JP7150587B2 - 繊維処理剤組成物 - Google Patents
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Description
繊維製品に紫外線防御効果を付与する手段として、紫外線吸収剤を配合した繊維処理剤を用いた処理が知られている(特許文献1~2)。
〔1〕下記成分:
(A)水溶性カチオンポリマー、及び
(B)繊維処理剤組成物の総質量に対して0.05~10質量%のジベンゾイルメタン系化合物、
を含有する、繊維処理剤組成物。
〔2〕更に(C)シリコーン化合物を含む、前記〔1〕に記載の繊維処理剤組成物。
〔3〕(C)成分を、繊維処理剤組成物の総質量に対して5~15質量%含む、前記〔2〕に記載の繊維処理剤組成物。
〔4〕(B)成分と(C)成分との合計の(A)成分に対する質量比((B+C)/A)が2.2以上である、前記〔2〕又は〔3〕に記載の繊維処理剤組成物。
〔5〕(A)成分が、ジメチルジアリルアンモニウム塩のポリマーである、前記〔1〕~〔4〕のいずれか1項に記載の繊維処理剤組成物。
〔6〕(B)成分が、下記の一般式(B):
(式中、
R1は、同一又は異なっていてもよい炭素数1~8の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルコキシ基であり、
mは1~2の整数であり、
R2は、同一又は異なっていてもよい炭素数1~8の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルコキシ基であり、
nは1~2の整数である。)
で表される化合物である、前記〔1〕~〔5〕のいずれか1項に記載の繊維処理剤組成物。
〔7〕(A)成分の(B)成分に対する質量比(A/B)が0.1~300である、前記〔1〕~〔6〕のいずれか1項に記載の繊維処理剤組成物。
〔8〕更に(D)溶剤を含む、前記〔1〕~〔7〕のいずれか1項に記載の繊維処理剤組成物。
〔9〕(B)成分と(C)成分との合計の(D)成分に対する質量比((B+C)/D)が0.1~60である、前記〔8〕に記載の繊維処理剤組成物。
したがって、本発明の繊維処理剤組成物は従来の繊維処理剤にはない付加価値を有する製品として有用である。
(A)成分は主に、繊維処理剤組成物へ風合い付与効果(特に、肌着等の繊維製品へ柔らかさを付与する効果)を与えるために配合される。更に(A)成分は(B)成分の繊維製品への吸着性を高める効果も有する。
(A)成分は、後記するカチオン化度が、好ましくは0.1%以上(例えば0.1~35%)であり、より好ましくは2.5%以上(例えば2.5~15%)である。カチオン化度が前記の範囲であると、共存する(B)成分の繊維製品への吸着性をより高めることができ、かつ多量配合によるコスト増加を防止できる。
カチオン化度(%)=X×Y×100 …式(1)
[X:水溶性高分子化合物のカチオン性基中のカチオン化された原子(窒素等)の原子量
Y:水溶性高分子化合物1g中に含まれるカチオン性基のモル数]
カチオン化度(%)=X×(Y-Z)×100 …式(2)
[X:水溶性高分子化合物のカチオン性基中のカチオン化された原子(窒素等)の原子量
Y:水溶性高分子化合物1g中に含まれるカチオン性基のモル数
Z:水溶性高分子化合物1g中に含まれるアニオン性基のモル数
(Zのアニオン性基としては、ポリマー鎖中のモノマー単位に含まれるカルボキシル基や、スルホン酸基など(例えば、アクリル酸中のカルボン酸基)が挙げられる。但し、カチオン性基の対イオンは含まない。)]
Y:4.95×10-3(カチオン性基の1g中の重量:0.8gとカチオン性基の分子量より算出)
Z:2.78×10-3(アニオン性基の1g中の重量:0.2gとアニオン性基の分子量より算出)
式(2)より、カチオン化度(%)=
14×(4.95×10-3-2.78×10-3)×100=3.0である。
前記の重量平均分子量範囲であると、(B)成分の繊維への吸着を高め、かつ繊維処理剤組成物の粘度上昇が抑制され優れた使用性が得られる。
(A)成分の例としては、
MERQUAT100(Lubrizol社製)、アデカカチオエースPD-50((株)アデカ)、ダイドールEC(大同化成工業(株)製)等の塩化ジメチルジアリルアンモニウムの重合体、
MERQUAT550 JL5(Lubrizol社製)等の塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、
MERQUAT280(Lubrizol社製)等の塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体、
レオガードKGP(ライオン(株)製)等のカチオン化セルロース、LUVIQUAT-FC905(BASF社製)等の塩化イミダゾリニウム・ビニルピロリドン共重体、
LUGALVAN-G15000(BASF社製)等のポリエチレンイミン、
ポバールCM318((株)クラレ製)等のカチオン化ポリビニルアルコール、
キトサン等のアミノ基を有する天然系の高分子誘導体、
ジエチルアミノメタクリレート・エチレンオキシド等が付加された親水基を有するビニルモノマーとの共重合体等が挙げられる。
特に好ましい(A)成分は、下記一般式(IV)で表されるジメチルジアリルアンモニウム塩を重合して得られる水溶性カチオン性ポリマーである。このポリマーの構造は、通常、下記一般式(V)又は下記一般式(VI)で表わされる。
なお、1つのポリマー鎖に、一般式(V)の構造単位と一般式(VI)の構造単位とが共に含まれていてもよい。
(B)成分は紫外線吸収剤として配合される。
ジベンゾイルメタン系化合物としては紫外線吸収剤として使用可能なものを特に制限なく使用できるが、具体例として、下記の一般式(B)で表される化合物が挙げられる。
R1は、同一又は異なっていてもよい炭素数1~8(好ましくは炭素数1~4)の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルコキシ基であり、
mは1~2の整数であり、
R2は、同一又は異なっていてもよい炭素数1~8(好ましくは炭素数1~4)の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルコキシ基であり、
nは1~2の整数である。)
2-メチル ジベンゾイルメタン、
4-メチル ジベンゾイルメタン、
4-イソプロピル ジベンゾイルメタン、
4-tert-ブチル ジベンゾイルメタン、
2,4-ジメチル ジベンゾイルメタン、
2,5-ジメチル ジベンゾイルメタン、
4,4’-ジイソプロピル ジベンゾイルメタン、
4-メトキシ-4’-tert-ブチル ジベンゾイルメタン、
2-メチル-5-イソプロピル-4’-メトキシ ジベンゾイルメタン、
2-メチル-5-tert-ブチル-4’-メトキシ ジベンゾイルメタン、
2,4-ジメチル-4’-メトキシ ジベンゾイルメタン、
2,6-ジメチル-4-tert-ブチル-4’-メトキシ ジベンゾイルメタン等が挙げられる。
例えば、4-メトキシ-4’-tert-ブチルジベンゾイルメタンは、「パルソール1789」の名称でDSMニュートリションジャパン株式会社から市販されているものを使用できる。
繊維処理剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて前記(A)及び(B)の必須成分以外の下記の任意成分を配合してもよい。
(C)成分は、繊維処理剤組成物の風合い付与効果を更に向上させるために配合する。
(C)成分としては、繊維処理に一般的に用いられているシリコーンを特に制限なく使用できる。シリコーン化合物の分子構造は、直鎖状であってもよいし、分岐状であってもよいし、また、架橋していてもよい。また、シリコーン化合物は変性シリコーン化合物であってもよく、前記変性シリコーン化合物は、1種の有機官能基により変性されたものであってもよいし、2種以上の有機官能基により変性されたものであってもよい。
シリコーン化合物は、オイルの状態で使用することができ、また任意の乳化剤によって分散された乳化物の状態でも使用することができる。
シリコーンの具体例としては、ジメチルシリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、メチルフェニルシリコーン、アルキル変性シリコーン、高級脂肪酸変性シリコーン、メチルハイドロジェンシリコーン、フッ素変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、カルビノール変性シリコーンや、アミノ変性シリコーンなどが挙げられる。
これらのなかでは、配合効果が高く、更にキシミ感が少なく滑り性が良好な繊維に仕上げることができるポリエーテル変性シリコーンが特に好ましい。
-Zは、それぞれ独立に、-R、-O-R、-OH、-O-X-R、又は-O-X-Hであり、Rは、同一でも異なっていてもよい、飽和あるいは不飽和の直鎖又は分岐の炭素数1~4の炭化水素基である。
-Zとしては、-R又は-OHが好ましく、
-Rとしては、メチル基、エチル基、プロピル基やブチル基などの飽和炭化水素基(アルキル基)が好ましく、なかでもメチル基が好ましい。
Xはポリオキシアルキレン基である。具体例としては、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン基等が挙げられ、これらのうちの1種が付加したものであってもよく、あるいはオキシエチレン単位、オキシプロピレン単位、またはオキシブチレン単位などの異なった種類のオキシアルキレン基がブロック状あるいはランダムに配列したものであってもよい。なお、いずれの場合であっても、X中のポリオキシエチレン鎖部分の質量割合は、分子全体の質量を基準として10~50質量%が好ましく、さらに好ましくは15~45質量%であり、さらに好ましくは20~35質量%である。
-Yは、-R1-O-X-R2又は-O-X-R2、好ましくは-O-X-R2であり、
R1は、炭素数1~4の飽和あるいは不飽和の直鎖又は分岐の炭化水素基であり、
R2は、水素原子、又は炭素数1~4の飽和あるいは不飽和の直鎖又は分岐の炭化水素基であり、
Xは、前記で定義したとおりである。
ここで、R1としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基や、ブチレン基などの飽和炭化水素基(アルキレン基)が好ましく、なかでもプロピレン基が特に好ましい。
R2としては、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの飽和炭化水素基(アルキル基)が好ましく、水素原子又はメチル基が特に好ましい。
一般式中、L、M及びNはそれぞれ各繰返し単位の数の平均値を表す。
Lは、0~50、好ましくは0~10、さらに好ましくは0~3であり、
Mは、1~1000、好ましくは1~300、さらに好ましくは1~50であり、
Nは、10~10000、好ましくは20~3000、更に好ましくは20~500である。
Nは1~1000、好ましくは5~300であり、
更にM>Nであることが好ましい。
aは2~100、好ましくは5~50、より好ましくは5~20であり、
bは0~50、好ましくは0~10である。
Rは、好ましくは水素又は炭素数1~4のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1~4のアルキル基である。
東レ・ダウコーニング(株)製のSH3772M、SH3775M、SH3748、SH3749、SF8410、SH8700、BY22-008、SF8421、SILWET L-7001、SILWET L-7002、SILWET L-7602、SILWET L-7604、SILWET FZ-2104、SILWET FZ-2120、SILWET FZ-2161、SILWET FZ-2162、SILWET FZ-2164、SILWET FZ-2171、ABN SILWET FZ-F1-009-01、ABN SILWET FZ-F1-009-02、ABN SILWET FZ-F1-009-03、ABN SILWET FZ-F1-009-05、ABN SILWET FZ-F1-009-09、ABN SILWET FZ-F1-009-11、ABN SILWET FZ-F1-009-13、ABN SILWET FZ-F1-009-54、ABN SILWET FZ-2222や、
信越化学工業(株)製のKF352A、KF6008、KF615A、KF6016、KF6017や、
GE東芝シリコーン(株)製のTSF4450、TSF4452等が挙げられる
(D)成分は、繊維処理剤組成物における(B)成分の安定性を向上するために配合する。
(D)成分としては、炭素数2~6の一価アルコールもしくは多価アルコール、または一般式:R1-O-(C2H4O)y-(C3H6O)z-R2(式中、R1及びR2は、独立してC2~8、好ましくはC2~6のアルキル基又はアルケニル基であり、y及びzは平均付加モル数であり、y2~70、好ましくは2~60であり、zは0~50、好ましくは0~20である)で表されるグリコールエーテル化合物が好ましい。
一価アルコール及び多価アルコールとしては、炭素数2~4のものがより好ましい。
グリコールエーテル化合物としては、R1が炭素数2~6のアルキル基であるものがより好ましい。
(D)成分の具体例としては、エタノール、イソプロパノール、グリセリン、ジエチレングリコール、エチレングリコール、ブチルカルビトール、プロピレングリコール、ペンタンジオール類、ヘキサンジオール類、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルや、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられる。
これらのなかでは、エタノール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル及びジエチレングリコールモノエチルエーテルがより好ましい。
(E)成分としては、例えば、炭素数8~20のアルキル基又はアルケニル基を1つ以上有するポリ(オキシアルキレン)アルキルエーテルが好ましく、オキシアルキレン基が平均2~70モル付加されたものが更に好ましい。
具体的には、下記一般式(VII)で表されるノニオン性界面活性剤が好ましい。
R1-T-[(R2O)p-H]q (VII)
(式中、
R1は、炭素数10~18、好ましくは12~18のアルキル基又はアルケニル基であり、
R2は、炭素数2又は3のアルキレン基(好ましくはエチレン基)であり、
pは、平均付加モル数であり、2~50、好ましくは5~30、特に好ましくは5~20であり、
Tは、-O-、-N-、-NH-、-N(C2H4OH)-、-CON-、-CONH-又はCON(C2H4OH)-であり、
Tが-O-、-NH-、-N(C2H4OH)-、-CONH-、又は-CON(C2H4OH)-の場合、qは1であり、
Tが-N-又は-CON-の場合、qは2である。)
R1-O-(C2H4O)r-H (VIII)
(式中、R1は前記と同じ意味であり、アルキル基又はアルケニル基は直鎖でも分岐鎖でもよいが、直鎖が好ましく、rは平均付加モル数であり、2~50、好ましくは5~30、より好ましくは10~15である。)
R1-O-(C2H4O)s(C3H6O)t-H (IX)
(式中、R1は前記と同じ意味であり、アルキル基又はアルケニル基は直鎖でも分岐鎖でもよいが、直鎖が好ましく、s及びtは平均付加モル数であり、sは2~40、好ましくは5~30の数であり、tは1~20、好ましくは1~10である。なお、(C2H4O)と(C3H6O)はランダム又はブロック付加体であってもよい。)
(F)成分は、主に長期保存中の防腐性を保つために配合する。
(F)成分の具体例としては、イソチアゾロン系の有機硫黄化合物、ベンズイソチアゾリン系の有機硫黄化合物、安息香酸類、2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオールなどが挙げられる。
イソチアゾロン系の有機硫黄化合物の例としては、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-n-ブチル-3-イソチアゾロン、2-ベンジル-3-イソチアゾロン、2-フェニル-3-イソチアゾロン、2-メチル-4,5-ジクロロイソチアゾロン、5-クロロ-2-メチル-3-イソチアゾロン、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、およびそれらの混合物があげられる。好ましくは、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンと2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンとの水溶性混合物であり、さらに好ましくは約77%の5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンと約23%の2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンとの水溶性混合物(例えば、イソチアゾロン液)である。
ベンズイソチアゾリン系の有機硫黄化合物の例としては、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン、2-メチル-4,5-トリメチレン-4-イソチアゾリン-3-オンなどがあげられ、類縁化合物としてジチオ-2,2-ビス(ベンズメチルアミド)なども使用できる。これらの化合物は任意の混合比で使用できる。このうち1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンが特に好ましい。
安息香酸類の例としては、安息香酸又はその塩、パラヒドロキシ安息香酸又はその塩、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸ベンジル等を挙げることができる。
(G)成分は、繊維製品に香気を付与するために配合する。
香料としては、繊維処理剤組成物へ配合できることが知られているものを特に制限なく用いることができる。例えば、使用できる香料原料のリストは、様々な文献、例えば「Perfume and Flavor Chemicals 」,Vol.Iand II,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)および「合成香料 化学と商品知識」、印藤元一著、化学工業日報社(1996)および「Perfume and Flavor Materials of Natural Origin 」,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)および「香りの百科」、日本香料協会編、朝倉書店(1989)および「Perfumery Material Performance V.3.3」,Boelens Aroma Chemical Information Service(1996)および「Flower oils and Floral Compounds In Perfumery」,Danute Lajaujis Anonis,Allured Pub.Co.(1993)等に記載されている。
(G-1):アンブロキサン、ボアザンブレンフォルテ、アンバーコア、カラナール及びアンブリノールからなる群から選択される少なくとも1種の香料成分
(G-2):パチョリオイル、ジャバノール、ポリサントール及びイソボルニルシクロヘキサノールからなる群から選択される少なくとも1種の香料成分
(G-3):イソイースーパー及びベルトフィックスからなる群から選択される少なくとも1種の香料成分
(G-4):クマリン、9-デセノール及びダマスコン類(例えば、α-ダマスコン、β-ダマスコン及びδ-ダマスコン)からなる群から選択される少なくとも1種の香料成分
(G-1)~(G-4)は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、上記の成分がそのまま使用されていても良いし、最終的に上記成分が放出される形態(例えば、香料前駆体やカプセル香料等)のものでも良い。
炭化水素系の香料成分として、例えばリモネン、α-ピネン、β-ピネン、ターピノレンなどが挙げられる。
アルコール系の香料成分として、例えばリナロール、ゲラニオール、シトロネロール、ジヒドロミルセノール、ターピネオール、l-メントール、ボルネオール、フェニルエチルアルコール、チモール、オイゲノールなどが挙げられる。
エーテル系の香料成分として、例えば1,8-シネオール、ローズオキサイド、アネトール、エストラゴールなどが挙げられる。
アルデヒド系の香料成分として、例えばウンデシルアルデヒド、ドデシルアルデヒド、シトラール、シトロネラール、ヒドロキシシトロネラール、リラール、デュピカール、ベンズアルデヒド、シンナミックアルデヒド、ヘキシルシンナミックアルデヒド、アニスアルデヒド、クミンアルデヒド、シクラメンアルデヒド、リリアール、ヘリオトロピン、ヘリオナール、バニリンなどが挙げられる。
ケトン系の香料成分として、例えばα-イオノン、β-イオノン、α-イソメチルイオノン、ダイナスコン、マルトール、ジヒドロジャスモン、シスジャスモン、ラズベリーケトンなどが挙げられる。
エステル系の香料成分として、例えば酢酸シス-3-ヘキセニル、酢酸リナリル、酢酸p-t-ブチルシクロヘキシル、酢酸トリシクロデセニル、酢酸ベンジル、酢酸フェニルエチル、2-メチル酢酸エチル、ジヒドロジャスモン酸メチル、メチルフェニルグリシド酸エチル、フルテートなどが挙げられる。
ラクトン系の香料成分として、例えばγ-ノナラクトン、γ-デカラクトン、γ-ウンデカラクトンなどが挙げられる。
ムスク系の香料成分としては、例えばガラクソリド(Galaxolide)、シクロペンタデカノリド、エチレンブラシレート、6-アセチルヘキサテトラリン、ヘキサメチルヘキサヒドロシクロペンタベンゾピランなどが挙げられる。
(H)成分は、繊維処理剤組成物の粘度を制御して使用性を向上するために配合する。
具体例としては、塩化カルシウム、塩化マグネシウムや塩化ナトリウム等が挙げられ、なかでも塩化カルシウム及び塩化マグネシウムが好ましい。
(H)成分は市場で容易に入手可能であるか、又は公知の方法で合成可能である。
(H)成分は1種類を単独で用いてもよく、複数種類を組み合わせて用いてもよい。
(I)成分は、保存後の繊維処理剤組成物で処理した繊維(特に肌着)の肌触りの向上や、繊維製品へ消臭性や防臭性を付与するために配合する。
(I)成分の高度分岐環状デキストリンとは、内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有する、重量平均重合度が50から10000の範囲にあるグルカンをいう。
内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有するグルカンは、高度分岐環状デキストリン又はクラスターデキストリンとも呼ばれている物質である。
高度分岐環状デキストリンは、1つの内分岐環状構造部分に複数(例えば、100個)の非環状のグルコース鎖(外分岐構造部分)が結合した構造を有している。
内分岐環状構造部分とは、α-1,4-グルコシド結合とα-1,6-グルコシド結合とで形成される環状構造部分をいう。高度分岐環状デキストリンの内分岐環状構造部分は10~100個程度のグルコースで構成されている。すなわち、内分岐環状構造部分の重合度は10~100の範囲である。
外分岐構造部分とは、該内分岐環状構造部分に結合した非環状構造部分をいう。高度分岐環状デキストリンの外分岐構造部分を構成する非環状グルコース鎖における平均重合度は10~20である。但し、1本の非環状グルコース鎖における重合度は40以上であってもよい。
高度分岐環状デキストリンにおけるグルコースの重量平均重合度は50~10000、具体的には50~5000の範囲、更に具体的には2500程度である。
また、本発明における高度分岐環状デキストリンの分子量は3万~100万程度の範囲である。
原料であるデンプンは、グルコースがα-1、4-グルコシド結合によって直鎖状に結合したアミロースと、α-1,6-グルコシド結合によって複雑に分岐した構造をもつアミロペクチンからなる。アミロペクチンは、クラスター構造が多数連結された巨大分子である。
使用酵素であるブランチングエンザイムは、動植物や微生物中に広く見いだされるグルカン鎖転移酵素である。ブランチングエンザイムは、アミロペクチンのクラスター構造の継ぎ目部分に作用し、これを環状化する反応を触媒する。
(J)成分は、繊維処理剤組成物の外観を向上するために配合する。
(J)成分としては、当該技術分野で汎用の染料及び顔料を特に制限なく用いることができる。添加できる染料の具体例は、例えば、染料便覧(有機合成化学協会編,昭和45年7月20日発行,丸善株式会社)などに記載されている。
繊維処理剤組成物の保存安定性や繊維に対する染着性をより向上させる観点からは、分子内に水酸基、スルホン酸基、アミノ基及びアミド基から選ばれる少なくとも1種類の官能基を有する酸性染料が好ましく、赤色系又は黄色系の水溶性染料がより好ましい。赤色系の水溶性染料としてはアシッドレッドが挙げられる。黄色系の水溶性染料としてはアシッドイエローが挙げられる。
繊維処理剤組成物は、好ましくは液体の水性組成物であり、水を含むことが好ましい。
水としては、水道水、イオン交換水、純水や、蒸留水等を特に制限なく用いることができる。なかでもイオン交換水が好適である。
水の含量は、繊維処理剤組成物の総質量に対して、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上である。含量が50質量%以上であると、繊維処理剤組成物のハンドリング性を良好なものとすることができる。
(L)成分は、処理した繊維上での菌の増殖を抑え、更には微生物の分解物由来の嫌なにおいの発生を抑えるために配合する。
抗菌剤とは、処理した繊維上での菌の増殖を抑え、更には微生物の分解物由来の嫌なにおいの発生を抑える効果を有する成分である。
(L)成分としては、当該技術分野で知られているものを特に制限なく用いることができる。具体例としては、四級アンモニウム塩(塩化ベンザルコニウム、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド)などのカチオン性殺菌剤、ダイクロサン、トリクロサン、ビス-(2-ピリジルチオ-1-オキシド)亜鉛、ポリヘキサメチレンビグアニジン塩酸塩、8-オキシキノリンや、ポリリジン等が挙げられる。
(L)成分の含量は配合効果を達成できる限り特に限定されない。
繊維処理剤組成物には、前記の任意成分以外の成分を任意に配合できる。具体例としては、繊維処理剤組成物の香気や色調の安定性を向上させるための酸化防止剤や還元剤、乳濁剤(ポリスチレンエマルジョンなど)、不透明剤、縮み防止剤、洗濯じわ防止剤、形状保持剤、ドレープ性保持剤、アイロン性向上剤、酸素漂白防止剤、増白剤、白化剤、布地柔軟化クレイ、帯電防止剤、移染防止剤(ポリビニルピロリドンなど)、高分子分散剤、汚れ剥離剤、スカム分散剤、蛍光増白剤(4,4-ビス(2-スルホスチリル)ビフェニルジナトリウム(チバスペシャルティケミカルズ製チノパールCBS-X)など)、染料固定剤、退色防止剤(1,4-ビス(3-アミノプロピル)ピペラジンなど)、染み抜き剤、繊維表面改質剤(セルラーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼや、ケラチナーゼなどの酵素)、抑泡剤、水分吸放出性など絹の風合い・機能を付与する成分(シルクプロテインパウダー、それらの表面改質物、乳化分散液、具体的にはK-50、K-30、K-10、A-705、S-702、L-710、FPシリーズ(出光石油化学)、加水分解シルク液(上毛)、シルクゲンGソルブルS(一丸ファルコス))や、汚染防止剤(アルキレンテレフタレート及び/又はアルキレンイソフタレート単位とポリオキシアルキレン単位とからなる非イオン性高分子化合物、例えば、互応化学工業製FR627、クラリアントジャパン製SRN-100など)などが挙げられる。
繊維処理剤組成物のpHは特に限定されないが、25℃におけるpHが1~8、好ましくは1~6、より好ましくは2~4の範囲内である。
pH調整を行う場合、pH調整には、塩酸、硫酸、リン酸、アルキル硫酸、安息香酸、パラトルエンスルホン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、グリコール酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸、ジメチルアミン等の短鎖アミン化合物、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩や、アルカリ金属珪酸塩などのpH調整剤を使用できる。
繊維処理剤組成物の粘度は、その使用性を損なわない限り特に限定されないが、1000mPa・s未満であることが好ましい。
保存経日による粘度上昇を考慮すると、製造直後の粘度は800mPa・s未満であるのがより好ましく、500mPa・s未満であるのがさらに好ましい。製造直後の粘度が800mPa・s未満であると、洗濯機への投入の際のハンドリング性等の使用性が良好である。使用性の観点からは粘度の下限は特に制限されない。
繊維処理剤組成物の粘度とは、B型粘度計(TOKIMEC社製、B型粘度計)を用いて25℃にて測定される値をいう。
繊維処理剤組成物の製造方法は特に限定されない。繊維処理剤組成物の公知の製造方法、例えば、主剤としてカチオン界面活性剤を用いる従来の製造方法と同様の方法により、本発明の繊維処理剤組成物を製造できる。
繊維処理剤組成物の使用方法に特に制限はなく、一般の液体柔軟剤と同様の方法で使用できる。例えば、洗濯のすすぎの段階ですすぎ水へ繊維処理剤組成物を溶解させて繊維製品を処理する方法や、繊維処理剤組成物をたらいのような容器中の水に溶解させ、更に繊維製品を入れて浸漬処理する方法がある。
なお、洗濯のすすぎ回数に関わらず、本発明の繊維処理剤組成物は充分な処理効果を発揮することができる。
繊維処理剤組成物の使用量は使用目的を達成できる量であれば特に制限されない。
処理対象となる繊維製品の種類に特に制限なく、綿等の天然繊維製品や、ポリエステル等の化学繊維製品のいずれに対しても、充分な処理効果を発揮することができる。
尚、実施例及び比較例において、各成分の配合量はすべて質量%(指定のある場合を除き、純分換算)を示す。
下記の成分を使用した。
A-1:塩化ジメチルジアリルアンモニウムの重合物(Lubrizol社製、MERQUAT100)。A-1は、一般式(IV)で表されるジメチルジアリルアンモニウム塩(X-は、塩化物イオン)を重合して得られる水溶性カチオン性ポリマーである(計算式(1)によるカチオン化度:10.5%。重量平均分子量:1.5×105)。また、1gのA-1を25℃の水100gに加えて得られた溶液は無色透明であった。
下記の成分を使用した。
B-1:4-メトキシ-4’-tert-ブチルジベンゾイルメタン(DSMニュートリションジャパン株式会社製、パルソール1789)。B-1は、一般式(B)において、R1がメトキシ基であり、mが1であり、R2がtert-ブチル基であり、かつnが1である化合物に該当する。
B’-1:ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(BASF社製、UvinulAPlus)
B’-2:メトキシケイヒ酸エチルヘキシル(BASF社製、UvinulMC80N)
B’-3:メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール(BASF社製、TinosorbM)
B’-4:ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(BASF社製、TinosorbS)
ジベンゾイルメタン系化合物に該当しないB’-1~B’-4は、比較例で使用した。
下記の成分を使用した。
C-1:ポリエーテル変性シリコーン(東レ・ダウコーニング社製、SH3775M)
下記の成分を使用した。
D-1:ジエチレングリコールモノエチルエーテル(純正化学社製)
D-2:ジエチレングリコールモノブチルエーテル(純正化学社製)
D-3:エタノール(純正化学社製)
下記の成分を使用した。
E-1:ポリ(オキシエチレン)アルキル(炭素数12~14)エーテル(EOの平均付加モル数12)(ライオン社製、LMAL-90)
下記の成分を使用した。
F-1:1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン(クラリアントジャパン株式会社。商品名:Nipacide BIT 20)
F-2:イソチアゾロン液(Rohm&Haas社 商品名:ケーソンCG-ICP)
後記の表1に示す組成を有する繊維処理剤組成物を調製した。
(B)成分、(C)成分、(D)成分、(E)成分及び(G)成分を500mlビーカーに充填し、攪拌羽を用いて十分に攪拌した。次に攪拌しながら、イオン交換水と(A)成分及び(F)成分を添加し、均一になるまで十分に攪拌して、400gの繊維処理剤組成物を調整した。得られた各繊維処理剤組成物のpH(25℃)は6~7.5であり、粘度(B型粘度計、25℃)は50mPa・s未満であった。
表1中、各成分の数値の単位は、繊維処理剤組成物の総質量に対する質量%である。
表1中の「A/B」は、(A)成分の(B)成分に対する質量比を示す。
表1中の「(B+C)/A」は、(B)成分と(C)成分との合計の(A)成分に対する質量比を示す。
表1中の「(B+C)/D」は、(B)成分と(C)成分との合計の(D)成分に対する質量比を示す。
調製した繊維処理剤組成物を、「外観安定性」、「紫外線吸収剤((B)成分)の繊維製品への吸着性」及び「繊維製品の水分拡散性」について評価した。
ガラス瓶(容量:約100ml)に繊維処理剤組成物を入れたときの外観を、以下の基準に従って専門パネラー1名が目視評価した。結果を表1の「外観安定性」欄に示す。
<評価基準>
○:無色透明で均一
△:うっすらと濁っている、微濁
×:不溶物、沈殿が見られる
外観上問題がない○と△を合格と判断した。
1.評価用布の前処理
ポリエステル製布(谷頭商店。ポリエステルトロピカル布)を、市販洗剤「トップスーパーNANOX」(ライオン社製)と二槽式洗濯機(東芝製VH-30S)とを用いて、以下の前処理に3回付した。
前処理:洗剤標準使用量、浴比30倍、45℃の水道水での洗浄10分間と、続く注水すすぎ10分間とのサイクルを2回。
前処理洗浄した評価用布10g、水道水200g及び繊維処理剤組成物100μLを500gのビーカーに入れて3分間攪拌後、二槽式洗濯機(東芝製VH-30S)にて1分間の脱水を行った。
評価用布の処理前後に採取した処理水の320~400nm(UVA領域)における透過率(%)を、分光光度計(日立社製U-3900)で測定し、(B)成分の評価用布への吸着率(%)を下記計算式に従い算出した。なお、各条件につき評価布を5枚測定したので、その平均値を使用して吸着率を求めた。
吸着率(%)=平均値(処理後の透過率-処理前の透過率)/平均値(100-処理前の透過率)×100
下記基準に従い吸着性を評価した。結果を表1の「ポリエステル吸着性」欄に示す。
<評価基準>
○:吸着率が50%以上
△:吸着率が30%以上50%未満
×:吸着率が30%未満
○と△を合格と判断した。
1.評価用布の前処理
綿肌着(綿100%)を、市販洗剤「トップスーパーNANOX」(ライオン社製)と二槽式洗濯機(東芝製VH-30S)とを用いて、以下の前処理に3回付した。
前処理:洗剤標準使用量、浴比30倍、45℃の水道水での洗浄10分間と、続く注水すすぎ10分間とのサイクルを2回。
前処理洗浄した評価布を、標準使用量の市販洗剤「トップNANOX」(ライオン社製)と全自動洗濯機(TOSHIBA社製AW-8V2)を用いた洗濯処理に付した(25℃の水道水。標準コース(すすぎ2回設定)。浴比30倍)。2回目のすすぎ開始時に、繊維処理剤組成物を自動投入した。洗濯終了後に評価布を取出して室外で乾燥させた後、室温20℃、相対湿度50%の条件下に一晩静置し、翌日に下記に示す水分拡散性の評価を行った。
1滴(0.2g)のイオン交換水を評価用布へ滴下し、滴下10分後の染みの直径を測定した。測定は、20℃、45%RHの恒温調湿室にて行った。染みの直径の平均値(n=3)に基づき、水分拡散性を下記基準に従って評価した。結果を表1の「水分拡散性」欄に示す。
<評価基準>
○:染みの直径の平均値が13mm以上
△:染みの直径の平均値が9mm以上13mm未満
×:染みの直径の平均値が9mm未満
〇と△を合格とした。
Claims (7)
- 下記成分:
(A)水溶性カチオンポリマー、
(B)繊維処理剤組成物の総質量に対して0.05~10質量%のジベンゾイルメタン系化合物、
(C)繊維処理剤組成物の総質量に対して0.5~15質量%のシリコーン化合物、及び
(D)繊維処理剤組成物の総質量に対して5~30質量%の溶剤
を含有し、
(B)成分と(C)成分との合計の(D)成分に対する質量比((B+C)/D)が0.5~2である、繊維処理剤組成物。 - (B)成分と(C)成分との合計の(A)成分に対する質量比((B+C)/A)が2.2以上である、請求項1に記載の繊維処理剤組成物。
- (A)成分が、ジメチルジアリルアンモニウム塩のポリマーである、請求項1又は2に記載の繊維処理剤組成物。
- (C)成分が、ポリエーテル変性シリコーンである、請求項1~3のいずれか1項に記載の繊維処理剤組成物。
- (D)成分が、エタノール、イソプロパノール、グリセリン、ジエチレングリコール、エチレングリコール、ブチルカルビトール、プロピレングリコール、ペンタンジオール類、ヘキサンジオール類、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル及びジエチレングリコールジエチルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1~4のいずれか1項に記載の繊維処理剤組成物。
- (A)成分の(B)成分に対する質量比(A/B)が0.1~300である、請求項1~6のいずれか1項に記載の繊維処理剤組成物。
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