JP2008111332A - 接合金物 - Google Patents

接合金物 Download PDF

Info

Publication number
JP2008111332A
JP2008111332A JP2008014023A JP2008014023A JP2008111332A JP 2008111332 A JP2008111332 A JP 2008111332A JP 2008014023 A JP2008014023 A JP 2008014023A JP 2008014023 A JP2008014023 A JP 2008014023A JP 2008111332 A JP2008111332 A JP 2008111332A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel plate
damper
metal joint
yield strength
metal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2008014023A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4664998B2 (ja
Inventor
Yoshimichi Kawai
良道 河合
Hiroshi Tanaka
浩史 田中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP2008014023A priority Critical patent/JP4664998B2/ja
Publication of JP2008111332A publication Critical patent/JP2008111332A/ja
Priority to US12/735,113 priority patent/US8511025B2/en
Priority to PCT/JP2009/051120 priority patent/WO2009093712A1/ja
Priority to CN2009801025889A priority patent/CN101925713B/zh
Priority to TW098102848A priority patent/TWI396790B/zh
Priority to KR1020107016310A priority patent/KR101263078B1/ko
Application granted granted Critical
Publication of JP4664998B2 publication Critical patent/JP4664998B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Buildings Adapted To Withstand Abnormal External Influences (AREA)
  • Vibration Prevention Devices (AREA)

Abstract

【課題】地震等に対する振動抑制効果を十分に発揮でき、かつ取付性やメンテナンス性が良好な接合金物を提供すること。
【解決手段】接合金物20において、ダンパー用鋼板26が曲げ−せん断降伏するような形状とされていることで、ダンパー用鋼板26がせん断降伏した後に繰り返し荷重を受けても、そのせん断耐力の上昇が抑制でき、設計用のせん断耐力を超えた応力が発生することがない。従って、接合金物20が設置される周辺の構造材に作用する応力が設計値を超えることがなく、構造体各部の破損が防止できる。さらに、ダンパー用鋼板26の降伏後の剛性の上昇を抑制することもできることから、地震等の入力エネルギーが増大することなく、ダンパー用鋼板26の減衰効果(エネルギー吸収)によって設計上期待した振動抑制効果が得られる。
【選択図】図1

Description

本発明は、接合金物に関し、詳しくは、対象物間の相対変位に伴って減衰効果を発揮する接合金物に関する。
従来、建物等の振動低減を図る制震構造として、柱の柱脚部において、基礎(ベースプレート)と柱脚との間に曲げパネルやせん断パネルを設置した構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載された制震構造では、曲げパネルやせん断パネルの一方側が溶接等によって柱脚部に接合され、他方側が取付プレート(支持プレート)を介してベースプレートに接合されている。そして、地震等により柱が浮き上がる方向の引張り力が作用した際に、曲げパネルが曲げ降伏したりせん断パネルがせん断降伏したりすることで、引張り力を吸収するように構成されている。
特開2004−92096号公報
しかしながら、前記特許文献1に記載された従来の制震構造において、せん断パネルを用いて柱とベースプレートとを連結した構造の場合には、せん断降伏するせん断パネルが繰り返し荷重を受けると、そのせん断耐力が徐々に上昇(加工硬化)することで、その溶接部や周辺の部材に作用する反力が大きくなってしまう。すなわち、図13(A)に示すように、引張り(曲げ)降伏の場合には、真応力は上昇するものの、断面が縮小(体積一定)する(くびれが生じる)ことにより公称応力の耐力上昇が抑制されるのに対し、図13(B)に示すように、純せん断の場合には、断面変化が生じないことから、真応力の上昇に伴う加工硬化が全断面に起き、塑性化後のせん断耐力が上昇する。このため、設計用のせん断耐力を超えた応力が発生することになり、せん断パネルの溶接部や柱、ベースプレート等が破断する可能性があるとともに、せん断パネルの塑性化後の剛性が高くなることから、上部の建物へのエネルギー入力が設計値を上回る可能性もあり、十分な振動抑制効果が期待できないという問題がある。
また、従来の制震構造では、せん断パネルを介して柱とベースプレートとが連結されているため、柱を立設する際の施工精度が確保しにくく、施工手間も増大してしまう。さらに、曲げパネルやせん断パネルを柱脚部に直接接合しているため、これらのパネルを地震後に取り換えたり、より高性能のものに交換したりなどができず、メンテナンス性が劣るという問題もある。
本発明の目的は、地震等に対する振動抑制効果を十分に発揮でき、かつ取付性やメンテナンス性が良好な接合金物を提供することにある。
本発明の請求項1に記載の接合金物は、一組の対象物に渡って取り付けられ、当該対象物間の相対変位に伴って減衰効果を発揮する接合金物であって、前記一組の対象物のうちの一方に連結される第1連結部と、前記一組の対象物のうちの他方に連結される第2連結部と、前記第1連結部と前記第2連結部とに渡って接合される減衰部材とを備え、前記減衰部材は、前記一組の対象物間に生じる相対変位に伴って減衰効果を発揮するものであって、当該減衰部材には、降伏後の耐力上昇を抑制する耐力抑制手段が設けられていることを特徴とする。
以上の接合金物によれば、減衰部材に耐力抑制手段が設けられている、つまり減衰部材が降伏した後に繰り返し荷重を受けても、その耐力の上昇が抑制でき、設計用耐力を超えた応力が発生することがない。従って、当該接合金物を構成する第1、第2連結部などに作用する応力や、接合金物を取り付ける対象物に作用する応力が設計値を超えることがなく、それら各部の破損が防止できる。さらに、減衰部材の剛性の上昇を抑制することもできることから、地震等の入力エネルギーが増大することなく、減衰部材の減衰効果(エネルギー吸収効果)によって設計上期待した振動抑制効果が得られる。
また、接合金物において、第1および第2の連結部に渡って減衰部材が接合され、一組の対象物の各々に第1および第2の連結部が連結されるので、減衰部材自体を対象物に直接接合する必要がないため、減衰部材を直接に対象物に接合する構造と比較して接合金物の取り付けが容易にでき、取付精度や取付作業性が向上できる。さらに、第1および第2の連結部を一組の対象物から取り外せば、接合金物を取り外すこともでき、地震後の点検や交換などのメンテナンス性を向上させることができる。
この際、本発明の接合金物では、前記第1連結部と前記第2連結部とは、前記一対の対象物間に生じる相対変位の方向と略直交して互いに対向配置され、前記減衰部材は、前記相対変位の方向である第1方向と、前記第1連結部と第2連結部とが対向する方向である第2方向と、の二方向に略平行に設けられるダンパー用鋼板で構成されていることを特徴とする。
さらに、前記ダンパー用鋼板における前記第1方向に沿った幅寸法は、前記第2方向両端部よりも中央部が小さく設定され、かつ当該中央部の幅寸法で決定されるせん断耐力が上昇した際に前記両端部が曲げ降伏するように当該両端部の幅寸法が設定され、このダンパー用鋼板の形状によって前記耐力抑制手段が構成されていることを特徴とする。
このような構成によれば、一組の対象物の相対変位に対し、減衰部材であるダンパー用鋼板が面内方向にせん断変形するように配置した接合金物において、ダンパー用鋼板の中央部の幅寸法を小さくしてせん断耐力を決定し、この中央部のせん断耐力の上昇に応じて両端部が曲げ降伏するようにダンパー用鋼板の形状を設定したことで、ダンパー用鋼板の負担する応力が安定化できる。すなわち、前述のように、曲げ(引張り)降伏の場合には、真応力は上昇するものの耐力上昇が抑制されることから、ダンパー用鋼板の両端部が曲げ降伏した後において、加工硬化によってせん断耐力が上昇したとしても曲げ耐力は上昇せず、この曲げ耐力で両端ヒンジとなった応力状態(所定の負担せん断力)で安定することとなる。
また、本発明の接合金物では、前記ダンパー用鋼板の板厚寸法は、前記第2方向端縁部よりも中央部が薄く設定され、かつ当該中央部の板厚寸法で決定されるせん断耐力が上昇した際に前記両端部が曲げ降伏するように当該両端部の板厚寸法が設定され、このダンパー用鋼板の形状によって前記耐力抑制手段が構成されていてもよい。
さらに、本発明の接合金物では、前記ダンパー用鋼板は、前記第1方向に沿った幅寸法が前記第2方向両端部よりも中央部が小さく設定され、かつ板厚寸法が前記第2方向端縁部よりも中央部が薄く設定され、当該中央部の幅寸法および板厚寸法で決定されるせん断耐力が上昇した際に前記両端部が曲げ降伏するように当該両端部の幅寸法と板厚寸法とが設定され、このダンパー用鋼板の形状によって前記耐力抑制手段が構成されていてもよい。
このような構成によっても、ダンパー用鋼板中央部のせん断耐力の上昇に応じて両端部が曲げ降伏するようにでき、ダンパー用鋼板の負担する応力が安定化できる。
以上において、本発明の接合金物では、前記ダンパー用鋼板における前記第2方向に沿った両端縁には、前記両端部から前記中央部に向かって傾斜した傾斜部が形成されていることが好ましい。
このような構成によれば、傾斜部によって両端部から中央部に向かってダンパー用鋼板の幅寸法を徐々に小さくしていくことで、ダンパー用鋼板内部の応力の流れがスムーズにでき、降伏後の塑性化領域を広くしてエネルギー吸収性能および変形性能を向上させることができる。
さらに、本発明の接合金物では、前記ダンパー用鋼板には、前記第1方向に一方の対角線が平行で、かつ前記第2方向に他方の対角線が平行となる略菱形状の切欠き孔が形成されていることが好ましい。
このような構成によれば、略菱形状の切欠き孔を挟んでダンパー用鋼板を分割することができる、すなわち、第1方向に沿ったダンパー用鋼板の全体幅寸法に対し、切欠き孔で分割されて幅寸法が小さく形成された各部ごとに、前述のような応力状態が形成されることになる。従って、1つの接合金物の中に複数の各部鋼板が並列配置されることで、各部の曲げ−せん断に関する応力−変形関係を維持したままで、その数を適宜に変更することにより接合金物としての減衰効果を調節することができる。さらに、各部の曲げモーメントを小さくすることにより、第1および第2の連結部ならびにその周辺の構造材の変形を抑制することができる。
一方、本発明の接合金物では、前記ダンパー用鋼板には、前記第2方向に平行に延びて当該ダンパー用鋼板を貫通する少なくとも1つのスリット孔が形成され、このスリット孔で分割されて隣接する当該ダンパー用鋼板の各分割鋼板部の幅寸法は、各々のせん断耐力が上昇した際に前記第2方向両端部が曲げ降伏するように設定され、このダンパー用鋼板の形状によって前記耐力抑制手段が構成されていることを特徴とする。
このような構成によれば、一組の対象物の相対変位に対し、減衰部材であるダンパー用鋼板が面内方向にせん断変形するように配置した接合金物において、スリット孔で分割した各分割鋼板部の幅寸法を、そのせん断耐力が上昇した際に両端部が曲げ降伏するように設定したことで、ダンパー用鋼板の負担する応力が安定化できる。すなわち、各分割鋼板部の両端部が曲げ降伏して両端ヒンジとなった応力状態(所定の負担せん断力)で負担せん断力が安定することとなる。また、1つの接合金物の中に複数の各分割鋼板部が並列配置されることで、各部の曲げ−せん断に関する応力−変形関係を維持したままで、その数を適宜に変更することにより接合金物としての減衰効果が調節できる。さらに、各部の曲げモーメントを小さくすることにより、第1および第2の連結部ならびにその周辺の構造材の変形を抑制することができる。
また、本発明の接合金物では、前記ダンパー用鋼板は、降伏耐力が最大耐力に対して2/3以上の降伏耐力比を有する鋼材、および降伏耐力が設計用降伏耐力に対して±20%以内の降伏耐力幅を有する鋼材の、少なくとも一方から形成され、このダンパー用鋼板の力学特性によって前記耐力抑制手段が構成されていることを特徴とする。
このような構成によれば、減衰部材であるダンパー用鋼板の力学特性として、降伏耐力比を2/3以上に設定したり、降伏耐力幅を±20%以内に設定したりすることで、ダンパー用鋼板の負担する応力が安定化できる。
また、本発明の接合金物では、前記ダンパー用鋼板は、予め初期位置から前記第1方向に沿って所定の変形量だけ変形させ、降伏した状態から初期位置に戻す塑性化加工が施された鋼板から形成され、この塑性化加工によって当該ダンパー用鋼板の降伏耐力比および降伏耐力幅の少なくとも一方が所定値に設定されていることが好ましい。
このような構成によれば、析出硬化加工を施すことで、降伏耐力比や降伏耐力幅を所定値に設定することができ、このような鋼材をダンパー用鋼板として用いることで、せん断降伏後の耐力上昇を抑制することができる。
そして、接合金物周辺に用いられる一般的な構造材の設計耐力が最大耐力の2/3以下であることから、接合金物の降伏耐力を最大耐力の2/3以上に設定することで、周辺の構造が最大耐力に達する前に接合金物を降伏させることが可能になり、また同様に、降伏耐力幅を±20%以内の範囲とすることで、周辺の構造が最大耐力に達する前に接合金物を降伏させることができる。
さらに、本発明の接合金物では、前記ダンパー用鋼板は、析出硬化加工が施された鋼板から形成され、この析出硬化加工によって当該ダンパー用鋼板の降伏耐力比および降伏耐力幅の少なくとも一方が所定値に設定されていることが好ましい。
このような構成によれば、塑性化加工を施すことで、降伏耐力比や降伏耐力幅を所定値に設定することができ、このような鋼材をダンパー用鋼板として用いることで、せん断降伏後の耐力上昇を抑制することができる。
以上において、本発明の接合金物では、前記第2連結部は、一組の連結用部材で構成され、当該一組の連結用部材が前記第1連結部を挟んで対称位置に設けられ、前記ダンパー用鋼板は、前記第1連結部を挟んで略線対称に配置される一組で構成されていることが好ましい。
また、本発明の接合金物では、前記第2連結部は、一組の連結用部材で構成され、当該一組の連結用部材が前記第1連結部を挟んで略点対称位置に設けられ、前記ダンパー用鋼板は、前記第1連結部を挟んで略点対称に配置される一組で構成されていてもよい。
このような構成によれば、第2連結部としての連結用鋼板が第1連結部を挟んで一組で対称配置され、ダンパー用鋼板も第1連結部を挟んで一組で略線対称または略点対称に配置されることで、ダンパー用鋼板が変形した際の応力が偏心せずに左右対称に作用し、偏心による応力が発生しないか、偏心による応力を極めて小さくできる。従って、一組の対象物に偏心曲げモーメント等の付加応力が作用しにくくでき、付加応力に対する補強等が不要または削減できる。さらに、付加応力が生じないことで、接合金物を介した一組の対象物間の力の伝達がスムーズになり、ダンパー用鋼板における力学的メカニズムが明確になって、減衰効果が確実かつ適切に発揮され、地震等による振動エネルギーを効果的に吸収することができる。
以上のような本発明の接合金物によれば、地震等のエネルギーを効果的に吸収でき、耐震性に優れるとともに経済的な建築物が実現できるとともに、接合金物の取付性やメンテナンス性の向上を図ることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態の接合金物]
図1は、接合金物20を示す斜視図である。図2は、接合金物20の取付状態を示す側面図である。図3は、接合金物20の変形状態を示す側面図である。
図1および図2において、接合金物20は、周辺の構造材10に連結される一対の第2連結部としての連結用鋼板21と、これら一対の連結用鋼板21の上部同士に渡って接合される上部補強用鋼材22と、一対の連結用鋼板21の下部同士に渡って接合される下部補強用鋼材23を有し、これらの連結用鋼板21、上部および下部補強用鋼材22,23で形成された四周枠状のフレーム24を備えて構成されている。また、上部補強用鋼材22および下部補強用鋼材23の略中央には、アンカーボルト6を挿通させるための挿通孔22A,23Aが形成されている。
接合金物20のフレーム24内部には、一対の連結用鋼板21間の中央位置に設けられる筒状鋼材25と、一対の連結用鋼板21間に渡って筒状鋼材25を挟むように設けられる前後一対のダンパー用鋼板26とが設けられている。筒状鋼材25は、アンカーボルト6に連結される第1連結部であって、その中空内部にアンカーボルト6を挿通した状態で、上下からナット27を締め付けることで、アンカーボルト6が連結されるようになっている。また、ダンパー用鋼板26は、断面略コ字形に形成され、その両端部が連結用鋼板21に溶接接合(フレア溶接)されるとともに、その中央のスリット26Aを介して筒状鋼材25に溶接接合(スロット溶接)されている。すなわち、ダンパー用鋼板26は、筒状鋼材25の周面に沿って接線方向に延びて接合され、一対の連結用鋼板21の各々と筒状鋼材25との間に2枚ずつ計4枚がアンカーボルト6の軸線に対して略線対称に配置されていることとなる。
この接合金物20において、一対の連結用鋼板21と筒状鋼材25とは、アンカーボルト6の軸線方向(つまり上下方向であるとともに、一対の対象物間に生じる相対変位の方向である第1方向)と略直交して互いに対向配置されている。そして、連結用鋼板21と筒状鋼材25との間において、ダンパー用鋼板26の上下端縁(第2方向に沿った両端縁)には、連結用鋼板21側および筒状鋼材25側の両端部から中央部に向かって傾斜した傾斜部26Bが形成されている。すなわち、ダンパー用鋼板26における上下方向の幅寸法は、連結用鋼板21側および筒状鋼材25側の両端部よりも中央部が小さく設定されている。
このような接合金物20は、図3に示すように、周辺の構造材10とともにフレーム24が上方に移動し、アンカーボルト6によって筒状鋼材25が下方に引っ張られることで、一対のダンパー用鋼板26がせん断変形し、せん断変形したダンパー用鋼板26が所定のせん断耐力でせん断降伏するようになっている。この際、ダンパー用鋼板26のせん断耐力は、連結用鋼板21および筒状鋼材25の中央部の幅寸法で決定され、このせん断耐力が上昇した際には、連結用鋼板21側および筒状鋼材25側の両端部が曲げ降伏するように、両端部の幅寸法が設定されている。従って、地震のような繰り返し荷重を受けた場合には、ダンパー用鋼板26の中央部のせん断耐力が上昇し始めると両端部が曲げ降伏して両端ヒンジ状態となり、この両端ヒンジ状態における負担せん断力を略上限耐力とした履歴ループを描いて変形することになる。このような履歴ループを描くことで、ダンパー用鋼板26は、履歴吸収エネルギーに応じた減衰効果(履歴減衰)を発揮することができるようになっている。
なお、第1実施形態の接合金物としては、前述の構成に限らず、以下の図4に示す接合金物30のような構成であってもよい。
図4は、第1実施形態の変形例に係る接合金物30を示す側面図である。
接合金物30は、接合金物20と略同様の連結用鋼板31、上部補強用鋼材32、下部補強用鋼材33からなるフレーム34と、筒状鋼材35およびダンパー用鋼板36とを備えて構成されている。そして、接合金物30は、連結用鋼板31が枠組材11にボルトで固定されるとともに、筒状鋼材35の上下からナット37を締め付けることでアンカーボルト6に連結されるようになっている。
この接合金物30では、ダンパー用鋼板36の上下端縁に、連結用鋼板31側および筒状鋼材35側の両端部から中央部に向かって傾斜した傾斜部36Bが形成されるとともに、その上下方向中間位置に、略菱形状の切欠き孔36Cが形成されている。この切欠き孔36Cは、その一方の対角線が上下方向(第1方向)に平行で他方の対角線が左右方向(第2方向)に平行に設けられるとともに、各辺の傾斜角度が傾斜部36Bと略同一角度となるように形成されている。すなわち、接合金物30のダンパー用鋼板36は、切欠き孔36Cによって上下に分割されており、これらの分割された各部が前述のダンパー用鋼板26と同様に、曲げ−せん断降伏することで減衰効果を発揮することができるようになっている。なお、接合金物30は、切欠き孔36Cが上下方向に1つだけ設けられたものに限らず、2つ以上の切欠き孔36Cが上下方向に並べて設けられていてもよい。
以上の本実施形態によれば、次に示すような各種作用効果が得られる。
すなわち、接合金物20,30において、ダンパー用鋼板26,36が曲げ−せん断降伏するような形状とされていることで、ダンパー用鋼板26,36がせん断降伏した後に繰り返し荷重を受けても、そのせん断耐力の上昇が抑制でき、設計用のせん断耐力を超えた応力が発生することがない。従って、接合金物20,30の連結用鋼板21,31や周辺の構造材10に作用する応力が設計値を超えることがなく、それら各部の破損が防止できる。さらに、ダンパー用鋼板26,36の剛性の上昇を抑制することもできることから、地震等の入力エネルギーが増大することなく、ダンパー用鋼板26,36の減衰効果(エネルギー吸収)によって設計上期待した振動抑制効果が得られる。
また、接合金物20,30において、連結用鋼板21,31が左右一対で配置され、減衰部材(ダンパー用鋼板26,36)がアンカーボルト6の軸線に対して略線対称に配置されることで、減衰効果を発揮する際の偏心による付加応力の発生が防止できる。さらに、付加応力が生じないことで、ダンパー用鋼板26,36における力学的メカニズムが明確になって、減衰効果が確実かつ適切に発揮され、地震等による振動エネルギーを効果的に吸収することができる。
また、接合金物20,30内にダンパー用鋼板26,36が配置されているので、ダンパー用鋼板26,36自体を直接に周辺の構造材10に溶接する必要がないため、接合金物20,30の設置作業が容易にできて、施工性を向上させることができる。さらに、接合金物20,30を周辺の構造材10から取り外すことも容易にでき、地震後の点検や交換などのメンテナンス性を向上させることができる。
また、接合金物20,30において、一対の連結用鋼板21,31を上部補強用鋼材22,32および下部補強用鋼材23,33で連結してフレーム24,34を形成し、その内部にダンパー用鋼板26,36および筒状鋼材25,35を配置したことで、ダンパー用鋼板26,36からの曲げモーメントが連結用鋼板21,31に作用した際に、連結用鋼板21,31の変形等を防止することができる。さらに、上部補強用鋼材22,32および下部補強用鋼材23,33に形成した挿通孔22A,23Aにアンカーボルト6を挿通することで、アンカーボルト6とフレーム24,34との偏心をなくすことができ、偏心による付加応力の発生を防止することができ、ダンパー用鋼板26,36の減衰効果を発揮することができる。
[第2実施形態の接合金物]
次に、第2実施形態の接合金物40,40Aについて、図5および図6に基づいて説明する。
図5および図6は、それぞれ第2実施形態の接合金物40,40Aを示す側面図である。
接合金物40,40Aは、前記接合金物20と略同様の連結用鋼板41、上部補強用鋼材42、下部補強用鋼材43からなるフレーム44と、筒状鋼材45およびダンパー用鋼板46とを備えて構成されている。そして、接合金物40,40Aは、連結用鋼板41が周辺の構造材10にボルトで固定されるとともに、筒状鋼材45の上下からナット47を締め付けることでアンカーボルト6に連結されるようになっている。
この接合金物40,40Aにおいて、ダンパー用鋼板46は、全体矩形板状に形成され、一対の連結用鋼板41に溶接接合(フレア溶接)されるとともに、その中央のスリット46Aを介して筒状鋼材45に溶接接合(スロット溶接)されている。このダンパー用鋼板46には、連結用鋼板31と筒状鋼材35との間において、左右方向(第2方向)に延びて当該ダンパー用鋼板46を貫通する複数のスリット孔46Bが形成され、これらのスリット孔46Bで分割された当該ダンパー用鋼板46の各分割鋼板部46Cが上下に隣接して設けられている。これらの分割鋼板部46Cの上下方向の幅寸法は、互いに同一に設定されており、各々の分割鋼板部46Cがせん断降伏して繰り返し荷重によりせん断耐力が上昇した際に、分割鋼板部46Cにおける連結用鋼板41側および筒状鋼材45側の両端部が曲げ降伏するように設定されている。
このような接合金物40,40Aでは、各分割鋼板部46Cが曲げ−せん断降伏することで減衰効果を発揮することができるようになっている。その際、各分割鋼板部46Cは、両端部が曲げ降伏して両端ヒンジ状態となり、この両端ヒンジ状態における負担せん断力を略上限耐力とした履歴ループを描いて変形することになる。なお、接合金物40と接合金物40Aとでは、ダンパー用鋼板46の高さ寸法が相違し、分割鋼板部46Cの数が異なるものの、各分割鋼板部46Cの形態(長さ寸法と幅寸法との関係)は同一になっている。すなわち接合金物40Aの方がダンパー用鋼板46全体の負担せん断力(減衰効果)が大きく設定されたものであるが、両接合金物40,40Aにおいて、各分割鋼板部46Cの曲げ−せん断の降伏特性は共通とされている。従って、接合金物40,40Aによれば、前記第1実施形態と略同様の効果を得ることができる。
[第3実施形態の接合金物]
次に、第3実施形態の接合金物50について、図7に基づいて説明する。
図7は、第3実施形態の接合金物50を示す側面図である。
接合金物50は、前記接合金物20と略同様の連結用鋼板51、上部補強用鋼材52、下部補強用鋼材53からなるフレーム54と、筒状鋼材55およびダンパー用鋼板56とを備えて構成されている。そして、接合金物50は、連結用鋼板51が周辺の構造材10にボルトで固定されるとともに、筒状鋼材55の上下からナット57を締め付けることでアンカーボルト6に連結されるようになっている。
この接合金物50において、ダンパー用鋼板56は、全体矩形板状に形成され、一対の連結用鋼板51に溶接接合(フレア溶接)されるとともに、その中央のスリット56Aを介して筒状鋼材55に溶接接合(スロット溶接)されている。そして、ダンパー用鋼板56は、予め図7に示す初期位置から上下方向(第1方向)に所定の変形量だけせん断変形させ、せん断降伏した状態から初期位置に戻す塑性化加工が施された後に耐力壁10に設置されるか、または析出硬化加工が施された鋼材(析出強化鋼)から形成されている。すなわち、ダンパー用鋼板56に塑性化加工を施すか析出強化鋼を用いることで、ダンパー用鋼板56の降伏耐力比が2/3以上に設定されるか、または降伏耐力幅が±20%以内に設定されている。従って、ダンパー用鋼板56におけるせん断降伏後の耐力上昇が抑制され、所定のせん断耐力上限値を超えないような履歴ループを描いて変形するようになっている。従って、接合金物50によれば、前記第1実施形態と略同様の効果を得ることができる。
[第4実施形態の接合金物]
次に、第4実施形態の接合金物60について、図8〜図11に基づいて説明する。
図8は、第4実施形態の接合金物60を示す側面図である。図9および図10は、接合金物60の製造手順および取付手順を示す斜視図である。図11は、接合金物60の詳細構造を示す側面図である。
接合金物60は、アンカーボルト6に連結される第1連結部としての一対のコ字形鋼材65と、このコ字形鋼材65に溶接接合される一対のダンパー用鋼板66とを備えて構成されている。そして、接合金物60は、ダンパー用鋼板66の側端縁に形成された第1連結部である固定片部66Cが周辺の構造材10にドリルネジ15Aで固定され、コ字形鋼材65の上下からのナット67でアンカーボルト6に連結されている。また、ダンパー用鋼板66には、上下端部の第1スリット66Aと、これらの第1スリット66A間に並んだ複数の第2スリット66Bとが形成され、これらの第1および第2のスリット66A,66Bからなる列が左右対称に2列で設けられている。
この接合金物60において、ダンパー用鋼板66は、図9(A)に示すように、板状鋼板にレーザー孔開け加工によって第1スリット66Aおよび第2スリット66Bを形成してから、図9(B)に示すように、側端縁を折り曲げて固定片部66C形成し、上下端縁の突出部を折り曲げて折曲片部66Dを形成する手順で成形される。また、コ字形鋼材65は、図9(C)に示すように、断面略コ字形で長尺状の鋼材であり、このコ字形鋼材65の側面長手方向に沿ってスリット孔65Aを形成しておき、このスリット孔65Aを介してダンパー用鋼板66にコ字形鋼材65をスロット溶接する。そして、図10(A)に示すように、溶接接合したコ字形鋼材65およびダンパー用鋼板66を一組用意し、これらを周辺の構造材10に設置するとともに、一対のコ字形鋼材65間にアンカーボルト6を挿通させる。このように設置してから、周辺の構造材10の外側からドリルネジ15Aをダンパー用鋼板66の固定片部66Cに螺合する。さらに、アンカーボルト6に設けたナット67を締め付け、アンカーボルト6にコ字形鋼材65を連結することで、接合金物60の製造および取付が完了する。
次に、ダンパー用鋼板66の詳細構造について、図11に基づいて説明する。
第1スリット66Aおよび第2スリット66Bは、それぞれ左右方向の幅寸法(つまり、分割鋼板部66Eの長さ寸法l)が同一に設定され、第1スリット66Aは、両端部から中央部に向かって第2スリット66Bに向かって高さ寸法が大きくなる傾斜を有して形成され、第2スリット66Bは、両端部から中央部に向かって上下対称に高さ寸法が大きくなる傾斜を有して形成されている。すなわち、第1および第2のスリット66A,66B間に位置するダンパー用鋼板66の分割鋼板部66Eは、両端部の幅寸法bよりも中央部の幅寸法bc が小さく形成された略菱形状とされている。このような分割鋼板部66Eの形状は、以下の式(1)、(2)で規定される寸法に設定されている。また、ダンパー用鋼板66における第1スリット66Aよりも上端側または下端側のスチフナ部66Fの幅寸法bs は、以下の式(3)で規定される寸法に設定されている。
M/Z<σy …(1)
ここで、Mは、分割鋼板部66Eの両端部に作用する曲げモーメントであり、Zは、分割鋼板部66Eの両端部における断面係数であり、Z=t・b2/6である(tは、ダンパー用鋼板66の板厚寸法)。また、σyは、ダンパー用鋼板66の降伏引張応力度である。
1.5Q/A<τy …(2)
ここで、Qは、分割鋼板部66Eに作用するせん断力であり、Aは、分割鋼板部66Eの中央部における断面積であり、A=t・bc である。また、τy は、ダンパー用鋼板66の降伏せん断応力度である。
P/(t・bs )<σy …(3)
ここで、Pは、スチフナ部66Fに作用する引張り力または圧縮力であり、M/bである。
以上の式(1)、(2)によれば、図11に示すように、分割鋼板部66Eに曲げモーメントMおよびせん断力Qが作用した状態で、分割鋼板部66Eの中央部がせん断降伏して両端部が曲げ降伏することとなり、このような関係となる分割鋼板部66Eにおける両端部の幅寸法bと中央部の幅寸法bcとの寸法比が算出される。また、式(3)によれば、図11に示すように、スチフナ部66Fに作用する引張り力または圧縮力Pに対して引張り降伏または圧縮降伏しないようなスチフナ部66Fの幅寸法bsが算出される。
また、分割鋼板部66Eにおいて、曲げ降伏後の変形性能を確保するとともに、耐力上昇を抑制する条件としては、以下の式(4)、(5)を満足していることが好ましい。
b/t<10 …(4)
l/b>3 …(5)
以上の式(4)を満足するように分割鋼板部66Eにおける両端部の幅寸法bと板厚寸法tとの比(幅圧比)を設定しておくことで、分割鋼板部66Eの不安定挙動が抑制でき、曲げ降伏後の変形性能を向上させることができる。また、式(5)を満足するように分割鋼板部66Eにおける長さ寸法lと両端部の幅寸法bとの比を設定しておくことで、端部のせん断降伏が抑制でき、耐力上昇を抑制することができる。
このような接合金物60では、各分割鋼板部66Eが曲げ降伏することで両端ヒンジ状態となり、この両端ヒンジ状態における負担せん断力を略上限耐力とした履歴ループを描いて変形することになる。従って、耐力上昇が抑制された安定した減衰効果を発揮することができるようになっている。
具体的に、前記各実施形態の接合金物20,30,40,40A,50,60を用いた場合の繰り返し載荷試験結果を図12に示す。
図12(A)は、本発明の接合金物による試験結果を示すグラフであり、図12(B)は、比較例の接合金物による試験結果を示すグラフである。
ここで、本発明の接合金物では、ダンパー用鋼板が曲げ降伏するように設定されており、これによって耐力の上昇が抑制されるようになっている。これに対して比較例の接合金物では、ダンパー用鋼板の上下端縁にリブを設けて曲げ降伏しないように設定されている。
図12(A)の本発明の接合金物では、耐力上昇が抑えられ、安定しかつ面積の大きな履歴ループが描かれており、大きな履歴減衰が得られることが確認できた。一方、図12(B)の比較例の接合金物では、耐力が徐々に上昇している。さらに、単調載荷の場合よりも繰り返し載荷を行った方が耐力上昇がより大きくなることが分かる。
以上のことから、本発明の接合金物によれば、耐力の上昇を抑制し、さらにエネルギー吸収性能に優れた接合金物が実現でき、建物の振動を効果的に抑制できる接合金物が実現できる。
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
接合金物20,30,40,40A,50,60の各部材を構成する鋼材としては、任意の各種鋼材(建築構造用鋼材や機械構造用鋼材)が利用可能であるが、降伏後の履歴減衰を発揮させるダンパー用鋼板26,36,46,56に用いる鋼材としては、変形性能に優れた鋼材が好ましい。そして、ダンパー用鋼板の変形性能としては、第1連結部と第2連結部との相対変位として10mmを超えるまで耐力低下しない性能を有することが好ましい。
また、前記第1および第4実施形態では、ダンパー用鋼板の端部よりも中央部の幅寸法を小さく形成した略菱形状としたが、これに限らず、ダンパー用鋼板の端部よりも中央部の板厚寸法を小さく形成してもよく、さらに幅寸法および板厚寸法の両方に関し、ダンパー用鋼板の端部よりも中央部で小さくなるように形成してもよい。
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
本発明の第1実施形態に係る接合金物を示す斜視図である。 前記接合金物を示す側面図である。 前記接合金物の変形状態を示す側面図である。 第1実施形態の変形例に係る接合金物を示す側面図である。 第2実施形態に係る接合金物を示す側面図である。 第2実施形態の変形例に係る接合金物を示す側面図である。 第3実施形態に係る接合金物を示す側面図である。 第4実施形態に係る接合金物を示す側面図である。 前記接合金物の製造手順を示す斜視図である。 前記接合金物の取付手順を示す斜視図である。 前記接合金物の詳細構造を示す側面図である。 本発明の接合金物および比較例の接合金物の載荷試験結果を示すグラフである。 鋼材の曲げとせん断における応力−ひずみ関係を示すグラフである。
符号の説明
6…アンカーボルト(アンカー部材)、10…周辺の構造材、20,30,40,40A,50,60…接合金物、21,31,41,51…連結用鋼板(第2連結部)、25,35,45,55…筒状鋼材(第1連結部)、26,36,46,56,66…ダンパー用鋼板(減衰部材)、26B,36B…傾斜部、36C…切欠き孔、46B…スリット孔、65…コ字形鋼材(第1連結部)、66C…固定片部(第2連結部)。

Claims (13)

  1. 一組の対象物に渡って取り付けられ、当該対象物間の相対変位に伴って減衰効果を発揮する接合金物であって、
    前記一組の対象物のうちの一方に連結される第1連結部と、
    前記一組の対象物のうちの他方に連結される第2連結部と、
    前記第1連結部と前記第2連結部とに渡って接合される減衰部材とを備え、
    前記減衰部材は、前記一組の対象物間に生じる相対変位に伴って減衰効果を発揮するものであって、当該減衰部材には、降伏後の耐力上昇を抑制する耐力抑制手段が設けられていることを特徴とする接合金物。
  2. 請求項1に記載の接合金物において、
    前記第1連結部と前記第2連結部とは、前記一組の対象物間に生じる相対変位の方向と略直交して互いに対向配置され、
    前記減衰部材は、前記相対変位の方向である第1方向と、前記第1連結部と第2連結部とが対向する方向である第2方向と、の二方向に略平行に設けられるダンパー用鋼板で構成されていることを特徴とする接合金物。
  3. 請求項2に記載の接合金物において、
    前記ダンパー用鋼板における前記第1方向に沿った幅寸法は、前記第2方向両端部よりも中央部が小さく設定され、かつ当該中央部の幅寸法で決定されるせん断耐力が上昇した際に前記両端部が曲げ降伏するように当該両端部の幅寸法が設定され、このダンパー用鋼板の形状によって前記耐力抑制手段が構成されていることを特徴とする接合金物。
  4. 請求項2に記載の接合金物において、
    前記ダンパー用鋼板の板厚寸法は、前記第2方向端縁部よりも中央部が薄く設定され、かつ当該中央部の板厚寸法で決定されるせん断耐力が上昇した際に前記両端部が曲げ降伏するように当該両端部の板厚寸法が設定され、このダンパー用鋼板の形状によって前記耐力抑制手段が構成されていることを特徴とする接合金物。
  5. 請求項2に記載の接合金物において、
    前記ダンパー用鋼板は、前記第1方向に沿った幅寸法が前記第2方向両端部よりも中央部が小さく設定され、かつ板厚寸法が前記第2方向端縁部よりも中央部が薄く設定され、当該中央部の幅寸法および板厚寸法で決定されるせん断耐力が上昇した際に前記両端部が曲げ降伏するように当該両端部の幅寸法と板厚寸法とが設定され、このダンパー用鋼板の形状によって前記耐力抑制手段が構成されていることを特徴とする接合金物。
  6. 請求項2から請求項5のいずれかに記載の接合金物において、
    前記ダンパー用鋼板における前記第2方向に沿った両端縁には、前記両端部から前記中央部に向かって傾斜した傾斜部が形成されていることを特徴とする接合金物。
  7. 請求項2から請求項6のいずれかに記載の接合金物において、
    前記ダンパー用鋼板には、前記第1方向に一方の対角線が平行で、かつ前記第2方向に他方の対角線が平行となる略菱形状の切欠き孔が形成されていることを特徴とする接合金物。
  8. 請求項2に記載の接合金物において、
    前記ダンパー用鋼板には、前記第2方向に平行に延びて当該ダンパー用鋼板を貫通する少なくとも1つのスリット孔が形成され、このスリット孔で分割されて隣接する当該ダンパー用鋼板の各分割鋼板部の幅寸法は、各々のせん断耐力が上昇した際に前記第2方向両端部が曲げ降伏するように設定され、このダンパー用鋼板の形状によって前記耐力抑制手段が構成されていることを特徴とする接合金物。
  9. 請求項2から請求項8のいずれかに記載の接合金物において、
    前記ダンパー用鋼板は、降伏耐力が最大耐力に対して2/3以上の降伏耐力比を有する鋼材、および降伏耐力が設計用降伏耐力に対して±20%以内の降伏耐力幅を有する鋼材の、少なくとも一方から形成され、このダンパー用鋼板の力学特性によって前記耐力抑制手段が構成されていることを特徴とする接合金物。
  10. 請求項2から請求項9のいずれかに記載の接合金物において、
    前記ダンパー用鋼板は、析出硬化加工が施された鋼板から形成され、この析出硬化加工によって当該ダンパー用鋼板の降伏耐力比および降伏耐力幅の少なくとも一方が所定値に設定されていることを特徴とする接合金物。
  11. 請求項2から請求項9のいずれかに記載の接合金物において、
    前記ダンパー用鋼板は、予め初期位置から前記第1方向に沿って所定の変形量だけ変形させ、降伏した状態から初期位置に戻す塑性化加工が施された鋼板から形成され、この塑性化加工によって当該ダンパー用鋼板の降伏耐力比および降伏耐力幅の少なくとも一方が所定値に設定されていることを特徴とする接合金物。
  12. 請求項2から請求項11のいずれかに記載の接合金物において、
    前記第2連結部は、一組の連結用部材で構成され、当該一組の連結用部材が前記第1連結部を挟んで対称位置に設けられ、
    前記ダンパー用鋼板は、前記第1連結部を挟んで略線対称に配置される一組で構成されていることを特徴とする接合金物。
  13. 請求項2から請求項11のいずれかに記載の接合金物において、
    前記第2連結部は、一組の連結用部材で構成され、当該一組の連結用部材が前記第1連結部を挟んで略点対称位置に設けられ、
    前記ダンパー用鋼板は、前記第1連結部を挟んで略点対称に配置される一組で構成されていることを特徴とする接合金物。
JP2008014023A 2008-01-24 2008-01-24 接合金物 Active JP4664998B2 (ja)

Priority Applications (6)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008014023A JP4664998B2 (ja) 2008-01-24 2008-01-24 接合金物
US12/735,113 US8511025B2 (en) 2008-01-24 2009-01-23 Metal joint and building comprising the same
PCT/JP2009/051120 WO2009093712A1 (ja) 2008-01-24 2009-01-23 接合金物及びこれを備えた建築物
CN2009801025889A CN101925713B (zh) 2008-01-24 2009-01-23 接合金属器件及具备该接合金属器件的建筑物
TW098102848A TWI396790B (zh) 2008-01-24 2009-01-23 接合金屬件及具有該金屬件之建築物
KR1020107016310A KR101263078B1 (ko) 2008-01-24 2009-01-23 접합 철물 및 이것을 구비한 건축물

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008014023A JP4664998B2 (ja) 2008-01-24 2008-01-24 接合金物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008111332A true JP2008111332A (ja) 2008-05-15
JP4664998B2 JP4664998B2 (ja) 2011-04-06

Family

ID=39443994

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008014023A Active JP4664998B2 (ja) 2008-01-24 2008-01-24 接合金物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4664998B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010216611A (ja) * 2009-03-18 2010-09-30 Nippon Steel Corp 制震用金属板
JP4729134B1 (ja) * 2010-06-16 2011-07-20 新日本製鐵株式会社 制震用金属板及び建築構造物
CN102348859A (zh) * 2009-03-12 2012-02-08 新日本制铁株式会社 连结用金属器具、减振构造以及建筑构造物
CN105401772A (zh) * 2015-12-17 2016-03-16 黄淮学院 减震抗震型钢结构房屋

Citations (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62240747A (ja) * 1986-04-11 1987-10-21 Nippon Steel Corp 冷間加工性及び溶接性にすぐれた加工、析出硬化型高張力鋼材およびその製造方法
JPH02229367A (ja) * 1989-03-02 1990-09-12 Kajima Corp 弾塑性ダンパー
JPH0593475A (ja) * 1991-10-01 1993-04-16 Mitsui Constr Co Ltd 弾塑性ダンパ
JPH0725160U (ja) * 1993-10-14 1995-05-12 株式会社熊谷組 弾塑性ダンパー
JPH1096337A (ja) * 1996-09-20 1998-04-14 Kajima Corp シリンダ型円板式鉛ダンパー
JPH10253004A (ja) * 1997-03-12 1998-09-25 Ishikawajima Harima Heavy Ind Co Ltd 耐震装置
JP2001207679A (ja) * 2000-01-28 2001-08-03 Tatsuji Ishimaru ダンパー
JP2003184926A (ja) * 2002-11-05 2003-07-03 Kajima Corp 塗料で被覆した鋼製弾塑性ダンパ
JP2005090188A (ja) * 2003-09-19 2005-04-07 Japan Progress Kk 滑り支承型免震装置
JP2006214120A (ja) * 2005-02-02 2006-08-17 Toda Constr Co Ltd 浮上り制振ユニット及び浮上り制振構造
JP2006283408A (ja) * 2005-03-31 2006-10-19 Daiwa House Ind Co Ltd 制振構造
JP2007217954A (ja) * 2006-02-16 2007-08-30 Nippon Steel Corp 粘弾性体付き制振装置およびその装置を備えた制振装置付き耐力壁並びにその耐力壁の施工法

Patent Citations (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62240747A (ja) * 1986-04-11 1987-10-21 Nippon Steel Corp 冷間加工性及び溶接性にすぐれた加工、析出硬化型高張力鋼材およびその製造方法
JPH02229367A (ja) * 1989-03-02 1990-09-12 Kajima Corp 弾塑性ダンパー
JPH0593475A (ja) * 1991-10-01 1993-04-16 Mitsui Constr Co Ltd 弾塑性ダンパ
JPH0725160U (ja) * 1993-10-14 1995-05-12 株式会社熊谷組 弾塑性ダンパー
JPH1096337A (ja) * 1996-09-20 1998-04-14 Kajima Corp シリンダ型円板式鉛ダンパー
JPH10253004A (ja) * 1997-03-12 1998-09-25 Ishikawajima Harima Heavy Ind Co Ltd 耐震装置
JP2001207679A (ja) * 2000-01-28 2001-08-03 Tatsuji Ishimaru ダンパー
JP2003184926A (ja) * 2002-11-05 2003-07-03 Kajima Corp 塗料で被覆した鋼製弾塑性ダンパ
JP2005090188A (ja) * 2003-09-19 2005-04-07 Japan Progress Kk 滑り支承型免震装置
JP2006214120A (ja) * 2005-02-02 2006-08-17 Toda Constr Co Ltd 浮上り制振ユニット及び浮上り制振構造
JP2006283408A (ja) * 2005-03-31 2006-10-19 Daiwa House Ind Co Ltd 制振構造
JP2007217954A (ja) * 2006-02-16 2007-08-30 Nippon Steel Corp 粘弾性体付き制振装置およびその装置を備えた制振装置付き耐力壁並びにその耐力壁の施工法

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102348859A (zh) * 2009-03-12 2012-02-08 新日本制铁株式会社 连结用金属器具、减振构造以及建筑构造物
US8590220B2 (en) 2009-03-12 2013-11-26 Nippon Steel & Sumitomo Metal Corporation Metal joint, damping structure, and architectural construction
CN102348859B (zh) * 2009-03-12 2013-12-04 新日铁住金株式会社 连结用金属器具、减振构造以及建筑构造物
JP2010216611A (ja) * 2009-03-18 2010-09-30 Nippon Steel Corp 制震用金属板
JP4729134B1 (ja) * 2010-06-16 2011-07-20 新日本製鐵株式会社 制震用金属板及び建築構造物
WO2011158289A1 (ja) * 2010-06-16 2011-12-22 新日本製鐵株式会社 制震用金属板及び建築構造物
CN102859097A (zh) * 2010-06-16 2013-01-02 新日本制铁株式会社 减振用金属板及建筑构造物
US8875452B2 (en) 2010-06-16 2014-11-04 Nippon Steel & Sumitomo Metal Corporation Energy dissipating metal plate and building structure
CN102859097B (zh) * 2010-06-16 2015-09-09 新日铁住金株式会社 减振用金属板及建筑构造物
CN105401772A (zh) * 2015-12-17 2016-03-16 黄淮学院 减震抗震型钢结构房屋
CN105401772B (zh) * 2015-12-17 2017-08-25 黄淮学院 减震抗震型钢结构房屋

Also Published As

Publication number Publication date
JP4664998B2 (ja) 2011-04-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101263078B1 (ko) 접합 철물 및 이것을 구비한 건축물
TWI399473B (zh) 接合金屬件,抑振構造及建築構造物
JP4729134B1 (ja) 制震用金属板及び建築構造物
KR101348577B1 (ko) 건물의 개구부에 설치된 수평보형 댐퍼를 이용한 내진보강방법
JP2007332682A (ja) 鉄骨柱梁乾式接合構造
JP4664998B2 (ja) 接合金物
JP5908688B2 (ja) 鉄骨柱の露出型柱脚構造
JP2018172888A (ja) 建築物の架構構造
JP2003034984A (ja) 制振ブレース
JP2008002136A (ja) 構面補強構造
JP2018178466A (ja) ダンパー、及びダンパーの製作方法
KR102034116B1 (ko) 손상제어형 기둥-보 접합구조물 및 기둥-보 접합부 보강공법
JP2010216611A (ja) 制震用金属板
JP5967438B2 (ja) ブレース耐震補強構造
JP2012026123A (ja) 耐力フレームの構造
JP6838877B2 (ja) 座屈拘束ブレースダンパー
JPH11350778A (ja) 制震ダンパーおよび制震構造
JP2010043415A (ja) 制震デバイス
JP4049120B2 (ja) 建物の制震構造
JP3215633U (ja) ブレース取付構造
JP2012219500A (ja) 制振耐力壁パネル
JP7479262B2 (ja) 制震ダンパー及び制震フレーム構造
JP7262518B2 (ja) 間柱型鋼材ダンパー
JP2019157598A (ja) 鋼板耐震壁及びそれを備えた鋼板耐震壁構造
JP7495309B2 (ja) 梯子型耐力壁架構及び門型架構

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080215

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100518

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100715

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20101214

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110107

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4664998

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140114

Year of fee payment: 3

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140114

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350