JP7153586B2 - 内燃機関の可変動弁機構 - Google Patents
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Description
すなわち、図8(a)に示すように、係入時の第一係入アーム61と第一螺旋溝54の溝底との第一接触点を、回動中心から第一接触点付近へ延びる第一接線と第一螺旋溝54との第一接点よりも、回動中心から見て近い、第一螺旋溝54の回転方向上流側に配置していた。これにより、第一接触点で第一係入アーム61に働く第一螺旋溝54の回転による摺接力は、係入アーム61を回動中心から離れる方向に引っ張る力と、係入アーム61を螺旋溝54から押し出す力とを発生させることが判明した。
カムシャフトにカムと第一螺旋溝と第二螺旋溝とがカムシャフトと共に回転するように設けられ、
カムシャフトと平行に延びるロッカシャフトに、ロッカアーム本体が揺動可能に支持され、
ロッカアーム本体は、ロッカシャフトと平行に延びるローラ軸を含み、
ローラ軸に、カムが当接しうるローラがロッカシャフト長方向に変位可能に支持され、
第一螺旋溝と第二螺旋溝に択一的に係入する第一係入アームと第二係入アームと、ローラを抱持するローラガイドとを含むリンクアームが、ロッカシャフト長方向に変位可能に設けられ、
第一係入アームと第二係入アームを回動装置により回動中心の回りに回動させて、第一係入アームを第一螺旋溝に係入させるか又は第二係入アームを第二螺旋溝に係入させるかを選択することにより、選択した螺旋溝に沿ってリンクアーム及びローラをロッカシャフト長方向に変位させて、該ローラに前記カムが当接するか又は当接しないかを切り替える内燃機関の可変動弁機構において、
前記係入時の第一係入アームと第一螺旋溝の溝底との第一接触点は、前記回動中心から第一接触点付近へ延びる第一接線と第一螺旋溝との第一接点から、前記回動中心から見て第一接点よりも遠い、第一螺旋溝の回転方向下流側へ60度の所までの範囲内に配置されており、
前記係入時の第二係入アームと第二螺旋溝の溝底との第二接触点は、前記回動中心から第二接触点付近へ延びる第二接線と第二螺旋溝との第二接点から、前記回動中心から見て第二接点よりも近い、第二螺旋溝の回転方向下流側へ60度の所までの範囲内に配置されていること、及び、
第一接触点は、第一接点よりも第一螺旋溝の回転方向下流側へ6度以上離れており、
第二接触点は、第二接点よりも第二螺旋溝の回転方向下流側へ6度以上離れていること
を特徴とする。
第一接触点が第一接点に配置されていると、第一係入アームの回動中心からの長さは長くなるものの、第一接触点で第一係入アームに働く第一螺旋溝の回転による摺接力は、第一係入アームを回動中心から離れる方向に引っ張る力のみを発生させ、第一係入アームを第一螺旋溝から押し出す力や第一螺旋溝に引き込む力はキャンセルされる。
また、第一接触点が、前記回動中心から見て第一接点よりも遠い、第一螺旋溝の回転方向下流側へ60度の所(好ましくは45度の所)までに配置されていると、第一係入アームの回動中心からの長さはさらに長くなるものの、第一接触点で第一係入アームに働く第一螺旋溝の回転による摺接力は、第一係入アームを回動中心から離れる方向に引っ張る力と、第一係入アームを第一螺旋溝に引き込む力とを発生させる。
また、第二接触点が、前記回動中心から見て第二接点よりも近い、第二螺旋溝の回転方向下流側へ60度の所(好ましくは45度の所)までに配置されていると、第二係入アームの回動中心からの長さが短くなるとともに、第二接触点で第二係入アームに働く第二螺旋溝の回転による摺接力は、第二係入アームを回動中心に向かう方向に押す力と、第二係入アームを第二螺旋溝に引き込む力とを発生させる。
ロッカアーム本体は、直接バルブを駆動するものでもよいし、間接的にバルブを駆動する(例えば、ロッカアーム本体が第2ロッカアームを押圧し、第2ロッカアームがバルブを駆動する)ものでもよい。
ローラ軸に支持するローラの数は、1つでも複数でもよい。
前記のとおり、第一接触点は、第一接点よりも第一螺旋溝の回転方向下流側へ6度以上離れており、第二接触点は、第二接点よりも第二螺旋溝の回転方向下流側へ6度以上離れていることとする。各部材の寸法・組付のバラツキがあっても、2つの係入アームが各螺旋溝に確実に引き込まれるようにするためであり、また、その引込力を一定以上の大きさにするためである。
一方、第一接触点を、第一接点よりも第一螺旋溝の回転方向下流側へ60度の所を超えて離したり、第二接触点を、第二接点よりも第二螺旋溝の回転方向下流側へ60度の所を超えて離したりすることは、2つの係入アームの配置を困難にする。よって、前記のとおり、いずれの接触点についても「好ましくは45度の所」までである。
回動装置としては、特に限定されないが、電磁ソレノイド、油圧機構、電動モータ機構等を用いたものを例示できる。
ローラに前記カムが当接しないときの態様としては、ローラに別のカムも当接しない態様、ローラに別のゼロリフトの円カムが当接する態様、ローラに別のノーズプロフィールのカムが当接する態様とを例示できる。次に説明する実施例は、ローラに別のノーズプロフィールのカムが当接する態様である。
カムシャフト2にカム3と第一螺旋溝5と第二螺旋溝7とがカムシャフト2と共に回転するように設けられ、
カムシャフト2と平行に延びるロッカシャフト9に、ロッカアーム本体10が揺動可能に支持され、
ロッカアーム本体10は、ロッカシャフト9と平行に延びるローラ軸15を含み、
ローラ軸15に、カム3が当接しうるローラ16がロッカシャフト長方向に変位可能に支持され(第1ロッカアーム本体10とローラ16とにより第1ロッカアームが構成される)、
第一螺旋溝5と第二螺旋溝7に択一的に係入する第一係入アーム23と第二係入アーム24と、ローラ16の両側面を抱持するローラガイド31とを含むリンクアーム20が、ロッカシャフト長方向に変位可能に設けられ、
第一係入アーム23と第二係入アーム24を回動装置40により回動中心Cの回りに回動させて、第一係入アーム23を第一螺旋溝5に係入させるか又は第二係入アーム24を第二螺旋溝7に係入させるかを選択することにより、選択した螺旋溝5,7に沿ってリンクアーム20及びローラ16をロッカシャフト長方向に変位させて、該ローラ16に前記カム3が当接するか又は当接しないかを切り替える機構である。
カムシャフト2には、軸長方向d1側から軸長方向d2側へ順に、駆動カムとしての第一カム3及び第二カム4と、カムレール溝としての第一螺旋溝5、円環溝6及び第二螺旋溝7と、駆動カムとしての第一カム3及び第二カム4とが、並んで設けられている。カムシャフト2の断面内に、カムシャフト2の回転方向を矢印で示す。
2つの第二カム4は、断面形状が円形のベース円と、ベース円から突出した相対的に高リフトのノーズとからなり、主に高速回転域で使用されるものである。
第1ロッカアーム本体10は、図2等に示すように、側面視L字状をなし軸長方向に互いに離間した第一側壁部11及び第二側壁部12と、第一側壁部11と第二側壁部12の下部間を連結する下連結部13と、第一側壁部11と第二側壁部12との間に配されて下連結部13に支持された中間壁部14と、第一側壁部11から中間壁部14を経て第二側壁部12に架け渡されたローラ軸15とを含み構成されている。
第2ロッカアーム45は、一般的なローラロッカアームであって、長さ方向基端部がピボット46で支持され、長さ方向中間部にローラ47が回転可能に軸着され、長さ方向先端部にバルブVを押圧するバルブ押圧部48が形成されている。第2ロッカアーム45は第1ロッカアーム本体10の下方に2つ並んで設けられ、それぞれのローラ47が、揺動する第1ロッカアーム本体10の下連結部13の下面により押圧される。この押圧により第2ロッカアーム45は揺動し、バルブVを押圧する。
リンクアーム20は、図2等に示すように、回動装置40により回動する2つの係入アーム23,24を含む回動部材21と、回動装置40により回動しないローラガイド31を含む非回動部材27とに、分割形成され、両部材が組み付けられてなる。
回動部材21は、筒状基部22と、筒状基部22から、正面視で軸長方向に互いに離間し、側面視でV字をなするように、前方へ突出した第一係入アーム23及び下方へ突出した第二係入アーム24とを含み構成されている。
非回動部材27は、回動部材21の筒状基部22が嵌入する嵌入空間をおいて離れた第一筒状部28及び第二筒状部29と、第一筒状部28と第二筒状部29の後部間を連結する後連結部30と、第一筒状部28と第二筒状部29からそれぞれ下方へ突出した2つのローラガイド31とを含み構成されている。
非回動部材27の嵌入空間に回動部材21の筒状基部22が、ロッカシャフト長方向に相対変位しないように嵌入されて、リンクアーム20が出来上がり、このリンクアーム20が第1ロッカアーム本体10の第一側壁部11と第二側壁部12との間に入れられるとともに、ローラ嵌入空間にローラ16が嵌入された状態で、上述のとおり、第一側壁部11、第二側壁部12、第一筒状部28、第二筒状部29及び筒状基部22にロッカシャフト9が通されている。
回動装置40は、図4、図5等に示すように、被押圧部25の前部を下方へ押圧して回動部材21を軸周方向一方r1に回動させるための第一電磁ソレノイド41と、被押圧部25の後部を下方へ押圧して回動部材21を軸周方向他方r2に回動させるための第二電磁ソレノイド42とからなる。各電磁ソレノイド41,42は、ONによりロッドを繰出して回動部材21を押圧し、OFFによりロッドを退入させて前記押圧を解除する。
[1]ローラ16を第一カム3が当接する位置に変位させるとき
図4に示すように、第一電磁ソレノイド41をONにして、被押圧部25の前部を下方へ押圧し、回動部材21を軸周方向一方r1に回動させる。このとき、非回動部材27は回動しないので、回動部材21の慣性質量は小さく、ローラガイド31とローラ16との接触は回動抵抗とならない。
図5に示すように、第二電磁ソレノイド42をONにして、被押圧部25の後部を下方へ押圧し、回動部材21を軸周方向他方r2に回動させる。このとき、非回動部材27は回動しないので、回動部材21の慣性質量は小さく、ローラガイド31とローラ16との接触は回動抵抗とならない。
(1)第二ロッカアーム45を省略し、第1ロッカアーム本体10により直接バルブVを押圧するように構成すること。
2 カムシャフト
2 リンクアーム
3 第一カム
4 第二カム
5 第一螺旋溝
6 円環溝
7 第二螺旋溝
9 ロッカシャフト
10 第一ロッカアーム本体
15 ローラ軸
17 ローラ
20 リンクアーム
21 回動部材
23 第一係入アーム
24 第二係入アーム
25 被押圧部
27 非回動部材
31 ローラガイド
40 回動装置
41 第一電磁ソレノイド
42 第二電磁ソレノイド
45 第二ロッカアーム
d1 軸長方向一方
d2 軸長方向他方
r1 軸周方向一方
r2 軸周方向他方
Claims (3)
- カムシャフト(2)にカム(3)と第一螺旋溝(5)と第二螺旋溝(7)とがカムシャフト(2)と共に回転するように設けられ、
カムシャフト(2)と平行に延びるロッカシャフト(9)に、ロッカアーム本体(10)が揺動可能に支持され、
ロッカアーム本体(10)は、ロッカシャフト(9)と平行に延びるローラ軸(15)を含み、
ローラ軸(15)に、カム(3)が当接しうるローラ(16)がロッカシャフト長方向に変位可能に支持され、
第一螺旋溝(5)と第二螺旋溝(7)に択一的に係入する第一係入アーム(23)と第二係入アーム(24)と、ローラ(16)を抱持するローラガイド(31)とを含むリンクアーム(20)が、ロッカシャフト長方向に変位可能に設けられ、
第一係入アーム(23)と第二係入アーム(24)を回動装置(40)により回動中心(C)の回りに回動させて、第一係入アーム(23)を第一螺旋溝(5)に係入させるか又は第二係入アーム(24)を第二螺旋溝(7)に係入させるかを選択することにより、選択した螺旋溝(5,7)に沿ってリンクアーム(20)及びローラ(16)をロッカシャフト長方向に変位させて、該ローラ(16)に前記カム(3)が当接するか又は当接しないかを切り替える内燃機関の可変動弁機構において、
前記係入時の第一係入アーム(23)と第一螺旋溝(5)の溝底との第一接触点(A1)は、前記回動中心(C)から第一接触点(A1)付近へ延びる第一接線(L1)と第一螺旋溝(5)との第一接点(B1)から、前記回動中心(C)から見て第一接点(B1)よりも遠い、第一螺旋溝(5)の回転方向下流側へ60度の所までの範囲内に配置されており、
前記係入時の第二係入アーム(24)と第二螺旋溝(7)の溝底との第二接触点(A2)は、前記回動中心(C)から第二接触点(A2)付近へ延びる第二接線(L2)と第二螺旋溝(7)との第二接点(B2)から、前記回動中心(C)から見て第二接点(B2)よりも近い、第二螺旋溝(7)の回転方向下流側へ60度の所までの範囲内に配置されていること、及び、
第一接触点(A1)は、第一接点(B1)よりも第一螺旋溝(5)の回転方向下流側へ6度以上離れており、
第二接触点(A2)は、第二接点(B2)よりも第二螺旋溝(7)の回転方向下流側へ6度以上離れていること
を特徴とする内燃機関の可変動弁機構。 - リンクアーム(20)が、回動装置(40)により回動する、第一係入アーム(23)及び第二係入アーム(24)を含む回動部材(21)と、回動装置(40)により回動しない、ローラガイド(31)を含む非回動部材(27)とに、分割形成されている請求項1記載の内燃機関の可変動弁機構。
- 回動装置(40)は、電磁ソレノイド(41,42)を用いたものである請求項1又は2記載の内燃機関の可変動弁機構。
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WO2011064852A1 (ja) | 2009-11-25 | 2011-06-03 | トヨタ自動車株式会社 | 内燃機関の可変動弁装置 |
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