JP2010127051A - 波形鋼板耐震壁、波形鋼板耐震壁の設計方法、及び建築物 - Google Patents

波形鋼板耐震壁、波形鋼板耐震壁の設計方法、及び建築物 Download PDF

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Abstract

【課題】開口部を設けることによって損なわれる耐震壁の設計自由度を小さく抑えることができる波形鋼板耐震壁、この波形鋼板耐震壁の設計方法、及びこの波形鋼板耐震壁を有する建築物を提供する。
【解決手段】周辺部材18に取り付けられている波形鋼板24が、第1波板部30と第2波板部32とを有している。第1波板部30には開口部34が形成され、第1波板部30と第2波板部32とのせん断剛性は異なっている。よって、開口部34を設備開口等とすることができる。また、開口部34を形成することによって波形鋼板24の波形状等が特定されるのは第1波板部30なので、第2波板部32は自由に設計することが可能となる。これにより、耐震壁の設計自由度を小さく抑えることができる。
【選択図】図3

Description

本発明は、開口部が設けられた波形鋼板耐震壁、この波形鋼板耐震壁の設計方法、及びこの波形鋼板耐震壁を有する建築物に関する。
特許文献1では、図16(a)の正面図に示すように、柱300、梁302、及びスラブ328から構成される架構304の構面内に波形鋼板306が組み入れられた波形鋼板耐震壁が紹介されている。
波形鋼板306は、図16(a)のG−G矢視図である図16(b)に示すように、波形鋼板306を正面視したときにこの波形鋼板306の前側と後側とに上下で交互に凸となる山部によって構成されている。また、山部は一定の波長を有し、波形鋼板306に形成される折り筋は略水平になっている。
この波形鋼板耐震壁の波形鋼板306は、鉛直方向にアコーディオンのように伸縮するため鉛直力を負担せず、せん断力に対しては優れた変形性能によって抵抗する。
また、波形鋼板耐震壁は、波形鋼板306の波形状(山部の形状、高さ、波長等)、板厚、及び材料の設定によってせん断剛性やせん断耐力を自由に調整することができる設計自由度の高い耐震壁である。
引用文献1のような波形鋼板耐震壁の波形鋼板306に設備開口や窓等の開口部を形成する場合、開口部の断面欠損により波形鋼板306のせん断耐力が低下しないようにこの断面欠損を補わなければならない。
断面欠損を補う方法としては、波形鋼板の板厚を大きくする方法や、図17に示すように、波形鋼板306に形成された開口部308と連通する開口部310が形成された当て板312を溶接等によって波形鋼板306に接合し、開口部308の左右の板厚を局所的に大きくする方法が考えられる。
しかし、波形鋼板の板厚を大きくする方法は、開口部を設ける前の波形鋼板耐震壁に比べてせん断剛性が大きくなってしまう。
また、当て板を波形鋼板に接合する方法において、波形鋼板の波形を構成する複数の山部に跨って大きな開口部を形成する場合には、当て板の加工や接合が面倒になる。山部の波長を大きくすれば波形の形状が緩やかになり、当て板の加工や接合の煩雑さを軽減できるが、開口部を設ける前の波形鋼板耐震壁に比べて耐震壁のせん断剛性が大きくなってしまう。
通常、建築物に配置される耐震壁のせん断剛性は建築物全体の構造設計から求められ、このせん断剛性を有するように耐震壁(波形鋼板)の設計を行う。
よって、波形鋼板に形成される開口部の断面欠損を補うために波形鋼板の板厚を大きくする場合、又は波形鋼板を構成する山部の波長を大きくする場合には、増大する分のせん断剛性を減らすように波形鋼板の波形状(山部の形状、高さ、波長等)、板厚、及び材料を決める必要がある。
しかし、波形鋼板の板厚を大きくして開口部の断面欠損を補う方法では、波形鋼板に設ける開口部の大きさにより波形鋼板の板厚がほぼ決まってしまい、波形を構成する山部の波長を大きくした波形鋼板に当て板を接合して開口部の断面欠損を補う方法では、波形鋼板に形成する開口部の大きさにより山部の波長がほぼ決まってしまうので、波形鋼板耐震壁の設計自由度が損なわれてしまう。
特許文献2の耐震壁では、図18の正面図に示すように、柱314、梁316、及びスラブ318から構成される架構320の構面内に波形鋼板322が組み入れられている。波形鋼板322には、矩形状の開口部324が形成されており、この開口部324の口縁部にフレーム枠326が設けられている。
しかし、波形鋼板322の波形を構成する複数の山部に跨って大きな開口部324を形成する場合には、波形鋼板322へのフレーム枠326の接合が面倒になり、波形鋼板322の波形を構成する山部の波長を大きくして接合の煩雑さを軽減すれば、開口部324を設ける前の耐震壁に比べてせん断剛性が大きくなってしまう。
特開2005−264713号公報 特開2006−37585号公報
本発明は係る事実を考慮し、開口部を設けることによって損なわれる耐震壁の設計自由度を小さく抑えることができる波形鋼板耐震壁、この波形鋼板耐震壁の設計方法、及びこの波形鋼板耐震壁を有する建築物を提供することを課題とする。
請求項1に記載の発明は、架構を構成する周辺部材に取り付けられる波形鋼板を備え、前記波形鋼板は、開口部が形成された第1波板部と、前記第1波板部とせん断剛性の異なる第2波板部とを有する。
請求項1に記載の発明では、架構を構成する周辺部材に波形鋼板が取り付けられている。波形鋼板は、第1波板部と第2波板部とを有している。第1波板部には、開口部が形成されている。また、第1波板部と第2波板部とのせん断剛性は異なっている。
よって、第1波板部に形成された開口部を設備開口や窓等とすることができる。すなわち、波形鋼板耐震壁に設備開口や窓等を設けることができる。
また、第1波板部に開口部を形成することによって波形鋼板の波形状や板厚が特定されるのは第1波板部なので、第2波板部は自由に設計することが可能となる。これにより、開口部を設けることによって損なわれる耐震壁の設計自由度を小さく抑えることができる。
請求項2に記載の発明は、前記第2波板部は、前記第1波板部よりもせん断剛性が小さい。
請求項2に記載の発明では、第2波板部のせん断剛性は、第1波板部のせん断剛性よりも小さい。
よって、第1波板部に形成された開口部の断面欠損を補うことにより第1波板部のせん断剛性が大きくなる場合に、第1波板部よりも第2波板部のせん断剛性を小さくしているので、波形鋼板耐震壁全体のせん断剛性が過大になることを防ぐことができる。
請求項3に記載の発明は、前記第1波板部及び前記第2波板部は、前記第1波板部及び前記第2波板部を正面視したときに前側と後側とに上下で交互に凸となる山部によって構成され、前記第2波板部の山部の波長は、前記第1波板部の山部の波長よりも小さい。
請求項3に記載の発明では、第1波板部及び第2波板部は、山部によって構成されている。山部は、第1波板部及び第2波板部を正面視したときに前側と後側とに上下で交互に凸となっている。また、第2波板部の山部の波長は、第1波板部の山部の波長よりも小さい。
第1波板部に形成された開口部による断面欠損を当て板により補う場合、第1波板部の山部の波長を大きくすることによって当て板を接合し易くすることができる。しかし、第1波板部の山部の波長を大きくすると第1波板部のせん断剛性が大きくなる。また、これによって低下する第1波板部のせん断座屈強度を高めるために第1波板部の板厚を大きくすると第1波板部のせん断剛性がさらに大きくなってしまう。
これに対して請求項3では、第2波板部の山部の波長を第1波板部の山部の波長よりも小さくしているので第2波板部のせん断剛性が第1波板部より小さくなり、波形鋼板耐震壁全体のせん断剛性が過大になることを防ぐことができる。
請求項4に記載の発明は、前記第1波板部に接合されて前記開口部による前記第1波板部の断面欠損を補う当て板を有する。
請求項4に記載の発明では、波形鋼板耐震壁が当て板を有している。当て板は、第1波板部に接合されて開口部による第1波板部の断面欠損を補う。
よって、当て板を第1波板部に接合するだけの簡単な方法で、第1波板部に開口部を形成することによるせん断耐力の低下を低減することができる。
また、開口部付近のみに当て板を設ければよいので、材料費や施工費の低コスト化を図ることができる。
また、当て板の水平断面積が、開口部による第1波板部の断面欠損面積以上となるように当て板の形状や寸法を設定するだけでよいので、さまざまな大きさの開口部に容易に対応することができる。
請求項5に記載の発明は、前記第1波板部に形成された折り筋と材軸とが交差するように前記第1波板部にリブが設けられている。
請求項5に記載の発明では、第1波板部にリブが設けられている。リブは、材軸が第1波板部に形成された折り筋と交差するように設けられている。
よって、リブにより第1波板部に剛性を付与することができ、第1波板部がリブによって拘束されてせん断座屈長さが短くなる。これらにより、第1波板部のせん断座屈強度を大きくすることができる。
請求項6に記載の発明は、前記第2波板部の板厚は、前記第1波板部の板厚よりも小さい。
請求項6に記載の発明では、第1波板部の板厚を第2波板部の板厚よりも大きくすることにより、当て板を用いないで、第1波板部に形成された開口部による断面欠損を補うことができる。
また、第1波板部の板厚に余裕を持たせておけば、波形鋼板耐震壁を設置する現場で、開口部の大きさや形状等を変更することや、新たな開口部を形成することができる。
また、第1波板部の板厚を大きくすると第1波板部のせん断剛性が大きくなってしまうが、第2波板部の板厚を第1波板部の板厚よりも小さくしているので第2波板部のせん断剛性が第1波板部より小さくなり、波形鋼板耐震壁全体のせん断剛性が過大になることを防ぐことができる。
また、第1波板部に開口部を形成し易くするために第1波板部の山部の波長を大きくすると第1波板部のせん断剛性が大きくなってしまうが、第2波板部の板厚を第1波板部の板厚よりも小さくしているので第2波板部のせん断剛性が第1波板部より小さくなり、波形鋼板耐震壁全体のせん断剛性が過大になることを防ぐことができる。
また、第1波板部に開口部を形成し易くするために第1波板部の山部の波長を大きくすると第1波板部のせん断座屈強度が小さくなるので、波形鋼板耐震壁の限界塑性率が小さくなり、変形性能(振動エネルギー吸収能力)が低下してしまう。これに対して請求項6では、第1波板部の板厚を大きくすることにより第1波板部のせん断座屈強度の低下を低減することができる。
請求項7に記載の発明は、前記第1波板部は平面部を有し、該平面部に前記開口部が形成されている。
請求項7に記載の発明では、第1波板部は平面部を有している。そして、この平面部に開口部が形成されている。
よって、開口部が形成されるのは平面部なので、第1波板部に開口部を形成し易くなる。また、第1波板部に形成された開口部による断面欠損を当て板により補う場合、平らな当て板を用いることができるので、第1波板部に当て板を接合し易くなる。
請求項8に記載の発明は、前記開口部は、前記波形鋼板が前記周辺部材に取り付けられる現場で形成される。
請求項8に記載の発明では、波形鋼板が周辺部材に取り付けられる現場で開口部が形成されるので、現場での設備設計の変更等に柔軟に対応することができる。
請求項9に記載の発明は、請求項1〜8の何れか1項に記載の波形鋼板耐震壁の設計方法において、前記第1波板部に前記開口部を形成したときの前記波形鋼板耐震壁のせん断剛性が所定値になるように前記第2波板部のせん断剛性を設定する。
請求項9に記載の発明では、第1波板部に開口部を形成したときの波形鋼板耐震壁のせん断剛性が所定値になるように第2波板部のせん断剛性を設定して波形鋼板耐震壁の設計を行う。
よって、開口部を設けることによって損なわれる耐震壁の設計自由度を小さく抑えて、建築物全体の構造設計から求められるせん断剛性を有するように波形鋼板耐震壁の設計を行うことができる。
請求項10に記載の発明は、請求項1〜8の何れか1項に記載の波形鋼板耐震壁を有する建築物である。
請求項10に記載の発明では、開口部を設けることによって損なわれる耐震壁の設計自由度を小さく抑えることができる波形鋼板耐震壁を有する建築物を構築することができる。
本発明は上記構成としたので、開口部を設けることによって損なわれる耐震壁の設計自由度を小さく抑えることができる。
図面を参照しながら、本発明の波形鋼板耐震壁、波形鋼板耐震壁の設計方法、及び建築物を説明する。なお、本実施形態では、鉄筋コンクリート造の建築物に本発明を適用した例を示すが、鉄骨造、鉄骨鉄筋コンクリート造、CFT造(Concrete-Filled Steel Tube:充填形鋼管コンクリート構造)、それらの混合構造など、さまざまな構造や規模の建築物に対して適用することができる。
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1の正面図に示すように、地盤12上に建てられた鉄筋コンクリート造の建築物10の架構を構成する鉄筋コンクリート製の柱14及び梁16によって、周辺部材18が形成されている。そして、周辺部材18に波形鋼板耐震壁22が取り付けられている。
また、図1の2階と3階の間の層20の平面図である図2に示すように、層20には耐震壁としての4つの波形鋼板耐震壁22が配置されている。
図3の正面図、及び図3のA−A矢視図である図4に示すように、波形鋼板耐震壁22は、波形鋼板24、鋼製の水平プレート26A、26B、及び鋼製の鉛直プレート28A、28Bによって構成されている。なお、図3、4では、説明の都合上、波形鋼板24の上方に配置された梁16を梁16A、下方に配置された梁16を梁16Bとし、波形鋼板24の左側に配置された柱14を柱14A、右側に配置された柱14を柱14Bとしている。
波形鋼板24は、第1波板部30と第2波板部32とを有している。第1波板部30及び第2波板部32は、山部によって構成されている。山部の断面形状は略台形となっており、波形鋼板24を正面視したときに、この山部が前側(図4の波形鋼板24の左側)と後側(図4の波形鋼板24の右側)とに上下で交互に凸となっている。すなわち、波形鋼板24は、波形状の断面を有する波板である。そして、周辺部材18に波形鋼板耐震壁22が取り付けられた状態において、波形鋼板24に形成される折り筋が略水平となっている。
また、第1波板部30の山部の頂部に位置する平面部には、開口部34が形成されている。
第2波板部32の山部の波長は、第1波板部30の山部の波長よりも小さくなっている。すなわち、第2波板部32のせん断剛性を、第1波板部30のせん断剛性よりも小さくして、第1波板部30と第2波板部32とのせん断剛性を異ならせている。
水平プレート26A、26Bは、波形鋼板24の上下端辺に沿って配置され、波形鋼板24の上下端辺に溶接等によって固定されている。鉛直プレート28A、28Bは、波形鋼板24の左右端辺に沿って配置され、波形鋼板24の左右端辺に溶接等によって固定されている。水平プレート26A、26Bの端部と、鉛直プレート28A、28Bの端部とは溶接等によって接合され、水平プレート26A、26B、及び鉛直プレート28A、28Bが一体となって枠部材36を形成している。すなわち、波形鋼板24の周縁部に枠部材36が取り付けられている。
枠部材36には頭付きスタッド38が波形鋼板24の周縁部に沿って等間隔に複数配置され、溶接によって枠部材36に取り付けられている。頭付きスタッド38は、柱14A、14B、及び梁16A、16Bの内部に埋め込まれており、これによって周辺部材18と波形鋼板24とが一体化されている。そして、枠部材36及び頭付きスタッド38からなる取り付け構造により、周辺部材18と波形鋼板24との間で力が伝達される。
図3、4、図5(c)の正面図、及び図5(c)のB−B矢視図である図5(a)に示すように、第1波板部30の平面部の鋼板面には、第1波板部30に形成された開口部34と連通する開口部40を有する鋼製の当て板42が溶接によって接合されている。このようにして、開口部34の左右の板厚を局所的に大きくし、開口部34による第1波板部30の断面欠損を補う。なお、当て板は、この当て板の水平断面積が、開口部34による第1波板部30の断面欠損面積以上となるように設ければよく、例えば、図5(b)に示すように、第1波板部30の両側に、開口部46を有する当て板44を設けるようにしてもよい。
次に、本発明の第1の実施形態の作用及び効果について説明する。
第1の実施形態では、図3に示すように、第1波板部30に形成された開口部34を設備開口や窓等とすることができる。すなわち、波形鋼板耐震壁22に設備開口や窓等を設けることができる。
また、当て板42を第1波板部30に接合するだけの簡単な方法で、第1波板部30に開口部34を形成することによるせん断耐力の低下を低減することができる。
また、開口部34付近のみに当て板42を設ければよいので、材料費や施工費の低コスト化を図ることができる。
また、当て板の水平断面積が、開口部34による第1波板部30の断面欠損面積以上となるように当て板の形状や寸法を設定するだけでよいので、さまざまな大きさの開口部に容易に対応することができる。
また、第1波板部30に開口部34を形成することによって波形鋼板24の波形状や板厚が特定されるのは第1波板部30なので、第2波板部32は自由に設計することが可能となる。これにより、開口部を設けることによって損なわれる耐震壁の設計自由度を小さく抑えることができる。
また、第1波板部30の山部の波長を第2波板部32の山部の波長よりも大きくすることによって、第1波板部30の波板形状が緩やかになる。これにより、当て板を接合し易くすることができる。
しかし、第1波板部30の山部の波長を大きくすると第1波板部30のせん断剛性が大きくなる。また、これによって低下する第1波板部30のせん断座屈強度を高めるために第1波板部30の板厚を大きくすると第1波板部30のせん断剛性がさらに大きくなってしまう。
これに対して波形鋼板耐震壁22では、第2波板部32の山部の波長を第1波板部30の山部の波長よりも小さくしているので第2波板部32のせん断剛性が第1波板部30より小さくなり、波形鋼板耐震壁22全体のせん断剛性が過大になることを防ぐことができる。
ここで、波形鋼板の山部の波長を大きくして山部の数を少なくした波形鋼板(以下、「山部が疎の波形鋼板」とする)と、波形鋼板の山部の波長を小さくして山部の数を多くした波形鋼板(以下、「山部が密の波形鋼板」とする)のせん断弾性剛性Gwの違いについて説明する。
図6に示すように、波形鋼板112の断面形状の長さa、b、c、角度θ、及び厚さtを定めた場合、長さ効率η=(a+c)/(a+b)となる。よって、山部が疎の波形鋼板の長さaをa1とし、山部が密の波形鋼板の長さaをa2とし(a1とa2の関係は、a1>a2)、長さb、c、及び厚さtを同じにしたときに、山部が疎の波形鋼板の長さ効率η1から山部が密の波形鋼板の長さ効率η2を引いた値は、b>cより、η1−η2=((a1−a2)×(b−c))/((a1+b)/(a2+b))>0となる。
また、波形鋼板112を形成する鋼材のせん断弾性係数をGとすると、せん断弾性剛性Gw=η×Gとなるので、先に求めたη1>η2の関係から、山部が密の波形鋼板のせん断弾性剛性よりも山部が疎の波形鋼板のせん断弾性剛性の方が大きく(固く)なる。
また、開口部34が形成されるのは波形鋼板24の平面部なので、第1波板部30に開口部34を形成し易くなる。さらに、第1波板部30に形成された開口部34による断面欠損を当て板により補う場合、平らな当て板を用いることができるので、第1波板部30に当て板を接合し易くなる。
以上、本発明の第1の実施形態について説明した。
なお、第1の実施形態では、第1波板部30の1つの山部に形成された開口部34の断面欠損を補うように1つの山部に当て板42を接合した例を示したが、例えば、図7に示すように、複数の山部を跨るように当て板48を接合するようにしてもよい。
また、第1の実施形態では、当て板42を鋼製としたが、開口部34の形成による断面欠損を補うことができる部材であればよく、プラスチックや木材等の他の材料によって形成された部材であってもよいし、ドーナツ形状の平板等の他の形状の部材であってもよい。また、これらの部材をボルト接合等の他の方法で第1波板部に接合してもよい。当て板42は、第1波板部30を形成する材料と同じ材料によって形成するのが好ましい。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態は、第1の実施形態の第1波板部30と第2波板部32との板厚を異ならせたものである。したがって、第2の実施形態の説明において、第1の実施形態と同じ構成のものは、同符号を付すると共に、適宜省略して説明する。
図8の正面図、及び図8のC−C矢視図である図9に示すように、周辺部材18に波形鋼板耐震壁50が取り付けられている。
波形鋼板耐震壁50は、波形鋼板52、鋼製の水平プレート26A、26B、及び鋼製の鉛直プレート28A、28Bによって構成されている。
波形鋼板52は、第1波板部54と第2波板部56とを有している。第1波板部54には、開口部58が形成されている。
第1波板部54及び第2波板部56は、山部によって構成されている。山部の断面形状は略台形となっており、波形鋼板52を正面視したときに、この山部が前側(図9の波形鋼板52の左側)と後側(図9の波形鋼板52の右側)とに上下で交互に凸となっている。すなわち、波形鋼板52は、波形状の断面を有する波板である。そして、周辺部材18に波形鋼板耐震壁50が取り付けられた状態において、波形鋼板52に形成される折り筋が略水平となっている。
第1波板部54の山部の波長は、第2波板部56の山部の波長とほぼ等しくなっており、第1波板部54の板厚は第2波板部56の板厚よりも大きくなっている。すなわち、第2波板部56のせん断剛性を、第1波板部54のせん断剛性よりも小さくして、第1波板部54と第2波板部56とのせん断剛性を異ならせている。
水平プレート26A、26B、鉛直プレート28A、28Bは、第1の実施形態の波形鋼板24に対して施したのと同様に、波形鋼板52の上下及び左右の端辺に沿って配置され、これらの端辺に溶接等によって固定されている。
次に、本発明の第2の実施形態の作用及び効果について説明する。
第2の実施形態では、図9に示すように、第1波板部54の板厚を第2波板部56の板厚よりも大きくすることにより、当て板を用いないで、第1波板部54に形成された開口部58による断面欠損を補うことができる。
また、第1波板部54の板厚に余裕を持たせておけば、波形鋼板耐震壁50を設置する現場で、開口部58の大きさや形状等を変更することや、新たな開口部を形成することができる。
また、第1波板部54の板厚を大きくすると第1波板部54のせん断剛性が大きくなってしまうが、第2波板部56の板厚を第1波板部54の板厚よりも小さくしているので第2波板部56のせん断剛性が第1波板部54より小さくなり、波形鋼板耐震壁50全体のせん断剛性が過大になることを防ぐことができる。
また、第1波板部54に開口部を形成し易くするために第1波板部54の山部の波長を大きくすると第1波板部54のせん断剛性が大きくなってしまうが、第2波板部56の板厚を第1波板部54の板厚よりも小さくしているので第2波板部56のせん断剛性が第1波板部54より小さくなり、波形鋼板耐震壁50全体のせん断剛性が過大になることを防ぐことができる。
また、第1波板部54に開口部を形成し易くするために第1波板部54の山部の波長を大きくすると第1波板部54のせん断座屈強度が小さくなるので、波形鋼板耐震壁の限界塑性率が小さくなり、変形性能(振動エネルギー吸収能力)が低下してしまう。これに対して波形鋼板耐震壁50では、第1波板部54の板厚を大きくすることにより第1波板部54のせん断座屈強度の低下を低減することができる。
以上、本発明の第2の実施形態について説明した。
なお、第2の実施形態では、第1波板部54の山部の頂部に位置する平面部の上下両方向に渡って開口部58が形成されている例(図9を参照のこと)を示したが、図10(a)、(b)に示す波形鋼板耐震壁60、68の波形鋼板76、78のように、第1波板部62、70の山部の波長を第2波板部64、72の山部の波長をよりも大きくして、第1波板部62、70の山部の頂部に位置する平面部のみに開口部66、74を形成してもよい。
図10(a)では、第1波板部62の鋼板の厚さが、第2波板部64の鋼板の厚さよりも大きくなっており、図10(b)では、第1波板部70及び第2波板部72の鋼板の厚さが、第1波板部62の鋼板の厚さと等しくなっている。
第2の実施形態では、第1波板部の板厚を大きくすることにより開口部による断面欠損を補うので、当て板を設けなくてもよい。よって、第1波板部の山部の頂部に位置する平面部の上下両方向に渡って開口部を形成しても施工性が大きく低下することはない。
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
第3の実施形態は、第1の実施形態の第1波板部30にリブを設けたものである。したがって、第3の実施形態の説明において、第1の実施形態と同じ構成のものは、同符号を付すると共に、適宜省略して説明する。
図11の正面図に示すように、周辺部材18に波形鋼板耐震壁80が取り付けられている。波形鋼板24、開口部34、当て板42の構成は第1の実施形態の波形鋼板耐震壁22と同じなので説明を省略する。なお、図11では、第1波板部30に、3つの開口部34が横に並んで3つ形成され、これらの開口部34に対して当て板42がそれぞれ設けられている。以下の説明では、第1波板部30の横方向略中央に形成されている開口部34付近に設けられるリブについて説明するが、他の開口部34付近にも同様の配置でリブが設けられている。
図11の第1波板部30の横方向略中央に形成されている開口部34付近を裏側から見た背面図である図12(b)、及び図12(b)のD−D矢視図である図12(a)に示すように、第1波板部30には、この第1波板部30に形成された開口部34の左右両側にリブとしての鋼板製のプレート82が設けられている。プレート82は、材軸が第1波板部30に形成された折り筋と交差するように設けられている。
また、図12(a)に示すように、プレート82は、波形鋼板24の山部の内壁形状とほぼ同じ形状の台形となっており、溶接によってプレート82の端部が波形鋼板24の鋼板面に接合されている。
次に、本発明の第3の実施形態の作用及び効果について説明する。
第3の実施形態では、図12(a)、(b)に示すように、リブとしてのプレート82により第1波板部30に剛性を付与することができ、第1波板部30がプレート82によって拘束されてせん断座屈長さが短くなる。これらにより、第1波板部30のせん断座屈強度を大きくすることができる。
例えば、当て板を接合し易くするために、第1波板部の山部の波長を第2波板部の山部の波長よりも大きくして第1波板部の波板形状を緩やかにしたり、又は第1波板部の山部の頂部に位置する平面部の面積を大きくしたりすると、第1波板部のせん断座屈強度が小さくなるので、波形鋼板耐震壁の限界塑性率が小さくなり、変形性能(振動エネルギー吸収能力)が低下してしまう。
これに対して波形鋼板耐震壁80では、プレート82によって第1波板部30のせん断座屈強度の低下を低減することができる。
以上、本発明の第3の実施形態について説明した。
なお、第3の実施形態では、リブを鋼製のプレート82としたが、第1波板部30に剛性を付与し、第1波板部30を拘束してせん断座屈長さを短くできる部材であればよく、プラスチックや木材等の他の材料によって形成された部材であってもよいし、アングル等の他の形状の部材であってもよい。また、これらの部材をボルト接合等の他の方法で第1波板部に接合してもよい。
以上、本発明の第1〜第3の実施形態について説明した。
なお、第1〜第3の実施形態で示した波形鋼板24、52、76、78を構成する第1波板部30、54、62、70、及び第2波板部32、56、64、72は、1つの山部で構成してもよいし、複数の山部で構成してもよい。
また、第1波板部や第2波板部を複数の山部で構成する場合、これらの山部の形状、高さ、波長、板厚、及びこれらの山部を形成する材料を異ならせてもよい。例えば、図13(a)の側断面図に示すように、波形鋼板84を第1波板部86及び第2波板部88によって構成するようにしてもよい。
また、例えば、第1波板部を形成する材料と、第2波板部を形成する材料を異ならせて、この材料の違いにより第1波板部と第2波板部のせん断剛性を異ならせたり、第2波板部のせん断剛性を第1波板部のせん断剛性よりも小さくしてもよい。
また、第1波板部30、54、62、70は、建築物の天井裏に位置するようにしてもよい。
また、第1〜第3の実施形態では、波形鋼板24、52、76、78を、1つの第1波板部30、54、62、70と、1つの第2波板部32、56、64、72とによって構成した例を示したが、第1波板部及び第2波板部の少なくとも一方を複数にしてもよい。例えば、図13(b)の側断面図に示すように、波形鋼板90を第1波板部92及び第2波板部94、96によって構成するようにしてもよいし、図13(c)の側断面図に示すように、波形鋼板98を第1波板部100、102、及び第2波板部104によって構成するようにしてもよい。
また、第1〜第3の実施形態では、波形鋼板24、52、76、78を、波形鋼板を正面視したときに略台形の断面形状を有する山部が前側と後側とに上下で交互に凸となる波板とした例を示したが、図14(a)〜(c)に示すように、波形鋼板24、52、76、78の側断面形状は波形であればよく、山部の断面形状を、矩形、山形、円弧等としてもよい。
また、第1〜第3の実施形態では、周辺部材18に波形鋼板耐震壁22、50、60、68、80が取り付けられた状態において、波形鋼板24、52、76、78の折り筋が略水平に形成されている例を示したが、周辺部材18に波形鋼板耐震壁22、50、60、68、80が取り付けられた状態において、波形鋼板24、52、76、78の折り筋が略鉛直に形成されていてもよい。
また、第1〜第3の実施形態で示した波形鋼板耐震壁22、50、60、68、80は、建築物10のどの層に配置してもよいし、どのような平面配置にしてもよい。建築物10の耐震性や構造安全性等を考慮して波形鋼板耐震壁22、50、60、68、80の配置を適宜決めればよい。
また、第1〜第3の実施形態では、柱14、14A、14B、及び梁16、16A、16Bによって周辺部材18を構成した例を示したが、周辺部材は、柱と床スラブとによって構成されていてもよい。また、周辺部材は、柱のみ、梁のみ、又は床スラブのみであってもよい。例えば、周辺部材を梁のみとした場合には、上下の梁の間に波形鋼板耐震壁が配置され(上下の梁の間に波形鋼板耐震壁が取り付けられ)、波形鋼板耐震壁の左右には隙間や空間が形成されていることになる。
また、第3の実施形態で示したリブとしてのプレート82は、第1又は第2の実施形態に用いてもよい。
また、第1及び第2の実施形態では、波形鋼板24、52、76、78に1つの開口部34、58を形成した例を示し、第3の実施形態では、波形鋼板24に3つの開口部34を形成した例を示したが、開口部は、波形鋼板にいくつ形成してもよいし、複数の山部に渡って形成してもよい。また、開口部の形状や大きさは適宜決めればよい。
また、第1〜第3の実施形態で示した波形鋼板耐震壁22、50、60、68、80の設計の一例としては、第1波板部30、54、62、70に開口部を形成したときの波形鋼板耐震壁22、50、60、68、80のせん断剛性が所定値になるように第2波板部32、56、64、72のせん断剛性を設定して波形鋼板耐震壁22、50、60、68、80の設計を行う。
ここでの所定値は、建築物の各階層の変形制限を満足する剛性、同じ階層に配置された波形鋼板耐震壁以外の他の耐震要素との剛性バランスを考慮した剛性、建築物の偏心を小さくする剛性など、適宜設定すればよい。
このような波形鋼板耐震壁の設計を行えば、開口部を設けることによって損なわれる波形鋼板耐震壁の設計自由度を小さく抑えて、建築物全体の構造設計から求められるせん断剛性を有するように波形鋼板耐震壁の設計を行うことができる。
また、第1〜第3の実施形態では、第2波板部32、56、64、72のせん断剛性を第1波板部30、54、62、70のせん断剛性よりも小さくすることにより、波形鋼板耐震壁22、50、60、68、80全体のせん断剛性が過大になることを防ぐことを示したが、第1〜第3の実施形態によって開口部による断面欠損を補う場合、第1波板部30、54、62、70のせん断剛性は大きくなるので、第2波板部32、56、64、72のせん断剛性を第1波板部30、54、62、70のせん断剛性よりも小さくする構成は、開口部による断面欠損を補うさまざまな方法に有効である。
また、第1〜第3の実施形態で示した開口部34、58は、波形鋼板24、52、76、78を製作する工場で形成してもよいし、波形鋼板24、52、76、78が周辺部材18に取り付けられる建築物の施工現場で形成してもよい。開口部34、58を建築物の施工現場で形成すれば、施工現場での設備設計の変更等に柔軟に対応することができる。
また、第1〜第3の実施形態で示した波形鋼板耐震壁22、50、60、68、80は、普通鋼(例えば、SM490、SS400等)によって波形鋼板が形成されている耐震壁であってもよいし、波形鋼板が低降伏点鋼で形成され地震等により降伏する波形鋼板の履歴エネルギーによって振動エネルギーを吸収する、いわゆる制振壁であってもよい。
以上、本発明の第1〜第3の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものでなく、第1〜第3の実施形態を組み合わせて用いてもよいし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
(実施例)
本実施例では、波形鋼板の基本モデルと、第1〜第3の実施形態で示した方法で波形鋼板の開口部の断面欠損を補った波形鋼板(モデル1、2)との力学的性能を比較した結果を示す。
図15の正面図に示すように、基本モデルを、SS400(材料強度F=235N/mm)によって形成され、20の山部から構成された波形鋼板106とする。表1の基本モデルの欄に波形鋼板106の形状の仕様が示されている。
表1に示されているa、b、c、h、tは、図6において寸法線で示したa、b、c、h、tと同じである。また、Lxを波形鋼板106の横幅とし、Lyを波形鋼板106の高さとしている。
表1に示すように波形鋼板106の形状を設定した場合、この波形鋼板106の力学的性能は表2の基本モデルの欄に示した値になる。表のApは水平断面積、τyはせん断降伏応力度、τelは弾性局部座屈強度、τeallは弾性全体座屈強度、Gwはせん断弾性剛性、Ewは弾性軸剛性、μは限界塑性率、Rmは変形性能を示している。
また、材料強度と構造要素の形状・寸法のばらつきを考慮した係数βmを1.1とすると、せん断降伏耐力Qyは、Qy=βm×τy×Ap=1.1×136×22,400=3,351kNとなり、弾性せん断座屈耐力Qcrは弾性局部座屈強度で決定されるので、Qcr=Ap×τel=(22,400×1,570)/1000=35,168kNとなる。このように、弾性せん断座屈耐力Qcrは、せん断降伏耐力Qyの10倍以上の値となる。
ここで、100φの開口部を1つ形成した波形鋼板108を考えて、これをモデル1とする。波形鋼板108の形状の仕様は、表1のモデル1の欄に示されている。波型鋼板108も波形鋼板106と同様にSS400(材料強度F=235N/mm)によって形成されているものとする。
表1に示すように波形鋼板108の形状を設定した場合、この波形鋼板108の力学的性能は表2のモデル1の欄に示した値になる。
また、材料強度と構造要素の形状・寸法のばらつきを考慮した係数βmを1.1とすると、せん断降伏耐力Qyは、Qy=βm×τy×Ap=1.1×136×22,400=3,351kNとなり、弾性せん断座屈耐力Qcrは弾性局部座屈強度で決定されるので、Qcr=Ap×τel=(22,400×851)/1000=19,062kNとなる。
波形鋼板106に比べて波形鋼板108の弾性局部座屈強度τelは大きく減ったが、Qy<Qcrの関係を満たすので、せん断耐力は、水平断面積Apに起因するせん断降伏耐力Qyによって決まる。すなわち、波形鋼板106と波形鋼板108のせん断耐力は同じになる。
よって、波形鋼板108(モデル1)の波形鋼板108に形成された開口部の断面欠損を、第1の実施形態の図5(a)〜(c)で示した当て板による方法で補えば、波形鋼板106(基本モデル)と同様のせん断耐力を有する波形鋼板にすることができる。
波形鋼板108(モデル1)の限界塑性率μは、波形鋼板106(基本モデル)の1/2程度になり変形性能Rmは小さくなるので、波形鋼板のエネルギー吸収能力は低下してしまうが、建築物の構造上、この程度の限界塑性率で十分な場合には、開口部の断面欠損を当て板により補う方法が有効であることがわかる。
波形鋼板108(モデル1)では、値aを全て110mmとしたが、このようにすると波形鋼板108全体のせん断弾性剛性が波形鋼板106(基本モデル)全体のせん断弾性剛性よりも大きくなってしまう。このような場合には、開口部付近の領域の波形鋼板108においては値aを110mmとし、他の領域の波形鋼板108においては値aを75mmとして、波形鋼板106(基本モデル)全体のせん断弾性剛性とほぼ等しい値になる(構造上、最適なせん断弾性剛性を有する)ように調整してもよい。
次に、下部の板厚よりも上部の板厚を大きくし、この板厚を大きくした部分に100φの開口部を1つ形成した波形鋼板110を考えて、これをモデル2とする。波形鋼板110の形状の仕様は、表1のモデル2の欄に示されている。波型鋼板110も波形鋼板106、108と同様にSS400(材料強度F=235N/mm)によって形成されているものとする。
波形鋼板110(モデル2)の水平断面積Apを波形鋼板106(基本モデル)の水平断面積Apと同等にするためには、(3.2mm×7,000mm)/4.5mm=5,000mmより、波形鋼板110に開口部を形成した状態でこの波形鋼板110の横方向において最低5,000mm分の鋼板が残っていればよい。すなわち、最大2,000φの開口部を理論上は形成することができる。実際には、100φ程度の開口部を中心間距離で3D〜4D(=300mm〜400mm)程度離して設置すればよい。
表1に示すように波形鋼板110の形状を設定した場合、この波形鋼板110の力学的性能は表2のモデル2の欄に示した値になる。
そして、波形鋼板110全体としては、弾性局部座屈強度τel=1,570N/mm(=下部の弾性局部座屈強度の値)、弾性全体座屈強度τeall>1,777N/mm(=下部の弾性全体座屈強度の値)、限界塑性率μ>5.26(=下部の限界塑性率の値)となる。
また、弾性軸剛性Ew=137N/mm2となり、弾性水平剛性Gw=52,586N/mmとなる。
これにより、波形鋼板110(モデル2)は、波形鋼板106(基本モデル)とほぼ同様の力学的性能を有することが確認されたので、第2の実施形態の図9で示した方法を用いて開口部の断面欠損を補うことが有効であることがわかる。
次に、第3の実施形態の図12(a)、(b)で示したリブ(プレート82)の局部座屈性能向上効果について検証する。
例えば、波形鋼板108(モデル1)において、図12(a)、(b)の波形鋼板24の板厚tを3.2mm、当て板42の板厚を8mm、当て板42の横幅を140mm、高さを110mmとし、開口部34の左右に配置された2つのプレート82の中心間距離を150mmとした場合、弾性局部座屈強度τel=1,180N/mm、弾性全体座屈強度τeall=66,219N/mm、せん断弾性剛性Gw=58,143N/mm、弾性軸剛性Ew=128N/mm、限界塑性率μ=3.95、変形性能Rm=1/108となる。
このように、リブ(プレート82)を設けることによって、座屈強度(弾性局部座屈強度τel、及び弾性全体座屈強度τeall)が高くなり、変形性能Rmが向上することがわかる。
ここで、当て板42を設けずに、開口部34が形成されている波形鋼板24の山部の板厚tを3.8mmとすれば、弾性局部座屈強度τel=1,664N/mm、弾性全体座屈強度τeall=72,160N/mm、せん断弾性剛性Gw=58,143N/mm、弾性軸剛性Ew=180N/mm、限界塑性率μ=5.58、変形性能Rm=1/77となるので、開口部が形成されている部分の波形鋼板の板厚を大きくする第2の実施形態において、波形鋼板106(基本モデル)と同等の変形性能を確保できることがわかる。
なお、リブ(プレート82)を設けたり、波板鋼板の板厚を大きくしたりすることによってせん断弾性剛性Gwが大きくなって第1波板部が固くなる場合には、開口部が形成されている山部以外の山部の波長を小さくして波形鋼板の全体剛性を小さくすれば、建築物全体の構造設計から求められる最適な剛性に近づけることができる。
本発明の第1の実施形態に係る建築物を示す立面図である。 本発明の第1の実施形態に係る建築物を示す平面図である。 本発明の第1の実施形態に係る波形鋼板耐震壁を示す正面図である。 図3のA−A矢視図である。 本発明の第1の実施形態に係る波形鋼板耐震壁の開口部付近を示す説明図である。 本発明の第1の実施形態に係る波形鋼板の寸法を示す断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る波形鋼板耐震壁の変形例を示す側面図である。 本発明の第2の実施形態に係る波形鋼板耐震壁を示す正面図である。 本発明の第2の実施形態に係る波形鋼板耐震壁を示す側面図である。 本発明の第2の実施形態に係る波形鋼板耐震壁の変形例を示す側面図である。 本発明の第3の実施形態に係る波形鋼板耐震壁を示す正面図である。 本発明の第3の実施形態に係る波形鋼板耐震壁の開口部付近を示す説明図である。 本発明の実施形態に係る波形鋼板の変形例を示す側面図である。 本発明の実施形態に係る波形鋼板の変形例を示す側面図である。 本発明の実施例に係る波形鋼板を示す正面図である。 従来の波形鋼板耐震壁を示す正面図である。 当て板による補強方法を示す説明図である。 従来の耐震壁を示す正面図である。
符号の説明
10 建築物
18 周辺部材
22、50、60、68、80 波形鋼板耐震壁
24、52、76、78、84、90、98 波形鋼板
30、54、62、70、86、92、100、102 第1波板部
32、56、64、72、88、94、96、104 第2波板部
34、58、66、74 開口部
42、44、48 当て板
82 プレート(リブ)

Claims (10)

  1. 架構を構成する周辺部材に取り付けられる波形鋼板を備え、
    前記波形鋼板は、開口部が形成された第1波板部と、前記第1波板部とせん断剛性の異なる第2波板部とを有する波形鋼板耐震壁。
  2. 前記第2波板部は、前記第1波板部よりもせん断剛性が小さい請求項1に記載の波形鋼板耐震壁。
  3. 前記第1波板部及び前記第2波板部は、前記第1波板部及び前記第2波板部を正面視したときに前側と後側とに上下で交互に凸となる山部によって構成され、
    前記第2波板部の山部の波長は、前記第1波板部の山部の波長よりも小さい請求項1又は2に記載の波形鋼板耐震壁。
  4. 前記第1波板部に接合されて前記開口部による前記第1波板部の断面欠損を補う当て板を有する請求項1〜3の何れか1項に記載の波形鋼板耐震壁。
  5. 前記第1波板部に形成された折り筋と材軸とが交差するように前記第1波板部にリブが設けられている請求項1〜4の何れか1項に記載の波形鋼板耐震壁。
  6. 前記第2波板部の板厚は、前記第1波板部の板厚よりも小さい請求項1〜5の何れか1項に記載の波形鋼板耐震壁。
  7. 前記第1波板部は平面部を有し、該平面部に前記開口部が形成されている請求項1〜6の何れか1項に記載の波形鋼板耐震壁。
  8. 前記開口部は、前記波形鋼板が前記周辺部材に取り付けられる現場で形成される請求項1〜7の何れか1項に記載の波形鋼板耐震壁。
  9. 請求項1〜8の何れか1項に記載の波形鋼板耐震壁の設計方法において、
    前記第1波板部に前記開口部を形成したときの前記波形鋼板耐震壁のせん断剛性が所定値になるように前記第2波板部のせん断剛性を設定する波形鋼板耐震壁の設計方法。
  10. 請求項1〜8の何れか1項に記載の波形鋼板耐震壁を有する建築物。
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