JP2014237964A - 壁パネル - Google Patents

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【課題】壁面に使用する鋼板の厚さを小さくすることで軽量化を図ることと、変形性能(エネルギー吸収性能)を高めることで耐震性能を向上することと、を両立することができる。
【解決手段】面材に使用される波形鋼板1Aのせん断降伏強度τy、弾性せん断全体座屈強度τo、及び弾性せん断局部座屈強度τlが0.16≦√(τy/min(τo,τl))≦1.0の関係を満たす壁パネルであって、波形鋼板1Aは、使用される鋼板が応力ひずみ関係において降伏棚を示さない材料である壁パネルを提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、建築構造物においてエネルギー吸収性能に優れた壁パネルに関する。
従来、地震や風によって構造物に生じる振動エネルギーを吸収し、構造物の応答を抑制し、制御する壁要素として、特許文献1に示されるような低降伏点鋼を用いて製作した波形鋼板を波形の筋を水平方向に向けた配置で壁板に使用した耐震壁、等が知られている。このような壁要素(壁パネル)は、リブあるいは波形形状により、面材の弾性せん断座屈を防止するとともに、面材に低降伏点鋼を用いることで早期にせん断降伏させ、塑性変形によるエネルギー吸収を期待したものである。
特許第4705759号公報
しかしながら、従来の壁要素では、以下のような問題があった。
すなわち、特許文献1に示す波形鋼板では、単に低降伏点鋼を用いており、面材が降伏した後の材料の剛性低下によって、せん断変形が進展するとともに、塑性座屈が発生することから、壁の耐力が低下するという問題があった。
そして、このような傾向は、面材の幅厚比(板幅/板厚)が大きいほど顕在化するため、壁の薄肉化や軽量化が難しくなる。つまり面材を薄肉にすると、塑性座屈が生じ易くなる。そのため、薄肉化・軽量化と性能確保とをバランスよく達成することができない現状があり、その点で改善の余地があった。
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、壁面に使用する鋼板の厚さを小さくすることで軽量化を図ることと、変形性能(エネルギー吸収性能)を高めることで耐震性能を向上することと、を両立することができる壁パネルを提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、本発明に係る壁パネルでは、面材に使用される波形鋼板のせん断降伏強度τy、弾性せん断全体座屈強度τo、及び弾性せん断局部座屈強度τlが(1)式の関係を満たす壁パネルであって、前記波形鋼板は、使用される鋼板が応力ひずみ関係において降伏棚を示さない材料であることを特徴としている。
Figure 2014237964
板要素において、弾性座屈強度σe(N/mm)に対する材料の降伏強度σy(N/mm)の比の平方根は、座屈のしやすさを示す指標であり、一般化幅厚比と呼ばれる。一般化幅厚比は、板厚tに対する板幅bの比として表現される幅厚比(b/t)と工学的に同じ概念に基づいており、平板要素における一般化幅厚比と幅厚比との関係は、ヤング率E(N/mm)、ポアソン比ν、載荷条件等に応じた座屈係数k、を用いた(2)式で表される。
Figure 2014237964
つまり、使用する材料の降伏強度σy(N/mm)とヤング率E(N/mm)が同じ場合、一般化幅厚比が大きいほど幅厚比も大きくなる、すなわち、板幅に対し板厚が薄くなり、座屈が生じやすくなることを意味する。
本発明では、前記一般化幅厚比の概念を面内せん断力が作用する波形鋼板に展開し、波形鋼板の弾性せん断座屈強度に対する波形鋼板のせん断降伏強度の比の平方根√(τy/min(τo,τl))を、せん断座屈に対する波形鋼板の一般化幅厚比として定義する。すなわち、本値が大きくなるほど、波形鋼板の全体寸法に対して板厚が薄くなり、せん断座屈が生じやすくなることを意味している。
本発明では、面材の弾性せん断座屈強度に対する面材のせん断降伏強度の比の平方根√(τy/min(τo,τl))を1.0以下に設定、すなわち面材の弾性せん断座屈強度を面材のせん断降伏強度以上となるように設定することで、面材のせん断降伏に先行して、面材の弾性せん断座屈が生じるのを防止することが可能となり、面材の塑性変形によるエネルギー吸収を実現することが可能となる。一方、面材の弾性せん断座屈強度に対する面材のせん断降伏強度の比の平方根√(τy/min(τo,τl))を0.16以上に設定、すなわち一般化幅厚比を大きく設定することで、波形鋼板の板厚を薄くすることができ、壁パネルの軽量化が図れる。この場合、応力ひずみ関係において降伏棚がある材料を使用する壁パネルでは、せん断降伏後の材料剛性がゼロとなって塑性座屈が誘発されてしまうのに対し、本発明の壁パネルでは、使用される鋼板が応力ひずみ関係において降伏棚を示さない材料であるので、せん断降伏後の材料剛性(応力ひずみ曲線における接線剛性)が急激に低下することがなく、塑性座屈が抑制され、変形性能、すなわちエネルギー吸収性能を向上させることができる。
したがって、板厚の薄い鋼板を用いた場合であっても、本発明の壁パネル自体のエネルギー吸収性能を強化することができるので、高い耐震性能で薄肉かつ軽量な耐震壁パネルを実現することが可能となる。
また、本発明に係る壁パネルでは、前記波形鋼板は、使用される鋼板の降伏強度が100N/mm以上195N/mm以下、かつ材料の加工硬化指数n値が0.22以上0.39以下であることが好ましい。
このような構成の壁パネルによれば、使用される鋼板の降伏強度が195N/mm以下で小さいとき、降伏強度が大きい鋼板を用いた場合よりも、早期に塑性変形能力を発揮することになるため、変形性能を向上させることができる。なお、その鋼板の降伏強度が100N/mm未満だと、壁としての耐力確保が困難になるので、鋼板の降伏強度の下限値は100N/mm以上となる。
しかも、材料の加工硬化指数n値が0.22以上と大きな波形鋼板を用いることで、材料の塑性化(材料剛性の低下)にともなう塑性座屈強度の低下を緩和することができる。そのため、波形鋼板において、塑性座屈の早期発生が抑制されるとともに、座屈後も加工硬化し易くなって塑性化領域が壁パネル全体に広がり易くなるので、急激な耐力低下が生じ難く、変形性能を向上させることができる。さらに、n値を0.39以下とすることにより、材料の製造が困難になるのを防止することができる。しかも、使用される鋼板の降伏強度が100N/mm以上195N/mm以下の場合には、n値が0.39より大きくなっても前記変形性能の向上が抑えられてしまうので、n値の最適範囲は0.39以下に設定されている。
このように、壁パネルの塑性座屈の発生を抑制するために好適な加工硬化指数(n値)の上限値及び下限値を求め、材料を適正化した波形鋼板を使用することで、薄板かつ軽量で、変形性能(エネルギー吸収性能)をより確実に向上させた壁パネルを実現することができる。また、前記の好適範囲内で大きなn値の材料を壁パネルに用いることで、座屈が発生した場合であっても、より塑性化領域が広がりやすくなり、耐震性能と加工性の両面で有利となるという効果を奏する。
また、本発明に係る壁パネルでは、前記波形鋼板は、使用される鋼板のランクフォード値(r値)が1.1以上であることが好ましい。
また、本発明に係る壁パネルでは、前記波形鋼板は、使用される鋼板のランクフォード値(r値)が1.3以上であることがより好ましい。
また、本発明に係る壁パネルでは、前記波形鋼板は、断面形状が略矩形状であることが好ましい。
また、本発明に係る壁パネルでは、前記波形鋼板は、波筋が水平方向に配置されていることが好ましい。
本発明の壁パネルによれば、面材が先行降伏した後、早期に局部破壊が発生することが懸念される薄板を用いた壁パネルであっても、変形性能(エネルギー吸収性能)を確保することが可能となる。そのため、波形鋼板の厚さを小さくすることで軽量化を図ることと、変形性能を高めることで耐震性能を向上することと、を両立することができるという効果を奏する。
本発明の実施の形態による壁パネルの一部構成を示す斜視図である。 波形鋼板における真応力−真ひずみ曲線を示す図である。 波形鋼板における加工硬化指数n値の影響を示す図である。 波形鋼板における波形形状の影響を示す図である。 座屈後の塑性化領域の広がり状態を示す壁パネルの斜視図であって、(a)は塑性化領域が局所化した状態の図、(b)は面全体が塑性化した状態の図である。 波形鋼板の断面寸法を説明するための図である。
以下、本発明の実施の形態による壁パネルについて、図面に基づいて説明する。
図1に示す本実施の形態による壁パネル1は、例えば建物(建築構造物)の耐震壁に用いられ、面内せん断力に抵抗する波形鋼板1Aと、この波形鋼板1Aを囲んで取り付けられた枠体1Bとを備えている。波形鋼板1Aには好適な部材形状、及び材料により選定されたものが採用されている。枠体1Bは平鋼からなる枠材が四周枠組みされて構成されており、波形鋼板1Aに溶接により固定されている。なお、枠体1Bは、平鋼で構成される場合に限定されるものではなく、波形鋼板1Aに先行して崩壊しないために十分な耐力を有していれば、平鋼以外の形状や材質を有して構成されてもよく、また、四周枠組みされた構成に限定されず、四周いずれかの枠材を適宜省略してもよい。さらに、波形鋼板1Aと枠体1Bとの固定方法は、溶接に限定されるものではなく、壁パネル1に作用する面内せん断力を相互に伝達することが可能であれば、ボルトやビス等の他の方法を用いて接合してもよい。
壁パネル1は、この面材に使用する波形鋼板1Aが、せん断降伏強度τy、弾性せん断全体座屈強度τo、及び弾性せん断局部座屈強度τlが(1)式の関係を満足するように決められている。
ここで、せん断降伏強度τyは、材料によって決定され、材料の降伏強度を√3で除して算出される。弾性せん断全体座屈強度τoは、波形鋼板1Aを直交異方向性平板とみなした既往の座屈式、またはFEMによる座屈固有値解析から算出される。弾性せん断局部座屈強度τlは、波形鋼板1Aの平坦部(帯板要素)に対し、既往の平板座屈式またはFEMによる座屈固有値解析を適用して算出したものである。
Figure 2014237964
そして、波形鋼板1Aは、使用される鋼板が引張試験により得られる応力π−ひずみe曲線の関係において降伏棚を示さない材料のものが使用されている。前記の応力π−ひずみe曲線を、真応力σ−真ひずみε曲線に直した図2において、σyは初期降伏強度(N/mm)、ΔEtは接線剛性(N/mm)を示している。
また、波形鋼板1Aは、使用される鋼板の降伏強度が100N/mm以上195N/mm以下、かつ図3に示すように、面材の材料の加工硬化指数n値が0.22以上0.39以下に設定されている。
さらに、本実施の形態の壁パネル1は、断面形状が略矩形状の波形鋼板1Aを面材に用いており、波形鋼板1Aの波筋が水平方向に配置されている。
波形鋼板1Aは、使用される鋼板のランクフォード値(r値)が1.1以上(好ましくは1.3以上)である。
なお、壁パネル1の断面形状は、フランジとウェブとのなす角度で60〜120度であることが好ましく、80〜100度であることがより好ましい。これは、図4の波形形状の効果に示すように、波形鋼板の断面形状が三角、丸波、台形、矩形の順で塑性率が高くなっており、本実施の形態の波形鋼板1Aのように、フランジとウェブとのなす角度が90度の場合(すなわち矩形断面)がもっとも塑性率が高くなっていることからも確認できる。
次に、上述した壁パネル1の作用について、図1などに基づいて詳細に説明する。
本実施の形態の壁パネル1では、波形鋼板1Aの一般化幅厚比が前記(1)式の右辺を満たすため、すなわち、面材の弾性せん断座屈強度が面材のせん断降伏強度以上となるため、面材のせん断降伏に先行して、面材の弾性せん断座屈が生じるのを防止することができ、面材の塑性変形によるエネルギー吸収を実現することが可能となる。
そして、本発明の壁パネル1では、波形鋼板1Aに使用される鋼板が応力ひずみ関係において降伏棚を示さない材料であるので、せん断降伏後の材料剛性(図2における接線剛性ΔEt)が急激に低下することがなく、塑性座屈が抑制さるため、変形性能、すなわちエネルギー吸収性能を向上させることができる。そのため、波形鋼板1Aの一般化幅厚比が前記(1)式の左辺を満たす範囲、すなわち一般化幅厚比が大きく軽量であるが、塑性せん断座屈の発生が懸念されるため従来は変形性能の確保が困難であった範囲まで、板厚を薄くすることが可能となり、壁パネルを軽量化することができる。
表1に、変形性能および軽量性の調査を目的に実施した、数値解析による予備実験の結果を示す。ここでは、波形鋼板の一般化幅厚比と降伏棚の有無を実験変数としている。表1中の変形性能および軽量性の評価は、「◎」がとくに優、「○」は優、「○△」が良、「△」可、「×」が不可をそれぞれ示しており、「△」以上の評価のものが必要性能を満足すると評価される。表1から明らかなように、軽量性は、波形鋼板の全体寸法および使用する材料の降伏強度が同じ場合は、一般化幅厚比が大きいほど評価が高くなる傾向にある。一方、変形性能については、一般化幅厚比が小さいほど評価が高くなる傾向にある。ただし、使用する材料が降伏棚を有する場合においては、一般化幅厚比が0.16以上の場合には塑性せん断座屈が早期に発現するため変形性能が不可となるが、降伏棚を示さない材料の場合には、一般化幅厚比が0.16以上であっても塑性せん断座屈が生じ難く、変形性能は可以上となっている。
Figure 2014237964
すなわち、応力ひずみ関係において降伏棚を有する材料を使用する壁パネルでは、せん断降伏後の材料剛性がゼロとなって塑性せん断座屈が誘発されるので、変形性能を確保するためには一般化幅厚比を0.16よりも小さく設定する必要があり、板厚あるいは断面寸法を大きくして波形鋼板の弾性せん断座屈強度を大きくしなければならず、壁パネルの軽量化を図ることが困難であった。これに対して、本実施の形態の壁パネル1では、使用される鋼板が応力ひずみ関係において降伏棚を示さない材料であり、せん断降伏後の材料剛性(接線剛性)が急激に低下することがないので、一般化幅厚比が0.16以上であれば、塑性座屈を抑制することが可能となり、変形性能、すなわちエネルギー吸収性能を確保しつつ、壁パネルの軽量化を図ることができるという利点がある。
また、本実施の形態の壁パネル1では、使用される鋼板の降伏強度が195N/mm以下に設定されているため、早期に塑性変形能力を発揮することができる。すなわち、降伏強度が大きい材料を用いた場合のように、塑性変形を発揮する際の強度が大きくなるために、板厚を含む各部寸法を大きくして波形鋼板の弾性せん断座屈強度を大きくする必要がないため、壁パネルの軽量化と変形性能の向上を図ることができるという利点がある。なお、その鋼板の降伏強度を100N/mm以上確保することで、建物の設計において壁に求められる耐力を確保し易くなるので、設計の自由度も確保することが可能となる。
しかも、図3に示すように、材料の加工硬化指数n値が0.22以上と大きな波形鋼板を用いることで、材料の塑性化(材料剛性の低下)にともなう塑性座屈強度の低下を緩和することができる。そのため、波形鋼板1Aにおいて、塑性座屈の早期発生が抑制されるとともに、加工硬化し易くなって塑性化領域が壁パネル全体に広がり易くなり、座屈後も図5(a)に示すように塑性化領域が局所化することを抑制し、図5(b)に示すように塑性化領域の拡大が促されるので、変形性能を向上させることができる。さらに、n値を0.39以下とすることにより、材料の製造が困難になるのを防止することができる。しかも、n値が0.39より大きくなっても前記変形性能の向上が抑えられてしまうので、n値の最適範囲を0.39以下に設定されている。
このように、壁パネルの塑性座屈の発生を抑制するために好適な加工硬化指数(n値)の上限値及び下限値を求め材料を適正化した波形鋼板1Aを使用することで、薄板でかつ軽量で、変形性能(エネルギー吸収性能)をより確実に向上させることができる。また、前記の好適範囲内で大きなn値の材料を壁パネルに用いることで、座屈が生じた場合であっても、より塑性化領域が広がりやすくなり、耐震性能と加工性の両面で有利となるという効果を奏する。
本実施の形態の壁パネル1は、使用される鋼板のランクフォード値(r値)が1.1以上(好ましくは1.3以上)と大きい材料の波形鋼板1Aであるので、波形鋼板1Aが面内せん断力を受けた際に、最もモーメントやひずみが集中し易い箇所である折曲げ部が加工時に減肉されにくくなり、局所的な崩壊(変形や不安定挙動など)を抑制することができ、構造的な性能を安定させることができる。
また、本実施の形態の壁パネル1では、波形鋼板1Aの波形形状が略矩形状であるので、図4に示すように、例えば台形、三角形、丸等の他の形状に比べて、面内せん断力に対して断面がスムーズに変形し易くなり、不安定挙動の要因となる断面変形による局所的なひずみの発生を抑制することが可能となるため、大変形に追従し易くなり、これにより変形性能を向上させることができる。
また、本実施の形態の壁パネル1では、波形鋼板1Aのアコーディオン効果により面材を介した上下方向の軸力伝達を回避することが可能になるという利点があるため、周辺骨組に組合せた場合においても、周辺骨組に余計な拘束を与えることがなく、建物全体としての構造安定性を向上させることができる。
上述した本実施の形態による壁パネルでは、面材が先行降伏した後、早期に局部破壊が発生することが懸念される薄板を用いた壁パネルであっても、変形性能(すなわちエネルギー吸収性能)を確保することが可能となる。
そのため、波形鋼板1Aの厚さを小さくすることで軽量化を図ることと、変形性能(エネルギー吸収性能)を高めることで耐震性能を向上することと、を両立することができるという効果を奏する。
次に、上述した実施の形態による壁パネルの効果を裏付けるための実施例について、以下説明する。
(第1実施例)
第1実施例は、表2に示すように、材料特性の限定をした実施例1〜9による壁パネル(上述した実施の形態による壁パネル1)と、比較例1〜7による壁パネルにおいて、各種パラメータを変えて変形性能を評価したものである。
壁パネルの材料は、成分(C、Si、Mn、P、S)毎に表2に示すように符号A〜Hの8種を採用している。各実施例及び各比較例の評価対象となる数値等は、機械的性質(降伏棚の有無、降伏強度σy、n値、r値)と、波形鋼板の全体寸法(幅、高さ)および図6に示す断面寸法(板厚、ピッチ、ウェブ幅、山高さ)、前記(1)式の√(τy/min(τo,τl))の値である。
Figure 2014237964
そして、変形性能および軽量性の評価として、「◎」がとくに優、「○」は優、「○△」が良、「△」可、「×」が不可をそれぞれ示しており、「△」以上の評価のものが必要性能を満足する範囲であるとして評価される。
表2に示すように、本発明の対象である実施例1〜9は、いずれも変形性能および軽量性の評価が可以上となり、変形性能の確保と軽量化が両立可能である。そのうち、実施例1〜7は、鋼板の降伏強度が100N/mm以上195N/mm以下、かつ加工硬化指数n値が0.22以上0.39以下であるため、変形性能の評価が優であり、さらに高い耐震性能を有する。実施例8は、鋼板の降伏強度は195N/mm以上であるが、ランクフォード値(r値)が1.1以上であるため、ランクフォード値(r値)が1.1よりも小さい実施例9よりも優位な良評価となる。
比較例1〜3は、材料が降伏棚を有するため前記実施の形態の範囲外であり、変形性能評価が「×」となり耐震性能確保が困難であることがわかる。また、比較例4〜6は、材料特性を限定しなくとも、変形性能の確保が可能であるが、一般化幅厚比√(τy/min(τo,τl))が(1)式の範囲よりも小さいため軽量性が「×」となり、軽量化が困難である。比較例7は、一般化幅厚比√(τy/min(τo,τl))が(1)式の範囲よりも大きいため、軽量性は「◎」であるが、変形性能が「×」となり、耐震性能確保が困難である。
(第2実施例)
次に、第2実施例は、表3に示すように、材料特性の限定をした実施例10〜15による壁パネルにおいて、機械的性質(降伏棚の有無、降伏強度σy、n値、r値)および波形鋼板の全体寸法についてはそれぞれ同じ値であり、波形形状、波目方向を変えて変形性能評価と鉛直力回避の評価を行ったものである。波形形状は、波形鋼板の断面形状を示している。また、波目方向は、波形鋼板の波筋が配置される方向を示している。そして、各パネルの材料の成分は、実施例10〜15はすべて同一で符号「A」が採用されている。
また、表3における変形性能の評価についても、上述した表2の評価方法と同様である。そして鉛直力伝達回避の評価は、「○」が回避可であり、「×」が回避不可を示している。
Figure 2014237964
表3に示すように、実施例10は、波形鋼板の断面形状が略矩形状であり、さらに波筋が水平方向に配置されており、この場合、変形性能は特に優であって、鉛直力回避も可となる。実施例11〜15は、断面形状が矩形でない場合であり、この場合、変形性能は優〜可の評価となる。実施例15は、波形鋼板の波筋が水平方向に配置されていない場合であり、この場合、鉛直力伝達が回避不可という評価となっている。
以上、本発明による壁パネルの実施の形態について説明したが、本発明は前記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上述した実施の形態では、波形鋼板は、使用される鋼板の降伏強度が100N/mm以上195N/mm以下、かつ材料の加工硬化指数n値が0.22以上0.39以下である第1条件と、使用される鋼板のランクフォード値(r値)が1.1以上(好ましくは1.3以上)とする第2条件と、断面形状が略矩形状である第3条件と、波筋が水平方向に配置されている第4条件を満足する構成の壁パネル1としているが、これら第1条件〜第4条件を満足することに限定されることはない。すなわち、第1条件〜第4条件の全てを省略したものでも良いし、4つの条件のうちいずれか1つ、或いは2つの条件を満たす構成の壁パネルとすることも可能である。
また、本実施の形態では、壁パネル1の適用対象として建築物の耐震壁としているが、これに限定されることはなく、例えば制振ダンパーなどに用いるパネルであっても良い。要は、面内方向に地震力または風力等の水平力がかかっているものを対象とすることができる。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、前記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
1 壁パネル
1A 波形鋼板
1B 枠体

Claims (6)

  1. 面材に使用される波形鋼板のせん断降伏強度τy、弾性せん断全体座屈強度τo、及び弾性せん断局部座屈強度τlが(1)式の関係を満たす壁パネルであって、
    前記波形鋼板は、使用される鋼板が応力ひずみ関係において降伏棚を示さない材料であることを特徴とする壁パネル。
    Figure 2014237964
  2. 前記波形鋼板は、使用される鋼板の降伏強度が100N/mm以上195N/mm以下、かつ材料の加工硬化指数n値が0.22以上0.39以下であることを特徴とする請求項1に記載の壁パネル。
  3. 前記波形鋼板は、使用される鋼板のランクフォード値(r値)が1.1以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の壁パネル。
  4. 前記波形鋼板は、使用される鋼板のランクフォード値(r値)が1.3以上であることを特徴とする請求項3に記載の壁パネル。
  5. 前記波形鋼板は、断面形状が略矩形状であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の壁パネル。
  6. 前記波形鋼板は、波筋が水平方向に配置されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の壁パネル。
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