以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部の位置関係について説明する。所定面内のX軸と平行な方向をX軸方向とし、X軸と直交する所定面内のY軸と平行な方向をY軸方向とし、所定面と直交するZ軸と平行な方向をZ軸方向とする。また、X軸を中心とする回転方向又は傾斜方向をθX方向とし、Y軸を中心とする回転方向又は傾斜方向をθY方向とし、Z軸を中心とする回転方向又は傾斜方向をθZ方向とする。また、以下の説明においては、所定面を適宜、XY平面、と称する。本実施形態においては、XY平面と水平面とが平行であることとする。
[縫製システム]
図1は、本実施形態に係る縫製システム1を模式的に示す平面図である。縫製システム1は、生地を縫合して、縫製品を製造する。本実施形態において、縫製品は衣料である。生地は、布、織物、不織布、及び皮の少なくとも一つを含む概念である。また、生地は、後述するラベルを含む概念でもよい。図1に示すように、縫製システム1は、ミシン2と、生地供給装置3と、生地供給装置3から供給された生地Cを保持してミシン2に搬送する生地搬送装置4とを備える。
生地搬送装置4は、ロボット5と、ロボット5に保持される搬送部材6とを有する。ロボット5は、ベース部材7上を移動可能である。XY平面内において、ベース部材7は、ミシン2と生地供給装置3との間に配置される。搬送部材6は、生地Cを保持する。
ミシン2は、第1ミシン21と、第2ミシン22とを含む。生地供給装置3は、第1生地供給装置31と、第2生地供給装置32とを含む。生地Cは、第1生地Caと、第2生地Cbとを含む。第1生地供給装置31は、第1生地Caを供給する。第2生地供給装置32は、第2生地Cbを供給する。
縫製システム1は、衣料としてTシャツを製造する。第1生地Caは、Tシャツの前身頃である。第2生地Cbは、Tシャツの後身頃である。以下の説明においては、第1生地Caを適宜、前身頃Ca、と称し、第2生地Cbを適宜、後身頃Cb、と称する。
<第1ミシン>
第1ミシン21は、後身頃CbとラベルLとを縫合するラベル縫いミシンである。ラベルLは、布の小片である。ラベルLには、衣料のサイズ及び繊維の種類のような衣料についての情報又は取扱いの注意書き等が記載される。ラベルLは、ラベル供給装置8からラベル搬送装置9を介して第1ミシン21に供給される。
ラベル供給装置8は、ラベルLを供給する。ラベル供給装置8は、積層された複数のラベルLが収容されるラベル収容部材84と、ラベル収容部材84に収容されているラベルLをラベル搬送装置9に移送するラベル移送機構85とを有する。
ラベルLは、第1ラベルL1と、第2ラベルL2と、第3ラベルL3とを含む。ラベル供給装置8は、第1ラベルL1を供給する第1ラベル供給装置81と、第2ラベルL2を供給する第2ラベル供給装置82と、第3ラベルL3を供給する第3ラベル供給装置83とを含む。第1ラベル供給装置81と第2ラベル供給装置82と第3ラベル供給装置83とは、X軸方向に配置される。
ラベル搬送装置9は、ラベル供給装置8から供給されたラベルLを第1ミシン21に搬送する。ラベル搬送装置9は、ラベルLを保持するクランプ機構91と、クランプ機構91をX軸方向にガイドするガイド機構92と、クランプ機構91をX軸方向に移動させる動力を発生するアクチュエータ93とを有する。クランプ機構91は、第1ラベル供給装置81、第2ラベル供給装置82、及び第3ラベル供給装置83のそれぞれから、第1ラベルL1、第2ラベルL2、及び第3ラベルL3を順次受け取って保持する。クランプ機構91は、第1ラベルL1と第2ラベルL2と第3ラベルL3とを積層した状態で保持する。アクチュエータ93は、第1ラベルL1、第2ラベルL2、及び第3ラベルL3を保持したクランプ機構91をX軸方向に移動させる動力を発生する。クランプ機構91は、アクチュエータ93が発生した動力に基づいて、ガイド機構92にガイドされながら第1ミシン21に移動する。これにより、第1ラベルL1と第2ラベルL2と第3ラベルL3とは、積層された状態で第1ミシン21に搬送される。
後身頃Cbは、生地搬送装置4により、第2生地供給装置32から第1ミシン21に搬送される。ラベルLは、ラベル搬送装置9により、ラベル供給装置8から第1ミシン21に搬送される。第1ミシン21は、第2生地供給装置32から供給された後身頃Cbとラベル供給装置8から供給されたラベルLとを縫合する。第1ミシン21は、後身頃Cbの目標部位RPにラベルLを縫合する。
第1ミシン21は、後身頃Cbが設置される設置面211Sを有するテーブル211と、テーブル211に設置された後身頃CbとラベルLとを縫合するミシンヘッド212とを有する。設置面211Sは、テーブル211の上面を含む。設置面211Sは、XY平面と実質的に平行である。生地搬送装置4は、後身頃Cbをテーブル211に搬送する。
ミシンヘッド212は、ミシン針213を上下方向に移動させる駆動機構214と、テーブル211に設置された後身頃Cbを上方から押える第1押え部材215と、ラベルLを上方から押える第2押え部材216とを有する。後身頃Cbが第1押え部材215で押えられ、後身頃Cb上に設置されたラベルLが第2押え部材216で押えられた状態で、ミシン針213が上下方向に移動することにより、後身頃CbとラベルLとが縫合される。以下の説明においては、ミシン針213によって縫合が実施される位置を適宜、第1縫合位置PM1、と称する。第1縫合位置PM1は、ミシン針213が降下する針落ち位置を含む。
<第2ミシン>
第2ミシン22は、前身頃Caと後身頃Cbとを縫合する。第2ミシン22は、前身頃Caの肩部分Kと後身頃Cbの肩部分Kとを縫合する肩合わせ縫いミシンである。
前身頃Caは、生地搬送装置4により、第1生地供給装置31から第2ミシン22に搬送される。後身頃Cbは、生地搬送装置4により、第1ミシン21から第2ミシン22に搬送される。後身頃Cbは、ラベルLが縫合された状態で、第1ミシン21から第2ミシン22に搬送される。第2ミシン22は、第1生地供給装置31から供給された前身頃Caと第2ミシン22から供給された後身頃Cbとを縫合する。
第2ミシン22は、前身頃Ca及び後身頃Cbが設置される設置面221Sを有するテーブル221と、テーブル221に設置された前身頃Caと後身頃Cbとを縫合するミシンヘッド222とを有する。設置面221Sは、テーブル221の上面を含む。設置面221Sは、XY平面と実質的に平行である。生地搬送装置4は、前身頃Ca及び後身頃Cbのそれぞれをテーブル221に搬送する。
ミシンヘッド222は、ミシン針223を上下方向に移動させる駆動機構224と、テーブル221に設置された前身頃Ca及び後身頃Cbを上方から押える押え部材225とを有する。前身頃Ca及び後身頃Cbが押え部材225で押えられた状態で、ミシン針223が上下方向に移動することにより、前身頃Caと後身頃Cbとが縫合される。以下の説明においては、ミシン針223によって縫合が実施される位置を適宜、第2縫合位置PM2、と称する。第2縫合位置PM2は、ミシン針223が降下する針落ち位置を含む。
また、第2ミシン22は、テーブル221において前身頃Ca及び後身頃Cbを搬送する生地押え搬送装置230と、テーブル221に設置された前身頃Ca及び後身頃Cbを上方から押えて固定する生地押え部材240と、テーブル221に設置された前身頃Caの位置を調整する生地位置調整装置250とを備える。
生地押え搬送装置230は、テーブル221に設置された前身頃Ca及び後身頃Cbを上方から押える生地押え部材231と、アーム部材232を介して生地押え部材231と連結されるスライダ233と、スライダ233をX軸方向にガイドするガイド部材234と、スライダ233をX軸方向に移動させる動力を発生するアクチュエータ235とを有する。
生地押え部材240は、第1生地押え部材240Lと、第2生地押え部材240Rとを含む。第1生地押え部材240Lと第2生地押え部材240RとはX軸方向に配置される。第1生地押え部材240Lは、第2生地押え部材240Rよりもミシンヘッド222側に配置される。
生地押え部材240は、支持装置241を介してテーブル221に支持される。支持装置241は、例えばエアシリンダのようなアクチュエータを含み、生地押え部材240を少なくともZ軸方向に移動可能に支持する。なお、支持装置241は、生地押え部材240をX軸方向、Y軸方向、θX方向、θY方向、及びθZ方向の少なくとも1つの方向に移動可能に支持してもよい。支持装置241は、第1生地押え部材240Lを移動可能に支持する第1支持装置241Lと、第2生地押え部材240Rを移動可能に支持する第2支持装置241Rとを含む。第1支持装置241L及び第2支持装置241Rを含む支持装置241は、第1生地押え部材240Lと第2生地押え部材240Rとを別々に移動可能である。
図2は、本実施形態に係る生地位置調整装置250を模式的に示す側断面図である。図3は、本実施形態に係る生地位置調整装置250の一部を破断した斜視図である。第2ミシン22のテーブル221は、生地Cが設置される設置面221Sを有する。設置面221Sは、テーブル221の上面を含む。設置面221Sは、XY平面と実質的に平行である。
生地位置調整装置250は、テーブル221に設置された前身頃Caの少なくとも一部の位置を調整する。生地位置調整装置250は、XY平面内における前身頃Caの一部分の位置を調整する。
生地位置調整装置250は、テーブル221の設置面221Sに設けられ、前身頃Caを保持する保持面251Sを有するプレート部材251と、テーブル221の内部に設けられ、設置面221Sと平行な方向にプレート部材251を移動して、プレート部材251に保持されている前身頃Caの位置を調整するアクチュエータ252とを有する。
保持面251Sは、プレート部材251の上面を含む。保持面251Sは、XY平面と実質的に平行である。プレート部材251は、保持面251Sと、保持面251Sの反対方向を向く下面251Tと、保持面251Sと下面251Tとを貫通する吸引孔253とを有する。保持面251Sと平行な方向において、吸引孔253は、間隔をあけてプレート部材251に複数設けられる。保持面251Sと設置面221Sとは、実質的に平行である。
テーブル221の設置面221Sは、開口221Kを有する。プレート部材251は、設置面221Sの開口221Kを覆うように配置される。設置面221Sは、保持面251Sの周囲に配置される。プレート部材251の下面251Tの外縁領域と開口221Kの周囲の設置面221Sの一部とが対向する。
生地位置調整装置250は、プレート部材251を支持する支持部材254を有する。支持部材254の少なくとも一部は、プレート部材251の下面251Tに固定される。支持部材254は、ベース部材255に支持される。支持部材254及びベース部材255は、テーブル221の内部空間に設置される。
ベース部材255は、テーブル221の内部空間においてテーブル221の少なくとも一部に固定される。ベース部材255は、支持部材254を移動可能に支持する。支持部材254は、XY平面内において移動可能にベース部材255に支持される。支持部材254は、例えばボール又はコロを含むスライド機構を介してベース部材255に支持される。なお、支持部材254がXY平面内において移動可能であれば、スライド機構はボール又はコロを含まなくてもよい。アクチュエータ252は、プレート部材251を移動させる動力を発生する。アクチュエータ252は、例えば支持部材254とベース部材255との間に配置される。なお、ベース部材255に対して支持部材254が移動可能であれば、アクチュエータ252は、支持部材254とベース部材255との間に配置されなくてもよい。アクチュエータ252は、支持部材254を介してプレート部材251を移動する。アクチュエータ252は、支持部材254を移動させることにより、支持部材254に固定されているプレート部材251をXY平面内において移動させる。ベース部材255は、固定子として機能し、支持部材254は、可動子として機能する。アクチュエータ252の作動により、プレート部材251は、設置面221Sと平行なXY平面内において移動する。
支持部材254は、プレート部材251の下面251Tとの間で空間VSを形成する。プレート部材251と支持部材254との間の空間VSは、真空ポンプ及び制御弁を含む真空系70に接続される。支持部材254の一部に形成された開口とチューブ部材256とが接続される。チューブ部材256は可撓性である。真空系70と空間VSとは、チューブ部材256を介して接続される。
真空系70の作動により空間VSが負圧になると、プレート部材251の保持面251S側の気体の少なくとも一部が、吸引孔253を介して空間VSに吸引される。図2に示すように、保持面251Sに前身頃Caが設置された状態で真空系70が作動することにより、前身頃Caは、保持面251Sに吸着保持される。
プレート部材251は、前身頃Caの少なくとも一部を保持面251Sで吸着保持する。前身頃Caが保持面251Sに吸着保持された状態で、アクチュエータ252が作動され、プレート部材251が移動することにより、プレート部材251に保持されている前身頃Caの位置が調整される。生地位置調整装置250は、テーブル221に設置された前身頃Caの少なくとも一部の位置を調整する。生地位置調整装置250は、XY平面内における前身頃Caの一部分の位置を調整する。
<生地供給装置>
第1生地供給装置31は、前身頃Caを供給する。図1に示すように、第1生地供給装置31は、複数の前身頃Caを収容する収容装置311と、前身頃Caが設置される設置台312と、収容装置311に収容されている複数の前身頃Caから1枚の前身頃Caを保持して設置台312に設置する第1ピックアップ装置とを有する。収容装置311において複数の前身頃Caが積層される。第1ピックアップ装置は、積層されている複数の前身頃Caのうち最も上に配置されている1枚の前身頃Caを保持して設置台312に搬送する。第1ピックアップ装置は、1枚の前身頃Caを設置台312に設置する。
第2生地供給装置32は、後身頃Cbを供給する。図1に示すように、第2生地供給装置32は、複数の後身頃Cbを収容する収容装置321と、後身頃Cbが設置される設置台322と、収容装置321に収容されている複数の後身頃Cbから1枚の後身頃Cbを保持して設置台322に設置する第2ピックアップ装置とを有する。収容装置321において複数の後身頃Cbが積層される。第2ピックアップ装置は、積層されている複数の後身頃Cbのうち最も上に配置されている1枚の後身頃Cbを保持して設置台322に搬送する。第2ピックアップ装置は、1枚の後身頃Cbを設置台322に設置する。
図4は、本実施形態に係る第1生地供給装置31を模式的に示す側断面図である。図4に示すように、第1生地供給装置31は、前身頃Caが設置される設置台312を有する。設置台312には1枚の前身頃Caが設置される。設置台312は、プレート部材33と、プレート部材33を支持する支持装置34とを有する。
プレート部材33は、前身頃Caが設置される上面33Sと、上面33Sの反対方向を向く下面33Tと、上面33Sと下面33Tとを貫通する孔37とを有する。上面33Sと下面33Tとは平行である。上面33Sと平行な方向において、孔37は、間隔をあけてプレート部材33に複数設けられる。
孔37の直径φは、隣り合う孔37の間隔dよりも小さい。孔37の直径は、2[mm]以下に定められる。
支持装置34は、上面33SとXY平面とが平行となるように、プレート部材33を支持する。支持装置34は、θX方向、θY方向、及びZ軸方向の少なくとも1つの方向にプレート部材33を移動可能に支持する。
支持装置34は、ベース部材35と、ベース部材35とプレート部材33との間に配置されるばね36とを有する。ばね36の上端部は、プレート部材33に接続される。ばね36の下端部は、ベース部材35に接続される。XY平面内において、ばね36は、複数配置される。
プレート部材33に外力が作用していない場合、プレート部材33の上面33SとXY平面とは実質的に平行である。プレート部材33に外力が作用した場合、プレート部材33の上面33Sは、θX方向、θY方向、及びZ軸方向の少なくとも1つの方向に移動する。
すなわち、ばね36を含む支持装置34は、プレート部材33を揺動可能に支持するフローティング機能を有する。プレート部材33に外力が作用していない場合、支持装置34は、プレート部材33の上面33SとXY平面とが実質的に平行となるように、プレート部材33を支持する。プレート部材33に外力が作用した場合、支持装置34は、プレート部材33の上面33SがθX方向、θY方向、及びZ軸方向の少なくとも1つの方向に移動するように、プレート部材33を支持する。
第1生地供給装置31は、設置台312のプレート部材33に設置された前身頃Caのエッジを検出する検出装置313を有する。検出装置313は、XY平面内における前身頃Caのエッジの位置を検出する。
検出装置313は、前身頃Caの光学像を画像データで取得する撮像装置を含む。検出装置313は、光学系と、光学系を通過した光を受光するイメージセンサとを有する。イメージセンサは、CCD(Couple Charged Device)イメージセンサ又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサを含む。検出装置313は、設置台312の上方に設けられる。検出装置313は、設置台312に設置されている前身頃Caの画像データを前身頃Caの上方から取得する。
前身頃Caの全部が、検出装置313の撮影領域に配置される。検出装置313の撮影領域は、検出装置313の光学系の視野領域を含む。検出装置313の撮影領域は、前身頃Caの全部がおさまる十分な大きさである。検出装置313は、前身頃Ca全体の画像データを一括して取得することができる。
第2生地供給装置32は、後身頃Cbが設置される設置台322と、設置台312に設置された後身頃Cbのエッジを検出する検出装置323とを有する。第1生地供給装置31の設置台312の構造と第2生地供給装置32の設置台322の構造とは実質的に同一である。設置台322についての説明は省略する。
第2生地供給装置32の検出装置323は、設置台322のプレート部材33に設置された後身頃Cbのエッジを検出する。検出装置323は、XY平面内における後身頃Cbのエッジの位置を検出する。
検出装置323は、後身頃Cbの光学像を画像データで取得する撮像装置を含む。検出装置323は、光学系と、光学系を通過した光を受光するイメージセンサとを有する。イメージセンサは、CCD(Couple Charged Device)イメージセンサ又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサを含む。検出装置323は、設置台322の上方に設けられる。検出装置323は、設置台322に設置されている後身頃Cbの画像データを後身頃Cbの上方から取得する。
後身頃Cbの全部が、検出装置323の撮影領域に配置される。検出装置323の撮影領域は、検出装置323の光学系の視野領域を含む。検出装置323の撮影領域は、後身頃Cbの全部がおさまる十分な大きさである。検出装置323は、後身頃Cb全体の画像データを一括して取得することができる。
<生地搬送装置>
図1に示すように、生地搬送装置4は、ベース部材7に移動可能に支持されるロボット5と、ロボット5に保持される搬送部材6とを有する。ロボット5は、水平多関節ロボット(SCARA:Selective Compliance Assembly Robot Arm)である。ロボット5は、搬送部材6を保持するアーム51を有する。ロボット5は、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、及びθZ軸方向の4つの方向に移動可能である。搬送部材6は、ロボット5のアーム51に保持された状態で、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、及びθZ軸方向の4つの方向に移動可能である。
生地搬送装置4は、搬送部材6を使って、生地Cを上方から吸着保持する。搬送部材6は、真空系70に接続されており、生地Cを上方から吸着保持する。
ロボット5は、ベース部材7上を移動可能である。ロボット5は、搬送部材6を、第1生地供給装置31の設置台312と対向する第1供給位置PF1、第2生地供給装置32の設置台322と対向する第2供給位置PF2、第1ミシン21のテーブル211と対向する第1ミシン位置PH1、及び第2ミシン22のテーブル221と対向する第2ミシン位置PH2のそれぞれに移動可能である。第1供給位置PF1と第2供給位置PF2と第1ミシン位置PH1と第2ミシン位置PH2とは、XY平面内において異なる位置である。搬送部材6は、設置台312の上方、設置台322の上方、テーブル211の上方、及びテーブル221の上方のそれぞれに移動可能である。
生地搬送装置4は、前身頃Caを設置台312から第2ミシン22に搬送する。生地搬送装置4は、後身頃Cbを設置台322から第1ミシン21に搬送する。生地搬送装置4は、後身頃Cbを第1ミシン21から第2ミシン22に搬送する。
図5は、本実施形態に係る搬送部材6を示す斜視図である。図6は、本実施形態に係る搬送部材6を示す平面図である。
図5及び図6に示すように、搬送部材6は、本体部材60と、ロボット5と連結される連結部材71と、生地Cを保持する保持部材61及び保持部材62とを有する。
搬送部材6は、生地Cを上方から吸着保持する複数の吸着面HSを有する。吸着面HSは、搬送部材6の下面を含む。吸着面HSは、XY平面と実質的に平行である。
保持部材61は、生地Cを上方から吸着保持する。保持部材62は、生地Cを上方から吸着保持する。吸着面HSは、保持部材61に設けられている吸着面HS1と、保持部材62に設けられている吸着面HS2とを含む。
吸着面HS1は、保持部材61の下面を含む。吸着面HS1は、XY平面と実質的に平行である。XY平面内において、吸着面HS1の外形は、四角形状である。吸着面HS2は、保持部材62の下面を含む。吸着面HS2は、XY平面と実質的に平行である。XY平面内において、吸着面HS2の外形は、円形状である。吸着面HS1と吸着面HS2とは、同一平面内に配置される。保持部材61の吸着面HS1は、保持部材62の吸着面HS2よりも大きい。
本体部材60は、保持部材61及び保持部材62を支持する。本体部材60は、フレーム状の部材である。本体部材60は、第1部材60Aと、第2部材60Bと、第3部材60Cと、第4部材60Dとを有する。第1部材60A、第2部材60B、第3部材60C、及び第4部材60Dはそれぞれ、棒状の部材である。第1部材60Aと第2部材60Bとは実質的に平行に配置される。第3部材60Cと第4部材60Dとは実質的に平行に配置される。
第1部材60Aは、第2部材60Bよりも長い。第3部材60Cは、第1部材60Aの一端部及び第2部材60Bの一端部のそれぞれに接続される。第4部材60Dは、第1部材60Aの中間部及び第2部材60Bの他端部のそれぞれに接続される。第3部材60Cは、第1部材60A及び第2部材60Bのそれぞれと直交する。第4部材60Dは、第1部材60A及び第2部材60Bのそれぞれと直交する。
また、本体部材60は、第5部材60E及び第6部材60Fを有する。第5部材60E及び第6部材60Fはそれぞれ、棒状の部材である。
第5部材60E及び第6部材60Fは、第3部材60Cと第4部材60Dとの間に配置される。第3部材60Cと第4部材60Dと第5部材60Eと第6部材60Fとは、実質的に平行に配置される。第5部材60Eの一端部は、第1部材60Aに接続される。第5部材60Eの他端部は、第2部材60Bに接続される。第6部材60Fの一端部は、第1部材60Aと接続される。第6部材60Fの他端部は、第2部材60Bと接続される。第5部材60Eは、第6部材60Fよりも第3部材60Cに近い位置に配置される。
連結部材71は、第5部材60E及び第6部材60Fに固定されているプレート部材72に支持される。本体部材60は、連結部材71及びプレート部材72を介してロボット5に連結される。ロボット5は、本体部材60を移動する。連結部材71は、円柱状の部材である。第5部材60E及び第6部材60Fの長手方向において、連結部材71は、第5部材60Eの中央部及び第6部材60Fの中央部に固定される。
保持部材61は、内部空間を有する箱状の部材である。保持部材61は、上板61Aと、下板61Bと、上板61Aと下板61Bとの間に配置される側板61Cとを有する。
上板61Aは、第1部材60Aの一部、第2部材60Bの一部、第3部材60C、第5部材60E、及び第6部材60Fのそれぞれに接続される。下板61Bは、生地Cと対向可能な吸着面HS1を有する。吸着面HS1は、下板61Bの下面である。側板61Cは、フレーム状の板部材であり、上板61A及び下板61Bのそれぞれに接続される。上板61Aと下板61Bと側板61Cとによって、保持部材61の内部空間が規定される。
下板61Bは、複数の吸引口を有する。吸引口は、下板61Bの吸着面HS1と上面とを貫通する貫通孔を含む。すなわち、下板61Bは、多孔板である。貫通孔は、保持部材61の内部空間と外部空間とを接続する。吸引口は、下板61Bの下面において一定の間隔で複数配置される。
搬送部材6は、真空系70と接続されるコネクタ64を有する。コネクタ64は、上板61Aに複数設けられる。コネクタ64は、保持部材61の内部空間と接続される。真空系70が作動すると、保持部材61の内部空間の気体がコネクタ64を介して真空系70に吸引される。下板61Bの吸着面HS1と生地Cとが接触した状態で真空系70が作動することにより、保持部材61は、生地Cを上方から吸着面HS1で吸着保持することができる。
保持部材62は、複数設けられる。複数の保持部材62のそれぞれは、生地Cと対向可能な吸着面HS2を有する。
保持部材62は、吸着面HS2に設けられた吸引口を有する。保持部材62の吸引口は、真空系70に接続される。保持部材62の吸着面HS2と生地Cとが接触した状態で真空系70が作動することにより、保持部材62は、生地Cを上方から吸着面HS2で吸着保持することができる。
第1部材60Aの一部は、第4部材60Dから突出する。また、搬送部材6は、第4部材60Dに支持される第1支持部材65及び第2支持部材66を有する。第1支持部材65及び第2支持部材66のそれぞれは、棒状の部材である。第1部材60Aと第1支持部材65と第2支持部材66とは、実質的に平行に配置される。本体部材60は、第1支持部材65及び第2支持部材66のそれぞれを移動可能に支持する。
第4部材60Dから突出する第1部材60Aは、複数の保持部材62を支持する。第1支持部材65は、複数の保持部材62を支持する。第2支持部材66は、複数の保持部材62を支持する。保持部材62は、第1部材60Aの長手方向に間隔をあけて3つ設けられる。保持部材62は、第1支持部材65の長手方向に間隔をあけて3つ設けられる。保持部材62は、第2支持部材66の長手方向に間隔をあけて3つ設けられる。すなわち、保持部材62は、9つ設けられる。
図6に示すように、前身頃Ca及び後身頃Cbを含む生地Cは、2つの肩部分Kと、2つの脇部分Wと、2つの袖部分Mと、1つの裾部分Hと、1つの首部分Nとを有する。肩部分Kは、右肩部分KR及び左肩部分KLを含む。脇部分Wは、右脇部分WR及び左脇部分WLを含む。袖部分Mは、右袖部分MR及び左袖部分MLを含む。
肩部分K、首部分N、及び袖部分Mを含む生地Cの上部は、保持部材61に吸着保持される。保持部材61の吸着面HS1は十分に大きく、肩部分K全体を一括して吸着保持することができる。搬送部材6は、保持部材61を使って、肩部分Kの位置ずれを抑制しつつ生地Cの上部を安定して保持することができる。
脇部分W及び裾部分Hを含む生地Cの下部は、保持部材62に吸着保持される。保持部材62の重量は、保持部材61の重量よりも十分に小さい。また、保持部材62を保持する第1部材60A、第1支持部材65及び第2支持部材66のそれぞれは、棒状の部材であり、軽量である。これにより、搬送部材6の軽量化が図られる。
生地搬送装置4は、第1支持部材65と本体部材60とを連結する粗動機構67と、微動装置400の少なくとも一部を介して第2支持部材66と本体部材60とを連結する粗動機構68とを有する。
粗動機構67は、本体部材60に対して移動可能である。粗動機構67は、第1支持部材65に連結される。粗動機構67は、第4部材60Dに設けられているガイド機構69にガイドされるスライド部材67Aと、スライド部材67Aを第4部材60Dに固定する固定ピン67Bとを有する。ガイド機構69は、スライド部材67Aを第4部材60Dの長手方向にガイドする。第1支持部材65は、スライド部材67Aに接続される。スライド部材67Aがガイド機構69にガイドされながら移動することにより、第1支持部材65は、スライド部材67Aと一緒に、第4部材60Dの長手方向に移動する。
第4部材60Dは、複数の固定用孔を有する。固定用孔は、第4部材60Dの長手方向に間隔をあけて複数設けられる。スライド部材67Aは、固定ピン67Bが挿入される挿入孔を有する。固定ピン67Bがスライド部材67Aの挿入孔及び第4部材60Dの固定用孔に挿入されることにより、スライド部材67Aと第4部材60Dとが固定される。スライド部材67Aと第4部材60Dとが固定されると、第4部材60Dの長手方向における第1支持部材65の位置が固定される。固定ピン67Bがスライド部材67Aの挿入孔及び第4部材60Dの固定用孔から抜去されることにより、スライド部材67Aと第4部材60Dとの固定が解除される。スライド部材67Aと第4部材60Dとの固定が解除されると、第1支持部材65は、ガイド機構69にガイドされながら第4部材60Dの長手方向に移動可能である。作業者は、粗動機構67を操作することにより、第4部材60Dの長手方向において第1支持部材65を位置決めすることができる。
粗動機構68は、本体部材60に対して移動可能である。粗動機構68は、微動装置400の少なくとも一部を介して第2支持部材66に連結される。粗動機構68は、第4部材60Dに設けられているガイド機構69にガイドされるスライド部材68Aと、スライド部材68Aを第4部材60Dに固定する固定ピン68Bとを有する。ガイド機構69は、スライド部材68Aを第4部材60Dの長手方向にガイドする。第2支持部材66は、微動装置400の少なくとも一部を介してスライド部材68Aに接続される。スライド部材68Aがガイド機構69にガイドされながら移動することにより、第2支持部材66は、スライド部材68Aと一緒に、第4部材60Dの長手方向に移動する。
スライド部材68Aは、固定ピン68Bが挿入される挿入孔を有する。固定ピン68Bがスライド部材68Aの挿入孔及び第4部材60Dの固定用孔に挿入されることにより、スライド部材68Aと第4部材60Dとが固定される。スライド部材68Aと第4部材60Dとが固定されると、第4部材60Dの長手方向における第2支持部材66の位置が固定される。固定ピン68Bがスライド部材68Aの挿入孔及び第4部材60Dの固定用孔から抜去されることにより、スライド部材68Aと第4部材60Dとの固定が解除される。スライド部材68Aと第4部材60Dとの固定が解除されると、第2支持部材66は、ガイド機構69にガイドされながら第4部材60Dの長手方向に移動可能である。作業者は、粗動機構68を操作することにより、第4部材60Dの長手方向において第2支持部材66を位置決めすることができる。
第1支持部材65が第4部材60Dの長手方向に移動されることにより、第1支持部材65に支持されている保持部材62の位置が調整される。第1支持部材65に支持されている保持部材62は、本体部材60に対して移動可能である。
第2支持部材66が第4部材60Dの長手方向に移動されることにより、第2支持部材66に支持されている保持部材62の位置が調整される。第2支持部材66に支持されている保持部材62は、本体部材60に対して移動可能である。
第1部材60Aに支持されている保持部材62と本体部材60との相対位置は、固定される。第1支持部材65に支持されている保持部材62と本体部材60との相対位置は、変化可能である。第2支持部材66に支持されている保持部材62と本体部材60との相対位置は、変化可能である。第1部材60Aに支持されている複数の保持部材62は、本体部材60と一緒に移動する。本体部材60は、保持部材62を支持する第1支持部材65を移動可能に支持し、保持部材62を支持する第2支持部材66を移動可能に支持する。例えば生地Cの大きさに合わせて第1支持部材65及び第2支持部材66が移動されることにより、保持部材62による生地Cの保持位置HP2が調整される。
図7は、本実施形態に係る微動装置400を示す斜視図である。微動装置400は、粗動機構68よりも高い分解能で第2支持部材66を第4部材60Dの長手方向に移動する。微動装置400の少なくとも一部は、第2支持部材66とスライド部材68Aとの間に配置される。微動装置400は、スライド部材68Aに対して第2支持部材66を移動させる。
図5、図6、及び図7に示すように、微動装置400は、スライド部材68Aに対して第2支持部材66を移動させる動力を発生する動力発生装置401と、動力発生装置401が発生した動力を第2支持部材66に伝達する動力伝達機構402とを有する。
動力発生装置401は、本体部材60に支持される。動力発生装置401は、第6部材60Fに支持される。動力発生装置401は、連結部材71の近傍に配置される。XY平面内において、連結部材71と動力発生装置401との距離は、連結部材71と保持部材62との距離よりも短い。
動力発生装置401は、モータ401Aと、モータ401Aの回転により作動するボールねじ機構401Bと、ボールねじ機構401Bの作動により移動可能な可動部材401Cとを含む。
動力伝達機構402は、動力発生装置401と第2支持部材66とを連結するワイヤ部材402Wを含む。ワイヤ部材402Wの一端部は、可動部材401Cに固定される。ワイヤ部材402Wの他端部は、第2支持部材66に固定される。第2支持部材66にブラケット66Aが固定される。ワイヤ部材402Wの他端部は、ブラケット66Aに固定される。
第2支持部材66は、スライド機構403を介してスライド部材68Aに連結される。スライド機構403により、第2支持部材66は、スライド部材68Aに対して第4部材40Dの長手方向に微動可能である。スライド機構403は、第2支持部材66を+Y方向に移動させる力を発生するばねを含む。スライド部材68Aに対する第2支持部材66の可動距離は、約50[mm]である。
図7において、モータ401Aが駆動することにより、可動部材401Cは、+X方向及び-X方向のいずれか一方に移動する。可動部材401Cが+X方向に移動し、ワイヤ部材402Wを引っ張ると、第2支持部材66は、スライド部材68Aに対して-Y方向に移動する。可動部材401Cが-X方向に移動すると、第2支持部材66は、スライド機構403が有するばねの作用により、スライド部材68Aに対して+Y方向に移動する。スライド部材68Aに対して第2支持部材66がY軸方向に移動することにより、第2支持部材66に支持されている保持部材62は、本体部材60に対してY軸方向に移動する。このように、動力発生装置401は、本体部材60に対して第2支持部材66に支持されている保持部材62を移動させる動力を発生する。動力伝達機構402は、動力発生装置401が発生した動力を、第2支持部材66を介して保持部材62に伝達する。
図5及び図6に示すように、生地搬送装置4は、搬送部材6に対して移動可能な可動部材63を有する。可動部材63は、搬送部材6に移動可能に支持される。可動部材63は、第3部材60Cに移動可能に支持される。第3部材60Cの長手方向において、可動部材63の寸法は、第3部材60Cの寸法よりも小さい。図5の矢印Raで示すように、可動部材63は、吸着面HSと直交する上下方向に移動可能である。可動部材63は、搬送部材6の吸着面HSに対して移動可能である。
搬送部材6は、可動部材63を上下方向に移動させる動力を発生するアクチュエータ73を有する。アクチュエータ73は、例えばエアシリンダを含む。可動部材63は、アクチュエータ73の作動により、上下方向に移動可能である。
図8は、本実施形態に係る可動部材63の動作を模式的に示す図である。図8(A)に示すように、可動部材63の上下方向の可動範囲において、可動部材63が可動範囲の上端部に配置されているとき、可動部材63の下端部は、搬送部材6の吸着面HSよりも上方に配置される。換言すれば、可動部材63が可動範囲の上端部に配置されているとき、可動部材63の下端部は、搬送部材6の吸着面HSよりも下方に突出しない。
図8(B)に示すように、可動部材63の上下方向の可動範囲において、可動部材63が可動範囲の下端部に配置されているとき、可動部材63の下端部は、搬送部材6の吸着面HSよりも下方に配置される。換言すれば、可動部材63が可動範囲の下端部に配置されているとき、可動部材63の下端部は、搬送部材6の吸着面HSよりも下方に突出する。
図8(A)に示すように、吸着面HSで生地Cを吸着保持するとき、可動部材63の下端部は、搬送部材6の吸着面HSよりも上方に配置される。図8(B)に示すように、吸着面HSで生地Cが吸着保持されていない状態において、搬送部材6の吸着面HSよりも下方に配置されている可動部材63の下端部は、生地Cと接触可能である。
図5及び図6に示すように、生地搬送装置4は、生地Cを挟む把持装置500を有する。把持装置500は、生地Cが設置される設置台312の上面及び設置台322の上面と直交するZ軸方向に移動可能である。図4を参照して説明したように、設置台312の上面及び設置台322の上面は、プレート部材33の上面33Sを含む。
図9は、本実施形態に係る把持装置500を示す斜視図である。図10は、本実施形態に係る把持装置500を示す側面図である。把持装置500は、本体部材501と、本体部材501に移動可能に支持される一対の把持部材502と、本体部材501の内部に配置され、把持部材502を移動させる動力を発生するアクチュエータ503とを有する。
アクチュエータ503は、一対の把持部材502の下端部が接近又は離間するように、把持部材502を移動させることができる。
生地搬送装置4は、本体部材501を上下方向に移動させるアクチュエータ510を有する。アクチュエータ510は、例えばエアシリンダを含み、本体部材501を上下方向に移動可能である。アクチュエータ510の固定子511は、第6部材60Fに固定される。アクチュエータ510の可動子512は、連結部材513を介して本体部材501に連結される。アクチュエータ510の作動により、把持装置500は、図10の矢印Rbで示すように、設置台312の上面及び設置台322の上面と直交する上下方向に移動可能である。把持装置500は、搬送部材6の吸着面HSに対して移動可能である。
図11は、本実施形態に係る把持装置500の動作を模式的に示す側面図である。図11(A)に示すように、把持装置500の上下方向の可動範囲において、把持装置500が可動範囲の上端部に配置されているとき、把持部材502の下端部は、搬送部材6の吸着面HSよりも上方に配置される。換言すれば、把持装置500が可動範囲の上端部に配置されているとき、把持部材502の下端部は、搬送部材6の吸着面HSよりも下方に突出しない。
図11(B)に示すように、把持装置500の上下方向の可動範囲において、把持装置500が可動範囲の下端部に配置されているとき、把持部材502の下端部は、搬送部材6の吸着面HSよりも下方に配置される。換言すれば、把持装置500が可動範囲の下端部に配置されているとき、把持部材502の下端部は、搬送部材6の吸着面HSよりも下方に突出する。
図11(A)に示すように、吸着面HSで生地Cを吸着保持するとき、把持部材502の下端部は、搬送部材6の吸着面HSよりも上方に配置される。吸着面HSで生地Cが吸着保持されていない状態において、搬送部材6の吸着面HSよりも下方に配置されている把持部材502の下端部は、生地Cと接触可能である。図11(B)に示すように、把持装置500は、把持部材502を用いて、プレート部材33の上面33Sに設置されている生地Cの一部を挟むことができる。生地搬送装置4は、生地Cが把持装置500に挟まれた状態で、生地Cを搬送することができる。
<制御装置>
図12は、本実施形態に係る縫製システム1の制御装置10を示す機能ブロック図である。縫製システム1は、制御装置10を有する。制御装置10は、コンピュータシステムを含み、縫製システム1を制御する。制御装置10は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサを含む演算処理装置と、ROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)のようなメモリ及びストレージを含む記憶装置とを有する。演算処理装置は、記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施する。
図12に示すように、制御装置10は、第1ミシン21、第2ミシン22、第1生地供給装置31に配置されている検出装置313、第2生地供給装置32に配置されている検出装置323、及び生地搬送装置4のそれぞれと接続される。
制御装置10は、前身頃Caの位置データを取得する前身頃位置データ取得部11と、後身頃Cbの位置データを取得する後身頃位置データ取得部12と、第1ミシン21を制御する制御信号を出力する第1ミシン制御部13と、第2ミシン22を制御する制御信号を出力する第2ミシン制御部14と、保持部材61及び保持部材62による生地Cの保持位置を決定する保持位置決定部15と、設置台312及び設置台322に設置されている生地Cが異常か否かを判定する異常判定部16と、生地搬送装置4を制御する制御信号を出力する搬送制御部17と、記憶部18と、入出力部19とを有する。
前身頃位置データ取得部11は、第1生地供給装置31に配置されている検出装置313の検出データに基づいて、前身頃Caのエッジの位置データを取得する。前身頃位置データ取得部11は、XY平面内における前身頃Caのエッジの位置データを取得する。検出装置313は、検出データとして、設置台312に設置されている前身頃Caの画像データを取得する。検出装置313は、前身頃Ca全体のエッジを含む画像データを取得する。検出装置313は、前身頃Caの画像データを、設置台312に設けられている基準マークの画像データとともに取得する。なお、基準マークは、検出装置313の光学系に設けられていてもよい。前身頃位置データ取得部11は、前身頃Caの画像データ及び基準マークの画像データを検出装置313から取得する。前身頃位置データ取得部11は、前身頃Caの画像データ及び基準マークの画像データを画像処理する。前身頃位置データ取得部11は、前身頃Caの画像データ及び基準マークの画像データを画像処理して、基準マークと前身頃Caのエッジとの相対位置を算出する。XY平面内における基準マークの位置データは既知データであり、記憶部18に記憶されている。前身頃位置データ取得部11は、記憶部18に記憶されている基準マークの位置データと、検出装置313の検出データに基づいて算出された基準マークと前身頃Caのエッジとの相対位置とに基づいて、XY平面内における前身頃Caのエッジの位置データを算出する。
後身頃位置データ取得部12は、第2生地供給装置32に配置されている検出装置323の検出データに基づいて、後身頃Cbのエッジの位置データを取得する。後身頃位置データ取得部12は、XY平面内における後身頃Cbのエッジの位置データを取得する。検出装置313と同様、検出装置323は、後身頃Cb全体のエッジを含む画像データを、設置台322に設けられている基準マークの画像データとともに取得する。なお、基準マークは、検出装置323の光学系に設けられていてもよい。後身頃位置データ取得部12は、記憶部18に記憶されている基準マークの位置データと、検出装置323の検出データに基づいて算出された基準マークと後身頃Cbのエッジとの相対位置とに基づいて、XY平面内における後身頃Cbのエッジの位置データを算出する。
第1ミシン制御部13は、ラベル供給装置8、ラベル搬送装置9、及びミシンヘッド212のそれぞれを制御する。
第2ミシン制御部14は、支持装置241、生地位置調整装置250、及びミシンヘッド222のそれぞれを制御する。
保持位置決定部15は、検出装置313の検出データに基づいて、設置台312に設置されている前身頃Caの保持位置HPを決定する。また、保持位置決定部15は、検出装置323の検出データに基づいて、設置台322に設置されている後身頃Cbの保持位置HPを決定する。
異常判定部16は、検出装置313の検出データに基づいて、設置台312に設置されている前身頃Caが異常か否かを判定する。前身頃Caに係る参照データが記憶部18に記憶される。前身頃Caに係る参照データは、前身頃Caの寸法の正解値を示す正解データを示す。前身頃Caに係る参照データは、予め規定される既知データであり、記憶部18に記憶される。異常判定部16は、設置台312に設置されている前身頃Caのエッジの位置を示す検出装置313の検出データと、記憶部18に記憶されている前身頃Caの寸法の正解値を示す参照データとを照合して、設置台312に設置されている前身頃Caの寸法が異常か否かを判定する。
同様に、異常判定部16は、設置台322に設置されている後身頃Cbを検出した検出装置323の検出データと、記憶部18に記憶されている後身頃Cbに係る参照データとを照合して、設置台322に設置されている後身頃Cbの寸法が異常か否かを判定する。
例えば裁断ミス等に起因して、本来縫製すべき前身頃Caとは異なる寸法の前身頃Caが収容装置311に収容されてしまったり設置台312に設置されてしまったりする可能性がある。記憶部18に記憶されている前身頃Caに係る参照データは、本来縫製すべき前身頃Caの寸法を示す。異常判定部16は、検出装置313の検出データと記憶部18に記憶されている前身頃Caに係る参照データとを照合して、設置台312に設置されている前身頃Caが異常か否か、すなわち、本来縫製すべき前身頃Caであるか否かを判定する。同様に、異常判定部16は、検出装置323の検出データと記憶部18に記憶されている後身頃Cbに係る参照データとを照合して、設置台322に設置されている後身頃Cbが異常か否か、すなわち、本来縫製すべき後身頃Cbであるか否かを判定する。
搬送制御部17は、前身頃位置データ取得部11で取得された前身頃Caの位置データに基づいて、生地搬送装置4を制御する。搬送制御部17は、縫製システム1に規定されているXYZ直交座標系においてロボット5を移動させる。ロボット5の移動量は、ロボット5に設けられているエンコーダのような移動量センサによって検出される。搬送制御部17は、設置台312に設置されているときの前身頃Caの位置データを基準として、搬送部材6を介して前身頃Caを保持しているロボット5の移動量を制御することによって、XY平面内における目標位置に前身頃Caを搬送することができる。同様に、搬送制御部17は、後身頃位置データ取得部12で取得された後身頃Cbの位置データに基づいて生地搬送装置4を制御することにより、XY平面内における目標位置に後身頃Cbを搬送することができる。
搬送制御部17は、生地搬送装置4が設置台312に設置されている前身頃Caを保持するとき、保持部材61及び保持部材62が保持位置決定部15により決定された前身頃Caの保持位置HPを保持するように、生地搬送装置4を制御する。搬送制御部17は、保持部材61が保持位置決定部15により決定された前身頃Caの保持位置HP1を保持し、保持部材62が保持位置決定部15により決定された前身頃Caの保持位置HP2を保持するように、ロボット5及び微動装置400の動力発生装置401を制御する。同様に、搬送制御部17は、生地搬送装置4が設置台322に設置されている後身頃Cbを保持するとき、保持部材61及び保持部材62が保持位置決定部15により決定された後身頃Cbの保持位置HPを保持するように、生地搬送装置4を制御する。
[動作]
次に、本実施形態に係る縫製システム1の動作の一例について説明する。
<前身頃の搬送ルート>
図13は、本実施形態に係る前身頃Caを搬送する生地搬送装置4の動作を模式的に示す平面図である。生地搬送装置4は、第1生地供給装置31から供給された前身頃Caを保持して第2ミシン22に搬送する。第1生地供給装置31において、第1ピックアップ装置により、1枚の前身頃Caが設置台312に設置される。搬送制御部17は、生地搬送装置4を制御して、設置台312に設置されている前身頃Caと対向する第1供給位置PF1に生地搬送装置4を移動させる。
生地搬送装置4は、設置台312に設置されている前身頃Caを上方から保持する。搬送制御部17は、検出装置313の検出データに基づいて、保持部材61及び保持部材62が保持位置決定部15により決定された前身頃Caの保持位置HPを保持するように、生地搬送装置4を制御する。搬送制御部17は、前身頃Caを保持した生地搬送装置4を第2ミシン22に移動させる。第1生地供給装置31において前身頃Caを保持した生地搬送装置4は、前身頃Caを第2ミシン22に搬送する。生地搬送装置4は、前身頃Caを設置台312から1枚ずつ搬送する。
生地搬送装置4は、検出装置313の検出データに基づいて、前身頃Caの位置を調整する。搬送制御部17は、前身頃位置データ取得部11で取得された前身頃Caの位置データに基づいて、ロボット5の移動量を制御する。図13に示すように、搬送制御部17は、ロボット5を制御して、第2ミシン22のテーブル221と対向する第2ミシン位置PH2に、前身頃Caを保持した搬送部材6を移動させる。
生地搬送装置4は、検出装置313の検出データに基づいて、第2ミシン22において前身頃Caの位置を調整する。搬送制御部17は、第2ミシン22に規定されている前身頃Caの目標位置に前身頃Caが配置されるように生地搬送装置4の位置を調整する。前身頃Caが第2ミシン22に規定されている前身頃Caの目標位置に配置された後、生地搬送装置4は、吸着面HSによる前身頃Caの吸着保持を解除する。これにより、前身頃Caは、第2ミシン22に渡され、テーブル221に設置される。
<後身頃の搬送ルート>
図14は、本実施形態に係る後身頃Cbを搬送する生地搬送装置4の動作を模式的に示す平面図である。生地搬送装置4は、第2生地供給装置32から供給された後身頃Cbを保持して第1ミシン21に搬送する。第2生地供給装置32において、第2ピックアップ装置により、1枚の後身頃Cbが設置台322に設置される。搬送制御部17は、生地搬送装置4を制御して、設置台322に設置されている後身頃Cbと対向する第2供給位置PF2に生地搬送装置4を移動させる。
生地搬送装置4は、設置台322に設置されている後身頃Cbを上方から保持する。搬送制御部17は、検出装置323の検出データに基づいて、保持部材61及び保持部材62が保持位置決定部15により決定された後身頃Cbの保持位置HPを保持するように、生地搬送装置4を制御する。搬送制御部17は、後身頃Cbを保持した生地搬送装置4を第1ミシン21に移動させる。第2生地供給装置32において後身頃Cbを保持した生地搬送装置4は、後身頃Cbを第1ミシン21に搬送する。生地搬送装置4は、後身頃Cbを設置台322から1枚ずつ搬送する。
生地搬送装置4は、検出装置323の検出データに基づいて、後身頃Cbの位置を調整する。搬送制御部17は、後身頃位置データ取得部12で取得された後身頃Cbの位置データに基づいて、ロボット5の移動量を制御する。図14に示すように、搬送制御部17は、ロボット5を制御して、第1ミシン21のテーブル211と対向する第1ミシン位置PH1に、後身頃Cbを保持した搬送部材6を移動させる。
生地搬送装置4は、検出装置323の検出データに基づいて、第1ミシン21において後身頃Cbの位置を調整する。搬送制御部17は、第1ミシン21に規定されている後身頃Cbの目標位置に後身頃Cbが配置されるように生地搬送装置4の位置を調整する。
本実施形態において、生地搬送装置4は、第1ミシン21のミシンヘッド212によるラベルLの縫合において、後身頃Cbを保持する。すなわち、第1ミシン21における後身頃CbとラベルLとの縫合において、生地搬送装置4は、後身頃Cbを保持し続ける。後身頃Cbは、生地搬送装置4に保持された状態で、第1ミシン21においてラベルLと縫合される。
生地搬送装置4は、ラベルLとの縫合が終了した後身頃Cbを第1ミシン21から第2ミシン22に搬送する。図14に示すように、搬送制御部17は、ロボット5を制御して、第2ミシン22のテーブル221と対向する第2ミシン位置PH2に、後身頃Cbを保持した搬送部材6を移動させる。
生地搬送装置4は、検出装置323の検出データに基づいて、第2ミシン22において後身頃Cbの位置を調整する。搬送制御部17は、第2ミシン22に規定されている後身頃Cbの目標位置に後身頃Cbが配置されるように生地搬送装置4の位置を制御する。後身頃Cbが第2ミシン22に規定されている後身頃Cbの目標位置に配置された後、生地搬送装置4は、吸着面HSによる後身頃Cbの吸着保持を解除する。これにより、後身頃Cbは、第2ミシン22に渡され、テーブル221に設置される。
このように、生地搬送装置4は、第2生地供給装置32から第1ミシン21までの後身頃Cbの搬送、第1ミシン21の縫合、及び第1ミシン21から第2ミシン22までの後身頃Cbの搬送において、後身頃Cbを保持し続ける。
単一のロボット5及び搬送部材6を使って生地供給装置3から供給された前身頃Ca及び後身頃Cbを第2ミシン22に搬送するとき、前身頃Caの搬送ルートと後身頃Cbの搬送ルートとは異なる。前身頃Caは、第1生地供給装置31から第2ミシン22のテーブル221にダイレクトに搬送される。後身頃Cbは、第2生地供給装置32から第1ミシン21を経由して第2ミシン22のテーブル221に搬送される。
<生地供給装置からの生地の搬出>
図15は、本実施形態に係る生地供給装置3における生地搬送装置4の動作を模式的に示す側面図である。図15(A)は、検出装置323が第2生地供給装置32の設置台322に設置されている後身頃Cbを検出するときの動作を模式的に示す図である。図15(B)は、生地搬送装置4が第2生地供給装置32の設置台322から後身頃Cbを搬出するときの動作を模式的に示す図である。
設置台322に後身頃Cbが設置されると、検出装置323は、設置台322に設置されている後身頃Cbの画像データを取得する。検出装置323の撮影領域は十分に大きく、検出装置323は、後身頃Cb全体の画像データを一括して取得することができる。検出装置323により検出された後身頃Cbの画像データは、制御装置10に出力される。
プレート部材33の孔37は、微小である。本実施形態において、プレート部材33の孔37の直径φは、2[mm]以下である。そのため、検出装置323で取得された後身頃Cbの画像データに孔37が映り込んでも、後身頃位置データ取得部12における画像処理に影響を及ぼすことが抑制される。
後身頃位置データ取得部12は、検出装置323により取得された後身頃Cbの画像データを取得する。後身頃位置データ取得部12は、検出装置323で取得された後身頃Cbの画像データに基づいて、XY平面内における後身頃Cbのエッジの位置データを算出する。後身頃位置データ取得部12は、後身頃Cbの左肩部分KLの位置データ、後身頃Cbの右肩部分KRの位置データ、後身頃Cbの左脇部分WLの位置データ、後身頃Cbの右脇部分WRの位置データ、及び後身頃Cbの裾部分Hの位置データを算出する。
図16は、本実施形態に係る検出装置323により取得された後身頃Cbの画像データを模式的に示す図である。図16に示すように、後身頃位置データ取得部12は、後身頃Cbのエッジの位置データとして、左肩部分KLと首部分Nとの交点Paの位置、右肩部分KRと首部分Nとの交点Pbの位置、左肩部分KLと左袖部分MLとの交点Pcの位置、右肩部分KRと右袖部分MRとの交点Pdの位置、左袖部分MLと左脇部分WLとの交点Peの位置、右袖部分MRと右脇部分WRとの交点Pfの位置、左脇部分WLと裾部分Hとの交点Pgの位置、及び右脇部分WRと裾部分Hとの交点Phの位置を算出する。また、後身頃位置データ取得部12は、例えば交点Pcと交点Phとを結ぶ第1仮想線と交点Pdと交点Pgとを結ぶ第2仮想線との交点に基づいて、後身頃Cbの中心の位置データを算出する。
また、後身頃位置データ取得部12は、後身頃Cbのエッジの位置データに基づいて、後身頃Cbの寸法データを算出する。後身頃位置データ取得部12は、後身頃Cbの寸法データとして、交点Paと裾部分Hとの間の寸法La、交点Pbと裾部分Hとの間の寸法Lb、交点Pcと裾部分Hとの間の寸法Lc、交点Pdと裾部分Hとの間の寸法Ld、交点Pcと交点Pdとの間の寸法Le、交点Peと交点Pfとの間の寸法Lf、及び交点Pgと交点Phとの間の寸法Lgを算出する。寸法La、寸法Lb、寸法Lc、及び寸法Ldは、裾部分Hと直交する方向の寸法である。寸法Le、寸法Lf、及び寸法Lgは、裾部分Hに平行な方向の寸法である。
異常判定部16は、検出装置323の検出データと記憶部18に記憶されている後身頃Cbに係る参照データとを照合して、設置台322に設置されている後身頃Cbが異常か否かを判定する。記憶部18に記憶されている後身頃Cbに係る参照データは、寸法Laに係る正解データを示す目標寸法Lar、寸法Lbに係る正解データを示す目標寸法Lbr、寸法Lcに係る正解データを示す目標寸法Lcr、寸法Ldに係る正解データを示す目標寸法Ldr、寸法Leに係る正解データを示す目標寸法Ler、寸法Lfに係る正解データを示す目標寸法Lfr、及び寸法Lgに係る正解データを示す目標寸法Lgrを含む。異常判定部16は、検出装置323の検出データから算出された寸法Laと目標寸法Larとの差ΔLaが予め定められている閾値LR以上か否かを判定する。同様に、異常判定部16は、寸法Lbと目標寸法Lbrとの差ΔLb、寸法Lcと目標寸法Lcrとの差ΔLc、寸法Ldと目標寸法Ldrとの差ΔLd、寸法Leと目標寸法Lerとの差ΔLe、寸法Lfと目標寸法Lfrとの差ΔLf、及び寸法Lgと目標寸法Lgrとの差ΔLgのそれぞれが閾値LR以上か否かを判定する。異常判定部16は、差ΔLa、差ΔLb、差ΔLc、差ΔLe、差ΔLf、及び差ΔLgの全てが閾値LR未満であると判定した場合、設置台322に設置されている後身頃Cbは異常でないと判定する。異常判定部16は、差ΔLa、差ΔLb、差ΔLc、差ΔLe、差ΔLf、及び差ΔLgの少なくとも一つが閾値LR以上であると判定した場合、設置台322に設置されている後身頃Cbは異常であると判定する。
保持位置決定部15は、検出装置323の検出データに基づいて、異常でないと判定された後身頃Cbの保持位置HPを決定する。保持位置HPとは、生地Cにおいて保持部材61及び保持部材62に保持させる目標位置をいう。
図17は、本実施形態に係る後身頃Cbの保持位置HPを模式的に示す図である。保持部材61による保持位置HP1は、肩部分K、首部分N、及び袖部分Mを含む生地Cの上部に規定される。
保持部材62による保持位置HP2は、第1部材60Aに支持されている保持部材62による保持位置HP2rと、第2支持部材66に支持されている保持部材62による保持位置HP2lとを含む。
以下の説明において、第1部材60Aに支持されている保持部材62を適宜、基準保持部材62r、と称し、第2支持部材66に支持されている保持部材62を適宜、非基準保持部材62l、と称する。
第1部材60Aに支持されている基準保持部材62rは、本体部材60に対して移動不可能である。第2支持部材66に支持されている非基準保持部材62lは、本体部材60に対して移動可能である。基準保持部材62rの位置は、ロボット5により調整される。非基準保持部材62lの位置は、ロボット5及び微動装置400により調整される。
以下の説明において、第1部材60Aに支持されている基準保持部材62rによる保持位置HP2rを適宜、基準保持位置HP2r、と称し、第2支持部材66に支持されている非基準保持部材62lによる保持位置HP2lを適宜、非基準保持位置HP2l、と称する。
保持部材62による保持位置HP2は、後身頃Cbのエッジから規定距離に決定される。基準保持位置HP2rは、右脇部分WRから第1規定距離Gaに決定される。非基準保持位置HP2lは、左脇部分WLから第2規定距離Gbに決定される。第1規定距離Gaは、例えば5[mm]である。第2規定距離Gbは、例えば5[mm]である。第1規定距離Ga及び第2規定距離Gbは、裾部分Hに平行な方向の距離である。図17に示す例において、基準保持位置HP2rと非基準保持位置HP2lとは、距離Gsだけ離れている。距離Gsは、裾部分Hに平行な方向の距離である。
以下の説明において、後身頃Cbのエッジのうち右脇部分WRを適宜、基準エッジWR、と称し、左脇部分WLを適宜、非基準エッジWL、と称する。
基準保持部材62rは3つ設けられ、基準保持位置HP2rは3箇所に規定される。3箇所の基準保持位置HP2rのうち裾部分Hに最も近い第1の基準保持位置HP2rは、裾部分Hから第3規定距離Gcに決定される。非基準保持部材62lは3つ設けられ、非基準保持位置HP2lは3箇所に規定される。3箇所の非基準保持位置HP2lのうち裾部分Hに最も近い第1の非基準保持位置HP2lは、裾部分Hから第3規定距離Gcに決定される。第3規定距離Gcは、例えば5[mm]である。第3規定距離Gcは、裾部分Hと直交する方向の距離である。
基準エッジWR、非基準エッジWL、及び裾部分Hのそれぞれは、直線状である。基準保持位置HP2rは、基準エッジWRから第1規定距離Gaに決定される。非基準保持位置HP2lは、非基準エッジWLから第2規定距離Gbに決定される。保持位置決定部15は、第1の基準保持位置HP2rと第2の基準保持位置HP2rと第3の基準保持位置HP2rとを結ぶ線と基準エッジWRとが平行になるように、3箇所の基準保持位置HP2rを決定する。
第1ミシン21において、後身頃Cbの目標部位RPにラベルLが縫合される。基準保持位置HP2rは、後身頃Cbにおいて目標部位RPの周囲の一部に決定される。目標部位RPは、3箇所の基準保持位置HP2rのうち裾部分Hに最も近い第1の基準保持位置HP2rと、第1の基準保持位置HP2rに次いで裾部分Hに近い第2の基準保持位置HP2rとの間に規定される。
搬送制御部17は、保持部材62が保持位置HP2を保持するように、生地搬送装置4を制御する。搬送制御部17は、基準保持部材62rが基準保持位置HP2rを保持するように、ロボット5を制御する。すなわち、搬送制御部17は、基準保持部材62rと設置台322に設置されている後身頃Cbに規定された基準保持位置HP2rとがXY平面内において一致するように、ロボット5を制御して、本体部材60の位置を調整する。
また、搬送制御部17は、基準保持部材62rが基準保持位置HP2rを保持した状態で、非基準保持部材62lが非基準保持位置HP2lを保持するように、微動装置400の動力発生装置401を制御する。
例えば後身頃Cbの伸縮又は裁断誤差等に起因して、裾部分Hに平行な方向の後身頃Cbの寸法が、後身頃Cb毎に変化する可能性がある。上述のように、基準保持位置HP2rは、基準エッジWRから第1規定距離Gaに決定され、非基準保持位置HP2lは、非基準エッジWLから第2規定距離Gbに決定される。検出装置323の検出データに基づいて基準保持位置HP2r及び非基準保持位置HP2lが決定された場合、基準保持部材62rと非基準保持部材62lとの相対位置が固定されていると、保持部材62は保持位置HP2を保持できない可能性がある。
図18は、本実施形態に係る後身頃Cbの保持位置HPを模式的に示す図である。図18に示す裾部分Hに平行な方向の後身頃Cbの寸法は、図17に示した裾部分Hに平行な方向の後身頃Cbの寸法よりも大きい。例えば後身頃Cbの伸縮又は裁断誤差等に起因して、異常判定部16において異常でないと判定されるものの、裾部分Hに平行な方向の後身頃Cbの寸法が僅かに変化する可能性がある。図18に示すように、基準保持位置HP2rが基準エッジWRから第1規定距離Gaに決定され、非基準保持位置HP2lが非基準エッジWLから第2規定距離Gbに決定された場合、図18に示す基準保持位置HP2rと非基準保持位置HP2lの距離Gsは、図17に示した基準保持位置HP2rと非基準保持位置HP2lの距離Gsよりも長い。
図17に示した後身頃Cb及び図18に示した後身頃Cbのそれぞれにおいて、搬送制御部17は、基準保持部材62rが基準保持位置HP2rを保持し、非基準保持部材62lが非基準保持位置HP2lを保持するように、微動装置400の動力発生装置401を制御して、裾部分Hに平行な方向に非基準保持部材HP2lを移動する。基準保持部材62rと非基準保持部材62lとの相対位置が変更されることにより、基準保持部材62rが基準保持位置HP2rを保持した状態で、非基準保持部材62lが非基準保持位置HP2lを保持することができる。
保持位置HP1及び保持位置HP2が決定された後、搬送制御部17は、保持部材61が保持位置HP1を保持し、基準保持部材62rが基準保持位置HP2rを保持し、非基準保持部材62lが非基準保持位置HP2lを保持するように、ロボット5及び微動装置400の動力発生装置401を制御する。
図15(B)に示すように、搬送制御部17は、生地搬送装置4を、設置台322のプレート部材33に設置されている後身頃Cbと対向する第2供給位置PF2に移動させる。支持装置34は、生地搬送装置4の搬送部材6の吸着面HSと対向可能な位置においてプレート部材33を支持する。生地搬送装置4が第2供給位置PF2に移動された後、搬送制御部17は、吸着面HSの吸引動作を実施しながら生地搬送装置4を下降させる。これにより、生地搬送装置4の吸着面HSとプレート部材33の上面に設置されている後身頃Cbとが接触し、後身頃Cbは、生地搬送装置4の吸着面HSに真空吸着保持される。生地搬送装置4は、プレート部材33の上面33Sに設置されている後身頃Cbを上方から真空吸着保持する。生地搬送装置4は、前身頃Caを上方から真空吸着保持して搬送する。
プレート部材33に孔37が設けられている。これにより、生地搬送装置4とプレート部材33に設置されている後身頃Cbとが接近又は接触した状態で、生地搬送装置4の吸着面HSの吸引孔から気体が吸引されるとき、図15(B)の矢印Fで示すように、プレート部材33の下面33T側の空間の気体が、孔37を介してプレート部材33の上面33S側の空間に流れる。これにより、生地搬送装置4の吸着面HSによる前身頃Caの真空吸着保持は安定して実施される。
ロボット5は、水平多関節ロボットであり、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、及びθZ方向の4つの方向に移動可能である。生地搬送装置4の吸着面HSは、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、及びθZ方向に移動可能である。支持装置34は、プレート部材33を揺動可能に支持するフローティング機能を有する。プレート部材33は、θX方向、θY方向、及びZ軸方向の少なくとも1つの方向に移動可能に支持装置34に支持される。
すなわち、XY平面内及びZ軸方向にのみ移動可能な生地搬送装置4の吸着面HSに対して、前身頃Caを支持するプレート部材33は、θX方向、θY方向、及びZ軸方向に移動可能である。したがって、生地搬送装置4の吸着面HSとプレート部材33の上面33Sとが平行でなくても、生地搬送装置4を下降させて生地搬送装置4の吸着面HSとプレート部材33の上面33Sに設置されている前身頃Caとを接触させるとき、生地搬送装置4の吸着面HSとプレート部材33の上面33Sとが平行になるようにプレート部材33が揺動する。これにより、生地搬送装置4の吸着面HSとプレート部材33の上面33Sとは十分に接触することができ、前身頃Caは、生地搬送装置4の吸着面HSに安定して真空吸着保持される。
なお、図15を参照して、生地搬送装置4が第2生地供給装置32から後身頃Cbを搬出する動作について説明した。生地搬送装置4が第1生地供給装置31から前身頃Caを搬出する動作は、第2生地供給装置32から後身頃Cbを搬出する動作と同様であるため説明を省略する。
<第1ミシンにおける生地搬送装置の動作>
図19は、本実施形態に係る第1ミシン21における生地搬送装置4の動作を模式的に示す斜視図である。
第1ミシン21は、生地搬送装置4と協働して後身頃CbとラベルLとを縫合する。図19に示すように、第1ミシン21は、後身頃Cbが設置される設置面211Sを有するテーブル211と、テーブル211に設置された後身頃CbとラベルLとを縫合するミシンヘッド212とを有する。
ミシンヘッド212は、ミシン針213を上下方向に移動させる駆動機構214と、テーブル211に設置された後身頃Cbを上方から押える第1押え部材215と、後身頃Cb上に設置されたラベルLを上方から押える第2押え部材216とを有する。
生地搬送装置4は、ミシンヘッド212による後身頃CbとラベルLとの縫合において、後身頃Cbを保持する。搬送制御部17は、後身頃Cbの目標部位RPにラベルLが縫合されるように、検出装置313の検出データに基づいて、生地搬送装置4を移動させる。本実施形態において、搬送制御部17は、後身頃Cbの右脇部分WRの目標部位RPが第1縫合位置PM1に配置されるように、検出装置313の検出データに基づいて、生地搬送装置4に保持されている後身頃Cbの位置を調整する。
本実施形態においては、後身頃Cbの右脇部分WRの位置を検出する位置センサ217が第1ミシン21に設けられる。位置センサ217は、後身頃Cbのエッジに検出光を照射して、右脇部分WRの位置を光学的に検出する。搬送制御部17は、後身頃Cbの右脇部分WRの目標部位RPが第1縫合位置PM1に配置されるように、位置センサ217の検出データに基づいて、後身頃Cbを保持した生地搬送装置4の位置を調整する。すなわち、本実施形態において、搬送制御部17は、位置センサ217の検出データに基づいて、後身頃Cbの右脇部分WRの目標部位RPと第1縫合位置PM1との相対位置を調整する。
ミシンヘッド212は、後身頃Cb及びラベルLを縫製方向に送りながら後身頃CbとラベルLとを縫合する。生地搬送装置4は、ミシンヘッド212の縫合と同期して、後身頃Cbを保持して縫製方向に移動する。図19に示す例において、縫製方向は、X軸方向である。
第1ミシン制御部13は、後身頃CbとラベルLとが規定の縫製方向に送られながら縫合されるように第1ミシン21を制御する。第1ミシン21は、後身頃Cb及びラベルLを規定の縫製方向に送りながらミシン針213を上下方向に移動させて、後身頃CbとラベルLとを縫合する。搬送制御部17は、第1ミシン21による後身頃Cb及びラベルLの縫製方向の送り動作と同期して、後身頃Cbを保持した生地搬送装置4を規定の縫製方向に移動させる。生地搬送装置4は、第1ミシン21による後身頃Cb及びラベルLの縫製方向の送り動作と同期して、後身頃Cbを保持した状態で規定の縫製方向に移動する。これにより、第1ミシン21による後身頃CbとラベルLとの縫合は円滑に実施される。
本実施形態において、生地搬送装置4は、後身頃Cbをテーブル211に押さえ付ける。搬送制御部17は、生地搬送装置4の重量よりも大きい荷重がテーブル211に作用するように、生地搬送装置4をテーブル211に押し付けながら、規定の縫製方向に移動させる。
本実施形態においては、ラベルLと縫合される後身頃Cbの右脇部分WRの目標部位RPは、第1部材60Aに設けられている一対の基準保持部材62rの間に配置される。ラベルLと縫合される右脇部分WRの目標部位RPは、搬送部材6で覆われていない。これにより、第1押え部材215及び第2押え部材216は、後身頃Cbの右脇部分WRを上方から円滑に押えることができる。また、ラベルLと縫合される右脇部分WRの目標部位RPが搬送部材6で覆われていないため、ミシン針213による縫合は円滑に実施される。
<第2ミシンにおける生地搬送装置及び生地位置調整装置の動作>
次に、第2ミシン22における生地搬送装置4及び生地位置調整装置250の動作の一例について説明する。上述のように、本実施形態において、第2ミシン22は、前身頃Caの肩部分Kと後身頃Cbの肩部分Kとを縫合する肩合わせ縫いミシンである。
図20は、本実施形態に係る前身頃Ca及び後身頃Cbのそれぞれを模式的に示す図である。図20に示すように、前身頃Caは、2つの肩部分K及び2つの脇部分Wを有する。後身頃Cbは、2つの肩部分K及び2つの脇部分Wを有する。2つの肩部分Kは、一方の肩部分Kである左肩部分KLと他方の肩部分Kである右肩部分KRとを含む。2つの脇部分Wは、一方の脇部分Wである左脇部分WLと他方の脇部分Wである右脇部分WRとを含む。第2ミシン22においては、前身頃Caの左肩部分KLと後身頃Cbの左肩部分KLとの縫合、及び前身頃Caの右肩部分KRと後身頃Cbの右肩部分KRとの縫合が実施される。
図21は、本実施形態に係る前身頃Caと後身頃Cbとを重ね合わせた状態を模式的に示す図である。図21に示すように、前身頃Caの肩部分Kと後身頃Cbの肩部分Kとを縫合するとき、第2ミシン22において、前身頃Caと後身頃Cbとが重ね合わせられる。前身頃Caと後身頃Cbとを重ね合わせたとき、前身頃Caの肩部分Kの位置と後身頃Cbの肩部分Kの位置とが一致しない可能性がある。例えば、図21に示すように、前身頃Caの左肩部分KLの位置と後身頃Cbの左肩部分KLの位置とが一致するように前身頃Caと後身頃Cbとを重ね合わせたとき、前身頃Caの右肩部分KRの位置と後身頃Cbの右肩部分KRの位置とがずれてしまう可能性がある。なお、前身頃Caの肩部分Kの位置と後身頃Cbの肩部分Kの位置とが一致しない原因として、例えば生地Cの伸び又は裁断ずれなどが挙げられる。
前身頃Caの肩部分Kの位置と後身頃Cbの肩部分Kの位置とが一致しない状態で、前身頃Caの肩部分Kと後身頃Cbの肩部分Kとが縫合されてしまうと、不良な衣料が製造されてしまう。
生地位置調整装置250は、前身頃Caの肩部分Kの位置と後身頃Cbの肩部分Kの位置とのずれを補正する。生地位置調整装置250は、前身頃Caの左肩部分KLの位置と後身頃Cbの左肩部分KLの位置とが一致するように前身頃Caと後身頃Cbとを重ね合わせたとき、前身頃Caの右肩部分KRの位置と後身頃Cbの右肩部分KRの位置とのずれ量Gが小さくなるように、前身頃Caの右肩部分KRの位置を調整する。
前身頃Caが第2ミシン22に搬送される前、XY平面内における前身頃Caの左肩部分KLの位置及び前身頃Caの右肩部分KRの位置が、第1生地供給装置31に配置されている検出装置313によって検出される。後身頃Cbが第2ミシン22に搬送される前、XY平面内における後身頃Cbの左肩部分KLの位置及び後身頃Cbの右肩部分KRの位置が、第2生地供給装置32に配置されている検出装置323によって検出される。
前身頃位置データ取得部11は、検出装置313で取得された画像データに基づいて、XY平面内における前身頃Caの左肩部分KLの位置データ及び前身頃Caの右肩部分KRの位置データを算出する。後身頃位置データ取得部12は、検出装置323で取得された画像データに基づいて、XY平面内における後身頃Cbの左肩部分KLの位置データ及び後身頃Cbの右肩部分KRの位置データを算出する。
第2ミシン制御部14は、前身頃位置データ取得部11で算出された前身頃Caの左肩部分KLの位置データ及び前身頃Caの右肩部分KRの位置データと、後身頃位置データ取得部12で算出された後身頃Cbの左肩部分KLの位置データ及び後身頃Cbの右肩部分KRの位置データとに基づいて、前身頃Caの左肩部分KLの位置と後身頃Cbの左肩部分KLの位置とが一致するように前身頃Caと後身頃Cbとを重ね合わせたときの、前身頃Caの右肩部分KRの位置と後身頃Cbの右肩部分KRの位置とのずれ量Gを算出する。第2ミシン制御部14によって算出されたずれ量Gは、記憶部18に記憶される。
図22は、本実施形態に係る第2ミシン22における生地位置調整装置250の動作を模式的に示す平面図である。図22は、生地搬送装置4によって第1生地供給装置31から第2ミシン22のテーブル221に搬送された前身頃Caを模式的に示す。
生地搬送装置4は、検出装置313の検出データに基づいて、第2ミシン22に規定されている目標位置に前身頃Caが設置されるように、前身頃Caをテーブル221に搬送する。生地搬送装置4は、前身頃Caの左肩部分KLがテーブル221の設置面221Sに設置され、前身頃Caの右肩部分KRが生地位置調整装置250のプレート部材251の保持面251Sに設置されるように、前身頃Caをテーブル221に搬送する。
前身頃Caがテーブル221に設置された後、生地位置調整装置250は、吸引孔253による吸引動作を実施して、プレート部材251の保持面251Sで前身頃Caの右肩部分KRを吸着保持する。これにより、テーブル221の設置面221Sに前身頃Caの左肩部分KLが設置された状態で、プレート部材251の保持面251Sに前身頃Caの右肩部分KRが保持される。
第2ミシン制御部14は、生地位置調整装置250のアクチュエータ252を制御して、設置面221Sと平行な方向にプレート部材251を移動して、前身頃Caの右肩部分KRの位置を調整する。第2ミシン制御部14は、検出装置313の検出データ及び検出装置323の検出データに基づいて算出され記憶部18に記憶されているずれ量Gが小さくなるように、右肩部分KRを吸着保持しているプレート部材251を設置面221Sと平行な方向に移動させる。
すなわち、第2ミシン制御部14は、テーブル221に設置されている前身頃Caの右肩部分KRと、後にテーブル221に搬送される後身頃Cbの右肩部分KRとのずれ量Gが小さくなるように、アクチュエータ252を制御して、前身頃Caの右肩部分KRを保持しているプレート部材251の移動量を調整する。
これにより、図22に示すように、前身頃Caの右肩部分KRの位置は、点線で示す位置から実線で示す位置に調整される。プレート部材251の移動により前身頃Caの右肩部分KRが移動しても、前身頃Caの左肩部分KLは、テーブル221の設置面221Sとの摩擦力により実質的に静止する。なお、テーブル221の設置面221Sに真空系70と接続される吸引口が設けられ、前身頃Caの左肩部分KLがテーブル221の設置面221Sに吸着保持されてもよい。前身頃Caの左肩部分KLがテーブル221の設置面221Sに吸着保持されることにより、プレート部材251の移動により前身頃Caの右肩部分KRが移動しても、テーブル221の設置面221Sに吸着保持されている前身頃Caの左肩部分KLは、実質的に静止する。
生地位置調整装置250は、テーブル221の設置面221Sに前身頃Caの左肩部分KLが設置された状態で、前身頃Caの右肩部分KRを吸着保持したプレート部材251をXY平面内において移動させることにより、XY平面内における、保持面251Sに保持されている前身頃Caの右肩部分KRと、設置面221Sに設置されている前身頃Caの左肩部分KLとの相対位置を調整することができる。
テーブル221に設置されている前身頃Caの右肩部分KRの位置が生地位置調整装置250によって調整された後、生地搬送装置4により、後身頃Cbが第2ミシン22のテーブル221に搬送される。搬送制御部17は、検出装置323の検出データに基づいて、後身頃Cbがテーブル221に規定されている目標位置に配置されるように生地搬送装置4を制御して、後身頃Cbの位置を調整する。生地搬送装置4は、第2ミシン22のテーブル221に設置されている前身頃Caと後身頃Cbとが重なり合うように、テーブル221に設置されている前身頃Caに対する後身頃Cbの位置を調整する。
搬送制御部17は、検出装置313及び検出装置323の検出データに基づいて、テーブル221の設置面221Sに設置されている前身頃Caの左肩部分KLと、生地搬送装置4によりテーブル221に搬送される後身頃Cbの左肩部分KLとが一致するように、生地搬送装置4を制御する。これにより、テーブル221の設置面221Sにおいて前身頃Caの左肩部分KLの位置と後身頃Cbの左肩部分KLの位置とが一致するように、テーブル221に設置されている前身頃Caの上に後身頃Cbが搬送される。生地搬送装置4により後身頃Cbがテーブル221に搬送された後、搬送制御部17は、搬送部材6の吸着面HSによる後身頃Cbの吸着保持を解除する。
図23は、本実施形態に係る第2ミシン22における前身頃Ca及び後身頃Cbを模式的に示す平面図である。テーブル221に後身頃Cbが搬送される前に、第2ミシン制御部14は、ずれ量Gが小さくなるように、生地位置調整装置250のアクチュエータ252を制御して、プレート部材251の保持面251Sに保持されている前身頃Caの右肩部分KRと、生地搬送装置4によって搬送される後身頃Cbの右肩部分KRとの相対位置を調整する。第2ミシン制御部14は、生地位置調整装置250のアクチュエータ252を制御して、プレート部材251の保持面251Sにおいて前身頃Caの右肩部分KRの位置と後身頃Cbの右肩部分KRの位置とが一致するようにプレート部材251を移動する。すなわち、生地位置調整装置250により、テーブル221に設置されている前身頃Caの右肩部分KRと左肩部分KLとの相対位置は、生地搬送装置4によって搬送される後身頃Cbの右肩部分KRと左肩部分KLとの相対位置と一致するように調整される。したがって、生地搬送装置4によって、テーブル221に設置されている前身頃Caの上に後身頃Cbが搬送されることにより、図23に示すように、テーブル221において、前身頃Caの右肩部分KRの位置と後身頃Cbの右肩部分KRの位置とが一致し、前身頃Caの左肩部分KLの位置と後身頃Cbの左肩部分KLの位置とが一致するように、前身頃Caと後身頃Cbとが重なり合う。
図24は、本実施形態に係る第2ミシン22の動作を模式的に示す平面図である。前身頃Caの右肩部分KRの位置と後身頃Cbの右肩部分KRの位置とが一致し、前身頃Caの左肩部分KLの位置と後身頃Cbの左肩部分KLの位置とが一致するように、前身頃Caと後身頃Cbとが重ね合わせられた後、図24に示すように、第2ミシン制御部14は、第1生地押え部材240Lで前身頃Caの左肩部分KL及び後身頃Cbの左肩部分KLを固定する。前身頃Caの左肩部分KL及び後身頃Cbの左肩部分KLは、第1生地押え部材240Lによって上から押さえ付けられることにより、第1生地押え部材240Lとテーブル221との間において固定される。
図25及び図26は、本実施形態に係る第2ミシン22における生地搬送装置4の動作を模式的に示す平面図である。第1生地押え部材240Lで前身頃Caの左肩部分KL及び後身頃Cbの左肩部分KLが固定された後、図8(B)を参照して説明したように、搬送制御部17は、可動部材63の下端部が吸着面HSよりも下方に配置されるように、搬送部材6の可動部材63を下降させる。
搬送制御部17は、生地搬送装置4の位置を調整して、可動部材63の下端部と後身頃Cbとを接触させる。搬送制御部17は、後身頃Cbの少なくとも一部と可動部材63とが接触した状態で、ロボット5を制御して、後身頃Cbの少なくとも一部と接触した可動部材63をXY平面内において移動させて、XY平面内における後身頃Cbの位置及び前身頃Caの位置を調整する。
図25に示すように、本実施形態においては、搬送制御部17は、生地Cの右肩部分KRの近傍と可動部材63とを接触させた状態でXY平面内において生地搬送装置4を移動させて、第1生地押え部材240Lに固定されている左肩部分KLに対する右肩部分KRの位置を調整する。図26に示すように、搬送制御部17は、右肩部分KRと左肩部分KLとが直線状に配置されるように、左肩部分KLに対する右肩部分KRの位置を調整する。
図27は、本実施形態に係る第2ミシン22の動作を模式的に示す平面図である。左肩部分KLに対する右肩部分KRの位置が調整された後、図27に示すように、第2ミシン制御部14は、第2生地押え部材240Rで、右肩部分KRを固定する。これにより、左肩部分KLのシームラインSLと右肩部分KRのシームラインSRとが同一直線上に配置される。
[縫製方法]
図28は、本実施形態に係る縫製方法を示すフローチャートである。第1生地供給装置31の収容装置311に積層されている複数の前身頃Caのうち最も上に配置されている1枚の前身頃Caが第1ピックアップ装置によって設置台312に搬送される。設置台312に設置された前身頃Caが検出装置313によって検出される。前身頃位置データ取得部11は、検出装置313の検出データを取得する(ステップS10)。
前身頃位置データ取得部11は、検出装置313の検出データに基づいて、XY平面内における前身頃Caのエッジの位置データを算出する(ステップS20)。
図16を参照して説明したように、前身頃位置データ取得部11は、前身頃Caのエッジの位置データとして、前身頃Caの交点Pa、交点Pb、交点Pc、交点Pd、交点Pe、交点Pf、交点Pg、交点Phの位置を算出する。
前身頃位置データ取得部11は、前身頃Caのエッジの位置データに基づいて、前身頃Caの寸法データを算出する(ステップS30)。
図16を参照して説明したように、前身頃位置データ取得部11は、前身頃Caの寸法データとして、寸法La、寸法Lb、寸法Lc、寸法Ld、寸法Le、寸法Lf、及び寸法Lgを算出する。
異常判定部16は、前身頃Caの寸法データと記憶部18に記憶されている前身頃Caの寸法の正解データとを照合して、設置台312に設置されている前身頃Caが異常か否かを判定する(ステップS40)。
ステップS40において、前身頃Caが異常であると判定された場合(ステップS40:Yes)、搬送制御部17は、異常であると判定された前身頃Caが設置台312から異常生地収容部材601に搬送されるように、生地搬送装置4を制御する(ステップS50)。
図1等に示すように、異常生地収容部材601は、設置台312に隣接する位置に配置される。搬送制御部17は、異常であると判定された前身頃Caが把持装置500に挟まれた状態で異常生地収容部材601に搬送されるように、生地搬送装置4を制御する。
図11に示したように、設置台312に設置されている前身頃Caを把持装置500で把持する場合、搬送制御部17は、把持部材502の下端部が搬送部材6の吸着面HSよりも下方に配置されるように、アクチュエータ510を制御する。搬送制御部17は、アクチュエータ503を制御して、異常であると判定され、設置台312に設置されている前身頃Caの一部を把持部材502で挟む。前身頃Caの一部が把持部材502により挟まれた後、搬送制御部17は、把持装置500で挟まれている前身頃Caが設置台312から異常生地収容部材601に搬送されるように、ロボット5を制御する。把持装置500に挟まれている前身頃Caが異常生地収容部材601の上方に配置された後、搬送制御部17は、アクチュエータ503を制御して、把持部材502による前身頃Caの把持を解除する。これにより、異常であると判定された前身頃Caは落下し、異常生地収容部材601に収容される。
異常であると判定された前身頃Caが異常生地収容部材601に搬送された後、収容装置311に収容されている新たな前身頃Caが設置台312に設置される。制御装置10は、設置台312に設置された前身頃Caについて、ステップS10からステップS40の処理を実施する。
ステップS40において、前身頃Caが異常でないと判定された場合(ステップS40:No)、搬送制御部17は、異常でないと判定された前身頃Caが設置台312から第2ミシン22に搬送されるように、生地搬送装置4を制御する。
保持位置決定部15は、検出装置313の検出データに基づいて、前身頃Caの保持位置HPを決定する(ステップS60)。
保持位置HPは、保持位置HP1と、保持位置HP2とを含む。保持位置HP2は、基準保持位置HP2rと、非基準保持位置HP2lとを含む。図17及び図18を参照して説明したように、保持位置決定部15は、基準エッジWRから第1規定距離Gaに基準保持位置HP2rを決定し、非基準エッジWLから第2規定距離Gbに非基準保持位置HP2lを決定する。
保持位置HPが決定された後、搬送制御部17は、基準保持部材62rが基準保持位置HP2rを保持した状態で、非基準保持部材62lが非基準保持位置HP2lを保持するように、ロボット5及び微動装置400の動力発生装置401を制御する(ステップS70)。
すなわち、搬送制御部17は、設置台312の上方の第1供給位置PF1に生地搬送装置4を移動させた後、ロボット5を制御して、本体部材60に支持されている基準保持部材62rと設置台312に設置されている前身頃Caに規定されている基準保持位置HP2rとをXY平面内において位置合わせする。基準保持部材62rと基準保持位置HP2rとがXY平面内において位置合わせされた後、搬送制御部17は、基準保持部材62rと基準保持位置HP2rとの相対位置を維持した状態で、微動装置400の動力発生装置401を制御して、第2支持部材66に支持されている非基準保持部材62lと設置台312に設置されている前身頃Caに規定されている非基準保持位置HP2lとをXY平面内において位置合わせする。搬送制御部17は、基準保持部材62rと基準保持位置HP2rとがXY平面内において位置合わせされ、非基準保持部材62lと非基準保持位置HP2lとがXY平面内において位置合わせされた状態で、生地搬送装置4を下降することにより、基準保持位置HP2rを基準保持部材62rで保持し、非基準保持位置HP2lを非基準保持部材62lで保持することができる。
前身頃Caの位置データは、XY平面内における、前身頃Caの左肩部分KL、右肩部分KR、左脇部分WL、及び右脇部分WRを含む前身頃Caの周縁部分の位置データを含む。後身頃Cbの位置データは、XY平面内における、後身頃Cbの左肩部分KL、右肩部分KR、左脇部分WL、及び右脇部分WRを含む後身頃Cbの周縁部分の位置データを含む。第2ミシン制御部14は、ステップS10において算出された前身頃Caの左肩部分KLの位置データ、前身頃Caの右肩部分KRの位置データ、後身頃Cbの左肩部分KLの位置データ、及び後身頃Cbの右肩部分KRの位置データに基づいて、前身頃Caの左肩部分KLの位置と後身頃Cbの左肩部分KLの位置とが一致するように前身頃Caと後身頃Cbとを重ね合わせたときの、前身頃Caの右肩部分KRの位置と後身頃Cbの右肩部分KRの位置とのずれ量Gを算出する。記憶部18は、算出されたずれ量Gを示すデータを記憶する。
搬送制御部17は、設置台312に設置されている1枚の前身頃Caを生地搬送装置4の吸着面HSで吸着保持させた後、搬送制御部17は、ロボット5を制御して、生地搬送装置4に保持された前身頃Caを設置台312から第2ミシン22に搬送する(ステップS80)。
搬送制御部17は、前身頃Caを保持した生地搬送装置4を第2ミシン位置PH2に移動させる。搬送制御部17は、第2ミシン22のテーブル221に規定されている目標位置に前身頃Caが搬送されるように、第2ミシン位置PH2において、生地搬送装置4に保持されている前身頃Caの位置を調整する。
本実施形態において、搬送制御部17は、前身頃Caの左肩部分KLがテーブル221の設置面221Sに設置され、前身頃Caの右肩部分KRがテーブル221に設けられているプレート部材251の保持面251Sに設置されるように、生地搬送装置4で前身頃Caをテーブル221に搬送する。
搬送制御部17は、生地搬送装置4により前身頃Caを第2ミシン22のテーブル221に搬送して前身頃Caの位置を調整した後、生地搬送装置4の吸着面HSによる前身頃Caの吸着保持を解除する。これにより、前身頃Caは、第2ミシン22のテーブル221に渡される。前身頃Caが生地搬送装置4から第2ミシン22のテーブル221に渡された後、搬送制御部17は、第2供給位置PF2に生地搬送装置4を移動させる。
第2ミシン制御部14は、生地位置調整装置250を制御して、テーブル221に設置されている前身頃Caの右肩部分KRの位置を調整する(ステップS90)。
図22を参照して説明したように、前身頃Caの右肩部分KRがプレート部材251に吸着保持される。前身頃Caの左肩部分KLはテーブル221の設置面221Sに設置される。第2ミシン制御部14は、生地位置調整装置250のアクチュエータ252を制御して、設置面221Sと平行な方向にプレート部材251を移動して、記憶部18に記憶されているずれ量Gが小さくなるように、右肩部分KRを吸着保持しているプレート部材251を設置面221Sと平行な方向に移動させる。
また、第2生地供給装置32において、第2生地供給装置32の収容装置321に積層されている複数の後身頃Cbのうち最も上に配置されている1枚の後身頃Cbが第2ピックアップ装置によって設置台322に搬送される。設置台322に設置された後身頃Cbが検出装置323によって検出される。設置台322に設置された後身頃Cbが検出装置323によって検出される。後身頃位置データ取得部12は、検出装置323の検出データを取得する(ステップS100)。
後身頃位置データ取得部12は、検出装置323の検出データに基づいて、XY平面内における後身頃Cbのエッジの位置データを算出する(ステップS110)。
図16を参照して説明したように、後身頃位置データ取得部12は、後身頃Cbのエッジの位置データとして、後身頃Cbの交点Pa、交点Pb、交点Pc、交点Pd、交点Pe、交点Pf、交点Pg、交点Phの位置を算出する。
後身頃位置データ取得部12は、後身頃Cbのエッジの位置データに基づいて、後身頃Cbの寸法データを算出する(ステップS120)。
図16を参照して説明したように、後身頃位置データ取得部12は、後身頃Cbの寸法データとして、寸法La、寸法Lb、寸法Lc、寸法Ld、寸法Le、寸法Lf、及び寸法Lgを算出する。
異常判定部16は、後身頃Cbの寸法データと記憶部18に記憶されている後身頃Cbの寸法の正解データとを照合して、設置台322に設置されている後身頃Cbが異常か否かを判定する(ステップS130)。
ステップS130において、後身頃Cbが異常であると判定された場合(ステップS130:Yes)、搬送制御部17は、異常であると判定された後身頃Cbが設置台322から異常生地収容部材602に搬送されるように、生地搬送装置4を制御する(ステップS140)。
図1等に示すように、異常生地収容部材602は、設置台322に隣接する位置に配置される。搬送制御部17は、異常であると判定された後身頃Cbが把持装置500に挟まれた状態で異常生地収容部材602に搬送されるように、生地搬送装置4を制御する。
図11に示したように、設置台322に設置されている後身頃Cbを把持装置500で把持する場合、搬送制御部17は、把持部材502の下端部が搬送部材6の吸着面HSよりも下方に配置されるように、アクチュエータ510を制御する。搬送制御部17は、アクチュエータ503を制御して、異常であると判定され、設置台322に設置されている後身頃Cbの一部を把持部材502で挟む。後身頃Cbの一部が把持部材502により挟まれた後、搬送制御部17は、把持装置500で挟まれている後身頃Cbが設置台322から異常生地収容部材602に搬送されるように、ロボット5を制御する。把持装置500に挟まれている後身頃Cbが異常生地収容部材602の上方に配置された後、搬送制御部17は、アクチュエータ503を制御して、把持部材502による後身頃Cbの把持を解除する。これにより、異常であると判定された後身頃Cbは落下し、異常生地収容部材602に収容される。
異常であると判定された後身頃Cbが異常生地収容部材602に搬送された後、収容装置321に収容されている新たな後身頃Cbが設置台322に設置される。制御装置10は、設置台322に設置された後身頃Cbについて、ステップS100からステップS130の処理を実施する。
ステップS130において、後身頃Cbが異常でないと判定された場合(ステップS13:No)、搬送制御部17は、異常でないと判定された後身頃Cbが設置台322から第1ミシン21に搬送されるように、生地搬送装置4を制御する。
保持位置決定部15は、検出装置323の検出データに基づいて、後身頃Cbの保持位置HPを決定する(ステップS150)。
保持位置HPは、保持位置HP1と、保持位置HP2とを含む。保持位置HP2は、基準保持位置HP2rと、非基準保持位置HP2lとを含む。図17及び図18を参照して説明したように、保持位置決定部15は、基準エッジWRから第1規定距離Gaに基準保持位置HP2rを決定し、非基準エッジWLから第2規定距離Gbに非基準保持位置HP2lを決定する。後見頃Cbにおいて、基準保持位置HP2rは、ラベルLが縫合される目標部位RPの周囲の一部に決定される。
保持位置HPが決定された後、搬送制御部17は、基準保持部材62rが基準保持位置HP2rを保持した状態で、非基準保持部材62lが非基準保持位置HP2lを保持するように、ロボット5及び微動装置400の動力発生装置401を制御する(ステップS160)。
すなわち、搬送制御部17は、設置台322の上方の第2供給位置PF2に生地搬送装置4を移動させた後、ロボット5を制御して、本体部材60に支持されている基準保持部材62rと設置台322に設置されている後身頃Cbに規定されている基準保持位置HP2rとをXY平面内において位置合わせする。基準保持部材62rと基準保持位置HP2rとがXY平面内において位置合わせされた後、搬送制御部17は、基準保持部材62rと基準保持位置HP2rとの相対位置を維持した状態で、微動装置400の動力発生装置401を制御して、第2支持部材66に支持されている非基準保持部材62lと設置台322に設置されている後身頃Cbに規定されている非基準保持位置HP2lとをXY平面内において位置合わせする。搬送制御部17は、基準保持部材62rと基準保持位置HP2rとがXY平面内において位置合わせされ、非基準保持部材62lと非基準保持位置HP2lとがXY平面内において位置合わせされた状態で、生地搬送装置4を下降することにより、基準保持位置HP2rを基準保持部材62rで保持し、非基準保持位置HP2lを非基準保持部材62lで保持することができる。
搬送制御部17は、設置台322に設置されている1枚の後身頃Cbを生地搬送装置4の吸着面HSで吸着保持させた後、搬送制御部17は、ロボット5を制御して、生地搬送装置4に保持された後身頃Cbを設置台322から第1ミシン21に搬送する(ステップS170)。
後身頃Cbを設置台322から第1ミシン21に搬送する処理は、生地位置調整装置250による前身頃Caの右肩部分KRの位置調整の処理の少なくとも一部と並行して実施される。
搬送制御部17は、後身頃Cbを保持した生地搬送装置4を第1ミシン位置PH1に移動させる。搬送制御部17は、第1ミシン21のテーブル211に規定されている目標位置に後身頃Cbが搬送されるように、第1ミシン位置PH1において、生地搬送装置4に保持されている後身頃Cbの位置を調整する。
図19を参照して説明したように、搬送制御部17は、後身頃Cbの右脇部分WRの目標部位PRが第1縫合位置PM1に配置されるように、生地搬送装置4に保持されている後身頃Cbの位置を調整する。搬送制御部17は、位置センサ217の検出データに基づいて、第1ミシン位置PH1において、生地搬送装置4に保持されている後身頃Cbと第1縫合位置PM1との相対位置を微調整する。
第1ミシン制御部13は、第1ミシン21を制御して、生地搬送装置4の吸着面HSに吸着保持されている後身頃Cbとラベル供給装置8から供給されたラベルLとを縫合する(ステップS180)。
ミシンヘッド212は、後身頃Cb及びラベルLを縫製方向に送りながら後身頃CbとラベルLとを縫合する。搬送制御部17は、第1ミシン21のミシンヘッド212による後身頃CbとラベルLとの縫合と同期して、後身頃Cbを保持している生地搬送装置4を縫製方向に移動させる。また、搬送制御部17は、生地搬送装置4で後身頃Cbをテーブル211に押さえ付けながら、生地搬送装置4を縫製方向に移動させる。
第1ミシン21において後身頃CbとラベルLとの縫合が終了した後、搬送制御部17は、生地搬送装置4を制御して、第1ミシン21から後身頃Cbを第2ミシン22に搬送する(ステップS190)。
搬送制御部17は、後身頃Cbを保持した生地搬送装置4を第2ミシン位置PH2に移動させる。搬送制御部17は、第2ミシン22のテーブル221に規定されている目標位置に後身頃Cbが搬送されるように、第2ミシン位置PH2において、生地搬送装置4に保持されている後身頃Cbの位置を調整する。搬送制御部17は、生地搬送装置4を制御して、第2ミシン22のテーブル221に設置されている前身頃Caに対する後身頃Cbの位置を調整する。
搬送制御部17は、テーブル221に設置されている前身頃Caと、生地搬送装置4に保持されている後身頃Cbとが、テーブル221において重なり合うように、生地搬送装置4の位置を調整する。生地搬送装置4で後身頃Cbがテーブル221に搬送される前に、ステップS90において、前身頃Caの右肩部分KRの位置が調整されている。そのため、搬送制御部17は、テーブル221の設置面221Sに設置されている前身頃Caの左肩部分KLと、生地搬送装置4によりテーブル221に搬送される後身頃Cbの左肩部分KLとが一致するように生地搬送装置4を制御することにより、図23を参照して説明したように、テーブル221において、前身頃Caの右肩部分KRの位置と後身頃Cbの右肩部分KRの位置とが一致し、前身頃Caの左肩部分KLの位置と後身頃Cbの左肩部分KLの位置とが一致するように、前身頃Caと後身頃Cbとを重ね合わせることができる。
搬送制御部17は、生地搬送装置4を制御して、生地搬送装置4に保持されている後身頃Cbを第2ミシン22のテーブル221に搬送して後身頃Cbの位置を調整した後、生地搬送装置4の吸着面HSによる後身頃Cbの吸着保持を解除する。これにより、後身頃Cbは、第2ミシン22のテーブル221に渡され、前身頃Caと重ね合わせられる。前身頃Caと後身頃Cbとは、前身頃Caの右肩部分KRの位置と後身頃Cbの右肩部分KRの位置とが一致し、前身頃Caの左肩部分KLの位置と後身頃Cbの左肩部分KLの位置とが一致するように、重ね合わせられる。
前身頃Ca及び後身頃Cbが第2ミシン22のテーブル221に設置され、生地搬送装置4による後身頃Cbの吸着保持が解除された後、図24を参照して説明したように、第2ミシン制御部14は、第1生地押え部材240Lで前身頃Caの左肩部分KL及び後身頃Cbの左肩部分KLを固定する(ステップS200)。
前身頃Caの左肩部分KL及び後身頃Cbの左肩部分KLが第1生地押え部材240Lに固定された後、図8(B)を参照して説明したように、搬送制御部17は、可動部材63の下端部が吸着面HSよりも下方に配置されるように、搬送部材6の可動部材63を下降させる。
搬送制御部17は、生地搬送装置4の位置を調整して、可動部材63の下端部と生地搬送装置4の吸着面HSから離れた後身頃Cbとを接触させる。搬送制御部17は、可動部材63と後身頃Cbとを接触させた状態で、ロボット5を制御してXY平面内において可動部材63を移動させて、後身頃Cb及び前身頃Caの位置を調整する。
図25を参照して説明したように、搬送制御部17は、生地Cの右肩部分KRの近傍と可動部材63とを接触させた状態でXY平面内において生地搬送装置4を移動させて、第1生地押え部材240Lに固定されている左肩部分KLに対する右肩部分KRの位置を調整する。
図26を参照して説明したように、搬送制御部17は、右肩部分KRと左肩部分KLとが直線状に配置されるように、左肩部分KLに対する右肩部分KRの位置を調整する。図27を参照して説明したように、搬送制御部17は、左肩部分KLのシームラインSLと右肩部分KRのシームラインSRとが同一直線上に配置されるように、左肩部分KLに対する右肩部分KRの位置を調整する(ステップS210)。
なお、右肩部分KRと左肩部分KLとが直線状に配置されるように左肩部分KLに対する右肩部分KRの位置が調整されることにより、右肩部分KRと左肩部分KLとの間の生地Cの少なくとも一部に皺が発生する可能性がある。搬送制御部17は、可動部材63と生地Cとを接触させた状態でロボット5をXY平面内において移動させることにより、皺を伸ばすことができる。
生地搬送装置4の可動部材63で右肩部分KRの位置が調整された後、図27を参照して説明したように、第2ミシン制御部14は、第2生地押え部材240Rで前身頃Caの右肩部分KR及び後身頃Cbの右肩部分KRを固定する(ステップS70)。
第1生地押え部材240L及び第2生地押え部材240Rで前身頃Ca及び後身頃Cbが固定された後、第2ミシン制御部14は、生地押え搬送装置230を制御して、前身頃Ca及び後身頃Cbを生地押え搬送装置230に保持させる。第2ミシン制御部14は、ミシンヘッド222を制御して、シームラインSL及びシームラインSRに沿って、前身頃Caと後身頃Cbとを縫合する(ステップS230)。前身頃Ca及び後身頃Cbは、X軸方向と平行な縫製方向に移動されながら、ミシンヘッド222により縫合される。
[効果]
以上説明したように、本実施形態によれば、縫製システム1は、生地供給装置3から供給された生地Cを保持してミシン2に搬送する生地搬送装置4を備える。ロボット5を含む生地搬送装置4が設けられることにより、生地Cはミシン2に迅速且つ正確に供給される。したがって、衣料の生産性の低下が抑制される。
本実施形態によれば、生地Cのエッジの検出データに基づいて、生地Cの保持位置HP1及び保持位置HP2が決定され、保持部材61が保持位置HP1を保持し、保持部材62が保持位置HP2を保持するように、生地搬送装置4が制御される。これにより、生地搬送装置4は、生地Cの適切な保持位置HPを保持することができる。生地C全体のエッジの位置データが検出されることにより、例えば縫製処理の前に生地搬送装置4に保持位置HPをティーチングするティーチング処理を実施しなくても、生地Cをミシン2に迅速且つ正確に供給することができる。
本実施形態によれば、保持位置HP2は、生地Cのエッジから規定距離に決定される。例えば生地Cにおいてエッジからの距離が長い位置に保持位置HP2が設定されたり、生地Cの中央部に保持位置HP2が設定されたりした場合、生地搬送装置4は、保持部材62に保持されている保持位置HP2よりも外側の生地Cの一部が垂れ下がった状態で、生地Cを搬送することとなる。生地Cが垂れ下がっている部分が大きいと、生地Cの搬送において周囲の部材に接触したり、保持部材62による保持が不安定になったりする可能性がある。また、保持位置HP2が生地Cのエッジに近すぎたりエッジから遠すぎたりすると、保持部材62による生地Cの保持不良(吸着ミス)が発生する可能性が高くなる。保持部材62が生地Cを安定して保持できるエッジからの規定距離に保持位置HP2が決定されることにより、生地搬送装置4は、生地Cを安定して搬送することができる。
本実施形態においては、基準エッジWRから第1規定距離Gaに基準保持位置HP2rが決定される。基準保持位置HP2rは、本体部材60との相対位置が固定されている基準保持部材62rにより保持される。非基準保持位置HP2lは、本体部材60との相対位置が固定されている基準保持部材62rにより保持される。搬送制御部17は、ロボット5を制御することにより、非基準保持位置HP2lと基準保持部材62rとを高精度に位置合わせすることができる。
基準保持位置HP2rは、後身頃CbにおいてラベルLが縫合される目標部位RPの周囲の一部に決定される。非基準保持位置HP2lと基準保持部材62rとが高精度に位置合わせされるので、生地搬送装置4が後身頃Cbを第1ミシン21に搬送したとき、搬送制御部17は、ロボット5を制御して、第1ミシン21において第1縫合位置PM1と目標部位RPとを高精度に位置合わせすることができる。これにより、後身頃Cbの正しい位置にラベルLを縫合することができる。
非基準エッジWLから第2規定距離Gbに非基準保持位置HP2lが規定される。非基準保持位置HP2lは、本体部材60及び基準保持部材62rとの相対位置を変更可能な非基準保持部材62lにより保持される。これにより、生地Cの伸縮又は裁断誤差等に起因して、生地Cの寸法が変化しても、非基準保持部材62lは、基準保持部材62rに対して移動することにより、基準保持部材62rが基準保持位置HP2rを保持した状態で、非基準エッジWLから第2規定距離Gbの非基準保持位置HP2lを保持することができる。また、本体部材60に対して非基準保持部材62lを微動させる微動装置400が設けられているので、非基準保持位置HP2lに対する非基準保持部材62lの位置を正確に位置合わせすることができる。
本実施形態において、XY平面内において、連結部材71と動力発生装置401との距離は、連結部材71と保持部材62との距離よりも短い。すなわち、微動装置400の動力発生装置401は、ロボット5に連結される連結部材71の近傍に配置される。これにより、動力発生装置401の重量が大きくても、本体部材60に作用するモーメントが抑制される。したがって、本体部材60は、良好な重量バランスで、ロボット5に保持された状態で移動することができる。ロボット5は、重量バランスが良好な本体部材60を高い位置精度で移動することができる。
また、動力発生装置401と第2支持部材66とが離れていても、動力発生装置401で発生した動力は、動力伝達機構402を介して、非基準保持部材62lを支持する第2支持部材66に伝達される。
基準エッジWRは、直線状であり、保持位置決定部15は、第1の基準保持位置62rと第2の基準保持位置62rと結ぶ線と基準エッジWRとが平行になるように、複数の基準保持位置HP2rを規定する。第1の基準保持位置62rと第2の基準保持位置62rとの間にラベルLが縫合される目標部位RPが規定される場合、第1の基準保持位置62rと第2の基準保持位置62rと結ぶ線と基準エッジWRとが平行であることにより、第1ミシン21において、2つの基準保持位置HP2rのそれぞれが基準保持部材62rに保持された状態で、目標部位RPにラベルLを円滑に縫合することができる。また、生地Cの搬送において、生地Cが垂れ下がることが抑制される。
本実施形態においては、生地Cのエッジの検出データと参照データとの照合により、生地Cの異常の有無を簡単に判定することができる。異常であると判定された生地Cが異常生地収容部材601,602に搬送されることにより、異常な生地Cの縫製処理が継続されてしまうことが抑制される。これにより、縫製処理の効率の低下が抑制される。
異常であると判定された生地Cは、把持装置500に挟まれた状態で、異常生地収容部材601,602に搬送される。異常な生地Cは、保持部材61及び保持部材62が吸着保持することが困難である可能性が高い。把持装置500は、異常な生地Cであっても、その生地Cの一部を挟むことにより、異常生地収容部材601,602まで円滑に搬送することができる。
本実施形態においては、生地搬送装置4は、生地Cを上方から保持する。これにより、生地搬送装置4は、第1供給位置PF1、第2供給位置PF2、第1ミシン位置PH1、及び第2ミシン位置PH2のそれぞれの上方を移動して、生地Cを上方から保持したり保持を解除したりして、迅速に搬送することができる。
本実施形態においては、第1ミシン21は、テーブル211と、テーブル211に設置された後身頃Cbを縫合するミシンヘッド212とを有し、生地搬送装置4は、後身頃Cbをテーブル211に搬送する。これにより、第1ミシン21は、テーブル211に搬送された後身頃CbとラベルLとの縫合を迅速に実施することができる。また、第2ミシン22は、テーブル221と、テーブル221に設置された前身頃Ca及び後身頃Cbを縫合するミシンヘッド222とを有し、生地搬送装置4は、前身頃Ca及び後身頃Cbをテーブル221に搬送する。これにより、第2ミシン22は、テーブル211に搬送された前身頃Caと後身頃Cbとの縫合を迅速に実施することができる。
本実施形態において、生地搬送装置4は、ミシンヘッド212における縫合において、後身頃Cbを保持する。例えば、ミシンヘッド212における縫合の前に生地搬送装置4による後身頃Cbの保持が解除されると、第1縫合位置PM1と後身頃Cbとの相対位置の調整のための位置調整機構を別途設ける必要が生じる可能性がある。また、位置調整機構による位置調整に要する時間を確保する必要が生じる可能性がある。その結果、装置コストが増大したり、衣料の生産性が低下したりする可能性がある。本実施形態においては、後身頃Cbは生地搬送装置4に保持された状態で第1ミシン21においてラベルLと縫合される。したがって、装置コストの増大及び生産性の低下が抑制される。
本実施形態においては、ミシンヘッド212は、後身頃Cbを縫製方向に送りながら縫合し、生地搬送装置4は、ミシンヘッド212による縫合と同期して、後身頃Cbを保持して縫製方向に移動する。これにより、ミシンヘッド212における縫合は円滑に実施される。
本実施形態においては、生地搬送装置4は、後身頃Cbをテーブル211に押さえ付ける。これにより、第1ミシン21における縫合は円滑に実施される。
本実施形態においては、生地搬送装置4は、後身頃Cbを第1ミシン21から第2ミシン22に搬送する。これにより、衣料が複数のミシン2による複数の工程を経て製造される場合においても、生地Cが複数のミシン2のそれぞれに迅速且つ正確に供給される。そのため、衣料の生産性の低下が抑制される。
本実施形態においては、生地搬送装置4は、第1生地供給装置31から第1ミシン21までの後身頃Cbの搬送、第1ミシン21における後身頃Cbの縫合、及び第1ミシン21から第2ミシン22までの後身頃Cbの搬送において、後身頃Cbを保持し続ける。生地搬送装置4による後身頃Cbの保持解除と保持とが頻繁に繰り返されると、生地搬送装置4が後身頃Cbの保持を解除するのに要する時間及び後身頃Cbを保持するのに要する時間を確保する必要がある。また、後見頃Cbの保持解除と保持とを繰り返す度に、別途設けられた位置調整機構によって後身頃Cbの位置調整を実施する必要がある。その結果、装置コストが増大したり、衣料の生産性が低下したりする可能性がある。本実施形態においては、生地搬送装置4は後身頃Cbを保持し続けるので、生地搬送装置4が後身頃Cbの保持を解除するのに要する時間及び後身頃Cbを保持するのに要する時間を省略することができる。したがって、衣料の生産性の低下が抑制される。
本実施形態においては、生地搬送装置4は、第1ミシン21及び第2ミシン22のそれぞれにおいて、生地Cを保持した状態で生地Cの位置を調整する。これにより、第1ミシン21及び第2ミシン22のそれぞれにおいて、生地Cは目標位置に正確に搬送される。
本実施形態においては、生地搬送装置4は、生地Cと接触可能な接触部材である可動部材63を有し、生地Cの少なくとも一部と可動部材63の下端部とを接触させた状態で生地搬送装置4を移動して、生地Cの位置を調整する。これにより、ロボット5を含む生地搬送装置4の高い位置決め精度を利用して、生地Cの位置を高精度に調整することができる。
本実施形態においては、前身頃Caの位置を検出する検出装置313及び後身頃Cbの位置を検出する検出装置323が設けられ、生地搬送装置4は、検出装置313の検出データ及び検出装置323の検出データに基づいて、前身頃Caの位置及び後身頃Cbの位置を調整する。これにより、生地搬送装置4は、縫製システム1に規定される座標系において生地Cを目標位置に高精度に搬送することができる。
本実施形態においては、検出装置313は、第1生地供給装置31に配置され、検出装置323は、第2生地供給装置32に配置される。前身頃Caの搬送の起点となる第1生地供給装置31において前身頃Caの位置が検出されるため、生地搬送装置4は、前身頃Caの搬送の起点となる第1生地供給装置31から搬送の終点となる第2ミシン22まで、検出装置313の検出データに基づいて、前身頃Caの位置を高精度に調整することができる。同様に、後身頃Cbの搬送の起点となる第2生地供給装置32において後身頃Cbの位置が検出されるため、生地搬送装置4は、後身頃Cbの搬送の起点となる第2生地供給装置32から搬送の終点となる第2ミシン22まで、検出装置323の検出データに基づいて、後身頃Cbの位置を高精度に調整することができる。
本実施形態においては、生地搬送装置4による生地Cの位置の調整は、第1ミシン21に規定される目標位置に対する生地Cの位置の調整、及び第2ミシン22に規定される目標位置に対する生地Cの位置の調整を含む。生地搬送装置4により、生地Cはミシン2に規定される目標位置に高精度に配置されるため、生地Cの目標部位が良好に縫合される。したがって、衣料の製造不良が抑制される。
本実施形態においては、第2ミシン22は、生地Cの左肩部分KLを固定する第1生地押え部材240Lを有し、生地搬送装置4による生地Cの位置の調整は、左肩部分KLに対する生地Cの右肩部分KRの位置の調整を含む。これにより、図18及び図19を参照して説明したように、生地搬送装置4を使って、シームラインSLとシームラインSRとを同一直線上に正確に配置することができる。
本実施形態においては、生地搬送装置4は、生地Cを上方から吸着保持する吸着面HSを有する搬送部材6と、搬送部材6に移動可能に支持される可動部材63とを有する。搬送部材6の吸着保持が解除された生地Cの左肩部分KLが第1生地押え部材240Lに固定された後、生地搬送装置4は、吸着面HSから離れた生地Cと可動部材63の下端部とを接触させた状態でXY平面内において移動して、生地Cの右肩部分KRの位置を調整する。これにより、XY平面内における左肩部分KLと右肩部分KRとの相対位置の調整が円滑に実施される。
本実施形態においては、生地搬送装置4による生地Cの位置の調整は、第2ミシン22のテーブル221に設置されている前身頃Caに対する後身頃Cbの位置の調整を含む。これにより、第2ミシン22のテーブル221において、前身頃Caに後身頃Cbを正確に重ね合わせることができる。
本実施形態においては、生地搬送装置4は、第1生地供給装置31から前身頃Caを第2ミシン22に搬送して前身頃Caの位置を調整した後、第2生地供給装置32から後身頃Cbを第2ミシン22に搬送して、第2ミシン22に設置されている前身頃Caに対する後身頃Cbの位置を調整する。本実施形態においては、単一のロボット5及び搬送部材6を含む生地搬送装置4によって、前身頃Ca及び後身頃Cbを第2ミシン22に順次搬送して、前身頃Caの位置及び後身頃Cbの位置を正確に調整することができる。
本実施形態においては、第1生地供給装置31は、前身頃Caが設置される設置台312を含み、生地搬送装置4は、前身頃Caを設置台312から1枚ずつ搬送する。また、第2生地供給装置32は、後身頃Cbが設置される設置台322を含み、生地搬送装置4は、後身頃Cbを設置台322から1枚ずつ搬送する。これにより、ミシン2において、前身頃Ca及び後身頃Cbが1枚ずつ縫合されるため、衣料の製造不良が抑制される。
[他の実施形態]
なお、上述の実施形態においては、検出装置313の撮影領域は、設置台312に設置された前身頃Caの全部がおさまる十分な大きさであることとした。すなわち、1台の検出装置313が前身頃Ca全体の画像データを一括して取得することとした。第1生地供給装置31において、設置台312に設置された前身頃Caの画像データを取得する検出装置313が複数台設けられてもよい。例えば、第1の検出装置313が、設置台312に設置された前身頃Caのうち、肩部分K、首部分N、及び袖部分Mを含む前身頃Caの上部の画像データを取得し、第2の検出装置313が、脇部分W及び裾部分Hを含む前身頃Caの下部の画像データを取得してもよい。複数の検出装置313のそれぞれで前身頃Caの異なる複数の部分の画像データを取得した後、複数の部分の画像データを合成することによって、前身頃Ca全体の画像データを取得してもよい。設置台322に設置された後身頃Cbの画像データを取得する検出装置323についても同様である。
上述の実施形態においては、縫製システム1が衣料としてTシャツを製造することとした。縫製システム1が製造する衣料は、Tシャツに限定されず、例えば長袖シャツでもよいし、ズボンでもよい。
上述の実施形態においては、縫製システム1が縫製品として衣料を製造することとした。縫製システム1が製造する縫製品は、衣料に限定されず、例えば袋、バッグ、及びシューズのように、複数の生地が縫合されることによって製造される部品であればよい。また、縫製システム1が製造する縫製品は、完成物品に限定されず、中間物品又はパーツ物品でもよい。