JP7143889B2 - ハット形鋼矢板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ット形鋼矢板の製造方法に関する。
ハット形鋼矢板は、土木建築工事において、土留めや止水のための壁体を構築するために広く利用されている。ハット形鋼矢板の施工性や断面性能を向上させるための技術は、これまでにも種々提案されている。例えば、特許文献1には、打設時の貫入抵抗が最小限に抑えられるように、ハット形鋼矢板の断面におけるフランジ角度、すなわちフランジがウェブおよびアームとの間になす角度を設定する技術が記載されている。特許文献2にも、貫入抵抗に着目して、ハット形鋼矢板の経済性、施工性および健全性をともに最適化する断面形状を決定するための技術が記載されている。特許文献3には、断面性能のうち断面二次モーメントに優れたハット形鋼矢板の形状設定方法が記載されている。
特許第3488233号公報 特開2012-158910号公報 特開2008-69631号公報
ここで、上記の特許文献1から特許文献3で言及されているハット形鋼矢板の断面二次モーメントは、いずれも弱軸回りの断面二次モーメントである。この弱軸回りの断面二次モーメントは、打設後のハット形鋼矢板によって形成される鋼矢板壁が地中で土圧や水圧に対抗するときの剛性を表すため、ハット形鋼矢板の性能の指標として重要である。
しかしながら、後述するように、本発明者らが得た知見によれば、打設中のハット形鋼矢板に発生する傾斜変形を低減するための設計指標としては、弱軸回りの断面二次モーメントは必ずしも適切ではない。打設中のハット形鋼矢板では、先行して打設された鋼矢板と継手が嵌合することによって生じる継手摩擦が抵抗として作用する。継手摩擦による抵抗は、貫入抵抗とは異なりハット形鋼矢板の断面に対して不均等に作用するため、ハット形鋼矢板が深度方向に均等に打設されずに傾斜することがある。
このような傾斜はハット形鋼矢板を壁幅方向に順次打設するにつれて累積するため、傾斜が大きくなったことによって鋼矢板が途中までしか打設されない高止まりや、鋼矢板壁の形状における設計からのずれが大きくなる事態の原因になりうる。本発明者らが得た知見によれば、傾斜変形を低減するための設計指標としては、一般的な弱軸回りの断面二次モーメントではなく、強軸回りの断面二次モーメントが適切である。
そこで、本発明は、強軸回りの断面二次モーメントを適切に設定することによって打設中のハット形鋼矢板に発生する傾斜変形を低減することが可能な、新規かつ改良されたット形鋼矢板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明のある観点によれば、ハット形鋼矢板は、長手方向に直交する断面において、断面高さ方向の第1の側で幅方向に沿って延びるウェブと、ウェブの幅方向の両端部から幅方向の両側、かつ断面高さ方向の第2の側に向かって延びる1対のフランジと、断面高さ方向の第2の側で1対のフランジのそれぞれの端部から幅方向に沿って、かつ幅方向の両側に向かって延びる1対のアームと、1対のアームのそれぞれの1対のフランジとは反対側の端部に形成される1対の嵌合継手とを備え、有効幅Wが105cm以上であり、かつ断面高さ方向に延びる強軸回りの断面二次モーメントIyが191,000cm以上である。
上記のハット形鋼矢板では、断面高さH(cm)と強軸回りの断面二次モーメントIy(cm)との比Iy/Hが5,210cm以上であってもよい。また、上記のハット形鋼矢板の有効幅Wは120cm以上であってもよい。
本発明の別の観点によれば、上記のハット形鋼矢板を用いた鋼矢板壁の製造方法が提供される。鋼矢板壁の製造方法は、ハット形鋼矢板の嵌合継手のうちの一方のみを先行して打設された鋼矢板の嵌合継手に嵌合させながらハット形鋼矢板を地中に打設する工程を含んでもよい。
上記の構成によれば、強軸回りの断面二次モーメントを適切に設定することによって打設中のハット形鋼矢板に発生する傾斜変形を低減することができる。その結果として、例えば、上述したような高止まりや、鋼矢板壁の形状における設計からのずれを抑制し、施工品質を高めることができる。
本発明の一実施形態に係るハット形鋼矢板の断面図である。 図1に示されたハット形鋼矢板の嵌合中心について説明するための図である。 打設中のハット形鋼矢板に発生する傾斜変形について概念的に説明するための図である。 本発明の実施例および比較例について、曲がり比を縦軸に、強軸回りの断面二次モーメントを横軸にして示すグラフである。 傾斜変形が効果的に低減される基準の例について説明するためのグラフである。 傾斜変形が効果的に低減される基準の例について説明するためのグラフである。 ハット形鋼矢板の傾斜変形と断面高さとの関係について説明するための図である。 本発明の実施例および比較例について、曲がり比を縦軸に、強軸回りの断面二次モーメントと断面高さとの比を横軸にして示すグラフである。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
図1は、本発明の一実施形態に係るハット形鋼矢板の断面図である。図1に示されるように、ハット形鋼矢板1は、長手方向(図中のz方向)に直交する断面において、断面高さ方向の第1の側(図中のy方向の奥側)で幅方向(図中のx方向)に沿って延びるウェブ2と、ウェブ2の幅方向の両端部から幅方向の両側、かつ断面高さ方向の第2の側(図中のy方向の手前側)に向かって延び、幅方向との間にフランジ角度θ(鋭角側)をなすフランジ3A,3Bと、断面高さ方向の第2の側でフランジ3A,3Bのそれぞれの端部から幅方向に沿って、かつ幅方向の両側に向かって延びるアーム4A,4Bと、アーム4A,4Bのそれぞれのフランジ3A,3Bとは反対側の端部に形成される嵌合継手5A,5Bとを含む。
ここで、図1には、ハット形鋼矢板1の各部分の寸法、具体的には、ウェブ2の長さBwおよび板厚twと、アーム4A,4Bの長さBaとが示されている。ここで、長さBwは、ウェブ2の板厚中心線と、フランジ3A,3Bのそれぞれの板厚中心線との間に形成される2つの交点の間の距離である。また、長さBaは、アーム4Aの板厚中心線とフランジ3Aの板厚中心線との間に形成される交点と、嵌合継手5Aの嵌合中心Eとの間の距離である。なお、ハット形鋼矢板1の断面形状は幅方向の中立軸(図中のy軸)について対称であるため、アーム4Bについてもアーム4Aと同様に長さBaである。
さらに、図1には、ハット形鋼矢板1の有効幅W、断面高さH、弱軸Ax、および強軸Ayが示されている。ここで、有効幅Wは、嵌合継手5A,5Bのそれぞれの嵌合中心E,Eの間の距離である。断面高さHは、ウェブ2およびアーム4A,4Bの板厚を含み嵌合継手5A,5Bの張り出しを含まないハット形鋼矢板1の断面の高さである。弱軸Axはハット形鋼矢板1の幅方向に延びる中立軸であり、強軸Ayはハット形鋼矢板1の断面高さ方向に延びる中立軸である。後述するように、本実施形態に係るハット形鋼矢板1では、有効幅Wが105cm以上であり、かつ強軸Ay回りの断面二次モーメントIyが191,000cm以上である。
なお、図1に示されたハット形鋼矢板1の形状が幾何学的に成り立つ場合、有効幅W、ウェブ長さBw、断面高さHおよびフランジ角度θは、W-Bw-2H/tanθ>0の関係を満たしている。
図2は、図1に示されたハット形鋼矢板の嵌合中心について説明するための図である。図示されているように、ハット形鋼矢板1の嵌合継手5Aには、隣接して打設される別のハット形鋼矢板1の嵌合継手5Bが嵌合する。嵌合継手5Aの嵌合中心Eは、別のハット形鋼矢板1のアーム4Bおよび嵌合継手5Bを仮想的に配置した場合に、嵌合継手5Aが形成されるアーム4Aの端部位置と、仮想的な嵌合継手5Bが形成されるアーム4Bの端部位置との中間に位置する、アーム4Aおよびアーム4Bの設計上の板厚中心線上の点として定義することができる。ハット形鋼矢板1の反対側に位置する嵌合継手5Bの嵌合中心Eも、同様に定義することができる。
図3は、打設中のハット形鋼矢板に発生する傾斜変形について概念的に説明するための図である。図3に示されるように、ハット形鋼矢板1は、先行して打設されたハット形鋼矢板1Pの嵌合継手5Bに嵌合継手5Aを嵌合させながら地中に打設される。このとき、打設重機による貫入力Fがハット形鋼矢板1の断面図心C付近に作用するのに対して、ハット形鋼矢板1の嵌合継手5Aがハット形鋼矢板1Pの嵌合継手5Bに嵌合することによって生じる継手摩擦力Fはハット形鋼矢板1の幅方向端部に作用する。このように作用点の異なる2つの力が作用することによって生じる偶力Fによる回転作用のために、ハット形鋼矢板1は先行して打設されたハット形鋼矢板1P側に向かって傾斜するように変形し、下端側ほど嵌合継手5Aが変形して壁幅方向におけるハット形鋼矢板1Pとの重複量が大きくなる。傾斜量は打設枚数とともに累積する(先行して打設されたハット形鋼矢板1Pが傾斜していれば、次に打設されるハット形鋼矢板1はさらに傾斜する)ため、何らかの方法で打設時のハット形鋼矢板1の傾斜変形を低減する必要がある。
(強軸回りの断面二次モーメントに関する検討)
上記で図3を参照して説明した偶力Fによる回転作用による変形に抵抗するのは、変形の方向に対するハット形鋼矢板1の剛性、具体的にはハット形鋼矢板1の強軸(図中のy軸)回りの断面二次モーメントIyである。断面二次モーメントIyは、例えばハット形鋼矢板1の有効幅W、断面高さH、および板厚tなどの寸法を大きくすれば上昇するが、本発明者らはこれらの寸法の中でも有効幅Wに着目した。ハット形鋼矢板1の強軸回りの断面二次モーメントIyは、強軸に直交する方向の寸法である有効幅Wの3乗に比例する。その一方で、有効幅Wが大きくなれば偶力Fによって作用するモーメントの腕の長さも大きくなるが、腕の長さは有効幅Wの1乗に比例するにすぎない(W/2)。従って、有効幅Wの拡大によるハット形鋼矢板1の高剛性化、すなわち断面二次モーメントIyの上昇は、偶力Fによって作用するモーメントの増加よりも卓越して大きく、ハット形鋼矢板1の傾斜変形を低減するために有効である。以下で表1を参照して説明するように、ハット形鋼矢板1の有効幅Wを105cm以上に拡大し、さらに断面二次モーメントIyを所定の範囲以上にすることで、傾斜変形を効果的に低減することができる。さらに、鋼矢板壁の壁幅が同じであれば有効幅Wが大きいほどハット形鋼矢板の枚数は少なくてすむため、有効幅Wの拡大は施工の経済性の観点からも有利である。
表1に、従来のハット形鋼矢板(比較例1~比較例3)、および本発明の実施形態に係るハット形鋼矢板(実施例1~実施例6)の断面諸元を示す。表1において、Wは有効幅(cm)、Hは断面高さ(cm)、twはウェブの板厚(cm)、Bwはウェブの長さ(cm)、Baはアームの長さ(cm)、Ixは弱軸(図4に示すx軸)回りの断面二次モーメント(cm/m;鋼矢板壁の壁幅1mあたり)、Iyは強軸(図4に示すy軸)回りの断面二次モーメント(cm;ハット形鋼矢板1枚あたり)である。なお、Ix,Iyは、ウェブとフランジとの間、およびフランジとアームとの間の曲線形状、および嵌合継手の形状を考慮して算出されている。実施例1~実施例6では、いずれもハット形鋼矢板1の有効幅Wを105cm以上とした。
ここで、表1における曲がり比rは、各実施例と同等の断面二次モーメントIxを有する従来のハット形鋼矢板との間での傾斜変形量の比として、以下の式(1)によって算出される。なお、式(1)において、aは境界条件による係数、M,M’は実施例および比較例のそれぞれで偶力Fによって生じるモーメント、Lはハット形鋼矢板の長さ、Eはハット形鋼矢板のヤング率、Rは継手抵抗、具体的には継手摩擦力Fの大きさである。長さLおよびヤング率Eは、実施例および比較例で共通とする。また、後述するように、継手抵抗Rはハット形鋼矢板の断面高さHに応じて変化するが、表1の例では同等の断面二次モーメントIxを有する従来のハット形鋼矢板と各実施例のハット形鋼矢板との間で断面高さHが共通であるため、式(1)では実施例と比較例との間で継手抵抗Rが共通になっている。この場合、曲がり比rは、実施例および比較例のそれぞれのハット形鋼矢板の有効幅W,W’および強軸回りの断面二次モーメントIy,Iy’で表すことができる。
Figure 0007143889000001
Figure 0007143889000002
図4は、上記の比較例1~比較例3および実施例1~実施例6について、曲がり比rを縦軸に、強軸回りの断面二次モーメントIy(cm)を横軸にして示すグラフである。図4のグラフを参照すると、実施例1~実施例6ではいずれも比較例1~比較例3に比べて強軸回りの断面二次モーメントIyが大きく、かつ曲がり比rが小さい。具体的には、断面二次モーメントIyが最も小さい実施例5(Iy=191,625cm)で曲がり比rが0.83である。実施例5では、有効幅Wも最も小さい(W=105cm)。この結果から、ハット形鋼矢板の有効幅Wを105cm以上とし、かつハット形鋼矢板1枚あたりの強軸回りの断面二次モーメントIyを191,000cm以上とすることによって、傾斜変形を効果的に低減することができるといえる。
図5および図6は、図4に示した実施例において、曲がり比r=0.83を傾斜変形が効果的に低減される基準とした理由について説明するためのグラフである。図5は、JIS A5523「溶接用熱間圧延鋼矢板」に規定される、U形鋼矢板の曲がり(幅方向変形)の許容差qと、同じくハット形鋼矢板の曲がりの許容差qHATを示すグラフである。図6は、図5に示したU形鋼矢板およびハット形鋼矢板の許容差の比q/qHATを示すグラフである。図6に示されるように、鋼矢板の長さLが10m以下の範囲では比q/qHATが約0.83で一定になる。つまり、鋼矢板の長さLが10m以下の範囲では、U形鋼矢板に許容される幅方向変形は、ハット形鋼矢板の0.83倍である。U形鋼矢板はアーム部がないためにハット形鋼矢板よりも幅方向変形が進行しやすく、従って製造時、または施工時に許容可能な曲がりがハット形鋼矢板よりも小さく規定されている。逆に言えば、ハット形鋼矢板においてU形鋼矢板と同等の曲がりしか発生しないとすれば、より厳しいU形鋼矢板の曲がりの基準をも満たしていることになる。従って、上記の実施例では、曲がり比rが0.83である場合を、傾斜変形が効果的に低減される基準の1つにしている。
なお、図5および図6に示されるように、鋼矢板の長さLが10mを超えると比q/qHATは0.83よりも大きくなる。この範囲では、U形鋼矢板の曲がりの基準を満たすという観点からいえば、曲がり比rが0.83を超える場合でも傾斜変形が効果的に低減されているといえる。さらに、鋼矢板の長さLが20mを超えると、U形鋼矢板の曲がりの許容差qが頭打ちになることによって比q/qHATは減少に転じ、やがて0.83を下回る。この点を考慮し、鋼矢板の長さLごとの比q/qHATの値に応じた曲がり比rが実現されるように断面二次モーメントIyを決定してもよい。具体的には、例えば鋼矢板の長さLが25mの場合(q/qHAT=0.74)には曲がり比rが0.74以下になるように断面二次モーメントIyを決定してもよい。あるいは、U形鋼矢板とハット形鋼矢板との形状に由来する相違(ハット形鋼矢板は、長さLが20mを超えても許容差qHATが頭打ちにならない)を考慮し、長さLが20mを超える範囲でも曲がり比rが0.83以下になるように断面二次モーメントIyを決定してもよい。
ここで、上記で図5および図6に示されたように、鋼矢板の長さLによって曲がり比rの基準は異なる。この点を考慮した場合、ハット形鋼矢板の有効幅Wは、例えば120cm以上とすることがより好ましい。多くの場合においてハット形鋼矢板の長さは25m以下であり、図6より曲がり比rが0.7以下であれば傾斜変形を効果的に低減することができる。本発明者らの検討によれば、有効幅Wを120cm以上とした場合、各部の板厚などの他の寸法を適切に設定することによって曲がり比rを0.7以下にすることが容易になる。
(断面高さに関する検討)
図7は、ハット形鋼矢板の傾斜変形と断面高さとの関係について説明するための図である。図7に示されるように、打設中のハット形鋼矢板1には、ウェブ2とフランジ3A,3Bとで囲まれた内部空間に流入した土砂Sによる閉塞抵抗による内圧Pが作用する。内圧Pはハット形鋼矢板1を幅方向(図中のx方向)外側に押し広げるように作用するため、内圧Pが大きくなると嵌合継手5Aは先行して打設されたハット形鋼矢板1Pの嵌合継手5Bに向かって押し付けられ、嵌合継手5Aと嵌合継手5Bとの間の接触によって作用する継手摩擦力Fが増大する。ここで、例えば特許第3488233号公報などにも記載されているように、ハット形鋼矢板1の内部空間に流入した土砂Sによる閉塞抵抗はハット形鋼矢板1の断面高さHに比例するため、土砂Sによる閉塞抵抗による内圧Pおよび継手摩擦力Fも断面高さHに比例する。従って、ハット形鋼矢板1の断面高さHと強軸回りの断面二次モーメントIyとの関係によって傾斜変形が低減される条件を表現することは合理的である。
表2に、従来のハット形鋼矢板(比較例1~比較例3)、および本発明の実施形態に係るハット形鋼矢板(実施例7~実施例15)の断面諸元を示す。表1と同様の項目に加えて、表2では、強軸回りの断面二次モーメントIyと断面高さHとの比Iy/H(cm)が示されている。実施例7~実施例15でも、ハット形鋼矢板1の有効幅Wは105cm以上である。
ここで、表2における曲がり比rは、表1と同様に各実施例と同等の断面二次モーメントIxを有する従来のハット形鋼矢板との間での傾斜変形量の比であるが、算出には以下の式(3)が用いられている。実施例7~実施例15では断面高さHが従来のハット形鋼矢板から変更されているため、式(3)では実施例および比較例のそれぞれの継手抵抗R,R’を異なる値として扱っている。ここで、上述の通り継手摩擦力Fはハット形鋼矢板の断面高さHに比例するため、式(2)のように土質条件や施工方法による係数bを用いて継手抵抗R,R’と断面高さH,H’との関係を表すことができる。この場合、曲がり比rは、実施例および比較例のそれぞれのハット形鋼矢板の有効幅W,W’強軸回りの断面二次モーメントIy,Iy’、および断面高さH,H’で表すことができる。
Figure 0007143889000003
Figure 0007143889000004
図8は、上記の比較例1~比較例3および実施例7~実施例15について、曲がり比rを縦軸に、強軸回りの断面二次モーメントIyと断面高さHとの比Iy/H(cm)を横軸にして示すグラフである。図8のグラフを参照すると、実施例7~実施例15ではいすれも比較例1~比較例3に比べてIy/Hが大きく、かつ曲がり比rが小さい。具体的には、Iy/Hが最も小さい実施例12(Iy/H=5,213cm)で曲がり比rが0.83である。実施例12では、有効幅Wも最も小さい(W=105cm)。この結果から、ハット形鋼矢板の有効幅Wを105cm以上とし、強軸回りの断面二次モーメントIyと断面高さHとの比Iy/Hを5,210cm以上とすることによって、傾斜変形を効果的に低減することができるといえる。なお、実施例7~実施例15は、上記で表1を参照した条件、すなわちハット形鋼矢板の有効幅Wが105cm以上であり、かつハット形鋼矢板1枚あたりの強軸回りの断面二次モーメントIyが191,000cm以上であるという条件も満たしている。
また、表2に示されるように、曲がり比rは断面高さHに影響を受けるが、断面高さHはハット形鋼矢板の用途に応じて様々な制約を受ける。従って、断面高さHを制約に応じてある程度自由に設定しつつ曲がり比rを安定的に低下させるためには、ハット形鋼矢板の有効幅Wをより大きく、具体的には例えば120cm以上とすることがより好ましい。
以上で説明したような本発明の実施形態によれば、打設中に発生する傾斜変形が効果的に低減される断面形状のハット形鋼矢板が提供される。このようなハット形鋼矢板は、例えばハット形鋼矢板の1対の嵌合継手のうちの一方のみを先行して打設された鋼矢板の嵌合継手に嵌合させながらハット形鋼矢板を地中に打設する工程を含む鋼矢板壁の製造方法において、特に有利である。このような鋼矢板壁の製造方法では、ハット形の鋼矢板の一方の継手が先行して打設された鋼矢板の継手に嵌合している位置に対して施工機が鋼矢板を支持して鉛直振動荷重を加える位置が偏心しているためハット形鋼矢板に傾斜変形を発生させるモーメントが生じやすいが、本発明の実施形態を適用することによって傾斜変形を効果的に抑制することができる。
ハット形鋼矢板の傾斜変形を抑制することによって、施工機からの打設エネルギーが効率的にハット形鋼矢板に伝達され、ハット形鋼矢板の地盤内への貫入速度を高く保ち経済的な施工が可能になるとともに、施工に伴う騒音や振動を低減させることができる。ハット形鋼矢板の大断面化によって施工機が大型化すると騒音や振動も大きくなる可能性があるが、ハット形鋼矢板の傾斜変形を抑制することによって、騒音や振動を抑制した施工が可能になる。
また、ハット形鋼矢板の傾斜変形を抑制することによって、先行して打設された鋼矢板の継手との嵌合抵抗を小さくすることができるため、ハット形鋼矢板全体の打設時の抵抗を小さくすることができ、また継手の接触面での削れや溶着を防止することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1…ハット形鋼矢板、1P…ハット形鋼矢板、2…ウェブ、3A,3B…フランジ、4A,4B…アーム、5A,5B…嵌合継手、E,E…嵌合中心。

Claims (1)

  1. ハット形鋼矢板の製造方法であって、
    前記ハット形鋼矢板は、長手方向に直交する断面において、断面高さ方向の第1の側で幅方向に沿って延びるウェブと、前記ウェブの前記幅方向の両端部から前記幅方向の両側、かつ前記断面高さ方向の第2の側に向かって延びる1対のフランジと、前記断面高さ方向の第2の側で前記1対のフランジのそれぞれの端部から前記幅方向に沿って、かつ前記幅方向の両側に向かって延びる1対のアームと、前記1対のアームのそれぞれの前記1対のフランジとは反対側の端部に形成される1対の嵌合継手とを備え、
    有効幅Wが105cm以上であり、かつ前記断面高さ方向に延びる強軸回りの断面二次モーメントIyが191,000cm以上であり、
    断面高さH(cm)と前記強軸回りの断面二次モーメントIy(cm )との比Iy/Hが5,210cm 以上であるように前記断面を設計する工程を含む、ハット形鋼矢板の製造方法。
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