JP2010261484A - 免震装置 - Google Patents

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重信 鈴木
Nobuo Murota
伸夫 室田
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Abstract

【課題】 軸方向と直交する面内で互いに交差する2方向の独立した加振力が作用した場合、それによる局部剪断歪み抑え耐久性を向上することのできる免震装置を提供する。
【解決手段】 免震装置10において、各ゴム層1を、第1のゴムよりなる直径がDの内側円形部3と、第1のゴムより減衰係数の低い第2のゴムよりなる外径がα・Dの外側円環部4とで構成し、αを1.1〜1.2としてなる。
【選択図】図3

Description

本発明は、円板状のゴム層と剛性板とを軸方向に交互に積層してなる免震装置に関し、特に、2方向の加振入力に対して高い耐久性を確保することができるものに関する。
従来から、地震などによって建物等に加わる加振力を減衰するために、これらの建物を支持する、円板状のゴム層と剛性板とを軸方向に交互に積層した免震装置が用いられている。
このような免震装置(例えば特許文献1参照。)は、軸方向と直交する面内で互いに交差する2方向の独立した加振力が作用した場合、図1に斜視図で、図2に平面図でそれぞれ模式的に示すように、R方向の第1の加振力によってR方向に変形した状態の免震装置に、R方向と交差する方向の加振力Fが作用したとき、R方向の変形量Lと、加振力FのR方向に直角の方向θの成分Fθとの積のねじりモーメントが作用し、これによって、単純に1方向Rの加振力が作用する場合に対比して局部剪断歪みが増加し、免震装置の終局性能、すなわち、破断歪みの低下に繋がることがわかってきた。なお、図1において、符号91はゴム層、符号2は鉄板等の剛性板、そして、符号6はゴム層と剛性板を交互に積層した積層体の軸方向両側端に設けられ、免震装置を地盤側および建物側に取り付けるためのフランジである。また、図2において、曲線Qは、免震装置が変形する際の下側フランジに対する上側フランジの移動軌跡を表す。
特開平7−259378号公報
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、軸方向と直交する面内で互いに交差する2方向の独立した加振力が作用した場合、それによる局部剪断歪み抑え耐久性を向上することのできる免震装置を提供することを目的とする。
本発明は、複数枚の円板状のゴム層と複数枚の剛性板とを軸方向に交互に積層してなる免震装置において、各ゴム層を、第1のゴムよりなる直径がDの内側円形部と、第1のゴムより減衰係数の低い第2のゴムよりなる外径がα・Dの外側円環部とで構成し、αを1.1〜1.1としてなる免震装置である。
本発明によると、上記のような構成により、減衰性能をさほど犠牲にすることなく、2方向の独立した加振入力に対する耐久性を大幅に向上させることができる。
免震装置において、2方向の加振力が加わった場合に作用するモーメントを説明するための模式的斜視図である。 同上の目的のための、模式的平面図である。 本発明に係る実施形態の免震装置を示す断面図である。 ゴム層を示す平面図である。 評価関数φ1の外径比αに対する依存性を示すグラフである。 評価関数φ2の外径比αに対する依存性を示すグラフである。 評価関数φ1、φ2の積の外径比αに対する依存性を示すグラフである。
本発明の実施形態について図に基づいて説明する。図3は、免震装置を加振入力がない状態において示す軸心を通る断面を示す断面図であり、図4は、ゴム層を示す平面図であり、免震装置10は、上下のフランジ6の間に、それぞれ複数枚の円板状のゴム層1と剛性板2とを軸方向に交互に積層してなり、その特徴として、各ゴム層1を、第1のゴムよりなる直径がDの内側円形部3と、第1のゴムより減衰係数の低い第2のゴムよりなる外径がα・Dの外側円環部4とで構成し、このときのαを1.1〜1.2として構成される。
そして、この免震装置10は、この構成によって、減衰性能をさほど犠牲にすることなく、2方向の独立した加振入力に対する耐久性を大幅に向上させることができるが、その理由について以下に詳細を説明する。
以下の説明において、内側円形部3の第1のゴムを高減衰ゴム、この高減衰ゴムより減衰係数の低い、外側円環部4の第2のゴムを低減衰ゴムと呼ぶこととし、また、内側円形部3の外径に対する外側円環部4の外径の比αを単に外径比と呼ぶこととする。
まず、従来のゴム層は高減衰ゴムだけで形成されていることに対し、本発明において、その外周側を低減衰ゴムに置換することによる効果についてであるが、もし全てが高減衰ゴムであった場合には特にゴム層内部に大きなモーメントが生じることにより、その上下端部でねじり角が大きくなり外周側で局部剪断歪みが大きくなってしまうのに対して、低減衰ゴムを外周側に配置した構成では、減衰係数が小さい低減衰ゴムがゴム層内部のモーメントを増大させずにねじり剛性を高める役割を果たすため外周側でのねじり角を低減させることができ外周側での局部剪断歪みを抑えることができる。
次に、外径比αを1.1〜1.2とすることによる効果について説明する。この低減衰ゴムよりなる外側円環部4の半径方向幅を増加させればそれに応じて、ねじり角の抑制量は増加する。しかしながら、同時に、減衰効果は逆に減じてゆくので、ねじり角抑制効果を高く発揮しつつ減衰効果も十分高く保てるような外側円環部4の半径方向幅の最適範囲が存在するはずであり、この最適範囲を以下のようにして設定した。
その設定方法は、ねじり角抑制効果を表す第1の評価関数φ1と、減衰性能低下抑制効果を現す第2の評価関数φ2とを導入して、その積が最大となるようにすれば、ねじり角抑制効果と減衰性能低下抑制効果との両方を大きくすることができるとする考え方に基づいている。ここで、評価関数φ1は、ねじり角抑制効果が最大のときには1、ねじり抑制効果が最小のときには0となるようにして決め、評価関数φ2は、減衰性能が低下しないときは1、減衰性能が最大に低下してしまうときは0となるようにして設定する。
よって、ねじり角低減効果を表す評価関数φ1は、免震装置10に所定のモーメントが生じているときに、外側円環部4の外周に生じるねじり角ΘSの、ねじり角ΘHに対する比を1から差し引いた(1-ΘSH)で表し、減衰性能低下抑制効果を表す評価関数φ2は、内側円形部3と外側円環部4とをあわせたゴム層全体の損失係数tanδSの、高減衰ゴムだけよりなる内側円形部3の損失係数tanδHに対する比の1次関数で表した。
ただし、ねじり角低減効果や減衰性能低下抑制効果は、外径比αだけでなく、ゴム層に用いられる高減衰ゴムの剪断弾性係数GHと低減衰ゴムの剪断弾性係数GLとの弾性係数比Grにも依存する。ここで、弾性係数比Gr は、これを1前後にすることが好ましく、もし弾性係数比Grが1から大きくずれてしまうと、高減衰ゴムと低減衰ゴムのとの界面で応力が大きくなってそれらのゴム間での剥離が発生しやすくなるため、以下の計算においてはこれを2/3〜3/2の範囲とした。そして、この範囲の弾性係数比Grについて、第1および第2の評価関数の積φ1・φ2が最大となるαの範囲を最適範囲として求めた。
まず、ねじり角低減効果に対する評価関数φ1について求める。内側円形部3の上下端にねじりモーメントMが生じているとして、剪断弾性係数がGHの高減衰ゴムよりなる内側円形部3の単位長さ当たりの剛性KθHは、一般的に式(1)で表すことができるので、これを用いて、モーメントMに対するねじり角ΘHを表す式(2)を得る。
Figure 2010261484
次に、この内側円形部3の外側に、剪断弾性係数がGLの低減衰ゴムよりなる幅が
(α-1)/2・Dの外側円環部4を設けたときのねじり剛性KθSは式(2)で表すことができる。
Figure 2010261484
このとき、内側円形部3の外側に外側円環部4を付加したことによるモーメントの増分は、外側円環部4が低減衰ゴムだけより構成されているので、殆どゼロと仮定することができ、したがって、この場合、外側円環部4の外周におけるねじり角ΘSとして式(4)を得る。
Figure 2010261484
以上により、ねじり角低減効果(1-ΘSH)は、式(5)で表すことができる。
Figure 2010261484
次に、ねじり角低減効果を評価する評価関数φ1を、先に説明した通り、(1-ΘSH)と設定し、評価関数φ1は、ねじり抑制効果が最大値1、すなわち、ΘSHがゼロ(このとき、αは∞)のとき1となり、ねじり抑制効果が最小値0のときには0となるようにした。評価関数φ1は以下のように展開することができる。
Figure 2010261484
すなわち、この場合、ねじり角低減効果評価関数φ1として、上で定義したねじり角低減効果(1-ΘSH)そのものを用いる。
次に、減衰性能低減効果について計算する。低減衰ゴムの減衰性能を表すものとしてその損失係数tanδLを用い、同様に、高減衰ゴムの減衰性能を表すものとしてその損失係数tanδHを用いる。そしてゴム層全体の減衰性能を表すものとしてその損失係数をtanδSで表すとすると、ゴム層全体の減衰性能は、低減衰ゴムの損失係数tanδLと高減衰ゴムの損失係数tanδHとを、それぞれの面積の大きさに応じた重み付けを行って加重平均したものであるから、tanδSは式(7)で表すことができる。
Figure 2010261484
したがって、減衰性能低減抑制効果tanδS/tanδHは式(8)のように表すことができ、減衰性能低減抑制効果を評価する評価関数φ2として、減衰性能低減抑制効果tanδS/tanδHが1のとき、すなわち、減衰効果を同じに保てるとき1となり、これが最小のとき(この場合50%低減したときを最小とする)0となるように式(9)を設定する。
Figure 2010261484
φ1、φ2の評価関数のαに対する依存性を、本明細書で前提にしている弾性係数比Grの範囲2/3〜3/2の範囲のうち、Grが2/3、1および3/2の場合について、図5および6にそれぞれ、グラフ化して示した。横軸はαであり、縦軸は、それぞれの評価関数φ1、φ2である。なお、tanδL/tanδHは0.0として近似した。
そして、図7に、Grが2/3、1および3/2の場合について、φ1、φ2の積を縦軸にとって、αに対する依存性を示したが、Grの範囲2/3〜3/2に対して、φ1、φ2の積が最大になるようにするには、αを1.1〜1.2とする必要があることがわかる。すなわち、Grが2/3のときには、αを1.1とするのが最適であり、Grが3/2のときには、αを1.2とするのが最適であることがわかる。
本発明は、以上の導出過程により、外径比αの範囲要件を1.1〜1.2と定めたものである。
1 ゴム層
2 剛性板
3 内側円形部
4 外側円環部
5 外皮ゴム
6 フランジ
10 免震装置

Claims (1)

  1. 複数枚の円板状のゴム層と複数枚の剛性板とを軸方向に交互に積層してなる免震装置において、各ゴム層を、第1のゴムよりなる直径がDの内側円形部と、第1のゴムより減衰係数の低い第2のゴムよりなる外径がα・Dの外側円環部とで構成し、αを1.1〜1.2としてなる免震装置。
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JP2014059021A (ja) * 2012-09-18 2014-04-03 Oiles Ind Co Ltd 塑性変形自在部材入り積層ゴム支承
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