)とアルキル(メタ)アクリレート系重合体(B)を各々含む複数のラテックスをヘテロ凝集もしくは共肥大化する方法;ポリオルガノシロキサン(A)およびアルキル(メタ)アクリレート系重合体(B)のいずれか一方を含むラテックス存在下で、他の一方の重合体を形成する単量体成分を重合させて複合化させる方法などが挙げられる。
特に複合ゴム状重合体(C)の体積平均粒子径および粒子径分布を上述した範囲内となるように容易に調整できることから、ラテックス状のポリオルガノシロキサン(A)の存在下で、アルキル(メタ)アクリレート単量体を1種以上含む単量体成分をラジカル重合させて共重合体ラテックスを得た後(ラジカル重合工程)、前記共重合体ラテックスと酸基含有共重合体ラテックスとを混合することにより、共重合体ラテックスを肥大化させる(肥大化工程)方法が好ましい。さらに、ラジカル重合工程の後、肥大化工程の前に、共重合体ラテックスに縮合酸塩を添加すること(縮合酸塩添加工程)が好ましい。
ラジカル重合工程は、ラテックス状のポリオルガノシロキサン(A)の存在下で、アルキル(メタ)アクリレート単量体を1種以上含む単量体成分をラジカル重合する工程である。
アルキル(メタ)アクリレート単量体を1種以上含む単量体成分は、ラテックス状のポリオルガノシロキサン(A)に一括して添加してもよいし、連続的に、あるいは断続的に添加してもよい。
グラフト交叉剤または架橋剤としては、例えばメタクリル酸アリル、シアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリル、ジビニルベンゼン、ジメタクリル酸エチレングリコールジエステル、ジメタクリル酸プロピレングリコールジエステル、ジメタクリル酸1,3-ブチレングリコールジエステル、ジメタクリル酸1,4-ブチレングリコールジエステルなどが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ラジカル重合開始剤としては、過酸化物、アゾ系開始剤、酸化剤と還元剤とを組み合わせたレドックス系開始剤などが挙げられる。これらの中では、レドックス系開始剤が好ましく、特に硫酸第一鉄とエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩とナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートとハイドロパーオキサイドとを組み合わせたスルホキシレート系開始剤が好ましい。
乳化剤としては特に制限されないが、ラジカル重合時のラテックスの安定性に優れ、重合率を高められることから、サルコシン酸ナトリウム、脂肪酸カリウム、脂肪酸ナトリウム、アルケニルコハク酸ジカリウム、ロジン酸石鹸等の各種カルボン酸塩が好ましい。これらの中では、得られるグラフト共重合体(E)およびこれを含む熱可塑性樹脂組成物を高温成形した際にガス発生を抑制できることから、アルケニルコハク酸ジカリウムが好ましい。
重合条件は、例えば重合開始温度が40~70℃で、重合開始から終了までの時間が0.5~3.0時間であってよい。
縮合酸塩添加工程は、ラジカル重合工程で得られた共重合体ラテックスに縮合酸塩を添加する工程である。肥大化工程に先立ち、共重合体ラテックスに縮合酸塩を添加しておくことで、肥大化が進行し易くなることで酸基含有共重合体ラテックスの添加量を減らすことが可能となり、複合ゴム状重合体(C)の体積平均粒子径および粒子径分布を上述した範囲内に調整することが容易になる。
縮合酸塩としては、例えばリン酸、ケイ酸等の縮合酸と、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属との塩が用いられる。これらの中でも、リン酸の縮合酸であるピロリン酸とアルカリ金属の塩が好ましく、ピロリン酸ナトリウムまたはピロリン酸カリウムが特に好ましい。
縮合酸塩は、共重合体ラテックスに一括して添加することが好ましい。
肥大化工程は、ラジカル重合工程にて得られ、必要に応じて縮合酸塩添加工程にて縮合酸塩が添加された共重合体ラテックスと、酸基含有共重合体ラテックスとを混合することにより、共重合体ラテックスを肥大化させる工程である。これにより、複合ゴム状重合体(C)のラテックスが得られる。
肥大化工程に用いる酸基含有共重合体ラテックスは、水中にて、酸基含有単量体、アルキル(メタ)アクリレート単量体、および必要に応じてこれらと共重合可能な他の単量体を含む単量体成分を重合して得られる酸基含有共重合体のラテックスである。
他の単量体としては、芳香族ビニル化合物(例えばスチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン等)、シアン化ビニル化合物(例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、2つ以上の重合性官能基を有する化合物(例えばメタクリル酸アリル、ジメタクリル酸ポリエチレングリコールエステル、シアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリル、トリメリット酸トリアリル等)などが挙げられる。これら他の単量体は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
乳化重合で使用される乳化剤としては、オレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ロジン酸のアルカリ金属塩、アルケニルコハク酸のアルカリ金属塩等で例示されるカルボン酸系の乳化剤;アルキル硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸エステルナトリウム等の中から選ばれたアニオン系乳化剤など、公知の乳化剤が挙げられる。これら乳化剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
肥大化時の攪拌は適度に制御することが好ましい。攪拌が不十分な場合には、局部的に肥大化が進行することにより未肥大のゴム状重合体が残留することがある。一方、過度に攪拌を行うと、肥大化ラテックスが不安定になり、凝塊物が多量に発生することがある。
肥大化を行う際の温度は特に制限されないが、20~90℃が好ましく、30~80℃がより好ましい。温度がこの範囲外であると、肥大化が十分に進行しない場合がある。
ビニル系単量体(d)としては特に制限されないが、芳香族ビニル化合物、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、シアン化ビニル化合物などが好ましい。
芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレンなどが挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t-ブチルなどが挙げられる。
シアン化ビニル化合物としては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。
これらの中でも、成形品の耐衝撃性がより向上することから、スチレンとアクリロニトリルとを併用することが好ましい。
グラフト共重合体(E)は、複合ゴム状重合体(C)に1種以上のビニル系単量体(d)をグラフト重合して得られる。
グラフト重合を行う方法としては特に制限されないが、反応が安定して進行するように制御可能であることから乳化重合が好ましい。具体的には、複合ゴム状重合体(C)のラテックスに1種以上のビニル系単量体(d)を一括して仕込んだ後に重合する方法;複合ゴム状重合体(C)のラテックスに1種以上のビニル系単量体(d)の一部を先に仕込み、随時重合させながら残りを重合系に滴下する方法;複合ゴム状重合体(C)のラテックスに1種以上のビニル系単量体(d)の全量を滴下しながら随時重合する方法などが挙げられ、これらを1段ないしは2段以上に分けて行うことができる。2段以上に分けて行う場合、各段における1種以上のビニル系単量体(d)の種類や組成比を変えて行うことも可能である。
また、ラジカル重合を行う際には、得られるグラフト共重合体(E)の分子量やグラフト率を制御するため、各種公知の連鎖移動剤を添加してもよい。
重合条件は、例えば重合開始温度が60~90℃で、重合開始から終了までの時間が2.0~5.0時間であってよい。
グラフト共重合体(E)のラテックスからグラフト共重合体(E)を回収する方法としては、例えばグラフト共重合体(E)のラテックスを、凝固剤を溶解させた熱水中に投入することによってスラリー状に凝析する湿式法;加熱雰囲気中にグラフト共重合体(E)のラテックスを噴霧することによって半直接的にグラフト共重合体(E)を回収するスプレードライ法などが挙げられる。
乾燥温度は、例えば60~80℃であってよい。
得られたグラフト共重合体(E)中の複合ゴム状重合体(C)の体積平均粒子径および体積基準の粒子径分布は、グラフト共重合体(E)の製造に用いた複合ゴム状重合体(C)のラテックスにおける複合ゴム状重合体(C)の体積平均粒子径および体積基準の粒子径分布と同じである。
なお、圧搾脱水機や押出機から排出されたグラフト共重合体(E)を回収せず、直接、樹脂組成物を製造する押出機や成形機に送って成形品とすることも可能である。
以上説明した本発明のグラフト共重合体(E)は、上述した複合ゴム状重合体(C)に1種以上のビニル系単量体(d)をグラフト重合して得られるものである。複合ゴム状重合体(C)は、特定量のポリオルガノシロキサン(A)と、アルキル(メタ)アクリレート系重合体(B)とが複合したものである。また、複合ゴム状重合体(C)の体積平均粒子径が240nmを超えて360nm以下であり、かつ複合ゴム状重合体の全粒子中に占める、粒子径が300~800nmである粒子の割合が7.5~25体積%である。このようなグラフト共重合体(E)は、耐候性、耐温水白化性、耐衝撃性、および発色性に優れる成形品が得られる熱可塑性樹脂組成物の材料として好適である。
本発明のグラフト共重合体(E)は、アクリル系樹脂と併用されることが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、本発明のグラフト共重合体(E)と、アクリル系樹脂(F)とを含有する。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲内で、必要に応じて、各種添加剤や他の樹脂等の任意成分を含んでいてもよい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物に含まれるグラフト共重合体(E)は、上述した本発明のグラフト共重合体(E)であるため、その説明を省略する。
グラフト共重合体(E)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物に含まれるアクリル系樹脂(F)としては、例えばポリメタクリル酸メチル(メタクリル酸メチルの単独重合体)、メタクリル酸メチル以外の他の(メタ)アクリル系モノマーとメタクリル酸メチルとの共重合体、メタクリル酸メチルおよび他の(メタ)アクリル系モノマー以外の他のビニル系モノマーとメタクリル酸メチルとの共重合体等が挙げられる。これら共重合体は、共重合体を構成する全単量体単位の総質量(100質量%)に対して、メタクリル酸メチル単位の含有量が50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上100質量%未満であることがより好ましい。
これらの中でも、ポリメタクリル酸メチルを用いた場合に本発明の効果がより有効に発揮される。
メタクリル酸メチル以外のメタクリル酸エステルとしては、例えばメタクリル酸エチル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸3-ヒドロキシプロピル等が挙げられる。
アクリル酸エステルとしては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸3-ヒドロキシプロピル等が挙げられる。
これら他の(メタ)アクリル系モノマーは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
N-置換マレイミド単量体としては特に限定されないが、例えばN-フェニルマレイミド、N-o-クロロフェニルマレイミド等のN-置換アリールマレイミド類、N-メチルマレイミド、N-エチルマレイミド、N-プロピルマレイミド、N-ブチルマレイミド、N-t-ブチルマレイミド等のN-置換アルキルマレイミド類、N-シクロヘキシルマレイミド等のN-置換シクロアルキルマレイミド類などが挙げられる。これらのうち、耐熱性向上効果が高いN-フェニルマレイミドが好ましい。これらのN-置換マレイミド単量体についても、必要に応じて2種類以上を併用することができるが、2種類以上を併用する場合、N-置換マレイミド単量体の総質量に対して、N-フェニルマレイミドを25質量%以上含むことが好ましく、50質量%以上含むことがさらに好ましい。
アクリル系樹脂(F)が、メタクリル酸メチルと芳香族ビニルとシアン化ビニルとを共重合してなる共重合体である場合、アクリル系樹脂(F)を構成する全単量体単位の総質量(100質量%)に対して、メタクリル酸メチル単位を40~80質量%、芳香族ビニル単位を10~40質量%、シアン化ビニル単位を10~40質量%含むことが好ましい。
乳化剤としては、通常の乳化重合に用いられる乳化剤(例えばロジン酸カリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム等)が挙げられる。
重合開始剤としては、有機、無機の過酸化物系開始剤が挙げられる。
連鎖移動剤としては、メルカプタン類、α-メチルスチレンダイマー、テルペン類などが挙げられる。
懸濁剤としては、例えばアニオン系水溶性高分子、ノニオン系水溶性高分子、水難溶性無機塩等が挙げられる。
懸濁助剤は、単量体成分100質量部に対して0.0001~1質量部用いることが好ましい。
重合開始剤は、単量体成分100質量部に対して0.01~1.0質量部用いることが好ましい。
連鎖移動剤は、単量体成分100質量部に対して0.05~1.0質量部用いることが好ましい。
ここで、アクリル系樹脂(F)の質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用い、テトラヒドロフラン(THF)に溶解して測定したものを標準ポリスチレン(PS)換算で示したものである。
任意成分としては、グラフト共重合体(E)およびアクリル系樹脂(F)以外の他の熱可塑性樹脂(G)や、添加剤などが挙げられる。
熱可塑性樹脂組成物中のグラフト共重合体(E)の含有量は20~60質量%、アクリル系樹脂(F)の含有量は40~80質量%、他の熱可塑性樹脂(G)の含有量は0~30質量%(ただし、グラフト共重合体(E)とアクリル樹脂系(F)と他の熱可塑性樹脂(G)の合計を100質量%とする。)であることが好ましい。
グラフト共重合体(E)の含有量が20質量%以上、アクリル系樹脂(F)の含有量が80質量%以下であると、成形品の耐衝撃性がより優れる。グラフト共重合体(E)の含有量が60質量%以下、アクリル系樹脂(F)の含有量が40質量%以上であると、熱可塑性樹脂組成物の流動性、および成形品の剛性が優れる。
熱可塑性樹脂組成物は、グラフト共重合体(E)と、アクリル系樹脂(F)と、必要に応じて他の熱可塑性樹脂(G)や添加剤とをV型ブレンダやヘンシェルミキサー等の混合機により混合分散させ、これにより得られた混合物をスクリュー式押出機、バンバリーミキサ、加圧ニーダ、ミキシングロール等の溶融混練機などを用いて溶融混練することにより製造される。また、必要に応じてペレタイザー等を用いて溶融混練物をペレット化してもよい。
以上説明した本発明の熱可塑性樹脂組成物にあっては、上述した本発明のグラフト共重合体(E)と、アクリル系樹脂(F)とを含有するので、耐候性、耐温水白化性、耐衝撃性、および発色性に優れた成形品を得ることができる。
本発明により得られる成形品は、本発明の熱可塑性樹脂組成物を公知の成形方法によって成形してなるものであり、耐候性、耐温水白化性、耐衝撃性、および発色性に優れる。
成形方法としては特に限定されず、公知の成形方法を用いることができ、例えば射出成形法、プレス成形法、押出成形法、真空成形法、ブロー成形法等が挙げられる。
成形品の用途としては内装・外装等の車両用部品、OA機器や家電部品、壁材、窓枠等の建材部品、玩具、文房具等の雑貨などが挙げられる。
以下の例における各種測定および評価方法は、以下の通りである。また、以下の例において用いたグラフト共重合体(E)、アクリル系樹脂(F)、および他の熱可塑性樹脂(G)は、以下のようにして製造した。
<複合ゴム状重合体(C)の粒子径分布および平均粒子径の測定>
ナノトラック粒度分布計(日機装株式会社製、「UPA-EX150」)を用い、測定溶媒として純水を用いて、ラテックス状の複合ゴム状重合体(C)の体積基準の粒子径分布を測定し、得られた粒子径分布より体積平均粒子径、および粒子径が300~800nmの粒子と600nm以上の粒子の割合を求めた。
ISO 3167に準拠して、射出成形機(東芝機械株式会社製、「IS55FP-1.5A」)を用い、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物から成形品(i)を作製した。
得られた成形品(i)のシャルピー衝撃強度をISO 179に準拠して、23℃雰囲気下で測定した。シャルピー衝撃強度が大きいほど耐衝撃性に優れる。
4オンス射出成形機(株式会社日本製鋼所製)を用い、シリンダー設定温度260℃ 、金型温度60℃、射出率20g/秒の条件で、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物から、長さ100mm、幅100mm、厚み3mmの板状の成形品(ii)を作製した。
得られた成形品(ii)について、SCE方式の測色計(コニカミノルタジャパン株式会社製「CM-508D」)を用い、成形品(ii)の色調(L*)をSCE方式にて測定した。L*が低いほど発色性に優れることを意味する。
発色性の評価と同様にして成形品(ii)を作製した。
得られた成形品(ii)について、アイスーパーUVテスター(岩崎電気株式会社製、「SUV-W151型」) を用い、ブラックパネル温度63℃、サイクル条件360分(照射240分、暗黒120分、切替時水シャワー有)の条件で200時間処理した。
そして、処理前後の成形品(ii)の変色の度合い(ΔE)を、色差計を用いて測定した。ΔEが小さいほど耐候性に優れる。
発色性の評価と同様にして成形品(ii)を作製した。
得られた成形品(ii)を80℃の温水に8時間浸水させた。
そして、浸水前後の成形品(ii)の変色の度合い(ΔE)を、SCE方式の測色計(コニカミノルタジャパン株式会社製「CM-508D」)を用いて測定した。ΔEが小さいほど耐温水白化性に優れる。
<ポリオルガノシロキサン(A)の製造>
オクタメチルシクロテトラシロキサン98部、γ-メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン2部を混合してシロキサン混合物100部を得た。これに、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.67部、イオン交換水300部からなる水溶液を添加し、ホモミキサーにて10000回転/分で2分間撹拌した後、ホモジナイザーに300kg/cm2の圧力で2回通し、安定な予備混合オルガノシロキサンラテックスを得た。
別途、試薬注入容器、冷却管、ジャケット加熱機および攪拌装置を備えた反応器内に、ドデシルベンゼンスルホン酸10部と、イオン交換水90部とを投入し、10%のドデシルベンゼンスルホン酸水溶液(酸触媒水溶液)を調製した。
この酸触媒水溶液を85℃に加熱した状態で、予備混合オルガノシロキサンラテックスを2時間にわたって滴下し、滴下終了後3時間その温度を維持した後、40℃以下に冷却した。次いで、この反応物を10%水酸化ナトリウム水溶液でpH7.0に中和して、ポリオルガノシロキサン(A)のラテックスを得た。
得られたポリオルガノシロキサン(A)のラテックスを180℃で30分乾燥して固形分を求めたところ18.2%であった。また、ポリオルガノシロキサン(A)の質量基準の平均粒子径は30nmであった。
<酸基含有共重合体ラテックス(K)の製造>
試薬注入容器、冷却管、ジャケット加熱機および撹拌装置を備えた反応器内に、イオン交換水200部、オレイン酸カリウム2部、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム4部、硫酸第一鉄七水塩0.003部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.009部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.3部を窒素気流下で仕込み、60℃に昇温した。60℃になった時点から、アクリル酸n-ブチル85部、メタクリル酸15部、クメンヒドロパーオキサイド0.5部からなる混合物を120分かけて連続的に滴下した。滴下終了後、さらに2時間、60℃を維持した状態で熟成を行い、固形分が33%、重合転化率が96%、酸基含有共重合体の体積平均粒子径が120nmである酸基含有共重合体ラテックス(K)を得た。
<グラフト共重合体(E-1)の製造>
試薬注入容器、冷却管、ジャケット加熱機および攪拌装置を備えた反応器内に、ポリオルガノシロキサン(A)のラテックスを固形分換算で5.0部と、アルケニルコハク酸ジカリウム0.48部と、イオン交換水190部とを仕込んで混合した。次いで、アルキル(メタ)アクリレート系重合体(B)を構成する単量体としてアクリル酸n-ブチル45.0部、アリルメタクリレート0.4部、1,3-ブチレングリコールジメタクリレート0.09部、t-ブチルハイドロパーオキサイド0.12部からなる混合物を添加した。この反応器に窒素気流を通じることによって雰囲気の窒素置換を行い、内温を60℃まで昇温した。内温が60℃に達した時点で、硫酸第一鉄七水塩0.000075部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.00023部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.2部、イオン交換水10部からなる水溶液を添加し、ラジカル重合を開始させた。重合発熱が確認された後、ジャケット温度を75℃とし、重合発熱が確認されなくなるまで重合を継続し、さらに1時間この状態を維持し、ポリオルガノシロキサンとポリブチルアクリレートゴムとが複合した複合ゴムを得た(ラジカル重合工程)。得られた複合ゴムの体積平均粒子径は90nmであった。
反応器内部の液温が70℃に低下した後、5%ピロリン酸ナトリウム水溶液を固形分として1.0部添加した(縮合酸塩添加工程)。次いで、内温70℃で制御した後、酸基含有共重合体ラテックス(K)を固形分として1.25部添加し、30分撹拌、肥大化を行い、複合ゴム状重合体(C)のラテックスを得た(肥大化工程)。
得られたラテックス状の複合ゴム状重合体(C)の体積平均粒子径は285nmであった。また、複合ゴム状重合体(C)の全粒子中に占める、粒子径が300~800nmである粒子の割合は20体積%であった。粒子径が600nm以上である割合は2%体積%であった。
次いで、1%酢酸カルシウム水溶液150部を60℃に加熱し、この中へグラフト共重合体(E-1)のラテックス100部を徐々に滴下して凝固した。そして、析出物を分離し、脱水、洗浄した後に乾燥して、グラフト共重合体(E-1)を得た。
ラジカル重合工程で用いたポリオルガノシロキサン(A)、およびアクリル酸n-ブチルの量と、肥大化工程で用いたピロリン酸ナトリウムの量、および酸基含有共重合体ラテックス(K)の量を表1に示すように変更した以外は、グラフト共重合体(E-1)と同様にしてグラフト共重合体(E-2)~(E-7)を得た。
各例で得られたグラフト共重合体(E-2)~(E-7)を構成する複合ゴム状重合体(C)の体積平均粒子径、および複合ゴム状重合体(C)の全粒子中に占める、粒子径が300~800nmである粒子と600nm以上である粒子の割合を表1に示す。
「300~800nmの粒子割合」は、グラフト共重合体(E)の製造に用いた複合ゴム状重合体(C)の全粒子中に占める、粒子径が300~800nmである粒子の割合(体積%)である。
「600nm以上の粒子割合」は、グラフト共重合体(E)の製造に用いた複合ゴム状重合体(C)の全粒子中に占める、粒子径が600nm以上である粒子の割合(体積%)である。
「(d)成分」は、複合ゴム状重合体(C)にグラフト重合したビニル系単量体(d)であり、「AN」はアクリロニトリルであり、「ST」はスチレンである。
<アクリル系樹脂(F-1)の製造>
撹拌機付の20リットル耐圧反応槽に、メタクリル酸メチル74部、N-フェニルマレイミド10部、スチレン16部からなる混合物100部と、パーブチルPV(日油株式会社製)0.1部と、パーブチルO(日油株式会社製)0.05部と、パーヘキサHC(日油株式会社製)0.05部と、t-ドデシルメルカプタン0.6部と、α-メチルスチレンダイマー0.2部とを投入して、混合した。次いで、純水200部、第三リン酸カルシウム0.5部、アルケニルコハク酸カリウム0.003部からなる混合溶液を20リットル耐圧反応槽に仕込み、40℃から重合を開始させた。重合反応における昇温速度は5~10℃/hrで9時間反応を行い、120℃にて重合を終了後、冷却、洗浄、濾過、乾燥工程を経てビーズ状の重合体であるアクリル系樹脂(F-1)を得た。
表2に示す種類と量(部)のグラフト共重合体(E)、およびアクリル系樹脂(F)と、エチレンビスステアリルアミド1部と、アデカスタブLA-77Y(株式会社ADEKA製)0.4部と、アデカスタブLA-31(株式会社ADEKA製)0.4部と、カーボンブラック0.8部とをヘンシェルミキサーを用いて混合した。スクリュー式押出機(株式会社日本製鋼所製、「TEX-30α型二軸押出機」)を用いて、得られた混合物を250℃にて溶融混練した後、ペレタイザーにてペレット化した熱可塑性樹脂組成物を得た。
得られた熱可塑性樹脂組成物を用いて成形品を作製し、耐衝撃性、発色性、耐候性および耐温水白化性を評価した。これらの結果を表2に示す。
一方、比較例1~4で得られた成形品は、耐候性、耐温水白化性、耐衝撃性、および発色性のいずれか1つ以上の特性が劣っていた。
具体的には、体積平均粒子径が360nmを超えている複合ゴム状重合体(C)を用いた比較例1では、成形品の耐候性が劣っていた。
体積平均粒子径が240nm以下の複合ゴム状重合体(C)を用いた比較例2では、成形品の耐衝撃性、耐候性、および耐温水白化性が劣っていた。
ポリオルガノシロキサン(A)の割合が4質量%未満である複合ゴム状重合体(C)を用いた比較例3では、成形品の耐衝撃性が劣っていた。
ポリオルガノシロキサン(A)の割合が14質量%を超えている複合ゴム状重合体(C)を用いた比較例4では、成形品の発色性が劣っていた。
なお、グラフト共重合体(E-2)を用いた実施例2は比較例である。グラフト共重合体(E-2)の製造に使用した肥大化後の複合ゴム状重合体(C)の全粒子中に占める、粒子径が600nm以上である粒子の割合は7体積%である。
なお、グラフト共重合体(E-3)を用いた実施例3は比較例である。グラフト共重合体(E-3)の製造に使用した肥大化後の複合ゴム状重合体(C)の体積平均粒子径は245nmである。
Claims (1)
- 体積平均粒子径が20~150nmであるポリオルガノシロキサンの存在下で、アルキル(メタ)アクリレート系重合体を形成する1種以上のアルキル(メタ)アクリレート単量体をラジカル重合させて複合化させた複合ゴム状重合体を得る工程1と、
前記複合ゴム状重合体と、酸基含有共重合体ラテックスとを混合することにより、肥大化して体積平均粒子径が285~360nmとなった肥大化複合ゴム状重合体を得る工程2と、
前記肥大化複合ゴム状重合体に、1種以上のビニル系単量体をグラフト重合させることにより、グラフト共重合体を得る工程3と、
を有する、グラフト共重合体の製造方法であって、
前記工程1において前記複合ゴム状重合体を得る際、前記ポリオルガノシロキサンと前記アルキル(メタ)アクリレート単量体との合計を100質量%としたときに、前記ポリオルガノシロキサンの割合が4~14質量%であり、
前記工程2において得た前記肥大化複合ゴム状重合体の全粒子中に占める、粒子径が300~800nmである粒子の割合が7.5~25体積%であり、かつ、粒子径が600nm以上である粒子の割合が5体積%以下である、グラフト共重合体の製造方法。
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