JP6907571B2 - 離型シート、転写シート、加飾成形品の製造方法 - Google Patents
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Description
[1]支持体上に凹凸層を有する離型シートであって、JIS B0601:1994に準じて測定される前記凹凸層のカットオフ値0.8mmでの最大高さRy、JIS B0601:1994に準じて測定される前記凹凸層のカットオフ値0.8mmでの算術平均粗さRa、及び前記凹凸層の厚みTとが、下記条件(1)及び(2)を満たす離型シート。
3.0≦Ry/Ra (1)
1.7μm≦T−Ry (2)
[2]上記[1]に記載の離型シート上に転写層を有する転写シート。
[3]上記[2]に記載の転写シートの転写層を被転写物に転写する工程と、前記転写シートの前記離型シートを剥離する工程とを有する、加飾成形品の製造方法。
本発明の離型シートは、支持体上に凹凸層を有してなり、JIS B0601:1994に準じて測定される前記凹凸層のカットオフ値0.8mmでの最大高さRy、JIS B0601:1994に準じて測定される前記凹凸層のカットオフ値0.8mmでの算術平均粗さRa、及び前記凹凸層の厚みTとが、下記条件(1)及び(2)を満たすものである。
3.0≦Ry/Ra (1)
1.7μm≦T−Ry (2)
離型シートの構成は図1の構成に限定されず、支持体及び凹凸層以外の層を有していてもよい。
本発明の離型シートは、上記条件(1)及び(2)を満たすものである。
条件(1)では、JIS B0601:1994に準じて測定される凹凸層のカットオフ値0.8mmでの最大高さRyと、JIS B0601:1994に準じて測定される凹凸層のカットオフ値0.8mmでの算術平均粗さRaとの比[Ry/Ra]が3.0以上であることを要求している。
Ryは粗さ曲線の最大高さであり、Raは粗さ曲線の算術平均である。つまり、条件(1)のRy/Raは、凹凸層の中に存在する特異的な凹凸のレベルを示している。具体的には、条件(1)においてRy/Raが3.0以上であることは、平均的な凹凸の3.0倍を超える特異的な凹凸が存在することを示している。
しかし、本発明の離型シートは、Ry/Raが3.0以上の特異的な凹凸を有していても、条件(2)を満たすことにより、斜めから視認した際に転写層が歪んで視認されることを抑制することを可能としている。
T−Ryが1.7μm未満であり条件(2)を満たさない場合、図2に示すように、凹凸層中に支持体まで到達するような深い谷が存在し得ることを意味する。そして、該深い谷の箇所が転写層として転写された際には歪んで視認される。この理由は、以下(i)、(ii)のように考えられる。
(i)離型シート10の凹凸層12に支持体11まで到達する深い谷が存在する場合、凹凸層12上にハードコート層等の転写層20を形成する際に、露出した支持体11の影響によって深い谷の部分の転写層20がはじかれ、表面張力により転写層20の縁が盛り上がった状態となる(図3)。
(ii)図3の状態の転写シート100に樹脂(被転写物30)を流し込んで成形し、離型シート10を剥離すると、図4に示すように、被転写物30からなる凸部の周囲が窪んだ状態となり、この窪んだ箇所及び凸部の一帯が歪んで視認される(窪んだ箇所の中心を境界として傾斜角の正負が逆転し、急激な明度変化が生じるため、暗部が強調されて凹んで見える結果として、歪んで見えると考えられる)。
したがって、条件(1)を満たすような特異的な凹凸が存在する場合において、条件(2)を満たさない場合、特異的な凹凸の深い谷が支持体まで到達することを原因として、斜めから視認した際に転写層が歪んで視認されると考えられる。
一方、条件(1)を満たすような特異的な凹凸が存在する場合であっても、条件(2)を満たすことにより、離型シートの凹凸層に支持体まで到達する深い谷が存在する可能性を極力排除できるため、斜めから視認した際に転写層が歪んで視認されることを抑制でき、意匠性及び歩留まりを向上できる。
このため、条件(1)のRy/Raは、3.0〜15.0であることが好ましく、5.0〜12.0であることがより好ましく、6.0〜10.0であることがさらに好ましい。
なお、本明細書において「AA〜BB」とは、「AA以上BB以下」のことをいう。以下、同様である。
このため、条件(2)のT−Ryは、1.7〜15.0μmであることが好ましく、2.0〜13.0μmであることがより好ましく、2.5〜12.0μmであることがさらに好ましい。
また、本発明において、凹凸層の厚みTは、上記サンプルの中心を基準として、1cm間隔で格子状に計25箇所測定した凹凸層の厚みの平均値とする。なお、凹凸層の厚みは、例えば、接触式の膜厚測定器等を用いて上記サンプルの総厚み(例えば、支持体及び凹凸層の合計厚み)を測定し、該総厚みから支持体厚みを引くことにより算出できる。
凹凸層の最大高さRyは、0.7〜7.0μmであることが好ましく、1.0〜6.0μmであることがより好ましく、1.5〜5.0μmであることがさらに好ましい。
Ryを0.7μm以上とすることによりブロッキングを抑制しやすくすることができ、Ryを7.0μm以下とすることにより転写後の転写層の白化を抑制しやすくできる。
Raを0.05μm以上とすることにより転写後の転写層に防眩性を付与しやすくすることができ、Raを2.00μm以下とすることにより転写後の転写層の白化を抑制しやすくできる。
Rz/Raは凹凸のランダム性の指標となるパラメータであり、Rz/Raが10.0以下であることは、凹凸層のランダム性が弱いことを意味する。Rz/Raを10.0以下とすることにより、転写後の転写層の凹凸が均質化され、意匠性を良好にすることができる。
なお、凹凸層のランダム性が弱い場合、転写後の転写層の欠陥が目立ちやすくなる傾向にある。しかし、本発明は条件(1)及び(2)を満たすため、Rz/Raが10.0以下であっても、特異的な凹凸に基づく欠陥が視認されることを抑制できる。
Rz/Raは、意匠性と欠陥の目立ちにくさとのバランスの観点から、3.0〜8.0であることがより好ましく、4.0〜7.0であることがさらに好ましい。
Rzを0.20μm以上とすることにより、転写後の転写層の欠陥を目立ちにくくすることができる。また、Rzを5.00μm以下とすることにより、転写後の転写層の白化を抑制しやすくできる。なお、Rzを5.00μm以下とすることにより、被転写物を液晶表示素子等の表示素子の前面に用いる場合、ギラツキを抑制しやすくできる。「ギラツキ」とは、凹凸構造に起因して、映像光に微細な輝度のばらつきが見える現象のことをいう。
離型シートを構成する支持体としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体などのビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチルなどのアクリル系樹脂、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、ナイロン6又はナイロン66などで代表されるポリアミド系樹脂などの樹脂からなるプラスチックフィルムが挙げられる。
これらのプラスチックフィルムの中では、耐熱性、寸法安定性に優れ、転写時の位置合わせの適性に優れる2軸延伸ポリエステルフィルムが好適である。
また、支持体の表面には、樹脂層等との接着性を高めるために、コロナ放電処理、酸化処理等の物理的な処理や、アンカー剤又はプライマーと呼ばれる塗料の塗布を予め行ってもよい。
凹凸層の凹凸形状は、被転写物に転写層を転写した後に、被転写物の表面に形成される凹凸形状と近い形状である。すなわち、被転写物に転写層を転写した後に、凹凸層の凹凸形状と相補的な形状に近い形状が被転写物の表面に形成される。このように、被転写物に凹凸が形成されることにより、被転写物の意匠性を向上したり、被転写物に防眩性を付与したりすることができる。
上記の樹脂成分の中でも、強度に優れるとともに、瞬時に硬化するため正確かつ精密な形状を付与できる電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物が好適である。また、電離放射線硬化性樹脂組成物による効果を得やすくする観点から、凹凸層を構成する全樹脂成分のうち、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を70質量%以上含むことが好ましく、90質量%以上含むことがより好ましく、95質量%以上含むことがさらに好ましく、100質量%含むことがよりさらに好ましい。
なお、コーティング法による凹凸層は、支持体上に、粒子を含有する塗布液を塗布、乾燥することにより形成される。コーティング法は、粒子の凝集によってRy、Ry/Ra、Rz/Ra等が極端に大きくなりやすいため、凹凸層の形成手段としては好ましくない。
電離放射線硬化性樹脂としては、エチレン性不飽和結合基を有する化合物が好ましい。また、転写シートを製造する過程で樹脂層が傷つくことを抑制する観点からは、電離放射線硬化性樹脂としては、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する化合物がより好ましく、中でも、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する、多官能性(メタ)アクリレート系化合物が更に好ましい。多官能性(メタ)アクリレート系化合物としては、モノマー及びオリゴマーのいずれも用いることができる。
なお、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も使用可能である。
3官能以上の(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性トリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、上記(メタ)アクリレート系モノマーは、分子骨格の一部を変性しているものでもよく、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、カプロラクトン、イソシアヌル酸、アルキル、環状アルキル、芳香族、ビスフェノール等による変性がなされたものも使用することができる。
ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、多価アルコール及び有機ジイソシアネートとヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応によって得られる。
また、好ましいエポキシ(メタ)アクリレートは、3官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と多塩基酸と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、及び2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等とフェノール類と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレートである。
上記電離放射線硬化性樹脂は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、α−ヒドロキシアルキルフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α−アシルオキシムエステル、チオキサンソン類等から選ばれる1種以上が挙げられる。
また、光重合促進剤は、硬化時の空気による重合阻害を軽減させ硬化速度を速めることができるものであり、例えば、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等から選ばれる1種以上が挙げられる。
離型シート上に転写層を有する転写シートは、被転写物に密着した際に、離型層と転写層との界面が剥離可能に形成されている。
離型性を向上させるため、離型シートは、凹凸層上に離型層を有することが好ましい。
また、凹凸層上に離型層が形成されることで、凹凸層の凹凸形状の高周波成分が減少し、被転写物の白化及びギラツキを抑制しやすくできる。
離型層の樹脂は、所定の被膜強度を有し、転写層との接着力が低い材料であれば特に限定されず、汎用の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂組成物の硬化物、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物等が挙げられる。具体的には、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、セルロース系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂、硝化綿等が挙げられる。
これらの中でも、熱硬化性樹脂組成物の硬化物が好ましく、アクリルポリオール及びイソシアネートを含む熱硬化性樹脂組成物がより好ましい。
その他の層としては、帯電防止層が挙げられる。帯電防止層を有することにより、離型シートを剥離する際の剥離帯電を抑制でき、転写の作業性を向上できる。
帯電防止層は、離型シートの転写層と接する側の面とは反対側の表面に形成されていることが好ましい。
帯電防止層は、表面抵抗率を1.0×10−9Ω/□〜1.0×10−12Ω/□の範囲に調整することが好ましい。
なお、帯電防止剤を樹脂層等の他の層に含有させて帯電防止性を発揮させてもよい。
離型シートは、例えば、以下の(A1)〜(A2)の工程により製造できる。
(A2)凹凸層の形状と相補的な形状を有する版を用いて、未硬化の凹凸層を賦形すると同時に、電離放射線を照射して、賦形した凹凸層を硬化させる工程。
離型シートが離型層を有する場合、(A2)工程の後に、(A3)凹凸層上に離型層を形成する工程、を行えばよい。
サンドブラストでは、例えば、シリンダー表面の材質、研磨材の粒子径、研磨材の材質、シリンダーへの研磨材の衝突回数、噴射ノズルとシリンダーとの距離、噴射圧、噴射周波数等を調整することにより、凹凸形状を調整できる。
(B1)凹凸層の形状と相補的な形状を有する版に、凹凸層形成用インキを充填する工程。
(B2)版に充填した凹凸層形成用インキを支持体上に転写し、必要に応じて乾燥及び硬化して、凹凸層を形成する工程。
(A1)工程及び(B1)工程において凹凸層形成用インキを厚めに塗布すると、(A2)工程及び(B2)工程において、図5のような状態とすることができ、条件(2)を満たしやすくできる。一方、(A1)工程及び(B1)工程において凹凸層形成用インキを薄く塗布すると、(A2)工程及び(B2)工程において、図6のような状態となり、条件(2)を満たしにくくなる。
本発明の転写シートは、上述した本発明の離型シート上に転写層を有するものである。
転写層は、被転写物に転写される層である。転写層としては、例えば、離型シートに近い側から順に、保護層、アンカー層、接着剤層が挙げられる。
転写層を構成する保護層は、硬化性樹脂組成物の硬化物を含む層である。保護層は、転写層が転写シートから被転写物へと転写された後は、摩耗や光、薬品等から加飾成形品を保護する役割を有する。
硬化性樹脂組成物の硬化物は、熱硬化性樹脂組成物の硬化物、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物が挙げられ、これらの中でも電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物が好ましい。
また、保護層は熱可塑性樹脂を含有してもよいが、耐擦傷性を向上する観点から、その量は微量であることが好ましい。具体的には、保護層中の熱可塑性樹脂の含有量は5質量%未満であることが好ましく、1質量%未満であることがより好ましく、0.1質量%未満であることがさらに好ましく、0質量%であることがよりさらに好ましい。
なお、硬化性樹脂組成物の硬化物は、保護層を形成する時点では半硬化の状態にしておき、被転写物に転写した後に、加熱、電離放射線の照射等により硬化性樹脂組成物の硬化を進行させ、完全硬化させてもよい。このようにすることにより、被転写物に対する転写シートの追従性が良好となるため、成形性を良好にすることができる。
無機粒子としては、シリカ、アルミナ、アンチモン、ジルコニア及びチタニア等からなる粒子が挙げられる。
本明細書において、平均粒子径は、溶液中の該粒子を動的光散乱方法で測定し、粒子径分布を累積分布で表したときの50%粒子径(d50:メジアン径)である。50%粒子径は、例えば、Microtrac粒度分析計(日機装株式会社製)を用いて測定することができる。
接着剤層は、樹脂成形体等の被転写物と、転写層との接着性を良好にして、転写作業を良好にする役割を有する。
なお、保護層と被転写物との接着性が良好な場合は、接着剤層を設けなくてもよい。
接着剤層には、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤等の添加剤を配合してもよい。
接着剤層の厚みは、0.1〜10μmであることが好ましく、0.5〜5μmであることがより好ましい。
アンカー層は、インモールド成形等の高温環境に置かれる場合において、耐熱性を向上させるために必要に応じて設けられる層である。アンカー層は、保護層と接着剤層との間に形成することが好ましい。
硬化性樹脂組成物としては、熱硬化性樹脂組成物、電離放射線硬化性樹脂組成物が挙げられる。
アンカー層の熱硬化性樹脂組成物、電離放射線硬化性樹脂組成物の実施の形態は、樹脂層の熱硬化性樹脂組成物、電離放射線硬化性樹脂組成物の実施の形態と同様である。
アンカー層の厚みは、0.1〜6μmであることが好ましく、0.5〜5μmであることがより好ましい。
転写層は、さらに印刷層を有していてもよい。印刷層は、加飾成形品に所望の意匠性を付与する役割を有する。
印刷層のパターンは任意であり、例えば、木目、石目、布目、砂目、円、四角形、多角形、幾何学模様、文字、ベタ印刷等が挙げられる。
印刷層の厚みは、意匠性の観点から0.5〜40μmが好ましく、1〜30μmがより好ましい。
本発明の加飾成形品の製造方法は、上述した本発明の転写シートの転写層を被転写物に転写する工程と、転写シートの離型シートを剥離する工程と、を有する。
被転写物としては、樹脂成形体等が挙げられる。
(z1)上記の転写シートの転写層側をインモールド成形用金型の内側に向けて配置する工程と、
(z2)上記インモールド成形用金型内に樹脂を射出注入する工程と、
(z3)上記転写シートと、上記樹脂とを一体化させて、樹脂成形体(被転写物)の表面上に上記転写シートの転写層を転写する工程と、
(z4)樹脂成形体(被転写物)を金型から取り出した後、上記転写シートの離型シートを剥離する工程と、を有するものが挙げられる。
保護層が半硬化の状態の場合、(z4)工程の終了後に紫外線を照射して保護層を完全に硬化させることが好ましい。
樹脂成形体としては、射出成形可能な熱可塑性樹脂もしくは熱硬化性樹脂を用いることが好ましく、公知の様々な樹脂を用いることができる。
本発明による加飾成形品をインモールド成形により製造する場合には、熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。このような熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂(耐熱ABS樹脂を含む)、AS樹脂、AN樹脂、ポリフェニレンオキサイド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリブチレンテフタレート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、およびポリフェニレンサルファイド系樹脂等が挙げられる。
1−1.版Aの作製
厚み200μmの銅メッキ層を有するシリンダーを準備した。該シリンダーを回転しながら該シリンダーの表面を下記条件でサンドブラスト処理して、版Aを作製した。
[サンドブラスト条件]
・シリンダーの直径:300mm
・パス回数※:5回
・研磨粒子:平均粒子径83μmのガラスビーズ
・噴射ノズルの直径:400mm
・噴射圧:0.20MPa
・周波数:90Hz
※「パス回数」とは、サンドブラスト処理の開始から終了までのシリンダーの回転数である。つまり、パス回数が多いほどサンドブラスト処理の時間が長くなる。
噴射圧を0.23MPaに変更した以外は、版Aと同様にして版Bを作製した。
噴射圧を0.26MPaに変更した以外は、版Aと同様にして版Cを作製した。
[実施例1]
厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に、下記処方の凹凸層形成用インキを塗布、乾燥し、未硬化の凹凸層を形成した。
<凹凸層形成用インキ>
・電離放射線硬化性樹脂組成物 60質量部
(共栄化学社製、ES105M)
・メチルエチルケトン 40質量部
・シリコーン系レベリング剤 0.5質量部
凹凸層の厚みを10.0μmに変更した以外は、実施例1と同様にして離型シートを得た。
版Cを版Bに変更し、凹凸層の厚みを8.0μmに変更した以外は、実施例1と同様にして離型シートを得た。
版Cを版Bに変更し、凹凸層の厚みを5.0μmに変更した以外は、実施例1と同様にして離型シートを得た。
版Cを版Bに変更し、凹凸層の厚みを20.0μmに変更した以外は、実施例1と同様にして離型シートを得た。
版Cを版Aに変更し、凹凸層の厚みを8.0μmに変更した以外は、実施例1と同様にして離型シートを得た。
凹凸層の厚みを3.0μmに変更した以外は、実施例1と同様にして離型シートを得た。
版Cを版Bに変更し、凹凸層の厚みを3.0μmに変更した以外は、実施例1と同様にして離型シートを得た。
版Cを版Aに変更し、凹凸層の厚みを3.0μmに変更した以外は、実施例1と同様にして離型シートを得た。
実施例及び比較例で得られた離型シートについて以下の評価、測定を行った。結果を表1に示す。
表面粗さ測定器(型番:SE−3400/小坂研究所株式会社製)を用いて、下記の測定条件により、実施例及び比較例で得られた離型シートの凹凸層について、カットオフ値0.8mmでのJIS B0601:1994のRy、Ra、Rz及びSmを測定した。なお、Ry、Ra、Rz及びSmは、明細書本文の記載に従い、20点の測定値の平均値とした。
[表面粗さ検出部の触針]
小坂研究所社製の商品名SE2555N(先端曲率半径:2μm、頂角:90度、材質:ダイヤモンド)
[表面粗さ測定器の測定条件]
・基準長さ(粗さ曲線のカットオフ値λc):0.8mm
・評価長さ(基準長さ(カットオフ値λc)×5):4.0mm
・触針の送り速さ:0.5mm/s
・予備長さ:(カットオフ値λc)×2
・縦倍率:2000倍
・横倍率:10倍
後述する「4」で作製した実施例1〜6及び比較例1〜3の転写シートを用いて、明細書本文の(z1)〜(z4)の工程を行った後、保護層側から紫外線照射(大気中、Hバルブ、800mJ/cm2)し、保護層を完全に硬化させ、加飾成形品を得た。型は厚み2mmの平板状の型を用い、射出樹脂としてはポリカーボネートを用い、射出時の射出樹脂の温度を285℃とした。
得られた加飾成形品を蛍光灯の照明下で様々な角度から観察し、局所的に歪んだ箇所が気にならなかったものを3点、局所的に歪んだ箇所が若干気になったものの許容範囲であるものを2点、局所的に歪んだ箇所が気になり許容範囲外であるものを1点として、20人の被験者が評価を行い、平均点を算出した。その結果、平均点が2.5点以上のものを「A」、平均点が1.5点以上2.5点未満のものを「B」、平均点が1.5点未満のものを「C」とした。
上記「3−2」で加飾成形品を作製する過程で剥離した離型シートの凹凸層にクラックが生じているか否かを目視で観察した。クラックが視認されないものを3点、クラックが僅かに視認されるものを2点、クラックが多く視認されるものを1点として、20人の被験者が評価を行い、平均点を算出した。その結果、平均点が2.5点以上のものを「A」、平均点が1.5点以上2.5点未満のものを「B」、平均点が1.5点未満のものを「C」とした。
実施例1〜6及び比較例1〜3の離型シートの凹凸層上に、下記処方の離型層形成用インキを全面に塗布、乾燥し、厚み1.1μmの離型層を形成し、離型層付きの離型シートを得た。
<離型層形成用インキ>
・アクリルポリオール 70質量部
(綜研化学社製、商品名:サーモラックSU100A)
・イソシアネート 25質量部
(三井化学社製、商品名:タケネートD−110N)
・酢酸エチル 161質量部
・メチルイソブチルケトン 56質量部
<保護層形成用インキ>
・ウレタンアクリレート系紫外線硬化樹脂組成物 70質量部
(大日精化社製、商品名:セイカビームHT−X)
(固形分35質量%、トルエン/酢酸エチル混合溶剤)
・ウレタンアクリレート系紫外線硬化樹脂組成物 30質量部
(大日精化社製、商品名:セイカビームEXF−HT−1)
(固形分40質量%、トルエン/メチルエチルケトン混合溶剤)
<アンカー層形成用インキ>
・アクリルポリオール 100質量部
(大日精化社製、商品名:TM−VMAC、固形分25質量%)
(トルエン/酢酸エチル/メチルエチルケトン混合溶剤)
・キサンメチレンジイソシアネート 10質量部
(大日精化社製、商品名:PTC−RC3)
(固形分75質量%、溶剤:酢酸エチル)
<接着剤層用塗工液>
・アクリル系樹脂 100質量部
(大日精化社製、商品名:TM−R600、固形分20%)
(酢酸エチル/酢酸−n−プロピル/メチルエチルケトン混合溶剤)
・メチルエチルケトン 40質量部
11:支持体
12:凹凸層
20:転写層
21:保護層
22:アンカー層
23:接着剤層
30:被転写物
40:転写層
100:転写シート
200:型
300:加飾成形品
Claims (7)
- 支持体上に凹凸層を有する離型シートであって、JIS B0601:1994に準じて測定される前記凹凸層のカットオフ値0.8mmでの最大高さRy、JIS B0601:1994に準じて測定される前記凹凸層のカットオフ値0.8mmでの算術平均粗さRa、及び前記凹凸層の厚みTとが、下記条件(1)及び(2)を満たし、前記凹凸層の算術平均粗さRaが0.05〜0.5μmである、離型シート。
3.0≦Ry/Ra (1)
1.7μm≦T−Ry (2) - 前記凹凸層の最大高さRyと、前記凹凸層の厚みTとが、1.7μm≦T−Ry≦15.0μmの関係を満たす、請求項1に記載の離型シート。
- 前記凹凸層の最大高さRyが0.7〜7.0μmである請求項1又は2に記載の離型シート。
- JIS B0601:1994に準じて測定される前記凹凸層のカットオフ値0.8mmでの十点平均粗さRzと、前記凹凸層の算術平均粗さRaとが、Rz/Ra≦10.0の関係を満たす、請求項1〜3の何れか1項に記載の離型シート。
- 前記凹凸層上に離型層を有する請求項1〜4の何れか1項に記載の離型シート。
- 請求項1〜5の何れか1項に記載の離型シート上に転写層を有する転写シート。
- 請求項6に記載の転写シートの転写層を被転写物に転写する工程と、前記転写シートの前記離型シートを剥離する工程とを有する、加飾成形品の製造方法。
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