JP5471687B2 - 誘電体磁器組成物および電子部品 - Google Patents
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BaZrO3 を含む第1副成分と、
Mgの酸化物を含む第2副成分と、
Rの酸化物(ただし、Rは、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuから選択される少なくとも1種)を含む第3副成分と、
Mn、Cr、CoおよびFeから選択される少なくとも1種の元素の酸化物を含む第4副成分と、
Si、Li、Al、GeおよびBから選択される少なくとも1種の元素の酸化物を含む第5副成分と、を有する誘電体磁器組成物であって、
前記主成分100モルに対する、各副成分の酸化物または複合酸化物換算での比率が、
第1副成分:9〜13モル、
第2副成分:4.0〜6.0モル、
第3副成分:4.5〜5.5モル、
第4副成分:0.1〜0.5モル、
第5副成分:2.7〜3.9モル、
であり、
前記誘電体磁器組成物を構成する誘電体粒子が、主成分で実質的に構成される主成分相と、前記主成分相の周囲に、前記副成分のうち少なくとも1種が拡散した拡散相と、を有し、
前記誘電体粒子の粒径をDとした場合に、粒子表面からの深さが前記粒径Dの5%である深さT5における前記第5副成分の含有割合が、Si、Li、Al、GeまたはB換算で、0.1原子%より多く、1.3原子%未満であり、
前記主成分相における前記第4副成分の含有割合が、前記拡散相における第4副成分の含有割合に比べ高いことを特徴とする誘電体磁器組成物が提供される。
ここで、「主成分で実質的に構成される主成分相」とは、主成分相には、主成分以外にも第1〜第5副成分、特に第4副成分を含んでいてもよいという意味である。
本発明に係る電子部品としては、特に限定されないが、積層セラミックコンデンサ、圧電素子、チップインダクタ、チップバリスタ、チップサーミスタ、チップ抵抗、その他の表面実装(SMD)チップ型電子部品が例示される。
前記主成分相と拡散相の境界から誘電体粒子の中心に向かって前記直径dの5%である深さをt5とし、
前記主成分相と拡散相の境界から誘電体粒子の中心に向かって前記直径dの20%である深さをt20とした場合に、
前記深さt20における前記第4副成分の含有割合が、前記深さt5における第4副成分の含有割合に比べ高い。
前記主成分と、前記誘電体磁器組成物に含有されることとなる第4副成分の原料のうち少なくとも一部と、を保持温度を800〜1050℃として仮焼きする工程を有する誘電体磁器組成物の製造方法、または、
前記主成分の原料と、前記誘電体磁器組成物に含有されることとなる第4副成分の原料のうち少なくとも一部と、前記誘電体磁器組成物に含有されることとなる第6副成分の原料のうち少なくとも一部と、を保持温度を800〜1050℃として仮焼きする工程を有する誘電体磁器組成物の製造方法が提供される。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサ1は、誘電体層2と内部電極層3とが交互に積層された構成のコンデンサ素子本体10を有する。このコンデンサ素子本体10の両端部には、素子本体10の内部で交互に配置された内部電極層3と各々導通する一対の外部電極4が形成してある。コンデンサ素子本体10の形状に特に制限はないが、通常、直方体状とされる。また、その寸法にも特に制限はなく、用途に応じて適当な寸法とすればよい。
誘電体層2は、本実施形態の誘電体磁器組成物を含有する。
本実施形態の誘電体磁器組成物は、チタン酸バリウムを含む主成分と、
BaZrO3 を含む第1副成分と、
Mgの酸化物を含む第2副成分と、
Rの酸化物(ただし、Rは、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuから選択される少なくとも1種)を含む第3副成分と、
Mn、Cr、CoおよびFeから選択される少なくとも1種の元素の酸化物を含む第4副成分と、
Si、Li、Al、GeおよびBから選択される少なくとも1種の元素の酸化物を含む第5副成分と、を有する。
なお、好ましくは、さらに、V、MoおよびWから選択される少なくとも1種の元素の酸化物を含む第6副成分を有する。
O3 換算で、2.7〜3.9モルである。第5副成分の含有量がこの範囲内であることにより、絶縁抵抗、加速寿命および比誘電率が向上する傾向となる。なお、第5副成分としては、上記各酸化物のなかでも特性の改善効果が大きいという点より、Siの酸化物を用いることが好ましい。
図2に示すように、誘電体層2は、誘電体粒子(結晶粒)2aと、隣接する複数の誘電体粒子2a間に形成された結晶粒界(粒界相)2bとを含んで構成される。この誘電体粒子2aは、主に、主成分であるチタン酸バリウムで構成されている粒子であり、本実施形態の誘電体粒子2aは、図3に示すように、主成分であるチタン酸バリウムで実質的に構成される主成分相と、前記主成分相の周囲に、前記副成分のうち少なくとも1種が拡散した拡散相とを有する。なお、図3は、図2における誘電体粒子2aの粒子内構造を説明するための概念図である。
内部電極層3に含有される導電材は特に限定されないが、誘電体層2の構成材料が耐還元性を有するため、比較的安価な卑金属を用いることができる。導電材として用いる卑金属としては、NiまたはNi合金が好ましい。Ni合金としては、Mn,Cr,CoおよびAlから選択される1種以上の元素とNiとの合金が好ましく、合金中のNi含有量は95重量%以上であることが好ましい。なお、NiまたはNi合金中には、P等の各種微量成分が0.1重量%程度以下含まれていてもよい。また、内部電極層3は、市販の電極用ペーストを使用して形成してもよい。内部電極層3の厚さは用途等に応じて適宜決定すればよい。
外部電極4に含有される導電材は特に限定されないが、本発明では安価なNi,Cuや、これらの合金を用いることができる。外部電極4の厚さは用途等に応じて適宜決定すればよい。
本実施形態の積層セラミックコンデンサ1は、従来の積層セラミックコンデンサと同様に、ペーストを用いた通常の印刷法やシート法によりグリーンチップを作製し、これを焼成した後、外部電極を印刷または転写して焼成することにより製造される。以下、製造方法について具体的に説明する。
これを塗料化して、誘電体層用ペーストを調製する。
誘電体層用ペーストは、誘電体原料と有機ビヒクルとを混練した有機系の塗料であってもよく、水系の塗料であってもよい。
このようにして製造された本実施形態の積層セラミックコンデンサは、ハンダ付等によりプリント基板上などに実装され、各種電子機器等に使用される。
まず、主成分の原料として、BaTiO3 粉末(主成分原料粉末)を、副成分の原料として、BaZrO3 (第1副成分)、MgCO3 (第2副成分)、Gd2 O3 (第3副成分)、MnOまたはCr2 O3 (第4副成分)、およびSiO2 (第5副成分)、V2 O5 (第6副成分)を、それぞれ準備し、主成分であるBaTiO3 100モルに対する含有量が表1に示す量となるように秤量した。
脱バインダ処理条件は、昇温速度:25℃/時間、保持温度:260℃、温度保持時間:8時間、雰囲気:空気中とした。
焼成条件は、昇温速度:200℃/時間、保持温度:1220〜1320℃、温度保持時間:2時間、冷却速度:200℃/時間、雰囲気ガス:N2 +H2 +H2 O混合ガス(酸素分圧:10−12MPa)とした。
アニール条件は、昇温速度:200℃/時間、保持温度:1050℃、温度保持時間:
2時間、冷却速度:200℃/時間、雰囲気ガス:N2 +H2 O混合ガス(酸素分圧:10−7MPa)とした。
誘電体粒子の主成分相および拡散相の有無は、まず、誘電体層2にFIB加工を施すことにより測定用サンプルを調製し、次いで、測定用サンプルを透過型電子顕微鏡(TEM)により観察することにより確認した。その結果、全ての試料において、誘電体粒子が、主成分相の周囲に拡散相が形成された構成となっていることが確認できた。
誘電体層2にFIB加工を施し、測定用サンプルを調製した。次いで、測定用サンプルを用いて、TEMによるエネルギー分散型X線分光法により電子線として1nmのプローブを用いながら、誘電体粒子の表面からの深さT5、すなわち、粒径Dに対して、誘電体粒子の表面から5%の深さとなる位置におけるSi元素の含有割合(CT5)を測定した。また、誘電体粒子の粒径Dは、TEMにより得られた断面写真において、コード法により算出した。結果を表3または4に示す。
誘電体層2にFIB加工を施し、測定用サンプルを調製した。次いで、測定用サンプルを用いて、TEMによるエネルギー分散型X線分光法により電子線として1nmのプローブを用いながら、誘電体粒子の拡散相におけるMnまたはCr元素の含有割合(CTd)、誘電体粒子の主成分相と拡散相の境界から誘電体粒子の中心に向かって直径dの5%または20%の深さとなる位置におけるMnまたはCr元素の含有割合(Ct5またはCt20)をそれぞれ測定した。また、主成分相の直径dは、TEMにより得られた断面写真において、コード法により算出した。結果を表3または4に示す。
IR測定器にて測定電圧350Vdcを10秒間印加した後、50秒間放置したものを測定した。測定はチップ30個で行い、平均値を求めた。絶縁抵抗は2.0E+12Ω以上を良好とした。結果を表3または4に示す。
コンデンサ試料に対し、200℃にて、40V/μmの電界下で直流電圧の印加状態に保持し、寿命時間を測定することにより、HALTにより、高温加速寿命を評価した。本実施例においては、印加開始から絶縁抵抗が一桁落ちるまでの時間を寿命と定義した。また、この高温加速寿命は、10個のコンデンサ試料について行った。評価基準は、30時間以上を良好とした。結果を表3または4に示す。
表1に示すように、主成分原料とMnOまたはCr2 O3 とを800〜1050℃で仮焼した試料番号3〜6、22〜27においては、いずれも、誘電体粒子が、主成分相の周囲に拡散相を有する構成となっており、しかも誘電体粒子の粒径Dの5%である深さT5におけるSi(第5副成分)量が、0.1原子%より多く、1.3原子%未満であり、Ct5/Ctd>1、Ct20/Ct5>1であった。
試料10〜19より、第1副成分は9〜13mol%、第2副成分は4〜6mol%、第3副成分は4.5〜5.5mol%、第4副成分は0.1〜0.5mol%、第5副成分は2.7〜3.9mol%の範囲から外れる場合は試料番号3〜6に比べ絶縁抵抗および加速寿命に劣ることが確認できた。
試料22〜25、27、28より、第6副成分の含有量が0.01〜0.1mol%の範囲に含まれる場合は(試料22〜25)、第6副成分の含有量が当該範囲から外れる場合(試料27、28)に比べ、絶縁抵抗または平均寿命がより優れることが確認できた。
10… コンデンサ素子本体
2… 誘電体層
2a… 誘電体粒子
2b… 結晶粒界
3… 内部電極層
4… 外部電極
Claims (7)
- チタン酸バリウムを含む主成分と、
BaZrO3 を含む第1副成分と、
Mgの酸化物を含む第2副成分と、
Rの酸化物(ただし、Rは、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuから選択される少なくとも1種)を含む第3副成分と、
Mn、Cr、CoおよびFeから選択される少なくとも1種の元素の酸化物を含む第4副成分と、
Si、Li、Al、GeおよびBから選択される少なくとも1種の元素の酸化物を含む第5副成分と、を有する誘電体磁器組成物であって、
前記主成分100モルに対する、各副成分の酸化物または複合酸化物換算での比率が、
第1副成分:9〜13モル、
第2副成分:4.0〜6.0モル、
第3副成分:4.5〜5.5モル、
第4副成分:0.1〜0.5モル、
第5副成分:2.7〜3.9モル、
であり、
前記誘電体磁器組成物を構成する誘電体粒子が、主成分で実質的に構成される主成分相と、前記主成分相の周囲に、前記副成分のうち少なくとも1種が拡散した拡散相と、を有し、
前記誘電体粒子の粒径をDとした場合に、粒子表面からの深さが前記粒径Dの5%である深さT5における前記第5副成分の含有割合が、Si、Li、Al、GeまたはB換算で、0.1原子%より多く、1.3原子%未満であり、
前記主成分相における前記第4副成分の含有割合が、前記拡散相における第4副成分の含有割合に比べ高いことを特徴とする誘電体磁器組成物。 - 前記誘電体粒子の主成分相の直径をdとし、
前記主成分相と拡散相の境界から誘電体粒子の中心に向かって前記直径dの5%である深さをt5とし、
前記主成分相と拡散相の境界から誘電体粒子の中心に向かって前記直径dの20%である深さをt20とした場合に、
前記深さt20における前記第4副成分の含有割合が、前記深さt5における第4副成分の含有割合に比べ高いことを特徴とする請求項1に記載の誘電体磁器組成物。 - さらに、V、MoおよびWから選択される少なくとも1種の元素の酸化物を含む第6副成分を含み、前記主成分100モルに対する、第6副成分の酸化物または複合酸化物換算での比率が、0.01〜0.1モルである請求項1または2に記載の誘電体磁器組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の誘電体磁器組成物からなる誘電体層と、内部電極層と、を有する電子部品。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の誘電体磁器組成物を製造する方法であって、
前記主成分の原料と、前記誘電体磁器組成物に含有されることとなる第4副成分の原料のうち少なくとも一部と、を保持温度を800〜1050℃として仮焼きする工程を有する誘電体磁器組成物の製造方法。 - 請求項3に記載の誘電体磁器組成物を製造する方法であって、
前記主成分の原料と、前記誘電体磁器組成物に含有されることとなる第4副成分の原料のうち少なくとも一部と、前記誘電体磁器組成物に含有されることとなる第6副成分の原料のうち少なくとも一部と、を保持温度を800〜1050℃として仮焼きする工程を有する誘電体磁器組成物の製造方法。 - 請求項5または6に記載の誘電体磁器組成物の製造方法により得られた誘電体層と、内部電極層と、を積層する工程を有する電子部品の製造方法。
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