JP6922240B2 - 離型シート、転写シート、加飾成形品の製造方法 - Google Patents

離型シート、転写シート、加飾成形品の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6922240B2
JP6922240B2 JP2017020620A JP2017020620A JP6922240B2 JP 6922240 B2 JP6922240 B2 JP 6922240B2 JP 2017020620 A JP2017020620 A JP 2017020620A JP 2017020620 A JP2017020620 A JP 2017020620A JP 6922240 B2 JP6922240 B2 JP 6922240B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
transfer
release
release sheet
resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017020620A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018126906A (ja
Inventor
貴之 嶋田
貴之 嶋田
正弘 波多野
正弘 波多野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to JP2017020620A priority Critical patent/JP6922240B2/ja
Publication of JP2018126906A publication Critical patent/JP2018126906A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6922240B2 publication Critical patent/JP6922240B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)

Description

本発明は、離型シート、転写シート、加飾成形品の製造方法に関する。
従来、家庭用電化製品、自動車内装品、及び雑貨品等の分野において、被転写物表面に、文字や絵柄などの装飾を施した加飾成形品とすることにより、高い機能性や意匠性を発現させてきた。
被転写物表面を装飾した加飾成形品を得る方法として、転写法がある。転写法とは、支持体上に、剥離層、図柄層、接着層などからなる転写層を形成した転写シートを用い、加熱加圧して転写層を被転写物に密着させた後、支持体を剥離して、被転写物表面に転写層のみを転写して装飾を行う方法である。
例えば、特許文献1には、基体シート上に全面的にマット剤を含有する離型層と、部分的に活性エネルギー線硬化性樹脂を含有するマスク層と、転写層として剥離層と図柄層とが形成されたことを特徴とする部分凹凸転写シートが開示されている。
特許5095598号公報
しかし、特許文献1の部分マット転写シートにより転写した転写層は、正面から視認した際には欠陥が視認されなくても、斜めから視認した際に凹凸部が歪んで視認される箇所が面内に散見され、意匠性が十分ではない場合が頻発した。意匠性の低下は加飾成形品の歩留まりの低下にもつながる。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、意匠性及び歩留まりに優れた加飾成形品が得られる離型シート及び転写シートを提供することを課題とする。また、本発明は、該転写シートを用いた加飾成形品の製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決すべく、本発明は、以下の[1]〜[3]を提供する。
[1]支持体上に凹凸層及び離型層を有する離型シートであって、JIS B0601:1994に準じて測定される前記凹凸層のカットオフ値0.8mmでの最大高さRy、JIS B0601:1994に準じて測定される前記凹凸層のカットオフ値0.8mmでの算術平均粗さRa、JIS B0601:1994に準じて測定される前記凹凸層のカットオフ値0.8mmでの十点平均粗さRz、及び前記離型層の厚みTとが、下記条件(1)及び(2)を満たす離型シート。
3.0≦Ry/Ra (1)
T/Rz≦0.50 (2)
[2]上記[1]に記載の離型シート上に転写層を有する転写シート。
[3]上記[2]に記載の転写シートの転写層を被転写物に転写する工程と、前記転写シートの前記離型シートを剥離する工程とを有する、加飾成形品の製造方法。
本発明によれば、意匠性及び歩留まりに優れた加飾成形品が得られる離型シート及び転写シートを提供することができる。また、本発明によれば、意匠性及び歩留まりに優れた加飾成形品を簡易に製造することができる。
本発明の離型シートの一例を示す断面図である。 比較例の離型シートの一例を示す断面図である。
[離型シート]
本発明の離型シートは、支持体上に凹凸層及び離型層を有してなり、JIS B0601:1994に準じて測定される前記凹凸層のカットオフ値0.8mmでの最大高さRy、JIS B0601:1994に準じて測定される前記凹凸層のカットオフ値0.8mmでの算術平均粗さRa、JIS B0601:1994に準じて測定される前記凹凸層のカットオフ値0.8mmでの十点平均粗さRz、及び前記離型層の厚みTとが、下記条件(1)及び(2)を満たすものである。
3.0≦Ry/Ra (1)
T/Rz≦0.50 (2)
離型シートは、後述する本発明の転写シートの離型シートとして用いられる。離型シートは、樹脂成形体等の被転写物に転写層を転写した後に剥離される。
図1は、本発明の離型シートの一実施形態を示す断面図である。図1の離型シート10は、支持体11上に凹凸層12及び離型層13を有した構成となっている。
離型シートの構成は図1の構成に限定されず、支持体、凹凸層及び離型層以外の層を有していてもよい。
<条件(1)及び条件(2)>
本発明の離型シートは、上記条件(1)及び(2)を満たすものである。
条件(1)では、JIS B0601:1994に準じて測定される凹凸層のカットオフ値0.8mmでの最大高さRyと、JIS B0601:1994に準じて測定される凹凸層のカットオフ値0.8mmでの算術平均粗さRaとの比[Ry/Ra]が3.0以上であることを要求している。
Ryは粗さ曲線の最大高さであり、Raは粗さ曲線の算術平均である。つまり、条件(1)のRy/Raは、凹凸層の中に存在する特異的な凹凸のレベルを示している。具体的には、条件(1)においてRy/Raが3.0以上であることは、平均的な凹凸の3.0倍を超える特異的な凹凸が存在することを示している。
Ry/Raが3.0以上の離型シート上に転写層を有する転写シートの転写層を被転写物に転写した場合、転写層の表面に欠陥が視認される場合がある。具体的には、正面から視認した際には転写層に欠陥が視認されなくても、斜めから視認した際に、特異的な凹凸を原因として、転写層が歪んで視認される箇所が面内に散見される場合がある。
しかし、本発明の離型シートは、Ry/Raが3.0以上の特異的な凹凸を有していても、条件(2)を満たすことにより、斜めから視認した際に転写層が歪んで視認されることを抑制することを可能としている。
条件(2)では、JIS B0601:1994に準じて測定される前記凹凸層のカットオフ値0.8mmでの十点平均粗さRzと、離型層の厚みTとが、T/Rz≦0.50であることを要求している。
Rzは凹凸のランダム性の指標となるパラメータである。したがって、Rzが大きい場合、転写後の転写層に特異的な凹凸が存在したとしても、該特異的な凹凸付近が歪んで見えることを抑制しやすくできる傾向にある。しかし、凹凸層上に離型層を形成した場合、離型シート表面の凹凸のランダム性が緩和されてしまう。
条件(2)においてT/Rzが0.50以下であることは、図1に示すように、離型層によって離型シート表面の凹凸のランダム性が緩和され過ぎないことを意味している。したがって、条件(1)を満たすような特異的な凹凸が存在する場合であっても、条件(2)を満たすことにより、転写後の転写層の特異的な凹凸が視認されることを抑制し、意匠性及び歩留まりを向上できる。
一方、T/Rzが0.50を超える場合、図2に示すように、離型層表面の凹凸のランダム性が緩和され過ぎてしまい、転写後の転写層の特異的な凹凸が視認され、転写層が歪んで視認されてしまう。
なお、Ry/Raが大きいとブロッキングを抑制しやすい傾向にあり、Ry/Raが大き過ぎると転写後の転写層が白化しやすい傾向にある。
このため、条件(1)のRy/Raは、3.0〜15.0であることが好ましく、5.0〜12.0であることがより好ましく、6.0〜10.0であることがさらに好ましい。
なお、本明細書において「AA〜BB」とは、「AA以上BB以下」のことをいう。以下、同様である。
また、T/Rzが小さいほど、斜めから視認した際に転写層が歪んで視認されることを抑制しやすくできるが、T/Rzが小さ過ぎると、転写後の凹凸層が白化しやすくなる。また、被転写物を液晶表示素子等の表示素子の前面に用いる場合において、T/Rzが小さ過ぎると、ギラツキが生じやすくなる。「ギラツキ」とは、凹凸構造に起因して、映像光に微細な輝度のばらつきが見える現象のことをいう。
このため、条件(2)のT/Rzは、0.10〜0.50であることが好ましく、0.12〜0.48であることがより好ましく、0.15〜0.45であることがさらに好ましい。
なお、本発明において、Ry、Ra及びRz、並びに後述するSmは、離型シートの中間体(支持体上に凹凸層を有する積層体)の中央部分から5.5cm×5.5cmのサンプルを切り出し、該サンプルの縦方向を0.5cm間隔で10点測定、該サンプルの横方向を0.5cm間隔で10点測定し、合計20点の測定値の平均値とする。
また、本発明において、離型層の厚みTは、離型シートの中央部分を垂直方向に切断した断面の断面写真を撮像し、該断面写真から離型層の厚みを500μm間隔で少なくとも20箇所算出した際の平均値とする。
<その他の凹凸層の表面形状>
凹凸層の最大高さRyは、0.7〜7.0μmであることが好ましく、1.0〜6.0μmであることがより好ましく、1.5〜5.0μmであることがさらに好ましい。
Ryを0.7μm以上とすることによりブロッキングを抑制しやすくすることができ、Ryを7.0μm以下とすることにより転写後の転写層の白化を抑制しやすくできる。
凹凸層の算術平均粗さRaは、0.05〜2.00μmであることが好ましく、0.10〜1.00μmであることがより好ましく、0.20〜0.50μmであることがさらに好ましい。
Raを0.05μm以上とすることにより転写後の転写層に防眩性を付与しやすくすることができ、Raを2.00μm以下とすることにより転写後の転写層の白化を抑制しやすくできる。
凹凸層の十点平均粗さRzは、0.20〜5.00μmであることが好ましく、0.30〜4.00μmであることがより好ましく、0.50〜2.80μmであることがさらに好ましい。
Rzを0.20μm以上とすることにより、転写後の転写層の欠陥を目立ちにくくすることができる。また、Rzを5.00μm以下とすることにより、転写後の転写層の白化を抑制しやすくできる。なお、Rzを5.00μm以下とすることにより、被転写物を液晶表示素子等の表示素子の前面に用いる場合、ギラツキを抑制しやすくできる。
凹凸層は、凹凸層のカットオフ値0.8mmでの十点平均粗さRzと、凹凸層の算術平均粗さRaとが、Rz/Ra≦10.0の関係を満たすことが好ましい。
Rz/Raは、凹凸のランダム性をより正確に示すパラメータであり、Rz/Raが10.0以下であることは、凹凸層のランダム性が弱いことを意味する。Rz/Raを10.0以下とすることにより、転写後の転写層の凹凸が均質化され、意匠性を良好にすることができる。
Rz/Raは、意匠性と欠陥の目立ちにくさとのバランスの観点から、3.0〜8.0であることがより好ましく、4.0〜7.0であることがさらに好ましい。
凹凸層は、JIS B0601:1994に準じて測定される凹凸層のカットオフ値0.8mmでの凹凸の平均間隔Smが10〜200μmであることが好ましく、20〜100μmであることがより好ましく、30〜80μmであることがさらに好ましい。
<支持体>
離型シートを構成する支持体としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体などのビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチルなどのアクリル系樹脂、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、ナイロン6又はナイロン66などで代表されるポリアミド系樹脂などの樹脂からなるプラスチックフィルムが挙げられる。
これらのプラスチックフィルムの中では、耐熱性、寸法安定性に優れ、転写時の位置合わせの適性に優れる2軸延伸ポリエステルフィルムが好適である。
支持体の厚みは、成形性、形状追従性、取り扱いの観点から、12〜150μmであることが好ましく、25〜100μmであることがより好ましい。
また、支持体の表面には、樹脂層等との接着性を高めるために、コロナ放電処理、酸化処理等の物理的な処理や、アンカー剤又はプライマーと呼ばれる塗料の塗布を予め行ってもよい。
<凹凸層>
凹凸層の凹凸形状は、被転写物に転写層を転写した後に、被転写物の表面に形成される凹凸形状と近い形状である。すなわち、被転写物に転写層を転写した後に、凹凸層の凹凸形状と相補的な形状に近い形状が被転写物の表面に形成される。このように、被転写物に凹凸が形成されることにより、被転写物の意匠性を向上したり、被転写物に防眩性を付与したりすることができる。
離型シートを構成する凹凸層は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂組成物の硬化物、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物等の樹脂成分を主成分として含むことが好ましい。なお、主成分とは、凹凸層を構成する全固形分の50質量%以上を意味し、該割合は70質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。
上記の樹脂成分の中でも、強度に優れるとともに、瞬時に硬化するため正確かつ精密な形状を付与できる電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物が好適である。また、電離放射線硬化性樹脂組成物による効果を得やすくする観点から、凹凸層を構成する全樹脂成分のうち、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を70質量%以上含むことが好ましく、90質量%以上含むことがより好ましく、95質量%以上含むことがさらに好ましく、100質量%含むことがよりさらに好ましい。
凹凸層は、コーティングにより形成してもよいが、正確かつ精密な形状を形成する観点から、凹凸層の形状と相補的な形状を有する版を用いた印刷により形成することが好ましい。版を用いた凹凸層の形成方法の詳細は後述する。
なお、コーティング法による凹凸層は、支持体上に、粒子を含有する塗布液を塗布、乾燥することにより形成される。コーティング法は、粒子の凝集によってRy、Ry/Ra、Rz/Ra等が極端に大きくなりやすいため、凹凸層の形成手段としては好ましくない。
熱硬化性樹脂組成物は、少なくとも熱硬化性樹脂を含む組成物であり、加熱により、硬化する樹脂組成物である。熱硬化性樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂組成物には、これら硬化性樹脂に、必要に応じて硬化剤が添加される。
電離放射線硬化性樹脂組成物は、電離放射線硬化性官能基を有する化合物(以下、「電離放射線硬化性化合物」ともいう)を含む組成物である。電離放射線硬化性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合基、及びエポキシ基、オキセタニル基等が挙げられる。
電離放射線硬化性樹脂としては、エチレン性不飽和結合基を有する化合物が好ましい。また、転写シートを製造する過程で樹脂層が傷つくことを抑制する観点からは、電離放射線硬化性樹脂としては、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する化合物がより好ましく、中でも、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する、多官能性(メタ)アクリレート系化合物が更に好ましい。多官能性(メタ)アクリレート系化合物としては、モノマー及びオリゴマーのいずれも用いることができる。
なお、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も使用可能である。
多官能性(メタ)アクリレート系化合物のうち、2官能(メタ)アクリレート系モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAテトラエトキシジアクリレート、ビスフェノールAテトラプロポキシジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート等が挙げられる。
3官能以上の(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性トリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、上記(メタ)アクリレート系モノマーは、分子骨格の一部を変性しているものでもよく、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、カプロラクトン、イソシアヌル酸、アルキル、環状アルキル、芳香族、ビスフェノール等による変性がなされたものも使用することができる。
また、多官能性(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート等のアクリレート系重合体等が挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、多価アルコール及び有機ジイソシアネートとヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応によって得られる。
また、好ましいエポキシ(メタ)アクリレートは、3官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と多塩基酸と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、及び2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等とフェノール類と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレートである。
上記電離放射線硬化性樹脂は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
電離放射線硬化性樹脂が紫外線硬化性樹脂である場合には、凹凸層形成用インキは、光重合開始剤や光重合促進剤等の添加剤を含むことが好ましい。
光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、α−ヒドロキシアルキルフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α−アシルオキシムエステル、チオキサンソン類等から選ばれる1種以上が挙げられる。
また、光重合促進剤は、硬化時の空気による重合阻害を軽減させ硬化速度を速めることができるものであり、例えば、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等から選ばれる1種以上が挙げられる。
凹凸層の厚みは特に限定されないが、凹凸層の厚みが大き過ぎると、転写時に凹凸層にクラックが生じやすくなる。このため、凹凸層の厚みは、20.0μm以下であることが好ましく、18.0μm以下であることがより好ましく、15.0μm以下であることがさらに好ましい。
また、支持体の露出を抑制するため、[凹凸層の厚み−凹凸層のRy]が0μm超であることが好ましく、0.5μm以上であることがより好ましく、1.0μm以上であることがさらに好ましい。
凹凸層の厚みは、離型シートの中間体(支持体上に凹凸層を有する積層体)の中央部分から5.5cm×5.5cmのサンプルを切り出し、サンプルの中心を基準として、1cm間隔で格子状に計25箇所測定した凹凸層の厚みの平均値とする。なお、凹凸層の厚みは、例えば、接触式の膜厚測定器等を用いて上記サンプルの総厚み(例えば、支持体及び凹凸層の合計厚み)を測定し、該総厚みから支持体厚みを引くことにより算出できる。
凹凸層中には、離型シートと転写層との離型性を向上する観点から、粒子を実質的に含有しないことが好ましい。具体的には、凹凸層中の粒子の含有量は1質量%未満であることが好ましく、0.1質量%未満であることがより好ましく、0.01質量%未満であることがさらに好ましく、0質量%であることがよりさらに好ましい。
<離型層>
離型層は転写層の離型性を向上させる役割を有する。また、凹凸層上に離型層が形成されることで、凹凸層の凹凸形状の高周波成分が減少し、被転写物の白化及びギラツキを抑制しやすくできる。
離型層は主として樹脂から構成することが好ましい。
離型層の樹脂は、所定の被膜強度を有し、転写層との接着力が低い材料であれば特に限定されず、汎用の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂組成物の硬化物、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物等が挙げられる。具体的には、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、セルロース系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂、硝化綿等が挙げられる。
これらの中でも、熱硬化性樹脂組成物の硬化物が好ましく、アクリルポリオール及びイソシアネートを含む熱硬化性樹脂組成物がより好ましい。
離型層は、離型性を向上させるために離型剤をさらに含んでもよい。離型剤としては、合成ワックスや天然ワッス等のワックス類が挙げられる。合成ワックスとしては、ポリエチレンワックスやポリプピレンワックス等のポリオレフィンワックスが好ましい。
離型層の厚みTは条件(2)を満たす限り特に限定されない。なお、離型層の厚みが大き過ぎると、転写後の凹凸層の欠陥の見えにくさに寄与し得る「凹凸層の高周波成分の凹凸」が過度に減少する可能性がある。また、離型層の厚みが小さすぎると、転写後の凹凸層が白化しやすくなったり、ギラツキが生じやすくなったりする場合がある。
このため、離型層の厚みTは、1.0μm未満であることが好ましく、0.1μm以上1.0μm未満であることがより好ましく、0.2〜0.8μmであることがさらに好ましい。
離型シートは、その他の層を有していてもよい。
その他の層としては、帯電防止層が挙げられる。帯電防止層を有することにより、離型シートを剥離する際の剥離帯電を抑制でき、転写の作業性を向上できる。
帯電防止層は、電子伝導型帯電防止剤、イオン伝導型帯電防止剤等の帯電防止剤、及びバインダー樹脂を含むことが好ましい。
帯電防止層は、離型シートの転写層と接する側の面とは反対側の表面に形成されていることが好ましい。
帯電防止層は、表面抵抗率を1.0×10−9Ω/□〜1.0×10−12Ω/□の範囲に調整することが好ましい。
なお、帯電防止剤を樹脂層等の他の層に含有させて帯電防止性を発揮させてもよい。
<ヘイズ>
離型シートは、JIS K7136:2000に準じて測定されるヘイズが2.0%超であることが好ましく、2.0%超10.0%以下であることがより好ましく、2.5%以上8.0%以下であることがさらに好ましい。
離型シートのヘイズは、加飾成形品の外部ヘイズとして反映される。このため、離型シートのヘイズを2.0%超とすることにより、転写後の転写層の欠陥を目立ちにくくすることができる。また、離型シートのヘイズを10.0%以下とすることにより、転写後の転写層の白化を抑制できる。
<離型シートの製造方法>
離型シートは、例えば、以下の(A1)〜(A2)の工程により製造できる。
(A1)支持体上に、電離放射線硬化性樹脂組成物を含む凹凸層形成用インキを塗布し、電離放射線硬化性樹脂組成物を含む層を形成する工程。
(A2)凹凸層の形状と相補的な形状を有する版を用いて、未硬化の凹凸層を賦形すると同時に、電離放射線を照射して、賦形した凹凸層を硬化させる工程。
(A3)凹凸層上に離型層を形成する工程。
電離放射線硬化性樹脂組成物が溶剤を含む場合、(A1)工程で溶剤を乾燥させることが好ましい。
(A3)工程において、離型層は、例えば、凹凸層上に離型層形成用インキを塗布、乾燥することにより形成できる。
(A2)工程で使用する版は、例えば、エッチング、サンドブラスト、切削及びレーザー加工、あるいはこれらの組み合わせなどによって、シリンダーの表面を所望の形状に彫刻することにより得ることができる。あるいは、レーザー彫刻、光造形等によって長尺の雄型の版(凹凸層の形状と同一の形状を有する版)を作製し、これを反転したものをシリンダーの表面に巻き付けることによって得ることができる。
上記の版の作成手段の中でもサンドブラストが好適である。サンドブラストでシリンダーの表面に彫刻する場合、シリンダー表面への研磨材の衝突回数を調整することにより、極端に特異的な凹凸が形成されることを抑制しつつ、適度なランダム性を有する形状を得ることができる。すなわち、サンドブラストにより形成した版は、Ry/Ra、Rz/Raを上述した範囲に調整しやすい点で好適である。
サンドブラストでは、例えば、シリンダー表面の材質、研磨材の粒子径、研磨材の材質、シリンダーへの研磨材の衝突回数、噴射ノズルとシリンダーとの距離、噴射圧、噴射周波数等を調整することにより、凹凸形状を調整できる。
なお、エッチング、切削及びレーザー加工でも凹凸のランダム性は付与し得るが、これらの手段ではプログラム等による人工的なランダム性の付与となるため、サンドブラストに比べて簡易性に劣る。
(A2)工程で使用する版の表面は、クロム等で硬質メッキ処理することが好ましい。
また、離型シートは、例えば、以下の(B1)〜(B3)工程によっても製造できる。
(B1)凹凸層の形状と相補的な形状を有する版に、凹凸層形成用インキを充填する工程。
(B2)版に充填した凹凸層形成用インキを支持体上に転写し、必要に応じて乾燥及び硬化して、凹凸層を形成する工程。
(B3)凹凸層上に離型層を形成する工程。
正確かつ精密な形状を形成する観点からは、上述した(A1)〜(A3)工程が好適である。
また、(A3)工程及び(B3)工程では、条件(2)を満たしやすくするため、離型層を薄めに形成することが好ましい。
[転写シート]
本発明の転写シートは、上述した本発明の離型シート上に転写層を有するものである。
<転写層>
転写層は、被転写物に転写される層である。転写層としては、例えば、離型シートに近い側から順に、保護層、アンカー層、接着剤層が挙げられる。
<保護層>
転写層を構成する保護層は、硬化性樹脂組成物の硬化物を含む層である。保護層は、転写層が転写シートから被転写物へと転写された後は、摩耗や光、薬品等から加飾成形品を保護する役割を有する。
保護層は硬化性樹脂組成物の硬化物を主成分として含むことが好ましい。主成分とは、保護層を構成する全固形分の50質量%以上を意味し、該割合は70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがよりさらに好ましい。
硬化性樹脂組成物の硬化物は、熱硬化性樹脂組成物の硬化物、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物が挙げられ、これらの中でも電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物が好ましい。
また、保護層は熱可塑性樹脂を含有してもよいが、耐擦傷性を向上する観点から、その量は微量であることが好ましい。具体的には、保護層中の熱可塑性樹脂の含有量は5質量%未満であることが好ましく、1質量%未満であることがより好ましく、0.1質量%未満であることがさらに好ましく、0質量%であることがよりさらに好ましい。
保護層の硬化性樹脂組成物の実施の形態は、上述した凹凸層の硬化性樹脂組成物の実施の形態と同様である。
なお、硬化性樹脂組成物の硬化物は、保護層を形成する時点では半硬化の状態にしておき、被転写物に転写した後に、加熱、電離放射線の照射等により硬化性樹脂組成物の硬化を進行させ、完全硬化させてもよい。このようにすることにより、被転写物に対する転写シートの追従性が良好となるため、成形性を良好にすることができる。
保護層中には、有機粒子及び無機粒子等の粒子を含有してもよい。保護層中に粒子を含有することにより、樹脂成分との屈折率差による内部ヘイズの発現により、ギラツキや欠陥を目立ちにくくすることができる。これらの粒子は、同様の目的で、後述する接着剤層、アンカー層等に含有させてもよい。
有機粒子としては、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリル−スチレン共重合体、メラミン樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ベンゾグアナミン−メラミン−ホルムアルデヒド縮合物、シリコーン、フッ素系樹脂及びポリエステル系樹脂等からなる粒子が挙げられる。
無機粒子としては、シリカ、アルミナ、アンチモン、ジルコニア及びチタニア等からなる粒子が挙げられる。
粒子の平均粒子径は、0.05〜5.0μmが好ましく、0.5〜3.0μmがより好ましい。
本明細書において、平均粒子径は、溶液中の該粒子を動的光散乱方法で測定し、粒子径分布を累積分布で表したときの50%粒子径(d50:メジアン径)である。50%粒子径は、例えば、Microtrac粒度分析計(日機装株式会社製)を用いて測定することができる。
粒子の含有量は、保護層の樹脂成分100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましく、1〜10質量部であることがより好ましい。
保護層の厚みは、表面硬度及び成形性のバランスの観点から、0.5〜30μmであることが好ましく、1〜20μmであることがより好ましく、3〜10μmであることがさらに好ましい。
<接着剤層>
接着剤層は、樹脂成形体等の被転写物と、転写層との接着性を良好にして、転写作業を良好にする役割を有する。
なお、保護層と被転写物との接着性が良好な場合は、接着剤層を設けなくてもよい。
接着剤層は、被転写物の素材に適した感熱性又は感圧性の樹脂を使用することが好ましい。例えば、被転写物の材質がアクリル系樹脂の場合は、アクリル系樹脂を用いることが好ましい。また、被転写物の材質がポリフェニレンオキサイド・ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、スチレン系樹脂の場合は、これらの樹脂と親和性のあるアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂などを使用することが好ましい。さらに、被転写物の材質がポリプロピレン樹脂の場合は、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩素化エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、環化ゴム、クマロンインデン樹脂を使用することが好ましい。
接着剤層には、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤等の添加剤を配合してもよい。
接着剤層の厚みは、0.1〜10μmであることが好ましく、0.5〜5μmであることがより好ましい。
<アンカー層>
アンカー層は、インモールド成形等の高温環境に置かれる場合において、耐熱性を向上させるために必要に応じて設けられる層である。アンカー層は、保護層と接着剤層との間に形成することが好ましい。
アンカー層は、硬化性樹脂組成物の硬化物を含むことが好ましい。
硬化性樹脂組成物としては、熱硬化性樹脂組成物、電離放射線硬化性樹脂組成物が挙げられる。
アンカー層の熱硬化性樹脂組成物、電離放射線硬化性樹脂組成物の実施の形態は、樹脂層の熱硬化性樹脂組成物、電離放射線硬化性樹脂組成物の実施の形態と同様である。
アンカー層の厚みは、0.1〜6μmであることが好ましく、0.5〜5μmであることがより好ましい。
<印刷層>
転写層は、さらに印刷層を有していてもよい。印刷層は、加飾成形品に所望の意匠性を付与する役割を有する。
印刷層のパターンは任意であり、例えば、木目、石目、布目、砂目、円、四角形、多角形、幾何学模様、文字、ベタ印刷等が挙げられる。
印刷層は、ポリビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、セルロース系樹脂等のバインダー樹脂と、顔料及び/又は染料とを含むことが好ましい。
印刷層の厚みは、意匠性の観点から0.5〜40μmが好ましく、1〜30μmがより好ましい。
転写層を構成する保護層、接着剤層、アンカー層、印刷層等の各層は、例えば、各層の構成成分を含むインキを調整し、離型シート上に、グラビアコート法、ロールコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法により塗布、乾燥し、必要に応じて電離放射線を照射して硬化することにより形成できる。
[加飾成形品の製造方法]
本発明の加飾成形品の製造方法は、上述した本発明の転写シートの転写層を被転写物に転写する工程と、転写シートの離型シートを剥離する工程と、を有する。
被転写物としては、樹脂成形体等が挙げられる。
加飾成形品の製造方法には、公知の転写法を用いることができる。例えば、(i)予め成形された被転写物に転写シートを貼着し、該転写シートの転写層を転写した後、該転写シートの離型シートを剥離する方法、(ii)平板状の被転写物に転写シートを貼着し、該転写シートの転写層を転写した後、該転写シートの離型シートを剥離し、その後、転写層が積層された被転写物を成形する方法、(iii)被転写物を射出成形する際に転写シートと一体化させ、その後、転写シートの離型シートを剥離する方法〔インモールド成形(射出成形同時転写加飾法)〕等が挙げられる。中でも、インモールド成形(射出成形同時転写加飾法)によれば、三次元曲面などの複雑な表面形状を有する樹脂成形体に加飾成形することができる。
インモールド成形による本発明の転写シートを用いる加飾成形品の製造方法の一実施態様としては、
(z1)上記の転写シートの転写層側をインモールド成形用金型の内側に向けて配置する工程と、
(z2)上記インモールド成形用金型内に樹脂を射出注入する工程と、
(z3)上記転写シートと、上記樹脂とを一体化させて、樹脂成形体(被転写物)の表面上に上記転写シートの転写層を転写する工程と、
(z4)樹脂成形体(被転写物)を金型から取り出した後、上記転写シートの離型シートを剥離する工程と、を有するものが挙げられる。
保護層が半硬化の状態の場合、(z4)工程の終了後に紫外線を照射して保護層を完全に硬化させることが好ましい。
<樹脂成形体>
樹脂成形体としては、射出成形可能な熱可塑性樹脂もしくは熱硬化性樹脂を用いることが好ましく、公知の様々な樹脂を用いることができる。
本発明による加飾成形品をインモールド成形により製造する場合には、熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。このような熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂(耐熱ABS樹脂を含む)、AS樹脂、AN樹脂、ポリフェニレンオキサイド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリブチレンテフタレート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、およびポリフェニレンサルファイド系樹脂等が挙げられる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、本発明は、実施例に記載の形態に限定されるものではない。
1.版の作製
1−1.版Aの作製
厚み200μmの銅メッキ層を有するシリンダーを準備した。該シリンダーを回転しながら該シリンダーの表面を下記条件でサンドブラスト処理して、版Aを作製した。
[サンドブラスト条件]
・シリンダーの直径:300mm
・パス回数:5回
・研磨粒子:平均粒子径83μmのガラスビーズ
・噴射ノズルの直径:400mm
・噴射圧:0.20MPa
・周波数:90Hz
※「パス回数」とは、サンドブラスト処理の開始から終了までのシリンダーの回転数である。つまり、パス回数が多いほどサンドブラスト処理の時間が長くなる。
1−2.版B、Cの作製
噴射圧を0.23MPaに変更した以外は、版Aと同様にして版Bを作製した。
噴射圧を0.26MPaに変更した以外は、版Aと同様にして版Cを作製した。
2.離型シートの作製
[実施例1]
厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に、下記処方の凹凸層形成用インキを塗布、乾燥し、未硬化の凹凸層を形成した。
<凹凸層形成用インキ>
・電離放射線硬化性樹脂組成物 60質量部
(共栄化学社製、ES105M)
・メチルエチルケトン 40質量部
・シリコーン系レベリング剤 0.5質量部
次いで、上記「1」で作製した版Bを用いて、未硬化の樹脂層を賦形すると同時に、ポリエチレンテレフタレートフィルム側から電離放射線を照射して、賦形した樹脂層を硬化させ、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に凹凸層を形成した。凹凸層の厚みを明細書本文に記載の手法により測定したところ、3.0μmであった。
次いで、凹凸層上に、下記処方の離型層形成用インキを全面に塗布、乾燥して離型層を形成し、離型シートを得た。離型層の厚みを明細書本文に記載の手法により測定したところ、0.3μmであった。
<離型層形成用インキ>
・アクリルポリオール 70質量部
(綜研化学社製、商品名:サーモラックSU100A)
・イソシアネート 25質量部
(三井化学社製、商品名:タケネートD−110N)
・酢酸エチル 161質量部
・メチルイソブチルケトン 56質量部
[実施例2]
離型層の厚みを0.5μmに変更した以外は、実施例1と同様にして離型シートを得た。
[実施例3]
離型層の厚みを0.8μmに変更した以外は、実施例1と同様にして離型シートを得た。
[実施例4]
版Bを版Aに変更し、凹凸層の厚みを2.5μmに変更し、離型層の厚みを0.5μmに変更した以外は、実施例1と同様にして離型シートを得た。
[実施例5]
版Bを版Cに変更し、凹凸層の厚みを3.5μmに変更し、離型層の厚みを0.5μmに変更した以外は、実施例1と同様にして離型シートを得た。
[比較例1]
離型層の厚みを1.0μmに変更した以外は、実施例1と同様にして離型シートを得た。
3.測定、評価
実施例及び比較例で得られた離型シートあるいは離型シートの中間体について以下の評価、測定を行った。結果を表1に示す。
3−1.凹凸層の表面形状
表面粗さ測定器(型番:SE−3400/小坂研究所株式会社製)を用いて、下記の測定条件により、実施例及び比較例の離型シートの中間体(支持体上に凹凸層を形成した積層体)について、カットオフ値0.8mmでのJIS B0601:1994のRy、Ra、Rz及びSmを測定した。なお、Ry、Ra、Rz及びSmは、明細書本文の記載に従い、20点の測定値の平均値とした。
[表面粗さ検出部の触針]
小坂研究所社製の商品名SE2555N(先端曲率半径:2μm、頂角:90度、材質:ダイヤモンド)
[表面粗さ測定器の測定条件]
・基準長さ(粗さ曲線のカットオフ値λc):0.8mm
・評価長さ(基準長さ(カットオフ値λc)×5):4.0mm
・触針の送り速さ:0.5mm/s
・予備長さ:(カットオフ値λc)×2
・縦倍率:2000倍
・横倍率:10倍
3−2.ヘイズ
JIS K7136:2000に準じて、実施例及び比較例で得られた離型シートのヘイズを測定した。光入射面は支持体側とした。
3−3.加飾成形品の外観
後述する「4」で作製した実施例1〜5及び比較例1の転写シートを用いて、明細書本文の(z1)〜(z4)の工程を行った後、保護層側から紫外線照射(大気中、Hバルブ、800mJ/cm)し、保護層を完全に硬化させ、加飾成形品を得た。型は厚み2mmの平板状の型を用い、射出樹脂としてはポリカーボネートを用い、射出時の射出樹脂の温度を285℃とした。
得られた加飾成形品を蛍光灯の照明下で様々な角度から観察し、局所的に歪んだ箇所が気にならなかったものを3点、局所的に歪んだ箇所が若干気になったものの許容範囲であるものを2点、局所的に歪んだ箇所が気になり許容範囲外であるものを1点として、20人の被験者が評価を行い、平均点を算出した。その結果、平均点が2.5点以上のものを「A」、平均点が1.5点以上2.5点未満のものを「B」、平均点が1.5点未満のものを「C」とした。
4.転写シートの作製
実施例1〜5及び比較例1の離型シートの離型層上に、下記処方の保護層形成用インキを乾燥後の付着量が6.5g/m(6.0μm)となるように塗布し、塗膜を形成した後、フュージョンUVランプシステムを用いて光源をHバルブ、搬送速度20m/min、出力40%の条件で照射し、保護層を半硬化させた。このときの積算光量を、アイグラフィックス社製の照度計(商品名:UVPF−A1)により測定したところ、15mJ/mであった。
<保護層形成用インキ>
・ウレタンアクリレート系紫外線硬化樹脂組成物 70質量部
(大日精化社製、商品名:セイカビームHT−X)
(固形分35質量%、トルエン/酢酸エチル混合溶剤)
・ウレタンアクリレート系紫外線硬化樹脂組成物 30質量部
(大日精化社製、商品名:セイカビームEXF−HT−1)
(固形分40質量%、トルエン/メチルエチルケトン混合溶剤)
次いで、保護層上に下記処方のアンカー層形成用インキを乾燥後の付着量が3.0g/mとなるように塗布し、塗膜を形成した後、40℃で72時間乾燥し、硬化させ、厚さ2μmのアンカー層を形成した。
<アンカー層形成用インキ>
・アクリルポリオール 100質量部
(大日精化社製、商品名:TM−VMAC、固形分25質量%)
(トルエン/酢酸エチル/メチルエチルケトン混合溶剤)
・キサンメチレンジイソシアネート 10質量部
(大日精化社製、商品名:PTC−RC3)
(固形分75質量%、溶剤:酢酸エチル)
次いで、アンカー層上に下記処方の接着剤層形成用インキを乾燥後の付着量が2.5g/mとなるように塗布し、塗膜を形成した。該塗膜を乾燥し、厚み2μmの接着剤層を形成し、転写シートを得た。
<接着剤層用塗工液>
・アクリル系樹脂 100質量部
(大日精化社製、商品名:TM−R600、固形分20%)
(酢酸エチル/酢酸−n−プロピル/メチルエチルケトン混合溶剤)
・メチルエチルケトン 40質量部
Figure 0006922240
表1の結果から、条件(1)及び(2)を満たす実施例1〜5の離型シートは、これを用いて被転写物に転写層を転写した際に、外観が良好であり、意匠性及び歩留まりを良好にできることが確認できる。
本発明の離型シート及び転写シートは、携帯電話などの通信機器、自動車内部の情報機器、家電製品などの加飾成形品の製造に好適に用いることができる。
10:離型シート
11:支持体
12:凹凸層
13:離型層

Claims (8)

  1. 支持体上に凹凸層及び離型層を有する離型シートであって、JIS B0601:1994に準じて測定される前記凹凸層のカットオフ値0.8mmでの最大高さRy、JIS B0601:1994に準じて測定される前記凹凸層のカットオフ値0.8mmでの算術平均粗さRa、JIS B0601:1994に準じて測定される前記凹凸層のカットオフ値0.8mmでの十点平均粗さRz、及び前記離型層の厚みTとが、下記条件(1)及び(2)を満たす離型シート。
    5.0≦Ry/Ra (1)
    T/Rz≦0.50 (2)
  2. 前記凹凸層の最大高さRyが0.7〜7.0μmである請求項1に記載の離型シート。
  3. 前記凹凸層の算術平均粗さRaが0.05〜2.00μmである請求項1又は2に記載の離型シート。
  4. JIS B0601:1994に準じて測定される前記凹凸層のカットオフ値0.8mmでの十点平均粗さRzと、前記凹凸層の算術平均粗さRaとが、Rz/Ra≦10.0の関係を満たす、請求項1〜3の何れか1項に記載の離型シート。
  5. 前記離型層の厚みTが1.0μm未満である、請求項1〜4の何れか1項に記載の離型シート。
  6. JIS K7136:2000に準じて測定される前記離型シートのヘイズが2.0%超である、請求項1〜5の何れか1項に記載の離型シート。
  7. 請求項1〜6の何れか1項に記載の離型シート上に転写層を有する転写シート。
  8. 請求項7に記載の転写シートの転写層を被転写物に転写する工程と、前記転写シートの前記離型シートを剥離する工程とを有する、加飾成形品の製造方法。
JP2017020620A 2017-02-07 2017-02-07 離型シート、転写シート、加飾成形品の製造方法 Active JP6922240B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017020620A JP6922240B2 (ja) 2017-02-07 2017-02-07 離型シート、転写シート、加飾成形品の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017020620A JP6922240B2 (ja) 2017-02-07 2017-02-07 離型シート、転写シート、加飾成形品の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018126906A JP2018126906A (ja) 2018-08-16
JP6922240B2 true JP6922240B2 (ja) 2021-08-18

Family

ID=63171881

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017020620A Active JP6922240B2 (ja) 2017-02-07 2017-02-07 離型シート、転写シート、加飾成形品の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6922240B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6992378B2 (ja) * 2017-09-29 2022-01-13 大日本印刷株式会社 賦形シート及び該賦形シートを使用したメラミン化粧板の製造方法

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3117032B2 (ja) * 1991-04-15 2000-12-11 大日本印刷株式会社 表面に凹凸を有する成形体
JP6102352B2 (ja) * 2013-03-06 2017-03-29 凸版印刷株式会社 インモールド転写箔および加飾成形品
JP6424416B2 (ja) * 2013-05-29 2018-11-21 三菱ケミカル株式会社 転写層の転写方法およびその転写方法で転写層が転写された管状体
JP6331547B2 (ja) * 2014-03-24 2018-05-30 大日本印刷株式会社 加飾シート、及び加飾樹脂成形品
JP2016188344A (ja) * 2015-03-30 2016-11-04 リンテック株式会社 剥離フィルム、粘着シート、及び剥離フィルムの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018126906A (ja) 2018-08-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6812853B2 (ja) 転写シート、該転写シートを用いた加飾成形品の製造方法、及び該転写シートの成形用型
TWI485055B (zh) 轉印加飾片、加飾成形品之製法及加飾成形品
JP6880829B2 (ja) 加飾成形品、加飾成形品の製造方法及び転写シート
JP7009795B2 (ja) 加飾成形品、加飾成形品の製造方法、転写シート及び表示装置
JPWO2020075835A1 (ja) 樹脂シート及びそれを用いた画像表示装置、並びに転写シート
JP6907571B2 (ja) 離型シート、転写シート、加飾成形品の製造方法
JP7067193B2 (ja) 加飾成形品、画像表示装置及び転写シート
JP6922240B2 (ja) 離型シート、転写シート、加飾成形品の製造方法
JP6743423B2 (ja) 転写シート、転写シートの製造方法、及び転写シートを用いた加飾成形品の製造方法
JP6932922B2 (ja) 転写シート、転写シートを用いた加飾成形品の製造方法、及び加飾成形品
JPWO2020203659A1 (ja) 転写シート及び加飾成形品の製造方法
JP6922475B2 (ja) 加飾成形品、加飾成形品の製造方法、転写シート及び表示装置
JP7275562B2 (ja) 加飾成形品、加飾成形品の製造方法、転写シート及び画像表示装置
JP6922536B2 (ja) 転写シート、転写シートの製造方法及び加飾成形品の製造方法
JP6794916B2 (ja) 転写シート、転写シートの製造方法及び加飾成形品の製造方法
JP6891616B2 (ja) 転写シート、転写シートの製造方法、及び加飾成形品の製造方法
JP7110623B2 (ja) 転写シート、転写シートの製造方法、及び加飾成形品の製造方法
JP7151336B2 (ja) 加飾成形品及びそれを用いた画像表示装置、並びに転写シート
JP6891568B2 (ja) 加飾成形品及び加飾成形品の製造方法
JP6759829B2 (ja) 転写シート、転写シートの製造方法、及び加飾成形品の製造方法
JP2018126984A (ja) 多面付け部分凹凸転写シートの中間基材及びこれを用いた離型シート、並びに、多面付け部分凹凸転写シート及びこれを用いた加飾成形品の製造方法
JP6866963B2 (ja) 転写シート及び加飾成形品の製造方法
JP2019055481A (ja) 転写シート、転写シートの製造方法、及び加飾成形品の製造方法
JP2020064217A (ja) 樹脂成形体及びそれを用いた画像表示装置、並びに該樹脂成形体の製造方法
JP2020098239A (ja) 樹脂シート及びそれを用いた画像表示装置、並びに転写シート

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20191225

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200924

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20201020

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201203

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210601

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210611

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210629

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210712

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6922240

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150