JP5953580B2 - 液体柔軟剤組成物 - Google Patents

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本発明は、液体柔軟剤組成物に関する。特に、衣類等の風合い低下及びニオイの発生、並びに経時の組成物粘度の上昇を抑制する効果を有する液体柔軟剤組成物に関する。
近年の洗濯は、洗濯機の大型化、節水意識の高まりから、衣料あたりの洗濯水の量が低く(低浴比に)なってきている。また洗濯機の高機能化と生活者の利便性のため、衣類乾燥機能が付属している洗濯機が多く見受けられる。このように低浴比で洗濯を行い、乾燥機能を使用した場合、衣類等は風合いが悪くなり、また洗浄力の低下から衣類等に残る皮脂汚れ由来の臭気が発生する。
衣類等の風合い低下に対しては、従来より、カチオン性界面活性剤や、シリコーン化合物、例えば、アミノ変性シリコーンを組み合わせた柔軟剤によりその低下の抑制をしているものがある(特許文献1)。
一方、臭気の抑制としては、従来より、感覚的消臭、物理的消臭、化学的消臭、生物的消臭等によって、悪臭を減らす試みがなされている。衣類の消臭・防臭としては、従来より、シリカやシクロデキストリンを用いて、分子中もしくは基材中に存在する孔の中に悪臭分子を取り込むことによって、ニオイを発生させないようにする方法がとられているが、悪臭成分によっては、孔の中に取り込むことができない場合がある。
しかしながら、これまでの従来技術では、低浴比化や乾燥機の使用による衣類等の風合い低下と及びニオイの発生を同時に解決する手段は見出されていなかった。
特開2007−284843号公報
低浴比化や乾燥機の使用による衣類等の風合い低下及びニオイの発生について、同時に改善するという課題を解決できる、近年の洗濯環境に適した柔軟剤組成物の開発が望まれていた。
従って、本発明は、衣類等の風合い低下及びニオイの発生を抑制する効果を有する液体柔軟剤組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、特定のカチオン性界面活性剤とアミノ変性シリコーンとを配合した柔軟剤組成物にトレハロースを配合すると、衣類等の風合い低下を抑制し得るだけでなく、衣類等に残存している皮脂の酸化を抑え、乾燥中に発生するニオイを抑えられることを見出した。
また、衣類等の風合い低下については、カチオン性界面活性剤とアミノ変性シリコーンを併用させることが良好な感触付与に最適であったが、感触付与に効果的な配合量においては、経時の組成物粘度の上昇が見られ、使用性の低下が見られていた。このような点についても、本発明者らは、特定のカチオン性界面活性剤とアミノ変性シリコーンとを配合した柔軟剤組成物にトレハロースを配合することにより、衣類等の風合い低下及びニオイの発生を抑制すると同時に、経時の粘度上昇を改善し、柔軟剤組成物の使用性を高められることを見出した。
本発明は、このような新規な知見に基づいて完成されたものである。
本発明は、
(A)エステル基、エーテル基及びアミド基からなる群から選ばれる基により分断されていても良い炭素数10〜24の炭化水素基を分子内に1個以上含有するアミン化合物、その中和物及びその4級化物からなる群から選ばれる1種以上の化合物、
(B)アミノ変性シリコーン、及び
(C)トレハロース
を含む液体柔軟剤組成物を提供する。
本発明の柔軟剤組成物において、特定のカチオン性界面活性剤とアミノ変性シリコーンとを配合した柔軟剤組成物にトレハロースを配合することにより、低浴比化や乾燥機の使用という近年の洗濯環境によって顕在化してきた、衣類等の風合い低下及びニオイの発生という問題に対して改善効果を発揮することができる。
更に、本発明の柔軟剤組成物において、特定のカチオン性界面活性剤とアミノ変性シリコーンとを配合した柔軟剤組成物にトレハロースを配合することにより、経時の粘度上昇を改善し、使用性を高めることができる。
[(A)成分]
本発明の液体柔軟剤組成物に含まれる(A)成分は、炭素数10〜24の炭化水素基を分子内に1個以上含有するアミン化合物、その中和物及びその4級化物からなる群から選ばれ、かつ、カチオン性界面活性剤として機能するものである。(A)成分は、下記の(B)成分と一緒になって、繊維へ風合いを付与(例えば、ドラム式洗濯機で洗濯や乾燥を行った場合にごわごわになってしまう衣類に弾力性を付与)する効果をもたらすために配合される。
(A)成分としてのアミン化合物中、炭化水素基は窒素原子に結合しており、窒素原子へ結合している炭化水素基の数は1〜3である。
炭化水素基の炭素数は、10〜24、好ましくは12〜22、特に好ましくは14〜18である。
また、炭化水素基は、エステル基、エーテル基及びアミド基からなる群より選ばれる1種以上の基により分断されていてもよい。エステル基、エーテル基及びアミド基の中ではエステル基が特に好ましい。分断する基がエステル基、エーテル基及びアミド基からなる群より選ばれる場合、炭化水素基1つにつき、分断する基の数は1つである。
中和物とは、上述のアミン化合物を酸で中和することによって得られる化合物である。中和に用いる酸としては、塩酸、硫酸、メチル硫酸や、パラトルエンスルホン酸などが挙げられる。中和物はアミン塩の形であることが好ましい。
中和物の製造は、予め酸で中和したアミン化合物を水で分散させる、液状若しくは固体状のアミン化合物の酸水溶液中への投入、又は、アミン化合物と酸との水中への同時投入等により行うことができる。
4級化物とは、上述のアミン化合物のうち、窒素原子へ結合している炭化水素基の数が3であるもの(3級アミン)を4級化剤で処理することによって得られる化合物である。4級化剤としては、塩化メチルやジメチル硫酸等が挙げられる。
(A)成分のアミン化合物として、下記一般式(A-I)〜(A-VII)のいずれかで表される化合物、その中和物又はその4級化物を例示することができる。
Figure 0005953580
上記(A-I)〜(A-VII)の各式中、R1は同一又は異なっていてもよい炭素数13〜19の炭化水素基(別言すれば、炭素数14〜20の脂肪酸からカルボキシル基を除くことで誘導される残基)である。R1を誘導する脂肪酸としては、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、直鎖脂肪酸や分岐脂肪酸があげられる。不飽和脂肪酸の場合、シス体とトランス体が存在するが、その質量比が、シス体/トランス体=40/60〜100/0であることが好ましい。
1を誘導する好ましい脂肪酸としては、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、アラキジン酸、ガトレイン酸、エイコセン酸、部分水添パーム油脂肪酸(ヨウ素価10〜60)や、部分水添牛脂脂肪酸(ヨウ素価10〜60)などが挙げられる。より好ましくは、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸の混合物であって、飽和脂肪酸/不飽和脂肪酸の質量比が95/5〜50/50、シス体/トランス体の質量比が70/30〜100/0、ヨウ素価が10〜50、炭素数18の脂肪酸含量が混合物総質量に対して50質量%以上、かつ、リノール酸が混合物総質量に対して5質量%以下である混合物であり、アラキジン酸は混合物総質量に対して2%以下であることが好ましい。
(A)成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上からなる混合物として用いてもよい。混合物として用いる場合、窒素原子に結合した炭化水素基の数が2又は3であるアミン化合物の含量が、混合物の総質量に対して50質量%以上であると、柔軟剤としての機能をより高めることができるので好ましい。
好ましい混合物の態様である(A)成分として、一般式(A-I)で表される化合物と一般式(A-II)で表される化合物とを含む組成物が挙げられる。この場合、当該組成物は、上記の脂肪酸混合物又はそのメチルエステル化物と、メチルジエタノールアミンとを縮合反応させることにより合成することができる。その際、液体柔軟剤組成物中における分散安定性を良好にする観点から、各化合物の質量比が(A-II)/(A-I)=99/1〜50/50となる様に合成することが好ましい。
一般式(A-I)で表される化合物の4級化物と一般式(A-II)で表される化合物の4級化物とを含む組成物を用いる場合、4級化剤として塩化メチルやジメチル硫酸を用いることができるが、分子量が小さく4級化のために必要な量を少なくできる塩化メチルが好ましい。その際、液体柔軟剤組成物中における分散安定性を良好にする観点から、各4級化物の質量比が、(A-II)の4級化物/(A-I)の4級化物=99/1〜50/50となる様に合成することが好ましい。
上記の4級化反応では、未反応物(すなわち、(A-I)で表される化合物と(A-II)で表される化合物)が残留する。その際、4級化物に含まれるエステル基の加水分解に対する安定性の観点から、4級化物((A-I)の4級化物+(A-II)の4級化物)と未反応物((A-I)で表される化合物+(A-II)で表される化合物)との質量比が、4級化物/未反応物=99/1〜70/30となる様に合成することが好ましい。
好ましい混合物の態様である(A)成分として、一般式(A-III)で表される化合物と、一般式(A-IV)で表される化合物と、一般式(A-V)で表される化合物とを含む組成物が挙げられる。この場合、当該組成物は、上記脂肪酸組成物又はそのメチルエステル化物と、トリエタノールアミンとを縮合反応させることにより合成することができる。その際、液体柔軟剤組成物中における分散安定性を良好にする観点から、各化合物の質量比が[(A-IV)+(A-V)]/(A-III)=99/1〜50/50となる様に合成することが好ましい。
一般式(A-III)で表される化合物の4級化物と一般式(A-IV)で表される化合物の4級化物と一般式(A-V)で表される化合物の4級化物とを含む組成物を用いる場合、4級化剤として塩化メチルやジメチル硫酸などを用いることができるが、4級化反応の反応性の観点からジメチル硫酸が好ましい。その際、液体柔軟剤組成物中における分散安定性を良好にする観点から、各4級化物の質量比が[(A-IV)+(A-V)]/(A-III)=99/1〜50/50となる様に合成することが好ましい。
上記の4級化反応では、未反応物(すなわち、一般式(A-III)で表される化合物と、一般式(A-IV)で表される化合物と、一般式(A-V)で表される化合物)が残留する。その際、4級化物に含まれるエステル基の加水分解に対する安定性の観点から、4級化物((A-III)の4級化物+(A-IV)の4級化物+(A-V)の4級化物)と未反応物((A-III)で表される化合物+(A-IV)で表される化合物+(A-V)で表される化合物)の質量比が、4級化物/未反応物=99/1〜70/30となる様に合成することが好ましい。
好ましい混合物の態様である(A)成分として、一般式(A-VI)で表される化合物と一般式(A-VII)で表される化合物とを含む組成物が挙げられる。この場合、当該組成物は、上記脂肪酸組成物とN−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチル−1,3−プロピレンジアミン(J. Org. Chem., 26, 3409(1960)に記載の方法に従い、N−メチルエタノールアミンとアクリロニトリルの付加物とから合成)とを縮合反応させることにより合成することができる。風合い付与効果を良好にする観点から、各化合物の質量比が(A-VII)/(A-VI)=99/1〜50/50となる様に合成することが好ましい。
一般式(A-VI)で表される化合物の4級化物と一般式(A-VII)で表される化合物の4級化物とを含む組成物を用いる場合、4級化剤として塩化メチルを用いることができる。その際、風合い付与効果を良好にする観点から、各4級化物の質量比が(A-VII)の4級化物/(A-VI)の4級化物=99/1〜50/50となる様に合成することが好ましい。
上記の4級化反応では、未反応物(すなわち、(A-VI)で表される化合物と(A-VII)で表される化合物)が残留する。その際、4級化物に含まれるエステル基の加水分解に対する安定性の観点から、4級化物((A-VI)の4級化物+(A-VII)の4級化物)と未反応物((A-VI)で表される化合物+(A-VII)で表される化合物)の質量比が、4級化物/未反応物=99/1〜70/30となる様に合成することが好ましい。
上述の組成物のなかでは、一般式(A-III)で表される化合物の4級化物と、一般式(A-IV)で表される化合物の4級化物と、一般式(A-V)で表される化合物の4級化物とを含む組成物がより好ましい。
この場合、柔軟剤としての機能をより高める観点から、組成物中における各4級化物の含量は、組成物の総質量に対して、(A-III)で表される化合物の4級化物が5〜98質量%、(A-IV)で表される化合物の4級化物が1〜60質量%、(A-V)で表される化合物の4級化物が0.1〜40質量%であることが好ましい。より好ましくは、組成物の総質量に対して、(A-III)で表される化合物の4級化物が10〜55質量%、(A-IV)で表される化合物の4級化物が30〜60質量%、(A-V)で表される化合物の4級化物が5〜35質量%である。
(A)成分の配合量は特に限定されるものではないが、本発明の液体柔軟剤組成物の総質量に対して好ましくは10〜50質量%、より好ましくは10〜30質量%である。30質量%以下であると、柔軟剤の液粘度が高くなることによるハンドリング性低下を抑制することができる。10質量%以上であると、柔軟剤としての機能を発揮するための使用量の増大を抑制することができる。
[(B)成分]
本発明の液体柔軟剤組成物に含まれる(B)成分は、アミノ変性シリコーンであり、これはジメチルシリコーン骨格の両末端あるいは側鎖にアミノ基を導入してなる化合物である。(B)成分は、前述の(A)成分と一緒になって、繊維へ風合いを付与(例えば、ドラム式洗濯機で洗濯や乾燥を行った場合にごわごわになってしまう衣類に平滑性を付与)する効果をもたらすために配合される。
(B)成分としての、好ましいアミノ変性シリコーンは次の一般式(B):
Figure 0005953580
(式中、Rは、それぞれ独立して、−H、−OH、−CH3及び−Si(CH33からなる群より選ばれ、Xは、−(CH2a−NH2、または、−(CH2a−NH(CH2bNH2であり(aは0〜3の整数であり、bは1〜3の整数である)、nは1〜1500であり、mは1〜20である。)で表される、側鎖Xにアミノ基を導入してなる化合物である。
アミノ変性シリコーンは、オイルの形態(シリコーンオイル)であってもよく、ノニオン界面活性剤やカチオン界面活性剤を乳化剤として用いることで乳化させたエマルジョン(シリコーンエマルジョン)の形態であってもよい。
シリコーンオイルとして用いる場合、25℃における動粘度が50〜20000mm2/sであるのが好ましく、500〜10000mm2/sであるのがより好ましい。動粘度がこの範囲にあると、高い風合い付与効果が得られ、かつ、液体柔軟剤組成物の製造性及び取扱性が容易になる。なお、動粘度は、オストワルト型粘度計で測定することができる。また、シリコーンオイルのアミノ当量は、100〜10000g/molであるのが好ましく、1200〜4000g/molであるのがより好ましい。アミノ当量がこの範囲にあると、柔軟剤としての機能が良好であるため好ましい。アミノ当量は、アミノ変性シリコーンの重量平均分子量を当該アミノ変性シリコーンに含まれる窒素原子数で割ることにより求めることができる。窒素原子数は元素分析により求めることができる。
シリコーンエマルジョンとして用いる場合、ベースとなるシリコーンオイルの粘度は、1,000mm2/s以上であり、更に好ましくは、10,000mm2/s以上である。エマルジョンとする際の乳化剤としてはカチオン性界面活性剤やノニオン性界面活性剤などが挙げられ、カチオン性界面活性剤が好ましい。
特に好ましい(B)成分としては、末端に−H基及び/又は−OH基を有するアミノ変性シリコーンを界面活性剤で乳化重合してなるエマルジョンが挙げられる。このようなエマルジョンを用いると、液体柔軟剤組成物の保存時の粘度安定性が最も良好で、かつ、風合い向上効果にも優れるため好ましい。このエマルジョンは、25℃での動粘度が100〜20,000mm2/sであり、かつ、アミノ当量400〜8000g/molであることが好ましい。
アミノ変性シリコーンとしては商業的に入手できるものを使用することができる。
シリコーンオイルとしては、例えば、東レ・ダウコーニング株式会社から商品名:SF―8417、BY16−849、BY16−892、FZ−3785又はBY16−890で販売されているものや、信越化学工業株式会社から商品名:KF−864、KF−860、KF−880、KF−8004、KF−8002、KF−8005、KF−867又はKF−869、KF−861又はKF―8610で販売されているものなどが挙げられる。
シリコーンエマルジョンとしては、東レ・ダウコーニング株式会社から商品名:SM8904、BY22−079、FZ−4671又はFZ−4672で販売されているものや、信越化学工業株式会社からPolonシリーズとして商品名:PolonMF−14、PolonMF−29、PolonMF−14D、PolonMF−44、PolonMF−14ECやPolonMF−52で販売されているもの、旭化成ワッカーシリコーン株式会社からWACKER FC201で販売されているものなどが挙げられる。
(B)成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上からなる混合物として用いてもよい。
(B)成分の配合量は特に限定されるものではないが、本発明の液体柔軟剤組成物の総質量に対して0.1〜15質量%、好ましくは0.5〜15質量%である。0.1質量%以上であると、(B)成分の配合効果を充分に発現させることができる。15質量%以下であると、粘度安定性の著しい上昇が抑えられる上に、製造コストの上昇を抑制することができる。
本発明の液体柔軟剤組成物において、(A)成分と(B)成分の総配合量は、特に限定されるものではないが、液体柔軟剤組成物の総質量に対して好ましくは10.0〜40.0質量%、さらに好ましくは20.0〜30.0質量%である。(A)成分と(B)成分の総配合量がこのような範囲内にあると、風合い付与と保存後の粘度安定性の観点から好ましい。
本発明の液体柔軟剤組成物に含まれる、(A)成分と(B)成分との質量比としては、特に限定されるものではないが、(A)/(B)=1/1〜50/1が好ましい。(A)成分と(B)成分との質量比がこのような範囲内にあると、風合い付与の観点から好ましい。
[(C)成分]
本発明の液体柔軟剤組成物に含まれる(C)成分は、トレハロースである。
本発明において用いるトレハロースは、2分子のグルコースが1,1結合した非還元性の二糖である。α,α型構造のトレハロース(α−D−グルコピラノシルα−D−グルコピラノシド)、α,β型(ネオトレハロース)、β,β型(イソトレハロース)の3種の異性体が存在している。本発明においてはいずれの型を用いてもよく、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができ、特にα,α型が好ましい。また、トレハロースは市販品を用いることができ、市販品としては、トレハ((株)林原社製)等が挙げられる。
本発明の柔軟剤組成物において、トレハロースを配合することにより、衣類等の風合い低下及びニオイの発生に対して改善効果をもたらすことができ、更には、保存後の粘度上昇を改善し、使用性を高めることができる。
トレハロースの配合量は、本発明の液体柔軟剤組成物の総質量に対して0.01〜10.0質量%が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましく、1〜5質量%が更に好ましい。配合量が0.01質量%未満であると、着用洗濯を繰り返した衣類をドラム式洗濯機の乾燥機で乾燥させた際に衣類に発生する臭気を抑制する効果が充分に得られない恐れや、液体柔軟剤組成物の保存後の粘度安定性を劣化させる恐れがある。配合量が10質量%を超えると、逆に液体柔軟剤調製直後の液粘度が高くなりすぎる恐れがある。
本発明の液体柔軟剤組成物において、(A)成分と(B)成分との和に対する(C)成分の質量比は、特に限定されるものではないが、(C)/((A)+(B))=0.002〜0.50が好ましく、より好ましくは、0.03〜0.25である。(A)成分と(B)成分との和に対する(C)成分の質量比がこのような範囲内にあると、保存後の粘度安定性の観点から好ましい。
[(D)成分]
本発明の液体柔軟剤組成物において、(D)成分として、内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有する、重合度が50から10000の範囲にあるグルカンであって、ここで、内分岐環状構造部分とは、α−1,4−グルコシド結合とα−1,6−グルコシド結合とで形成される環状構造部分であり、外分岐構造部分とは、該内分岐環状構造部分に結合した非環状構造部分である、グルカンを配合してもよい。このようなグルカンは、高度分岐環状デキストリン又はクラスターデキストリンとも呼ばれ、本明細書においても、(D)成分を「高度分岐環状デキストリン」と言う。
本発明の液体柔軟剤組成物において、高度分岐環状デキストリンを配合すると、(C)成分で酸化抑制できなかった臭気を包摂することで消臭・防臭効果が高まり、衣類等の皮脂酸化臭の消臭・防臭効果がさらに高まるという点でより好ましい。
本発明の液体柔軟剤組成物に含まれる高度分岐環状デキストリンは、分子量が3万から100万程度であり、分子内に環状構造を1つ有し、さらにその環状部分に多数のグルカン鎖が結合した重量平均重合度2500程度のデキストリンを主に含む。
本発明の液体柔軟剤組成物に含まれる高度分岐環状デキストリンの内分岐環状構造部分は10〜100個程度のグルコースで構成されており、この内分岐環状構造部分に、非環状の多数の分岐グルカン鎖からなる外分岐構造部分が結合している。
例えば、本発明の液体柔軟剤組成物に含まれる高度分岐環状デキストリンの重合度は50〜5000の範囲にある。
例えば、本発明の液体柔軟剤組成物に含まれる高度分岐環状デキストリンの内分岐環状構造部分の重合度は、10〜100の範囲である。
例えば、本発明の液体柔軟剤組成物に含まれる高度分岐環状デキストリンの外分岐構造部分の重合度は、40以上である。
例えば、本発明の液体柔軟剤組成物に含まれる高度分岐環状デキストリンの外分岐構造部分の各単位鎖の重合度は、平均で10〜20である。
本発明の液体柔軟剤組成物に含まれる高度分岐環状デキストリンは、例えば、デンプンを原料として、ブランチングエンザイムという酵素を作用させて製造される。原料であるデンプンは、グルコースがα−1,4−グルコシド結合によって直鎖状に結合したアミロースと、α−1,6−グルコシド結合によって複雑に分岐した構造をもつアミロペクチンからなり、アミロペクチンは、クラスター構造が多数連結された巨大分子である。使用酵素であるブランチングエンザイムは、動植物、微生物に広く分布するグルカン鎖転移酵素であり、アミロペクチンのクラスター構造の継ぎ目部分に作用し、これを環状化する反応を触媒する。
より詳細には、本発明の液体柔軟剤組成物に含まれる高度分岐環状デキストリンは、特開平8−134104に記載の、内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有する、重合度が50から10000の範囲にあるグルカンである。本明細書において、高度分岐環状デキストリンは、特開平8−134104の記載を参酌して理解され得る。
本発明の液体柔軟剤組成物に含まれる高度分岐環状デキストリンは、上記の通り特定の構造を有し、かつ重合度(分子量)が大きいものであり、α−シクロデキストリン(n=6)、β−シクロデキストリン(n=7)、γ−シクロデキストリン(n=8)などのグルコースが6〜8個結合した一般的なシクロデキストリンとは異なる。
本発明の液体柔軟剤組成物に含まれる高度分岐環状デキストリンの具体例としては、グリコ栄養食品株式会社の「クラスターデキストリン」(登録商標)が挙げられる。
本発明の液体柔軟剤組成物において、(D)成分の配合量は特に限定されないが、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.05〜5質量%、さらに好ましくは0.1〜2質量%である。(D)成分の配合量が0.01質量%よりも多いと優れた消臭・防臭効果を発揮し得る。(D)成分の配合量を10質量%よりも多く配合しても、消臭・防臭効果は特に向上せず、また組成物の粘度が高くなり、容器からの排出性、洗濯機の投入口への入れやすさ等の使用性が悪くなる場合がある。
[他の任意成分]
本発明の液体柔軟剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、上記成分以外の他の成分を含有してもよい。
<水>
本発明の液体柔軟剤組成物は、好ましくは水性組成物であり、水を含むことが好ましい。
水としては、水道水、イオン交換水、純水、蒸留水など、いずれも用いることができる。中でもイオン交換水が好適である。
水は、本発明の液体柔軟剤組成物中に、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上配合される。水の含有割合が前記下限値以上であれば、ハンドリング性が良好となる。
<脂肪族アルコール>
脂肪族アルコールはRbOHで表される。Rbは、炭素数8〜35のアルキル又はアルケニル基を表し、好ましくは炭素数16〜28、より好ましくは炭素数18〜24のアルキル基又はアルケニル基である。
脂肪族アルコールの具体例としては、例えば、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、2−ヘキサデカノール、ステアリルアルコール、2−オクタデカノール、エライジルアルコール、ペトロセリニルアルコール、エレオステアリルアルコール、アラキジルアルコール、2−イコサノール、ベヘニルアルコール、エルシルアルコール、ブラシジルアルコール等が挙げられる。
<ノニオン界面活性剤>
ノニオン界面活性剤は、本発明の液体柔軟剤組成物が乳化物である場合に、主に、乳化物中での油溶性成分の乳化分散安定性を向上する目的で好ましく用いられ得る。特に、ノニオン界面活性剤を配合すると、商品価値上、充分なレベルの凍結復元安定性が確保されやすい。
ノニオン界面活性剤としては、例えば、高級アルコール、高級アミン又は高級脂肪酸から誘導されるものを用いることができる。より具体的には、炭素数10〜22のアルキル基又はアルケニル基を有し、エチレンオキシドの平均付加モル数が10〜100モルであるポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸アルキル(該アルキルの炭素数1〜3)エステル;エチレンオキシドの平均付加モル数が10〜100モルであるポリオキシエチレンアルキルアミン、炭素数8〜18のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキルポリグルコシド、エチレンオキシドの平均付加モル数が10〜100モルである硬化ヒマシ油などが挙げられる。中でも、炭素数10〜18のアルキル基を有し、エチレンオキシドの平均付加モル数が20〜80モルのポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましい。
本発明の液体柔軟剤組成物中のノニオン界面活性剤の含有量は、所望とする機能に応じて決定でき、例えば、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜8質量%、さらに好ましくは0.5〜5質量%である。ノニオン界面活性剤の含有量が前記下限値以上であると、乳化物中での油溶性成分の乳化分散安定性、乳化物の凍結復元安定性がより向上する。ノニオン界面活性剤の含有量が前記上限値以下であれば、液体柔軟剤組成物の粘度の上昇を抑えて、使用性の面で良好なものとすることができる。
<染料及び/又は顔料>
染料及び/又は顔料は、本発明の液体柔軟剤組成物の外観を向上する目的で配合することができる。好ましくは、酸性染料、直接染料、塩基性染料、反応性染料及び媒染・酸性媒染染料から選ばれる、赤色、青色、黄色もしくは紫色系の水溶性染料の1種以上である。
添加できる染料の具体例は、染料便覧(有機合成化学協会編,昭和45年7月20日発行,丸善株式会社)などに記載されている。
本発明の液体柔軟剤組成物の保存安定性や繊維に対する染着性の観点からは、分子内に水酸基、スルホン酸基、アミノ基、アミド基から選ばれる少なくとも1種類の官能基を有する酸性染料、直接染料、反応性染料が好ましく、その配合量は組成物全体に対し、好ましくは1〜50ppm、より好ましくは1〜30ppmである。
本発明の液体柔軟剤組成物に用いられる染料としては、特開平6−123081号公報、特開平6−123082号公報、特開平7−18573号公報、特開平8−27669号公報、特開平9−250085号公報、特開平10−77576号公報、特開平11−43865号公報、特開2001−181972号公報又は特開2001−348784号公報などに記載されている染料を用いることもできる。
<防腐剤>
防腐剤は、主に、防腐力、殺菌力を強化し、長期保存中の防腐性を保つために本発明の液体柔軟剤組成物において用いられ得る。
防腐剤としては、例えば、イソチアゾロン系の有機硫黄化合物、ベンズイソチアゾロン系の有機硫黄化合物、安息香酸類、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール等が挙げられる。
イソチアゾロン系の有機硫黄化合物としては、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−ブチル−3−イソチアゾロン、2−ベンジル−3−イソチアゾロン、2−フェニル−3−イソチアゾロン、2−メチル−4,5−ジクロロイソチアゾロン、5−クロロ−2−メチル−3−イソチアゾロン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、又はこれらの混合物などが挙げられる。なかでも、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンが好ましく、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンとの混合物がより好ましく、前者が約77質量%と後者が約23質量%との混合物が特に好ましい。
ベンズイソチアゾロン系の有機硫黄化合物としては、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4,5−トリメチレン−4−イソチアゾリン−3−オン、類縁化合物としてジチオ−2,2−ビス(ベンズメチルアミド)、又はこれらの混合物などが挙げられる。中でも、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンが特に好ましい。
安息香酸類としては、安息香酸又はその塩、パラヒドロキシ安息香酸又はその塩、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸ベンジル等が挙げられる。
本発明の液体柔軟剤組成物中、防腐剤の配合量は、液体柔軟剤組成物の総量に対して0.0001〜1質量%であることが好ましい。防腐剤の配合量が前記下限値未満であると、防腐剤の添加効果が得られにくく、前記上限値を超えると、保存安定性が低下するおそれがある。
<紫外線吸収剤>
本発明の液体柔軟剤組成物において、紫外線吸収剤を配合することができる。紫外線吸収剤は、紫外線を防御する効果のある薬剤であり、紫外線を吸収し、赤外線や可視光線等に変換して放出する成分である。
紫外線吸収剤としては、例えば、p−アミノ安息香酸、p−アミノ安息香酸エチル、p−アミノ安息香酸グリセリル、p−ジメチルアミノ安息香酸アミル等のアミノ安息香酸誘導体;サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸ジプロピレングリコール、サリチル酸オクチル、サリチル酸ミリスチル等のサリチル酸誘導体;ジイソプロピルケイ皮酸メチル、p−メトキシケイ皮酸エチル、p−メトキシケイ皮酸イソプロピル、p−メトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル、p−メトキシケイ皮酸ブチル等のケイ皮酸誘導体;2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2、2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体;ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル等のアゾール系化合物;4−t−ブチル−4'−メトキシベンゾイルメタン等が挙げられる。
<抗菌剤>
本発明の液体柔軟剤組成物において、抗菌剤を配合することができる。抗菌剤は、繊維上での菌の増殖を抑え、さらには微生物の分解物由来の嫌なにおいの発生を抑える効果を有する成分である。
抗菌剤としては、例えば、四級アンモニウム塩(塩化ベンザルコニウム、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド)などのカチオン性殺菌剤、ダイクロサン、トリクロサン、ビス−(2−ピリジルチオ−1−オキシド)亜鉛、ポリヘキサメチレンビグアニジン塩酸塩、8−オキシキノリン、ポリリジン等が挙げられる。
<香料>
本発明の液体柔軟剤組成物には、芳香を付与するために香料を添加することができる。特に限定されるものではないが、使用される香料原料のリストは、様々な文献、例えば「Perfume and Flavor Chemicals 」,Vol.Iand II,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)および「合成香料 化学と商品知識」、印藤元一著、化学工業日報社(1996)および「Perfume and Flavor Materials of Natural Origin 」,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)および「香りの百科」、日本香料協会編、朝倉書店(1989)および「Perfumery Material Performance V.3.3」,Boelens Aroma Chemical Information Service(1996)および「Flower oils and Floral Compounds In Perfumery」,Danute Lajaujis Anonis,Allured Pub.Co.(1993)等に記載されている。
前記の化合物以外に、本発明の液体柔軟剤組成物において、香気や色調の安定性を向上させるための酸化防止剤や還元剤、ポリスチレンエマルジョンなどの乳濁剤、不透明剤、機能向上剤として、縮み防止剤、洗濯じわ防止剤、形状保持剤、ドレープ性保持剤、アイロン性向上剤、酸素漂白防止剤、増白剤、白化剤、布地柔軟化クレイ、帯電防止剤、ポリビニルピロリドンなどの移染防止剤、高分子分散剤、汚れ剥離剤、スカム分散剤、4,4−ビス(2−スルホスチリル)ビフェニルジナトリウム(チバスペシャルティケミカルズ製チノパールCBS−X)などの蛍光増白剤、染料固定剤、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジンなどの退色防止剤、染み抜き剤、繊維表面改質剤としてセルラーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、ケラチナーゼなどの酵素、抑泡剤、水分吸放出性など絹の風合い・機能を付与できるものとしてシルクプロテインパウダー、それらの表面改質物、乳化分散液、具体的にはK−50、K−30、K−10、A−705、S−702、L−710、FPシリーズ(出光石油化学)、加水分解シルク液(上毛)、シルクゲンGソルブルS(一丸ファルコス)、アルキレンテレフタレートおよび/またはアルキレンイソフタレート単位とポリオキシアルキレン単位からなる非イオン性高分子化合物、例えば互応化学工業製FR627、クラリアントジャパン製SRC−1などの汚染防止剤などを配合することができる。
[pH]
本発明の液体柔軟剤組成物のpHは特に限定されないが、保存経日に伴う(A)成分の加水分解を抑制する等の観点から、25℃におけるpHが1〜6の範囲内であることが好ましく、2〜4の範囲内であることがより好ましい。
pH調整を行う場合、pH調整には、塩酸、硫酸、リン酸、アルキル硫酸、安息香酸、パラトルエンスルホン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、グリコール酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸、ジメチルアミン等の短鎖アミン化合物、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属珪酸塩などのpH調整剤を用いることができる。
[粘度]
本発明の液体柔軟剤組成物の粘度は1000mPa・s(B型粘度計、TOKIMEC社製、25℃、以下同様)未満であることが好ましい。保存経日による粘度上昇を考慮すると、製造直後の粘度は800mPa・s未満であるのがより好ましく、500mPa・s未満であるのがさらに好ましい。このような範囲にあると、洗濯機への投入の際のハンドリング性等の使用性が良好である。本発明の液体柔軟剤組成物の粘度をコントロールする目的で、無機又は有機の水溶性塩類を用いることができる。具体的には、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、p−トルエンスルホン酸ナトリウム等を用いることができるが、中でも塩化カルシウム、塩化マグネシウムが好ましい。これらの水溶性塩類は液体柔軟剤組成物中に0〜1質量%程度配合でき、液体柔軟剤組成物製造のどの工程で配合しても構わない。
[製造方法]
本発明の液体柔軟剤組成物は、公知の方法、例えば主剤としてカチオン界面活性剤を用いる従来の液体柔軟剤組成物の製造方法と同様の方法により製造できる。
例えば、(A)成分を含む油相と、(C)成分を含む水相とを、(A)成分の融点以上の温度条件下で混合して乳化物を調製し、その後、必要に応じて、得られた乳化物に他の成分を添加、混合することにより製造することができる。
油相は、(A)成分の融点以上の温度で、必要に応じて任意成分を混合することにより調製できる。
水相は、水と(C)成分と必要に応じて任意成分とを混合することにより調製できる。
[用途・使用方法]
本発明の液体柔軟剤組成物の用途は特に限定されないが、綿等の天然繊維製品や、ポリエステル等の化学繊維製品のいずれに対しても、望ましい風合い、香りを付与することができる。
具体的には、柔軟処理を行う際は、全使用水量に対し、(A)+(B)成分の濃度が15ppm〜100ppmとなるような量で使用するのが好ましい。ちなみに洗濯のすすぎ回数は1回であっても、複数回であっても同様に使用することができ、所望の効果を発揮する。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。尚、実施例において成分配合量はすべて質量%(指定のある場合を除き、純分換算)を示す。
[(A)成分]
カチオン界面活性剤として、下記(A−1)及び(A−2)を合成した。
(A−1)
特開2003−12471号公報の実施例4に記載の手順に準拠して合成した以下に示すカチオン性界面活性剤。
<アルカノールアミンエステルの合成>
ステアリン酸メチル45質量%とオレイン酸メチル35質量%とパルミチン酸メチル20質量%とを含む脂肪酸低級アルキルエステルの混合物(ライオン株式会社、パステルM180、パステルM181、パステルM16の混合物)782g(2.68モル)、トリエタノールアミン250g(1.68モル)、酸化マグネシウム0.52g、及び、25%水酸化ナトリウム水溶液2.06g(エステル交換触媒;前記脂肪酸低級アルキルエステル及びトリエタノールアミンの総質量に対する触媒使用量:0.10質量%)を、攪拌器、分縮器、冷却器、温度計、及び窒素導入管を備えた2Lの五ツ口フラスコに仕込んだ。窒素置換を行った後、窒素を0.52L/minの流量で流しておいた。1.5℃/minの速度で190℃まで昇温して、5時間反応させた。未反応メチルエステルが1質量%以下であることを確認し、反応を停止した。得られた生成物から触媒由来である脂肪酸塩をろ過除去し、中間体のアルカノールアミンエステルを得た。アミン価を測定し、分子量を求めると582であった。
<カチオン性界面活性剤の合成>
得られたアルカノールアミンエステル(分子量582)300g(0.515モル)を、温度計、滴下ロート及び冷却器を備えた1Lの4つ口フラスコに仕込み、窒素置換した。その後、60℃に加熱し、ジメチル硫酸63.7g(0.505モル)を1時間かけて滴下した。反応熱による急激な温度上昇が無いように少しずつ温度を調整し、ジメチル硫酸滴下終了時点で、90℃に到達させた。そのまま90℃に保ち1.5時間攪拌した。反応終了後、約69gのエタノールを滴下しながら冷却し、エタノール溶液を調製し、カチオン性界面活性剤を得た。すべての操作は窒素微量流通下で行った。
(A−1)は、一般式(A−III)、(A−IV)及び(A−V)で表される各化合物(各式中、R1は炭素数15、17のアルキル基及びアルケニル基であり、不飽和部分のシス体/トランス体=75/25(質量比)である)をジメチル硫酸で4級化したものを含むものであった(分子量798.6)。
(A−2)
特開2003−12471号公報の実施例4に記載の手順に準拠して合成した以下に示すカチオン性界面活性剤。
<アルカノールアミンエステルの合成>
ステアリン酸メチル30質量%とオレイン酸メチル40質量%とパルミチン酸メチル30質量%とを含む脂肪酸低級アルキルエステルの混合物(ライオン株式会社、パステルM180、パステルM181、パステルM16の混合物)782g(2.68モル)、トリエタノールアミン250g(1.68モル)、酸化マグネシウム0.52g、及び、25%水酸化ナトリウム水溶液2.06g(エステル交換触媒;前記脂肪酸低級アルキルエステル及びトリエタノールアミンの総質量に対する触媒使用量:0.10質量%)を、攪拌器、分縮器、冷却器、温度計、及び窒素導入管を備えた2Lの五ツ口フラスコに仕込んだ。窒素置換を行った後、窒素を0.52L/minの流量で流しておいた。1.5℃/minの速度で190℃まで昇温して、5時間反応させた。未反応メチルエステルが1質量%以下であることを確認し、反応を停止した。得られた生成物から触媒由来である脂肪酸塩をろ過除去し、中間体のアルカノールアミンエステルを得た。アミン価を測定し、分子量を求めると558であった。
<カチオン性界面活性剤の合成>
得られたアルカノールアミンエステル(分子量558)300g(0.538モル)を、温度計、滴下ロート及び冷却器を備えた1Lの4つ口フラスコに仕込み、窒素置換した。その後、60℃に加熱し、ジメチル硫酸66.5g(0.527モル)を1時間かけて滴下した。反応熱による急激な温度上昇が無いように少しずつ温度を調整し、ジメチル硫酸滴下終了時点で、90℃に到達させた。そのまま90℃に保ち1.5時間攪拌した。反応終了後、約65gのエタノールを滴下しながら冷却し、エタノール溶液を調製し、カチオン性界面活性剤を得た。すべての操作は窒素微量流通下で行った。
(A−2)は、一般式(A−III)、(A−IV)及び(A−V)で表される各化合物(各式中、R1は炭素数15、17のアルキル基及びアルケニル基であり、不飽和部分のシス体/トランス体=75/25(質量比)である)をジメチル硫酸で4級化したものを含むものであった(分子量802.6)。
[(B)成分]
(B−1)
東レダウコーニング(株)より商品名:SM8904として入手した、末端に−H基及び/又は−OH基を有するアミノ変性シリコーンを界面活性剤で乳化重合してなるエマルジョン。
(B−2)
旭化成ワッカーシリコーン(株)より商品名:WACKER FC201として入手した、アミノ変性シリコーンのエマルジョン。
(B−3)
信越化学工業(株)より商品名:KF−864として入手した、側鎖変性タイプのアミノ変性シリコーンのオイル。(25℃における動粘度1700mm2/s、アミノ当量1800g/mol)
(B−4):比較例
特開2005−187987号公報の実施例2の(B−2)として記載のポリエーテル変性シリコーン。
[(C)成分]
(C−1)トレハロース(株式会社林原社製)
(C−2)比較例 L−グルコース(試薬 和光純薬工業(株))
(C−3)比較例 マルトース(試薬 和光純薬工業(株))
[(D)成分]
(D−1)
クラスターデキストリン(登録商標、グリコ栄養食品株式会社製)
クラスターデキストリン(登録商標)の主成分は、分子量が3万から100万程度であり、分子内に環状構造を1つ有し、さらにその環状部分に多数のグルカン鎖が結合した重量平均重合度2500程度のデキストリンである。環状構造部分は16〜100個程度のグルコースで構成されており、この環状構造に非環状の分岐グルカン鎖が多数結合しているものである。
[その他任意成分]
(1)ノニオン界面活性剤:1級イソトリデシルアルコールのエチレンオキシド60モル付加物(BASF社製ルテンゾールTO3にエチレンオキサイドを付加させたもの)
柔軟剤組成物中、配合量が2%となる量で使用した。
(2)塩化カルシウム(商品名:粒状塩化カルシウム、(株)トクヤマ製)
柔軟剤組成物中、配合量が0.8%となる量で使用した。
(3)香料成分
下記表1の組成を有する下記香料を調製し、柔軟剤組成物中に1.0質量%になるように配合した。表中の各香料の数値は質量部である。
表1:香料組成物の組成
Figure 0005953580
[柔軟剤組成物の調製方法]
内径100mm、高さ150mmのガラス容器と、攪拌機(アジターSJ型、島津製作所製)を用い、各成分の配合量を、下記表2及び3に記載の通り調整し、次の手順により液体柔軟剤組成物を調製した。まず、(A)成分、(B)成分、並びに任意成分(1)及び(3)を混合攪拌して、油相混合物を得た。一方、(C)成分と、(D)成分が必要な場合は(D)成分とを、バランス用イオン交換水に溶解させて水相混合物を得た。次に、(A)成分の融点以上に加温した油相混合物をガラス容器に収納して攪拌しながら、(A)成分の融点以上に加温した水相混合物を2度に分割して添加し、攪拌した。ここで、水相混合粒の分割比率は30:70(質量比)とし、攪拌は、回転速度1000rpmで、1回目の水相混合物添加後に3分間、2回目の水相混合物添加後に2分間行った。しかる後、任意成分(2)を添加し、必要に応じて、塩酸(試薬2mol/L、関東化学)、または水酸化ナトリウム(試薬1mol/L、関東化学)を適量添加してpH2.5に調整し、更に全体質量が1000gになるようにイオン交換水を添加して、目的の柔軟剤組成物を得た。尚、(B)成分について、(B−1)又は(B−2)の場合は、油相混合物に入れず、任意成分(2)の添加後に配合した。
[風合い評価]
1.評価用布の前処理方法
市販の綿肌シャツ(BVD製)を市販洗剤「ブルーダイヤ」(ライオン社製)により二槽式洗濯機(三菱電機製CW−C30A1−H)を用いて3回前処理を行なった(洗剤標準使用量:浴比30倍、45℃の水道水、10分間の洗浄後、10分間の注水すすぎ2回)。
2.洗濯時すすぎ工程における柔軟剤による処理
前処理洗浄した市販の綿肌シャツ(BVD製)1.5kgをドラム式洗濯機(東芝製TW-4000VFL)を用いてお任せコース/設定にて洗濯をした(使用洗剤「トップNANOX」(ライオン社製)、洗浄15分、すすぎ1回、脱水5分、被洗物1.5kg)。ためすすぎ1回目に自動投入口より上記の通り調製した液体柔軟剤組成物を投入した。洗剤使用量は10mL、液体柔軟剤組成物の使用量は5.0mLであった。
3.風合いの評価
柔軟剤組成物で処理した衣類の風合いを、処理後の被洗物の滑らか且柔らかな感触を指標に評価した。具体的には、各柔軟剤組成物での処理により綿肌シャツへもたらされた風合いの良さを、市販柔軟剤「ふんわりソフラン」(ライオン社製、7mL使用)を用いたこと以外は同条件で処理した綿肌シャツを対照として官能一対比較を行った。
評価は、下記の評価基準に従い、専門パネラー10人により行った。
<評価基準>
5:対照よりも非常に感触が良い
4:対照よりもかなり感触が良い
3:対照よりもやや感触が良い
2:対照と同等
1:対照よりも感触がよくない
パネラー10名の点数の平均をとり、平均点3.0点以上を、柔軟剤としての商品価値上合格であると判定した。結果を下記表2及び3に示した。
[乾燥後の肌シャツの防臭性評価]
1.着用洗浄処理
市販の綿肌シャツ(BVD製)を9時間着用後、ドラム式洗濯機(東芝製TW-4000VFL)を用いてお任せコース/設定にて洗濯をした(使用洗剤「トップNANOX」(ライオン社製)、洗浄15分、すすぎ1回、脱水5分、被洗物1.5kg)。ためすすぎ1回目に自動投入口より上記の通り調製した液体柔軟剤組成物を投入した。洗剤使用量は10mL、液体柔軟剤組成物の使用量は、5.0mLであった。洗濯後、そのままお任せで綿肌シャツを乾燥させ、また着用→洗濯(柔軟剤処理)を同条件で繰り返し5回実施した。5回着用後、再び上記洗濯条件で洗浄、処理、乾燥し、試験布として供した。
2.ニオイ評価方法
試験布の胸部のニオイについて専門パネラー5名で、以下の6段階臭気強度を基準に評価を行い、平均点を算出した。
その後、対象(比較例4)に対して、次の点数差があるかを評価した。
<6段階臭気強度>
5点:強烈なニオイ
4点:強いニオイ
3点:楽にわかるニオイ
2点:弱いニオイ
1点:何のニオイであるかわからない弱いニオイ(閾値)
0点:無臭
対象(比較例4)の平均点と比較して、0.25点以上低いものが好ましい防臭性を発揮したと評価した。結果を下記表2及び3に示した。
[保存後の粘度・使用性評価]
上記の通り調製した液体柔軟剤組成物400mLをライオン(株)社製「香りつづくトッププラス」の容器に入れて密栓して、40℃で4ヶ月間保存した後に、その後の組成物の粘度上昇、計量キャップに計量する際の組成物の注ぎやすさについて評価した。
評価は、下記の評価基準に従い、専門パネラー10人により評価し、平均点を算出した。
<評価基準>
3: 問題なく計量できる
2: 粘度上昇はみられるが、問題なく計量できる
1: 粘度上昇がみられ、計量しにくい又は計量できない
評価が2.0点以上であるものを、柔軟剤としての商品価値上合格であると判定した。結果を下記表2及び3に示した。
表2:柔軟剤組成物の組成及びその評価結果1(組成の数値は質量%)
Figure 0005953580
表3:柔軟剤組成物の組成及びその評価結果2(組成の数値は質量%)
Figure 0005953580

Claims (3)

  1. (A)エステル基、エーテル基及びアミド基からなる群から選ばれる基により分断されていても良い炭素数10〜24の炭化水素基を分子内に1個以上含有するアミン化合物、その中和物及びその4級化物からなる群から選ばれる1種以上の化合物、
    (B)アミノ変性シリコーン、及び
    (C)トレハロース
    を含む液体柔軟剤組成物。
  2. (A)成分と(B)成分との和に対する(C)成分の質量比が、(C)/((A)+(B))=0.002〜0.50である、請求項1に記載の液体柔軟剤組成物。
  3. (D)内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有する、重合度が50から10000の範囲にあるグルカンであって、ここで、内分岐環状構造部分とは、α−1,4−グルコシド結合とα−1,6−グルコシド結合とで形成される環状構造部分であり、外分岐構造部分とは、該内分岐環状構造部分に結合した非環状構造部分である、グルカンを更に含む、請求項1又は2に記載の液体柔軟剤組成物。
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