JP2006283408A - 制振構造 - Google Patents

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仁崇 山下
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Abstract

【課題】他が降伏する前に先行して効果的にエネルギーの吸収を行うことができる制振構造を提供する。
【解決手段】二重管部を形成する内外の筒9,10と、内筒10の外周部と外筒9の内周部との間に配置され、両筒9,10の軸線方向における相対移動によってせん断変形をし、エネルギーの吸収を行うエネルギー吸収材11とを備えた制振部品6が備えられている。そして、土台2の上面側から雄ネジ棒7が通され、もう一方の側において、雄ネジ棒7が制振部品6の内筒10に通され、その後方からナット8が螺合され、雄ネジ棒7に引抜き力が作用することで両筒9,10軸線方向の相対移動をしてエネルギー吸収材11がせん断変形をしエネルギーの吸収を行うようになされている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば、耐力パネルと土台との接合部などにおいて用いられる制振構造に関する。
例えば、住宅等の建物において、ブレースの組み込まれた耐力パネルと、土台とをボルト接合した構造では、地震が起きると、ブレースが水平力に耐えるが、一定限度を越える水平力に対しては、ブレースや土台が降伏してしまい、その修復が厄介であるという問題がある。
そのため、ブレースや土台が降伏する前に先行してエネルギーの吸収を行う制振構造を採用するとよいが、それを効果的に実現できる制振構造は、未だ提供されていない。
本発明は、上記のような技術背景において、他が降伏する前に先行して効果的にエネルギーの吸収を行うことができる制振構造を提供することを課題とする。
上記の課題は、二重管部を形成する内外の筒と、内筒の外周部と外筒の内周部との間に配置され、両筒の軸線方向における相対移動によってせん断変形をし、エネルギーの吸収を行うエネルギー吸収材とを備えた制振部品が備えられ、
部材に通孔が設けられ、該通孔に部材の一方の側から雄ネジ棒が通されると共に、通孔のもう一方の側において、雄ネジ棒が前記制振部品の内筒に通され、その後方から雄ネジ棒に雌ネジ材が螺合されて、内筒と雌ネジ材とが当接すると共に、外筒と部材とが当接するように締め込まれ、
雄ネジ棒に引抜き力が作用することで、両筒が軸線方向の相対移動をしてエネルギー吸収材がせん断変形をし、エネルギーの吸収を行うようになされていることを特徴とする制振構造によって解決される。
この制振構造では、エネルギー吸収材が、制振部品において内外の筒間に配置され、雄ネジ棒に作用する引抜き力で両筒が軸線方向に相対移動をし、その相対移動によるせん断変形によってエネルギーの吸収を行うようになされているので、エネルギー吸収材にせん断変形を効果的に行わせることができて、他が降伏する前に先行して効果的にエネルギーの吸収を行うことができる。
本発明は、以上のとおりのものであるから、他が降伏する前に先行して効果的にエネルギーの吸収を行うことができる。
次に、本発明の実施最良形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図3に示す第1実施形態の制振構造は、図1(イ)に示すように、耐力パネル1と鋼製土台2の接合部Aに適用した場合のもので、耐力パネル1は、方形環状のパネルフレーム1aに鋼製ブレース1bが設けられたものからなっている。なお、3はコンクリート基礎、4は柱、5は外壁面材である。
耐力パネル1と土台2の接合部Aを拡大して示す図1(ロ)において、6は制振部品、7は雄ネジ棒、8は雌ネジ材としてのナットである。
制振部品6は、図2(イ)(ロ)に示すように、二重管部を形成する内外の筒9,10と、内筒10の外周部と外筒9の内周部との間に配置されたエネルギー吸収材11とを備え、両筒9,10の軸線方向における相対移動によってエネルギー吸収材11がせん断変形をし、エネルギーの吸収を行うようになされている。該エネルギー吸収材11は、例えば粘弾性体からなっており、内筒10の外周部と外筒9の内周部とに接合状態にされて備えられている。
そして、雄ネジ棒7は、図2(イ)及び図1(ロ)に示すように、耐力パネル1の側に通され、その頭部7aが耐力パネル1に溶接Wなどにより取り付けられて耐力パネル1と一体化されており、雄ネジ棒7の先端側は、部材としての土台2に設けられた通孔2aに上側から通され、該通孔2aの下側において、制振部品6の内筒10に通され、その下方からナット8が螺合され、該ナット8は、内筒10とナット8、及び、外筒9と土台2とを当接させるように締め込まれている。
なお、外筒9の内周サイズは、雌ネジ材8の平面サイズよりも大きく設計されていて、外筒9と雌ネジ材8とは互いに当接しないように設計されている。
そして、地震等により雄ネジ棒7に引抜き力が作用すると、外筒9と土台2との当接、及び、内筒10とナット8との当接によって、内筒10と外筒9とが軸線方向、即ち引抜き方向に相対移動をし、エネルギー吸収材11がせん断変形をしてエネルギーの吸収を行い、それによって、耐力パネル1のブレース1bや土台2が降伏するのを阻止するようになされている。
特に、エネルギー吸収材11としては、それが粘弾性体であるかどうかを問わず、雄ネジ棒7に引抜き力が作用すると、エネルギー吸収材11がせん断抵抗力を発揮し、それを越える引抜き力が作用すると、内筒10と外筒9とが引抜き方向に相対移動をしてせん断変形をし、エネルギーの吸収を行うようなものが用いられるとよい。
このように、上記の制振構造では、エネルギー吸収材11が、制振部品6において内外の筒9,10間に配置され、雄ネジ棒7に作用する引抜き力で両筒9,10が軸線方向に相対移動をし、その相対移動によるせん断変形によってエネルギーの吸収を行うようになされているので、エネルギー吸収材11に、せん断変形を効果的に行わせることができて、他が降伏する前に先行して効果的にエネルギーの吸収を行うことができる。従ってまた、エネルギーの吸収によってエネルギー吸収材11の交換を必要とする場合は、制振部品の交換のみを行うことで済ませることが可能となり、修復を容易にすることができる。
図4(イ)に示す第2実施形態の制振構造では、制振部品6のエネルギー吸収材が環状板バネ11からなっており、多数の環状板バネ11…が、外筒9の内周部と内筒10の外周部との間に軸線方向に間隔的に備えられ、各環状板バネ11…の内周部が内筒10の外周部に接合されると共に、各環状板バネ11の外周部が外筒9の内周部に接合されている。
そして、図4(ロ)に示すように、雄ネジ棒7に引抜き力が作用すると、内筒10と外筒9とが引抜き方向に相対移動をして、各環状板バネ11…がせん断変形をし他に先行して降伏してエネルギーの吸収を行い、それによって、耐力パネル1のブレース1bや土台2が降伏するのを阻止するようになされている。その他は、第1実施形態と同様であり、同様の作用効果が奏される。
以上に、本発明の実施形態を示したが、本発明はこれに限られるものではなく、発明思想を逸脱しない範囲で各種の変更が可能である。例えば、上記の実施形態では、本発明の制振構造を耐力パネル1と土台2との接合部に適用した場合を示したが、その他、ブレース端部の連結部など、各種部材同士の接合部や連結部等に用いることができるものである。また、上記の実施形態では、エネルギー吸収材11として、粘弾性体や環状板バネを用いた場合を示したが、エネルギー吸収材は、内外の筒間に設置することができて、軸線方向における筒の相対移動によってせん断変形をし、粘性や降伏等によってエネルギーの吸収を行うことができるようなものであればよい。
第1実施形態の制振構造を示すもので、図(イ)は制振構造の組込み箇所の一例を示す正面図、図(ロ)は制振構造の組込み部分の拡大断面正面図である。 図(イ)は同制振構造の分解断面正面図、図(ロ)は図(イ)のI−I線断面図である。 同制振構造の作動状態を示す断面正面図である。 図(イ)は第2実施形態の制振構造を示す断面正面図、図(ロ)はその作動状態を示す断面正面図である。
符号の説明
2…土台(部材)
2a…通孔
6…制振部品
7…雄ネジ棒
8…ナット(雌ネジ材)
9…外筒
10…内筒
11…エネルギー吸収材

Claims (1)

  1. 二重管部を形成する内外の筒と、内筒の外周部と外筒の内周部との間に配置され、両筒の軸線方向における相対移動によってせん断変形をし、エネルギーの吸収を行うエネルギー吸収材とを備えた制振部品が備えられ、
    部材に通孔が設けられ、該通孔に部材の一方の側から雄ネジ棒が通されると共に、通孔のもう一方の側において、雄ネジ棒が前記制振部品の内筒に通され、その後方から雄ネジ棒に雌ネジ材が螺合されて、内筒と雌ネジ材とが当接すると共に、外筒と部材とが当接するように締め込まれ、
    雄ネジ棒に引抜き力が作用することで、両筒が軸線方向の相対移動をしてエネルギー吸収材がせん断変形をし、エネルギーの吸収を行うようになされていることを特徴とする制振構造。
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