JP7164181B2 - 電磁波シールド用スプレー塗布剤 - Google Patents
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Description
例えば、下記特許文献1には、(a)フェノキシ樹脂、ビニリデン樹脂などの熱可塑性樹脂および/またはエポキシ樹脂、アクリル樹脂などの熱硬化性樹脂と、(b)溶媒または2-フェノキシエチルアクリレートなどの反応性希釈剤と、(c)銀粒子などの導電性粒子と、を含むEMI(電磁妨害;Electro Magnetic Interference)遮蔽組成物が開示され、また、このEMI遮蔽組成物を用い、スプレーコーティング機または分散/噴出機で、基材上に配した機能モジュールを封止する封止材をコーティングすることが開示されている。
電磁波シールド用スプレー塗布剤(以下、本塗布剤という。)は、銀粒子(A)と、熱硬化性樹脂(B)と、硬化剤(C)と、溶剤(D)と、を配合してなり、塗布剤の粘度を、10mPa・sを超え10,000mPa・s以下としたものである。
本塗布剤において、銀粒子(A)は、導電性粒子として電磁波を遮蔽するために配合するものであり、平均粒径100nm以上350nm未満の範囲内の粒子を用いる。この範囲内の粒子を用いることにより、本塗布剤中において銀粒子が沈降しにくくなる。このような観点から、銀粒子(A)の平均粒径は、100nm以上350nm以下、好ましくは100nm以上250nm以下、特に好ましくは100nm以上150nm以下の範囲内である。
本塗布剤において、熱硬化性樹脂(B)は、塗布剤を硬化させるために配合するものであり、エポキシ樹脂又はアクリル樹脂を用いるのが好ましい。
エポキシ樹脂としては、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、アミノフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、水添ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、アルコールエーテル型エポキシ樹脂、環状脂肪族型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、シロキサン系エポキシ樹脂などを用いることができ、これらを2種以上混合してもよい。これらのなかでも、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、アミノフェノール型エポキシ樹脂を用いるのが好ましい。
エポキシ当量は、特に限定するものではないが、50g/eq~200g/eqの範囲内が好ましい。
本塗布剤において、硬化剤(C)は、熱硬化性樹脂(B)を硬化させるために配合するものであり、配合した熱硬化性樹脂(B)に適合するものを用いることができる。
熱硬化性樹脂(B)として、例えば、エポキシ樹脂を用いる場合は、硬化剤(C)として、フェノール系硬化剤、脂肪族アミン・芳香族アミンなどのアミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤などを用いることができる。
芳香族アミンとしては、ジアミノジフェニルメタン、m-フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン、ジエチルトルエンジアミン、トリメチレンビス(4-アミノベンゾエート)、ポリテトラメチレンオキシド-ジ-p-アミノベンゾエートなどの芳香族ポリアミンなどを用いることができる。
本塗布剤において、溶剤(D)は、塗布剤の粘度を調整するために配合するものであり、例えば、エチレングリコールモノフェニルエーテル(EPH)、ブチルカルビトールアセテート(BCA)、ブチルカルビトール(BC)などを用いることができる。これらを2種以上混合してもよい。
具体的には、東邦化学工業製エチレングリコールモノフェニルエーテル(品名:ハイソルブEPH)を用いることができる。
本塗布剤において、種々の添加剤を配合することができる。添加剤としては、例えば、シランカップリング剤、硬化促進剤、消泡剤、分散剤などを配合することができる。
具体的には、信越化学製エポキシ系シランカップリング剤(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)(品名:KBM403)、信越化学製メタクリル系シランカップリング剤(3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン)(品名:KBM503)などを用いることができる。
具体的には、四国化成工業製2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール(品名:キュアゾール2P4MHZ-PW)などを用いることができる。
具体的には、旭化成ワッカーシリコーン製シリコーン系消泡剤(品名:WACKER AF98/1000)などを用いることができる。
具体的には、CRODA製ジカルボン酸弱アニオン系分散剤(品名:HypermerKD-57)、CRODA製リン酸エステル系分散剤(品名:CRODAFOS O3A)、ビックケミージャパン製(品名:DISPERBYK-164,167)などを用いることができる。
本塗布剤は、粘度が10mPa・sを超え10,000mPa・s以下の範囲内である。粘度が10mPa・s以下であると銀粒子(A)が沈降しやすくなり、粘度が10,000mPa・sを超えるとスプレーにより塗布しにくくなる。
この観点から、本塗布剤の粘度は、10mPa・s以上10,000mPa・s以下、100mPa・s以上2,000mPa・s以下が好ましく、100mPa・s以上1,000mPa・s以下がさらに好ましい。
本塗布剤の粘度は、溶剤(D)の配合割合を変えることにより調整することができる。
なお、本発明の粘度は25℃におけるものである。
本塗布剤は、銀粒子(A)、熱硬化性樹脂(B)、硬化剤(C)、溶剤(D)を適宜割合で配合することができる。例えば、銀粒子(A)100質量部に対し、熱硬化性樹脂(B)0.1質量部~30質量部、硬化剤(C)0.1質量部~30質量部、溶剤(D)0.1質量部~100質量部の割合で配合することができる。
好ましくは、銀粒子(A)100質量部に対し、熱硬化性樹脂(B)0.5質量部~25質量部、硬化剤(C)0.5質量部~25質量部、溶剤(D)0.5質量部~100質量部の割合で配合し、より好ましくは、銀粒子(A)100質量部に対し、熱硬化性樹脂(B)1質量部~20質量部、硬化剤(C)1質量部~20質量部、溶剤(D)1質量部~100質量部の割合で配合し、さらに好ましくは、銀粒子(A)100質量部に対し、熱硬化性樹脂(B)1質量部~15質量部、硬化剤(C)1質量部~15質量部、溶剤(D)10質量部~100質量部の割合で配合することができる。
シランカップリング剤を配合する場合は、銀粒子(A)100質量部に対して0.001質量部~10質量部の割合で配合することができる。
本塗布剤は、例えば、銀粒子(A)、熱硬化性樹脂(B)、硬化剤(C)、溶剤(D)を含む原料を適宜割合で配合し、撹拌混合することにより製造することができる。この際、溶剤(D)の配合割合を適宜調整して、本塗布剤の粘度が10mPa・sを超え10,000mPa・s以下の範囲内になるように調整する。
本塗布剤は、電子部品などにスプレー(噴霧)塗布し、電子部品などの外面に電磁波シールド層を形成することができる。
本塗布剤は、例えば、従来公知のスプレーコーティング機などで電子部品に塗布することができる。また、本塗布剤をエアゾール缶などに充填して塗布してもよい。
電磁波シールド層は、特に限定するものではないが、厚さを5μm~30μm、特に5μm~20μm、さらに5μm~10μmに形成するのが好ましい。
本塗布剤を電子部品に塗布する場合は、個々の電子部品に塗布した後に基板上に実装してもよく、また、電子部品を基板上に実装した後にそれらをまとめて塗布してもよい。
このシールド効果は、ASTM D4935に準拠して測定することができる。
<原料>
1.銀粒子(A)
A-1:球状100nm銀フィラー「メタロー テクノロジーズ ユーエスエイ(Metalor Technologies USA)製P620-24」
A-2:球状200nm銀フィラー「メタロー テクノロジーズ ユーエスエイ(Metalor Technologies USA)製P620-7」
A-3:球状350nm銀フィラー「メタロー テクノロジーズ ユーエスエイ(Metalor Technologies USA)製P620-22」
A-4:粒径250nm銀フィラー「メタロー テクノロジーズ ユーエスエイ(Metalor Technologies USA)製P620-7から粒径250nm以上を選別」
なお、上記各数値は平均粒径であり、走査型電子顕微鏡(SEM)観察し、50個を測定して平均値を算出したものである。
B-1:クレゾールノボラック型エポキシ樹脂「DIC製N665-EXP」
B-2:ビスフェノールF型エポキシ樹脂「新日鉄住金化学製YDF8170」
B-3:ビスフェノールF型エポキシ樹脂「DIC製835LV」
B-4:ビスフェノールA型エポキシ樹脂「DIC製850CPR」
B-5:アミノフェノール型エポキシ樹脂「三菱ケミカル製630」
C-1:フェノール系硬化剤「群栄化学工業製PSM4324」
C-2:アミン系硬化剤「日本化薬製HDAA」
C-3:アミン系硬化剤「アルベマール(ALBEMARLE Co.,Ltd.)製エタキュア100」
C-4:酸無水物系硬化剤「三菱ケミカル製YH307」
D-1:エチレングリコールモノフェニルエーテル(EPH)
D-2:ブチルカルビトールアセテート(BCA)
D-3:ブチルカルビトール(BC)
E-1:エポキシ系シランカップリング剤(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)「信越化学製KBM403」
E-2:メタクリル系シランカップリング剤(3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン)「信越化学製KBM503」
下記表1~3に示す配合割合になるように各原料を配合し、三本ローラミルを用いて混合して、各電磁波シールド用スプレー塗布剤を作製した。
実施例及び比較例の各電磁波シールド用スプレー塗布剤の粘度は、東京計器社製回転粘度計TVE-22Hを用いて、10rpmで25℃における粘度(mPa・s)を測定した。測定した各電磁波シールド用スプレー塗布剤の粘度を下記表1~3に示す。
シールド効果は、ASTM D4935に準拠して測定した。
より具体的には、精密ディスペンス装置(ノードソンアシムテック社製「スペクトラムIIディスペンサ」型番S2-920P)にディスペンス・バブル(ノードソンアシムテック社製「ディスペンスジェット」型番DJ-2200)を装着し、実施例及び比較例の各電磁波シールド用スプレー塗布剤を5mm角のポリイミド基板(厚さ1mm)上に塗布し、200℃で20分間加熱して電磁波シールド用スプレー塗布剤を硬化させた。
電磁波シールド用スプレー塗布剤を硬化させた各ポリイミド基板を、キーコム社製「同軸管タイプ シールド効果測定システム(500MHz~18Ghz)」にて測定した。その結果を上記表1~3に示す。
強度は、ASTM D3359-97に準拠して測定した。
より具体的には、精密ディスペンス装置(ノードソンアシムテック社製「スペクトラムIIディスペンサ」型番S2-920P)にディスペンス・バブル(ノードソンアシムテック社製「ディスペンスジェット」型番DJ-2200)を装着し、実施例及び比較例の各電磁波シールド用スプレー塗布剤を50mm角のCu基板(厚さ0.1mm)上に塗布し、200℃で20分間加熱して電磁波シールド用スプレー塗布剤を硬化させた。
電磁波シールド用スプレー塗布剤を硬化させた各Cu基板に対してプレッシャークッカー試験を行った。
電磁波シールド用スプレー塗布剤を硬化させた各Cu基板を用い、ゴーテック社製クロスカットガイドにて十文字に交差するように碁盤目状に切れ込みを入れた後、交差する切れ込み部分にセロハンテープ(ニチバン株式会社製)を貼り、貼り付けたセロハンテープを素早く剥がす。それにより剥がれた塗布剤の面積を測定し、以下の表4に示す0B~5Bの6段階で判定した。その結果を上記表1~3に示す。
シールド効果は、37dB以上を可(○)と判定し、37dB未満を不可(×)と判定した。
強度は、5B以上を可(○)と判定し、4B以下を不可(×)と判定した。
それらの結果を上記表1~3に示す。
実施例1~3及び比較例1を比較すると、実施例1~3のシールド効果は良好であり、特に球状粉である実施例1,3はシールド効果が50dB以上と良好な結果であった。比較例1のように銀粒子(A)の平均粒径が350nm以上になると、シールド効果が劣るものであった。これより、銀粒子(A)は平均粒径が100nm以上350nm未満であると塗布剤中で適度に分散されて銀粒子をムラなく塗布でき、適度に銀粒子が分散された電磁波シールド層を形成できることが見出された。
2 ステンレス層
3 銅層
4 ステンレス層
Claims (6)
- 平均粒径100nm以上350nm未満の銀粒子(A)と、エポキシ樹脂(B)と、硬化剤(C)と、溶剤(D)と、を含む電磁波シールド用スプレー塗布剤であって、
該塗布剤の粘度が10mPa・sを超え10,000mPa・s以下であり、
導電性粒子として前記銀粒子(A)のみを含む電磁波シールド用スプレー塗布剤。 - シランカップリング剤を含む請求項1に記載の電磁波シールド用スプレー塗布剤。
- 前記銀粒子(A)が球状粉である、請求項1又は2に記載の電磁波シールド用スプレー塗布剤。
- 前記硬化剤(C)がフェノール樹脂系硬化剤、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤のいずれかである、請求項1~3のいずれかに記載の電磁波シールド用スプレー塗布剤。
- 前記溶剤(D)がエチレングリコールモノフェニルエーテル、ブチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールのいずれかである請求項1~4のいずれかに記載の電磁波シールド用スプレー塗布剤。
- 請求項1~5のいずれかに記載の電磁波シールド用スプレー塗布剤を用いて電磁波シールド層を形成した電子部品。
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