JP7158135B2 - ラベル用紙及びラベル - Google Patents

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Description

本発明は、ラベル用紙、ラベル及びラベル作成システムに関する。
貼付される対象物の情報を表示するラベルについては従来から種々のものが知られている。ラベルは、例えば、商品等の対象物の名称、製造者及び製造場所等の種々の情報を表示するために貼り付けられる。ラベルは、レーザプリンタ又はインクジェットプリンタにより、ラベル用紙に所定の情報又はデザインを印刷することによって作成される。
特許文献1には、低温保存する商品のラベル、及び結露しやすい場所に置かれる商品のラベルとして用いられる耐水性タック紙が記載されている。耐水性タック紙は、スチレン-ブタジエン系の共重合物が含まれた耐水化剤を有する耐水紙と、耐水紙の裏面に設けられたアクリル系エマルジョンタイプの弱粘着剤と、弱粘着剤の裏面に設けられた剥離可能なセパレータとを備える。この耐水性タック紙は、低温保存が必要であって比較的賞味期限が短い商品のラベルとして有効であるとされている。この耐水性タック紙を瓶に貼られるラベルとして使用した場合、剥がしやすく空き瓶等のリサイクルを容易に行えるとされている。
特開2005-234522号公報
前述した耐水性タック紙のようなラベル用紙に、例えば、水性インクを用いてインクジェットプリンタによる印刷を行って得られるラベルでは、例えば商品を搬送しているときに破れたり剥がれたりする問題が発生しうる。例えば、ラベル用紙が貼付されたジャム等の商品を倉庫の冷蔵室から段ボール箱に詰めて搬送するときに、冷蔵室と倉庫の外との温度差によって商品の表面、ラベルの表面、及び商品とラベルの界面に結露が生じうる。
商品とラベルの界面に結露が生じると貼付されたラベルの粘着性が低下しうる。また、商品又はラベルの表面に結露が生じると、貼付されたラベルがふやけ、この状態で段ボール箱に詰められた商品を搬送すると、商品に加えられる振動又は摩擦によりラベルが破れることがある。更に、ラベル用紙に水性インクによって印字が行われた場合には、表面に生じた結露によって滲みが発生する可能性がある。このように、ラベル用紙、及びラベル用紙に印字が行われたラベルでは、ラベルが剥がれたり破れたりする問題、及びラベルに滲みが発生する問題が生じうる。
本発明の一形態に係るラベル用紙は、対象物に貼り付けられるシート状のラベル用紙であって、繊維が不規則に絡み合った不織布構造を有すると共に耐水性を有する材料によって構成されたシート状の基材と、基材の一方側に位置しており、耐水性を有する材料によって構成されたインク受容層と、基材から見てインク受容層の反対側に位置しており、対象物に貼り付けられる粘着剤層と、を備える。
この形態のラベル用紙は、繊維が不規則に絡み合った不織布構造を有する基材を備えており、基材及びインク受容層は耐水性を有する材料によって構成されている。従って、対象物の表面に結露等が生じても、基材及びインク受容層をふやけにくくすることができるため、表面からの基材及びインク受容層の剥がれ、並びに振動等による破れを抑制することができる。また、インク受容層が耐水性を有する材料で構成されることにより、インクの滲みを抑制することができる。ところで、例えば基材がフィルムによって構成される場合、表面が湾曲した瓶等にラベル用紙が貼り付けられるときに、フィルムの剛性が高いことにより、ラベル用紙が元の形状に戻ろうとしてラベル用紙が剥がれることが懸念される。これに対し、前述した形態のラベル用紙は、繊維が不規則に絡み合った不織布構造を有することにより、フィルムの場合と比較してラベル用紙の剛性を抑えることができる。従って、ラベル用紙の剥がれをより確実に抑えることができる。
別の形態に係るラベル用紙において、基材は、パルプを含む繊維、及び樹脂製のサイジング剤によって構成されてもよい。
別の形態に係るラベル用紙において、基材は、合成樹脂が含有されて構成されてもよい。
別の形態に係るラベル用紙において、インク受容層は、無機材料から成るフィラーが含まれて構成されていてもよい。
別の形態に係るラベル用紙において、対象物は、ガラス瓶であってもよい。
本発明の一形態に係るラベルは、前述したラベル用紙にインクが塗布されて印刷されたラベルである。前述したラベル用紙は、剥がれたり破れたりする問題を抑制することができると共にインクの滲みを抑制することができるので、一形態に係るラベルでも同様の効果を得ることができる。
本発明の一形態に係るラベル作成システムは、前述のラベル用紙から耐水性のラベルを作成するラベル作成システムであって、ラベルのレイアウトを表示するレイアウト表示部と、レイアウト表示部に表示されたラベルに印字するデータを編集するデータ編集部と、データ編集部によって編集されたデータが表示されたラベルを印刷するラベル印刷部と、を備える。
この形態のラベル作成システムは、作成されるラベルのレイアウトを表示するレイアウト表示部と、ラベルに印字するデータを編集するデータ編集部とを備え、編集されたデータが表示されたラベルをラベル印刷部が印刷する。よって、ラベルのレイアウト表示、及びラベルに載せるデータの編集を行えば所望のラベルを印刷することができるので、ラベルの作成を容易に行うことができる。また、このラベル作成システムは、前述したラベル用紙に印刷を行うため、高い耐水性を備えたラベルを容易に印刷することができる。
別の形態に係るラベル作成システムにおいて、レイアウト表示部は、複数のラベルのレイアウトを一括して表示し、ラベル印刷部は、複数のラベルを一括して印刷してもよい。
本発明によれば、ラベルが剥がれたり破れたりする問題、及びラベルに滲みが発生する問題を抑制することができる。
図1は、実施形態に係るラベルが貼り付けられる対象物の例を示す斜視図である。 図2は、作成されるラベルのレイアウトの一例を示す図である。 図3は、実施形態に係るラベル用紙の積層構造を示す図である。 図4は、図3のラベル用紙のインク受容層を示す概念図である。 図5は、図3のラベル用紙における基材の構造を概念的に示す図である。 図6は、実施形態に係るラベル作成システムの構成を示す図である。
以下では、添付図面を参照しながら本発明に係るラベル用紙、ラベル及びラベル作成システムの実施形態について説明する。図面の説明において、同一又は相当する要素には同一の符号を付し重複する説明を適宜省略する。
以降の説明において、「ラベル用紙」は、印字が行われる前の紙を含んでおり、複数種類の貼り付けの対象物に対して共通に用いられるものを含んでいる。「ラベル」は、印字が行われた後の用紙を示しており、貼り付けの対象物の名称、銘柄及び種類等を示すものである。「紙」は、繊維が絡み合ってシート状とされたものであり、繊維が膠着されたものを含む。また、「紙」は、パルプが材料とされたものの他、合成樹脂を原料として製造された合成紙、及び、所定の長さに切断された合成繊維から製造された合成繊維紙等を含む。
「対象物」は、ラベルが貼付される対象を示しており、典型的には、ラベルが貼り付けられる物品、商品、品物、容器及び袋を含む。「シート状」は二次元的に広がっている状態を示している。「不織布構造」は、繊維が無秩序に絡み合ったシート状の構造を含んでおり、本実施形態では、繊維が不規則に絡み合った紙を含む。「耐水性」は、水によって変質しない、又は水によって変質しにくい性質を示しており、水に接しても形状、機能及び性状が変化しないことを含む。
図1に示されるように、本実施形態に係るラベル1は、ラベル用紙10が印刷されることによって作成される。ラベル1は、例えば、ガラス瓶Gの表面G1に貼り付けられる。本明細書において「ガラス」とは、シリカ等によって構成された珪酸ガラス、珪酸塩ガラス、ソーダ石灰ガラス、石英ガラス、カルコゲンガラス、金属ガラス、有機ガラス、及び、ポリカーボネート(PC)又はポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)等によって構成された樹脂ガラスを含んでいる。
ガラス瓶Gは、有底円筒状を成しており、蓋Fが開閉されることによってガラス瓶Gの内容物の取り出し及び保存が可能である。ラベル1は、高い耐水性を有する。このラベル1がガラス瓶Gの表面G1に貼られた状態において、表面G1に結露が生じたり搬送時等にガラス瓶Gに振動又は摩擦が加えられたりしても、ラベル1はふやけにくく、更にラベル1の破れが抑制される。
ガラス瓶Gの内容物は、例えば、飲料若しくは調味料等の液状物、ジャム、蜂蜜若しくは海苔佃煮等の半液状物(ゲル状物)、又は、野菜、果物、肉、佃煮若しくは漬物等の固形物であってもよい。また、ガラス瓶Gの内容物は、飲食物であってもよいし、非飲食物であってもよい。
図2に示されるように、例えば、ラベル用紙10に複数のラベル1を一括して印刷することにより、複数のラベル1が一括して作成される。ラベル用紙10は、例えば、無地の白い紙である。具体的には、長方形状のラベル用紙10の上に複数のラベル1が格子状に配置されるように印刷が行われ、印刷されたラベル1はラベル用紙10の後述する剥離紙Pから一枚ずつ剥がされて各ガラス瓶Gの表面G1に貼り付けられる。
ラベル1が貼り付けられたガラス瓶Gは、例えば道の駅等の施設又は道端に並べられ、商品として販売される。具体例として、農家の人が製造した物がガラス瓶Gに詰められると共に、農家の人が自分でラベル1を必要な数だけ印刷してラベル1をガラス瓶Gの表面G1に貼り付ける。このように、ラベル1は、個人で印刷して貼り付けることが可能である。
また、印刷会社等の業者がラベルの印刷を行う場合、大ロットで印刷を行うことが一般的であるため、印刷のコストが増大するという問題がある。これに対し、ラベル1は個人で印刷することが可能であるため、必要な数だけラベル1の印刷を行うことができ、ラベル1の印刷コストを抑えることができる。
一般的に、ラベルの印刷は、インクジェットプリンタ又はレーザプリンタによって行われる。レーザプリンタは、インクジェットプリンタと比較して印刷速度が速いという利点がある。しかしながら、インクジェットプリンタは、レーザプリンタよりも高画質な印字が可能であり、印字及び発色がレーザプリンタよりも鮮明であるという利点がある。
本実施形態では、ラベル用紙10がインクジェットプリンタによって印刷されてラベル1が作成される。インクジェットプリンタのインクは水溶性であることが多いため、水が付着すると滲むことがあるが、本実施形態では、ラベル1及びラベル用紙10が耐水性を有するため、上記の問題は抑制される。
図3は、本実施形態に係るラベル用紙10の積層構造を示す図である。ラベル用紙10は、表側(ガラス瓶Gに貼付したときにガラス瓶Gに接する面の反対側)から順に、インク受容層11、基材12、粘着剤層13及び剥離紙Pが積層されている。インク受容層11は基材12の一方側(表面側)に位置しており、粘着剤層13は基材12から見てインク受容層11の反対側(裏面側)に位置している。
図4に示されるように、インク受容層11は、耐水性を有する材料によって構成されたシート状の層であり、インクジェットプリンタからのインクNを受容する。インク受容層11は、例えばアルミナ又はシリカを含む無機材料によって構成されたフィラー11aが散りばめられて構成される。
フィラー11aは、インク受容層11の表面11bに振りかけられる。フィラー11aは表面11bに近い箇所には密に存在する。フィラー11aの密度は表面11bから離れるに従って疎となる。また、表面11bから一定の深さを超えるとフィラー11aは存在しなくなる。
インク受容層11にインクNが噴射されインクNがインク受容層11の表面11bに着弾すると、インクNの色素(染料)がフィラー11aに吸着される一方、インクNの水分はインク受容層11において染料から分離する。この水分は、インク受容層11のフィラー11a以外の箇所に残存する。その後、当該水分は蒸発し、インクNの染料によって着色されたフィラー11aが残存する。図4において、薄い灰色は水分を含むインクNを示しており、濃い灰色はインクNの染料によって着色された状態を示している。
ここで、仮にインク受容層がフィラーを有しない場合、インク受容層そのものにインクNの色素が存在すると共に、水分は蒸発した状態となる。このため、インクNの色素に水が触れると、この水をインク受容層が吸い込むことにより、インク受容層において色素が移動可能となる。このように色素が移動可能となることにより、インク受容層において滲みが発生する。これに対し、本実施形態のようにインク受容層11がフィラー11aを有する場合には、定着したインクNに水が当てられても、フィラー11aとインクNの色素が強く結合しているため、当該色素の移動(溶出)を抑制することができる。従って、フィラー11aを有するインク受容層11では、インクNの滲みを抑制してインク受容層11の耐水性を高めることが可能となる。
インク受容層11は、フィラー11aである無機微粒子及びケト基を含むポリビニルアルコール、及びその架橋剤を含んでいてもよい。架橋剤としてホウ酸又はホウ酸塩を使用してインク受容層11を形成した後に、ケト基と反応する架橋剤を含むインク受容層塗布液をインク受容層11に付与してもよい。ホウ酸としては、オルトホウ酸、メタホウ酸、次ホウ酸等が、ホウ酸塩としては、それらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。ホウ酸又はホウ酸塩の添加量はケト基を有するポリビニルアルコールに対して0.1~40質量%が好ましく、より好ましくは0.5~30質量%である。インク受容層塗布液が含む無機微粒子は、例えば、非晶質合成シリカ、アルミナ、アルミナ水和物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム又は二酸化チタン等である。
非晶質合成シリカは、湿式法シリカ、気相法シリカ、又はその他に大別される。湿式法シリカは、沈降法シリカ、ゲル法シリカ、又はゾル法シリカに分類される。沈降法シリカはケイ酸ソーダと硫酸をアルカリ条件で反応させて製造され、粒子成長したシリカ粒子が凝集及び沈降し、その後、濾過、水洗、乾燥、粉砕及び分級の行程を経て得られる。ゲル法シリカはケイ酸ソーダと硫酸を酸性条件下で反応させることによって得られる。熟成中に微小粒子は溶解し、他の一次粒子同士を結合するように再析出するため、明確な一次粒子は消失し、内部空隙構造を有する比較的硬い凝集粒子を形成する。ゾル法シリカは、コロイダルシリカとも呼ばれ、ケイ酸ソーダの酸等による複分解又はイオン交換樹脂層を通して得られるシリカゾルを加熱熟成して得られる。
アルミナとしては、酸化アルミニウムのγ型結晶であるγ-アルミナが好ましく、中でもδグループ結晶が好ましい。γ-アルミナは一次粒子を10nm程度まで小さくすることが可能であるが、通常は数千から数万nmの二次粒子結晶を超音波、高圧ホモジナイザー、又は対向衝突型ジェット粉砕機等で粉砕したものが使用できる。アルミナの平均二次粒子径は500nm以下であることが好ましく、より好ましくは20nm~300nmである。
アルミナ水和物はAl・nHO(n=1~3)の構成式で表される。アルミナ水和物はアルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等により得られる。アルミナ水和物の平均二次粒子径は好ましくは500nm以下、より好ましくは20~300nmである。前述したアルミナ及びアルミナ水和物は、例えば、酢酸、乳酸、ぎ酸、硝酸等の分散剤によって分散されたものが用いられる。
インク受容層11には、前述の非晶質合成シリカのカチオン化に使用されるものと同様のカチオン性ポリマーを、更に添加剤として使用してもよい。また、インク受容層11は、耐水性向上等のため水溶性多価金属化合物を含有してもよい。水溶性多価金属化合物としては水溶性アルミニウム化合物が好ましく利用できる。
図5は、基材12を模式的に拡大した図である。図5に示されるように、基材12は、例えば、パルプを含む繊維12a及びサイジング剤12bによって構成されており、高い耐水性を備えた耐水紙である。基材12は、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、又はポリエチレン繊維といったポリマー繊維等の合成樹脂が含有されて構成された合成紙又は合成繊維紙であってもよい。
基材12に耐水性を付与するための材料は、例えば、パラフィン、油脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、又はウレタン樹脂であってもよい。これらの材料が基材12の表面にコーティングされることにより、基材12に耐水性が付与される。また、基材12は、繊維12aが不規則に絡み合った不織布構造を有する。基材12では、サイジング剤12bが繊維12aの間に入り込んで繊維12aに固定されることによっても耐水性を高めることができる。サイジング剤12bは、例えば、スチレン樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ロジン、フェノール樹脂、又はこれらの変性樹脂等の樹脂材料によって構成される。
仮に、サイジング剤を有しない紙に水が入り込んだ場合には、水は、紙の繊維の間に入り込み、水が繊維の間を広げて繊維が分かれた形になる。このように紙の繊維が広げられて分かれた形になることによって紙にふやけが生じる。これに対し、本実施形態の基材12では、繊維12aの間にサイジング剤12bが入り込んで固定される。よって、基材12に水が入っても繊維12aの間の広がりがサイジング剤12bによって抑制される。このため、基材12にふやけが生じにくくなっており、基材12の耐水性が高められる。
粘着剤層13は、インク受容層11及び基材12をガラス瓶Gに接着させる層である。粘着剤層13は、例えば、アクリル系粘着剤であるが、ゴム系粘着剤又はシリコーン系粘着剤であってもよく、粘着剤層13の材料は適宜変更可能である。本実施形態において、粘着剤層13の粘着力は、ラベル用紙10の厚さとラベル用紙10が貼り付けられる対象物の材料及び曲率によって適宜変更可能である。また、粘着剤層13は、比較的硬めであって、べたつきが少ないものが用いられてもよい。この場合、粘着剤層13によって一層強固にラベル用紙10がガラス瓶Gに貼り付けられるので、ガラス瓶Gからのラベル用紙10の剥がれが一層確実に抑制される。
剥離紙Pは、例えば、シリコーン樹脂を含む剥離紙である。しかしながら、剥離紙Pは、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム又はポリエチレンフィルムによって構成されてもよく、剥離紙Pの材料は適宜変更可能である。剥離紙Pが剥がされて粘着剤層13がガラス瓶Gの表面G1に貼付されることにより、ガラス瓶Gにラベル用紙10が貼り付けられる。
本実施形態では、ラベル用紙10に印刷を行うラベル作成システム21によってラベル1が作成される。以下では、本実施形態に係るラベル作成システム21について図6を参照しながら説明する。図6に示されるように、ラベル作成システム21は、コンピュータ22と、コンピュータ22に接続されたプリンタ23とを備える。
コンピュータ22は、例えば、パーソナルコンピュータ、又は、タブレット端末若しくは携帯端末等の端末装置であってもよい。コンピュータ22は、例えば、インターネットWに通信可能とされており、クラウド上のソフトウェアを実行したり、又はインターネットWからソフトウェアをダウンロードすることが可能である。コンピュータ22は、ラベル1のレイアウトを表示するディスプレイ22a(レイアウト表示部)を有する。
プリンタ23は、コンピュータ22と無線又は有線を介して通信可能とされており、コンピュータ22からデータを受信してラベル用紙10に印刷を行う。プリンタ23は、例えば、インクジェットプリンタ又はレーザプリンタ等の印刷装置であってもよい。特に、プリンタ23がインクジェットプリンタである場合、鮮明で高品質な印刷が可能である点において好適である。
ラベル作成システム21を用いてラベル1を印刷する手順について説明する。まず、予めコンピュータ22にインストールされたラベル1の印刷ソフトウェアを実行するか、又は、クラウド上のラベル1の印刷ソフトウェアを実行する。ラベル1の印刷ソフトウェアを実行すると、ディスプレイ22aに、例えば図2に示されるようなラベル1のレイアウト画面が表示される。
ラベル作成システム21の使用者は、コンピュータ22を操作してラベル1のレイアウトを変更することが可能である。コンピュータ22では、例えば、1枚のラベル用紙10当たりのラベル1の枚数及び配置態様、ラベル用紙10の印刷枚数、ラベル1の大きさ、並びにラベル1の形状が変更可能である。
ラベル1のレイアウト画面が表示された後には、例えば、ラベル1の編集画面がディスプレイ22aに表示される。ラベル作成システム21の使用者は、コンピュータ22(データ編集部)によって、ラベル1に印字するデータを編集する。具体的には、ラベル1の編集画面が表示されると、ラベル1に載せる情報及びラベル1に載せるデザインが変更可能である。ラベル1に載せる情報としては、例えば、ガラス瓶Gの内容物の名称、内容物の製造者の名称、当該製造者の事業所の場所、及び当該製造者の連絡先が挙げられる。ラベル1に載せるデザインとしては、ガラス瓶Gの内容物の写真及びイラスト等が挙げられる。
ラベル1の編集画面においてラベル1に載せる情報及びデザインが変更された後には、例えば、ディスプレイ22aに表示されている印刷ボタンがクリックされることによって、プリンタ23(ラベル印刷部)がラベル1の印刷を行う。具体的には、ラベル1の印刷を行う前までにラベル用紙10をプリンタ23にセットしておき、ラベル用紙10がプリンタ23にセットされた状態で印刷ボタンがクリックされることによりラベル1の印刷が行われる。
このように、プリンタ23がラベル用紙10に印刷を行って、編集されたラベル1のレイアウト画面と同一のラベル1が印刷されたラベル用紙10がプリンタ23から排出される。このラベル1を剥がしてガラス瓶Gの表面G1に貼り付けることにより、ガラス瓶Gに収容された商品等が完成する。
次に、本実施形態に係るラベル用紙10、ラベル1及びラベル作成システム21の作用効果について説明する。
ラベル用紙10は、繊維12aが不規則に絡み合った不織布構造を有する基材12を備えており、基材12及びインク受容層11は耐水性を有する材料によって構成されている。従って、ラベル1を貼付したガラス瓶Gの表面G1に結露等が生じても、基材12及びインク受容層11をふやけにくくすることができるため、表面G1からの基材12及びインク受容層11の剥がれ、及び振動又は摩擦による破れを抑制することができる。
また、インク受容層11が耐水性を有する材料によって構成されることにより、インクNの滲みを抑制することができる。更に、ラベル用紙10の基材12は、繊維12aが不規則に絡み合った不織布構造を有することにより、ラベル用紙10の剛性を抑えることができる。すなわち、ラベル用紙10が曲げられたときに弾性力を発揮するほどにラベル用紙10の剛性が高くならないようにすることができる。従って、曲面状の表面G1にラベル1を貼り付けても、ラベル1の弾性力が抑えられるので、表面G1とラベル1との界面において結露が生じても、表面G1からのラベル1の剥がれをより確実に抑えることができる。
基材12は、パルプを含む繊維12a、及び樹脂製のサイジング剤12bによって構成されてもよい。樹脂製のサイジング剤12bは、パルプを含む繊維12aの目の間に入り込み、繊維12aの目を塞いで繊維12a間を固定する機能を有する。よって、サイジング剤12bが含有されることにより、基材12に水がかけられても、繊維12aの広がりを抑制することができるので、水によるラベル用紙10のふやけを抑制することができる。また、サイジング剤12bは、パルプを含む繊維12aの全ての目を塞ぐわけではないので、ラベル用紙10の紙としての柔軟性を確保することができる。
また、基材12は、合成樹脂が含有されて構成されていてもよい。すなわち、基材12は、前述した合成紙又は合成繊維紙であってもよい。この場合、合成繊維そのものが高い耐水性を有するため、前述と同様、ラベル用紙10のふやけを抑制することができる。
インク受容層11は、無機材料から成るフィラー11aが含まれて構成されていてもよい。インクNを受容するインク受容層11に無機材料から成るフィラー11aが含まれることにより、インク受容層11のインクNが水に混入することを抑制できるので、インクNの滲みを抑制することができる。
また、ラベル1が貼り付けられる対象物はガラス瓶Gであってもよい。表面G1が湾曲していてラベルの剥がれ又は破れが比較的発生しやすいガラス瓶Gに対しても、ラベル用紙10では剥がれたり破れたりする問題を抑制することができるので、前述した効果が顕著となる。
ラベル1は、ラベル用紙10にインクNが塗布されて印刷されたラベルである。前述したように、ラベル用紙10は、剥がれたり破れたりする問題を抑制することができると共にインクNの滲みを抑制することができるので、ラベル1でも同様の効果を得ることができる。
ラベル作成システム21は、作成されるラベル1のレイアウトを表示するディスプレイ22aと、ラベル1に印字するデータを編集するコンピュータ22とを備え、編集されたデータが表示されたラベル1をプリンタ23が印刷する。よって、ラベル1のレイアウト表示、及びラベル1に載せるデータの編集を行えば所望のラベル1を印刷することができるので、ラベル1の作成を容易に行うことができる。また、ラベル作成システム21は、ラベル用紙10に印刷を行うため、高い耐水性を備えたラベル1を容易に印刷することができる。
また、ディスプレイ22aは、複数のラベル1のレイアウトを一括して表示し、プリンタ23は、複数のラベル1を一括して印刷する。よって、複数のラベル1を一括して作成することができるので、高い耐水性を備えたラベル1の作成を一層容易に行うことができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述の実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。例えば、ラベル用紙10及びラベル1を構成する各部の材料、厚さ、数、及び配置態様は適宜変更可能である。また、ラベル作成システム21を構成する各部の構成及び配置態様は適宜変更可能である。
例えば、前述の実施形態では、ラベル1がガラス瓶Gの表面G1に貼り付けられる例について説明した。しかしながら、ラベル1が貼り付けられる対象物は、ガラス瓶G以外のものであってもよい。当該対象物の材料は、ガラス以外のものであってもよく、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)若しくはポリカーボネート等の樹脂、金属又は陶器であってもよい。例えば、ラベル1は、ペットボトル、缶、パウチ袋、紙袋、又はフィルム袋等に貼り付けられてもよい。
また、前述の実施形態では、ラベル1が曲面状とされた表面G1に貼り付けられる例について説明したが、ラベル1が貼り付けられる面の形状は、曲面状以外であってもよく、例えば、平面状又は凹凸面であってもよい。これらの面に貼り付けられた場合にも、ラベル1では、剥がれたり破れたりする問題が抑制され、且つ高い耐水性を備える。
また、前述の実施形態では、インク受容層11、基材12、粘着剤層13及び剥離紙Pの材料について説明したが、インク受容層11、基材12、粘着剤層13及び剥離紙Pの材料は、前述したものに限定されず適宜変更可能である。
(実施例)
続いて、本発明の実施例及び比較例により更にラベル用紙及びラベルについて説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
(実施例1)
図3に示されるように、インク受容層11、基材12、粘着剤層13及び剥離紙Pを備えたラベル用紙10を用いた。すなわち、インクジェットプリンタからのインクを受容する耐水性を備えたインク受容層11、及び不織布構造を有すると共に耐水性を備えた基材12を有するラベル用紙10を用いた。なお、粘着剤層13としてはアクリル系粘着剤を用い、剥離紙Pとしてはシリコーン樹脂を含む剥離紙を用いた。そして、ラベル用紙10に対してインクジェットプリンタで印刷を行いラベル1を作成した。
(比較例1)
比較例1のラベル用紙は、インク受容層11に代えて耐水性を有しない従来のインク受容層を用い、基材12に代えて耐水性を有しない従来の紙基材を用いたラベル用紙とした。そして、このラベル用紙に対してインクジェットプリンタで印刷を行ってラベルを作成した。
(比較例2)
比較例2のラベル用紙は、インク受容層11に代えて耐水性を有しない従来のインク受容層を用い、基材12に代えてフィルム基材を用いたラベル用紙とした。このラベル用紙に対してインクジェットプリンタで印刷を行ってラベルを作成した。
(比較例3)
比較例3のラベル用紙は、インク受容層11に代えてレーザプリンタ用の受容層を用い、基材12に代えて従来の紙基材を用いたラベル用紙とした。そして、このラベル用紙に対してレーザプリンタで印刷を行ってラベルを作成した。
(比較例4)
比較例4のラベル用紙は、インク受容層11に代えてレーザプリンタ用の受容層を用い、基材12に代えてフィルム基材を用いたラベル用紙とした。このラベル用紙に対してレーザプリンタで印刷を行ってラベルを作成した。
なお、実施例1及び比較例1~4のそれぞれでは、実験結果を明確に示すために複数色を印字して印刷を行った。以上の実施例1のラベル1、及び比較例1~4のラベルに対して以下の3種類の実験を行った。
(実験1)
実験1では、ラベルに印刷された印字の耐水性を評価した。実験1では、ラベルを所定の長さに切断してラベルから剥離紙を剥がし、ラベルをPP製の板状部材に貼り付けた。そして、板状部材に貼り付けたラベルに水を30秒間流し続け、その後、ラベル及び板状部材にペーパータオルを押し当てて水分を拭き取った。ラベルへの流水を終えてから30秒後にラベルの滲みを目視で確認した。その結果は、ラベルの滲みの有無の観点で判定した。具体的には、インクジェットプリンタで印字したラベルにおいては、印字の滲み又は流れ出しがないラベルを合格とし、レーザプリンタで印字したラベルにおいては、トナーの脱落が無いラベルを合格とした。一方、印字の滲み若しくは流れ出し、又はトナーの脱落があるラベルを不合格とした。
(実験2)
実験2では、ラベルの基材の耐水性を評価した。実験2では、実験1と同様、ラベルを所定の長さに切断してからラベルをPP製の板状部材に貼り付けて、ラベルに水を30秒間流し続けた。その後、ラベル及び板状部材にペーパータオルを押し当てて水分を拭き取り、ラベルへの流水を終えてから30秒後に基材表面をペーパータオルで5往復適度な力で擦って基材の耐久性を確認した。破れ(基材の層内剥離等の破壊を含む)が生じなかった基材を合格とし、破れが生じた基材を不合格とした。
(実験3)
実験3では、ガラス瓶の表面に貼り付けたラベルの粘着の耐久性を評価した。実験3では、ガラス瓶を事前に洗剤及びスポンジを用いて洗浄し、その後よく水ですすいで乾燥させた。その後、ラベルを所定の長さに切断してガラス瓶の表面(段差を有しない曲面状の部分)に貼り付けた。そして、ラベルを貼り付けたガラス瓶を数時間冷凍庫に入れた後にガラス瓶を冷凍庫から取り出し、ガラス瓶の表面に結露を生じさせた。この結露は、ガラス瓶を冷凍庫から取り出した直後から発生するが、取り出してから5分程度でなくなった。当該結露によりラベルに浮き又は剥がれがないかどうかを確認した。ラベルの辺(外縁)を確認した結果、浮き又は剥がれがないものを合格とし、浮き又は剥がれがあるものを不合格とした。
以上の実験1~実験3の結果を以下の表1に示す。
Figure 0007158135000001
表1に示されるように、実験1の滲みの有無の観点では、インク受容層11を備える実施例1、及びレーザプリンタで印刷された比較例3、4が合格となった。一方、インク受容層11を有しない比較例1、2(インクジェットプリンタで印刷したもの)では滲みが生じて不合格であった。以上、実験1からは、インクジェットプリンタでの印刷においては、インク受容層11を備えるラベル用紙10及びラベル1では滲みを抑制できることが分かった。
実験2で評価した基材の耐久性については、基材12を備える実施例1、及びフィルム基材を備える比較例2及び比較例4で合格であった。一方、従来の紙基材を備える比較例1及び比較例3では、擦った結果破れが生じ不合格であった。このように、実験2からは、基材12を備えるラベル用紙10及びラベル1、並びに、フィルム基材を備えた場合には、基材の耐久性を高められることが分かった。
また、実験3で評価したラベルの浮き又は剥がれについては、不織布構造を有する基材12を備えた実施例1、及び紙基材を備えた比較例1及び比較例3で合格だった。一方、フィルム基材を備える比較例2及び比較例4で不合格であった。この結果より、基材12を備えるラベル用紙10及びラベル1、並びに、紙基材を備えた場合には、ラベル用紙の剛性を抑えることができるのでラベルの浮き又は剥がれを抑制できることが分かった。一方、フィルム基材を備えた場合には、ラベル用紙の剛性が高すぎるのでラベルに浮き又は剥がれが生じることが分かった。
以上の実験1~実験3より、ラベル用紙10及びラベル1を備えた実施例1では、ラベルの滲みを抑制することができ、更に、基材の耐久性を高めてラベルの浮き又は剥がれを抑制できることが分かった。
1…ラベル、10…ラベル用紙、11…インク受容層、12…基材、12a…繊維、12b…サイジング剤、13…粘着剤層、21…ラベル作成システム、22…コンピュータ(データ編集部)、22a…ディスプレイ(レイアウト表示部)、23…プリンタ(ラベル印刷部)、F…蓋、G…ガラス瓶(対象物)、G1…表面、N…インク、P…剥離紙、W…インターネット。

Claims (5)

  1. 対象物に貼り付けられるシート状のラベル用紙であって、
    繊維が不規則に絡み合った不織布構造を有すると共に耐水性を有する材料によって構成されたシート状の基材と、
    前記基材の一方側に位置しており、耐水性を有する材料によって構成されたインク受容層と、
    前記基材から見て前記インク受容層の反対側に位置しており、前記対象物に貼り付けられる粘着剤層と、
    を備え、
    前記インク受容層は、無機材料から成るフィラーが含まれて構成されており、
    前記フィラーは前記インク受容層の表面に近い箇所には密に存在し、前記フィラーの密度は前記表面から離れるに従って疎となる、
    ラベル用紙。
  2. 前記基材は、パルプを含む繊維、及び樹脂製のサイジング剤によって構成される、
    請求項1に記載のラベル用紙。
  3. 前記基材は、合成樹脂が含有されて構成される、
    請求項1に記載のラベル用紙。
  4. 前記対象物は、ガラス瓶である、
    請求項1~3のいずれか一項に記載のラベル用紙。
  5. 請求項1~4のいずれか一項に記載のラベル用紙にインクが塗布されて印刷されたラベル
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