JP7174925B2 - 撮像装置およびカメラシステム - Google Patents

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Description

本開示は、撮像装置および撮像装置を備えるカメラシステムに関する。
従来、光電変換を利用したイメージセンサが知られている。例えば、フォトダイオードを有するCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型イメージセンサが広く用いられている。CMOS型イメージセンサは、低消費電力であるという特長、画素ごとのアクセスが可能という特長を有する。本明細書において、「画素」を「単位画素セル」とも呼ぶ。CMOS型イメージセンサには、一般的に、ローリングシャッタが信号の読み出し方式として適用される。ローリングシャッタとは、画素アレイの行ごとに、露光および信号電荷の読み出しを順次に行う方式である。なお、画素アレイとは、2次元に配置された複数の画素の集まりである。ローリングシャッタ動作においては、露光の開始および終了が画素アレイの行ごとに異なる。そのため、高速で移動する物体を撮像したときに物体の像が歪んだり、フラッシュを使用したときに画像内で明るさの差が生じたりすることがある。このため、画素アレイ中の全画素において露光の開始および終了を共通とする、いわゆるグローバルシャッタ機能が求められている。
例えば下記の特許文献1は、グローバルシャッタ動作が可能なCMOS型イメージセンサを開示している。特許文献1に記載の技術では、複数の画素のそれぞれに、転送トランジスタと、電荷蓄積ユニット(例えば、キャパシタまたはダイオード)とを設けている。各画素内において、電荷蓄積ユニットは、転送トランジスタを介してフォトダイオードに接続されている。
近年、画像認識分野において、ディープラーニングが注目を集めている。ディープラーニングでは畳み込みニューラルネットワーク(convolutional neural network)が用いられている。また非特許文献1に示すように、撮像で取得した画像データに様々な処理を行うことで、認識率を上げる取り組みが行われている。
ここで、各画素からの読み出しを高速化する技術として、特許文献2に示すように、複数の画素からの信号を加算する方法が一例として考えられる。しかし特許文献2では、フィルタ特性に応じた乗算加算(つまり、積和)はできない。
米国特許出願公開第2007/0013798号明細書 特開2016-9872号公報
ディープラーニングと画像認識、オペレーションズ・リサーチ、pp198-204、インターネット(http://www.orsj.o.jp/archive2/or60-4/or60_4_198.pdf)
画像認識やディープラーニング向けの、フィルタ等を用いた画像処理時のデジタル演算負荷を軽減することが求められている。
本開示の限定的ではないある例示的な実施形態によれば、以下が提供される。
それぞれが、光を電荷に変換する光電変換部を備える複数の画素であって、第1画素および第2画素を含む複数の画素からなる画素アレイと、加算回路と、電圧供給回路と、を備え、前記電圧供給回路は、前記第1画素の前記光電変換部に第1電圧を供給することによって、前記第1画素の前記光電変換部を畳み込み時のフィルタ係数に対応する第1感度に設定前記電圧供給回路は、前記第2画素の前記光電変換部に第2電圧を供給することによって、前記第2画素の前記光電変換部を畳み込み時のフィルタ係数に対応する第2感度に設定、前記加算回路は、前記第1画素の前記光電変換部が前記第1感度であるときに前記第1画素が生成する信号と、前記第2画素の前記光電変換部が前記第2感度であるときに前記第2画素が生成する信号とを加算して畳み込みを行う、撮像装置。
包括的または具体的な態様は、素子、デバイス、装置、カメラシステム、集積回路、方法、コンピュータプログラムまたはプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体で実現されてもよい。また、包括的または具体的な態様は、素子、デバイス、装置、カメラシステム、集積回路、方法、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意の組み合わせによって実現されてもよい。
開示された実施形態の追加的な効果および利点は、明細書および図面から明らかになる。効果および/または利点は、明細書および図面に開示の様々な実施形態または特徴によって個々に提供され、これらの1つ以上を得るために全てを必要とはしない。
本開示の一態様によれば、画像認識やディープラーニング向けの、フィルタ等を用いた画像処理時のデジタル演算負荷が軽減される。
図1は、本開示の実施形態に係る撮像装置の例示的な回路構成を示す模式的な図である。 図2は、畳み込み層で適用するフィルタの一例を示す図である。 図3は、フィルタ適用時の演算例を示す図である。 図4は、フィルタを適用する際に適した水平制御線の一例を示す。 図5は、フィルタと水平制御線を適用した際の読み出し動作の一例を示す。 図6は、フィルタと水平制御線を適用した際の読み出し動作の一例を示す。 図7Aは、カラーフィルタを考慮した際のフィルタリング処理を適用する画素配列パターンの一例を示す。 図7Bは、フィルタを適用する画素ブロックの一例を示す。 図7Cは、フィルタを適用する画素ブロックの他の例を示す。 図8Aは、本開示の実施形態に係る撮像装置の例示的な回路構成を示す模式的な図である。 図8Bは、画素電極の電圧を制御することにより感度可変を実現する、単位画素セルの例示的なデバイス構造を模式的に示す。 図9は、光電変換層の感度の電圧依存性の一例を示す。 図10は、積層構造を有する光電変換層を用いて、画素電極の電圧を制御することにより感度可変を実現する、単位画素セルの例示的なデバイス構造を模式的に示す。 図11は、画素電極の電圧を制御することにより感度可変を実現する、単位画素セルの模式的な回路図を示す。 図12は、電荷蓄積ノードに容量が接続されている単位画素セルの模式的な回路図を示す。 図13は、画素ごとに感度を設定する時の電圧ダイアグラムを示す。 図14は、アクティブマトリクス構成において、画素ごとに感度設定用の電圧書き込みをするための基本的な回路図の一例を示す。 図15は、アクティブマトリクス構成において、画素ごとに感度設定用の電圧書き込みをするための具体的な回路図の一例を示す。 図16は、アクティブマトリクス構成において、画素ごとに感度設定用の電圧書き込みをするための具体的な回路図の他の一例を示す。 図17は、アクティブマトリクス構成において、画素電極に電圧を書き込むときのシーケンスの一例を示す。 図18は、露光時間による感度設定方法の一例を示す。 図19は、露光時間による感度設定方法の他の一例を示す。 図20は、読み出し回路の出力側での画素加算方法の一例を示す。 図21は、電荷蓄積ノードでの画素加算方法の一例を示す。 図22は、2列間での画素加算方法の一例を示す。 図23は、間に1列を挟む2列間での画素加算方法の一例を示す。 図24は、3列間での画素加算方法の一例を示す。 図25は、カメラセンサシステムを示す。
本開示は、下記の項目に記載の撮像装置および撮像モジュールを含んでいる。
第1電極、前記第1電極に対向する第2電極、および前記第1電極と前記第2電極との間に位置する光電変換層を含み、光を電荷に変換する光電変換部と、前記第1電極に接続され前記電荷を検出する検出回路と、を備える複数の画素であって、第1画素および第2画素を含む複数の画素からなる画素アレイと、前記第1画素の電荷蓄積期間の開始時における前記第1電極の電位が第1の電位に設定されるように前記第1画素に電圧を供給する第1の電圧供給回路と、前記第2画素の電荷蓄積期間の開始時における前記第1電極の電位が前記第1の電位と異なる第2の電位に設定されるように前記第2画素に電圧を供給する第2の電圧供給回路と、前記第1画素において生成する信号と前記第2画素において生成する信号とを加算する加算回路と、を備える、撮像装置。
これにより、異なる感度をもつ複数の画素で構成される画素アレイを対象として、少なくとも2つの画素から出力される信号の加算が行われる。異なる感度をもつ画素について画素加算が行われた場合には、積和に相当する演算が撮像装置内で行われることになり、画像処理時のデジタル演算負荷が軽減される。
上記構成において、前記加算回路は、前記第1画素および前記第2画素の両方に接続され、前記第1画素から出力される信号と前記第2画素から出力される信号とを加算して伝送する垂直信号線を含んでもよい。
これにより、同一の列に配置された複数の画素が同時に同一の垂直信号線に信号を出力することで画素加算が行われる。したがって、撮像装置内に設けられた簡易な加算回路によって画像処理時のデジタル演算負荷が軽減される。
また、上記構成において、前記複数の画素のそれぞれは、前記光電変換部で生じた電荷を蓄積する電荷蓄積部を備え、前記加算回路は、前記第1画素の前記電荷蓄積部を前記第2画素の前記電荷蓄積部に接続する配線を含んでもよい。
これにより、加算の対象となる複数の画素の電荷蓄積部同士を接続することで画素加算が行われる。したがって、撮像装置内に設けられた簡易な加算回路によって画像処理時のデジタル演算負荷が軽減される。
また、上記構成において、前記加算回路は、前記第1画素に接続され、前記第1画素から出力される信号を伝送する第1垂直信号線と、前記第2画素に接続され、前記第2画素から出力される信号を伝送する第2垂直信号線と、前記第1垂直信号線を前記第2垂直信号線に接続する配線とを含んでもよい。
これにより、異なる列に配置された複数の画素であっても、それらの画素が接続された垂直信号線およびそれらの垂直信号線間を接続する配線によって画素加算が行われる。したがって、撮像装置内に設けられた簡易な加算回路によって画像処理時のデジタル演算負荷が軽減される。
また、上記構成において、前記第1画素と、前記第2画素とでは、それぞれの電荷蓄積期間の開始時における前記第1電極と前記第2電極との電位差が異なってもよい。
複数の画素として、第1電極と第2電極との間に印加する電圧に依存して感度が変化するような有機材料等で構成される光電変換層をもつ画素で構成することにより、画素ごとに独立して感度を設定でき、任意の演算係数をもつ積和演算が可能になる。
また、上記構成において、前記画素アレイは、前記第1画素を含む複数の画素からなる第1画素群と、前記第2画素を含み、前記第1画素群とは異なる複数の画素から成る第2画素群とを備える第1画素ブロックを有し、前記加算回路は、第1画素群に属する複数の画素のそれぞれから出力される信号を加算し、第2画素群に属する複数の画素のそれぞれから出力される信号を加算してもよい。
撮像装置内で、異なる感度をもつ画素の集まりからなる画素ブロックを構成する画素群について画素加算が行われることにより、フィルタ処理等の画像処理時のデジタル演算負荷が軽減される。
また、前記撮像装置は、前記加算回路によって得られた前記第1画素群に属する複数の画素のそれぞれから出力される信号の和から、前記加算回路によって得られた前記第2画素群に属する複数の画素のそれぞれから出力される信号の和を減算する減算回路をさらに備えてもよい。
撮像装置内で、第1画素群の信号の和から第2画素群の信号の和を減算する演算が行われるため、アンシャープマスキング用のフィルタ処理等の画像処理時のデジタル演算負荷が軽減される。
また、上記構成において、前記第1画素群の各画素は第1のパターンで配列され、前記第2画素群の各画素は第2のパターンで配列され、前記画素アレイは、前記第1のパターンで配列する複数の画素からなる第3画素群と、前記第2のパターンで配列する複数の画素からなる第4画素群とを含む、前記第1画素ブロックとは異なる第2画素ブロックを有し、前記加算回路は、第3画素群に属する複数の画素のそれぞれから出力される信号を加算し、第4画素群に属する複数の画素のそれぞれから出力される信号を加算してもよい。
これにより、撮像装置内で、画素アレイ中の複数の画素に対するフィルタ処理が施され、アンシャープマスキング用のフィルタ処理等のデジタル演算負荷が軽減される。
また、上記構成において、前記検出回路は、ソースおよびドレインの一方が前記第1電極に接続されたトランジスタを含み、前記第1の電圧供給回路は、前記第1画素のリセット期間に、前記第1画素の前記トランジスタの前記ソースおよび前記ドレインの他方に第1電圧を供給し、前記第2の電圧供給回路は、前記第2画素のリセット期間に、前記第2画素の前記トランジスタの前記ソースおよび前記ドレインの他方に、前記第1電圧とは異なる第2電圧を供給してもよい。
また、上記構成において、前記検出回路は、一端が前記第1電極に接続された容量素子を含み、前記第1の電圧供給回路は、前記第1画素の電荷蓄積期間に、前記容量素子の他端に第1電圧を供給し、前記第2の電圧供給回路は、前記第2画素の電荷蓄積期間に、前記容量素子の他端に、前記第1電圧とは異なる第2電圧を供給してもよい。
また、上記構成において、前記第1画素の前記第2電極および前記第2画素の前記第2電極は、連続する単一の電極であってもよい。
また、一実施形態に係るカメラシステムは、上記撮像装置と、前記撮像装置から出力される画像信号を処理して画像データを出力するカメラ信号処理部と、を備える。
これにより、カメラシステムには、上記特徴をもつ撮像装置が備えられるので、高速な画像処理が可能なカメラシステムが実現される。
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を詳細に説明する。なお、以下で説明する実施形態は、いずれも包括的または具体的な例を示す。以下の実施形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。本明細書において説明される種々の態様は、矛盾が生じない限り互いに組み合わせることが可能である。また、以下の実施形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。以下の説明において、実質的に同じ機能を有する構成要素は共通の参照符号で示し、説明を省略することがある。
(実施の形態)
前述のディープラーニングにおける畳み込みニューラルネットワークでは、畳み込み層とプーリング層という各処理階層により画像処理が行われている。畳み込み層では様々なフィルタ処理が適用されている。これらの処理は、イメージセンサから出力された信号に対する画像処理として実施されていた。つまり、これらの処理はイメージセンサの外で行われていた。しかし、画像処理の段階で複数の演算が行われるため、演算負荷や読み出し画素数が多いことにより、データレート律速、すなわちスピード低下といった課題があった。そこで、本開示では、畳み込み処理の一部をイメージセンサチップ内で実現することにより、画像処理時のデジタル演算負荷を軽減する。
図1に本開示の例示する第1の実施形態に係る撮像装置(イメージセンサとも呼ぶ)が備える画素ブロック60を示す。より詳しくは、画素ブロック60は、畳み込みフィルタが適用される3×3画素(画素10a~10i)を示す。「×」は乗算を示す。画素ブロック60の構成は図示する3×3画素に限らず、適用するフィルタによって任意に変更して良い。本開示では、画素ごとに所望の感度を設定することでゲインを設定する。また、画素ブロック内の任意の画素群に対して、あるいは、画素ブロック内の全ての画素に対して、加算読み出しを行う。本動作により、異なる感度の画素で電荷を蓄積させることで、光電変換時に乗算処理を完了する。続いて、読み出し時に加算読み出しや同時読み出しを行うことで加算処理を完了する。その結果、積和演算が実現される。なお、「加算」とは、複数の画素から出力される信号の加算であり、「画素加算」ともいう。
図示する例では、9個の画素10a~10iが3つの画素群に分類されている。3つの画素群のそれぞれが加算処理の対象となる画素の集まりである。第1画素群は、右下がりの対角線上に並ぶ3つの画素10a、10eおよび10iで構成される。第2画素群は、千鳥状に配置された4つの画素10b、10d、10fおよび10hで構成される。第3画素群は、左下がりの対角線上に並ぶ2つの画素10cおよび10gで構成される。また、9個の画素10a~10iは、感度が異なる4種類の画素に分類される。つまり、2つの画素10bおよび10hは第1感度を有し、3つの画素10c、10eおよび10gは第2感度を有し、2つの画素10aおよび10iは第3感度を有し、2つの画素10dおよび10fは第4感度を有する。第1画素群の加算読み出しによって、第3感度の画素10aおよび10iと、第2感度の画素10eとの画素加算の結果が得られる。第2画素群の加算読み出しによって、第1感度の画素10bおよび10hと、第4感度の画素10dおよび10fとの画素加算の結果が得られる。第3画素群の加算読み出しによって、第2感度の画素10cおよび10gの画素加算の結果が得られる。このように、9つの画素10a~10iからの出力として、第1から第3までの画素群それぞれについて画素加算した出力が得られる。したがって、9つの画素を1画素ずつに読み出す場合に比べ、読み出しデータ数あるいは、読み出し回数を1/3にすることができる。
(第1のバリエーション)
前述の畳み込み層では様々なフィルタ処理が適用されており、そのフィルタの1例を図2に示す。こちらは3×3画素単位で適用するフィルタを表しており、アンシャープマスキングの特徴を持つ。このフィルタは、図示する画素の配列であり、後述する多数の画素が2次元に配置された画素アレイに対して位置をずらしながら繰り返し適用される。適用された3×3の画素群の出力は、1つの値として合算して出力される。つまり、フィルタは、規定のパターンで配列された画素で構成され、その規定のパターンは、画素アレイ中に渡って繰り返される。本フィルタ内の各画素は、異なる感度、つまり、異なる演算係数ごとに、-1、5、0の3つの画素群に分類できる。演算係数が異なるとは、演算符号が異なる場合も含む。ここでは、画素10b、10d、10fおよび10hには演算係数として-1が割り当てられ、画素10eには演算係数として5が割り当てられ、画素10a、10c、10gおよび10iには演算係数として0が割り当てられている。
図3にフィルタ適用時の演算例を示す。左に図示された画素ブロック60に記載されたA~Iはそれぞれの画素の出力値である画素値を示す。中央に図示された画素ブロック60に記載された数値は、演算係数を示す。右に図示された演算式は、本フィルタによる画素加算の処理を示す。例えば、図2のフィルタでは、4隅の画素10a、10c、10gおよび10iの画素値は0倍される。中央の画素10eの画素値は5倍される。中央の画素10eから見て上下左右に位置する4つの画素10b、10d、10fおよび10hの画素値は-1倍される。それぞれの画素値に対応する演算係数を掛けたものが足し合わせられ、合計(つまり、積和の結果)が出力される。
なお、図2および図3に示される例では、画素の感度として、負の演算係数に相当する感度が含まれているが、負の演算係数をもつ積和を実現する方法としてはこれに限られない。例えば、全ての画素に対して正の感度を設定し、第1画素群についての画素加算の結果から、第2画素群についての画素加算の結果を減算してもよい。このようにしても、結果として、負の演算係数をもつ積和を実現できる。図2のフィルタ処理の例であれば、「-1」の演算係数をもつ画素10b、10d、10fおよび10hに対して、「1」の演算係数に相当する感度を設定し、中央の画素10eの画素値Eから、画素10b、10d、10fおよび10hに対する画素加算の結果(B+D+F+H)を、減算回路を用いて減算する。これにより、図3に示される式と同じ積和が行われる。このような減算回路は、後述するように、撮像装置内に設けられた減算回路で実現される(図25参照)。
図4に、図2のフィルタを適用する際に適した水平制御線の一例を示す。アンシャープマスキングフィルタでは、図4に示すように、千鳥状に配置されハッチされた画素10b、10d、10fおよび10hが同じ演算係数を持つ。本フィルタ内の画素群は3つであるが、画素を選択する水平制御線はSEL:AとSEL:Bの2本で良い。SEL:Aを3行同時にONすることでハッチされた画素10b、10d、10fおよび10hが選択され、SEL:Bを任意の行でONすることでハッチされていない画素10a、10c、10e、10gおよび10iのうち対応する行に位置する画素を選択することができる。SEL:AをONするとは、画素を選択する論理レベルに設定することを意味する。
図5は、図2のフィルタと図4の水平制御線(SEL:A)を適用した際の読み出し動作の一例を示す。3×3画素の画素ブロック60に対して、水平制御線SEL:A<i>からSEL:A<i+2>までを3行同時にONし、垂直信号線<j>から垂直信号線<j+2>までの3列の垂直信号線のそれぞれに信号を読み出す。垂直信号線<j>から垂直信号線<j+2>のそれぞれは、同一列に配置された画素から出力される信号を伝送する配線である。画素10b、10d、10fおよび10hは、感度比n、m、o、pに対応する各感度で受光する。画素10bと画素10hとは同一の垂直信号線<j+1>に読み出されるため、垂直信号線<j+1>には、加算(つまり、積和)された信号n×B+p×Hが読み出される。その後、列回路にて3列分の信号を加算することで、画素ブロック60内のハッチされた画素10b、10d、10fおよび10hの画素値が加算されたデータ(n×B+m×D+o×F+p×H)が読み出される。
図6は、図2のフィルタと図4の水平制御線(SEL:B)を適用した際の読み出し動作を示す。画素10eを選択するように、水平制御線SEL:B<i+1>がONされ、画素10eからの信号は垂直信号線<j+1>に読み出される。
図5および図6の動作により、アンシャープマスキングに相当する読み出しが完了される。なお、画素ブロック60内の4隅の画素10a、10c、10gおよび10iは演算係数が0であるため、例示した読み出し動作では読み出しを行っていないが、受光時の感度をゼロとして加算読み出しをしても良い。
図7Aは、カラーフィルタを考慮した際の、フィルタリング処理を適用する画素配列パターンの一例を示す。カラーフィルタを搭載したイメージセンサでは、図2に示すような3×3の画素群のフィルタを、画素アレイ70における同色の画素群に適用してもよい。画素アレイ70においては、赤色情報を取得するR画素、R画素から右に2画素置いて配置され緑色情報を取得するGr画素、R画素から下に2画素置いて配置され緑色情報を取得するGb画素、R画素から右に2画素下に2画素置いて配置され青色情報を取得するB画素の4つの画素がベイヤ配列となるように単位画素セルが配置されている。画素アレイ70においては、色重心が一定に保たれるよう、図7Aの矢印に示されるように、4種類の色ごとに、中心画素に同色の周辺画素が畳み込まれることになる。異なる列に配置された複数の画素からの読み出しを効率化するために、各画素について1本以上の垂直信号線47、および、対象の垂直信号線47同士を接続する列加算スイッチ72を設けている。これにより色ごとに同時読み出しが可能となり、読み出しの高速化が可能となる。
(第2のバリエーション)
図7Bは、フィルタを適用する画素ブロックの配列例を示す。図7Bに示すように、フィルタを適用する画素ブロックは3×3や4×4などの画素群からなり、各画素ブロックを互いに隣接させてもよい。図7Bでは、画素ブロックが3×3の画素群からなる例を示している。図7Bでは、フィルタを適用する6つの画素ブロック60a~60fは、互いに隣接して配置されている。各画素ブロックを互いに隣接させ、画素アレイ70全体にフィルタを掛けることにより、画素情報を欠くことなく畳み込みを行うことができ、画素出力データ数を削減することができる。
図7Cは、カラーフィルタを適用する画素ブロックの他の配列例を示す。図7Cに示すように、フィルタを適用する画素ブロックは、3×3や4×4などの画素群からなる画素ブロックを互いに1画素以上ずつずらして配置させてもよい。図7Cでは、画素ブロックが3×3の画素群からなる例を示している。図7Cでは、フィルタを適用する3つの画素ブロック60a~60cは、互いに1画素ずつずらしてオーバーラップするように配置されている。図7Cの例では、出力データ数は前述の各画素ブロックを互いに隣接させる場合(図7B)に比べて増えるが、全画素情報に対して畳み込みが可能である利点を持つ。
また、前記様々な種類の異なる畳み込み用フィルタは、時分割に適用しても良い。あるNフレーム目の撮像時にはフィルタAを適用し、次のN+1フレーム目にはあるフィルタBを適用する、というように、時分割に複数のフィルタにより畳み込みを行っても良い。
(第3のバリエーション)
図8Aは、本開示の実施形態に係る撮像装置100の例示的な回路構成を示す模式的な図である。図8Aに示す撮像装置100は、1チップの集積回路で実現される有機イメージセンサであり、2次元に配列された複数の単位画素セル10を含む画素アレイPAを有する。図8Aは、単位画素セル10が2行2列のマトリクス状に配置された例を模式的に示している。言うまでもないが、撮像装置100における単位画素セル10の数および配置は、図8Aに示す例に限定されない。なお、図8Aでは、図示の便宜上、単位画素セル10の感度を個別に設定するための回路(後述する図8Bに示す画素電極制御回路33)の図示が省略されている。
各単位画素セル10は、光電変換部13および検出回路14を有する。後に図面(図8B)を参照して説明するように、光電変換部13は、互いに対向する2つの電極の間に挟まれた光電変換層を有し、入射した光を受けて信号電荷を生成する。光電変換部13は、その全体が、単位画素セル10ごとに独立した素子である必要はなく、光電変換部13の例えば一部分が複数の単位画素セル10にまたがっていてもよい。検出回路14は、光電変換部13によって生成された信号電荷を検出する回路である。この例では、検出回路14は、信号検出トランジスタ24およびアドレストランジスタ26を含んでいる。信号検出トランジスタ24およびアドレストランジスタ26は、典型的には、電界効果トランジスタ(FET)であり、ここでは、信号検出トランジスタ24およびアドレストランジスタ26としてNチャンネルMOSを例示する。
図8Aにおいて模式的に示すように、信号検出トランジスタ24の制御端子(ここではゲート)は、光電変換部13との電気的な接続を有する。光電変換部13によって生成される信号電荷(正孔または電子)は、信号検出トランジスタ24のゲートと光電変換部13との間の電荷蓄積ノード41に蓄積される。電荷蓄積ノード41は、「フローティングディフュージョンノード」または「電荷蓄積部」とも呼ばれる。光電変換部13の構造の詳細は、後述する。各単位画素セル10の光電変換部13は、対向電極電圧線16に接続されている。対向電極電圧線16は対向電極電圧供給回路32に接続されている。以下、対向電極電圧供給回路32を単に「電圧供給回路32」と呼ぶ。電圧供給回路32は、任意の可変電圧を供給可能に構成された回路である。電圧供給回路32は、撮像装置100の動作時、対向電極電圧線16を介して光電変換部13に所定の電圧を供給する。電圧供給回路32は、特定の電源回路に限定されず、所定の電圧を生成する回路であってもよいし、他の電源から供給された電圧を所定の電圧に変換する回路であってもよい。
後に詳しく説明するように、電圧供給回路32から光電変換部13に供給される電圧が、互いに異なる複数の電圧の間で切り替えられることにより、光電変換部13から電荷蓄積ノード41への信号電荷の蓄積の開始時点および終了時点が制御される。また、電荷蓄積ノード41の電圧または画素電極11の電圧を制御することによっても同等の機能を実現することが可能である。換言すれば、本開示の実施形態では、電圧供給回路32から光電変換部13に供給される電圧を切り替えることによって、あるいは電荷蓄積ノード41または画素電極11の初期電圧を切り替えることによって、電子シャッタ動作が実行される。撮像装置100の具体的な動作の例は、後述する。図8Aに示す構成においては電荷蓄積ノード41と画素電極11は接続されており同一の電位となる。
各単位画素セル10は、電源電圧VDDを供給する電源線40に接続されている。図示するように、電源線40には、信号検出トランジスタ24の入力端子(典型的にはドレイン)が接続されている。電源線40がソースフォロア電源として機能することにより、信号検出トランジスタ24は、光電変換部13によって生成された信号を増幅して出力する。
信号検出トランジスタ24の出力端子(ここではソース)には、アドレストランジスタ26の入力端子(ここではドレイン)が接続されている。アドレストランジスタ26の出力端子(ここではソース)は、画素アレイPAの列ごとに配置された複数の垂直信号線47のうちの1つに接続されている。アドレストランジスタ26の制御端子(ここではゲート)は、アドレス制御線46に接続されている。アドレス制御線46の電位を制御することにより、信号検出トランジスタ24の出力を、対応する垂直信号線47に選択的に読み出すことができる。
図示する例では、アドレス制御線46は、垂直走査回路36に接続されている。垂直走査回路36は、「行走査回路」とも呼ばれる。垂直走査回路36は、アドレス制御線46に所定の電圧を印加することにより、各行に配置された複数の単位画素セル10を行単位で選択する。これにより、選択された単位画素セル10の信号の読み出しと、画素電極のリセットとが実行される。画素電極のリセットについては後述する。
垂直信号線47は、画素アレイPAからの画素信号を周辺回路へ伝達する主信号線である。垂直信号線47には、カラム信号処理回路37が接続される。カラム信号処理回路37は「行信号蓄積回路」とも呼ばれる。カラム信号処理回路37は、相関二重サンプリングに代表される雑音抑圧信号処理およびアナログ-デジタル変換(すなわち、AD変換)などを行う。図示するように、カラム信号処理回路37は、画素アレイPAにおける単位画素セル10の各列に対応して設けられる。カラム信号処理回路37には、水平信号読み出し回路38が接続される。水平信号読み出し回路38は、「列走査回路」とも呼ばれる。水平信号読み出し回路38は、複数のカラム信号処理回路37から水平共通信号線49に信号を順次読み出す。
単位画素セル10は、リセットトランジスタ28を有する。リセットトランジスタ28は、例えば、信号検出トランジスタ24およびアドレストランジスタ26と同様に、電界効果トランジスタであり得る。以下では、特に断りの無い限り、リセットトランジスタ28としてNチャンネルMOSを適用した例を説明する。図示するように、このリセットトランジスタ28は、リセット電圧Vrを供給するリセット電圧線44と、電荷蓄積ノード41との間に接続される。リセットトランジスタ28の制御端子(ここではゲート)は、リセット制御線48に接続されている。リセット制御線48の電位を制御することによって、電荷蓄積ノード41の電位をリセット電圧Vrにリセットすることができる。この例では、リセット制御線48は、垂直走査回路36に接続されている。垂直走査回路36がリセット制御線48に所定の電圧を印加することにより、各行に配置された複数の単位画素セル10を行単位でリセットすることができる。
この例では、リセットトランジスタ28にリセット電圧Vrを供給するリセット電圧線44が、リセット電圧供給回路34に接続されている。以下、リセット電圧供給回路34を単に「リセット電圧源34」と呼ぶ。リセット電圧源34は、撮像装置100の動作時にリセット電圧線44に所定のリセット電圧Vrを供給できる構成を有していればよく、上述の電圧供給回路32と同様に、特定の電源回路に限定されない。電圧供給回路32およびリセット電圧源34の各々は、単一の電圧供給回路の一部分であってもよいし、独立した別個の電圧供給回路であってもよい。なお、電圧供給回路32およびリセット電圧源34の一方または両方が、垂直走査回路36の一部分であってもよい。あるいは、電圧供給回路32からの対向電極電圧、および/またはリセット電圧源34からのリセット電圧Vrは、垂直走査回路36を介して各単位画素セル10に供給されてもよい。
リセット電圧Vrとして、検出回路14の電源電圧VDDを用いることも可能である。この場合、各単位画素セル10に電源電圧を供給する電圧供給回路(図8Aにおいて不図示)と、リセット電圧源34とを共通化し得る。また、電源線40と、リセット電圧線44とを共通化できるので、画素アレイPAにおける配線を単純化し得る。ただし、リセット電圧Vrと、検出回路14の電源電圧VDDとに互いに異なる電圧を用いることは、撮像装置100のより柔軟な制御を可能にする。
図8Bは、単位画素セル10の例示的なデバイス構造を模式的に示す。図8Bに例示する構成では、上述の信号検出トランジスタ24、アドレストランジスタ26およびリセットトランジスタ28が、半導体基板20に形成されている。半導体基板20は、その全体が半導体である基板に限定されない。半導体基板20は、感光領域が形成される側の表面に半導体層が設けられた絶縁性基板などであってもよい。ここでは、半導体基板20としてP型シリコン(Si)基板を用いる例を説明する。
半導体基板20は、不純物領域(ここではN型領域)26s、24s、24d、28dおよび28sと、単位画素セル10間の電気的な分離のための素子分離領域20tとを有する。ここでは、素子分離領域20tは、不純物領域24dと不純物領域28dとの間にも設けられている。素子分離領域20tは、例えば所定の注入条件のもとでアクセプタのイオン注入を行うことによって形成される。
不純物領域26s、24s、24d、28dおよび28sは、典型的には、半導体基板20内に形成された拡散層である。図8Bに模式的に示すように、信号検出トランジスタ24は、不純物領域24sおよび24dと、ゲート電極24gとを含む。ゲート電極24gは、典型的にはポリシリコン電極である。不純物領域24sおよび24dは、それぞれ、信号検出トランジスタ24の例えばソース領域およびドレイン領域として機能する。不純物領域24sと24dとの間に、信号検出トランジスタ24のチャネル領域が形成される。
同様に、アドレストランジスタ26は、不純物領域26sおよび24sと、アドレス制御線46に接続されたゲート電極26gとを含む。ゲート電極26gは、典型的にはポリシリコンである。この例では、信号検出トランジスタ24およびアドレストランジスタ26は、不純物領域24sを共有することによって互いに電気的に接続されている。不純物領域26sは、アドレストランジスタ26の例えばソース領域として機能する。不純物領域26sは、図8Bにおいて不図示の垂直信号線47との接続を有する。
リセットトランジスタ28は、不純物領域28dおよび28sと、リセット制御線48に接続されたゲート電極28gとを含む。ゲート電極28gは、典型的にはポリシリコンである。不純物領域28sは、リセットトランジスタ28の例えばソース領域として機能する。不純物領域28sは、図8Bにおいて不図示のリセット電圧線44に接続されている。
半導体基板20上には、信号検出トランジスタ24、アドレストランジスタ26およびリセットトランジスタ28を覆うように、層間絶縁層50が配置されている。層間絶縁層50は、典型的には二酸化シリコンである。図示するように、層間絶縁層50中には、配線層56が配置され得る。配線層56は、典型的には、銅などの金属から形成され、例えば、上述の垂直信号線47などの配線をその一部に含み得る。層間絶縁層50中の絶縁層の層数、および、層間絶縁層50中に配置される配線層56の層数は任意に設定可能であり、図8Bに示す例に限定されない。
層間絶縁層50上には、上述の光電変換部13が配置される。別の言い方をすれば、本開示の実施形態では、画素アレイPAを構成する複数の単位画素セル10が、半導体基板20上に形成されている。半導体基板20上に2次元に配列された複数の単位画素セル10は、感光領域(画素領域とも呼ぶ)を形成する。隣接する2つの単位画素セル10のそれぞれの中心線の間隔(すなわち、画素ピッチ)は、例えば2μm程度であり得る。
光電変換部13は、画素電極11と、対向電極12と、これらの間に配置された光電変換層15とを含む。画素電極11は第1電極の一例であり、対向電極12は第2電極の一例である。この例では、対向電極12および光電変換層15は、複数の単位画素セル10にまたがって形成されている。画素電極11は、単位画素セル10ごとに設けられており、隣接する他の単位画素セル10の画素電極11と空間的に分離されている。これにより、画素電極11は、他の単位画素セル10の画素電極11から電気的に分離されている。
対向電極12は、典型的には、透明な導電性材料から形成される透明電極である。対向電極12は、光電変換層15の光が入射される側に配置される。したがって、光電変換層15には、対向電極12を透過した光が入射する。なお、撮像装置100によって検出される光は、可視光の波長範囲(例えば、380nm以上780nm以下)内の光に限定されない。本明細書における「透明」は、検出しようとする波長範囲の光の少なくとも一部を透過することを意味し、可視光の波長範囲全体にわたって光を透過することは必須ではない。本明細書では、赤外線および紫外線を含めた電磁波全般を、便宜上「光」と表現する。対向電極12には、例えば、ITO、IZO、AZO、FTO、SnO、TiO、ZnOなどの透明導電性酸化物(Transparent Conducting Oxide(TCO))を用いることができる。
光電変換層15は、入射する光を受けて正孔-電子対を発生させる。光電変換層15は、典型的には、有機材料(「有機膜」ともいう)から形成される。有機材料は、例えば、p型有機半導体とn型有機半導体とが接合された構成を含む。p型有機半導体としては、トリアリールアミン化合物、ベンジジン化合物、ピラゾリン化合物等の電子供与性のある有機化合物を用いることができる。n型有機半導体として、窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含有する5~7員のヘテロ環化合物、縮合芳香族炭素環化合物、ポリアリーレン化合物等の電子受容性のある化合物を用いることができる。
対向電極12は、電圧供給回路32に接続された対向電極電圧線16との接続を有する。また、ここでは、対向電極12は、複数の単位画素セル10にまたがって形成されている。したがって、対向電極電圧線16を介して、電圧供給回路32から所望の大きさの対向電極電圧を複数の単位画素セル10に一括して印加することが可能である。なお、電圧供給回路32から所望の大きさの対向電極電圧を印加することができれば、対向電極12は、単位画素セル10ごとに分離して設けられていてもよい。同様に、光電変換層15が単位画素セル10ごとに分離して設けられていてもよい。
画素電極11には、画素電極制御回路33が接続されている。画素電極制御回路33は、任意の可変電圧を供給可能に構成された回路である。画素電極制御回路33は、撮像装置100の動作時、光電変換部13の画素電極11に所定の電圧を供給する。画素電極制御回路33は、特定の電源回路に限定されず、所定の電圧を生成する回路であってもよいし、他の電源から供給された電圧を所定の電圧に変換する回路であってもよい。
後に詳しく説明するように、電圧供給回路32と画素電極制御回路33のどちらか、もしくは両方は、露光期間と非露光期間との間で互いに異なる電圧を光電変換部13に供給することで各画素の感度を制御する。本明細書において、「露光期間」は、光電変換により生成される正および負の電荷の一方(すなわち、信号電荷)を電荷蓄積部に蓄積するための期間を意味し、「電荷蓄積期間」と呼んでもよい。また、本明細書では、撮像装置の動作中であって露光期間以外の期間を「非露光期間」と呼ぶ。なお、「非露光期間」は、光電変換部13への光の入射が遮断されている期間に限定されず、光電変換部13に光が照射されている期間を含んでいてもよい。
画素電極11の電位に対する対向電極12の電位を制御することにより、光電変換によって光電変換層15内に生じた正孔-電子対のうち、正孔および電子のいずれか一方を、画素電極11によって収集することができる。しかし、対向電極12が画素アレイ全面に設けられている場合、行毎や画素毎の制御は難しい。対向電極12をパターニングにより画素単位に分割する方法も考えられるが、分割された対向電極のそれぞれに個別の電圧を印加するための配線が課題となる。
例えば信号電荷として正孔を利用する場合、画素電極11よりも対向電極12の電位を高くすることにより、画素電極11によって正孔を選択的に収集することが可能である。以下では、信号電荷として正孔を利用する場合を例示する。もちろん、信号電荷として電子を利用することも可能である。
対向電極12に対向する画素電極11は、対向電極12と画素電極11との間に適切なバイアス電圧が与えられることにより、光電変換層15において光電変換によって発生した正および負の電荷のうちの一方を収集する。画素電極11は、例えば、アルミニウム、銅などの金属、金属窒化物、または、不純物がドープされることにより導電性が付与されたポリシリコンから形成される。
画素電極11は遮光性の電極であってもよい。例えば、画素電極11として、厚さが100nmのTaN電極を形成することにより、十分な遮光性を実現し得る。画素電極11を遮光性の電極とすることにより、光電変換層15を通過した光が、半導体基板20に形成されたトランジスタのチャネル領域または不純物領域へ入射するのを抑制し得る。半導体基板20に形成されたトランジスタとは、具体的には、信号検出トランジスタ24、アドレストランジスタ26およびリセットトランジスタ28の少なくともいずれか1つである。上述の配線層56を利用して層間絶縁層50内に遮光膜を形成してもよい。半導体基板20に形成されたトランジスタのチャネル領域への光の入射を抑制することにより、トランジスタの特性のシフト(例えば、閾値電圧の変動)などを抑制し得る。また、半導体基板20に形成された不純物領域への光の入射を抑制することにより、不純物領域における意図しない光電変換によってノイズが混入することを抑制し得る。このように、半導体基板20への光の入射の抑制は、撮像装置100の信頼性の向上に貢献する。
図8Bに模式的に示すように、画素電極11は、コンタクトプラグ52、配線53およびコンタクトプラグ54を介して、信号検出トランジスタ24のゲート電極24gに接続されている。言い換えれば、信号検出トランジスタ24のゲートは、画素電極11との電気的な接続を有する。このコンタクトプラグ52、配線53は、例えば銅などの金属から形成され得る。コンタクトプラグ52、配線53およびコンタクトプラグ54は、信号検出トランジスタ24と光電変換部13との間の電荷蓄積ノード41(図8A参照)の少なくとも一部を構成する。配線53は、配線層56の一部であり得る。また、画素電極11は、コンタクトプラグ52、配線53およびコンタクトプラグ55を介して、不純物領域28dにも接続されている。図8Bに例示する構成において、信号検出トランジスタ24のゲート電極24g、コンタクトプラグ52、配線53、コンタクトプラグ54および55、ならびに、リセットトランジスタ28のソース領域およびドレイン領域の一方である不純物領域28dは、画素電極11によって収集された信号電荷を蓄積する電荷蓄積部として機能する。
画素電極11によって信号電荷が収集されることにより、電荷蓄積部に蓄積された信号電荷の量に応じた電圧が、信号検出トランジスタ24のゲートに印加される。信号検出トランジスタ24は、この電圧を増幅する。信号検出トランジスタ24によって増幅された電圧が、信号電圧としてアドレストランジスタ26を介して選択的に読み出される。
光電変換部13の上方には、カラーフィルタ6と、マイクロレンズ5とが形成されている。カラーフィルタ6は、例えば、パターニングによるオンチップカラーフィルタとして形成され、染料や顔料が分散された感光性樹脂等を含む。マイクロレンズ5は、例えば、オンチップマイクロレンズとして形成され、紫外線感光材等を含む。
図8Bに示すように、単位画素セル10のそれぞれに独立して設けられた画素電極制御回路33により画素電極11の電位を制御する。これにより、画素ごとに感度を変化させることができる。例えば、全画素同時に、感度が最も低くなる電位を選択することでグローバルシャッタ機能を実現できる。グローバルシャッタは、光電変換層15に印加される電圧を制御することで実現できる。なお、グローバルシャッタは、電圧供給回路32によって対向電極12の電位を制御することによっても実現できる。その場合には、対向電極12を画素毎に分割する必要がある。図9は、光電変換層15の感度の電圧依存性の一例を示す。光電変換層15を構成する有機膜に電圧Vaが印加された場合には、光電変換層15の感度は感度Aとなり、電圧Vaよりも低い電圧Vbが印加された場合には、光電変換層15の感度は感度Bとなる。
なお、上記した画素ごとの感度設定は、単層の光電変換層15についてだけでなく、図10に示すような分光感度特性の異なる2層以上の光電変換層15について実施しても良い。分光感度特性とは、入射する光の各波長に対する感度特性を意味する。図10では、光電変換層15は、分光感度特性が異なる2つの光電変換層15aおよび15bが積層されて構成されている。分光感度特性の異なる光電変換層15aおよび15bを積層し、印加電圧によって感度を設定することにより、波長情報の畳み込みも可能となる。なお、単に感度の異なる2層以上の光電変換層15を設けてもよい。
(第1の回路図)
図11に、画素電極11の電位により感度を設定する単位画素セル10の模式的な回路図を示す。画素電極11には、電圧印加回路を含む電圧書き込み手段61、および、信号を読み出す読み出し回路62が接続されている。読み出し回路62から出力された信号は、選択回路63を介して垂直信号線47に出力される。電圧書き込み手段61は、図8Bの画素電極制御回路33に相当する。読み出し回路62は、図8Aの信号検出トランジスタ24に相当する。選択回路63は、図8Aのアドレストランジスタ26に相当する。電圧書き込み手段61により、電荷蓄積ノード41の電位が任意の電圧に初期化される。すなわち、電荷蓄積期間の開始時における電荷蓄積ノード41の電位、すなわち画素電極11の電位を任意の電位に設定できる。これにより、単位画素セル10の感度を任意に設定でき、任意の感度で露光を開始できる。電圧書き込み手段61により、電荷蓄積ノード41の電位を任意に設定することで、光電変換層15に印加される電圧を制御することが可能となる。これにより、画素単位の感度を制御することができる。電圧書き込み手段61は、電源電圧など任意の電圧にリセットしてもよく、リセット手段を通して外部からの電圧を電荷蓄積ノード41に書き込んでもよい。なお、電荷蓄積期間に全く光が照射されない場合には、電荷蓄積期間の開始時点における対向電極12および画素電極11の間の電位差、すなわち、光電変換層15に印加される電圧は電荷蓄積期間の終了時点まで維持される。また、電荷蓄積期間の開始時点における画素電極11の電位も電荷蓄積期間の終了時点まで維持される。
(第2の回路図)
図12は、電荷蓄積ノード41に容量CSが接続されている、単位画素セル10の模式的な回路図を示す。電荷蓄積ノード41は、容量CSを介して、行方向に設けられた信号線TPに接続されている。信号線TPにパルス状の電圧を印加することで、容量CSによるカップリングにより、電荷蓄積ノード41の電位を任意に設定でき、光電変換層15に印加される電圧を制御することが可能となる。例えば、信号線TPの電圧をLOWレベルからHIGHレベルにすることで、電荷蓄積ノード41の電圧は、電荷蓄積ノード41の容量値と容量CSの容量値とに依存して昇圧される。このように、電荷蓄積期間において信号線TPに印加する電圧を任意に設定することにより、電荷蓄積期間の開始時における電荷蓄積ノード41の電位、すなわち画素電極の11の電位を任意の電位に設定できる。これにより、単位画素セル10の感度を任意に設定できる。容量CSの容量値を大きくすることで、制御する信号線TPの電圧振幅を小さくすることができる。また、微細画素のためには、信号線TPの電圧振幅を大きくし、容量CSのサイズを小さくしてもよい。本構成は、行ごとに個別の信号線TPを設けることで、ローリングシャッタ動作が可能となる。光電変換層15に印加される電位差を光電変換の感度がゼロになるように制御することで、ローリングシャッタが実現できる。光電変換層15に印加される電位差を光電変換の感度が所望の値になるように制御することで、ローリング感度可変が実現できる。具体的には、例えば、感度がセロの状態と、通常の感度の状態とを行単位で切り替えることにより、従来のローリングシャッタと同様に行単位で順次に露光することができる。なお、露光時において、容量CSを介して電荷蓄積ノード41の電位を上げると、蓄積した電荷の読み出し時に、読み出し回路62の動作電圧範囲に対して、電荷蓄積ノード41の電位が高くなり読み出せなくなる場合もあり得る。このような場合には、読み出し回路62の電源電圧を上げてもよいが、消費電力が増大してしまう。そこで、露光期間において信号線TPの電圧を昇圧し、その後の読み出し期間では信号線TPの電圧を降圧してもよい。これにより、読み出し期間の電荷蓄積ノード41の電位が低下し、読み出し回路62の電源電圧を上げることなく蓄積した電荷を読み出すことができる。
(第3の回路図)
図13は、画素毎に感度を変えた時の電圧ダイアグラムを示す。画素内、もしくは画素外に設けられた電圧書き込み手段61により、各画素10a~10cの画素電極11に感度設定用のリセット電圧を書き込む。図13において、画素10aでは電圧V1を書き込むことにより画素10aを第1感度に設定し、画素10aに隣接する画素10bでは電圧V2を書き込むことにより画素10bを第2感度に設定し、画素10bに隣接する画素10cでは電圧V3を書き込むことにより画素10cを第3感度に設定する。このように、画素ごとに感度を設定することにより、畳み込み時のフィルタ係数(つまり、演算係数)を画素ごとに設定することができる。
(第4の回路図)
図14は、アクティブマトリクス構成において、画素ごとに感度設定用の電圧を書き込むための基本的な回路図の一例を示す。画素電極11への電圧印加方法は、本図に示すように、水平制御線85および垂直制御線84によるアクティブマトリクス方式で行っても良い。感度を設定したい画素に対して、水平方向と垂直方向とから制御信号を与えることで、画素ごとに設けられた行列選択回路81に制御信号を与える。行列選択回路81は、水平および垂直の両方向から制御信号が入力されたとき、すなわちアクティブ状態になったとき、画素内スイッチ82をONする。これにより、行列選択回路81は、画素アレイPA外に設けられた下部電圧生成回路80からの電位を、下部電圧線83および画素内スイッチ82を介して画素電極11に印加する。このアクティブマトリクス方式により、画素アレイPA内の任意の画素10を選択し、画素電極11の電圧を変化させることができる。画素電極11へ電圧を書き込んでいるときは、対向電極12の電圧をLowレベルとしてシャッタ状態としておいてもよい。これにより、電圧書き込み後も露光が始まらないという利点がある。
(第5の回路図)
図15は、アクティブマトリクス構成において、画素ごとに感度設定用の電圧を書き込むための具体的な回路図の一例を示す。図示するように、図14に示される行列選択回路81の具体例として、AND回路81aを用いてもよい。図14に示される画素内スイッチ82の具体例として、トランジスタ82aで実現しても良い。なお、AND回路81aを用いる場合には、一般的には、AND回路はNAND回路とインバータ回路とにより構成されるため、多くの素子数が必要となる。ここで素子数とは、例えばトランジスタの個数である。そのため、AND回路81aの代わりとしてNAND回路を採用し、High電圧でアクティブとなる駆動システムではなく、Low電圧でアクティブとなる駆動システムにしても良い。
(第6の回路図)
図16は、アクティブマトリクス構成において、画素ごとに感度設定用の電圧を書き込むための具体的な回路図の他の一例を示す。図15に示した回路図からさらに素子数を減らした例を示す。図14に示される行列選択回路81の具体例として、1つのNMOSトランジスタ81bを用いている。本構成により、画素内に2つのトランジスタ81bおよび82bを追加するだけで、アクティブマトリクス方式を実現できる。
(第7の回路図)
図17は、アクティブマトリクス構成において、画素電極11に電圧を書き込むときのシーケンスの一例を示す。下部電圧生成回路80は、画素電極11の電位を決定するための任意の電圧を画素アレイ70に印加する。電圧書き込みアドレス回路92は、行選択回路90および列選択回路91に、電圧を書き込む画素のアドレスの情報を伝達する。ある時間において、行選択回路90が1行目を選択し、列選択回路91が任意の列を選択することで、1行目の任意の画素に対して電圧が書き込まれる。この電圧の書き込みが終わると、行選択回路90は2行目を選択し、列選択回路91は、所望の列に切り替える。下部電圧生成回路80は、電圧書き込みアドレス回路92により指定された画素に電圧1を書き込む。この動作を1行目から最終行目まで行った後、下部電圧生成回路80は次に設定する感度に対応する電圧2に切り替え、電圧1の書き込みと同様にして指定された画素への電圧書き込みを順次行う。
なお、電圧書き込みアドレス回路92は、イメージセンサのチップ内に搭載されてもよく、チップ外に搭載されてもよい。
なお、電圧書き込みシーケンスは、図17のように行ごとに行わなくてもよい。例えば、画素アレイ70の全画素に対して同時に電圧の書き込みを行い、書き込み時間の短縮を行っても良い。その際、全画素を一旦同じ電圧に設定した後、任意の画素だけを選択して別の電圧を上書きすることを繰り返してもよい。これにより、書き込み速度の高速化や電力削減の効果が望める。
(第4のバリエーション)
図18は、露光時間による感度設定方法の一例を示す。前述した光電変換層に印加する電圧による感度設定方法に加えて、露光時間の調整による感度設定方法を組み合わせてもよく、露光時間の調整による感度設定方法を単独で用いてもよい。有機イメージセンサでは、有機膜で発生した電荷を電圧に変換し、読み出し回路がこの電圧を読み出す。つまり、蓄積電荷を破壊しないで読み出すこと、いわゆる非破壊読み出しが可能である。図18に示すように、演算係数「1」を掛ける第1画素と、演算係数「5」を掛ける第2画素とがある場合を想定する。この場合、露光時間Tにおいて、第1画素を読み出し、第2画素を非破壊読み出しにより読み出す。第2画素はそのまま露光を続け、露光時間5Tが経過した時に第2画素を読み出す。これにより、第1画素と第2画素との感度比率を5倍とすることができる。
図19には、露光時間による感度設定方法の別の例を示す。この例では、露光時間Tにおいて、第1画素だけでなく第2画素のデータも、通常の破壊読出しで読み出して保持しておく。その後、第2画素において追加で露光時間4Tの露光を行い読み出す。第2画素において、露光時間1Tの露光信号と露光時間4Tの露光信号とを加算し、合計露光時間5Tの露光信号を取得しても良い。これにより、第1画素と同じタイミングでの読み出し時には、全ての画素について通常の破壊読み出しを行うことになる。したがって、アクセスする画素を選択するためのアドレス選択の操作を必要とせずに、一括して読み出すことができる。また、露光時間4Tの露光完了後のみ、読み出し画素のアドレス選択の操作を行えばよいため、駆動システムの簡易化が可能となる。
(第5のバリエーション)
図20は、読み出し回路62の出力側での画素加算方法の一例を示す。画素<i、j>および画素<i+1、j>のそれぞれは、電圧書き込み手段61によって画素電極11が任意の電圧に設定され、所定の感度で電荷を蓄積する。これら2つの画素の感度は異なっていてもよく、同じであってもよい。これら2つの画素のそれぞれから、電荷蓄積期間の前または後に、リセットレベルまたは信号レベルを読み出す際の動作を説明する。加算する任意の同一列に接続された2つの画素10aおよび10bに対して、選択回路63を同時にON(導通状態に)して出力することにより、垂直信号線47で電圧を加算する。このケースでは、垂直信号線47が、複数の画素から出力される信号を加算する加算回路として機能する。1回の読み出しで2画素分の加算読み出しが可能となる。この読み出し方法では、読み出し回路62の非線形性などが問題となり得る。よって、リセットレベル取得時および画素信号取得時に選択回路63を同時にONして読み出し、リセットレベル取得時および画素信号取得時のそれぞれで得られた信号同士を減算してもよい。これにより、一定のオフセット成分を除去し、前述の非線形性の影響を低減できる。なお、選択回路63は、読み出し回路62の内部に持たせてもよく、読み出しを実施するときのみ読み出し回路62を有効にしてもよい。この場合には、図20における選択回路63を省略することができる。
図21は、電荷蓄積ノード41での画素加算方法の一例を示す。前述の読み出し回路62の出力側での加算ではなく、加算する画素のフローティングディフュージョンFD同士を接続する。すなわち、接続配線65および加算用スイッチ66により、画素10aおよび10bのそれぞれのフローティングディフュージョンFDを接続し、どちらか一方の画素の選択回路63だけをONして読み出す。このケースでは、接続配線65および加算用スイッチ66が、複数の画素から出力される信号を加算する加算回路として機能する。このような画素加算方法は、図20に示される前述の読み出し方法に比べて、加算用スイッチ66と接続配線65とを追加する必要がある。しかし、読み出し回路62の非線形性の影響が少ない。更に、一方の読み出し回路62のみを使用するので例えば消費電力を低減できるという効果が望める。なお、加算用スイッチ66は必ずしも必要ではなく、加算する画素のフローティングディフュージョンFD同士が接続配線65で短絡されていてもよい。このような場合には、これらの画素は常に信号の加算が行われる。
図22は、2列間での画素加算方法の一例を示す。水平方向に隣接する画素の画素値の加算は、列間に接続配線71および列加算スイッチ72を挿入してもよい。列加算スイッチ72をONした状態で、画素<i、j>および画素<i、j+1>のそれぞれの選択回路63を同時にONすることにより、垂直信号線47aおよび47b、接続配線71ならびに列加算スイッチ72を介して画素加算をすることができる。このケースでは、接続配線71および列加算スイッチ72が、複数の画素から出力される信号を加算する加算回路として機能する。なお、列加算スイッチ72は必ずしも必要ではなく、垂直信号線47aと垂直信号線47bとが接続配線71で短絡されていてもよい。この場合には、画素<i、j>および画素<i、j+1>のそれぞれの選択回路63を同時にONした場合に、それぞれの画素値が常に加算される。
図23は、間に1列を挟む2列間での画素加算方法の一例を示す。画素加算する対象画素が水平方向に離れている際は、図示するように加算すれば良い。つまり、画素<i、j>と画素<i、j+2>との間での画素加算は、列加算スイッチ72aをONにした状態で、画素<i、j>および画素<i、j+2>のそれぞれの選択回路63を同時にONすればよい。これにより、垂直信号線47aおよび47c、接続配線71a、ならびに、列加算スイッチ72aを介して画素加算を行うことができる。同様に、画素<i、j+1>と画素<i、j+3>との間での画素加算は、列加算スイッチ72bをONにした状態で、画素<i、j+1>および画素<i、j+3>のそれぞれの選択回路63を同時にONすればよい。これにより、垂直信号線47bおよび47d、接続配線71b、ならびに、列加算スイッチ72bを介して画素加算を行うことができる。
図24は、3列間での画素加算方法の一例を示す。互いに隣接する画素間の加算は2画素以上について行っても良い。例えば、図24の列スイッチパターンのように3列の画素間の加算を行ってもよい。つまり、画素<i、j>と画素<i、j+1>と画素<i、j+2>との間での画素加算は、列加算スイッチ72cおよび72dをONにした状態で、画素<i、j>、画素<i、j+1>および画素<i、j+2>のそれぞれの選択回路63を同時にONすればよい。これにより、垂直信号線47a、47bおよび47c、接続配線71cおよび71d、ならびに、列加算スイッチ72cおよび72dを介して画素加算を行うことができる。図5に示す垂直信号線<j>、<j+1>、<j+2>を対象とした画素加算は、図24の列スイッチパターンを用いて加算しても良い。
なお、加算動作は前述のアナログドメインではなく、カラム信号処理回路37におけるカラムADC時のカウンタデジタルメモリ部(つまり、デジタルドメイン)で行っても良い。
(第6のバリエーション)
図25を参照して、本実施の形態によるカメラシステム204を説明する。図25は、本実施の形態によるカメラシステム204のシステム構成を示している。カメラシステム204は、レンズ光学系201と、撮像装置200と、システムコントローラ203と、カメラ信号処理部202とを備えている。レンズ光学系201は、例えば、オートフォーカス用レンズ、ズーム用レンズおよび絞りを含んでいる。レンズ光学系201は、撮像装置200の撮像面に光を集光する。撮像装置200として、上述した実施形態およびそれらの変形例による撮像装置100を広く用いることができる。本実施の形態では、撮像装置200は、上記実施の形態等で説明した撮像装置100に加えて、撮像装置100から出力された信号を減算する減算回路101も備える1チップのイメージセンサである。減算回路101は、撮像装置100から出力される信号を一時的に保持するメモリと、メモリに保持された信号を減算する減算器とを有する。減算回路101は、例えば、図1に示されるような第1画素群の信号の和から第2画素群の信号の和を減算し、得られた結果を画素ブロック60の信号として出力する。これにより、正と負の両方の演算係数をもつフィルタ処理が、撮像装置100と減算回路101との連携処理によって実現される。
システムコントローラ203は、カメラシステム204全体を制御する。システムコントローラ203は、例えばマイクロコンピュータによって実現され得る。カメラ信号処理部202は、撮像装置200から出力される画像信号を処理して画像データを出力する信号処理回路として機能する。カメラ信号処理部202は、例えばガンマ補正、色補間処理、空間補間処理、およびオートホワイトバランスなどの処理を行う。カメラ信号処理部202は、例えばDSP(Digital Signal Processor)などによって実現され得る。
本実施形態によるカメラシステムによれば、前述の実施形態による撮像装置100を利用することによって、読み出し時のリセットノイズ(kTCノイズ)を適切に抑制することができる。その結果、電荷を正確に読み出すことができ、良好な画像を取得できる。
以上、本開示の撮像装置およびカメラシステムについて、実施の形態および変形例に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態および変形例に限定されるものではない。本開示の主旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を実施の形態および変形例に施したものや、実施の形態および変形例における一部の構成要素を組み合わせて構築される別の形態も、本開示の範囲内に含まれる。
例えば、上記実施の形態では、1つのマイクロレンズやカラーフィルタという1つの光学的開口の下に単一の画素電極を設け、この単位を1画素として取り扱った。しかしながら、画素電極を1つの画素単位として扱ってもよい。具体的には、1つのマイクロレンズやカラーフィルタの下に複数の画素電極を持つような構成、つまり1つの光学的開口の下に複数の画素電極を持つ構成にし、同一の光学的開口の下の複数の画素間で畳み込みフィルタを適用しても良い。
本開示による撮像装置は、画像処理時のデジタル演算負荷を軽減できる撮像装置として、例えば、デジタルスチルカメラ、医療用カメラ、監視用カメラ、車載用カメラ、デジタル一眼レフカメラ、デジタルミラーレス一眼カメラ、モバイルカメラ、マシンビジョン用カメラ、ロボットビジョン用カメラ等、様々なカメラシステム及びセンサシステムへの利用が可能である。
5 マイクロレンズ
6 カラーフィルタ
10、10a~10i 単位画素セル(画素)
11 画素電極
12 対向電極
13 光電変換部
14 検出回路
15、15a、15b 光電変換層
20 半導体基板
20t 素子分離領域
24 信号検出トランジスタ
24d、24s、26s、28d、28s 不純物領域
26 アドレストランジスタ
28 リセットトランジスタ
32 電圧供給回路(対向電極電圧供給回路)
33 画素電極制御回路
34 リセット電圧供給回路(リセット電圧源)
36 垂直走査回路(行走査回路)
37 カラム信号処理回路
38 水平信号読み出し回路(列走査回路)
40 電源線
41 電荷蓄積ノード(フローティングディフュージョンノード、電荷蓄積部)
44 リセット電圧線
46 アドレス制御線
47、47a~47d 垂直信号線
48 リセット制御線
49 水平共通信号線
50 層間絶縁層
52、54、55 コンタクトプラグ
53 配線
56 配線層
60、60a~60f 画素ブロック
61 電圧書き込み手段
62 読み出し回路
63、63a~63d 選択回路
65、71、71a~71d 接続配線
66 加算用スイッチ
70、PA 画素アレイ
72、72a~72d 列加算スイッチ
80 下部電圧生成回路
81 行列選択回路
81a AND回路
81b NMOSトランジスタ
82 画素内スイッチ
82a トランジスタ
83 下部電圧線
84 垂直制御線
85、SEL 水平制御線
90 行選択回路
91 列選択回路
92 電圧書き込みアドレス回路
CS 容量
100、200 撮像装置
101 減算回路
201 レンズ光学系
202 カメラ信号処理部
203 システムコントローラ
204 カメラシステム

Claims (13)

  1. それぞれが、光を電荷に変換する光電変換部を備える複数の画素であって、第1画素および第2画素を含む複数の画素からなる画素アレイと、
    加算回路と、
    電圧供給回路と、
    を備え、
    前記電圧供給回路は、前記第1画素の前記光電変換部に第1電圧を供給することによって、前記第1画素の前記光電変換部を畳み込み時のフィルタ係数に対応する第1感度に設定
    前記電圧供給回路は、前記第2画素の前記光電変換部に第2電圧を供給することによって、前記第2画素の前記光電変換部を畳み込み時のフィルタ係数に対応する第2感度に設定
    前記加算回路は、前記第1画素の前記光電変換部が前記第1感度であるときに前記第1画素が生成する信号と、前記第2画素の前記光電変換部が前記第2感度であるときに前記第2画素が生成する信号とを加算して畳み込みを行う、
    撮像装置。
  2. 前記第1感度は、前記第2感度と異なる、請求項1に記載の撮像装置。
  3. 前記第1画素の電荷蓄積期間の長さは、前記第2画素の電荷蓄積期間の長さと異なる、請求項1または2に記載の撮像装置。
  4. 前記加算回路は、前記第1画素および前記第2画素の両方に接続され、前記第1画素から出力される信号と前記第2画素から出力される信号とを加算して伝送する垂直信号線を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の撮像装置。
  5. 前記複数の画素のそれぞれは、前記光電変換部で生じた電荷を蓄積する電荷蓄積部を備え、
    前記加算回路は、前記第1画素の前記電荷蓄積部を前記第2画素の前記電荷蓄積部に接続する配線を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の撮像装置。
  6. 前記加算回路は、前記第1画素に接続され、前記第1画素から出力される信号を伝送する第1垂直信号線と、前記第2画素に接続され、前記第2画素から出力される信号を伝送する第2垂直信号線と、前記第1垂直信号線を前記第2垂直信号線に接続する配線と、を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の撮像装置。
  7. 前記光電変換部は、第1電極、前記第1電極に対向する第2電極、および前記第1電極と前記第2電極との間に位置する光電変換層を含み、
    前記複数の画素のそれぞれは、前記第1電極に接続され前記光電変換部で生じた電荷を検出する検出回路をさらに備え、
    前記電圧供給回路は、容量を介して、前記第1画素の前記第1電極に前記第1電圧を供給することによって、前記第1画素の前記光電変換部を畳み込み時のフィルタ係数に対応する第1感度に設定し、
    前記電圧供給回路は、容量を介して、前記第2画素の前記第1電極に前記第2電圧を供給することによって、前記第2画素の前記光電変換部を畳み込み時のフィルタ係数に対応する第2感度に設定する
    請求項1から6のいずれか1項に記載の撮像装置。
  8. 前記光電変換部は、第1電極、前記第1電極に対向する第2電極、および前記第1電極と前記第2電極との間に位置する光電変換層を含み、
    前記複数の画素のそれぞれは、前記第1電極に接続され前記光電変換部で生じた電荷を検出する検出回路をさらに備え、
    前記電圧供給回路は、リセット期間に、前記第1画素の前記第1電極に前記第1電圧を供給することによって、前記第1画素の前記光電変換部を畳み込み時のフィルタ係数に対応する第1感度に設定し、
    前記電圧供給回路は、リセット期間に、前記第2画素の前記第1電極に前記第2電圧を供給することによって、前記第2画素の前記光電変換部を畳み込み時のフィルタ係数に対応する第2感度に設定する、
    請求項1から6のいずれか1項に記載の撮像装置。
  9. それぞれが、光を電荷に変換する光電変換部を備える複数の画素であって、第1画素および第2画素を含む複数の画素からなる画素アレイと、
    加算回路と、
    を備え、
    前記第1画素は、畳み込み時のフィルタ係数に対応する第1感度に設定され、
    前記第2画素は、畳み込み時のフィルタ係数に対応する第2感度に設定され、
    前記加算回路は、前記第1画素が前記第1感度において生成する信号と、前記第2画素が前記第2感度において生成する信号とを加算して畳み込みを行い、
    前記画素アレイは、
    前記第1画素を含む複数の画素からなる第1画素群と、
    前記第2画素を含み、前記第1画素群とは異なる複数の画素から成る第2画素群と、
    を備える第1画素ブロックを有し、
    前記加算回路は、第1画素群に属する複数の画素のそれぞれから出力される信号を加算し、第2画素群に属する複数の画素のそれぞれから出力される信号を加算する、撮像装置。
  10. 前記加算回路によって得られた前記第1画素群に属する複数の画素のそれぞれから出力される信号の和から、前記加算回路によって得られた前記第2画素群に属する複数の画素のそれぞれから出力される信号の和を減算する、減算回路をさらに備える、請求項に記載の撮像装置。
  11. 前記第1画素群の各画素は第1のパターンで配列され、前記第2画素群の各画素は第2のパターンで配列され、
    前記画素アレイは、前記第1のパターンで配列する複数の画素からなる第3画素群と、前記第2のパターンで配列する複数の画素からなる第4画素群とを含む、前記第1画素ブロックとは異なる第2画素ブロックを有し、
    前記加算回路は、前記第3画素群に属する複数の画素のそれぞれから出力される信号を加算し、前記第4画素群に属する複数の画素のそれぞれから出力される信号を加算する、請求項に記載の撮像装置。
  12. 制御回路をさらに備え、
    前記第1画素および前記第2画素は、感度可変に構成されており、
    前記制御回路は、前記第1画素の感度を畳み込み時のフィルタ係数に対応する前記第1感度に設定し、前記第2画素の感度を畳み込み時のフィルタ係数に対応する前記第2感度に設定する、請求項1から11のいずれか1項に記載の撮像装置。
  13. 請求項1から12のいずれか1項に記載の撮像装置と、
    前記撮像装置から出力される画像信号を処理して画像データを出力するカメラ信号処理部と、を備えるカメラシステム。
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