JP2020064217A - 樹脂成形体及びそれを用いた画像表示装置、並びに該樹脂成形体の製造方法 - Google Patents

樹脂成形体及びそれを用いた画像表示装置、並びに該樹脂成形体の製造方法 Download PDF

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貴之 嶋田
Takayuki Shimada
貴之 嶋田
健太郎 秋山
Kentaro Akiyama
健太郎 秋山
直樹 大田
Naoki Ota
直樹 大田
明寿 野田
Akitoshi Noda
明寿 野田
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Abstract

【課題】凹凸領域と平滑領域との境界が明瞭であり、優れた意匠性による高級感を付与できる樹脂成形体を提供する。【解決手段】第1主面と、前記第1主面とは反対側の第2主面とを有する樹脂成形体であって、前記樹脂成形体は厚みが1.0mm以上であり、前記樹脂成形体は、前記第1主面側から平面視した際に、第1領域A1と、前記第1領域に隣接する第2領域A2とを有し、前記第1領域A1の表面の算術平均粗さRa1と、前記第2領域A2の表面の算術平均粗さRa2とが、Ra1>Ra2の関係を満たし、前記第2主面側の前記第1領域A1に対応する箇所に凸部群から形成されてなるモスアイ構造を有し、前記第2主面側の前記第2領域A2に対応する箇所の少なくとも一部に暗色層を有する、樹脂成形体。【選択図】図1

Description

本発明は、樹脂成形体及びそれを用いた画像表示装置、並びに該樹脂成形体の製造方法に関する。
液晶表示装置、有機EL表示装置等の画像表示装置の表示素子上には、通常、表示素子を保護したり、表示素子の視認性を改善したりするために前面板が配置される。
かかる前面板としては、ガラス板及びプラスチック板等のクリヤーな透明板が用いられる場合もあるが、防眩性を付与するために凹凸処理された透明板が用いられる場合もある。
また、画像表示装置に部分的なマット感を付与した意匠が求められる場合がある。かかる意匠を付与し得るものとして、特許文献1の部分マット転写シートが提案されている。
特許5095598号公報(段落0001)
特許文献1の転写シートは、携帯電話等の電子機器の表示パネルに、凹凸形状を有する部分と、平滑な部分とを転写して形成することを可能とするものである。
しかし、特許文献1の転写シートから得られた表示パネルは、凹凸領域と平滑領域との境界が不明瞭に感じられることが頻発し、優れた意匠性による高級感を付与できるものではなかった。
本発明は、凹凸領域と平滑領域との境界が明瞭であり、優れた意匠性による高級感を付与できる樹脂成形体を提供することを目的とする。また、本発明は、該樹脂成形体を用いた画像表示装置及び該樹脂成形体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、下記の[1]〜[3]を提供することを目的とする。
[1]第1主面と、前記第1主面とは反対側の第2主面とを有する樹脂成形体であって、前記樹脂成形体は厚みが1.0mm以上であり、前記樹脂成形体は、前記第1主面側から平面視した際に、第1領域A1と、前記第1領域に隣接する第2領域A2とを有し、前記第1領域A1の表面の算術平均粗さRa1と、前記第2領域A2の表面の算術平均粗さRa2とが、Ra1>Ra2の関係を満たし、前記第2主面側の前記第1領域A1に対応する箇所に凸部群から形成されてなるモスアイ構造を有し、前記第2主面側の前記第2領域A2に対応する箇所の少なくとも一部に暗色層を有する、樹脂成形体。
[2]下記(A1)〜(A4)の工程を有する、上記[1]に記載の樹脂成形体の製造方法。
(A1)上下一組のインモールド成形用金型の一方の側に、樹脂成形体の第1主面と相補的な形状を有する離型シート上に転写層が形成されてなる転写シートを配置し、前記金型の他方の側に、樹脂成形体の第2主面の凸部群から形成されてなるモスアイ構造と相補的な形状を有する賦型シートを配置する工程。
(A2)前記金型を締め、前記金型内に射出樹脂を注入し、前記転写シートの転写層側の面と、前記射出樹脂を含む射出樹脂層と、前記賦型シートとを密着させた積層体Aを得る工程。
(A3)前記金型を開けた後、前記積層体Aから転写シートの離型シート及び賦型シートを剥離し、前記射出樹脂層及び前記転写層を有する積層体Bであって、離型シートの剥離面である転写層の表面に第1領域A1及び第2領域A2を備えた第1主面を有し、賦型シートの剥離面である射出樹脂層の表面に凸部群から形成されてなるモスアイ構造を有してなる、積層体Bを得る工程。
(A4)前記積層体Bの射出樹脂層側の表面のうちの第2領域A2に対応する箇所の少なくとも一部に暗色層を形成し、前記射出樹脂層の表面のうちの第1領域A1に対応する箇所に前記モスアイ構造を有し、第2領域A2に対応する箇所の少なくとも一部に前記暗色層を有してなる、第2主面を形成する工程。
[3]表示素子上に、上記[1]に記載の樹脂成形体を有してなり、前記樹脂成形体の前記第2主面側が前記表示素子側を向くように配置してなる、画像表示装置。
本発明によれば、凹凸領域と平滑領域との境界が明瞭であり、優れた意匠性による高級感を付与できる樹脂成形体及び画像表示装置を提供することができる。また、本発明によれば、前述した効果を奏する樹脂成形体を簡易に製造することができる。
本発明の樹脂成形体の一実施形態を示す概略断面図である。 本発明の樹脂成形体の他の実施形態を示す概略断面図である。 本発明の樹脂成形体の一実施形態を示す概略平面図である。 比較例1の樹脂成形体の概略断面図である。 凸部群から形成されてなるモスアイ構造の一例を示す拡大図である。 本発明の樹脂成形体の製造工程の一実施形態を示す概略図である。 本発明の樹脂成形体の製造に使用する転写シートの一実施形態を示す概略断面図である。
以下、本発明の樹脂成形体、該樹脂成形体を用いた画像表示装置、及び樹脂成形体の製造方法の実施の形態を説明する。なお、本明細書において、AA〜BBとは、AA以上BB以下であることを意味する。
[樹脂成形体]
本発明の樹脂成形体は、第1主面と、前記第1主面とは反対側の第2主面とを有する樹脂成形体であって、前記樹脂成形体は厚みが1.0mm以上であり、前記樹脂成形体は、前記第1主面側から平面視した際に、第1領域A1と、前記第1領域に隣接する第2領域A2とを有し、前記第1領域A1の表面の算術平均粗さRa1と、前記第2領域A2の表面の算術平均粗さRa2とが、Ra1>Ra2の関係を満たし、前記第2主面側の前記第1領域A1に対応する箇所に凸部群から形成されてなるモスアイ構造を有し、前記第2主面側の前記第2領域A2に対応する箇所の少なくとも一部に暗色層を有する、ものである。
図1及び図2は、本発明の樹脂成形体100の一実施形態を示す断面図である。
図1及び図2の樹脂成形体100は、第1主面側(図1及び図2の上側)から平面視した際に、第1領域A1と、第1領域に隣接する第2領域A2とを有している。また、図1及び図2の樹脂成形体100は、第2主面側(図1及び図2の下側)の第1領域A1に対応する箇所に凸部群から形成されてなるモスアイ構造21を有し、第2主面側の第2領域A2に対応する箇所の少なくとも一部に暗色層30を有している。
また、図1の樹脂成形体100は、暗色層30以外は射出樹脂層20の単層であり、図2の樹脂成形体100は、暗色層30以外の層として、射出樹脂層20及び転写層10を有している。また、図2の樹脂成形体100の転写層10は、保護層11、アンカー層12及び接着剤層13の3層構成である。
<第1主面>
本発明の樹脂成形体は第1主面を有する。
第1主面の表面には、後述する第1領域A1及び第2領域A2を有する。第1主面は、樹脂成形体を用いる際に視認者側となるように配置することが好ましい。
<<第1領域A1及び第2領域A2>>
本発明の樹脂成形体は、第1主面側から平面視した際に、第1領域A1と、第1領域に隣接する第2領域A2とを有する。また、本発明の樹脂成形体は、該第1領域A1の表面の算術平均粗さRa1と、該第2領域A2の表面の算術平均粗さRa2とが、Ra1>Ra2の関係を満たすことを要する。
第1領域A1と第2領域A2とが、Ra1>Ra2の関係を満たすことにより、樹脂成形体の表面に風合いの異なる領域を形成し、樹脂成形体の意匠性を良好にしやすくできる。
なお、本明細書において算術平均粗さRaは、カットオフ値を0.8mmとした際のJIS B0601:1994の算術平均粗さRaを意味する。
Ra1は、0.05〜0.30μmであることが好ましく、0.06〜0.20μmであることがより好ましく、0.08〜0.15μmであることがさらに好ましい。
Ra1を0.05μm以上とすることにより、第1領域の防眩性を良好にしやすくできる。また、Ra1を0.30μm以下とすることにより、第1領域を介して物及び映像等を視認した際に、これらを鮮明に視認しやすくできる。
Ra2は、凹凸形状を備えた第1領域との風合いの差を明瞭とし、意匠性を向上させる観点から、0.03μm以下であることが好ましく、0.02μm以下であることがより好ましく、0.01μm以下であることがさらに好ましい。
Ra1とRa2との差(Ra1−Ra2)は、0.02μm以上であることが好ましく、0.03μm以上であることがより好ましく、0.05μm以上であることがさらに好ましい。
Ra1−Ra2を0.02μm以上とすることにより、凹凸領域A1と平滑領域A2との風合いの差を認識しやすくできる。
本明細書において、算術平均粗さRa1及びRa2は、目視でゴミ及び傷等の異常点がない箇所から切り出したサンプルを用意し、欠陥や異常点がない任意の20箇所での測定値の平均値とする。
第1領域A1及び第2領域A2の配置は任意である。例えば、独立した一つの第1領域A1を配置し、該第1領域A1を囲んだ第2領域A2を配置する構成(タイプ1(図3の構成));独立した一つの第2領域A2を配置し、該第2領域A2を囲んだ第1領域A1を配置する構成(タイプ2);独立した複数の第1領域A1を配置し、該複数の第1領域A1の周囲に第2領域A2を配置する構成(タイプ3);独立した複数の第2領域A2を配置し、該複数の第2領域A2の周囲に第1領域A1を配置する構成(タイプ4);等が挙げられる。前述した4つのタイプでは、タイプ1及び2が本発明の効果を認識しやすい点で好適である。
なお、第1主面は、さらに別の領域を有していてもよい。
第1領域A1の面積と、第2領域A2の面積との比は、付与する意匠との関係で変化するため特に限定されないが、2つの領域の風合いの差を明りょうにする観点から、0.1≦S1/S2≦10.0であることが好ましく、1.0≦S1/S2≦10.0であることがより好ましく、1.5≦S1/S2≦7.5であることがさらに好ましい。
<第2主面>
本発明の樹脂成形体は、第1主面とは反対側に第2主面を有する。
また、本発明の樹脂成形体は、第2主面側の第1領域A1に対応する箇所に凸部群から形成されてなるモスアイ構造を有し、第2主面側の第2領域A2に対応する箇所の少なくとも一部に暗色層を有する。
<<モスアイ構造>>
本発明の樹脂成形体は、第2主面側の第1領域A1に対応する箇所に凸部群から形成されてなるモスアイ構造を有する。
本発明の樹脂成形体は厚みが1.0mm以上と厚膜である。このような厚膜の樹脂成形体の第2主面側の第1領域A1に対応する箇所にモスアイ構造を有することにより、第1領域(マット部)と、第2領域(平滑部)との境界を明瞭にすることができ、優れた意匠性による高級感を付与することができる。
樹脂成形体の第2主面側の第1領域A1に対応する箇所にモスアイ構造を有さない場合、第1領域(マット部)と、第2領域(平滑部)との境界が不明瞭となり、意匠性を良好にすることができない。理由を図4を用いて説明する。
図4は比較例1の樹脂成形体の断面形状を示す図である。図4の樹脂成形体の第2主面側の第1領域A1に対応する箇所は平滑であり、モスアイ構造が形成されていない。図4の樹脂成形体の第1主面の第1領域に入射した外光は、大部分が射出樹脂20を通過するが、その一部が第2主面の第1領域に対応する箇所で反射する。該反射光の一部は、第1主面の第1領域に近い箇所の第2領域(図4の符号Eで示す領域)から出射する。第1主面の第2領域は、暗色層30の影響によって本来は暗さが際立つ領域であり、第2領域の暗さが際立つことによって第1領域との境界を明瞭にしている。しかし、図4の樹脂成形体は、第2領域中の領域Eの部分は反射光の影響によって暗さが低下し、第1領域と第2領域との境界が不明瞭となり、意匠性が低下してしまう。
また、斜めから視認した場合には領域Eの幅が広がりやすくなるため、図4の樹脂成形体における上記の問題はより深刻となる。このため、本発明の樹脂成形体は、カーナビゲーションのように斜めから視認することが前提の用途において極めて有用である。
なお、カーナビゲーションでは、朝方及び夕方には太陽光が斜め方向から入射するため、領域Eの幅が広がりやすくなる。かかる観点からも、本発明の樹脂成形体をカーナビゲーション用に用いることは極めて有用である。
なお、樹脂成形体の膜厚が薄い場合(1.0mm未満の場合)には、図4の符号Eの範囲は人が認識できない程度に狭くなるため、意匠性の低下の問題は生じにくい。
また、樹脂成形体の第2主面側の第1領域A1に対応する箇所に、モスアイ構造に代替して多層の反射防止膜を形成する手段が考えられる。しかし、多層の反射防止膜は特定の角度(原則は正面)から視認することを前提として設計されるものであるため、特定の角度から視認した際には第1領域と第2領域との境界を明瞭にすることはできるが、該角度から離れて視認した際には反射防止性が低下し、第1領域と第2領域との境界を明瞭にすることができない。
以上のように、第2主面側の第1領域A1に対応する箇所にモスアイ構造を有する本発明の樹脂成形体は、樹脂成形体の膜厚が1.0mm以上と厚いにも関わらず、あらゆる方向から視認した場合であっても、第1領域と第2領域との境界を明瞭にすることができる点において、極めて優れた効果を奏するものである。
モスアイ構造は凸部群から形成される。
該凸部群は、個々の凸部が可視光領域の波長以下の周期で配列されることを特徴とする。
また、個々の凸部は、底部から頂部に向かうに従って、水平断面の断面積が徐々に小さくなる形状を有し、いわゆるテーパー形状を有するものである。凸部の底部の形状は特に限定されず、円形、多角形、不定形等のいずれであってもよい。また、凸部の頂部の形状は特に限定されず、平坦、鋭角、曲面等のいずれであってもよい。
凸部の周期、高さ及び間隔は、後述する範囲が好ましい。なお、周期、高さ及び間隔は、図5のP、H及びGで示される距離を意味する。
凸部の周期Pは、780nm以下であれば特に限定されるものではなく、要求される反射防止機能に応じて適宜決定することができる。
凸部の周期は、反射率の波長依存性に影響を及ぼし、周期が長くなるほど可視光領域の短波長側の光に対する反射率が増加する傾向にある。一方、周期が200nm以下においては、周期の変動に伴う反射率の波長依存性の変化は少なくなる。また、凸型の周期が短すぎると凸部群を形成しにくくなる。
したがって、凸部の周期は、50〜400nmであることが好ましく、100〜360nmであることがより好ましい。
凸部の周期、高さ及び間隔は、走査型電子顕微鏡(SEM)及び原子間力顕微鏡(AFM)等を用いて、凸部の縦断面を観察して20個分の周期、高さ及び間隔を測定し、その測定値の平均値とする。
凸部の高さHは、本発明の効果を阻害しない範囲で適宜調整することができ、特に限定されない。高さが高いほど反射率を低くすることができ、一方、高さが低くなると長波長側の反射率が増加する傾向にある。また、高さが高すぎると凸部が破損しやすくなる。
したがって、凸部の高さは、60〜2000nmであることが好ましく、100〜800nmであることがより好ましい。
凸部の間隔Gは、広くなるほど可視光の全波長領域において反射率が増加する傾向にあり、狭くなるほど可視光の全波長領域において反射率が低下する傾向にある。
凸部の間隔は、本発明の効果を阻害しない範囲で適宜調整することができ、例えば、0〜100nmであることが好ましく、5〜50nmであることがより好ましい。
凸部の高さHと周期Pとの比(H/P)は、0.3〜2.5であることが好ましく、0.5〜2.3であることがより好ましい。該比を0.3以上とすることにより、反射率を低くしやすくでき、該比を2.5以下とすることにより、モスアイ構造を賦型しやすくできる。
凸部の周期、高さ及び間隔は、均一であってもよいし、不均一でもよい。
なお、モスアイ構造による構造色を抑制する観点からは、凸部群を構成する凸部がランダムに配置することが好ましい。すなわち、構造色を抑制する観点からは、凸部の周期及び間隔を不均一とすることが好ましい。この場合、凸部の高さは略均一であることが好ましい。
<<暗色層>>
本発明の樹脂成形体は、第2主面側の第2領域A2に対応する箇所の少なくとも一部に暗色層を有する。該箇所に暗色層を有することにより、第1領域A1と第2領域A2との境界を明瞭にしやすくできる。
暗色とは、黒色、濃灰色及び茶色の低明度、低彩色の暗い感じのする色を意味する。具体的には、第2主面側から測定したL値、a値及びb値が後述の範囲であることが好ましい。暗色層は黒色層であることが好ましい。
暗色層は、第2主面側の第2領域A2に対応する箇所の全面に形成されている必要はないが、第1領域A1と第2領域A2との境界線上の全部に暗色層を有することが好ましい。また、該境界線から第2領域A2側に5mmまでの領域に暗色層を有することがより好ましい。
第2主面側の第2領域A2に対応する箇所のうちの暗色層を有さない箇所からは下方を透かして見ることができる。例えば、暗色層を有さない箇所を文字、数字の形状にしておき、樹脂成形体の下方に光源を設置しておけば、文字、数値等を視認することができる。
なお、第2主面側の第2領域A2に対応する箇所のうちの暗色層を有さない箇所には、凸部群から形成されてなるモスアイ構造を有してもよい。該構成を備えた樹脂成形体は、例えば、第2主面側の全面にモスアイ構造を形成し、次いで、第2主面側の第2領域A2に対応する箇所の一部に暗色層を形成し、該暗色層を形成した箇所が該暗色層によってモスアイ構造が埋没するようにすることで、製造することができる。
暗色層は、例えば、ポリビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、セルロース系樹脂等のバインダー樹脂と、顔料(カーボンブラック等の暗色顔料、あるいは、赤系顔料、青系顔料及び黄系顔料の混合)を含む暗色層形成用塗布液を塗布、乾燥することにより形成できる。顔料の量は、バインダー樹脂100質量部に対して1〜50質量部程度の範囲で適宜調整すればよい。
暗色層の厚みは、暗さと薄膜化のバランスの観点から、1〜40μmであることが好ましく、2〜30μmであることがより好ましい。なお、暗色層は、所定の光学特性を得るために多層構造としてもよい。
第2主面側の暗色層を有する箇所は、JIS Z8781−4:2013に準拠して測定されるCIE(国際照明委員会)L表色系のL値、a値及びb値が下記の範囲であることが好ましい。
値は12以下であることが好ましく、8以下であることがより好ましい。また、a値の絶対値は8以下であることが好ましく、6以下であることがより好ましい。また、b値の絶対値は14以下であることが好ましく、7以下であることがより好ましい。
<光学特性>
樹脂成形体は、第1領域A1の全光線透過率が50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。第1領域A1の全光線透過率を前記範囲とすることにより、例えば、樹脂成形体を表示素子の前面板として用いる場合に、表示素子の視認性を良好にすることができる。
また、樹脂成形体は、第1領域A1と第2領域A2との境界を明瞭にしやすくするため、第2領域A2のうちの暗色層を有する箇所の全光線透過率が1%以下であることが好ましく、0.1%以下であることがより好ましく、0.01%以下であることがさらに好ましく、0.001%以下であることがよりさらに好ましい。第2領域A2のうちの暗色層を有さない箇所の全光線透過率は50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。
なお、本明細書において「全光線透過率」とは、JIS K7361−1:1997に準拠して測定したものを意味し、20箇所の測定値の平均値とする。
樹脂成形体の第1領域A1のJIS K7136:2000に準拠したヘイズは、1〜15%であることが好ましく、2〜10%であることがより好ましい。
<厚み>
樹脂成形体の厚みは1.0mm以上である。樹脂成形体の厚みを1.0mm以上とすることにより、樹脂成形体の強度を良好にしやすくできる。また、上述したように、樹脂成形体の厚みが1.0mm以上であると、第1領域A1と第2領域A2との境界が不明瞭となりやすくなる。しかし、本発明の樹脂成形体は、第2主面側の第1領域A1に対応する箇所に凸部群から形成されてなるモスアイ構造を有することから、樹脂成形体の厚みは1.0mm以上と厚膜でありながら、第1領域A1と第2領域A2との境界を明瞭にすることができる。
樹脂成形体の厚みは、強度と薄膜化とのバランスの観点から、1.0〜5.0mmであることが好ましく、1.5〜2.5mmであることがより好ましい。
<用途>
本発明の樹脂成形体は、例えば、表示素子の前面板、家電製品の表面板、雑貨等の表面板等として用いることができる。これらの中でも、表示素子の前面板として用いることが好ましい。
表示素子としては、液晶表示素子、EL(無機EL、有機EL)表示素子、プラズマ表示素子及びLED表示素子(マイクロLEDなど)等が挙げられる。なお、液晶表示素子は、タッチパネル機能を素子内に備えたインセルタッチパネル液晶表示素子であってもよい。
<樹脂成形体の層構成、製造方法>
樹脂成形体は、例えば、射出樹脂層20及び暗色層30を有するもの(図1)、転写層10、射出樹脂層20及び暗色層30を有するもの(図2)が挙げられる。
樹脂成形体は、例えば、賦型シート及び賦型版等の賦型材を用いた賦型、及び/又は、離型シート上に転写層を有する転写シートを用いた転写、により第1主面及び第2主面の表面形状を形成し、さらに暗色層を形成する工程を行うことにより製造することができる。
賦型の場合、賦型材の形状と相補的な形状を樹脂成形体の表面に形成することができる。また、転写の場合、離型シートの形状と相補的な形状を樹脂成形体の表面に形成することができる。
図1の樹脂成形体は、例えば、上下一組の成形用金型の一方の側に第1主面の表面形状と相補的な形状を備えた賦型シートを配置し、他方の側に第2主面の表面形状と相補的な形状を備えた賦型シートを配置した状態で金型内に射出樹脂を注入し、射出樹脂層の両面を同時に賦型した後、第2主面側の第2領域A2に対応する箇所の少なくとも一部に暗色層を形成することにより製造できる。
図2のように、転写層10、射出樹脂層20及び暗色層30を備えた樹脂成形体100は、例えば、下記(A1)〜(A4)を含む工程により製造することができる。
(A1)上下一組のインモールド成形用金型の一方の側に、樹脂成形体の第1主面と相補的な形状を有する離型シート上に転写層が形成されてなる転写シートを配置し、前記金型の他方の側に、樹脂成形体の第2主面の凸部群から形成されてなるモスアイ構造と相補的な形状を有する賦型シートを配置する工程(図6(a))。
(A2)前記金型を締め、前記金型内に射出樹脂を注入し、前記転写シートの転写層側の面と、前記射出樹脂を含む射出樹脂層と、前記賦型シートとを密着させた積層体Aを得る工程(図6(b))。
(A3)前記金型を開けた後、前記積層体Aから転写シートの離型シート及び賦型シートを剥離し、前記射出樹脂層及び前記転写層を有する積層体Bであって、離型シートの剥離面である転写層の表面に第1領域A1及び第2領域A2を備えた第1主面を有し、賦型シートの剥離面である射出樹脂層の表面に凸部群から形成されてなるモスアイ構造を有してなる、積層体Bを得る工程(図6(c))。
(A4)前記積層体Bの射出樹脂層側の表面のうちの第2領域A2に対応する箇所の少なくとも一部に暗色層を形成し、前記射出樹脂層の表面のうちの第1領域A1に対応する箇所に前記モスアイ構造を有し、第2領域A2に対応する箇所の少なくとも一部に前記暗色層を有してなる、第2主面を形成する工程(図6(d))。
<工程(A1)>
工程(A1)は、上下一組のインモールド成形用金型の一方の側に、樹脂成形体の第1主面と相補的な形状を有する離型シート上に転写層が形成されてなる転写シートを配置し、前記金型の他方の側に、樹脂成形体の第2主面の凸部群から形成されてなるモスアイ構造と相補的な形状を有する賦型シートを配置する工程である(図6(a))。
なお、工程(A1)では、転写シートは転写層側の面が金型の内側(射出樹脂と接する側)を向くようにし、賦型シートはモスアイ構造を有する側の面が金型の内側(射出樹脂と接する側)を向くように配置する。
図6(a)では、上側の金型601側に転写シート200が配置され、下側の金型602側に賦型シート300が配置されている。なお、図6において、ロール401及び501は送り出しロール、ロール402及び502は巻き取りロールである。
<<転写シート>>
転写シートは、離型シート上に転写層を有するものである。
転写シートを構成する離型シートは、射出樹脂層等の被着体に転写層を転写した後に剥離され、離型シートの表面形状と相補的な形状が、転写層の表面(≒樹脂成形体の表面)に形成される。すなわち、離型シートの表面形状は、樹脂成形体の表面形状と相補的な関係である。なお、離型シートの表面凹凸と、樹脂成形体の表面凹凸とは正負は逆転しているが、算術平均粗さRaにすると略同一になる。すなわち、離型シートの算術平均粗さRaと、これに対応する箇所の樹脂成形体の算術平均粗さRaとは略同一である。
離型シート50は、図7に示すように、支持体51、部分凹凸層52及び離型層53を有することが好ましい。離型シート50の表面は、樹脂成形体の第1主面の表面形状と相補的な形状を有する。図7の離型シート50の領域A1’及びA2’の表面形状は、樹脂成形体の第1主面の第1領域A1及び第2領域A2の表面形状と相補的関係である。
なお、離型シートは、支持体の単層であってもよいし、支持体及び部分凹凸層の2層構造であってもよいし、支持体、部分凹凸層及び離型層以外のその他の層を有していてもよい。その他の層としては、帯電防止層が挙げられる。帯電防止層を有することにより、離型シートを剥離する際の剥離帯電を抑制でき、転写の作業性を向上できる。
<<<支持体>>>
離型シートを構成する支持体としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体などのビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチルなどのアクリル系樹脂、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、ナイロン6又はナイロン66などで代表されるポリアミド系樹脂などの樹脂からなるプラスチックフィルムが挙げられる。
これらのプラスチックフィルムの中では、耐熱性、寸法安定性に優れ、転写時の位置合わせの適性に優れる2軸延伸ポリエステルフィルムが好適である。
支持体の厚みは、成形性、形状追従性、取り扱いの観点から、12〜150μmであることが好ましく、25〜100μmであることがより好ましい。
また、支持体の表面には、部分凹凸層等との接着性を高めるため易接着処理を予め行ってもよい。
<<<部分凹凸層>>>
離型シートを構成する部分凹凸層は、硬化性樹脂組成物の硬化物を主成分として含むことが好ましい。主成分とは、部分凹凸層を構成する全固形分の50質量%以上を意味し、該割合は70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがよりさらに好ましい。
部分凹凸層に用いる硬化性樹脂組成物は、後述する保護層で例示する硬化性樹脂組成物と同様のものを用いることができる。
部分凹凸層の厚みは特に限定されないが、1〜15μmであることが好ましく、2〜12μmであることがより好ましい。
<<<離型層>>>
離型シートを構成する離型層は主として樹脂から構成することが好ましい。
離型層の樹脂は、所定の被膜強度を有し、転写層との接着力が低い材料であれば特に限定されず、汎用の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂組成物の硬化物、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物等が挙げられる。具体的には、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、セルロース系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂、硝化綿等が挙げられる。
これらの中でも、熱硬化性樹脂組成物の硬化物が好ましく、アクリルポリオール及びイソシアネートを含む熱硬化性樹脂組成物がより好ましい。
離型層は、離型性を向上させるために離型剤をさらに含んでもよい。離型剤としては、合成ワックスや天然ワッス等のワックス類が挙げられる。合成ワックスとしては、ポリエチレンワックスやポリプピレンワックス等のポリオレフィンワックスが好ましい。
離型層の厚みは、0.10〜6.50μmであることが好ましく、0.50〜6.00μmであることがより好ましく、0.70〜5.50μmであることがさらに好ましい。
離型シートは、例えば、以下の(B−1)〜(B−2)の工程により製造できる。
(B−1)支持体上に、電離放射線硬化性樹脂組成物を含む部分凹凸層形成用塗布液を塗布し、電離放射線硬化性樹脂組成物を含む塗膜を形成する工程。
(B−2)塗膜に版を押し当てると同時に、電離放射線を照射して、賦形した部分凹凸層を硬化させる工程。
工程(B−2)の版として、離型シートの表面形状と相補的形状を有する版(≒転写層の表面形状と同一形状を有する版)を用いることにより、所望の表面形状を備えた離型シートを得ることができる。
工程(B−2)の版は、連続生産性の観点から、ロール状物の表面を賦型したものが好ましく、金属ロールの表面を賦型したものがより好ましい。金属ロールの表面材質は、銅、ニッケル、クロム、アルミナ等が挙げられる。これらの金属は必要に応じてメッキ処理することが好ましい。
なお、工程(B−2)の版として、離型シートの表面形状と非同一形状の版を用い、工程(B−2)の後に、部分凹凸層上に離型層を形成する工程(工程(B−3))を行い、離型層の厚みで離型シートの表面形状を調整してもよい。
<<転写層>>
転写シートを構成する転写層は、例えば、下記(Y1)〜(Y6)の構成が挙げられる。なお、下記(Y1)〜(Y6)において、「/」は層の界面を示し、左側に近いほど離型シートに近いことを意味する。
(Y1)保護層の単層
(Y2)保護層/接着剤層
(Y3)保護層/アンカーコート層/接着剤層
(Y4)反射防止層/保護層
(Y5)反射防止層/保護層/接着剤層
(Y6)反射防止層/保護層/アンカーコート層/接着剤層
<<<保護層>>>
保護層は硬化性樹脂組成物の硬化物を主成分として含むことが好ましい。主成分とは、保護層を構成する全固形分の50質量%以上を意味し、該割合は70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがよりさらに好ましい。
硬化性樹脂組成物の硬化物は、熱硬化性樹脂組成物の硬化物、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物が挙げられ、これらの中でも電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物が好ましい。
また、保護層は熱可塑性樹脂を含有してもよいが、耐擦傷性を向上する観点から、その量は微量であることが好ましい。具体的には、保護層中の熱可塑性樹脂の含有量は5質量%未満であることが好ましく、1質量%未満であることがより好ましく、0.1質量%未満であることがさらに好ましく、0質量%であることがよりさらに好ましい。
以下、硬化性樹脂組成物の硬化物及び熱可塑性樹脂のことを「樹脂成分」と称する場合がある。
熱硬化性樹脂組成物は、少なくとも熱硬化性樹脂を含む組成物であり、加熱により、硬化する樹脂組成物である。熱硬化性樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂組成物には、これら硬化性樹脂に、必要に応じて硬化剤が添加される。
電離放射線硬化性樹脂組成物は、電離放射線硬化性官能基を有する化合物(以下、「電離放射線硬化性化合物」ともいう)を含む組成物である。電離放射線硬化性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合基、及びエポキシ基、オキセタニル基等が挙げられる。
電離放射線硬化性樹脂としては、エチレン性不飽和結合基を有する化合物が好ましい。また、転写シートを製造する過程で保護層が傷つくことを抑制する観点からは、電離放射線硬化性樹脂としては、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する化合物がより好ましく、中でも、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する、多官能性(メタ)アクリレート系化合物が更に好ましい。多官能性(メタ)アクリレート系化合物としては、モノマー及びオリゴマーのいずれも用いることができる。
なお、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も使用可能である。
多官能性(メタ)アクリレート系化合物のうち、2官能(メタ)アクリレート系モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAテトラエトキシジアクリレート、ビスフェノールAテトラプロポキシジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート等が挙げられる。
3官能以上の(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性トリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、上記(メタ)アクリレート系モノマーは、分子骨格の一部を変性しているものでもよく、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、カプロラクトン、イソシアヌル酸、アルキル、環状アルキル、芳香族、ビスフェノール等による変性がなされたものも使用することができる。
また、多官能性(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート等のアクリレート系重合体等が挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、多価アルコール及び有機ジイソシアネートとヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応によって得られる。
また、好ましいエポキシ(メタ)アクリレートは、3官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と多塩基酸と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、及び2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等とフェノール類と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレートである。
上記電離放射線硬化性樹脂は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
電離放射線硬化性樹脂が紫外線硬化性樹脂である場合には、保護層形成用塗布液は、光重合開始剤や光重合促進剤等の添加剤を含むことが好ましい。
光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、α−ヒドロキシアルキルフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α−アシルオキシムエステル、チオキサンソン類等から選ばれる1種以上が挙げられる。
また、光重合促進剤は、硬化時の空気による重合阻害を軽減させ硬化速度を速めることができるものであり、例えば、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等から選ばれる1種以上が挙げられる。
なお、硬化性樹脂組成物は、保護層を形成する時点では半硬化の状態にしておき、射出樹脂層に転写した後に、加熱、電離放射線の照射等により硬化性樹脂組成物の硬化を進行させ、完全硬化させてもよい。このようにすることにより、射出樹脂層に対する保護層の追従性が良好となるため、成形性を良好にすることができる。
保護層中には、有機粒子及び無機粒子等の粒子を含有してもよい。保護層中に粒子を含有することにより、樹脂成分との屈折率差による内部ヘイズの発現により、ギラツキや欠陥を目立ちにくくすることができる。同様の目的で、これらの粒子を接着剤層及びアンカーコート層等に含有させてもよい。
保護層の厚みは、表面硬度及び成形性のバランスの観点から、0.5〜30μmであることが好ましく、1〜20μmであることがより好ましく、3〜10μmであることがさらに好ましい。
<<<接着剤層>>>
転写層を構成する接着剤層は、転写層の離型シートから最も遠い側に配置され、射出樹脂層と転写層との接着性を良好にして、転写作業を良好にする役割を有する。
接着剤層は、射出樹脂層との接着性に優れた樹脂を使用することが好ましい。例えば、射出樹脂層の材質がアクリル系樹脂の場合は、アクリル系樹脂を用いることが好ましい。また、射出樹脂層の材質がポリフェニレンオキサイド・ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、スチレン系樹脂の場合は、これらの樹脂と親和性のあるアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂などを使用することが好ましい。さらに、射出樹脂層の材質がポリプロピレン樹脂の場合は、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩素化エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、環化ゴム、クマロンインデン樹脂を使用することが好ましい。
接着剤層には、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤等の添加剤を配合してもよい。
接着剤層の厚みは、0.1〜10μmであることが好ましく、0.5〜5μmであることがより好ましい。
<<<アンカーコート層>>>
転写層を構成するアンカーコート層は、インモールド成形時の高温環境への耐熱性を向上させるために必要に応じて設けられる層である。アンカーコート層は、保護層と接着剤層との間に形成することが好ましい。
アンカーコート層は、硬化性樹脂組成物の硬化物を含むことが好ましい。
硬化性樹脂組成物としては、熱硬化性樹脂組成物、電離放射線硬化性樹脂組成物が挙げられる。
アンカーコート層の熱硬化性樹脂組成物、電離放射線硬化性樹脂組成物の実施の形態は、保護層の熱硬化性樹脂組成物、電離放射線硬化性樹脂組成物の実施の形態と同様である。
アンカーコート層の厚みは、0.1〜6μmであることが好ましく、0.5〜5μmであることがより好ましい。
<<<反射防止層>>>
反射防止層は、転写層を構成する層のうち、離型シートに最も近い側に位置する。
反射防止層は、低屈折率層の単層構造、高屈折率層と低屈折率層との2層構造(該2層構造の場合、高屈折率層を被着体側に配置する)が挙げられ、さらに3層以上で反射防止層を形成してもよい。
低屈折率層の屈折率は1.28〜1.40であることが好ましく、1.32〜1.38であることがより好ましい。
また、低屈折率層の厚みは、80〜120nmであることが好ましく、85〜110nmであることがより好ましく、90〜105nmであることがさらに好ましい。
低屈折率層を形成する手法としては、ウェット法とドライ法とに大別できる。ウェット法としては、金属アルコキシド等を用いてゾルゲル法により形成する手法、フッ素樹脂のような低屈折率の樹脂を塗工して形成する手法、樹脂組成物に低屈折率粒子を含有させた低屈折率層形成用塗布液を塗工して形成する手法が挙げられる。ドライ法としては、後述する低屈折率粒子の中から所望の屈折率を有する粒子を選び、物理気相成長法又は化学気相成長法により形成する手法が挙げられる。
ウェット法は生産効率の点で優れており、ウェット法の中でも、バインダー樹脂組成物に低屈折率粒子を含有させた低屈折率層形成用塗布液により形成することが好ましい。該バインダー樹脂組成物としては、例えば、保護層で例示した硬化性樹脂組成物を用いることができる。
低屈折率粒子は、シリカ及びフッ化マグネシウム等の無機化合物からなる粒子、有機化合物からなる粒子のいずれであっても制限なく用いることができるが、低屈折率化により反射防止特性を向上する観点から、空隙を有する構造の粒子が好ましく用いられる。
空隙を有する構造をもつ粒子は、微細な空隙を内部に有しており、例えば、屈折率1.0の空気などの気体が充填されているので、それ自身の屈折率が低いものとなっている。このような空隙を有する粒子としては、無機系、又は有機系の多孔質粒子、中空粒子などが挙げられ、例えば、多孔質シリカ、中空シリカ粒子、又はアクリル樹脂などが用いられた多孔質ポリマー粒子や中空ポリマー粒子が挙げられる。
低屈折率粒子の一次粒子の平均粒子径は、5〜200nmが好ましく、5〜100nmがより好ましく、10〜80nmがさらに好ましい。
高屈折率層は、屈折率が1.55〜1.85であることが好ましく、1.56〜1.70であることがより好ましい。
また、高屈折率層の厚みは、200nm以下であることが好ましく、50〜180nmであることがより好ましい。
高屈折率層は、例えば、バインダー樹脂組成物及び高屈折率粒子を含む高屈折率層塗布液から形成することができる。該バインダー樹脂組成物としては、例えば、保護層で例示した硬化性樹脂組成物を用いることができる。
高屈折率粒子としては、五酸化アンチモン(1.79)、酸化亜鉛(1.90)、酸化チタン(2.3〜2.7)、酸化セリウム(1.95)、スズドープ酸化インジウム(1.95〜2.00)、アンチモンドープ酸化スズ(1.75〜1.85)、酸化イットリウム(1.87)及び酸化ジルコニウム(2.10)等が挙げられる。
高屈折率粒子の一次粒子の平均粒子径は、5〜200nmが好ましく、5〜100nmがより好ましく、10〜80nmがさらに好ましい。
転写層を構成する各層(反射防止層、保護層、アンカーコート層及び接着剤層等)は、例えば、各層の構成成分を含む塗布液を調整し、離型シート上に、グラビアコート法、ロールコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法により塗布、乾燥し、必要に応じて電離放射線を照射して硬化することにより形成できる。
<<賦型シート>>
工程(A1)で用いられる賦型シートは、射出樹脂層の表面にモスアイ構造を形成する賦型材としての役割を有する。
賦型シートは、凸部群から形成されてなるモスアイ構造と相補的な形状を一方の面に備えたものを用いることができる。該相補的な形状は、賦型シートの一方の面の全面に形成されていてもよいし、賦型シート一方の面のうち、第1領域に対応する箇所を形成する部分のみに形成されていてもよい。
賦型シートは、例えば、凸部群から形成されてなるモスアイ構造を有するモスアイ原版を準備し、該原版に硬化性樹脂を流し込んで塗膜を形成し、硬化性樹脂を硬化させた後に該塗膜を剥離することにより得ることができる。
また、モスアイ原版に硬化性樹脂を流し込んだ後に、硬化性樹脂からなる塗膜上に基材を貼り合わせ、該基材とともに塗膜を剥離し、基材上に賦型された硬化膜を有する賦型シートを得ることもできる。
賦型シートの厚みは、強度及び取り扱い性のバランスの観点から、25〜250μmであることが好ましく、38〜125μmであることがより好ましい。
<工程(A2)>
工程(A2)は、上下一組のインモールド成形用金型を締め、前記金型内に射出樹脂を注入し、前記転写シートの転写層側の面と、前記射出樹脂を含む射出樹脂層と、前記賦型シートとを密着させた積層体Aを得る工程である。
射出樹脂としては熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。このような熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂(耐熱ABS樹脂を含む)、AS樹脂、AN樹脂、ポリフェニレンオキサイド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリブチレンテフタレート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、およびポリフェニレンサルファイド系樹脂等が挙げられる。これらの中でも耐衝撃性が良好なポリカーボネート系樹脂が好ましい。
なお、射出する組成物は、射出樹脂に加えて、紫外線吸収剤及び酸化防止剤等の添加剤を含んでいてもよい。
射出樹脂層の厚みは特に限定されず、用途に応じて適宜決めれば良い。樹脂成形体を表示素子の前面板として用いる場合には、強度と薄膜化のバランスの観点から、1.0〜5.0mmであることが好ましく、1.5〜2.5mmであることがより好ましい。
工程(A2)において、金型内に射出樹脂を注入した後に金型にプレス圧をかけることが好ましい。プレス圧をかけることにより、賦型シートの形状を射出樹脂層に反映させやすくすることができる。
<工程(A3)>
工程(A3)は、前記金型を開けた後、工程(A2)で得られた積層体Aから転写シートの離型シート及び賦型シートを剥離し、前記射出樹脂層及び前記転写層を有する積層体Bであって、離型シートの剥離面である転写層の表面に第1領域A1及び第2領域A2を備えた第1主面を有し、賦型シートの剥離面である射出樹脂層の表面に凸部群から形成されてなるモスアイ構造を有してなる、積層体Bを得る工程である。
工程(A3)において、離型シートの剥離と、賦型シートの剥離とは、同時に行ってもよいし、別のタイミングで行ってもよい。離型シートの剥離と、賦型シートの剥離とを別のタイミングで行う場合、どちらを先に行っても良い。
転写層を構成する層(例えば保護層)が半硬化の状態の場合、工程(A3)の終了後であって、工程(4)の前に紫外線を照射して、該半硬化の層を完全に硬化させることが好ましい。
<工程(A4)>
工程(A4)は、工程(A3)で得た積層体Bの射出樹脂層側の表面のうちの第2領域A2に対応する箇所の少なくとも一部に暗色層を形成し、前記射出樹脂層の表面のうちの第1領域A1に対応する箇所に前記モスアイ構造を有し、第2領域A2に対応する箇所の少なくとも一部に前記暗色層を有してなる、第2主面を形成する工程である。
前工程の工程(A3)において、射出樹脂層の表面の全面にモスアイ構造が形成されている場合、暗色層を形成する箇所は、暗色層によってモスアイ構造を埋没させることが好ましい。
暗色層は、汎用の印刷手段により形成することができ、中でもスクリーン印刷が好ましい。
[画像表示装置]
本発明の画像表示装置は、表示素子上に、上述した本発明の樹脂成形体を有してなり、前記樹脂成形体の前記第2主面側が前記表示素子側を向くように配置してなるものである。
表示素子としては、液晶表示素子、EL(無機EL、有機EL)表示素子、プラズマ表示素子及びLED表示素子(マイクロLEDなど)等が挙げられる。なお、液晶表示素子は、タッチパネル機能を素子内に備えたインセルタッチパネル液晶表示素子であってもよい。
なお、表示装置の表示素子が液晶表示素子である場合、液晶表示素子の樹脂成形体とは反対側の面にはバックライトが必要である。
上述したように、第1領域A1と第2領域A2との境界が不明瞭となる問題は、斜めから視認した際により深刻となる。このため、本発明の画像表示装置は、カーナビゲーションのように斜めから視認することが前提の画像表示装置において極めて有用である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。なお、本発明は、実施例に記載の形態に限定されるものではない。
1.測定、評価
実施例、比較例及び参考例で得られた樹脂成形体について以下の測定、評価を行った。測定及び評価の雰囲気は、温度は23℃±5℃、湿度40〜65%とした。また、対象サンプルを前記雰囲気に30分以上晒してから、測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
1−1.算術平均粗さRa
表面粗さ測定器(型番:ET−4000L/小坂研究所株式会社製)を用いて、下記の測定条件により、実施例、比較例及び参考例で得られた樹脂成形体の第1領域A1の表面の算術平均粗さRa1、及び第2領域A2の表面の算術平均粗さRa2を測定した。なお、算術平均粗さRaは、カットオフ値(λc)を0.8mmとして、JIS B0601:1994に準拠して測定した。
[表面粗さ検出部の触針]
小坂研究所社製の商品名ET1480(先端曲率半径:0.5μm、材質:ダイヤモンド)
[表面粗さ測定器の測定条件]
・基準長さ(粗さ曲線のカットオフ値λc):0.8mm
・評価長さ(基準長さ(カットオフ値λc)×5):4.0mm
・触針の送り速さ:0.1mm/s
・予備長さ:(カットオフ値λc)×1
・縦倍率:10000倍
・横倍率:100倍
・フィルタ特性:ガウス
・レベリング:なし
・λsフィルタ:なし
1−2.全光線透過率
実施例、比較例及び参考例で得られた樹脂成形体の第1領域A1及び第2領域A2の全光線透過率(JIS K7361−1:1997)を測定した。測定装置はヘイズメーター(HM−150、村上色彩技術研究所製)を用いた。測定時の光入射面は第2主面とした。
1−3.境界の明瞭性(正面方向及び斜め45度方向)
黒色板上に空気層を介して実施例、比較例及び参考例で得られた樹脂成形体を設置したサンプルを作製した。該サンプルは、樹脂成形体の第2主面側が黒色板側を向くようにした。天井に複数の蛍光灯が配置された室内で、サンプルの正面方向から目視で評価した。評価者は、20歳代、30歳代、40歳代、50歳代の4つの年代から、男女5名ずつ合計40名とした。
第1領域A1と第2領域A2との境界が明瞭に区別できるものを3点、どちらとも言えないものを2点、第1領域A1と第2領域A2との境界が明瞭に区別できないものを1点として、上記40人の評価の平均点を算出し、下記の点数でランク分けした。
また、サンプルの斜め45度の方向からも同様の基準で評価し、ランク分けした。
<評価基準>
A:平均点が2.5以上
B:平均点が2.0以上2.5未満
C:平均点が2.0未満
1−4.強度
実施例、比較例及び参考例で得られた樹脂成形体を縦5cm×横10cmの大きさに切断したサンプルを作製した。該サンプルの四辺を枠で固定した状態で第1主面側からサンプルの中央部を指で押圧した。押圧により樹脂成形体が容易に変形したものを「C」、押圧により樹脂成形体が容易に変形しなかったものを「A」とした。
1−5.防眩性
1−3で作製したサンプルを水平な台上に置き、サンプルから1.5m上方に蛍光灯を配置し、サンプル上の照度が800〜1200Lxとした環境下で、様々な角度から観察し、下記基準で評価した。
AA:いかなる角度からも第1領域A1に蛍光灯の像が認識できない。
A:第1領域A1に蛍光灯の像は映り込むが、蛍光灯の輪郭がぼやけ、輪郭の境界部が認識できない。
C:第1領域A1に蛍光灯の像が鏡面のように映り込み、蛍光灯の輪郭(輪郭の境界部)がはっきりと認識できる。
2.転写シートの作製
2−1.版の作製
厚み200μmの銅メッキ層を有するシリンダーを準備し、シリンダーの全面を、離型シートの第1領域A’を形成する箇所が抜き加工されたマスクで覆った。次いで、ガラスビーズを用いたブラスト加工により、マスクで覆われていない箇所に凹凸を形成した。次いで、マスクを外し、シリンダーの表面を硬質メッキ処理(クロムメッキ)して版を得た。
2−2.離型シートの作製
厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)上に、下記処方の部分凹凸層形成用塗布液を塗布、乾燥し、厚み5.0μmの未硬化の塗膜を形成した。
<部分凹凸層形成用塗布液>
・紫外線硬化性樹脂組成物溶液
(共栄社化学社製、商品名:DCD-01-60ME、樹脂組成物:40質量%、メチルエチルケトン溶液、光重合開始剤含有)
次いで、上記「2−1」で作製した版を用いて、未硬化の塗膜を賦形すると同時に、ポリエチレンテレフタレートフィルム側から紫外線を照射して、賦形した塗膜を硬化させ、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に部分凹凸層を形成した。
次いで、部分凹凸層上に、下記処方の離型層形成用塗布液を全面に塗布、乾燥し、厚み0.5μmの離型層を形成し、離型シートを得た。該離型シート50は、転写層10と接する側から平面視した際に、第1領域A1’と、第1領域に隣接する第2領域A2’とを有するものであった(図7)。
<離型層形成用塗布液>
・アクリルポリオール 70質量部
(綜研化学社製、商品名:サーモラックSU100A)
・イソシアネート 25質量部
(三井化学社製、商品名:タケネートD−110N)
・酢酸エチル 161質量部
・メチルイソブチルケトン 56質量部
2−3.転写層の形成
上記「2−2」で得られた離型シート上に、下記処方の保護層形成用塗布液を乾燥後の付着量が4.4g/m(4.0μm)となるように塗布し、塗膜を形成した後、フュージョンUVランプシステムを用いて光源をHバルブ、搬送速度20m/min、出力40%の条件で照射し、保護層を半硬化させた。このときの積算光量を、アイグラフィックス社製の照度計(商品名:UVPF−A1)により測定したところ、15mJ/mであった。
<保護層形成用塗布液>
・ウレタンアクリレート系紫外線硬化樹脂組成物 70質量部
(大日精化社製、商品名:セイカビームHT−X)
(固形分35質量%、トルエン/酢酸エチル混合溶剤)
・ウレタンアクリレート系紫外線硬化樹脂組成物 30質量部
(大日精化社製、商品名:セイカビームEXF−HT−1)
(固形分40質量%、トルエン/メチルエチルケトン混合溶剤)
次いで、保護層上に下記処方のアンカーコート層形成用塗布液を乾燥後の付着量が3.0g/mとなるように塗布し、塗膜を形成した後、40℃で72時間乾燥し、硬化させ、厚さ2μmのアンカーコート層を形成した。
<アンカーコート層形成用塗布液>
・アクリルポリオール 100質量部
(大日精化社製、商品名:TM−VMAC、固形分25質量%)
(トルエン/酢酸エチル/メチルエチルケトン混合溶剤)
・へキサンメチレンジイソシアネート 10質量部
(大日精化社製、商品名:PTC−RC3)
(固形分75質量%、溶剤:酢酸エチル)
次いで、アンカーコート層上に下記処方の接着剤層形成用塗布液を乾燥後の付着量が2.5g/mとなるように塗布し、塗膜を形成した。該塗膜を乾燥し、厚み2μmのヒートシール性を有する接着剤層を形成し、転写シートを得た。
<接着剤層形成用塗布液>
・熱可塑性樹脂 465質量部
(大日精化社製、商品名:TM−R600、固形分20質量%)
・メチルエチルケトン 40質量部
3.賦型シートの作製
モスアイ構造が賦型されてなる、市販のモスアイ原版を準備した。該モスアイ原版に光重合開始剤を含む無溶剤の紫外線硬化性樹脂組成物(DNPファインケミカル製、商品名:FS15)を流し込み、該組成物からなる塗膜上に基材(厚み50μmのPETフィルム)を貼り合わせ、紫外線を照射して該塗膜を硬化した後に、該基材及び該塗膜を剥離して、塗膜厚み5.0μmの賦型シートを得た。
4.樹脂成形体の作製
[実施例1]
上下一組のインモールド成形用金型の一方の側に、上記「2」で作製した転写シートを配置し、該金型の他方の側に、上記「3」で作製した賦型シートを配置した。なお、転写シートは転写層側の面が金型の内側(射出樹脂と接する側)を向くようにし、賦型シートはモスアイ構造を有する側の面が金型の内側(射出樹脂と接する側)を向くように配置した。
次いで、金型を締め、金型内に射出樹脂(ポリカーボネート樹脂)を注入し、転写シートの転写層側の面と、射出樹脂を含む射出樹脂層(厚み2.0mm)と、賦型シートとを一体化させた積層体Aを得た。
次いで、金型を開けた後、積層体Aから転写シートの離型シート及び賦型シートを剥離し、射出樹脂層及び転写層を有する積層体Bを得た。積層体Bは、離型シートの剥離面である転写層の表面に第1領域A1及び第2領域A2を備えた第1主面を有し、賦型シートの剥離面である射出樹脂層の表面に凸部群から形成されてなるモスアイ構造を有してなるものであった。
次いで、積層体Bの射出樹脂層側の表面のうちの第2領域A2に対応する箇所の全部に、厚み2.0μmの黒色層を形成し、モスアイ構造を埋没させ、図2の断面構造からなる実施例1の樹脂成形体を得た。なお、モスアイ構造の凸部の平均ピッチは200nm、平均高さは300nm、平均間隔は50nmであった。実施例1の樹脂成形体の総厚みは約2.01mmであった。
[比較例1]
上下一組のインモールド成形用金型の一方の側に、上記「2」で作製した転写シートを配置し、該金型の他方の側には何も配置しなかった。なお、転写シートは転写層側の面が金型の内側(射出樹脂と接する側)を向くようにし配置した。
次いで、金型を締め、金型内に射出樹脂(ポリカーボネート樹脂)を注入し、転写シートの転写層側の面と、射出樹脂を含む射出樹脂層(厚み2.0mm)とを一体化させた積層体Cを得た。
次いで、金型を開けた後、積層体Cから転写シートの離型シートを剥離し、射出樹脂層及び転写層を有する積層体Dを得た。積層体Dは、離型シートの剥離面である転写層の表面に第1領域A1及び第2領域A2を備えた第1主面を有してなるものであった。
次いで、積層体Dの射出樹脂層側の表面のうちの第2領域A2に対応する箇所の全部に、厚み2.0μmの黒色層を形成し、比較例1の樹脂成形体を得た。比較例1の樹脂成形体の総厚みは約2.01mmであった。
[比較例2]
比較例1と同様にして積層体Dを得た。次いで、積層体Dの射出樹脂層側の表面の全面に、下記処方の高屈折率層形成用塗布液を塗布、乾燥した後、紫外線を照射し、厚み100nmの高屈折率層を形成した。次いで、高屈折率層上の全面に、下記処方の低屈折率層形成用塗布液を塗布、乾燥した後、紫外線を照射し、厚み100nmの低屈折率層を形成した。
次いで、低屈折率層の表面のうちの第2領域A2に対応する箇所の全部に、厚み2.0μmの黒色層を形成し、比較例2の樹脂成形体を得た。比較例2の樹脂成形体の総厚みは約2.01mmであった。
<高屈折率層形成用塗布液>
・プロピレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート 100質量部
(商品名「ATM−4P」、新中村化学工業社製、固形分100%)
・五酸化アンチモン含有分散液 988質量部
(商品名「V−4564」、日揮触媒化成社製、固形分40.5%、平均一次粒子径20nm)
・フッソ系レベリング剤 300質量部
(商品名「メガファックF568」、DIC社製、固形分5%)
・光重合開始剤 8質量部
(商品名「イルガキュア127」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・メチルイソブチルケトン 6800質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 6500質量部
<低屈折率層形成用塗布液>
・光重合開始剤 7質量部
(BASF社製、商品名「Irgacure127」)
・紫外線硬化性樹脂 75質量部
(新中村化学工業社製、商品名「ATM−4P」)
・紫外線硬化性樹脂 25質量部
(日本化薬社製、商品名「PET−30」)
・中空シリカ微粒子分散液 700質量部
(固形分20%、平均一次粒子径60nm)
・反応性シリカ微粒子分散液 83質量部
(日産化学工業社製、商品名「MIBK−SD」 固形分30% 平均一時粒径10nm)
・メチルイソブチルケトン 9300質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 1100質量部
[参考例1]
射出樹脂層の厚みを0.5mmに変更した以外は、実施例1と同様にして、参考例1の樹脂成形体を得た。比較例3の樹脂成形体の総厚みは約0.51mmであった。
表1の結果から、実施例1の樹脂成形体は、総厚が2.0mmを超える厚膜であるにも関わらず、凹凸領域(第1領域A1)と平滑領域(第2領域A2)との境界が明瞭であり、優れた意匠性による高級感を付与できるものであることが確認できる。また、実施例1の樹脂成形体は強度にも優れることが確認できる。
10:転写層
11:保護層
12:アンカーコート層
13:接着剤層
20:射出樹脂層
21:モスアイ構造
30:暗色層
100:樹脂成形体
50:離型シート
51:支持体
52:部分凹凸層
53:離型層
200:転写シート
300:賦型シート
401、501:送り出しロール
402、502:巻き取りロール
601、602:金型

Claims (7)

  1. 第1主面と、前記第1主面とは反対側の第2主面とを有する樹脂成形体であって、
    前記樹脂成形体は厚みが1.0mm以上であり、
    前記樹脂成形体は、前記第1主面側から平面視した際に、第1領域A1と、前記第1領域に隣接する第2領域A2とを有し、
    前記第1領域A1の表面の算術平均粗さRa1と、前記第2領域A2の表面の算術平均粗さRa2とが、Ra1>Ra2の関係を満たし、
    前記第2主面側の前記第1領域A1に対応する箇所に凸部群から形成されてなるモスアイ構造を有し、前記第2主面側の前記第2領域A2に対応する箇所の少なくとも一部に暗色層を有する、樹脂成形体。
  2. 前記凸部群を構成する凸部がランダムに配置されてなる、請求項1に記載の樹脂成形体。
  3. 前記樹脂成形体の前記第2領域A2のうちの暗色層を有する箇所の全光線透過率が1%以下である、請求項1又は2に記載の樹脂成形体。
  4. 表示素子の前面板用である、請求項1〜3の何れか1項に記載の樹脂成形体。
  5. 下記(A1)〜(A4)の工程を有する、請求項1に記載の樹脂成形体の製造方法。
    (A1)上下一組のインモールド成形用金型の一方の側に、樹脂成形体の第1主面と相補的な形状を有する離型シート上に転写層が形成されてなる転写シートを配置し、前記金型の他方の側に、樹脂成形体の第2主面の凸部群から形成されてなるモスアイ構造と相補的な形状を有する賦型シートを配置する工程。
    (A2)前記金型を締め、前記金型内に射出樹脂を注入し、前記転写シートの転写層側の面と、前記射出樹脂を含む射出樹脂層と、前記賦型シートとを密着させた積層体Aを得る工程。
    (A3)前記金型を開けた後、前記積層体Aから転写シートの離型シート及び賦型シートを剥離し、前記射出樹脂層及び前記転写層を有する積層体Bであって、離型シートの剥離面である転写層の表面に第1領域A1及び第2領域A2を備えた第1主面を有し、賦型シートの剥離面である射出樹脂層の表面に凸部群から形成されてなるモスアイ構造を有してなる、積層体Bを得る工程。
    (A4)前記積層体Bの射出樹脂層側の表面のうちの第2領域A2に対応する箇所の少なくとも一部に暗色層を形成し、前記射出樹脂層の表面のうちの第1領域A1に対応する箇所に前記モスアイ構造を有し、第2領域A2に対応する箇所の少なくとも一部に前記暗色層を有してなる、第2主面を形成する工程。
  6. 表示素子上に、請求項1〜4の何れか1項に記載の樹脂成形体を有してなり、前記樹脂成形体の前記第2主面側が前記表示素子側を向くように配置してなる、画像表示装置。
  7. カーナビゲーション用である請求項6に記載の画像表示装置。
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