JP7169515B2 - 冷蔵庫用脱臭触媒及びこれを用いた冷蔵庫用脱臭材 - Google Patents
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Description
本実施形態に係る脱臭触媒は、例えば、ハニカム基材などの基材に塗布された状態で冷蔵庫に搭載又は冷蔵庫内に設置されるものである。この脱臭触媒は、Cu-Mn複合酸化物と、シリカ/アルミナモル比が100以上のゼオライトとを含む。上記Cu-Mn複合酸化物の質量Aと上記ゼオライトとの質量Bの比(A/B)が0.1以上1.25以下である。この脱臭触媒によれば、メチルメルカプタン(MMP)の高い除去率を達成できるだけでなく、メチルメルカプタンの分解副生成物であるジメチルジサルファイド(DMDS)の放出も十分に抑制できる。比(A/B)の下限値は、メチルメルカプタンの除去率向上の観点から、好ましくは0.15であり、0.2又は0.25であってもよい。比(A/B)の上限値は、ジメチルジサルファイドの放出抑制の観点から、好ましくは1.0であり、0.9又は0.8であってもよい。
Cu-Mn複合酸化物は脱臭の作用を有する。Cu-Mn複合酸化物は、例えば、粉状である。Cu-Mn複合酸化物は、触媒活性の観点から、BET法により測定される比表面積が150m2/g以上であることが好ましく、200~300m2/gであることがより好ましい。Cu-Mn複合酸化物の平均粒径は、BET法によって測定することができる。
ゼオライトは、細孔を有する物質であり、臭いの原因物質を吸着する作用を有する。上記ゼオライトのシリカ/アルミナモル比は100以上であり、100~1000であってもよい。シリカ/アルミナモル比が100以上のゼオライトとCu-Mn複合酸化物とを併用することで、本発明の上記効果が奏される。上記ゼオライトは、例えば、粉状である。上記ゼオライトは、脱臭性能の観点から、BET法により測定される比表面積が300m2/g以上であることが好ましく、350~800m2/gであることがより好ましい。上記ゼオライトは、窒素吸脱着等温線測定から求められるMP法による細孔分布において、細孔径が0.8nm以上1.2nm以下の範囲に極大値を有することが好ましい。なお、上記ゼオライトは、細孔径が0.4nm以上0.7nm以下の範囲にも極大値を有していてもよい。ゼオライトの平均粒径は、BET法によって測定することができる。
脱臭触媒は、上記以外の成分として、例えば、バインダーを含んでもよい。脱臭触媒がバインダーを含むことで、スラリー法によって基材の表面に触媒層を形成することができる。バインダーは、無機バインダーであっても有機バインダーであってもよい。無機バインダーとして、シリカゾル、アルミナゾルが挙げられる。有機バインダーとして、でんぷん、カゼイン、ゼラチン等の天然樹脂;セルロース、水溶性ポリアミド、四級アンモニウム塩、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、SBR樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等の合成樹脂が挙げられる。これらのうち、無機バインダー(例えば、シリカ粒子)を使用することで、バインダーによる脱臭性能の阻害効果が小さいという効果が奏される。
本実施形態に係る冷蔵庫用脱臭材は、上記冷蔵庫用脱臭触媒と、冷蔵庫用脱臭触媒が塗布された表面を有する基材とを備える。例えば、ウォッシュコート等の塗工技術によって基材の表面に冷蔵庫用脱臭触媒を層状に形成することによって冷蔵庫用脱臭材を製造することができる。基材の例として、ハニカム基材、ペレット状の基材、織布や不織布状の基材、板状やブロック状のバルク部材が挙げられる。基材の材質としては、特に限定されるものではないが、例えば、金属、セラミックス、ガラス、プラスチック、セルロース系材料、及びこれらを組合せた材料(複合材料、積層材料等)が挙げられる。金属としては、例えば、ステンレス、アルミ、銅、亜鉛めっき鋼板及び鉄が挙げられる。セラミックスとしては、例えば、コージライト、アルミナ、チタン酸バリウム、窒化ホウ素及び窒化珪素が挙げられる。ガラスとしては、例えば、通常のソーダライムガラス、ホウ珪酸ガラス、無アルカリガラス、石英ガラス及びアルミノシリケートガラスが挙げられる。プラスチックとしては、例えば、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリフェニレンカーボネート等の芳香族ポリカーボネート系樹脂、及び、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の芳香族ポリエステル系樹脂が挙げられる。セルロース系材料としては、例えば綿、麻、レーヨン、及びキュプラが挙げられる。冷蔵庫用脱臭材は、例えば、脱臭フィルターとして使用することができ、冷蔵庫内であって、冷えた空気が流れる箇所に搭載される。
(実施例1)
以下の成分を使用して脱臭触媒層を形成するためのスラリーを調製した。
・N-840P(Cu-Mn複合酸化物、比表面積:240m2/g、平均粒子径=6.6μm、固形分濃度88.0%、クラリアント触媒株式会社製):33.0g
・NU-1080(MFI型ゼオライト、シリカ/アルミナモル比=400、カチオン種=ナトリウムイオン、比表面積:370m2/g、平均粒子径=7.3μm、固形分濃度98.5%、UOP製):67.0g
・スノーテックスC(シリカバインダー、固形分濃度20%、日産化学株式会社製):100.0g
・イオン交換水:67.0g
プロペラ撹拌機を用いてイオン交換水を撹拌しながら、イオン交換水に上記の各成分を添加した。添加後30分間攪拌することによってスラリーを得た。
ゼオライトとして、NU-1080の代わりに以下のNU-2080を使用するとともに、各成分の配合量を表1に示す量としたことの他は、実施例1と同様にしてスラリーを得た。
・NU-2080(MFI型ゼオライト、シリカ/アルミナモル比=400、カチオン種=水素イオン、比表面積:390m2/g、平均粒子径=3.2μm、固形分濃度96.2%、UOP製)
各成分の配合量を表1に示す量としたことの他は、実施例1と同様にして実施例3,4に係るスラリーをそれぞれ得た。
ゼオライトとして、NU-1080の代わりに以下のNFK-5D-25HXを使用するとともに、各成分の配合量を表2に示す量としたことの他は、実施例1と同様にしてスラリーを得た。
・NFK-5D-25HX(MFI型ゼオライト、シリカ/アルミナモル比=28、カチオン種=水素イオン、比表面積:370m2/g、平均粒子径=4.4μm、固形分濃度93.4%、Nankai University Catalyst製)
ゼオライトとして、NU-1080の代わりに以下のミズカシーブスEX-122(以下、「EX-122」と表記する。)を使用するとともに、各成分の配合量を表2に示す量としたことの他は、実施例1と同様にしてスラリーを得た。
・EX-122(MFI型ゼオライト、シリカ/アルミナモル比=29、カチオン種=ナトリウムイオン、比表面積:320m2/g、平均粒子径=3.7μm、固形分濃度95.2%、水澤化学工業株式会社製)
ゼオライトとして、NU-1080の代わりに以下のNFK-7-2SC1.0-HWOSを使用するとともに、各成分の配合量を表2に示す量としたことの他は、実施例1と同様にしてスラリーを得た。
・NFK-7-2SC1.0-HWOS(Y型ゼオライト、シリカ/アルミナモル比=6、カチオン種=水素イオン、比表面積:650m2/g、平均粒子径=3.6μm、固形分濃度86.3%、Nankai University Catalyst製)
ゼオライトとして、NU-1080の代わりに以下のミズカシーブスY-420(以下、「Y-420」と表記する。)を使用するとともに、各成分の配合量を表2に示す量としたことの他は、実施例1と同様にしてスラリーを得た。
・Y-420(Y型ゼオライト、シリカ/アルミナモル比=4、カチオン種=水素イオン、比表面積:430m2/g、平均粒子径=14.2μm、固形分濃度98.6%、水澤化学工業株式会社製)
各成分の配合量を表3に示す量としたことの他は、実施例1と同様にして比較例5~8に係るスラリーをそれぞれ得た。
実施例及び比較例で使用したゼオライトの細孔分布を、窒素吸脱着等温線測定から求められるMP法によって測定した。図1に結果を示す。実施例で使用したゼオライト(NU-1080及びNU-2080)は径が1nm程度の細孔を有することが分かった。
実施例及び比較例で使用したゼオライトの酸性質を、アンモニア昇温脱離法によって調べた。図2に吸着アンモニアの昇温脱離曲線を示す。実施例で使用したゼオライト(NU-1080及びNU-2080)は全体的にアンモニアの吸着量が少なく、酸量が少ないことが分かった。昇温脱離曲線から算出される全酸量は以下のとおりであった。
・NU-1080:0.184mmol/g
・NU-2080:0.083mmol/g
・EX122:1.147mmol/g
・Y-420:2.360mmol/g
図3に実施例及び比較例で使用したゼオライトのXRD分析結果を示す。
脱臭材用の基材として、セラミックハニカム(セル数200/inch2、セル開口面直径21mm、通気方向長さ7.0mm、西部技研製)を準備した。このハニカム基材の表面にウォッシュコートによって触媒層を形成した。すなわち、実施例及び比較例に係る各スラリーに基材を浸漬した後、余剰のスラリーをエアブローにより吹き飛ばした。その後、150℃に設定した乾燥機に1時間入れて乾燥させる脱臭フィルターを得た。なお、乾燥後における触媒層の質量がハニカム基材1L当たり150gとなるようにスラリーの塗布量を調整した。
(1)MMP除去率
実施例及び比較例に係る各脱臭材(セル開口面直径:21mm)をガラス管に設置した。温度25℃、湿度80%RHの空気を、9.1L/minの流量で脱臭材に15分間流通させた。メチルメルカプタン濃度が100ppmになるように、流通空気にメチルメルカプタンを導入した。メチルメルカプタンの導入開始から10分後に、脱臭材を通過後の空気のメチルメルカプタン濃度を測定した。この値を次式に代入して除去率を算出した。
MMP除去率(%)={1-(MMP濃度[ppm]/100[ppm])}×100
(2)ジメチルジサルファイド(DMDS)濃度
メチルメルカプタンの導入開始から10分後に、脱臭材を通過後の空気のジメチルジサルファイド濃度を測定した。
Claims (6)
- Cu-Mn複合酸化物と、
シリカ/アルミナモル比が100以上のゼオライトと、
を含み、
前記Cu-Mn複合酸化物の質量Aと前記ゼオライトとの質量Bの比(A/B)が0.1以上1.25以下であり、
前記ゼオライトは、MFI型であり、且つ窒素吸脱着等温線測定から求められるMP法による細孔分布において、細孔径が0.8nm以上1.2nm以下の範囲に極大値を有する、冷蔵庫用脱臭触媒。 - 前記ゼオライトは、BET法により測定される比表面積が300m2/g以上である、請求項1に記載の冷蔵庫用脱臭触媒。
- 前記ゼオライトは、アンモニア昇温脱離法により算出される全酸量が0.3mmol/g以下である、請求項1又は2に記載の冷蔵庫用脱臭触媒。
- 前記Cu-Mn複合酸化物は、BET法により測定される比表面積が150m2/g以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の冷蔵庫用脱臭触媒。
- 前記Cu-Mn複合酸化物は、Cu含有量がCuO換算で10~40質量%であり且つMn含有量がMnO2換算で60~90質量%である、請求項1~4のいずれか一項に記載の冷蔵庫用脱臭触媒。
- 請求項1~5のいずれか一項に記載の冷蔵庫用脱臭触媒と、
前記冷蔵庫用脱臭触媒が塗布された表面を有する基材と、
を備える、冷蔵庫用脱臭材。
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