JP7174906B2 - 二重容器 - Google Patents

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Description

本発明は、二重容器に関するものであり、特に、スクイズし易く不用意な落下を防止し得る新規な二重容器(いわゆる積層剥離容器)に関するものである。
従来、外層容器と内袋とを有し且つ内容物の減少に伴って内袋が収縮する容器本体と、外層容器と内袋の間の中間空間と容器本体の外部空間との間の空気の出入りを調節する逆止弁とを備える二重容器(いわゆる積層剥離容器)が知られている(例えば、特許文献1~2参照)。
特許文献1には、内容物が収容されるとともに内容物の減少に伴いしぼみ変形する可撓性の内容器、および該内容器が内装されており、弾性変形して該内容器との間に外気を吸入するための吸気孔が形成された外容器を有する容器本体と、内容物を吐出する吐出口が天面部に形成されており、該容器本体の口部に装着される吐出キャップと、外部と前記吸気孔とを連通する外気導入孔と、該外気導入孔と吸気孔との連通およびその遮断を切り替える空気弁部とを備える吐出容器が開示されている。
特許文献2には、熱可塑性樹脂を多層にした成形容器において、少なくとも1つの外層と、該外層の内側に一部繋合する少なくとも1つの内層とを易剥離状態にするとともに、外層と内層間に連通する層間通気孔を外層又は外層と内層間に形成してなる多層成形容器が開示されている。
特開2013-35557号公報 特開平4-267727号公報
ところで、この種の積層剥離容器では、容器を傾けただけでは内容物の注出を行うことができず、注出に際して、容器を把持し、いわゆるスクイズを行う必要がある。したがって、積層剥離容器は、握り易くスクイズし易い形態であることが望まれる。
また、比較的大型の容器の場合、重量増により不用意に落としやすいという問題もある。積層剥離容器の場合、口部を下にした状態でスクイズする必要があるが、例えば冷蔵庫から取り出して水滴等が付着していると滑りやすく、落下を誘引する傾向にある。重さの重い容器が落下すると、容器自体や床面、テーブル面等を損傷させる原因となる。
さらに、積層剥離容器の場合、内袋が円滑に剥離することが重要である。内容物の注出に伴って内袋が外層容器から速やかに剥離しないと、円滑な注出が難しくなるおそれがあり、外層容器が変形する等のトラブルが発生する原因にもなる。
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、スクイズし易く、不用意な落下を防止することができ、しかも内袋の剥離が円滑に進行する二重容器を提供することを目的とする。
前述の目的を達成するために、本発明の二重容器は、外層容器と内袋とを有し、内袋に収容される内容物の減少に伴って前記内袋が収縮する二重容器であって、胴部の略中央にくびれ部を有し、当該くびれ部には周方向において凹凸部が形成されていることを特徴とする。
具体的には、例えば、くびれ部は、口部側から底部側に向かって径が漸減する傾斜面部と、底部側から口部側に向かって径が漸減する傾斜面部とを有し、前記口部側から底部側に向かって径が漸減する傾斜面部には、当該傾斜面部より突出する突出部が周方向において間欠的に形成され、前記突出部は、前記傾斜面部の上端位置から当該傾斜面部の中途位置に至るまで、上下方向に延在する形で形成されており、前記口部側から底部側に向かって径が漸減する傾斜面部において、各突出部は、傾斜面部の上端位置から下方に向かうにつれ次第に高くなる形で形成されるとともに、最大高さとなった後、僅かな距離の間に傾斜面部と同じ高さとなるように形成されており、突出部の下方の傾斜面は上方の傾斜面よりも急峻な傾斜面となっている。
あるいは、くびれ部は、口部側から底部側に向かって径が漸減する傾斜面と、底部側から口部側に向かって径が漸減する傾斜面とを有し、これら傾斜面間の谷底部を挟んで双方の斜面に跨る凹部が周方向において間欠的に形成されている。
本発明の二重容器においては、前述の通り、くびれ部が形成されているので、この部分を把持することにより握り易くなる。また、くびれ部に凹凸部が形成されていることから、指掛かりが良くなり、スクイズもし易く、不用意な落下が未然に防止される。さらに、凹凸部の形成は、内袋の剥離促進に繋がる。
本発明によれば、スクイズし易く、不用意な落下を防止することができ、しかも内袋の剥離が円滑に進行する二重容器を提供することが可能である。
第1の実施形態の二重容器の概略側面図である。 第1の実施形態の二重容器の概略平面図である。 図2のA-A線における縦断面図である。 図2のB-B線における縦断面図である。 図1のC-C線における横断面図である。 予備剥離工程を説明する図である。 予備剥離工程の他の例を示す図である。 押圧手段のさらに別の構成例を示す図である。 第2の実施形態の二重容器の概略側面図である。 第2の実施形態の二重容器の概略平面図である。 図10のA-A線における縦断面図である。 図10のB-B線における縦断面図である。 図9のC-C線における横断面図である。 第3の実施形態の二重容器の概略側面図である。 第3の実施形態の二重容器の概略平面図である。 図15のA-A線における縦断面図である。 図15のB-B線における縦断面図である。 図14のC-C線における横断面図である。 第4の実施形態の二重容器の概略側面図である。 第5の実施形態の二重容器の概略側面図である。 図20の二重容器の断面形状を示す図であり、(A)は図20のW-W線における断面図、(B)は図20のX-X線における断面図、(C)は図20のY-Y線における断面図である。
以下、本発明を適用した二重容器の実施形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
本実施形態の二重容器は、いわゆる積層剥離容器であり、図1乃至図5に示すように、容器本体1を主体とするものである。そして、容器本体1は、内容物を収容する胴部2と、胴部2に収容された内容物を吐出する口部3を備えている。口部3には、例えばヒンジを介して開閉されるキャップ等が装着される。
また、図3及び図4に示すように、容器本体1は、胴部2及び口部3において、外殻である外層容器11と内袋12を備えており、内容物の減少に伴って内袋12が収縮する。
外層容器11と内袋12は、多層パリソンとしてブロー成形に供され、一体に接合された状態で成形されるが、その使用形態としては、例えば使用前に予め外層容器11から内袋12を剥離しておき、内袋12が外層容器11に接するまで内容物を充填する。内容物を押し出すことで、円滑に内袋12が収縮する。あるいは、内袋12が外層容器11に接合された状態のままとし、内容物の排出に伴って内袋12が外層容器11から剥離して収縮するようにしてもよい。
容器本体1の層構成についてさらに説明すると、容器本体1は、前記の通り、外層容器11と内袋12を備え、外層容器11は、復元性が高くなるように、内袋12よりも肉厚に形成されている。
外層容器11は、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体及びその混合物などで構成される。外層容器11は、単層又は複数層構成であり、その最内層と最外層の少なくとも一方に滑剤を含有することが好ましい。外層容器11が単層構成の場合、その単層が最内層であり且つ最外層であるので、その層に滑剤を含有させればよい。外層容器11が2層構成の場合、容器内面側の層が最内層となり、容器外面側の層が最外層となるので、その少なくとも一方に滑剤を含有させればよい。外層容器11が3層以上で構成される場合、最も容器内面側の層が最内層であり、最も容器外面側の層が最外層となる。
外層容器11の最内層は、内袋12に接触する層であり、外層容器11の最内層に滑剤を含有させることによって外層容器11と内袋12の間の剥離性を向上させることができる。一方、外層容器11の最外層は、ブロー成形の際に金型に接触する層であり、外層容器11の最外層に滑剤を含有させることによって離型性を向上させることができる。
滑剤としては、一般に滑剤として市販されているものを使用することができ、炭化水素系、脂肪酸系、脂肪族アマイド系、金属石鹸系の何れであってもよく、2種以上を併用してもよい。炭化水素系滑剤としては、流動パラフィン、パラフィンワックス、合成ポリエチレンワックス等が挙げられる。脂肪酸系滑剤としては、ステアリン酸やステアリルアルコール等が挙げられる。脂肪族アマイド系滑剤としては、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミドの脂肪酸アミドや、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミドのアルキレン脂肪酸アミド等が挙げられる。金属石鹸系滑剤としては、ステアリン酸金属塩等が挙げられる。
外層容器11の最内層と最外層の一方又は両方は、プロピレンと別のモノマーとの間のランダム共重合体で形成することができる。これによって、外殻である外層容器11の形状復元性・透明性・耐熱性を向上させることができる。
ランダム共重合体は、プロピレン以外のモノマーの含有量が、50mol%よりも小さいものであり、5~35mol%が好ましい。この含有量は、具体的には例えば、5、10、15、20、25、30mol%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。プロピレンと共重合されるモノマーとしては、ポリプロピレンのホモポリマーに比べた場合のランダム共重合体の耐衝撃性を向上させるものであればよく、エチレンが特に好ましい。プロピレンとエチレンのランダム共重合体の場合、エチレンの含有量は、5~30mol%が好ましく、具体的には例えば、5、10、15、20、25、30mol%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。ランダム共重合体の重量平均分子量は、10~50万が好ましく、10~30万がさらに好ましい。この重量平均分子量は、具体的には例えば、10、15、20、25、30、35、40、45、50万であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
また、ランダム共重合体の引張弾性率は、400~1600MPaが好ましく、1000~1600MPaが好ましい。引張弾性率がこのような範囲の場合に、形状復元性が特に良好であるからである。引張弾性率は、具体的には例えば、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600Mpaであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
なお、容器が過度に硬いと、容器の使用感が悪くなるため、ランダム共重合体に、例えば、直鎖状低密度ポリエチレンなどの柔軟材料を混合して外層容器11を構成してもよい。ただし、ランダム共重合体に対して混合する材料は、ランダム共重合体の有効な特性を大きく阻害することがないように、混合物全体に対して50重量%未満となるように混合することが好ましい。例えば、ランダム共重合体と直鎖状低密度ポリエチレンとを85:15の重量割合で混合した材料により外層容器11を構成することができる。
内袋12は、例えば、容器外面側に設けられたEVOH層と、EVOH層の容器内面側に設けられた内面層と、EVOH層と内面層の間に設けられた接着層を備える。EVOH層を設けることで、ガスバリア性、及び外層容器11からの剥離性を向上させることができる。
EVOH層は、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂からなる層であり、エチレンと酢酸ビニル共重合物の加水分解により得られる。EVOH樹脂のエチレン含有量は、例えば25~50mol%であり、酸素バリア性の観点から32mol%以下が好ましい。エチレン含有量の下限は、特に規定されないが、エチレン含有量が少ないほどEVOH層の柔軟性が低下しやすいので25mol%以上が好ましい。また、EVOH層は、酸素吸収剤を含有することが好ましい。酸素吸収剤をEVOH層に含有させることにより、EVOH層の酸素バリア性をさらに向上させることができる。
EVOH樹脂の融点は、外層容器11を構成するランダム共重合体の融点よりも高いことが好ましい。外気導入孔は、加熱式の穿孔装置を用いて外層容器11に形成することが好ましいが、EVOH樹脂の融点をランダム共重合体の融点よりも高くすることによって、外層容器11に外気導入孔を形成する際に、孔が内袋12にまで到達することを防ぐ。この観点から、(EVOHの融点)-(ランダム共重合体層の融点)の差は大きい方がよく、15℃以上であることが好ましく、30℃以上であることが特に好ましい。この融点の差は、例えば5~50℃であり、具体的には例えば、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50℃である。
内面層は、二重容器の内容物に接触する層であり、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体及びその混合物などのポリオレフィンからなり、低密度ポリエチレン又は直鎖状低密度ポリエチレンからなることが好ましい。内面層を構成する樹脂の引張弾性率は、50~300MPaが好ましく、70~200MPaが好ましい。引張弾性率がこのような範囲の場合に、内面層が特に柔軟であるからである。引張弾性率は、具体的には例えば、50、100、150、200、250、300Mpaであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の値であってもよい。
接着層は、EVOH層と内面層とを接着する機能を有する層であり、例えば上述したポリオレフィンにカルボキシル基を導入した酸変性ポリオレフィン(例:無水マレイン酸変性ポリエチレン)を添加したものや、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)である。接着層の一例は、低密度ポリエチレン又は直鎖状低密度ポリエチレンと、酸変性ポリエチレンの混合物である。
積層剥離容器の場合、図示は省略するが、胴部2や口部3において、外層容器11に大気導入孔が穿設されている。大気導入孔は、外層容器11にのみ設けられた貫通孔であり、内袋12には到達していない。そして、この大気導入孔から空気が導入されることで、外殻である外層容器11と内袋12の間に中間空間が形成される。すなわち、中間空間と外部空間は、この大気導入孔によって互いに連通されることになる。なお、大気導入孔には、弁部材が設けられていることが好ましい。
前述の構成を有する二重容器の使用時の動作を説明すると、本実施形態の二重容器は、内容物が充填された製品を傾けた状態で容器本体1を握り、圧縮(スクイズ)して内容物を吐出させる。使用開始時は、内袋12と外層容器11の間に実質的に隙間がない状態であるので、外層容器11に加えた圧縮力は、そのまま内袋12の圧縮力となり、内袋12が圧縮されて内容物が吐出される。
口部3に逆止弁を内蔵するキャップを装着しておけば、内袋12内の内容物を吐出させることはできるが、内袋12内に外気が逆流することはない。そのため、内容物の吐出後に外層容器11へ加えていた圧縮力を除くと、外層容器11が自身の復元力によって元の形状に戻ろうとするが、内袋12はしぼんだままで外層容器11だけが膨張することになる。そして、内袋12と外層容器11の間の中間空間21内が減圧状態となり、外層容器11に形成された外気導入孔を通じて中間空間内に外気が導入される。
次に、再度、容器本体1を握って圧縮した場合、弁部材が大気導入孔に当接して閉塞することによって、中間空間内の圧力が高まり、外層容器11に加えた圧縮力は中間空間を介して内袋12に伝達され、この力によって内袋12が圧縮されて内容物が吐出される。内容物の吐出後に外層容器11へ加えていた圧縮力を除くと、外層容器11は、外気導入孔から中間空間に外気を導入しながら、自身の復元力によって元の形状に復元される。
以上が本実施形態の二重容器の基本的構造及び使用形態であるが、本実施形態の二重容器においては、その形状を工夫することで、スクイズし易く、落下し難く、さらには内袋12が円滑に剥離するようにしている。以下、本実施形態の二重容器における形状の工夫について詳述する。
本実施形態の二重容器は、容器本体1を主体とするものであり、容器本体1は、内容物を収容する胴部2と、胴部2に収容される内容物を吐出する口部3とから構成されている。胴部2は、所定の外径寸法を有する円筒形状に形成されるが、本実施形態の場合、その高さ方向の略中央部に、くびれ部2Aを有している。
すなわち、図1に示すように、胴部2は、高さ方向の上方から順に、肩部から次第に所定の外径寸法となる上方部2B、くびれ部2A、ほぼ一定の外径寸法を有する下方部2Cとを有している。くびれ部2Aは、口部3側から底部側へ向かって次第に径が小さくなる(口部3側から底部側に向かって径が漸減する)傾斜面部21Aと、底部側から口部3側に向かって次第に径が小さくなる(底部側から口部3側に向かって径が漸減する)傾斜面部21Bとを有しており、これら傾斜面部21A,21Bが接する位置が胴部2において最も径が小さい谷底部Vとなっている。くびれ部2Aの高さ方向における位置は、前記の通り略中央部であるが、具体的には前記谷底部Vの位置が、容器全高の30%~70%の位置である。また、くびれ部2Aの深さであるが、容器の横断面において、くびれ部2Aの最も縮径している部分(谷底部V)の直径が、胴部2の最大の直径に対して、0.6倍~0.85倍であることが望ましい。
胴部2の中央部に、このようなくびれ部2Aを設けることで、胴部2が握り易くなる。また、くびれ部2Aを設けることで、握り易く、不用意な落下も抑制することができるが、本実施形態の二重容器では、さらに突出部であるリブを設けることで、落下防止効果を確実なものとするとともに、スクイズし易く、且つ、内袋12の円滑な剥離を促進するようにしている。
このリブについて説明すると、本実施形態の二重容器では、前記上方部2Bの下端位置(傾斜面部21Aの上端位置)から、前記傾斜面部21Aの中途位置に至るまで、上下方向に延在するリブ22が傾斜面部21Aから突出する形で形成されている。リブ22は、胴部2の周方向において、等角度間隔で複数形成されており、本実施形態の場合、胴部2の全周に8本形成されている。また、各リブ22とリブ22の間には、溝部23がスリットとして形成される形になっており、したがって、図5に示す横断面において、リブ22(突出部)を凸部、溝部23を凹部とする凹凸部が、周方向における凹凸部として形成されている。溝部23の底面が、傾斜面部21Aの本来の傾斜面に相当する面である。
各リブ22は、傾斜面部21Aの上端位置から下方に向かうにつれ次第に高くなる形で形成されており、最も高い部分は、上方部2Bや下方部2Cの最大径部と概ね同じ高さとされている。また、各リブ22は、最大高さとなった後、僅かな距離の間に傾斜面部21Aと同じ高さとなるように形成されており、したがって、リブ22の下方の傾斜面22Aは、上方の傾斜面22Bや溝部23の底面23Aよりも急峻な傾斜面となっている。各リブ22の両側は斜面部24とされ、溝部23の溝幅が一部拡大(リブ22の横幅が一部縮小)する形となっている。
以上のようなリブ22を形成することで、落下を未然に防止することが可能である。くびれ部2Aを握った際に、前記リブ22の下方の傾斜面22Aに指が掛かり、落下し難くなる。また、溝部23に繋がるクビレ部2Aはなだらかな形状であるので、スクイズし易いという効果も得られる。
また、前記リブ22や溝部23の形成は、内袋12の剥離を促進する上でも有効である。例えば、予備剥離工程において、くびれ部2Aについては予備剥離が難しいが、前記リブ22や溝部23が形成されていることで、これらリブ22や溝部23の角部を起点として剥離が進み、くびれ部2Aにおいても胴部2の上方部2Bや下方部2Cに追従して予備剥離が進行する。
一方、くびれ部2Aをスクイズした際には、内袋12の剥離はくびれ部2Aのみの留まる傾向にあるが、前記リブ22や溝部23の形成により、スクイズ時にもリブ22や溝部23の角部を起点として剥離が胴部2の上方部2Bや下方部2Cにまで広がる。このとき、溝部23の溝幅が一部拡大(縮小)していれば、剥離の範囲がより広がる効果を得ることができる。
ここで、予備剥離工程について説明すると、予備剥離工程は、例えば図6に示すように、容器本体1の胴部2を外側から押圧手段で押圧して圧縮しながら容器本体1を回転させることによって、胴部2の全周において内袋12を外層容器11から予備剥離させる(全周予備剥離工程)。押圧手段は、それぞれがローラー部48b,49bを有する第1及び第2押圧体48,49を有する。胴部2は、ローラー部48b,49bの間に挟まれて押圧される。この状態で、図6に示すように、容器本体1を中心軸52を中心に矢印A方向に回転させるとローラー部48b,49bが中心軸48a,49aを中心に矢印B方向に回転しながら胴部2を押圧することによって胴部2の全周に渡って内袋12が外層容器11から予備剥離される。容器本体1及びローラー部48b,49bは、逆向きに回転させてもよい。また、容器本体1を回転させたときにローラー部48b,49bの少なくとも一方が回転しないようにしてもよい。
容器本体1の押圧は、胴部2がその直径の5~30%(好ましくは10~20%)圧縮されるように行うことが好ましい。圧縮の程度が小さすぎると全周予備剥離が起こりにくく、圧縮の程度が大きすぎると内袋12が容器本体1の中央に向かって凹んでしまって後工程で内容物を注入しにくくなる場合があるからである。また、外層容器11を潰しすぎると、押圧後に外層容器11が復元せずに容器として不良となるという問題もある。
なお、図6の構成例において、容器本体1を中心軸52を中心に回転可能に支持した状態で、ローラー部48b,49bの少なくとも一方を回転駆動することによって容器本体1を回転させるようにしてもよい。また、容器本体1の外周に沿って押圧手段を移動させるようにしてもよい。具体的な構成例としては、図7に示すように、第1及び第2押圧体48,49を連結部材53で連結した状態で連結部材53を容器本体2の中心軸52を中心に回転させる構成が挙げられる。この構成例では、連結部材53を矢印B方向に回転させると、第1及び第2押圧体48,49は、中心軸48a,49aを中心にして矢印B方向に自転しながら、中心軸52を中心に容器本体2の外周に沿って移動する。この構成例では、容器本体1は、回転してもしなくてもよい。
押圧手段のさらに別の構成例を図8に示す。この構成例では、押圧手段は、それぞれがベルト部48c,49cを有する第1及び第2押圧体48,49を有する。この構成例では、全周予備剥離工程は、ベルト部48cとベルト部49cの間に胴部2を挟んで胴部2を押圧して圧縮しながらベルト部48cをベルト部49cに対して相対移動させることによって、容器本体1を回転させながら一方向(矢印C方向)に搬送することによって行われる。ベルト部48cは、一対の支持柱48eで支持され、ベルト部49cは、一対の支持柱49eで支持されている。ベルト部48cは、一対の支持柱48eの少なくとも一方を回転駆動するか、又はベルト部48cに噛み合う駆動軸を別途設けて、この駆動軸を回転駆動することによって矢印C方向に移動させることができる。ベルト部49cは、ベルト部48cよりも低速で矢印C方向に移動させてもよく、移動させないようにしてもよく、ベルト部48cよりも低速で矢印Cとは反対方向に移動させてもよい。何れの場合でもベルト部48c,49cの間の相対移動に伴って容器本体1が回転しながら矢印C方向に搬送される。この構成例は、多数の容器本体1を連続的に処理することができるので、製造ラインへの組み込みに適している。
また、一対の支持柱48eの間に支持板50を配置し、一対の支持柱49eの間に支持板51を配置してもよい。支持板50,51は、図示しないベースに固定されていて容易には撓まないように構成されている。支持柱48e,49eから離れた部位ではベルト部48c,49cの撓みによって収容部7が十分に押圧されにくくなる場合があるが、支持板50,51を上記の位置に配置することによって、ベルト部48c,49cの撓みが抑制されて収容部7を確実に押圧して圧縮することができる。また、ベルト部48c,49cは、胴部2との接触面に凹凸を設けることが好ましい。この場合、胴部2とベルト部48c,49cの間のグリップ力が増大して、容器本体1がより確実に回転しながら搬送されるからである。
全周予備剥離工程は、任意のタイミングで行うことができる。全周予備剥離工程の前にエアー吹込予備剥離工程を行うことは必須ではないが、予め内袋12の一部の領域が外層容器11から予備剥離されていると、その予備剥離されている領域がきっかけとなって全周予備剥離が起こりやすいので、全周予備剥離工程の前にエアー吹込予備剥離工程を行うことが好ましい。この場合、全周予備剥離工程は、エアー吹込予備剥離工程の後の任意のタイミングで行うことができる。
(第2の実施形態)
本実施形態の二重容器の基本的な構成は、先の第1の実施形態の二重容器と同様であり、その説明は省略する。本実施形態の二重容器の場合、図9乃至図13に示すように、リブ22が上下の傾斜面部21A,21Bの双方に形成されていることが特徴である。
各リブ22や溝部23の形状は、上下の傾斜面部21A,21Bにおいて第1の実施形態と同様であり、傾斜面部21A,21Bにおいて上下対称に形成されている。したがって、容器本体1を傾けた際にも、傾斜面部21Bに形成されたリブ22の上方の傾斜面22Aに指が掛かり、より落下し難くなる。また、内袋12の剥離の進行も、上下方向に進行し、より円滑に行われることになる。
(第3の実施形態)
本実施形態の二重容器の基本的な構成も、先の第1の実施形態や第2の実施形態の二重容器と同様であり、その説明は省略する。本実施形態の二重容器の場合、図14乃至図18に示すように、傾斜面部21A,21B間の谷底部Vを挟んで双方の傾斜面部21A,21Bに跨る凹部31が周方向において間欠的に形成されていることが特徴である。
各凹部31は、上下方向における径が大きな長円形状を有しており、その底面は湾曲面となっている。また、凹部31は、谷底部Vの全周に亘り間欠的に形成されており、各凹部31間が突出部となっている。したがって、周方向において凹凸部が形成される形になっている。
本実施形態の二重容器では、くびれ部2Aを握った際に、前記凹部31に指が掛かり、握り易くスクイズし易い。また、凹部31に指が掛かることで、落下もし難い。さらに、凹部31を形成することでくびれ部2Aに凹凸が形成されることになり、ここを起点として内袋12の剥離が進行し、予備剥離工程やスクイズ時の内袋12の剥離が円滑に行われることになる。
(第4の実施形態)
本実施形態の二重容器は、第1の実施形態の容器と同様、くびれ部2Aの上方部分にリブ22及び溝部23が形成されるものであるが、図19に示すように、胴部2の下方部分2Cには、周方向に面加工部40が配列形成されており、胴部2の下方部分2Cの横断面形状が多角形状とされている点が第1の実施形態の容器とは異なる。胴部2の下方部分2Cを多角形状とすることで、この部分おける内袋12の剥離を促進することができ、リブ22や溝部23の形成による剥離促進と相俟って、内袋12の剥離をより円滑に行うことができる。
なお、本実施形態の場合、リブ22や溝部23は、くびれ2Aの傾斜面21Aから胴部2の上方部分2Bに亘って形成されており、また、リブ22や溝部23の幅は拡大(あるいは縮小)されていない。したがって、リブ22や溝部23はストレートな形状で形成されている。
本実施形態の二重容器は、図9に示す第2の実施形態の容器と同様、リブ22が上下の傾斜面部21A,21Bの双方に形成された形状とされるものであるが、図20に示すように、各リブ22間の溝部23が傾斜面部21Aから傾斜面部21Bに至るまで連なって形成されている点が第2の実施形態の容器と異なる。すなわち、図9に示す第2の実施形態の容器では、くびれ部2Aには溝部23が形成されていないが、本実施形態の二重容器では、くびれ部2Aにおいても溝部23が形成されている。
図21は、本実施形態の二重容器の断面形状を示すものであり、図21(A)~図21(C)に示すように、傾斜面部21A、くびれ部2A、傾斜面部21Bにおいて、溝部23が形成されている。くびれ部2Aを設けた二重容器においては、強度不足に起因して、くびれ部2Aで座屈が生ずることがある。本実施形態の二重容器のように、くびれ部2Aにも溝部23を形成することで、この部分の強度が確保され、不用意に座屈が発生することがなくなる。
また、本実施形態の二重容器では、図20に示すように、第4の実施形態の容器と同様、胴部2の下方部分2Cの横断面形状が多角形状とされている。胴部2の下方部分2Cを多角形状とすることで、この部分おける内袋12の剥離を促進することができる他、この部分の強度向上にも有効であり、くびれ部2Aに溝部23を有することと相俟って、取り扱い性に優れ、且つ強度に優れた二重容器を実現することが可能である。
以上、本発明を適用した実施形態について説明してきたが、本発明がこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能であることは言うまでもない。
1 容器本体
2 胴部
2A くびれ部
3 口部
11 外層容器
12 内袋
21A,21B 傾斜面部
22 リブ
22A 傾斜面
23 溝部
31 凹部

Claims (3)

  1. 外層容器と内袋とを有し、内袋に収容される内容物の減少に伴って前記内袋が収縮し、スクイズにより内容物を吐出させる二重容器であって、
    胴部の略中央にくびれ部を有し、
    前記くびれ部は、口部側から底部側に向かって径が漸減する傾斜面部と、底部側から口部側に向かって径が漸減する傾斜面部とを有し、
    前記口部側から底部側に向かって径が漸減する傾斜面部には、当該傾斜面部より突出する突出部が周方向において間欠的に形成され、
    前記突出部は、前記傾斜面部の上端位置から当該傾斜面部の中途位置に至るまで、上下方向に延在する形で形成されており、
    前記口部側から底部側に向かって径が漸減する傾斜面部において、 前記各突出部は、傾斜面部の上端位置から下方に向かうにつれ次第に高くなる形で形成されるとともに、最大高さとなった後、僅かな距離の間に傾斜面部と同じ高さとなるように形成されており、突出部の下方の傾斜面は上方の傾斜面よりも急峻な傾斜面となっていることを特徴とする二重容器。
  2. 前記底部側から口部側に向かって径が漸減する傾斜面部においても、当該傾斜面部より突出する突出部が周方向において間欠的に形成され、
    前記突出部は、前記傾斜面部の下方位置から当該傾斜面部の中途位置に至るまで、上下方向に延在する形で形成されており、
    前記口部側から底部側に向かって径が漸減する傾斜面部に形成される突起部と、前記底部側から口部側に向かって径が漸減する傾斜面部に形成される突起部は、上下対称に形成されていることを特徴とする請求項1記載の二重容器。
  3. 前記突出部間の両側が傾斜面とされ、溝部の幅が拡大されていることを特徴とする請求項1または2記載の二重容器。
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