JP7194617B2 - ピットカバー - Google Patents

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Description

本発明は、ピットカバーに関する。
車両等の点検作業に使用されるピットは、車両が搬入されていないときには縦穴が開放されたままとなる。そのため、安全性を考慮して、未使用時にピットを塞ぐ対策が取られている。例えば、グレーチング等の溝蓋をピットに設置することにより、ピットを塞ぐことが行われている。また、複数のピットカバーを電動でスライドさせるリフト装置も提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
特開2001-40752号公報 特開2005-138698号公報
グレーチング等の溝蓋をピットカバーとして設置すると、ピットに設置した後の移動に手間と労力が必要となる。また、電動のリフト装置は、それぞれのピットカバーが互いに連結されているため、作業に必要な部分のみを移動することが難しい。
本発明は、ピットに複数枚が設置された状態において、作業に必要な部分のみを容易に移動できるピットカバーを提供することを目的とする。
本発明は、ピットの両側縁を跨ぐように設置されるピットカバーであって、ピットの一方の側縁と当接する第1ブラケットと、ピットの他方の側縁と当接する第2ブラケットと、幅方向の両端部に前記第1ブラケット及び前記第2ブラケットそれぞれが設けられるカバー本体と、を備え、前記第1ブラケット及び前記第2ブラケットの高さ方向の上側及び下側の少なくとも一方の端面は、奥行き方向の中央部側から奥行き方向の先端側に向かって高さ方向の中央部側に変位しているピットカバーに関する。
本発明に係るピットカバーの一形態によれば、ピットに複数枚が設置された状態において、作業に必要な部分のみを容易に移動できる。
実施形態におけるピットカバー1の全体を示す斜視図である。 4枚のピットカバー1をピット2に設置した状態を示す斜視図である。 (A)は、ピットカバー1を表側から見たときの分解図である。(B)は、ピットカバー1を裏側から見たときの分解図である。 (A)は、カバー本体10に第1サイドカバー20を嵌め込む様子を示す斜視図である。(B)は、カバー本体10と第1サイドカバー20をボルト等で連結する様子を示す斜視図である。(C)は、連結されたカバー本体10と第1サイドカバー20の斜視図である。 (A)は、ピットカバー1の幅を最も短くした状態を示す平面図である。(B)は、ピットカバー1の幅を最も長くした状態を示す平面図である。 第1ブラケット22の側面図である。 (A)は、ストッパ100の側面図である。(B)は、ストッパ100の斜視図である。 ストッパ100の内部構造を示す斜視図である。 (A)は、ピットカバー1が2枚積み重なった場合のストッパ100を示す側面図である。(B)は、作業者がピットカバー1の上に乗ってしまった場合のストッパ100を示す側面図である。 ピット2に設置された4枚のピットカバー1を示す平面図である。 (A)~(E)は、乗り上げ動作の手順を示す側面図である。 図10のI-I線に相当する断面図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本明細書に添付した図面は、いずれも模式図であり、理解しやすさ等を考慮して、各部の形状、縮尺、縦横の寸法比等を、実物から変更又は誇張している。また、図面においては、部材の断面を示すハッチングを適宜に省略する。
本明細書等において、形状、幾何学的条件、これらの程度を特定する用語、例えば、「平行」、「方向」等の用語については、その用語の厳密な意味に加えて、ほぼ平行とみなせる程度の範囲、概ねその方向とみなせる範囲を含む。
本明細書等においては、図1に示すように、ピットカバー1の幅方向をX(X1-X2)方向、奥行き方向をY(Y1-Y2)方向、高さ方向(厚み方向)をZ(Z1-Z2)方向とする。また、後述するピット2のXYZ方向は、ピット2に設置されたピットカバー1のXYZ方向と対応する。すなわち、ピット2の幅方向をX(X1-X2)方向、奥行き方向をY(Y1-Y2)方向、高さ方向をZ(Z1-Z2)方向とする(図2参照)。なお、本明細書においては、「~方向」を適宜に「~側」ともいう。
図1は、本実施形態におけるピットカバー1の全体を示す斜視図である。
図2は、4枚のピットカバー1をピット2に設置した状態を示す斜視図である。
図3(A)は、ピットカバー1を表側から見たときの分解図である。図3(B)は、ピットカバー1を裏側から見たときの分解図である。
図4(A)は、カバー本体10に第1サイドカバー20を嵌め込む様子を示す斜視図である。図4(B)は、カバー本体10と第1サイドカバー20をボルト等で連結する様子を示す斜視図である。図4(C)は、連結されたカバー本体10と第1サイドカバー20の斜視図である。
図5(A)は、ピットカバー1の幅を最も短くした状態を示す平面図である。図5(B)は、ピットカバー1の幅を最も長くした状態を示す平面図である。
図1に示すように、本実施形態のピットカバー1は、カバー本体10と、ブラケット保持部としての第1サイドカバー20及び第2サイドカバー30と、を備える。
ピットカバー1の各部の寸法は、設置されるピットの幅により異なるが、一例を挙げると、奥行き方向(Y方向)が1000mm、高さ方向(Z方向)が50mmである。幅方向(X方向)は、後述するように、790~940mmの範囲で調整可能である。
先ず、カバー本体10について説明する。
カバー本体10は、ピットカバー1のベースとなる構造体である。図1に示すように、カバー本体10のX1側には、第1サイドカバーが連結されている。また、カバー本体10のX2側には、第2サイドカバーが連結されている。
ピットカバー1は、図2に示すように、ピット2に所定数を設置することにより、ピット2の上方に開放された領域を塞ぐことができる。ピットカバー1は、ピット2の両側縁に平行に設けられた一対のレール3(図12参照)を跨ぐように設置される。なお、図2では、ピット2に4枚のピットカバー1を設置する例を示しているが、ピットカバー1の枚数は、ピット2の奥行き方向(Y方向)の長さにより適宜に設定される。また、図示していないが、ピット2には、作業者が出入りするための設備(梯子、階段等)が設けられている。
カバー本体10は、図3(A)又は(B)に示すように、外枠11、カバー材12、支持体13、裏板14等により構成される。
外枠11は、カバー本体10の外周部分を構成する構造体である。外枠11は、例えば、断面がL字形の鋼材を四角形の枠形に接合することにより構成される。外枠11の奥行き方向(Y方向)の端部には、ハンドル11aが取り付けられている。ハンドル11aは、ピットカバー1を移動する際等において、作業者が把持する部分である。ハンドル11aは、例えば、断面が凹形状の溝形鋼により構成される。
外枠11の奥行き方向(Y方向)の両端部には、図4(A)に示すように、複数の内穴11bが所定の間隔で設けられている。内穴11bは、カバー本体10と第1サイドカバー20及び第2サイドカバー30を連結する際に、ボルト41(後述)が貫通する開口である。図4(A)では、外枠11のX1側に設けられた内穴11bのみを図示しているが、内穴11bは、外枠11のX2側にも設けられている。また、図4(A)では、外枠11のY1側に設けられた内穴11bのみを図示しているが、外枠11のY2側にも同じ位置に内穴11b(不図示)が設けられている。
カバー材12は、カバー本体10の全体を覆う部材である。カバー材12は、例えば、エキスパンドメタルにより構成される。ピットカバー1は、使用形態として、ピット2に設置している場合だけでなく、保管時においても作業者が上に乗らないことを前提している。しかし、本実施形態のピットカバー1は、カバー材12としてエキスパンドメタルを使用しているため、上下からの視認性を確保しつつ、万一、作業者が乗ってしまった際にも、作業者がピットカバー1の上で滑りにくくなる。また、後述するように、作業者が乗ってしまった際に、ストッパ100によりピットカバー1自体の滑りを抑制できる。カバー材12は、高さ方向(Z方向)において、外枠11と支持体13(後述)との間に設けられる。
支持体13は、カバー本体10の骨組みとなる構造体である。支持体13は、例えば、断面が凹形状の溝形鋼を組み合わせることにより構成される。支持体13は、カバー本体10の剛性を確保できれば、図3(B)に示す構成に限らず、どのような構成としてもよい。例えば、支持体13として、上記溝形鋼をX形に組み合わせた構成であってもよい。また、図3(B)に示すように、支持体13には、軽量化のために溝形鋼に丸穴が形成されているが、このような加工を施さない形態としてもよい。
図3(B)に示すように、支持体13のY1側及びY2側には、裏板14がそれぞれ設けられている。裏板14は、後述するように、ピットカバー1を移動する場合において、作業者が下側から上側に向けてピットカバー1を押し上げる際に手を添える部分である。カバー本体10の裏側に裏板14を設けることにより、作業者が下側から上側に向けてピットカバー1を押し上げた際に、エキスパンドメタル(カバー材12)の隙間に指を挟み込む等の不具合を抑制できる。
次に、第1サイドカバー20及び第2サイドカバー30について説明する。
本実施形態において、第1サイドカバー20及び第2サイドカバー30の構成は、幅方向(X方向)の向きが異なる以外は、実質的に同じである。そのため、以下においては、主に第1サイドカバー20を例として構成を説明する。また、第1サイドカバー20及び第2サイドカバー30の一方又は両方を、適宜に「サイドカバー」ともいう。
図3(A)に示すように、第1サイドカバー20は、サイドカバー本体21、第1ブラケット22により構成される。第2サイドカバー30は、サイドカバー本体31、第2ブラケット32により構成される。
第1サイドカバー20において、サイドカバー本体21は、第1ブラケット22を保持する構造体である。サイドカバー本体21は、例えば、金属製の板材を折り曲げたり、接合したりすることにより構成される。サイドカバー本体21の奥行き方向(Y方向)の長さは、サイドカバー本体21を外枠11の外側から嵌め込み可能な寸法に設定される。
図4(A)に示すように、サイドカバー本体21には、多数の穴21aが設けられている。サイドカバー本体21に多数の穴21aを設けることにより、上下からの視認性を確保しつつ、作業者が第1サイドカバー20の上で滑りにくくなる。
図4(A)に示すように、サイドカバー本体21の奥行き方向(Y方向)の両端部には、複数の外穴21bが所定の間隔で設けられている。外穴21bは、カバー本体10と第1サイドカバー20を連結する際に、ボルト41(後述)が貫通する開口である。なお、図4(A)では、奥行き方向のY1側に設けられた外穴21bのみを図示しているが、Y2側にも同じ位置に外穴21b(不図示)が設けられている。また、図示していないが、サイドカバー本体31(第2サイドカバー30)の奥行き方向の両端部にも複数の外穴31bが所定の間隔で設けられている。図4(A)では、外穴21bと同じ位置に設けられる外穴31bの符号をカッコ書きで記載している。
カバー本体10と第1サイドカバー20及び第2サイドカバー30とを連結する場合、図4(A)に示すように、カバー本体10のX1側から、第1サイドカバー20を嵌め込む。図示していないが、同様にカバー本体10のX2側から、第2サイドカバー30を嵌め込む。カバー本体10に第1サイドカバー20及び第2サイドカバー30を嵌め込んだ後、カバー本体10のY1側の内穴11bと第1サイドカバー20の外穴21bとの位置を合せる。図示していないが、同様にカバー本体10のY2側の内穴11bと第2サイドカバー30の外穴31bとの位置を合せる。
具体的には、ピットカバー1の幅方向(X方向)の長さが、ピット2の幅W(図2参照)と適合するように、カバー本体10の内穴11bと第1サイドカバー20の外穴21bとの位置を合せる。図4(B)では、カバー本体10の内穴11bと、第1サイドカバー20の外穴21bとの位置を合せる例を示しているが、第2サイドカバー30についても、同様の作業を行う。なお、カバー本体10とサイドカバーとの位置合わせは、カバー本体10に対して、第1サイドカバー20及び第2サイドカバー30のうちの一方のみを移動してもよいし、カバー本体10に対して、第1サイドカバー20及び第2サイドカバー30の両方を移動してもよい。
カバー本体10と第1サイドカバー20及び第2サイドカバー30とを位置合わせした後、図4(B)に示すように、ボルト41、ワッシャ42及びナット43(以下、「ボルト等」ともいう)を用いて、カバー本体10とそれぞれのサイドカバーとを締結する。なお、カバー本体10にサイドカバーを連結する際に、ボルト等は、少なくとも2箇所に取り付けることが望ましい。カバー本体10とそれぞれのサイドカバーとをボルト等で締結することにより、図4(C)に示すように、カバー本体10と第1サイドカバー20及び第2サイドカバー30(不図示)とを連結できる。
本実施形態のピットカバー1によれば、カバー本体10に対してサイドカバーを嵌め込む量を調整することにより、使用するピット2の幅W(図2参照)に合わせて、ピットカバー1の幅方向(X方向)の長さを設定できる。カバー本体10に対してサイドカバーを嵌め込む量を最も多くした場合、図5(A)に示すように、ピットカバー1の幅方向(X方向)の長さLを最も小さくできる。また、カバー本体10に対してサイドカバーを嵌め込む量を最も少なくした場合、図5(B)に示すように、ピットカバー1の幅方向(X方向)の長さLを最も大きくできる。
次に、第1サイドカバー20に設けられる第1ブラケット22及び第2サイドカバー30に設けられる第2ブラケット32について説明する。
本実施形態において、第1ブラケット22及び第2ブラケット32の構成は、幅方向(X方向)の向きが異なる以外は、実質的に同じである。そのため、第1ブラケット22を例として構成を説明する。以下、第1ブラケット22及び第2ブラケット32の一方又は両方を、適宜に「ブラケット」ともいう。
図6は、第1ブラケット22の側面図である。
図6に示すように、第1ブラケット22は、奥行き方向(Y方向)に長く延びた箱枠形に構成されている。第1ブラケット22は、X-Z面に平行な断面が横向きの凹形状となるように構成されている(図1参照)。第1ブラケット22は、奥行き方向において、中央部22A、第1端部22B及び第2端部22Cに区分される。なお、これらの区分は、説明の便宜を図るためものであり、実際の第1ブラケット22において、各部が明確に区分されているわけではない。
中央部22Aは、第1ブラケット22において、奥行き方向(Y方向)の中央に設けられる部分である。中央部22Aには、奥行き方向に沿って、2箇所にストッパ100(後述)が設けられている。中央部22Aにおいて、高さ方向(Z方向)の上側及び下側の面は、平行な直線である。図6では、中央部22Aの下側の面を延長した線を二点鎖線で示している。
第1端部22Bは、第1ブラケット22において、中央部22Aよりも奥行き方向(Y方向)のY1側に設けられた部分である。第2端部22Cは、第1ブラケット22において、中央部22Aよりも奥行き方向のY2側に設けられた部分である。本実施形態において、第1端部22B及び第2端部22Cの構成は、奥行き方向の向きが異なる以外は、実質的に同じである。そのため、以下においては、主に第1端部22Bを例として構成を説明する。
図6に示すように、第1端部22Bにおいて、高さ方向(Z方向)の下側の端面221は、奥行き方向(Y方向)の中央部22A側から先端側(Y1側)に向かって上方向(Z1方向)に傾斜している。すなわち、第1端部22Bの下側の端面221は、奥行き方向の中央部22A側から先端側に向かって、高さ方向の中央部側に変位している。このように、第1端部22Bの下側の端面221は、上方向に傾斜しているため、後述するように、2枚のピットカバー1を積み重ねる動作を容易に行うことができる。
また、第1端部22Bにおいて、高さ方向(Z方向)の上側の端面222は、奥行き方向(Y方向)の中央部22A側から先端側(Y1側)に向かって、下方向(Z2方向)に傾斜している。すなわち、第1端部22Bの上側の端面222は、奥行き方向の中央部22A側から先端側に向かって、高さ方向の中央部側に変位している。このように、第1端部22Bの上側の端面222は、下方向に傾斜しているため、後述するように、2枚のピットカバー1を積み重ねる動作を容易に行うことができる。
第1端部22Bにおいて、上側の端面222の長さL3は、下側の端面221の長さL4よりも短く設定される。複数のピットカバー1の並べて設置した際に、ピットカバー1の表側(Z1側)に露出する傾斜面の部分を出来るだけ少なくするためである。一方、第1端部22Bにおいて、下側の端面221の長さL4は、上側の端面222の長さL3よりも長く設定される。下側の端面221の傾斜を緩やかにすることにより、後述する他のピットカバー1の上へ積み重ねる動作が更に容易となる。
次に、第1ブラケット22に設けられるストッパ100(移動機構)の構成について説明する。
本実施形態において、第1ブラケット22及び第2ブラケット32に設けられるストッパ100の構成は、実質的に同一である。ここでは、第1ブラケット22のY1側に設けられたストッパ100を例として構成を説明する。
図7(A)は、ストッパ100の側面図である。図7(B)は、ストッパ100の斜視図である。図8は、ストッパ100の内部構造を示す斜視図である。図9(A)は、ピットカバー1が2枚積み重なった場合のストッパ100を示す側面図である。図9(B)は、作業者がピットカバー1の上に乗ってしまった場合のストッパ100を示す側面図である。なお、図8において、バネ150は、内部の構成を分かり易くするため、Y-Z面と平行な面で切断したときの断面を示している。また、図9(A)及び(B)は、ストッパ100から外カバー101(後述)を取り外した状態の側面図を示している。
図7(A)及び(B)に示すように、ストッパ100は、第1ブラケット22の下側の端面221と上側の端面222との間に設けられている。図7(B)に示すように、第1ブラケット22の下側の端面221には、車輪120(後述)を突出させるための開口部223が設けられている。また、第1ブラケット22の上側の端面222には、後述するように、積み重ねられた他のピットカバー1の車輪120と係合する窪み部224が設けられている。窪み部224の位置は、図9(A)に示すように、第1ブラケット22の奥行き方向(Y方向)において、ストッパ100の車輪軸130(後述)の位置と一致している。この構成によれば、2枚のピットカバー1を積み重ねた場合に、下側のピットカバー1の窪み部224と、上側のピットカバー1の車輪120とを奥行き方向(Y方向)の同じ位置で係合させることができる。
ストッパ100は、図7(B)に示すように、幅方向(X方向)に、外カバー101及び内カバー102を備える。外カバー101及び内カバー102には、車輪軸130(後述)が高さ方向(Z方向)に移動するための長穴103が設けられている。後述するように、ピットカバー1に大きな荷重が加わると、バネ150が圧縮されるため、車輪軸130は、長穴103に沿って上方向(Z1方向)に移動する。また、ピットカバー1に荷重が加わらなくなると、バネ150が反力により元の長さに戻るため、車輪軸130は、長穴103に沿って下方向(Z2方向)に移動する。なお、図7(A)及び(B)では、外カバー101に設けられた長穴103のみを図示している。
外カバー101及び内カバー102を取り外したストッパ100は、図8に示すように、車輪保持枠110、車輪120、車輪軸130、Eリング140、バネ150及びバネ軸160を備える。
車輪保持枠110は、車輪120を保持する枠部材であり、図8に示す使用形態において、逆凹形に構成されている。車輪保持枠110の側面111及び112には、それぞれ軸穴113及び114が設けられている。また、車輪保持枠110の上部115には、バネ軸160(後述)が貫通する軸穴116が設けられている。そのため、車輪保持枠110は、バネ150の伸縮に合わせて上下方向(Z方向)に移動できる。車輪120は、回転部材であり、ピットカバー1を移動する際に使用される。車輪軸130は、車輪120を支持する部材である。車輪軸130の両端部には、Eリング140が嵌め込まれる環状の溝131が設けられている。車輪軸130は、車輪保持枠110に設けられた2つの軸穴113、114及び車輪120の回転穴(符号省略)をそれぞれ貫通するように取り付けられる。
Eリング140は、車輪軸130が車輪保持枠110から脱落することを防止する部材である。Eリング140は、車輪軸130の両端部が外カバー101及び内カバー102(図7(B)参照)から突出した状態で、車輪軸130の溝131に嵌め込まれる。図8では、ストッパ100から外カバー101及び内カバー102を取り外した状態で、車輪軸130のX1側の溝131にEリング140を嵌め込む様子を示している。なお、図示していないが、車輪軸130のX2側の溝131にもEリング140が嵌め込まれる。
バネ150は、荷重を受ける方向(Z1方向)に変形する圧縮コイルバネである。バネ150の強さは、例えば、ピットカバー1を2枚積み重ねた場合に加わる荷重(例えば、15kg)では、車輪120が第1ブラケット22の開口部223から突出し、作業者がピットカバー1の上に乗ってしまった場合に加わる荷重(例えば、50kg以上)では、バネ150が変形して車輪120が第1ブラケット22の開口部223から突出しない程度に設定することが望ましい。
バネ150の強さを上記設定とすることにより、以下のような作用が得られる。ピットカバー1を2枚積み重ねた状態では、下側のピットカバー1に加わる荷重が小さいため、バネ150が変形して車輪120が上方向(Z1方向)へ移動する量も少ない(或いは移動しない)。この場合、車輪120は、第1ブラケット22の開口部223から突出した状態が維持されるため、2枚積み重ねたピットカバー1を容易に移動できる。
一方、作業者がピットカバー1の上に乗ってしまった場合、下側のピットカバー1に加わる荷重が大きくなるため、バネ150が収縮して車輪120が上方向へ移動する量も多くなる。この場合、車輪120は、第1ブラケット22の開口部223から突出しなくなる。これにより、第1ブラケット22の下側の端面221と、ピット2の両側縁に設けられたレール3(又はピットカバー1が置かれた床面)との間が密着するため、両者の間に生じる摩擦抵抗によって、ピットカバー1の滑りを抑制できる。
バネ軸160は、バネ150を支持する棒状の部材であり、バネ150の中心に設けられている。バネ軸160の下側(Z2側)の端部は、車輪保持枠110の上部115に設けられた軸穴116に貫通している。バネ軸160の上側(Z1側)の端部は、図9(A)に示すように、第1ブラケット22に設けられた軸受プレート225と係合している。
次に、ストッパ100の動作について説明する。
図9(A)に示すように、ピットカバー1を2枚積み重ねた状態では、下側(Z2側)のピットカバー1に加わる荷重Fが小さく、バネ150が僅かしか変形しないため、第1ブラケット22の開口部223から車輪120が突出した状態が維持される。これによれば、車輪120がピット2の両側縁に設けられたレール3(又は床面)の上で回転できるため、2枚積み重ねたピットカバー1を簡単に移動できる。
一方、図9(B)に示すように、作業者(不図示)がピットカバー1の上に乗ってしまった場合、ピットカバー1に加わる荷重Fが大きくなるため、バネ150が大きく変形する。バネ150が大きく変形すると、車輪120が上方向(Z1方向)に移動して、第1ブラケット22の開口部223からが突出しなくなる。これにより、第1ブラケット22の下側の端面221と、ピット2の両側縁に設けられたレール3(又は床面)とが密着するため、両者の間に生じる摩擦抵抗によって、ピットカバー1の滑りを抑制できる。したがって、作業者がピットカバー1の上に乗ってしまった場合に、ピットカバー1が滑って作業者が転倒する等の不具合を抑制できる。
次に、ピット2に設置されたピットカバー1を、隣接する他のピットカバー1の上に積み重ねる動作(以下、「乗り上げ動作」ともいう)について説明する。
図10は、ピット2に設置された4枚のピットカバー1を示す平面図である。図11(A)~(E)は、乗り上げ動作の手順を示す側面図である。図12は、図10のI-I線に相当する断面図である。図12は、図2に示すピット2において、奥行き方向のY1側のピットカバー1をY2側のピットカバー1の上に積み重ねたときの断面を示している。
ここでは、図10に示すように、4枚のピットカバー1のうち、実線で示す2枚のピットカバー1の1枚を移動させる例について説明する。具体的には、実線で示す2枚のピットカバー1A及び1Bのうち、Y1側のピットカバー1Aを、Y2側のピットカバー1Bの上に積み重ねる例について説明する。なお、本例では、1人の作業者(不図示)がピット2の中から乗り上げ動作を行う例について説明する。
図11(A)に示すように、2枚のピットカバー1A及び1Bが奥行方向(Y方向)に隣接している状態で作業を開始する。なお、図示していないが、他のピットカバー1も奥行き方向のY1側及びY2側に隣接している。
また、図11(A)~(E)では、ピット2に設けられたレール3のうち、車輪120と接するレール面4のみを示している。
まず、作業者は、図11(B)に示すように、移動させるピットカバー1AのY2側の端部を上方向(Z1方向)に持ち上げる。作業者は、ピットカバー1AのY2側の裏側に設けられた裏板14(図3(B)参照)を手で上方向に押し上げることにより、ピットカバー1AのY2側の端部を上方向に安全に持ち上げることができる。作業者は、ピットカバー1AのY2側の端部を上方向に持ち上げた後、持ち上げたピットカバー1AのY2側の端部(下側の端面221)を、隣接するピットカバー1BのY1側の端部(上側の端面222)の上に載せる。
次に、作業者は、図11(C)に示すように、ピットカバー1AのY2側の端部をピットカバー1BのY1側の端部の上に載せたまま、ピットカバー1AをY2側に移動させる。このとき、作業者は、ピットカバー1AのY1側の裏側に設けられた裏板14(図3(B)参照)を手で上方向に押し上げながらピットカバー1AをY2側に移動させることにより、ピットカバー1Aをより速やかにY2側に移動できる。なお、図11(C)の状態から、ピットカバー1Aを更にY2側に移動させると、ピットカバー1Aの車輪120(ストッパ100)がピットカバー1Bの上側の端面222の上を転がるため、ピットカバー1Aを移動させる際の労力を低減できる。
作業者は、図11(D)に示すように、ピットカバー1Aを他のピットカバー1Bと平行な位置まで移動させた後、ピットカバー1AのY1側の端部に設けられたハンドル11a(図1等参照)を把持して、更にピットカバー1AをY2側に移動させる。これにより、図11(E)及び図12に示すように、ピットカバー1Aを、隣接するピットカバー1Bの上側(Z1側)に積み重ねることができる。なお、図12に示すピット2において、レール3の断面形状は、略L字形であってもよい。
ピットカバー1Aをピットカバー1Bの上に積み重ねると、ピットカバー1Aの4箇所に設けられた各車輪120は、ピットカバー1Bの4箇所に設けられた各窪み部224(図9(A)参照)と係合する。これにより、積み重ねた2枚のピットカバー1A及び1Bは、互いにX-Y方向(水平方向)にずれにくくなる。そのため、作業者は、2枚のピットカバー1A及び1Bを積み重ねた状態で容易に移動できる。
なお、積み重ねた2枚のピットカバー1A及び1Bのうち、ピットカバー1Aを元の位置に戻す場合には、ピットカバー1AのY1側の端部に設けられたハンドル11a(図1等参照)を把持して、ピットカバー1AをY1側に移動させればよい。この際に、ピットカバー1AのY1側又はY2側に設けられた裏板14を手で上方向に押し上げながら作業を行うことにより、ピットカバー1Aをよりスムーズに移動させることができる。
上述した本実施形態のピットカバー1によれば、例えば、以下のような効果を奏する。
本実施形態のピットカバー1において、第1ブラケット22及び第2ブラケット32は、奥行き方向(Y方向)の中央部22A側から先端側(Y1及びY2側)に向かって上方向(Z1方向)に傾斜する端面221と、下方向(Z2方向)に傾斜する端面222と、を備える。そのため、例えば、図11(A)~(E)に示すように、隣接する2枚のピットカバー1(1A、1B)の積み重ねを容易に行うことができる。したがって、本実施形態のピットカバー1によれば、ピット2に複数枚が設置された状態で、作業に必要な部分のみを容易に移動できる。
本実施形態のピットカバー1において、第1ブラケット22及び第2ブラケット32は、ストッパ100を備える。ストッパ100は、例えば、図7~図10に示すように、ピットカバー1を2枚積み重ねた状態では車輪120が突出した状態が維持されるため、積み重ねた2枚のピットカバー1を容易に移動できる。また、万一、作業者がピットカバー1の上に乗ってしまった場合には車輪120が突出しなくなる。これにより、第1ブラケット22及び第2ブラケット32の下側の端面221とレール3(又は床面)との間が密着するため、両者の間に生じる摩擦抵抗によって、ピットカバー1の滑りを抑制できる。
上記効果は、例えば、作業者が2枚積み重ねたピットカバー1の上に乗ってしまった場合にも得られる。また、ピットカバー1を多数枚積み重ねることにより、バネ150の強さ以上の荷重が加わった場合、作業者がピットカバー1の上に乗ってしまった場合と同様に車輪120が突出しなくなる。そのため、例えば、保管のために床面の上に多数枚積み重ねたピットカバー1が不用意に動いてしまうことを抑制できる。
本実施形態のピットカバー1は、第1サイドカバー20及び第2サイドカバー30を備える。そのため、図3~図5に示すように、カバー本体10に対してサイドカバーを嵌め込む量を調整することにより、使用するピット2の幅Wに合わせて、ピットカバー1の幅方向(X方向)の長さを設定できる。したがって、本実施形態のピットカバー1は、幅Wの異なる様々なピット2に適用できる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、後述する変形形態のように種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内に含まれる。また、実施形態に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、実施形態に記載したものに限定されない。なお、上述の実施形態及び後述する変形形態は、適宜に組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
(変形形態)
実施形態のピットカバー1において、カバー本体10、カバー材12は、第1サイドカバー20及び第2サイドカバー30を構成する材料は、作業者の一般的な体重を支えることができれば、金属に限らず、例えば、木材、プラスチック等を用いてもよいし、これらの材料と金属を適宜に組み合わせてもよい。
実施形態のピットカバー1において、第1サイドカバー20及び第2サイドカバー30は、いずれか一方を設けた構成としてもよい。また、ピットカバー1を、使用するピット2の幅Wに合わせて作製する場合、第1サイドカバー20及び第2サイドカバー30を設けない構成としてもよい。その場合、カバー本体10の幅方向(X方向)を延長した端部に、第1ブラケット22及び第2ブラケット32を取り付ければよい。
実施形態のピットカバー1において、ハンドル11aは、奥行き方向(Y方向)の一方の端部のみに設けてもよい。ハンドル11aは、カバー本体10に限らず、第1サイドカバー20及び第2サイドカバー30を設けてもよい。また、ピットカバー1のサイズが小さい場合等において、ハンドル11aをいずれの端部にも設けない構成としてもよい。
実施形態のピットカバー1において、外枠11の内穴11b、第1サイドカバー20及び第2サイドカバー30の外穴(21b、31b)のうち、いずれか一方又は両方を長穴としてもよい。このような構成とすることにより、ピットカバー1の幅方向(X方向)の長さを、可動範囲内において無段階に設定できる。
実施形態の第1ブラケット22において、第1端部22Bの下側の端面221は、曲線形状であってもよいし、直線形状と曲線形状が組み合わされた形状であってもよい。すなわち、第1端部22Bの下側の端面221は、奥行き方向の中央部22A側から先端側に向かって、高さ方向の中央部側に変位していればよい。第1端部22Bの上側の端面222についても同様である。また、第2端部22Cの下側の端面221、上側の端面222についても同様であり、Y2側の第2ブラケット32についても同様である。
実施形態のピットカバー1において、カバー本体10の内側に第1サイドカバー20及び第2サイドカバー30が挿入される構成としてもよい。
実施形態のピットカバー1において、ストッパ100は、第1ブラケット22及び第2ブラケット32の奥行き方向(Y方向)の中央に1つ設けられていてもよいし、3箇所以上に設けられていてもよい。
1:ポットカバー、10:カバー本体、20:第1サイドカバー、22:第1ブラケット、22A:中央部、22B:第1端部、22C:第2端部、30:第2サイドカバー、32:第2ブラケット、100:ストッパ、120:車輪

Claims (3)

  1. ピットの両側縁を跨ぐように設置されるピットカバーであって、
    ピットの一方の側縁と当接する第1ブラケットと、
    ピットの他方の側縁と当接する第2ブラケットと、
    幅方向の両端部に前記第1ブラケット及び前記第2ブラケットそれぞれが設けられるカバー本体と、を備え、
    前記第1ブラケット及び前記第2ブラケットの高さ方向の上側及び下側の少なくとも一方の端面は、奥行き方向の中央部側から奥行き方向の先端側に向かって高さ方向の中央部側に変位している、
    ピットカバー。
  2. 請求項1に記載のピットカバーであって、
    前記第1ブラケット及び前記第2ブラケットは、ピットのそれぞれの側縁と接する側の面に少なくとも一部が露出する車輪と、
    前記第1ブラケット及び前記第2ブラケットに対して高さ方向の下側に向けて荷重が加わると、前記第1ブラケット及び前記第2ブラケットに対して前記車輪を高さ方向の上側に移動させる移動機構と、
    を備えるピットカバー。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のピットカバーであって、
    前記第1ブラケット又は前記第2ブラケットを保持するブラケット保持部を備え、
    前記ブラケット保持部は、前記カバー本体の幅方向に移動自在に連結される、
    ピットカバー。
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