JP7164181B2 - 電磁波シールド用スプレー塗布剤 - Google Patents

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Description

本発明は、基板に実装する電子部品などに電磁波シールド層を形成するための電磁波シールド用スプレー塗布剤に関する。
携帯電話、スマートフォン、ノートパソコン、タブレット端末などの電子機器に内蔵されている基板には、例えば、パワーアンプ、Wi-Fi/Bluetooth(登録商標)モジュール、フラッシュメモリなどの電子部品が実装されている。このような電子部品は外部からの電磁波により誤作動を起こすおそれがある。また逆に、電子部品が電磁波ノイズ発生源になり、他の電子部品の誤作動を引き起こすおそれもある。
そこで、電子部品には電磁波を遮蔽するためのシールド層が形成されていることが多い。このシールド層は、例えば、図1に示すように、電子部品1の外面に、内側からステンレス(SUS)層2/銅(Cu)層3/ステンレス(SUS)層4の3層で形成される。電子部品の外面に接するステンレス層で密着性を保ち、銅層で電磁波をシールドし、最外層のステンレス層で防錆を図るものである。
シールド層はスパッタリングにより形成されるのが一般的であるが、スパッタリングによりシールド層を形成するとトップ(上面)のシールド層の厚みに対してサイド(側面)のシールド層の厚みは30~40%程度にしか形成されないという問題があった。具体的には、図1に示すように、トップのシールド層の厚みを5μmに形成する場合にサイドのシールド層の厚みは2μm程度にしか形成されなかった。このため、サイド(側面)の電磁波シールド効果が満足できないおそれがあった。
また、スパッタリングによりシールド層を3層5μm厚に形成する場合は、約1時間かかるなど時間がかかり、さらにはコストもかかるものであった。
そこで、スパッタリングではなく電子部品の表面をスプレーでコーティングすることも行われている。
例えば、下記特許文献1には、(a)フェノキシ樹脂、ビニリデン樹脂などの熱可塑性樹脂および/またはエポキシ樹脂、アクリル樹脂などの熱硬化性樹脂と、(b)溶媒または2-フェノキシエチルアクリレートなどの反応性希釈剤と、(c)銀粒子などの導電性粒子と、を含むEMI(電磁妨害;Electro Magnetic Interference)遮蔽組成物が開示され、また、このEMI遮蔽組成物を用い、スプレーコーティング機または分散/噴出機で、基材上に配した機能モジュールを封止する封止材をコーティングすることが開示されている。
特表2017-520903号公報
従来において、シールド層を形成するためのスプレー用塗布剤は、長時間静置しておくと配合した銀粒子などの導電性粒子が沈降してしまうことがあり、電子部品などの表面に塗布した際、シールド層の導電性粒子を均一に塗布することができずムラが生じ、十分な電磁波シールド効果を確保できない箇所が生じることがあった。そのため、使用する際は塗布剤を撹拌しなければならず作業性に問題があった。
また、シールド層をスプレーで塗布して形成する場合、電子部品とシールド層との密着性が確保できず、剥離するおそれもあった。
本発明の目的は、上記課題に鑑み、銀粒子が適度に分散された電磁波シールド層を形成でき、さらには、電子部品などの表面に対する密着性を高めた電磁波シールド用スプレー塗布剤を提供することにある。
本発明の一形態の電磁波シールド用スプレー塗布剤は、平均粒径100nm以上350nm未満の銀粒子(A)と、エポキシ樹脂(B)と、硬化剤(C)と、溶剤(D)と、を含む電磁波シールド用スプレー塗布剤であって、その塗布剤の粘度が10mPa・sを超え10,000mPa・s以下であり、導電性粒子として前記銀粒子(A)のみを含むことを特徴とする。
上記形態の電磁波シールド用スプレー塗布剤は、平均粒径100nm以上350nm未満の銀粒子(A)を用い、粘度を、10mPa・sを超え10,000mPa・s以下にすることにより、銀粒子が沈降しにくく、長時間経ても適度に分散された塗布剤になり、スプレーコーティングして電磁波シールド層を形成する際、撹拌しなくても、電子部品などの表面に銀粒子が適度に分散されたシールド層を形成することができ、表面の何れの箇所においても十分な電磁波シールド効果を有するシールド層になる。
上記形態の電磁波シールド用スプレー塗布剤は、シランカップリング剤を配合させるのが好ましい。シランカップリング剤を配合させることにより、耐熱性や接着強度などが高まり、電子部品などに対する密着性を上げることができる。
上記形態の電磁波シールド用スプレー塗布剤は、銀粒子(A)として球状粉を用いることが好ましい。これにより、銀粒子がより一層沈降しにくくなり、シールド層の塗布ムラを少なくすることができる。
上記形態の電磁波シールド用スプレー塗布剤は、硬化剤(C)としてフェノール樹脂系硬化剤、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤のいずれかを用いるのが好ましい。エポキシ樹脂(B)や硬化剤(C)を用いることにより、塗布剤を適度に硬化させることができる。
上記形態の電磁波シールド用スプレー塗布剤は、溶剤(D)としてエチレングリコールモノフェニルエーテル、ブチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールのいずれかを用いるのが好ましい。このような溶剤(D)を用いることにより、塗布剤の粘度を適度に調整することができ、銀粒子が塗布剤内において沈降しにくくなる。
上記形態の電磁波シールド用スプレー塗布剤を用いて電磁波シールド層を形成した電子部品は、銀粒子が適度に分散された塗布剤で形成されているため、表面に形成されたシールド層には銀粒子が適度に分散され、表面の何れの箇所においても十分な電磁波シールド効果を有するものとなる。
スパッタリングによりシールド層を形成した電子部品を例示した模式断面図である。
以下、本発明の一実施形態の電磁波シールド用スプレー塗布剤について説明する。但し、本発明のこの実施形態に限定されるものではない。
<電磁波シールド用スプレー塗布剤>
電磁波シールド用スプレー塗布剤(以下、本塗布剤という。)は、銀粒子(A)と、熱硬化性樹脂(B)と、硬化剤(C)と、溶剤(D)と、を配合してなり、塗布剤の粘度を、10mPa・sを超え10,000mPa・s以下としたものである。
<銀粒子(A)>
本塗布剤において、銀粒子(A)は、導電性粒子として電磁波を遮蔽するために配合するものであり、平均粒径100nm以上350nm未満の範囲内の粒子を用いる。この範囲内の粒子を用いることにより、本塗布剤中において銀粒子が沈降しにくくなる。このような観点から、銀粒子(A)の平均粒径は、100nm以上350nm以下、好ましくは100nm以上250nm以下、特に好ましくは100nm以上150nm以下の範囲内である。
なお、この平均粒径は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)観察することにより測定することができ、倍率10,000倍~20,000倍で複数枚撮影をし、撮影された視野に存在する銀粒子を円で近似して測定し、粒子50個の平均値をとって平均粒径とすることができる。
銀粒子(A)は、球状粉、鱗片状粉、針状粉等、どのような形状でもよいが、本塗布剤中での沈降を防止する観点から球状粉を用いるのが好ましい。
銀粒子(A)は、具体的には、メタロー テクノロジーズ ユーエスエイ(Metalor Technologies USA)製銀粉末(品名:P620-7,P620-24)などを用いることができる。
<熱硬化性樹脂(B)>
本塗布剤において、熱硬化性樹脂(B)は、塗布剤を硬化させるために配合するものであり、エポキシ樹脂又はアクリル樹脂を用いるのが好ましい。
エポキシ樹脂としては、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、アミノフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、水添ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、アルコールエーテル型エポキシ樹脂、環状脂肪族型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、シロキサン系エポキシ樹脂などを用いることができ、これらを2種以上混合してもよい。これらのなかでも、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、アミノフェノール型エポキシ樹脂を用いるのが好ましい。
エポキシ当量は、特に限定するものではないが、50g/eq~200g/eqの範囲内が好ましい。
エポキシ樹脂は、具体的には、DIC製クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(品名:N665-EXP)、新日鉄住金化学製ビスフェノールF型エポキシ樹脂(品名:YDF8170)、DIC製ビスフェノールA型エポキシ樹脂(品名:850CRP)、DIC製ビスフェノールF型エポキシ樹脂(品名:835LV)、三菱ケミカル製アミノフェノール型エポキシ樹脂(品名:630)などを用いることができる。
アクリル樹脂としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、ターシャルブチルアクリレート、イソデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、トリデシルアクリレート、セチルアクリレート、ステアリルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ベヘニルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、その他のアルキルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ターシャルブチルシクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、グリシジルアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジンクモノアクリレート、ジンクジアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ネオペンチルグリコールアクリレート、トリフロロエチルアクリレート、2,2,3,3-テトラフロロプロピルアクリレート、2,2,3,3,4,4-ヘキサフロロブチルアクリレート、パーフロロオクチルアクリレート、パーフロロオクチルエチルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,9-ノナンジオールジアクリレート、1,3-ブタンジオールジアクリレート、1,10-デカンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、メトキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシポリアルキレングリコールモノアクリレート、オクトキシポリアルキレングリコールモノアクリレート、ラウロキシポリアルキレングリコールモノアクリレート、ステアロキシポリアルキレングリコールモノアクリレート、アリロキシポリアルキレングリコールモノアクリレート、ノニルフェノキシポリアルキレングリコールモノアクリレート、ジアクリロイルオキシメチルトリシクロデカン、N-アクリロイルオキシエチルマレイミド、N-アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、N-アクリロイルオキシエチルフタルイミドを用いることができ、これらを2種以上混合してもよい。
アクリル樹脂は、具体的には、N-(2-ヒドロキシエチル)アクリルアミドなどを用いることができる。
<硬化剤(C)>
本塗布剤において、硬化剤(C)は、熱硬化性樹脂(B)を硬化させるために配合するものであり、配合した熱硬化性樹脂(B)に適合するものを用いることができる。
熱硬化性樹脂(B)として、例えば、エポキシ樹脂を用いる場合は、硬化剤(C)として、フェノール系硬化剤、脂肪族アミン・芳香族アミンなどのアミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤などを用いることができる。
フェノール系硬化剤としては、ビスフェノールF、ビスフェノールA、ビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールS、ジヒドロキシジフェニルエーテル、ジヒドロキシベンゾフェノン、テトラメチルビフェノール、エチリデンビスフェノール、メチルエチリデンビス(メチルフェノール)、シクロへキシリデンビスフェノール、ビフェノールなどのビスフェノール類及びその誘導体、トリ(ヒドロキシフェニル)メタン、トリ(ヒドロキシフェニル)エタンなどの3官能のフェノール類及びその誘導体、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなどのフェノール類とホルムアルデヒドを反応することで得られる化合物で2核体又は3核体がメインのもの及びその誘導体などを用いることができる。
脂肪族アミンとしては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、m-キシレンジアミン、2-メチルペンタメチレンジアミンなどの脂肪族ポリアミン、イソフォロンジアミン、1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ノルボルネンジアミン、1,2-ジアミノシクロヘキサンなどの脂環式ポリアミン、N-アミノエチルピペラジン、1,4-ビス(2-アミノ-2-メチルプロピル)ピペラジンなどのピペラジン型のポリアミンなどを用いることができる。
芳香族アミンとしては、ジアミノジフェニルメタン、m-フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン、ジエチルトルエンジアミン、トリメチレンビス(4-アミノベンゾエート)、ポリテトラメチレンオキシド-ジ-p-アミノベンゾエートなどの芳香族ポリアミンなどを用いることができる。
酸無水物系硬化剤としては、フタル酸無水物、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、無水マレイン酸とポリブタジエンの反応物、無水マレイン酸とスチレンの共重合体などを用いることができる。
より具体的には、群栄化学工業製フェノール系硬化剤(品名:PSM4324)、アルベマール(ALBEMARLE Co.,Ltd.)製アミン系硬化剤(3,5-ジエチルトルエン-2,4-ジアミン、および3,5-ジエチルトルエン-2,6-ジアミンを含有)(品名:エタキュア100)、日本化薬製アミン系硬化剤(4,4’-ジアミノ-3,3’-ジエチルジフェニルメタン)(品名:HDAA)、三菱ケミカル製酸無水物系硬化剤(品名:YH307)などを用いることができる。
熱硬化性樹脂(B)として、アクリル樹脂を用いる場合は、硬化剤(C)としては、例えば、熱ラジカル重合開始剤などの重合開始剤を用いることができる。
熱ラジカル重合開始剤としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1-ビス(t-ヘキシルパーオキシ)3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2-ビス(4,4-ジ-t-ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロドデカン、n-ブチル4,4-ビス(t-ブチルパーオキシ)バレレート、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)ブタン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-2-メチルシクロヘキサン、t-ブチルハイドロパーオキサイド、P-メンタンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、t-ヘキシルハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、α、α’-ビス(t-ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、イソブチリルパーオキサイド、3,5,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ケイ皮酸パーオキサイド、m-トルオイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ-3-メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ-2-エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ-sec-ブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3-メチル-3-メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、α、α’-ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3,-テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1-シクロヘキシル-1-メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t-ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ヘキシルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシピバレート、2,5-ジメチル-2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルへキサノエート、1-シクロヘキシル-1-メチルエチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシマレイックアシッド、t-ブチルパーオキシラウレート、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルモノカーボネート、2,5-ジメチル-2,5-ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルパーオキシアセテート、t-ヘキシルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシ-m-トルオイルベンゾエート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、ビス(t-ブチルパーオキシ)イソフタレート、t-ブチルパーオキシアリルモノカーボネート、3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどを用いることができる。
より具体的には、ジ-tert-ブチルペルオキシドなどを用いることができる。
<溶剤(D)>
本塗布剤において、溶剤(D)は、塗布剤の粘度を調整するために配合するものであり、例えば、エチレングリコールモノフェニルエーテル(EPH)、ブチルカルビトールアセテート(BCA)、ブチルカルビトール(BC)などを用いることができる。これらを2種以上混合してもよい。
具体的には、東邦化学工業製エチレングリコールモノフェニルエーテル(品名:ハイソルブEPH)を用いることができる。
<添加剤>
本塗布剤において、種々の添加剤を配合することができる。添加剤としては、例えば、シランカップリング剤、硬化促進剤、消泡剤、分散剤などを配合することができる。
シランカップリング剤は、塗布剤の耐熱性や接着強度を高めるために配合するものであり、例えば、エポキシ系、アミノ系、ビニル系、メタクリル系、アクリル系、メルカプト系などの各種シランカップリング剤を用いることができる。これらの中でも、エポキシ基を有するエポキシ系シランカップリング剤、メタクリル基を有するメタクリル系シランカップリング剤が好ましい。
具体的には、信越化学製エポキシ系シランカップリング剤(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)(品名:KBM403)、信越化学製メタクリル系シランカップリング剤(3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン)(品名:KBM503)などを用いることができる。
硬化促進剤は、熱硬化性樹脂の硬化を促進するために配合するものであり、熱硬化性樹脂(B)としてエポキシ樹脂を使用する場合、例えば、イミダゾール類、トリフェニルホスフィン又はテトラフェニルホスフィンの塩類などを用いることができる。
具体的には、四国化成工業製2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール(品名:キュアゾール2P4MHZ-PW)などを用いることができる。
消泡剤は、塗布剤中の泡の発生を防止するために配合するものであり、例えば、アクリル系、シリコーン系及びフルオロシリコーン系などの消泡剤を用いることができる。
具体的には、旭化成ワッカーシリコーン製シリコーン系消泡剤(品名:WACKER AF98/1000)などを用いることができる。
分散剤は、塗布剤中に銀粒子を分散させるために配合するものであり、ジカルボン酸系、リン酸エステル系などの分散剤を用いることができる。
具体的には、CRODA製ジカルボン酸弱アニオン系分散剤(品名:HypermerKD-57)、CRODA製リン酸エステル系分散剤(品名:CRODAFOS O3A)、ビックケミージャパン製(品名:DISPERBYK-164,167)などを用いることができる。
<粘度>
本塗布剤は、粘度が10mPa・sを超え10,000mPa・s以下の範囲内である。粘度が10mPa・s以下であると銀粒子(A)が沈降しやすくなり、粘度が10,000mPa・sを超えるとスプレーにより塗布しにくくなる。
この観点から、本塗布剤の粘度は、10mPa・s以上10,000mPa・s以下、100mPa・s以上2,000mPa・s以下が好ましく、100mPa・s以上1,000mPa・s以下がさらに好ましい。
本塗布剤の粘度は、溶剤(D)の配合割合を変えることにより調整することができる。
なお、本発明の粘度は25℃におけるものである。
<配合割合>
本塗布剤は、銀粒子(A)、熱硬化性樹脂(B)、硬化剤(C)、溶剤(D)を適宜割合で配合することができる。例えば、銀粒子(A)100質量部に対し、熱硬化性樹脂(B)0.1質量部~30質量部、硬化剤(C)0.1質量部~30質量部、溶剤(D)0.1質量部~100質量部の割合で配合することができる。
好ましくは、銀粒子(A)100質量部に対し、熱硬化性樹脂(B)0.5質量部~25質量部、硬化剤(C)0.5質量部~25質量部、溶剤(D)0.5質量部~100質量部の割合で配合し、より好ましくは、銀粒子(A)100質量部に対し、熱硬化性樹脂(B)1質量部~20質量部、硬化剤(C)1質量部~20質量部、溶剤(D)1質量部~100質量部の割合で配合し、さらに好ましくは、銀粒子(A)100質量部に対し、熱硬化性樹脂(B)1質量部~15質量部、硬化剤(C)1質量部~15質量部、溶剤(D)10質量部~100質量部の割合で配合することができる。
シランカップリング剤を配合する場合は、銀粒子(A)100質量部に対して0.001質量部~10質量部の割合で配合することができる。
<製造方法>
本塗布剤は、例えば、銀粒子(A)、熱硬化性樹脂(B)、硬化剤(C)、溶剤(D)を含む原料を適宜割合で配合し、撹拌混合することにより製造することができる。この際、溶剤(D)の配合割合を適宜調整して、本塗布剤の粘度が10mPa・sを超え10,000mPa・s以下の範囲内になるように調整する。
これら原料を撹拌混合するには、公知の装置を用いることができる。例えば、ヘンシェルミキサー、ロールミル、三本ローラミルなどの公知の装置によって混合することができる。これら原料は、同時に混合してもよく、一部を先に混合し、残りを後から混合してもよい。
<塗布方法>
本塗布剤は、電子部品などにスプレー(噴霧)塗布し、電子部品などの外面に電磁波シールド層を形成することができる。
本塗布剤は、例えば、従来公知のスプレーコーティング機などで電子部品に塗布することができる。また、本塗布剤をエアゾール缶などに充填して塗布してもよい。
電磁波シールド層は、特に限定するものではないが、厚さを5μm~30μm、特に5μm~20μm、さらに5μm~10μmに形成するのが好ましい。
本塗布剤は、電子部品などに塗布することができ、電子部品としては、例えば、携帯電話、スマートフォン、ノートパソコン、タブレット端末などの電子機器に用いられる、パワーアンプ、Wi-Fi/Bluetooth(登録商標)モジュール、フラッシュメモリなどを挙げることができる。
本塗布剤を電子部品に塗布する場合は、個々の電子部品に塗布した後に基板上に実装してもよく、また、電子部品を基板上に実装した後にそれらをまとめて塗布してもよい。
本塗布剤により形成した電磁波シールド層は、37dB以上、好ましくは50dB以上、特に好ましくは60dB以上のシールド効果を有する。このようなシールド効果を有することにより、電磁波を有効に遮蔽することができる。
このシールド効果は、ASTM D4935に準拠して測定することができる。
本塗布剤により形成した電磁波シールド層は、下記実施例に示すクロスカットピール試験において5B以上の密着性を有する。このような密着性を有することにより、電子部品の外面に形成した電磁波シールド層が剥がれ落ちにくくなる。
本塗布剤は、電子部品などの外面にスプレー塗布することにより、銀粒子のムラのない電磁波シールド層を形成することができる。本塗布剤により形成された電磁波シールド層は、電磁波を十分に遮蔽し、また、密着性に優れて剥がれ落ちにくいものである。
以下、本発明の一実施例の電磁波シールド用スプレー塗布剤について説明する。但し、本発明のこの実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例の電磁波シールド用スプレー塗布剤を作製するにあたり以下の原料を用いた。
<原料>
1.銀粒子(A)
A-1:球状100nm銀フィラー「メタロー テクノロジーズ ユーエスエイ(Metalor Technologies USA)製P620-24」
A-2:球状200nm銀フィラー「メタロー テクノロジーズ ユーエスエイ(Metalor Technologies USA)製P620-7」
A-3:球状350nm銀フィラー「メタロー テクノロジーズ ユーエスエイ(Metalor Technologies USA)製P620-22」
A-4:粒径250nm銀フィラー「メタロー テクノロジーズ ユーエスエイ(Metalor Technologies USA)製P620-7から粒径250nm以上を選別」
なお、上記各数値は平均粒径であり、走査型電子顕微鏡(SEM)観察し、50個を測定して平均値を算出したものである。
2.熱硬化性樹脂(B)
B-1:クレゾールノボラック型エポキシ樹脂「DIC製N665-EXP」
B-2:ビスフェノールF型エポキシ樹脂「新日鉄住金化学製YDF8170」
B-3:ビスフェノールF型エポキシ樹脂「DIC製835LV」
B-4:ビスフェノールA型エポキシ樹脂「DIC製850CPR」
B-5:アミノフェノール型エポキシ樹脂「三菱ケミカル製630」
3.硬化剤(C)
C-1:フェノール系硬化剤「群栄化学工業製PSM4324」
C-2:アミン系硬化剤「日本化薬製HDAA」
C-3:アミン系硬化剤「アルベマール(ALBEMARLE Co.,Ltd.)製エタキュア100」
C-4:酸無水物系硬化剤「三菱ケミカル製YH307」
4.溶剤(D)
D-1:エチレングリコールモノフェニルエーテル(EPH)
D-2:ブチルカルビトールアセテート(BCA)
D-3:ブチルカルビトール(BC)
<シランカップリング剤>
E-1:エポキシ系シランカップリング剤(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)「信越化学製KBM403」
E-2:メタクリル系シランカップリング剤(3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン)「信越化学製KBM503」
<実施例及び比較例の作製>
下記表1~3に示す配合割合になるように各原料を配合し、三本ローラミルを用いて混合して、各電磁波シールド用スプレー塗布剤を作製した。
<粘度測定>
実施例及び比較例の各電磁波シールド用スプレー塗布剤の粘度は、東京計器社製回転粘度計TVE-22Hを用いて、10rpmで25℃における粘度(mPa・s)を測定した。測定した各電磁波シールド用スプレー塗布剤の粘度を下記表1~3に示す。
Figure 0007164181000001
Figure 0007164181000002
Figure 0007164181000003
<シールド効果測定>
シールド効果は、ASTM D4935に準拠して測定した。
より具体的には、精密ディスペンス装置(ノードソンアシムテック社製「スペクトラムIIディスペンサ」型番S2-920P)にディスペンス・バブル(ノードソンアシムテック社製「ディスペンスジェット」型番DJ-2200)を装着し、実施例及び比較例の各電磁波シールド用スプレー塗布剤を5mm角のポリイミド基板(厚さ1mm)上に塗布し、200℃で20分間加熱して電磁波シールド用スプレー塗布剤を硬化させた。
電磁波シールド用スプレー塗布剤を硬化させた各ポリイミド基板を、キーコム社製「同軸管タイプ シールド効果測定システム(500MHz~18Ghz)」にて測定した。その結果を上記表1~3に示す。
<強度(密着性)測定(クロスカットピール試験)>
強度は、ASTM D3359-97に準拠して測定した。
より具体的には、精密ディスペンス装置(ノードソンアシムテック社製「スペクトラムIIディスペンサ」型番S2-920P)にディスペンス・バブル(ノードソンアシムテック社製「ディスペンスジェット」型番DJ-2200)を装着し、実施例及び比較例の各電磁波シールド用スプレー塗布剤を50mm角のCu基板(厚さ0.1mm)上に塗布し、200℃で20分間加熱して電磁波シールド用スプレー塗布剤を硬化させた。
電磁波シールド用スプレー塗布剤を硬化させた各Cu基板に対してプレッシャークッカー試験を行った。
電磁波シールド用スプレー塗布剤を硬化させた各Cu基板を用い、ゴーテック社製クロスカットガイドにて十文字に交差するように碁盤目状に切れ込みを入れた後、交差する切れ込み部分にセロハンテープ(ニチバン株式会社製)を貼り、貼り付けたセロハンテープを素早く剥がす。それにより剥がれた塗布剤の面積を測定し、以下の表4に示す0B~5Bの6段階で判定した。その結果を上記表1~3に示す。
Figure 0007164181000004
<結果>
シールド効果は、37dB以上を可(○)と判定し、37dB未満を不可(×)と判定した。
強度は、5B以上を可(○)と判定し、4B以下を不可(×)と判定した。
それらの結果を上記表1~3に示す。
<考察>
実施例1~3及び比較例1を比較すると、実施例1~3のシールド効果は良好であり、特に球状粉である実施例1,3はシールド効果が50dB以上と良好な結果であった。比較例1のように銀粒子(A)の平均粒径が350nm以上になると、シールド効果が劣るものであった。これより、銀粒子(A)は平均粒径が100nm以上350nm未満であると塗布剤中で適度に分散されて銀粒子をムラなく塗布でき、適度に銀粒子が分散された電磁波シールド層を形成できることが見出された。
実施例1~20及び比較例2~13を比較すると、実施例1~20はいずれも強度の判定が「5B」であり密着性に優れたものであった。比較例2~13のように粘度が10以下或いは10,000を超えると強度の判定が「4B」であり、密着性に劣るものであった。これより、塗布剤の粘度は10を超え10,000以下の範囲内が密着性の観点から好ましいことが見出された。また、熱硬化性樹脂(B)、硬化剤(C)及び溶剤(D)の種類は、今回選択したもののいずれを用いてもシールド効果や強度に影響ないことが見出された。
1 電子部品
2 ステンレス層
3 銅層
4 ステンレス層

Claims (6)

  1. 平均粒径100nm以上350nm未満の銀粒子(A)と、エポキシ樹脂(B)と、硬化剤(C)と、溶剤(D)と、を含む電磁波シールド用スプレー塗布剤であって、
    該塗布剤の粘度が10mPa・sを超え10,000mPa・s以下であり、
    導電性粒子として前記銀粒子(A)のみを含む電磁波シールド用スプレー塗布剤。
  2. シランカップリング剤を含む請求項1に記載の電磁波シールド用スプレー塗布剤。
  3. 前記銀粒子(A)が球状粉である、請求項1又は2に記載の電磁波シールド用スプレー塗布剤。
  4. 前記硬化剤(C)がフェノール樹脂系硬化剤、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤のいずれかである、請求項1~のいずれかに記載の電磁波シールド用スプレー塗布剤。
  5. 前記溶剤(D)がエチレングリコールモノフェニルエーテル、ブチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールのいずれかである請求項1~のいずれかに記載の電磁波シールド用スプレー塗布剤。
  6. 請求項1~のいずれかに記載の電磁波シールド用スプレー塗布剤を用いて電磁波シールド層を形成した電子部品。
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