JP7187990B2 - 樹脂成形体の製造方法 - Google Patents

樹脂成形体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7187990B2
JP7187990B2 JP2018206781A JP2018206781A JP7187990B2 JP 7187990 B2 JP7187990 B2 JP 7187990B2 JP 2018206781 A JP2018206781 A JP 2018206781A JP 2018206781 A JP2018206781 A JP 2018206781A JP 7187990 B2 JP7187990 B2 JP 7187990B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
resin
sheet
moth
eye structure
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018206781A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020069750A (ja
Inventor
貴之 嶋田
健太郎 秋山
直樹 大田
明寿 野田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to JP2018206781A priority Critical patent/JP7187990B2/ja
Publication of JP2020069750A publication Critical patent/JP2020069750A/ja
Priority to JP2022133245A priority patent/JP2022180365A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7187990B2 publication Critical patent/JP7187990B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Instrument Panels (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Surface Treatment Of Optical Elements (AREA)
  • Devices For Indicating Variable Information By Combining Individual Elements (AREA)

Description

本発明は、樹脂成形体の製造方法及び表示装置に関する。
自動車等の乗り物は、速度、エンジン回転数、燃料の残量、水温計及び走行距離等の情報を表示する計器を備えている。
かかる計器は、例えば、情報を表示する表示部と、表示部の前面側(光出射面側)に配置されてなる透明板とを有している。
情報を表示する表示部は、表示素子と、表示素子の前面側(光出射面側)に配置される表示板とからなる基本構成を有している。
特許文献1には、表示素子上に配置する表示板として、「透光性の基板の前面に所定の模様をなす微細凹凸部が形成され、前記基板の背面に所定の色調である地色層が形成されてなる表示板」を開示している。
特開2018-132429号公報
特許文献1の表示板の微細凹凸部は、中央領域とその周辺のリング状領域の微細凹凸部と外光の反射の具合(表面の光り方)を異ならせることにより、中央領域とリング状領域との質感の変化を大きくするものである(段落0061)。
しかし、特許文献1の計器は、表示部の地色層の色味の重厚感が不足し、高級感を満足できないものであった。
また、特許文献1の表示部は、微細凹凸部を型で成形した後に、地色層を印刷することにより製造されているが(段落0054、0059)、工程が多いため製造効率が悪く、さらには、印刷工程の際に微細凹凸部が破損して歩留まりが低下するという問題があった。
本発明は、製造効率及び歩留まりに優れ、かつ、重厚感のある色味を付与できる樹脂成形体の製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、重厚感のある色味を付与できる表示装置を提供することを目的とする。
本発明は、下記の[1]~[2]を提供することを目的とする。
[1]下記(1)~(3)の工程を有する、樹脂成形体の製造方法。
(1)上下一組のインモールド成形用金型の一方の側に、離型シート上に意匠層を含む転写層を有する転写シートを配置し、前記金型の他方の側に、凸部群から形成されてなるモスアイ構造部Aと相補的な形状を有する賦型シートを配置する工程。
(2)前記金型を締め、前記金型内に射出樹脂を注入し、前記転写シートの転写層側の面と、前記射出樹脂を含む射出樹脂層と、前記賦型シートとを密着させた積層体Aを得る工程。
(3)前記金型を開けた後、前記積層体Aから転写シートの離型シート及び賦型シートを剥離し、一方の面に凸部群から形成されてなるモスアイ構造部Aを有してなる射出樹脂層と、前記射出樹脂層の前記モスアイ構造部Aとは反対側の面に密着してなる転写層とを有してなる、樹脂成形体を得る工程。
[2]表示素子と、前記表示素子の光出射面上に配置されてなる表示板と、前記表示板の光出射面上に空気層を介して配置されてなる透明板とを有してなり、
前記表示板は、一方の面に凸部群から形成されてなるモスアイ構造部Aを有してなる射出樹脂層と、前記射出樹脂層の前記モスアイ構造部Aとは反対側の面に密着してなる意匠層を含む転写層とを有してなる樹脂成形体であり、
前記樹脂成形体は、前記射出樹脂層のモスアイ構造部Aが光出射面側となるように配置されてなり、
前記透明板は、光入射面側に凸部群から形成されてなるモスアイ構造部Bを有してなる、表示装置。
本発明によれば、製造効率及び歩留まりに優れ、かつ、重厚感のある色味を付与できる樹脂成形体の製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、重厚感のある色味を付与できる表示装置を提供することができる。
本発明の樹脂成形体の製造方法の各工程の一実施形態を示す概略図である。 本発明の樹脂成形体の製造に使用する転写シートの一実施形態を示す概略断面図である。 本発明の樹脂成形体の一実施形態を示す概略平面図である。 本発明の表示装置の一実施形態を示す概略断面図である。 凸部群から形成されてなるモスアイ構造の一例を示す拡大図である。
以下、本発明の樹脂成形体の製造方法及び表示装置の実施の形態を説明する。なお、本明細書において、AA~BBとは、AA以上BB以下であることを意味する。
[樹脂成形体の製造方法]
本発明の樹脂成形体の製造方法は、下記(1)~(3)の工程を有するものである。
(1)上下一組のインモールド成形用金型の一方の側に、離型シート上に意匠層を含む転写層を有する転写シートを配置し、前記金型の他方の側に、凸部群から形成されてなるモスアイ構造部Aと相補的な形状を有する賦型シートを配置する工程。
(2)前記金型を締め、前記金型内に射出樹脂を注入し、前記転写シートの転写層側の面と、前記射出樹脂を含む射出樹脂層と、前記賦型シートとを密着させた積層体Aを得る工程。
(3)前記金型を開けた後、前記積層体Aから転写シートの離型シート及び賦型シートを剥離し、一方の面に凸部群から形成されてなるモスアイ構造部Aを有してなる射出樹脂層と、前記射出樹脂層の前記モスアイ構造部Aとは反対側の面に密着してなる転写層とを有してなる、樹脂成形体を得る工程。
図1は、本発明の樹脂成形体100の製造方法の各工程の一実施形態を示す概略図である。なお、図1では、転写シート70及び賦型シート80を搬送可能な方式となっているが、枚葉式など他の方式であってもよい。以下、各工程の実施の形態を説明する。
<工程(1)>
工程(1)は、上下一組のインモールド成形用金型の一方の側に、離型シート上に意匠層を含む転写層を有する転写シートを配置し、前記金型の他方の側に、凸部群から形成されてなるモスアイ構造部Aと相補的な形状を有する賦型シートを配置する工程である(図1(a))。
なお、工程(1)では、転写シートは転写層側の面が金型の内側(射出樹脂と接する側)を向くようにし、賦型シートはモスアイ構造を有する側の面が金型の内側(射出樹脂と接する側)を向くように配置する。
図1(a)では、上側の金型601側に転写シート70が配置され、下側の金型602側に賦型シート80が配置されている。なお、図1において、ロール401及び501は送り出しロール、ロール402及び502は巻き取りロールである。
<<転写シート>>
工程(1)で用いられる転写シートは、離型シート上に意匠層を含む転写層を有するものである。
図2は、転写シート70の実施の形態を示す断面図である。図2の転写シート70は、離型シート30上に、意匠層11を含む転写層10を有している。なお、図2の転写シート70の転写層10は、意匠層11の他に、アンカーコート層12及び接着剤層13を有している。
〔離型シート〕
転写シートを構成する離型シートは、射出樹脂層に転写層を転写した後に剥離可能なものであれば特に限定されず、支持体の単層構造、あるいは、支持体上に離型層を有する多層構造が挙げられる。
離型シートを構成する支持体としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体などのビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチルなどのアクリル系樹脂、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、ナイロン6又はナイロン66などで代表されるポリアミド系樹脂などの樹脂からなるプラスチックフィルムが挙げられる。
これらのプラスチックフィルムの中では、耐熱性、寸法安定性に優れ、転写時の位置合わせの適性に優れる2軸延伸ポリエステルフィルムが好適である。
支持体の厚みは、成形性、形状追従性、取り扱いの観点から、12~150μmであることが好ましく、25~100μmであることがより好ましい。
離型シートを構成する離型層は主として樹脂から構成することが好ましい。
離型層の樹脂は、所定の被膜強度を有し、転写層との接着力が低い材料であれば特に限定されず、汎用の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂組成物の硬化物、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物等が挙げられる。具体的には、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、セルロース系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル系共重合体樹脂、硝化綿等が挙げられる。
これらの中でも、熱硬化性樹脂組成物の硬化物が好ましく、アクリルポリオール及びイソシアネートを含む熱硬化性樹脂組成物がより好ましい。
離型層は、離型性を向上させるために離型剤をさらに含んでもよい。離型剤としては、合成ワックスや天然ワッス等のワックス類が挙げられる。合成ワックスとしては、ポリエチレンワックスやポリプピレンワックス等のポリオレフィンワックスが好ましい。
離型層の厚みは、0.10~6.50μmであることが好ましく、0.50~6.00μmであることがより好ましく、0.70~5.50μmであることがさらに好ましい。
〔転写層〕
転写シートを構成する転写層は少なくとも意匠層を有するものであり、例えば、下記(Y1)~(Y6)の構成が挙げられる。なお、下記(Y1)~(Y6)において、「/」は層の界面を示し、左側に近いほど離型シートに近いことを意味する。
(Y1)意匠層の単層
(Y2)意匠層/接着剤層
(Y3)意匠層/アンカーコート層/接着剤層
(Y4)保護層/意匠層
(Y5)保護層/意匠層/接着剤層
(Y6)保護層/意匠層/アンカーコート層/接着剤層
〔〔意匠層〕〕
意匠層は、樹脂成形体に色味等の意匠性を付与する役割を有する層である。本発明で得られる樹脂成形体は、意匠層を含む転写層に対して、モスアイ構造部Aを有する射出樹脂層が密着してなることから、射出樹脂層側から視認した際に意匠層の色味(≒樹脂成形体の色味)に重厚感を付与することができる。
意匠層は、図2に示すように、光透過性を有する第1領域A1と、光不透過性の第2領域A2とを有することが好ましい。また、第2領域は少なくとも一部が暗色部であることが好ましい。
図3は、樹脂成形体100の一実施形態を示す平面図である。図3の樹脂成形体は、文字及び目盛りが表示されている。文字及び目盛りに対応する箇所の意匠層は、光透過性を有する第1領域A1となっている。また、図3において、網掛けの箇所の意匠層は光不透過性であり、光不透過性の第2領域A2となっている。
なお、図3の樹脂成形体100を表示装置の部材として用いる際には、該樹脂成形体の中心部に時速を示す指針を付加して用いることが好ましい。
第1領域A1は、例えば、表示素子から発光される光を透過して、文字、数字、目盛り及び記号等の情報を視認させる役割を有する。一方、第2領域A2は、例えば、前述のように第1領域A1で表示される文字等の情報の背景となる役割を有する。なお、樹脂成形体の重厚感のある色味は主として第2領域A2に付与される。
このように、第1領域A1は文字等の情報を視認させる役割を有する一方で、第2領域A2は文字等の情報の背景となる役割を有する。このため、第1領域A1と第2領域A2との配置は、前述した役割を満たす限り特に限定されない。なお、第1領域A1と第2領域A2とのコントラストにより第2領域A2の重厚感を感じさせやすくする観点からは、意匠層は、面内に独立した第1領域A1を複数有し、第2領域A2が個々の第1領域A1を囲うように形成されてなることが好ましい。
第1領域A1の面積(S1)と、第2領域A2の面積(S2)との比は、表示する情報及び付与する意匠との関係で変化するため特に限定されないが、第1領域A1により情報を表示しつつ、第1領域A1と第2領域A2とのコントラストにより第2領域A2の重厚感を感じさせやすくする観点から、S1/S2が0.01~1.0であることが好ましく、0.02~0.8であることがより好ましく、0.05~0.5であることがさらに好ましい。
意匠層の第1領域A1は光透過性を有する。意匠層の第1領域A1の構成は、第1領域A1を有する領域の樹脂成形体の全光線透過率が後述の範囲となるように調製すればよい。したがって、樹脂成形体の第1領域A1を有する領域が所定の光透過性を有する限り、意匠層の第1領域A1には層が存在しなくてもよい。
第1領域A1に層が存在する場合、意匠層の第1領域A1は樹脂成分を含むことが好ましく、さらに、必要に応じて、光拡散剤及び/又は着色剤を含むことが好ましい。
第1領域A1の樹脂成分としては、ポリビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂及びセルロース系樹脂等の汎用の樹脂が挙げられる。
第1領域A1の光拡散剤としては、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリル-スチレン共重合体、メラミン樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ベンゾグアナミン-メラミン-ホルムアルデヒド縮合物、シリコーン、フッ素系樹脂及びポリエステル系樹脂等からなる有機粒子、シリカ、アルミナ、アンチモン、ジルコニア及びチタニア等からなる無機粒子が挙げられる。
第1領域A1の意匠層に光拡散剤を含むことにより、表示素子に表示される情報の視野角を広げることができ、また、光の強度を和らげ情報を見やすくできる。光拡散剤の含有量は特に限定されず、樹脂成分100質量部に対して1~50質量部程度であることが好ましい。
第1領域A1の着色剤としては、第2領域と区別できるものであればよく、白、黄、赤及び青等の明色を表示し得る顔料及び染料等を用いることが好ましい。着色剤の含有量は特に限定されず、樹脂成分100質量部に対して1~50質量部程度であることが好ましい。
意匠層の第2領域A2は光不透過性である。具体的には、意匠層の第2領域A2に対応する箇所において、樹脂成形体の全光線透過率を後述の範囲とし得る程度の光不透過性であることが好ましい。
意匠層の第2領域A2は少なくとも一部に暗色部を有することが好ましい。暗色部を有することにより、暗色部に対応する領域の重厚感が増し、樹脂成形体の意匠性を良好にしやすくできる。
暗色部は、第2領域A2の全面積の50%以上に形成されていることが好ましく、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上、よりさらに好ましくは99%以上である。
暗色とは、黒色、濃灰色及び茶色の低明度、低彩色の暗い感じのする色を意味する。具体的には、樹脂成形体の転写層側から測定したL値、a値及びb値が後述の範囲であることが好ましい。暗色部は黒色であることが好ましい。
第2領域A2の暗色部は、樹脂成分及び顔料を含むことが好ましい。
暗色部の樹脂成分としては、ポリビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂及びセルロース系樹脂等の汎用の樹脂が挙げられる。
暗色部の顔料としては、カーボンブラック等の暗色顔料、赤系顔料、青系顔料及び黄系顔料を混合して暗色化した混合顔料が挙げられる。該顔料の含有量は、樹脂成分100質量部に対して1~100質量部程度であることが好ましい。
暗色部の厚みは、暗さと薄膜化のバランスの観点から、1~40μmであることが好ましく、2~30μmであることがより好ましい。なお、暗色部は、所定の光学特性を得るために多層構造としてもよい。
暗色部は、JIS Z8781-4:2013に準拠して測定されるCIE(国際照明委員会)L表色系のL値、a値及びb値が下記の範囲であることが好ましい。
値は12以下であることが好ましく、8以下であることがより好ましい。また、a値の絶対値は8以下であることが好ましく、6以下であることがより好ましい。また、b値の絶対値は14以下であることが好ましく、7以下であることがより好ましい。
意匠層は、例えば、(ア)意匠層の第1領域A1を構成する成分を含む塗布液を離型シート上に塗布、乾燥する工程、及び、(イ)意匠層の第2領域A2を構成する成分を含む塗布液を離型シート上に塗布、乾燥する工程、により形成することができる。なお、意匠層の第1領域A1に層が存在しない場合には、工程(ア)は省略できる。
〔〔接着剤層〕〕
接着剤層は、射出樹脂層と転写層との接着性を良好にして、転写作業を良好にするために、必要に応じて、転写層の離型シートから最も遠い側に配置される。
接着剤層は、射出樹脂層との接着性に優れた樹脂を使用することが好ましい。例えば、射出樹脂層の材質がアクリル系樹脂の場合は、アクリル系樹脂を用いることが好ましい。また、射出樹脂層の材質がポリフェニレンオキサイド・ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、スチレン系樹脂の場合は、これらの樹脂と親和性のあるアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂などを使用することが好ましい。さらに、射出樹脂層の材質がポリプロピレン樹脂の場合は、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩素化エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、環化ゴム、クマロンインデン樹脂を使用することが好ましい。
接着剤層には、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤等の添加剤を配合してもよい。
接着剤層の厚みは、0.1~10μmであることが好ましく、0.5~5μmであることがより好ましい。
〔〔アンカーコート層〕〕
アンカーコート層は、インモールド成形時の高温環境への耐熱性を向上させるために必要に応じて設けられる層である。アンカーコート層は、意匠層と接着剤層との間に形成することが好ましい。
アンカーコート層は、硬化性樹脂組成物の硬化物を含むことが好ましい。
硬化性樹脂組成物としては、熱硬化性樹脂組成物、電離放射線硬化性樹脂組成物が挙げられる。
アンカーコート層の熱硬化性樹脂組成物、電離放射線硬化性樹脂組成物の実施の形態は、後述の保護層の熱硬化性樹脂組成物、電離放射線硬化性樹脂組成物の実施の形態と同様である。
アンカーコート層の厚みは、0.1~6μmであることが好ましく、0.5~5μmであることがより好ましい。
〔〔保護層〕〕
保護層は、転写後の意匠層を保護するために必要に応じて設けられる層である。保護層は、転写層の厚み方向において意匠層よりも離型シート側に配置される。
保護層は硬化性樹脂組成物の硬化物を主成分として含むことが好ましい。主成分とは、保護層を構成する全固形分の50質量%以上を意味し、該割合は70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがよりさらに好ましい。
硬化性樹脂組成物の硬化物は、熱硬化性樹脂組成物の硬化物、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物が挙げられ、これらの中でも電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物が好ましい。
また、保護層は熱可塑性樹脂を含有してもよいが、耐擦傷性を向上する観点から、その量は微量であることが好ましい。具体的には、保護層中の熱可塑性樹脂の含有量は5質量%未満であることが好ましく、1質量%未満であることがより好ましく、0.1質量%未満であることがさらに好ましく、0質量%であることがよりさらに好ましい。
以下、硬化性樹脂組成物の硬化物及び熱可塑性樹脂のことを「樹脂成分」と称する場合がある。
熱硬化性樹脂組成物は、少なくとも熱硬化性樹脂を含む組成物であり、加熱により、硬化する樹脂組成物である。熱硬化性樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂組成物には、これら硬化性樹脂に、必要に応じて硬化剤が添加される。
電離放射線硬化性樹脂組成物は、電離放射線硬化性官能基を有する化合物(以下、「電離放射線硬化性化合物」ともいう)を含む組成物である。電離放射線硬化性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合基、及びエポキシ基、オキセタニル基等が挙げられる。
電離放射線硬化性樹脂としては、エチレン性不飽和結合基を有する化合物が好ましい。また、転写シートを製造する過程で保護層が傷つくことを抑制する観点からは、電離放射線硬化性樹脂としては、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する化合物がより好ましく、中でも、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する、多官能性(メタ)アクリレート系化合物が更に好ましい。多官能性(メタ)アクリレート系化合物としては、モノマー及びオリゴマーのいずれも用いることができる。
なお、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も使用可能である。
多官能性(メタ)アクリレート系化合物のうち、2官能(メタ)アクリレート系モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAテトラエトキシジアクリレート、ビスフェノールAテトラプロポキシジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート等が挙げられる。
3官能以上の(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性トリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、上記(メタ)アクリレート系モノマーは、分子骨格の一部を変性しているものでもよく、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、カプロラクトン、イソシアヌル酸、アルキル、環状アルキル、芳香族、ビスフェノール等による変性がなされたものも使用することができる。
また、多官能性(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート等のアクリレート系重合体等が挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、多価アルコール及び有機ジイソシアネートとヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応によって得られる。
また、好ましいエポキシ(メタ)アクリレートは、3官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と多塩基酸と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、及び2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等とフェノール類と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレートである。
上記電離放射線硬化性樹脂は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
電離放射線硬化性樹脂が紫外線硬化性樹脂である場合には、保護層形成用塗布液は、光重合開始剤や光重合促進剤等の添加剤を含むことが好ましい。
光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、α-ヒドロキシアルキルフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α-アシルオキシムエステル、チオキサンソン類等から選ばれる1種以上が挙げられる。
また、光重合促進剤は、硬化時の空気による重合阻害を軽減させ硬化速度を速めることができるものであり、例えば、p-ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p-ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等から選ばれる1種以上が挙げられる。
なお、硬化性樹脂組成物は、保護層を形成する時点では半硬化の状態にしておき、射出樹脂層に転写した後に、加熱、電離放射線の照射等により硬化性樹脂組成物の硬化を進行させ、完全硬化させてもよい。このようにすることにより、射出樹脂層に対する保護層の追従性が良好となるため、成形性を良好にすることができる。
保護層の厚みは、表面硬度及び成形性のバランスの観点から、0.5~30μmであることが好ましく、1~20μmであることがより好ましく、3~10μmであることがさらに好ましい。
<<賦型シート>>
工程(1)で用いられる賦型シートは、射出樹脂層の表面にモスアイ構造を形成する賦型材としての役割を有する。
賦型シートは、凸部群から形成されてなるモスアイ構造と相補的な形状を一方の面に備えたものを用いることができる。該相補的な形状は、賦型シートの一方の面の一部に形成されていてもよいが、賦型シートの一方の面の略全部に形成されていることが好ましい。
賦型シートは、例えば、凸部群から形成されてなるモスアイ構造を有するモスアイ原版を準備し、該原版に硬化性樹脂を含む組成物を流し込んで塗膜を形成し、硬化性樹脂を硬化させた後に該塗膜を剥離することにより得ることができる。硬化性樹脂を含む組成物は、賦型シートの離型性を向上するために、離型剤を含有していてもよい。
また、モスアイ原版に硬化性樹脂を流し込んだ後に、硬化性樹脂からなる塗膜上に基材を貼り合わせ、該基材とともに塗膜を剥離し、基材上に賦型された硬化膜を有する賦型シートを得ることもできる。
賦型シートの厚みは、強度及び取り扱い性のバランスの観点から、12~250μmであることが好ましく、25~200μmであることがより好ましく、38~125μmであることがさらに好ましい。
賦型シートにより賦型されるモスアイ構造の具体例は後述する。
<工程(2)>
工程(2)は、前記金型を締め、前記金型内に射出樹脂を注入し、前記転写シートの転写層側の面と、前記射出樹脂を含む射出樹脂層と、前記賦型シートとを密着させた積層体Aを得る工程である(図1(b))。
射出樹脂としては熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。このような熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂(耐熱ABS樹脂を含む)、AS樹脂、AN樹脂、ポリフェニレンオキサイド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリブチレンテフタレート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、およびポリフェニレンサルファイド系樹脂等が挙げられる。これらの中でも耐衝撃性が良好なポリカーボネート系樹脂が好ましい。
なお、射出する組成物は、射出樹脂に加えて、紫外線吸収剤及び酸化防止剤等の添加剤を含んでいてもよい。
射出樹脂層の厚みは特に限定されず、用途に応じて適宜決めれば良い。樹脂成形体を表示素子の前面板として用いる場合には、強度と薄膜化のバランスの観点から、1.0~5.0mmであることが好ましく、1.5~2.5mmであることがより好ましい。
工程(2)において、金型内に射出樹脂を注入した後に金型にプレス圧をかけることが好ましい。プレス圧をかけることにより、賦型シートの形状を射出樹脂層に反映させやすくすることができる。
<工程(3)>
工程(3)は、前記金型を開けた後、前記積層体Aから転写シートの離型シート及び賦型シートを剥離し、一方の面に凸部群から形成されてなるモスアイ構造部Aを有してなる射出樹脂層と、前記射出樹脂層の前記モスアイ構造部Aとは反対側の面に密着してなる転写層とを有してなる、樹脂成形体を得る工程である(図1(c))。
工程(3)において、離型シートの剥離と、賦型シートの剥離とは、同時に行ってもよいし、別のタイミングで行ってもよい。離型シートの剥離と、賦型シートの剥離とを別のタイミングで行う場合、どちらを先に行っても良い。
また、工程(3)において、離型シートを剥離する作業、及び/又は、賦型シートを剥離する作業は、金型を開けた後であって、積層体Aを所望のサイズに断裁した後に行ってもよい。
上記のように、積層体Aを所望のサイズに断裁した後に、離型シート又は賦型シートを剥離することにより、離型シート又は賦型シートを樹脂成形体の保護シートとして機能させることができ、樹脂成形体の傷つきを抑制し得る点で有用である。特に、モスアイ構造部は傷つきやすいため、断裁後に賦型シートを剥離することは有用である。
上述した本発明の樹脂成形体の製造方法によれば、モスアイ構造部Aの賦型と、意匠層の形成とを同時に行うことができるため、工程数を削減して製造効率を良好にすることができ、さらには、印刷工程の際にモスアイ構造部Aが破損することを抑制でき、歩留まりを良好にすることができる。
また、上述した本発明の樹脂成形体の製造方法により得られた樹脂成形体は、意匠層を含む転写層にモスアイ構造部Aを有する射出樹脂層が密着してなることから、射出樹脂層側から視認した際に意匠層の色味(≒樹脂成形体の色味)に重厚感を付与することができる。
[表示装置]
本発明の表示装置は、表示素子と、前記表示素子の光出射面上に配置されてなる表示板と、前記表示板の光出射面上に空気層を介して配置されてなる透明板とを有してなり、前記表示板は、一方の面に凸部群から形成されてなるモスアイ構造部Aを有してなる射出樹脂層と、前記射出樹脂層の前記モスアイ構造部Aとは反対側の面に密着してなる意匠層を含む転写層とを有してなる樹脂成形体であり、前記樹脂成形体は、前記射出樹脂層のモスアイ構造部Aが光出射面側となるように配置されてなり、前記透明板は、光入射面側に凸部群から形成されてなるモスアイ構造部Bを有してなるものである。
図4は、本発明の表示装置1000の実施の形態を示す断面図である。
図4の表示装置1000は、表示素子310と、表示素子の光出射面上に配置されてなる表示板100と、表示板の光出射面上に空気層320を介して配置されてなる透明板200とを有している。また、図4において、表示板(樹脂成形体)100は、一方の面に凸部群から形成されてなるモスアイ構造部A(21)を有してなる射出樹脂層20と、射出樹脂層のモスアイ構造部Aとは反対側の面に密着してなる意匠層11を含む転写層10とを有している。また、図4において、樹脂成形体100は、射出樹脂層20のモスアイ構造部A(21)が光出射面側となるように配置されている。また、図4において、透明板200は、光入射面側に凸部群から形成されてなるモスアイ構造部B(202)を有している。
<表示素子>
表示素子は光を出射できるものであれば使用することができ、LED光源等の単なる光源でもよいが、任意の箇所を選択的に発光できたり、任意の箇所の発光色を可変できたりするものが好ましい。このため、表示素子は、液晶表示素子、EL(無機EL、有機EL)表示素子及びプラズマ表示素子等のディスプレイ用の表示素子であることが好ましい。また、表示素子は、液晶プロジェクター等のプロジェクターであることも好ましい。
なお、表示装置の表示素子が液晶表示素子である場合、液晶表示素子の樹脂成形体とは反対側の面にはバックライトが必要である。
<表示板(樹脂成形体)>
本発明の表示装置を構成する表示板は、一方の面に凸部群から形成されてなるモスアイ構造部Aを有してなる射出樹脂層と、前記射出樹脂層の前記モスアイ構造部Aとは反対側の面に密着してなる意匠層を含む転写層とを有してなる樹脂成形体である。また、前記樹脂成形体は、前記射出樹脂層のモスアイ構造部Aが光出射面側となるように配置されてなるものである。
<<射出樹脂層>>
射出樹脂層は上述したように熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。また、射出樹脂層は、射出樹脂に加えて、紫外線吸収剤及び酸化防止剤等の添加剤を含んでいてもよい。
射出樹脂層の一方の面には、凸部群から形成されてなるモスアイ構造部Aを有する。本発明の表示装置は、射出樹脂層の意匠層よりも光出射面側(視認者側)にモスアイ構造部Aを有し、かつ、後述する透明板の光入射面側にモスアイ構造部Bを有することにより、意匠層の色味を重厚感のあるものとすることができる。
なお、モスアイ構造部A又はモスアイ構造部Bに代替して多層の反射防止膜を形成する手段が考えられる。しかし、多層の反射防止膜は特定の角度(原則は正面)から視認することを前提として設計されるものであるため、該角度から離れて視認した際には反射防止性が低下するとともに、反射光に色味が生じる。このため、多層の反射防止膜では、意匠層の色味を重厚感のあるものとすることができない。
モスアイ構造部Aを形成する凸部群は、個々の凸部が可視光領域の波長以下の周期で配列されることを特徴とする。
また、個々の凸部は、底部から頂部に向かうに従って、水平断面の断面積が徐々に小さくなる形状を有し、いわゆるテーパー形状を有するものである。凸部の底部の形状は特に限定されず、円形、多角形、不定形等のいずれであってもよい。また、凸部の頂部の形状は特に限定されず、平坦、鋭角、曲面等のいずれであってもよいが、賦型性の観点から曲面が好ましい。
凸部の周期、高さ及び間隔は、後述する範囲が好ましい。なお、周期、高さ及び間隔は、図5のP、H及びGで示される距離を意味する。
凸部の周期Pは、780nm以下であれば特に限定されるものではなく、要求される反射防止機能に応じて適宜決定することができる。
凸部の周期は、反射率の波長依存性に影響を及ぼし、周期が長くなるほど可視光領域の短波長側の光に対する反射率が増加する傾向にある。一方、周期が200nm以下においては、周期の変動に伴う反射率の波長依存性の変化は少なくなる。また、凸型の周期が短すぎると凸部群を形成しにくくなる。
したがって、凸部の周期は、50~400nmであることが好ましく、100~360nmであることがより好ましい。
なお、モスアイ構造を斜めから視認した際には、モスアイ構造に由来する構造色が生じやすい。該モスアイ構造は、凸部の周期を短くすると抑制しやすくなる。このため、構造色を抑制し、重厚感を高める観点から、凸部の周期は200nm以下であることが好ましい。
凸部の周期、高さ及び間隔は、走査型電子顕微鏡(SEM)及び原子間力顕微鏡(AFM)等を用いて、凸部の縦断面を観察して20個分の周期、高さ及び間隔を測定し、その測定値の平均値とする。
凸部の高さHは、本発明の効果を阻害しない範囲で適宜調整することができ、特に限定されない。高さが高いほど反射率を低くすることができ、一方、高さが低くなると長波長側の反射率が増加する傾向にある。また、高さが高すぎると凸部が破損しやすくなる。
したがって、凸部の高さは、60~2000nmであることが好ましく、100~800nmであることがより好ましい。
凸部の間隔Gは、広くなるほど可視光の全波長領域において反射率が増加する傾向にあり、狭くなるほど可視光の全波長領域において反射率が低下する傾向にある。凸部の間隔は、本発明の効果を阻害しない範囲で適宜調整することができ、例えば、0~100nmであることが好ましく、5~50nmであることがより好ましい。
凸部の高さHと周期Pとの比(H/P)は、0.3~2.5であることが好ましく、0.5~2.3であることがより好ましい。該比を0.3以上とすることにより、反射率を低くしやすくでき、該比を2.5以下とすることにより、モスアイ構造を賦型しやすくできる。
凸部の周期、高さ及び間隔は、均一であってもよいし、不均一でもよい。
なお、上述した構造色は、凸部群を構成する凸部をランダムに配置することにより抑制しやすくできる。すなわち、斜めから視認した際の重厚感を良好にしやすくする観点から、凸部の周期及び間隔を不均一とすることが好ましい。この場合、凸部の高さは略均一であることが好ましい。
射出樹脂層の全体の厚みは、強度と薄膜化のバランスの観点から、1.0~5.0mmであることが好ましく、1.5~2.5mmであることがより好ましい。
<<転写層>>
樹脂成形体を構成する転写層は、少なくとも意匠層を含むものである。また、転写層は、射出樹脂層のモスアイ構造部Aとは反対側の面に密着されてなるものである。
また、転写層に含まれる意匠層は、光透過性を有する第1領域と、光不透過性の第2領域とを有することが好ましい。また、意匠層の第2領域A2は少なくとも一部が暗色部であることが好ましい。
転写層の実施の形態は、本発明の樹脂成形体の製造方法において述べた通りである。
表示板(樹脂成形体)には、必要に応じて情報を示す指針を付加することが好ましい。例えば、図3の平面視の表示板(樹脂成形体)の場合、中央部に速度を示す指針を付加することが好ましい。
<<光学特性>>
樹脂成形体は、意匠層の第1領域A1に対応する箇所の全光線透過率が50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。第1領域A1の全光線透過率を前記範囲とすることにより、例えば、樹脂成形体を表示素子の前面板として用いる場合に、第1領域を通して表示素子の視認性を良好にすることができる。
また、樹脂成形体は、意匠層の第1領域A1に対応する箇所のヘイズが1~50%であることが好ましく、2~30%であることがより好ましい。
また、樹脂成形体は、暗色部(意匠層の第2領域の暗色部)に対応する箇所の全光線透過率が1%以下であることが好ましく、0.1%以下であることがより好ましく、0.01%以下であることがさらに好ましく、0.001%以下であることがよりさらに好ましい。
本明細書において、「全光線透過率」はJIS K7361-1:1997に準拠して測定したものを意味し、「ヘイズ」はJISK7136:2000に準拠して測定したものを意味する。また、本明細書において、全光線透過率及びヘイズは、20箇所の測定値の平均値を意味する。また、全光線透過率及びヘイズの測定光の入射面は、表示装置における光入射面側とする。
<<厚み>>
樹脂成形体の厚みは1.0mm以上であることが好ましい。樹脂成形体の厚みを1.0mm以上とすることにより、樹脂成形体の強度を良好にしやすくできる。
樹脂成形体の厚みは、強度と薄膜化とのバランスの観点から、1.0~5.0mmであることが好ましく、1.5~2.5mmであることがより好ましい。
<空気層>
本発明の表示装置は、表示板(樹脂成形体)と、透明板とを空気層を介して配置する。言い換えると、本発明の表示装置は、表示板(樹脂成形体)と透明板とを密着して配置するのではなく、表示板(樹脂成形体)と透明板とを間隔をもって配置する。通常、表示装置が空気層を有すると二重像が発生しやすくなるが、本発明の表示装置は、樹脂成形体及び透明板がモスアイ構造部を有するため、二重像を抑制することができる。
空気層の厚み(表示板と透明板との間隔)の程度は、表示装置のデザインにより異なるため特に限定されないが、通常は1~100mm程度である。
<透明板>
本発明の表示装置を構成する透明板は、光入射面側に凸部群から形成されてなるモスアイ構造部Bを有してなるものである。
上述したように、本発明の表示装置は、射出樹脂層のモスアイ構造部A及び透明板のモスアイ構造部Bにより、意匠層の色味を重厚感のあるものとすることができる。なお、透明板の光出射面側にモスアイ構造部を有する場合、人が指で触れることなどによってモスアイ構造部が容易に破損するため、長期に渡って効果を維持できない。
透明板200は、透明基材201と、モスアイ構造部B(203)を有する賦型層202とを備えたもの(図4)、及び、モスアイ構造部Bを有する賦型層の単層構成のものが挙げられる。これらの中でも、取り扱い性の観点から、透明基材及び賦型層を有するものが好ましい。
単層構造の透明板は、例えば、凸部群から形成されてなるモスアイ構造部Bと相補的な形状を一方の面に備えてなる賦型版を準備し、該版に硬化性樹脂を流し込んで塗膜を形成し、硬化性樹脂を硬化させた後に該塗膜を剥離することにより得ることができる。
また、透明基材を備えた透明板は、該版に硬化性樹脂を流し込んだ後に、硬化性樹脂からなる塗膜上に透明基材を貼り合わせ、該透明基材とともに塗膜を剥離することにより得ることができる。
硬化性樹脂としては、保護層で例示した樹脂と同様のものを用いることができる。
また、透明基材としては、離型シートの支持体として例示したプラスチックフィルムを用いることができる。透明基材としてのプラスチックフィルムは、耐衝撃性の観点からはポリカーボネートフィルムが好ましく、透明性の観点からはアクリルフィルムが好ましい。
凸部群から形成されてなるモスアイ構造部Bの実施の形態は、上述した凸部群から形成されてなるモスアイ構造部Aの実施の形態と同様のものとすることができる。
透明基材の厚みは、強度及び取り扱い性のバランスの観点から、25~250μmであることが好ましく、38~125μmであることがより好ましい。
<<反射防止層>>
透明板の光出射面側には、表面反射を抑制するために反射防止層を有することが好ましい。
反射防止層は、低屈折率層の単層構造、高屈折率層と低屈折率層との2層構造(該2層構造の場合、高屈折率層を被着体側に配置する)が挙げられ、さらに3層以上で反射防止層を形成してもよい。
低屈折率層の屈折率は1.28~1.40であることが好ましく、1.32~1.38であることがより好ましい。
また、低屈折率層の厚みは、80~120nmであることが好ましく、85~110nmであることがより好ましく、90~105nmであることがさらに好ましい。
低屈折率層を形成する手法としては、ウェット法とドライ法とに大別できる。ウェット法としては、金属アルコキシド等を用いてゾルゲル法により形成する手法、フッ素樹脂のような低屈折率の樹脂を塗工して形成する手法、樹脂組成物に低屈折率粒子を含有させた低屈折率層形成用塗布液を塗工して形成する手法が挙げられる。ドライ法としては、後述する低屈折率粒子の中から所望の屈折率を有する粒子を選び、物理気相成長法又は化学気相成長法により形成する手法が挙げられる。
ウェット法は生産効率の点で優れており、ウェット法の中でも、バインダー樹脂組成物に低屈折率粒子を含有させた低屈折率層形成用塗布液により形成することが好ましい。該バインダー樹脂組成物としては、例えば、保護層で例示した硬化性樹脂組成物を用いることができる。
低屈折率粒子は、シリカ及びフッ化マグネシウム等の無機化合物からなる粒子、有機化合物からなる粒子のいずれであっても制限なく用いることができるが、低屈折率化により反射防止特性を向上する観点から、空隙を有する構造の粒子が好ましく用いられる。
空隙を有する構造をもつ粒子は、微細な空隙を内部に有しており、例えば、屈折率1.0の空気などの気体が充填されているので、それ自身の屈折率が低いものとなっている。このような空隙を有する粒子としては、無機系、又は有機系の多孔質粒子、中空粒子などが挙げられ、例えば、多孔質シリカ、中空シリカ粒子、又はアクリル樹脂などが用いられた多孔質ポリマー粒子や中空ポリマー粒子が挙げられる。
低屈折率粒子の一次粒子の平均粒子径は、5~200nmが好ましく、5~100nmがより好ましく、10~80nmがさらに好ましい。
高屈折率層は、屈折率が1.55~1.85であることが好ましく、1.56~1.70であることがより好ましい。
また、高屈折率層の厚みは、200nm以下であることが好ましく、50~180nmであることがより好ましい。
高屈折率層は、例えば、バインダー樹脂組成物及び高屈折率粒子を含む高屈折率層塗布液から形成することができる。該バインダー樹脂組成物としては、例えば、保護層で例示した硬化性樹脂組成物を用いることができる。
高屈折率粒子としては、五酸化アンチモン(1.79)、酸化亜鉛(1.90)、酸化チタン(2.3~2.7)、酸化セリウム(1.95)、スズドープ酸化インジウム(1.95~2.00)、アンチモンドープ酸化スズ(1.75~1.85)、酸化イットリウム(1.87)及び酸化ジルコニウム(2.10)等が挙げられる。
高屈折率粒子の一次粒子の平均粒子径は、5~200nmが好ましく、5~100nmがより好ましく、10~80nmがさらに好ましい。
<<ハードコート層>>
また、透明板の光出射面側には、耐擦傷性のためにハードコート層を有することが好ましい。さらには、表面反射の抑制と耐擦傷性とを両立する観点から、透明板の光出射面側には、ハードコート層及び反射防止層をこの順で有することが好ましい。
透明板の光出射面側に形成するハードコート層の実施の形態は、上述した転写層を構成する保護層の実施の形態と同様のものとすることができる。
<<光学特性>>
透明板の全光線透過率は90%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましく、99%以上であることがさらに好ましい。
また、透明板のヘイズは1%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがより好ましく、0.3%以下であることがさらに好ましい。
<用途>
本発明の表示装置は、例えば、テレビ、デスクトップモニタ、ノートPC及び携帯情報端末に用いることができる他、乗り物用の計器に用いることもできる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。なお、本発明は、実施例に記載の形態に限定されるものではない。
1.測定、評価
実施例及び比較例で得られた樹脂成形体又は表示装置について以下の測定、評価を行った。測定及び評価の雰囲気は、温度は23℃±5℃、湿度40~65%とした。また、対象サンプルを前記雰囲気に30分以上晒してから、測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
1-1.モスアイ構造部Aの欠損
モスアイ構造部Aを賦型した後でスクリーン印刷する前の比較例3の樹脂成形体をリファレンスとした。リファレンスの樹脂成形体、実施例1の樹脂成形体、及び比較例3の樹脂成形体のモスアイ構造部Aを原子間力顕微鏡(AFM)で観察し、リファレンスのモスアイ構造部Aと、実施例1及び比較例1のモスアイ構造部Aとを比較した。その結果、平均ピッチ、平均高さ及び平均間隔がリファレンスのモスアイ構造部Aと略同一であり、リファレンスと略同一のモスアイ構造部であったものを「A」、平均ピッチ、平均高さ及び平均間隔がリファレンスのモスアイ構造部Aと非同一であり、リファレンスに比べてモスアイ構造部に欠損が認められたものを「C」とした。
なお、リファレンスの平均ピッチ、平均高さ及び平均間隔に対する、比較対象物の平均ピッチ、平均高さ及び平均間隔が0.85~1.15のものを略同一とした。
1-2.重厚感(正面方向及び斜め45度方向)
天井に複数の蛍光灯が配置された室内で、実施例及び比較例の表示装置の表示素子を点灯した状態で正面方向から目視で観察した。評価者は、20歳代、30歳代、40歳代、50歳代の4つの年代から、男女5名ずつ合計40名とした。
重厚感があり意匠性に優れると感じるものを3点、どちらとも言えないものを2点、重厚感が不十分で意匠性が劣ると感じるものを1点として、上記40人の評価の平均点を算出し、下記の点数でランク分けした。
また、上記と同様の基準で、表示装置の斜め45度の方向から観察した際の評価を行った。
<評価基準>
A:平均点が2.5以上
B:平均点が2.0以上2.5未満
C:平均点が2.0未満
2.転写シートの作製
2-1.転写シートA
離型シート(表面に離型層が形成されてなる厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム)の一部の領域に、光透過性を有する白色インキを塗布、乾燥して意匠層の第1領域A1を形成した。次いで、離型シート上の残部に光不透過性の黒色インキを塗布、乾燥して意匠層の第2領域A2を形成し、第1領域A1及び第2領域A2からなる意匠層を形成した。意匠層の厚みは、第1領域A1及び第2領域A2ともに2.0μmであった。
次いで、意匠層上に下記処方のアンカーコート層形成用塗布液を乾燥後の付着量が3.0g/mとなるように塗布し、塗膜を形成した後、40℃で72時間乾燥し、硬化させ、厚さ2μmのアンカーコート層を形成した。
次いで、アンカーコート層上に下記処方の接着剤層形成用塗布液を乾燥後の付着量が2.5g/mとなるように塗布し、塗膜を形成した。該塗膜を乾燥し、厚み2μmのヒートシール性を有する接着剤層を形成し、転写シートAを得た。
<アンカーコート層形成用塗布液>
・アクリルポリオール 100質量部
(大日精化社製、商品名:TM-VMAC、固形分25質量%)
(トルエン/酢酸エチル/メチルエチルケトン混合溶剤)
・へキサンメチレンジイソシアネート 10質量部
(大日精化社製、商品名:PTC-RC3)
(固形分75質量%、溶剤:酢酸エチル)
<接着剤層形成用塗布液>
・熱可塑性樹脂 465質量部
(大日精化社製、商品名:TM-R600、固形分20質量%)
・メチルエチルケトン 40質量部
2-2.転写シートB
離型シート(表面に離型層が形成されてなる厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム)上の全面に、下記処方の低屈折率層形成用塗布液を塗布、乾燥した後、紫外線を照射し、厚み100nmの低屈折率層を形成した。
次いで、低屈折率層上の全面に、下記処方の高屈折率層形成用塗布液を塗布、乾燥した後、紫外線を照射し、厚み100nmの高屈折率層を形成した。
次いで、高屈折率層上の全面に、下記処方のハードコート層形成用塗布液を塗布、乾燥した後、紫外線を照射し、厚み5μmのハードコート層を形成した。
次いで、ハードコート層上に上記処方のアンカーコート層形成用塗布液を乾燥後の付着量が3.0g/mとなるように塗布し、塗膜を形成した後、40℃で72時間乾燥し、硬化させ、厚さ2μmのアンカーコート層を形成した。
次いで、アンカーコート層上に上記処方の接着剤層形成用塗布液を乾燥後の付着量が2.5g/mとなるように塗布し、塗膜を形成した。該塗膜を乾燥し、厚み2μmのヒートシール性を有する接着剤層を形成し、転写シートBを得た。
<低屈折率層形成用塗布液>
・光重合開始剤 7質量部
(BASF社製、商品名「Irgacure127」)
・紫外線硬化性樹脂 75質量部
(新中村化学工業社製、商品名「ATM-4P」)
・紫外線硬化性樹脂 25質量部
(日本化薬社製、商品名「PET-30」)
・中空シリカ微粒子分散液 700質量部
(固形分20%、平均一次粒子径60nm)
・反応性シリカ微粒子分散液 83質量部
(日産化学工業社製、商品名「MIBK-SD」 固形分30% 平均一時粒径10nm)
・メチルイソブチルケトン 9300質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 1100質量部
<高屈折率層形成用塗布液>
・プロピレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート 100質量部
(商品名「ATM-4P」、新中村化学工業社製、固形分100%)
・五酸化アンチモン含有分散液 988質量部
(商品名「V-4564」、日揮触媒化成社製、固形分40.5%、平均一次粒子径20nm)
・フッソ系レベリング剤 300質量部
(商品名「メガファックF568」、DIC社製、固形分5%)
・光重合開始剤 8質量部
(商品名「イルガキュア127」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・メチルイソブチルケトン 6800質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 6500質量部
<ハードコート層用塗布液>
・アクリル系ポリマー(商品名「BL-2002」、星光PMC社製、固形分35%、質量平均分子量7万、アクリル当量265) 257質量部
・アクリル系ポリマー(商品名「BL-2184」、星光PMC社製、重量平均分子量:9000、アクリル当量:1000、固形分45%) 22質量部
・反応性シリカ微粒子(商品名「ELCOM V8802」、日揮触媒化成社製、固形分40%、平均一次粒子径10nm) 125質量部
・フッソ系レベリング剤(商品名「メガファックF554」、DIC社製、固形分100%) 0.3質量部
・光重合開始剤(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 4質量部
・メチルエチルケトン 360質量部
3.賦型シートの作製
モスアイ構造が賦型されてなる、市販のモスアイ原版を準備した。該モスアイ原版に光重合開始剤を含む無溶剤の紫外線硬化性樹脂組成物(DNPファインケミカル製、商品名:FS15)を流し込み、該組成物からなる塗膜上に基材(厚み50μmのPETフィルム)を貼り合わせ、紫外線を照射して該塗膜を硬化した後に、該基材及び該塗膜を剥離して、塗膜厚み5.0μmの賦型シートを得た。
4.樹脂成形体の作製
[実施例1]
上下一組のインモールド成形用金型の一方の側に、上記「2-1」で作製した転写シートAを配置し、該金型の他方の側に、上記「3」で作製した賦型シートを配置した。なお、転写シートAは転写層側の面が金型の内側(射出樹脂と接する側)を向くようにし、賦型シートは賦型面が金型の内側(射出樹脂と接する側)を向くように配置した。
次いで、金型を締め、金型内に射出樹脂(ポリカーボネート樹脂)を注入し、転写シートAの転写層側の面と、射出樹脂を含む射出樹脂層(厚み2.0mm)と、賦型シートとを一体化させた積層体Aを得た。
次いで、金型を開けた後、積層体Aから転写シートAの離型シート及び賦型シートを剥し、実施例1の樹脂成形体を得た。実施例1の樹脂成形体は、一方の面に凸部群から形成されてなるモスアイ構造部Aを有してなる射出樹脂層と、該射出樹脂層のモスアイ構造部Aとは反対側の面に密着してなる転写層とを有するものである。なお、モスアイ構造部Aの凸部の平均ピッチは200nm、平均高さは300nm、平均間隔は50nmであった。
実施例1の樹脂成形体の第2領域A2の全光線透過率は0.0001%であった。また、実施例1の樹脂成形体の第2領域A2のL値は8以下、a値の絶対値は6以下、b値の絶対値は7以下であった。全光線透過率及びL値等を測定する際の光入射面は転写層側とした。
[比較例1]
上下一組のインモールド成形用金型の一方の側に、上記「2-1」で作製した転写シートAを配置し、該金型の他方の側には何も配置しなかった。なお、転写シートAは転写層側の面が金型の内側(射出樹脂と接する側)を向くようにし配置した。
次いで、金型を締め、金型内に射出樹脂(ポリカーボネート樹脂)を注入し、転写シートAの転写層側の面と、射出樹脂からなる射出樹脂層(厚み2.0mm)とを一体化させた積層体Bを得た。
次いで、金型を開けた後、積層体Bから転写シートAの離型シートを剥離し、比較例1の樹脂成形体を得た。比較例1の樹脂成形体は、射出樹脂層の一方の面に密着してなる転写層を有するものである。
[比較例2]
上下一組のインモールド成形用金型の一方の側に、上記「2-1」で作製した転写シートAを配置し、該金型の他方の側に、上記「2-2」で作製した転写シートBを配置した。なお、転写シートA及び転写シートBは転写層側の面が金型の内側(射出樹脂と接する側)を向くように配置した。
次いで、金型を締め、金型内に射出樹脂(ポリカーボネート樹脂)を注入し、転写シートAの転写層側の面と、射出樹脂を含む射出樹脂層(厚み2.0mm)と、転写シートBの転写層側の面とを一体化させた積層体Cを得た。
次いで、金型を開けた後、積層体Cから転写シートAの離型シート及び転写シートBの離型シートを剥離し、比較例2の樹脂成形体を得た。比較例1の樹脂成形体は、射出樹脂層の一方の面に意匠層を含む転写層を有し、射出樹脂層の他方の面に反射防止層(高屈折率層及び反射防止層の2層構成の反射防止層)を含む転写層を有するものである。
[比較例3]
上下一組のインモールド成形用金型の一方の側に、上記「3」で作製した賦型シートを配置し、該金型の他方の側には何も配置しなかった。なお、賦型シートは賦型面が金型の内側(射出樹脂と接する側)を向くように配置した。
次いで、金型を締め、金型内に射出樹脂(ポリカーボネート樹脂)を注入し、賦型シートと、射出樹脂からなる射出樹脂層(厚み2.0mm)とを一体化させた積層体Dを得た。
次いで、金型を開けた後、積層体Dから賦型シートを剥離し、積層体Eを得た。積層体Eは、一方の面に凸部群から形成されてなるモスアイ構造部Aを有してなる射出樹脂層を有するものである。なお、モスアイ構造部Aの凸部の平均ピッチは200nm、平均高さは300nm、平均間隔は50nmであった。
次いで、積層体Eのモスアイ構造部Aを有する面とは反対側の面の一部の領域に、スクリーン印刷法により光透過性を有する白色インキを塗布、乾燥して意匠層の第1領域A1を形成した。次いで、該反対側の面の残領域に、スクリーン印刷法により光不透過性の黒色インキを塗布、乾燥して意匠層の第2領域A2を形成し、第1領域A1及び第2領域A2からなる意匠層を形成し、比較例3の樹脂成形体を得た。意匠層の厚みは、第1領域A1及び第2領域A2ともに2.0μmであった。
5.透明板の作製
上記「3」で作製した賦型シートの賦型面側に光重合開始剤を含む無溶剤の紫外線硬化性樹脂組成物(DNPファインケミカル製、商品名:FS15)を流し込み、該組成物からなる塗膜上に透明基材(厚み50μmのアクリルフィルム)を貼り合わせ、紫外線を照射して該塗膜を硬化した後に、該透明基材及び該塗膜を剥離し、凸部群から形成されてなるモスアイ構造部Bを有してなる塗膜を透明基材上に有してなる透明板を得た。モスアイ構造部Bの凸部の平均ピッチは200nm、平均高さは300nm、平均間隔は50nmであった。
6.表示装置の作製
[実施例1]
表示素子として、白色光ライトテーブル(富士フィルム社製の商品名「LEDビュワープロ 4×5」、外形寸法:186×111×13mm、光源:白色LED)を準備した。該表示素子上に実施例1の樹脂成形体を載置し、該樹脂成形体上に空気層(間隔10mm)を介して上記「5」で作製した透明板を配置し、実施例1の表示装置を得た。なお、樹脂成形体はモスアイ構造部Aが光出射面側となるようにして配置し、透明板はモスアイ構造部Bが光入射面側となるようにして配置した。
[比較例1~3]
実施例1の樹脂成形体を比較例1~3の樹脂成形体に変更した以外は、実施例1の表示装置と同様にして、比較例1~3の表示装置を得た。
なお、比較例1の樹脂成形体は、転写層側の面が光出射面側となるようにして配置した。また、比較例2の樹脂成形体は、転写シートBの転写層(反射防止層を含む転写層)側の面が光出射面側となるようにして配置した。また、比較例3の樹脂成形体は、モスアイ構造部Aが光出射面側となるようにして配置した。
Figure 0007187990000001
表1の結果から、実施例1によれば、製造効率及び歩留まりに優れ、かつ、重厚感のある色味を付与できる樹脂成形体を製造できることが確認できる。
10:転写層
11:意匠層
12:アンカーコート層
13:接着剤層
20:射出樹脂層
21:モスアイ構造部A
30:離型シート
70:転写シート
80:賦型シート
100:樹脂成形体(表示板)
200:透明板
201:基材
202:賦型層
203:モスアイ構造部B
310:表示素子
320:空気層
401、501:送り出しロール
402、502:巻き取りロール
601、602:金型
1000:表示装置

Claims (4)

  1. 下記(1)~(3)の工程を有する、樹脂成形体の製造方法。
    (1)上下一組のインモールド成形用金型の一方の側に、離型シート上に意匠層を含む転写層を有する転写シートを配置し、前記金型の他方の側に、凸部群から形成されてなるモスアイ構造部Aと相補的な形状を有する賦型シートを配置する工程。
    (2)前記金型を締め、前記金型内に射出樹脂を注入し、前記転写シートの転写層側の面と、前記射出樹脂を含む射出樹脂層と、前記賦型シートとを密着させた積層体Aを得る工程。
    (3)前記金型を開けた後、前記積層体Aから転写シートの離型シート及び賦型シートを剥離し、一方の面に凸部群から形成されてなるモスアイ構造部Aを有してなる射出樹脂層と、前記射出樹脂層の前記モスアイ構造部Aとは反対側の面に密着してなる転写層とを有してなる、樹脂成形体を得る工程。
  2. 前記意匠層が、光透過性を有する第1領域と、光不透過性の第2領域とを有する、請求項1に記載の樹脂成形体の製造方法。
  3. 前記意匠層の前記第2領域の少なくとも一部が暗色部である、請求項2に記載の樹脂成形体の製造方法。
  4. 前記第1領域の面積(S1)と前記第2領域の面積(S2)との比であるS1/S2が、0.01~1.0である、請求項2又は3に記載の樹脂成形体の製造方法。
JP2018206781A 2018-11-01 2018-11-01 樹脂成形体の製造方法 Active JP7187990B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018206781A JP7187990B2 (ja) 2018-11-01 2018-11-01 樹脂成形体の製造方法
JP2022133245A JP2022180365A (ja) 2018-11-01 2022-08-24 表示装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018206781A JP7187990B2 (ja) 2018-11-01 2018-11-01 樹脂成形体の製造方法

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022133245A Division JP2022180365A (ja) 2018-11-01 2022-08-24 表示装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020069750A JP2020069750A (ja) 2020-05-07
JP7187990B2 true JP7187990B2 (ja) 2022-12-13

Family

ID=70549017

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018206781A Active JP7187990B2 (ja) 2018-11-01 2018-11-01 樹脂成形体の製造方法
JP2022133245A Pending JP2022180365A (ja) 2018-11-01 2022-08-24 表示装置

Family Applications After (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022133245A Pending JP2022180365A (ja) 2018-11-01 2022-08-24 表示装置

Country Status (1)

Country Link
JP (2) JP7187990B2 (ja)

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003222701A (ja) 2002-01-29 2003-08-08 Seiko Epson Corp 光学部品及びその製造方法
JP2004284178A (ja) 2003-03-20 2004-10-14 Dainippon Printing Co Ltd 賦型方法、賦型フィルム、及び射出成形品
JP2006187937A (ja) 2005-01-06 2006-07-20 Yoshida Industry Co Ltd 樹脂成形品の製造方法および樹脂成形品
JP2008509829A (ja) 2004-08-17 2008-04-03 セット ヨーロッパ リミテッド 反射防止及びグレア防止特性を備えた樹脂成型部品及びその製造方法
JP2009297931A (ja) 2008-06-11 2009-12-24 Dainippon Printing Co Ltd インモールド用転写箔、及びそれを用いた成形品
JP2010214796A (ja) 2009-03-17 2010-09-30 Dainippon Printing Co Ltd インモールド用転写箔、及びそれを用いた立体成形品
JP2017072791A (ja) 2015-10-09 2017-04-13 デクセリアルズ株式会社 ナノ構造付き成形体
JP2018132429A (ja) 2017-02-16 2018-08-23 日本精機株式会社 計器

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010092705A1 (ja) * 2009-02-13 2010-08-19 シャープ株式会社 表示装置
US8736960B2 (en) * 2009-09-15 2014-05-27 Sharp Kabushiki Kaisha Structure with observation port
JP5861485B2 (ja) * 2012-02-14 2016-02-16 日産自動車株式会社 表示装置、自動車用表示装置、及び表示装置の製造方法

Patent Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003222701A (ja) 2002-01-29 2003-08-08 Seiko Epson Corp 光学部品及びその製造方法
JP2004284178A (ja) 2003-03-20 2004-10-14 Dainippon Printing Co Ltd 賦型方法、賦型フィルム、及び射出成形品
JP2008509829A (ja) 2004-08-17 2008-04-03 セット ヨーロッパ リミテッド 反射防止及びグレア防止特性を備えた樹脂成型部品及びその製造方法
US20080113093A1 (en) 2004-08-17 2008-05-15 Michael John Hanney Moulded Plastic Components with Anti-Reflective and Anti-Glare Properties and Method for Their Manufacture
JP2006187937A (ja) 2005-01-06 2006-07-20 Yoshida Industry Co Ltd 樹脂成形品の製造方法および樹脂成形品
JP2009297931A (ja) 2008-06-11 2009-12-24 Dainippon Printing Co Ltd インモールド用転写箔、及びそれを用いた成形品
JP2010214796A (ja) 2009-03-17 2010-09-30 Dainippon Printing Co Ltd インモールド用転写箔、及びそれを用いた立体成形品
JP2017072791A (ja) 2015-10-09 2017-04-13 デクセリアルズ株式会社 ナノ構造付き成形体
JP2018132429A (ja) 2017-02-16 2018-08-23 日本精機株式会社 計器

Also Published As

Publication number Publication date
JP2022180365A (ja) 2022-12-06
JP2020069750A (ja) 2020-05-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100924609B1 (ko) 방현성 필름 및 화상표시장치
JP7268686B2 (ja) 樹脂シート、それを用いた画像表示装置用前面板、及びそれを用いた画像表示装置、並びに転写シート
JP5449375B2 (ja) 観察窓付き構造物
KR20140045510A (ko) 방현성 필름, 편광판 및 화상 표시 장치
WO2012105357A1 (ja) 積層体及び積層体の製造方法
WO2013141282A1 (ja) 表示素子前面用フィルム及び表面部材付き表示素子
JP7009795B2 (ja) 加飾成形品、加飾成形品の製造方法、転写シート及び表示装置
JP7187990B2 (ja) 樹脂成形体の製造方法
JP7151336B2 (ja) 加飾成形品及びそれを用いた画像表示装置、並びに転写シート
JP7067193B2 (ja) 加飾成形品、画像表示装置及び転写シート
JP7062894B2 (ja) 低反射板
KR20120106590A (ko) 편광자 보호 필름
KR20120106591A (ko) 편광자 보호 필름
JP3879284B2 (ja) 表面処理を施された樹脂板
KR20120106585A (ko) 편광자 보호 필름
WO2021020222A1 (ja) 表面保護板、並びにそれを用いた積層部材及び画像表示装置、並びに表面保護板の製造方法
WO2021200884A1 (ja) 光学積層体、並びに、これを備える偏光板、表面板及び画像表示装置
JP7275562B2 (ja) 加飾成形品、加飾成形品の製造方法、転写シート及び画像表示装置
JP2013254117A (ja) 光学積層体、及びこれを用いた偏光板
JP2020064217A (ja) 樹脂成形体及びそれを用いた画像表示装置、並びに該樹脂成形体の製造方法
JP7251130B2 (ja) 樹脂シート及びそれを用いた画像表示装置、並びに転写シート
JP2018126984A (ja) 多面付け部分凹凸転写シートの中間基材及びこれを用いた離型シート、並びに、多面付け部分凹凸転写シート及びこれを用いた加飾成形品の製造方法
CN114761838A (zh) 树脂面板和红外线传感器
JP6932922B2 (ja) 転写シート、転写シートを用いた加飾成形品の製造方法、及び加飾成形品
JP2020098239A (ja) 樹脂シート及びそれを用いた画像表示装置、並びに転写シート

Legal Events

Date Code Title Description
RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20200827

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210928

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220615

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220628

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220824

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20221101

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20221114

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7187990

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150