JP7151520B2 - 積層電子部品 - Google Patents

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本発明は、セラミックス層を有する積層電子部品に関し、たとえば積層セラミックコンデンサに関する。
積層セラミックコンデンサは、その信頼性の高さやコストの安さから多くの電子機器に搭載されている。具体的な電子機器としては、携帯電話等の情報端末、家電、自動車電装品が挙げられる。この中でも自動車電装品などの車載用として使用される積層セラミックコンデンサは、家電や情報端末などに使用されている積層セラミックコンデンサに比べて、曲げ強度が高く、耐熱衝撃性が高いことが求められている。
たとえば特許文献1には一般式A(B1)(B2)15で表される正方晶タングステンブロンズ構造を有する主成分、およびSiなどを含む副成分を有する誘電体磁器組成物が開示されている。なお上記の一般式のAは、Ba、Sr、Caおよび希土類元素から選択される少なくとも1つであり、B1およびB2は、ZrおよびNbを含む。
特開2018-104209号公報
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、曲げ強度および耐熱衝撃性が高い積層電子部品を提供することである。
上記の目的を達成するための本発明の積層電子部品は以下の通りである。
[1]内部セラミックス層と内部電極層とが交互に積層された内層部と、前記内層部の積層方向の端部に備えられた外層部と、を有する素子本体を具備する積層電子部品であって、
前記内部セラミックス層は、元素αおよび元素βとを含み、
前記元素αはBa、SrおよびCaからなる群から選ばれる少なくとも1つであり、
前記元素βはTaまたは、TaおよびNbからなり、
前記内部セラミックス層における元素αの含有率は、酸化物換算で33.3mol%~50.0mol%であり、
前記内部セラミックス層における元素βの含有率は、酸化物換算で25.0mol%~50.0mol%であり、
前記内部セラミックス層におけるTaの酸化物換算での含有率をE0とし、前記外層部を構成する外部セラミックス層におけるTaの酸化物換算での含有率をE1としたとき、
(E0-E1)は、(E0-E1)>0の関係を満たす積層電子部品。
上記[1]の具体的態様として、下記の態様が例示される。
[2]前記内部セラミックス層における元素β以外の各元素の酸化物換算での含有率と、前記外部セラミックス層における元素β以外の各元素の酸化物換算での含有率と、がそれぞれ略同量である上記[1]に記載の積層電子部品。
[3]前記(E0-E1)は、5mol%≦(E0-E1)≦15mol%の関係を満たす上記[1]または[2]に記載の積層電子部品。
図1は、本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの断面図である。
以下、本発明を具体的な実施形態に基づき、以下の順序で詳細に説明する。
1. 積層セラミックコンデンサ
2. 積層セラミックコンデンサの製造方法
3. 本実施形態のまとめ
1.積層セラミックコンデンサ
本発明の一実施形態として、積層セラミックコンデンサについて説明する。図1に、一般的な積層セラミックコンデンサ2の断面図を示す。
積層セラミックコンデンサ2は、素子本体4と、一対の外部電極6,8と、を有する。素子本体4は、内層部13および外層部11を有する。内層部13はX軸およびY軸を含む平面に実質的に平行な内部セラミックス層10と内部電極層12とを有し、内部セラミックス層10と内部電極層12がZ軸の方向に沿って交互に積層されている。
ここで、「実質的に平行」とは、ほとんどの部分が平行であるが、多少平行でない部分を有していてもよいことを意味し、内部セラミックス層10と内部電極層12は、多少、凹凸があったり傾いていたりしてもよいという趣旨である。
なお、図において、X軸とY軸とZ軸とは相互に垂直である。
外層部11は内層部13の積層方向(Z軸方向)の端部に備えられている。
内部電極層12は、各端部が素子本体4の対向する両端面の表面に交互に露出するように積層してある。一対の外部電極6,8は、素子本体4の両端面に形成され、交互に配置された内部電極層12の露出端に接続されて、コンデンサ回路を構成する。
素子本体4のサイズは特に限定されないが、X0は1.0mm~5.7mmであり、Y0は0.5mm~5.0mm、Z0は0.5mm~3.0mmである。ここで、X0はX軸方向に沿った寸法であり、Y0はY軸方向に沿った寸法であり、Z0はZ軸方向に沿った寸法である。
内部セラミックス層10の厚みtdは、特に限定されないが、30μm以下であることが好ましく、より好ましくは2μm~25μmである。
内部セラミックス層10の積層数は、特に限定されないが、好ましくは20以上であり、より好ましくは50以上である。
また、外層部11の厚みtoは、特に限定されないが、20μm~300μmであることが好ましい。
本実施形態では、内部セラミックス層10は、元素αおよび元素βを含み、元素αはBa、SrおよびCaからなる群から選ばれる少なくとも1つである。
また、元素βはTaまたは、TaおよびNbからなり、好ましくは、元素βはTaを4原子%以上100原子%以下含む。
内部セラミックス層10は、元素αおよび元素βの他に、Zr、Tiもしくは希土類元素を含んでもよく、またはZr、Tiおよび希土類元素の中の適宜の組み合わせを含んでもよい。希土類元素としては、たとえばLa、Eu、Sm、Dy、Ceなどが挙げられる。
内部セラミックス層10における元素αの含有率は、酸化物換算で33.3mol%~50.0mol%である。これにより曲げ強度および耐熱衝撃性を高めることができる。
なお、耐熱衝撃性とは、積層セラミックコンデンサ2に対して-55℃~150℃の間の熱衝撃試験を行った際に、積層セラミックコンデンサ2へのクラックの発生を抑制できることをいう。
内部セラミックス層10における元素βの含有率は、酸化物換算で25.0mol%~50.0mol%である。これにより曲げ強度および耐熱衝撃性を高めることができる。
本実施形態では、内部セラミックス層10におけるTaの酸化物換算での含有率をE0とし、少なくとも一方の外層部11を構成する外部セラミックス層におけるTaの酸化物換算での含有率をE1としたとき、(E0-E1)が(E0-E1)>0の関係を満たす。これにより、耐熱衝撃性が良好となる。図1に示す両方の外層部11で(E0-E1)が上記の関係を満たすことが好ましく、また、(E0-E1)が、5mol%≦(E0-E1)≦15mol%の関係を満たすことが好ましい。
本実施形態では、内部セラミックス層10における元素β以外の各元素の酸化物換算での含有率と、少なくとも一方の外層部11を構成する外部セラミックス層における元素β以外の各元素の酸化物換算での含有率がそれぞれ略同量である。これにより、耐熱衝撃性がより良好になる。上記の観点から、内部セラミックス層10における元素β以外の各元素の酸化物換算での含有率と、両方の外層部11を構成する外部セラミックス層における元素β以外の各元素の酸化物換算での含有率がそれぞれ略同量であることが好ましい。
ここで、「略同量」とは、内部セラミックス層10における元素β以外の各元素の酸化物換算での含有率と、少なくとも一方の外層部11を構成する外部セラミックス層における元素β以外の各元素の酸化物換算での含有率の差が±2mol%未満の場合をいう。すなわち、たとえば「酸化物種A」が「元素β以外の元素の酸化物」であり、「内部セラミックス層10の酸化物種Aの含有率[mol%]-外部セラミックス層の酸化物種Aの含有率[mol%]=±2mol%」を満たす場合には、「内部セラミックス層10における元素β以外の各元素の酸化物換算での含有率と、外部セラミックス層における元素β以外の各元素の酸化物換算での含有率が略同量である」と言える。
内部セラミックス層10と外部セラミックス層の組成を求める方法は特に限定されないが、たとえば積層セラミックコンデンサ2を積層方向(Z軸方向)に平行に切断した切断面について求めることができる。具体的には、切断面の内部セラミックス層10および外層セラミックス層について、各元素を走査型電子顕微鏡―エネルギー分散型X線分析(SEM-EDS)、走査型透過電子顕微鏡ーエネルギー分散型X線分析(STEM-EDS)またはレーザーアブレーションICP質量分析装置(LA-ICP-MS)により測定し、組成を求めることができる。
本実施形態に係る内部セラミックス層10および外部セラミックス層は、好ましくはタングステンブロンズ型の結晶構造を有する。これにより、曲げ強度および耐熱衝撃性を高めると共に、絶縁抵抗の向上との効果を得ることができる。内部セラミックス層10および外部セラミックス層がタングステンブロンズ型の結晶構造を有するか否かは、内部セラミックス層10および外部セラミックス層のX線回折(XRD)パターンにより確認できる。
内部電極層12に含有される導電材は特に限定されないが、Ni、Ni系合金、CuまたはCu系合金が好ましい。なお、Ni、Ni系合金、CuまたはCu系合金中には、P等の各種微量成分が0.1質量%程度以下含まれていてもよい。また、内部電極層12は、市販の電極用ペーストを使用して形成してもよい。内部電極層12の厚さは用途等に応じて適宜決定すればよい。
外部電極6,8に含有される導電材は特に限定されないが、本実施形態では安価なNi、Cu及び耐熱性の高いAu、Ag、Pdや、これらの合金を用いることができる。外部電極6,8の厚さは用途等に応じて適宜決定されればよいが、通常、10~50μm程度であることが好ましい。
2.積層セラミックコンデンサ2の製造方法
次に、図1示す積層セラミックコンデンサ2の製造方法の一例について説明する。
焼成後に内部セラミックス層10となる内部セラミックス層用ペーストを作製する。まず、仮焼き粉末を準備する。出発原料として、主としてSr、Ba、Ca、Ti、Zr、Nb、Ta、希土類元素などにより構成される酸化物やその混合物の原料粉を用いることができる。また、焼成により上述した酸化物や複合酸化物となる各種化合物、たとえば炭酸塩、シュウ酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物などから適宜選択し、混合して用いることもできる。具体的には、Srの原料としてSrOを用いてもよいし、SrCOを用いてもよい。原料粉の平均粒子径は、好ましくは1.0μm以下である。各成分を所定の組成比となるように秤量した後、ボールミルなどを用いて所定の時間、湿式混合を行う。
得られた混合粉を乾燥後、大気中において1000℃以下の熱処理を行い、仮焼き粉末を得る。
その後、得られた仮焼き粉末を解砕し、内部セラミックス層用原料を得る。内部セラミックス層用原料は、たとえば、平均粒子径が0.5μm~2.0μmの混合粉末である。
上記で得られた内部セラミックス層用原料を塗料化して、内部セラミックス層用ペーストを作製する。内部セラミックス層用ペーストは、内部セラミックス層用原料と有機ビヒクルとを混練した有機系の塗料であってもよく、水系の塗料であってもよい。
有機ビヒクルとは、バインダを有機溶剤中に溶解したものである。有機ビヒクルに用いるバインダは特に限定されず、エチルセルロース、ポリビニルブチラールなどの通常の各種バインダから適宜選択すればよい。用いる有機溶剤も特に限定されず、印刷法やシート法など、利用する方法に応じて、テルピネオール、ブチルカルビトール、アセトンなどの各種有機溶剤から適宜選択すればよい。
また、内部セラミックス層用ペーストを水系の塗料とする場合には、水溶性のバインダや分散剤などを水に溶解させた水系ビヒクルと、内部セラミックス層用原料とを混練すればよい。水系ビヒクルに用いる水溶性バインダは特に限定されず、たとえば、ポリビニルアルコール、セルロース、水溶性アクリル樹脂などを用いればよい。
焼成後に外部セラミックス層となる外部セラミックス層用ペーストを作製する。外部セラミックス層用ペーストは、焼成後に所定の外部セラミックス層の組成となるように出発原料を秤量する以外は内部セラミックス層用ペーストと同様にして得ることができる。
内部電極層用ペーストは、上記した各種導電性金属または合金からなる導電材と、上記した有機ビヒクルとを混練して調製する。導電材の代わりに、酸化物、有機金属化合物またはレジネートなども用いることができる。上記した酸化物、有機金属化合物およびレジネートは、焼成後に上記した導電材となる。
外部電極用ペーストは、上記した内部電極層用ペーストと同様にして調製すればよい。
上記した各ペースト中の有機ビヒクルの含有量に特に制限はなく、通常の含有量、例えば、バインダは1質量%~5質量%程度、溶剤は10質量%~50質量%程度とすれば良い。また、各ペースト中には、必要に応じて各種分散剤、可塑剤、誘電体材料、絶縁体材料などから選択される添加物が含有されていてもよい。これらの総含有量は、10質量%以下とすることが好ましい。
シート法を用いる場合、内部セラミックス層用ペーストを用いて、内部グリーンシートを形成し、この上に内部電極層用ペーストを印刷した後、これらを積層し、内部積層体を得る。次に、内部積層体に、外部セラミックス層用ペーストを用いて、外部グリーンシートを形成し、積層方向に加圧して、グリーン積層体を得る。グリーン積層体を所定形状に切断してグリーンチップとする。
焼成前に、グリーンチップに脱バインダ処理を施す。脱バインダ処理条件としては、昇温速度を好ましくは5℃/時間~300℃/時間、保持温度を好ましくは180℃~500℃、温度保持時間を好ましくは0.5時間~24時間とする。また、脱バインダ処理の雰囲気は、空気もしくは還元雰囲気とする。脱バインダ処理において、Nガスや混合ガスなどを加湿するには、たとえばウェッターなどを使用すればよい。この場合、水温は5℃~75℃程度が好ましい。
また、焼成時の保持温度は、好ましくは1100℃~1400℃とする。
昇温速度を好ましくは、200℃/時間~5000℃/時間とする。温度保持時間を好ましくは0.5時間~2.0時間、冷却速度を好ましくは100℃/時間~500℃/時間とする。
また、焼成する雰囲気としては、加湿したNとHとの混合ガスを用い、酸素分圧10-2~10-9Paで焼成することが好ましい。
焼成後、得られた素子本体4に対し、必要に応じてアニール処理を行う。アニール処理条件は、公知の条件とすればよい。たとえば、アニール処理時の酸素分圧を焼成時の酸素分圧よりも高い酸素分圧とし、保持温度を1000℃以下とすることが好ましい。
また、上記には脱バインダ処理、焼成およびアニール処理を独立して行う製造方法を記載しているが、連続して行なってもよい。
上記のようにして得られた素子本体4に、たとえばバレル研磨やサンドブラストなどにより端面研磨を施し、外部電極用ペーストを塗布して焼成し、外部電極6,8を形成する。そして、必要に応じ、外部電極6,8の表面に、めっきなどにより被覆層を形成する。
このようにして、積層セラミックコンデンサ2が作製される。
3.本実施形態のまとめ
本実施形態の積層セラミックコンデンサ2では、内部セラミックス層10における元素αの含有率は、酸化物換算で33.3mol%~50.0mol%であり、内部セラミックス層10における元素βの含有率は、酸化物換算で25.0mol%~50.0mol%であり、(E0-E1)は(E0-E1)>0の関係を満たす。
これにより、積層セラミックコンデンサ2の曲げ強度および耐熱衝撃性が良好となる。これは、外層部11のTaが少ないことで、外層部11のヤング率や線膨張係数が増大するとことによるものと考えられる。すなわち、外層部11のヤング率や線膨張係数が増大することによって、基板などから受ける外部応力が緩和され、素子本体4への負荷が低減する。その結果、曲げ強度が良好となると共に、クラックなどが抑制されることから耐熱衝撃性が良好となる。
本実施形態の積層セラミックコンデンサ2は、高い信頼性を達成できることから、携帯電話などの情報端末および家電はもちろんのこと、車載用としても用いることができる。
また、本実施形態では、積層セラミックコンデンサ2の内部セラミックス層10における元素β以外の各元素の酸化物換算での含有率と、外部セラミックス層における元素β以外の各元素の酸化物換算での含有率がそれぞれ略同量である。
これにより、内層部13と外層部11の接合強度が向上する。その結果、耐熱衝撃性がさらに良好となる。
また、本実施形態では、(E0-E1)は、5mol%≦(E0-E1)≦15mol%の関係を満たす。
これにより、曲げ強度および耐熱衝撃性がさらに良好となる。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々に改変することができる。
たとえば上記の実施形態では、外層部11が内層部13の積層方向(Z軸方向)の両端部に備えられているが、外層部11が内層部13の積層方向(Z軸方向)の一方の端部のみに備えられていてもよい。
本発明の積層電子部品は、積層セラミックコンデンサ2に限らず、その他の積層電子部品に適用することが可能である。その他の積層電子部品としては、たとえば、バンドパスフィルタ、インダクタ、積層三端子フィルタ、圧電素子、PTCサーミスタ、NTCサーミスタ、バリスタなどである。
以下、本発明の実施例を挙げ、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
・表1~表5の各試料
内部セラミックス層用ペーストの出発原料として、SrCO、BaCO、CaCO、TiO、ZrO、Nb、Ta、La、Eu、Sm、Dy、Ceの各粉末を用意した。これらを表1~表5の各試料番号の内部セラミックス層10の酸化物換算組成となるように秤量し、分散媒としてのエタノールを用いでボールミルにより24時間湿式混合した。得られた混合物を乾燥し、大気中で保持温度900℃、保持時間2時間の条件で熱処理を行い、仮焼き粉末を得た。
上記の方法で得られた仮焼き粉末を解砕し、内部セラミックス層用原料を得た。得られた内部セラミックス層用原料:100質量部と、ポリビニルブチラール樹脂:10質量部と、可塑剤としてのジブチルフタレート(DOP):5質量部と、溶媒としてのアルコール:100質量部とをボールミルで混合してペースト化し、内部セラミックス層用ペーストを作製した。
外部セラミックス層用ペーストは、焼成後に所定の外部セラミックス層の組成となるように出発原料を秤量した以外は内部セラミックス層用ペーストと同様にして作製した。
内部電極層12の原料として、Ni粒子100質量部と、有機ビヒクル(エチルセルロース樹脂8質量部をブチルカルビトール92質量部に溶解したもの)30質量部、及びブチルカルビトール8質量部とを、3本ロールにより混練、ペースト化し、内部電極層用ペーストを得た。
そして、作製した内部セラミックス層用ペーストを用いて、内部グリーンシートを形成し、この上に内部電極層用ペーストを印刷した後、これらを積層し、内部積層体を得た。次に、内部積層体に、外部セラミックス層用ペーストを用いて、適宜の枚数の外部グリーンシートを形成し、積層方向に加圧して、グリーン積層体を得た。グリーン積層体を所定形状に切断してグリーンチップとした。
次いで、得られたグリーンチップについて、脱バインダ処理、焼成、アニール処理を行うことで素子本体4を得た。なお、脱バインダ処理、焼成及びアニールの条件は、以下の通りである。また、それぞれの雰囲気ガスの加湿にはウェッターを用いた。
(脱バインダ処理)
昇温速度:100℃/時間
保持温度:400℃
温度保持時間:8.0時間
雰囲気ガス:加湿したNとHとの混合ガス
(焼成)
昇温速度:500℃/時間
保持温度:1200℃~1350℃
温度保持時間:2.0時間
冷却速度:100℃/時間
雰囲気ガス:加湿したNとHとの混合ガス
酸素分圧:10-5~10-9Pa
(アニール処理)
保持温度:800℃~1000℃
温度保持時間:2.0時間
昇温、降温速度:200℃/時間
雰囲気ガス:加湿したNガス
得られた素子本体4の端面を研磨した後、外部電極6,8を、Cu粉末、ガラスフリットおよびビヒクルを所定量配合して得たペーストを、素子本体4の端面に塗布して750℃で焼き付けて形成した。その後外部電極6、8の表面にNiめっき層とSnめっき層を順番に形成し、図1に示す積層セラミックコンデンサ2と同形状の積層セラミックコンデンサ試料を得た。得られた積層セラミックコンデンサ試料は、いずれもの積層方向(Z軸方向)の素子本体4の厚みZ0が1.2mmであり、内部セラミックス層10の厚みtdが10μm、外層部11の厚みtoが100μmであった。
得られた各積層セラミックコンデンサ試料について、内部セラミックス層10および外部セラミックス層の元素分析を行い、曲げ強度および耐熱衝撃性を下記に示す方法により評価した。結果を表1~5に示す。
・元素分析
積層セラミックコンデンサ試料を積層方向(Z軸方向)に平行に切断した。上記の切断面の内部セラミックス層10の3か所からサンプリングし、走査型電子顕微鏡―エネルギー分散型X線分析(SEM-EDS)で測定し、各元素の含有率の平均値を求めた。
また、上記の切断面の外層部11において、外層部11の表面から内層部13に向かって、積層方向(Z軸方向)に1/4toの箇所をP1とし、P1から内層部13に向かって、積層方向(Z軸方向)に1/4toの箇所をP2とし、P2から内層部13に向かって、積層方向(Z軸方向)に1/4toの箇所をP3としたとき、P1、P2およびP3からサンプリングし、走査型電子顕微鏡―エネルギー分散型X線分析(SEM-EDS)で測定し、その各元素の平均値を求めた。これらの値を基に、表1~表5の内部セラミックス層10および外部セラミックス層の組成に関する項目を記載した。
なお、表4および表5において、各試料は、内部セラミックス層10における元素αの含有率が、酸化物換算で33.3mol%~50.0mol%であり、内部セラミックス層10における元素βの含有率が、酸化物換算で25.0mol%~50.0mol%であった。
・X線回折
X線回折パターンにより、試料25以外の積層セラミックコンデンサ試料の内部セラミックス層10および外部セラミックス層がタングステンブロンズ型の結晶構造を有していることが確認できた。
・曲げ強度
20個の試料に対して、測定器(商品名:5543、Instron社製)を用いて試料のX軸方向の中央部での曲げ強度を測定した。測定時に試験片を支える2点間の治具距離は400μmとし、測定速度は0.5mm/minとし、得られた値の平均値を表1~表5に示す。
・耐熱衝撃性
20個の試料に対して、気槽-55℃で30分保持した後、気槽150℃で30分保持する繰り返しを1000サイクル、1500サイクル、2000サイクル実施した。2000サイクル後にクラックが発生しなかった場合はAとした。1500サイクル後までクラックが発生しなかったが、2000サイクル後に1個以上の試料にクラックが発生した場合はBとした。1000サイクル後までクラックが発生しなかったが、1500サイクル後に1個以上の試料にクラックが発生した場合はCとした。試料のクラックを、試料が実装された基板の状態で樹脂埋め、研磨し、顕微鏡にて確認した。
Figure 0007151520000001
Figure 0007151520000002
Figure 0007151520000003
Figure 0007151520000004
Figure 0007151520000005
表1~表5より、内部セラミックス層10における元素αの含有率が、酸化物換算で33.3mol%~50.0mol%であり、内部セラミックス層10における元素βの含有率が、酸化物換算で25.0mol%~50.0mol%であり、(E0-E1)が(E0-E1)>0の関係を満たす場合(試料番号21~25、31~66)は、内部セラミックス層10における元素αの含有率が、酸化物換算で66.7mol%である場合(試料番号1)または71.4mol%である場合(試料番号2)に比べて曲げ強度および耐熱衝撃性が高いことが確認できた。
表1~表5より、内部セラミックス層10における元素αの含有率が、酸化物換算で33.3mol%~50.0mol%であり、内部セラミックス層10における元素βの含有率が、酸化物換算で25.0mol%~50.0mol%であり、(E0-E1)が(E0-E1)>0の関係を満たす場合(試料番号21~25、31~66)は、内部セラミックス層10における元素βの含有率が、酸化物換算で14.3mol%である場合(試料番号3)に比べて曲げ強度および耐熱衝撃性が高いことが確認できた。
表2~表5より、内部セラミックス層10における元素αの含有率が、酸化物換算で33.3mol%~50.0mol%であり、内部セラミックス層10における元素βの含有率が、酸化物換算で25.0mol%~50.0mol%であり、(E0-E1)が(E0-E1)>0の関係を満たす場合(試料番号21~25、31~66)は、(E0-E1)が(E0-E1)>0の関係を満たさない場合(試料番号11~18)に比べて曲げ強度および耐熱衝撃性が高いことが確認できた。
表3~表5より、内部セラミックス層10における元素β以外の各元素の酸化物換算での含有率と、外部セラミックス層における元素β以外の各元素の酸化物換算での含有率と、がそれぞれ略同量である場合(試料番号35~62)は、内部セラミックス層10における元素β以外の各元素の酸化物換算での含有率と、外部セラミックス層における元素β以外の各元素の酸化物換算での含有率と、がそれぞれ略同量ではない場合(試料番号21~25、31~34、63~66)に比べて耐熱衝撃性が高いことが確認できた。
2… 積層セラミックコンデンサ
4… 素子本体
6,8… 外部電極
10… 内部セラミックス層
11… 外層部
12… 内部電極層
13… 内層部

Claims (3)

  1. 内部セラミックス層と内部電極層とが交互に積層された内層部と、前記内層部の積層方向の端部に備えられた外層部と、を有する素子本体を具備する積層電子部品であって、
    前記内部セラミックス層は、元素αおよび元素βとを含み、
    前記元素αはBa、SrおよびCaからなる群から選ばれる少なくとも1つであり、
    前記元素βはTaまたは、TaおよびNbからなり、
    前記内部セラミックス層における元素αの含有率は、酸化物換算で33.3~50.0mol%であり、
    前記内部セラミックス層における元素βの含有率は、酸化物換算で25.0~50.mol%であり、
    前記内部セラミックス層におけるTaの酸化物換算での含有率をE0とし、前記外層部を構成する外部セラミックス層におけるTaの酸化物換算での含有率をE1としたとき、
    (E0-E1)は、(E0-E1)>0の関係を満たす積層電子部品。
  2. 前記内部セラミックス層における元素β以外の各元素の酸化物換算での含有率と、前記外部セラミックス層における元素β以外の各元素の酸化物換算での含有率と、がそれぞれ略同量である請求項1に記載の積層電子部品。
  3. 前記(E0-E1)は、5mol%≦(E0-E1)≦15mol%の関係を満たす請求項1または2に記載の積層電子部品。
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