JP7143254B2 - 車体後部構造 - Google Patents

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Description

本発明は、車体後部構造に関するものである。
車体後部構造として、車体後部のリヤピラーに、後席用のシートベルトの支持起点となるベルトアンカーが支持されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の車体後部構造は、リヤピラーの上部前方にサイドウィンドウ用の開口が形成され、リヤピラーのピラーインナの車外側面に、前記開口の後縁部に近接するように断面略ハット状の補強部材が接合されている。シートベルトの支持起点となるベルトアンカーは、補強部材とサイドウィンドウ用の開口の後縁部とに跨がるように取り付けられている。この車体後部構造では、サイドウィンドウの後部側の比較的狭いスペース内にベルトアンカーを高い剛性をもって設置することができる。
特開2012-162216号公報
特許文献1に記載の車体後部構造は、サイドウィンドウ用の開口の後縁部と、その後方側に配置した補強部材とに跨るようにベルトアンカーが設置されている。このため、ベルトアンカーを設置できる高さは限定されているが、車両によっては車体の寄り上端寄り部分にベルトアンカーを設置することが望まれることがある。
そこで本発明は、車体の後側部の上端寄り部分に高い支持剛性をもってベルトアンカーを設置することができる車体後部構造を提供しようとするものである。
本発明に係る車体後部構造は、上記課題を解決するために、以下の構成を採用した。
即ち、本出願の一の発明に係る車体後部構造は、車体後部のテールゲート開口(例えば、実施形態のテールゲート開口10)の側縁部に車体後方を向いて設置されるピラーガータ(例えば、実施形態のピラーガータ11)と、前記ピラーガータの車体前方側で当該ピラーガータと閉断面を形成するガータインナ(例えば、実施形態のガータインナ26)と、前記ピラーガータと前記ガータインナに接合されて、前記ピラーガータと前記ガータインナとともにリヤピラー(例えば、実施形態のリヤピラー27)を形成する車両のアウタパネル(例えば、実施形態のアウタパネル16)と、車両のルーフ部の側方に配置され、後部に前記ガータインナの上端部が接続されるルーフサイドレール(例えば、実施形態のルーフサイドレール29)と、後輪懸架用のリヤダンパの上方を覆うダンパハウジング(例えば、実施形態のダンパハウジング19)と、前記ダンパハウジングの上壁に固定されて前記リヤダンパの上部を支持するダンパベース(例えば、実施形態のダンパベース20)と、前記ダンパベースの車幅方向外側の縁部に連なる位置から車体側部に沿って上方に延び、上部が前記ガータインナに接続される上部補強部材(例えば、実施形態の上部補強部材25)と、車室側の後部上方に支持されてシートベルトの支持起点となるベルトアンカー(例えば、実施形態のベルトアンカー30)と、を備え、前記ベルトアンカーは、前記ガータインナの前記上部補強部材との接続部の上方位置に固定され、前記ピラーガータを境界に車両前方側に前記ベルトアンカーが配置され、前記ピラーガータを境界に車両後方側にテールゲート用の開閉ダンパ(例えば、実施形態の開閉ダンパ32)が配置され、前記ガータインナは、車体の側面に略沿う側部指向壁(例えば、実施形態の側部指向壁26a)と、前記側部指向壁の後端部から車幅方向内側に屈曲して前記ピラーガータに結合される屈曲フランジ(例えば、実施形態の屈曲フランジ26b)と、を有し、前記側部指向壁の車幅方向外側の面には、前記ガータインナのベルトアンカー固定部を補強するための補強板(例えば、実施形態の補強板34)が固定され、前記補強板は、前記側部指向壁の車幅方向外側の面に固定される補強板本体部(例えば、実施形態の補強板本体部34a)と、前記補強板本体部の後端部から車幅方向内側に屈曲して、前記屈曲フランジと前記ピラーガータの結合部間に介装されるダンパ側補強部(例えば、実施形態のダンパ側補強部34b)と、を有し、前記開閉ダンパは、前記屈曲フランジと前記ダンパ側補強部と前記ピラーガータの三枚重ねの部分に固定されていることを特徴とする。
上記の構成において、シートベルトからベルトアンカーに引っ張り荷重が作用すると、その荷重は、ガータインナのうちの、上部補強部材との接続部と、ルーフサイドレールとの接続部に挟まれた部位によって受け止められる。したがって、本構成を採用した場合には、ベルトアンカーを車体の後側部の上端寄り部分に設置しつつも、ベルトアンカーに対する充分な支持剛性を確保することができる。
この場合、リヤピラーの上部の狭いスペースにベルトアンカーと開閉ダンパを効率良く設置することができる。
また、この場合、補強板は、ベルトアンカー固定部を補強する補強板本体部と、開閉ダンパの固定部を補強するダンパ側補強部と、を有するため、リヤピラーの上部の狭い領域に配置されるベルトアンカーと開閉ダンパの各固定部の剛性および強度を効率良く高め、かつ、車体の後部上方側の剛性も高めることができる。
前記ピラーガータとガータインナは、前記上部補強部材との接続部の上方において、ルーフ後端のルーフクロスメンバ(例えば、実施形態のルーフクロスメンバ12)に接続されるようにしても良い。
この場合、シートベルトからベルトアンカーに作用する引っ張り荷重を、ルーフクロスメンバによっても支持することができる。したがって、本構成を採用した場合には、リヤピラーの上部の断面の小さい部分にベルトアンカーを設置しても、ベルトアンカーに対する充分な支持剛性を確保することができる。
前記ガータインナは、上端部が屈曲して車体前方側に延び、当該上端部が前記ルーフサイドレールの後部の一部を形成するようにしても良い。
この場合、ガータインナの上端部がルーフサイドレールの後部と一体化するため、シートベルトからベルトアンカーに作用する引っ張り荷重をより確実に支持することができる。
前記ガータインナは、前記側部指向壁の前端部から車幅方向外側に屈曲する前屈曲壁(例えば、実施形態の前屈曲壁26c)を有し、前記補強板は、前記前屈曲壁に結合される前結合部(例えば、実施形態の前結合部34c)を有する構成としても良い。
この場合、シートベルトからベルトアンカーに入力された引っ張り荷重は、補強板のダンパ側補強壁と前結合部を介してガータインナに確実に支持される。
前記前結合部には補強ビード(例えば、実施形態の補強ビード36)が形成されるようにしても良い。
この場合、前結合部が補強ビードによって剛性を高められる。この結果、補強板の前結合部に伝達された引っ張り荷重は、安定してガータインナに支持される。
本出願の他の発明に係る車体後部構造は、車体後部のテールゲート開口(例えば、実施形態のテールゲート開口10)の側縁部に車体後方を向いて設置されるピラーガータ(例えば、実施形態のピラーガータ11)と、前記ピラーガータの車体前方側で当該ピラーガータと閉断面を形成するガータインナ(例えば、実施形態のガータインナ26)と、前記ピラーガータと前記ガータインナに接合されて、前記ピラーガータと前記ガータインナとともにリヤピラー(例えば、実施形態のリヤピラー27)を形成する車両のアウタパネル(例えば、実施形態のアウタパネル16)と、車両のルーフ部の側方に配置され、後部に前記ガータインナの上端部が接続されるルーフサイドレール(例えば、実施形態のルーフサイドレール29)と、後輪懸架用のリヤダンパの上方を覆うダンパハウジング(例えば、実施形態のダンパハウジング19)と、前記ダンパハウジングの上壁に固定されて前記リヤダンパの上部を支持するダンパベース(例えば、実施形態のダンパベース20)と、前記ダンパベースの車幅方向外側の縁部に連なる位置から車体側部に沿って上方に延び、上部が前記ガータインナに接続される上部補強部材(例えば、実施形態の上部補強部材25)と、車室側の後部上方に支持されてシートベルトの支持起点となるベルトアンカー(例えば、実施形態のベルトアンカー30)と、を備え、前記ベルトアンカーは、前記ガータインナの前記上部補強部材との接続部の上方位置に固定され、前記ダンパベースの車幅方向外側位置には、前記アウタパネルの内側で車体側部を覆うように延在するリヤインサイドパネル(例えば、実施形態のリヤインサイドパネル24)を備え、前記上部補強部材は、前記リヤインサイドパネルの車内側面に接合されていることを特徴とする。
本発明では、ベルトアンカーが、ガータインナの上部補強部材との接続部の上方位置に固定されている。したがって、本発明を採用した場合には、車体の後側部の上端寄り部分に高い支持剛性をもってベルトアンカーを設置することができる。
実施形態の車両の一部の部材を取り去った後面図である。 実施形態の車両の車体後部の斜視図である。 実施形態の車両の図1のIII-III線に沿う断面図である。 実施形態の車両を図3のIV-IV線に沿って一部を断面にした斜視図である。 実施形態の車両の図3のV-V線に沿う断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において、前後や上下、左右については、特別に断らない限り、車両についての前後や上下、左右を意味するものとする。また、図面の適所には、車両の上方を指す矢印UPと、車両の前方を指す矢印FRと、車両の左側方を指す矢印LHが記されている。
図1は、本実施形態の車両1から一部の部材を取り去り、同車両1を後方から見た図である。図2は、車両1の後部を左後部上方から見た斜視図である。
本実施形態の車両1は、車体の後面に、図示しないテールゲートが跳ね上げ回動可能に取り付けられたハッチバックタイプの車両である。図中の符号10は、テールゲートによって開閉される車体後部のテールゲート開口である。テールゲート開口10の左右の側縁部には、車体後方を向く樋溝を有するピラーガータ11が配置されている。左右のピラーガータ11の樋溝は、テールゲートが閉じられたときに、テールゲートによって覆われる。
左右のピラーガータ11の上端部同士は、テールゲート開口10の上端位置で、車両1のルーフ後端のルーフクロスメンバ12(ルーフアーチ)によって連結されている。また、左右のピラーガータ11の下端部同士は、テールゲート開口10の下端位置で、車幅方向に略沿って延びるリヤパネルクロスメンバ13によって連結されている。リヤパネルクロスメンバ13は、車室のリヤフロアパネル9(図3参照)の後端部に固定されたリヤパネル14に接合されて、当該リヤパネル14とともに車幅方向に略沿って延びる閉断面を形成している。
左右のピラーガータ11は、テールゲート開口10の上端部から下方に向かって車幅方向外側に緩やかに傾斜した後に、テールゲート開口10の上下方向の略中央位置から下方に向かって車幅方向内側に湾曲しつつ傾斜している。ピラーガータ11の車幅方向内側に湾曲傾斜した領域の車幅方向外側位置には、車体後方側に向かって開口する灯体収容プレート15が配置されている。灯体収容プレート15の内部には、図示しないリヤコンビネーションランプが収容される。また、左右の各ピラーガータ11の車幅方向外側には、車体側部のアウタパネル16が配置されている。
図3は、図1のIII-III線に沿う断面図であり、図4は、図3のIV-IV線に沿って一部を断面にした車両1の斜視図である。また、図5は、図3のV-V線に沿う断面図である。
図3に示すように、車両の左右の側部には、車体前後方向に略沿って延びるリヤサイドフレーム17が配置されている。左右のリヤサイドフレーム17には、リヤフロアパネル9が架設されている。左右の各リヤサイドフレーム17の車幅方向外側には、リヤサイドフレーム17から上方に立ち上がって後輪の車幅方向内側と上方を覆うリヤホイールハウスインナ18が配置されている。リヤホイールハウスインナ18は、三枚のパネル材が車体前後方向で接合されて成り、中央のパネル材は、後輪懸架用の図示しないリヤダンパの上方を覆うダンパハウジング19を構成している。
ダンパハウジング19は、車幅方向内側に向かって膨出する膨出壁19aと、膨出壁19aの上端に連なる略水平な上壁19bと、を有する。ダンパハウジング19の上壁19bには、リヤダンパの上部を支持する厚肉のダンパベース20が溶接やボルト締結等によって固定されている。ダンパハウジング19の膨出壁19aには、膨出壁19aに結合されて当該膨出壁19aの上部領域を補強するハウジング補強部材21が結合されている。ハウジング補強部材21は、前後方向の中央部分が車幅方向内側に突出する略コ字状断面が上下方向に略沿って延びている。また、ハウジング補強部材21の下縁部と、リヤサイドフレーム17の上壁とはガセット22によって連結されている。ガセット22の下端は、リヤフロアパネル9とリヤサイドフレーム17の重ね合わせ部に締結されている。ガセット22は、ハウジング補強部材21の下側の側面と下側の前面とにボルト締結される上側締結部22aと、リヤフロアパネル9とリヤサイドフレーム17の重ね合わせ部にボルト締結される図示しない下側締結部を有している。
また、ダンパベース20の車幅方向外側位置には、アウタパネル16の内側で車体側部を覆うように延在するリヤインサイドパネル24の下縁部が結合されている。ダンパベース20の車幅方向外側の縁部に連なる位置には、車体側部に沿って上方に延びる上部補強部材25が配置されている。上部補強部材25はリヤインサイドパネル24の車内側面に結合されている。
車体後部のテールゲート開口10の側縁部(ピラーガータ11等)は、左右の灯体収容プレート15が配置される高さ位置よりも上方側領域が、車両前方側に向かって急角度に傾斜している(図3参照)。図3に示すように、左右のピラーガータ11の上端部は、左右の各上部補強部材25のほぼ直上部に位置されている。
また、左右の各ピラーガータ11の車体前方側には、ピラーガータ11に接合されて当該ピラーガータ11との間で閉断面を形成するガータインナ26が配置されている。ピラーガータ11とガータインナ26は、灯体収容プレート15よりも上方側では、車体側部のアウタパネル16の裏面まで延び、アウタパネル16に結合されている。ピラーガータ11とガータインナ26は、アウタパネル16とともに略上下方向に延出する閉断面を形成し、その部分が車両のリヤピラー27を構成している。
リヤパネルクロスメンバ13とリヤパネル14の車幅方向両側の端部は、左右の各灯体収容プレート15の周壁の下部領域を横切って車体側部のアウタパネル16に突き当たる位置まで延びている。ピラーガータ11とガータインナ26は、灯体収容プレート15の配置される位置において、灯体収容プレート15の周壁に沿うように(周壁を避けるように)車幅方向内側に湾曲している。この領域では、ピラーガータ11とガータインナ26は、灯体収容プレート15の周壁との間で閉断面を形成している。この閉断面は、ピラーガータ11、ガータインナ26およびアウタパネル16によって形成される上部側の閉断面に連続している。ピラーガータ11、ガータインナ26および灯体収容プレート15によって形成される下部側の閉断面は、ピラーガータ11、ガータインナ26およびアウタパネル16によって形成される上部側の閉断面に比較して、断面積が小さくなっている。リヤパネル14の車幅方向外側の縁部は、ガータインナ26の下端と灯体収容プレート15の底壁とに結合されている。
ダンパベース20の車幅方向外側位置から上方に延びた上部補強部材25の上縁部は、リヤピラー27を構成するガータインナ26の上部領域に車幅方向内側から重ねられ、ガータインナ26に溶接等によって結合されている。なお、テールゲート開口10の上部のルーフクロスメンバ12は、上部補強部材25とガータインナ26の接続部28よりも上方位置において、ピラーガータ11とガータインナ26とに結合されている。また、ガータインナ26の上端部は、ルーフクロスメンバ12との結合部よりもさらに上方に延び、車体前方側に向かって屈曲している。このガータインナ26の上端部は、車両1のルーフ部の側方に配置されているルーフサイドレール29の後部に接続されている。
本実施形態の場合、ガータインナ26の上端部は、図5に示すようにルーフサイドレール29の後部領域の下方まで延び、ルーフサイドレール29の一部を形成している。
ガータインナ26のうちの、上部補強部材25との接続部28(図3参照)とルーフクロスメンバ12との連結部の間には、後部座席のシートベルトの支持起点となるベルトアンカー30がアンカーボルト31によって固定されている。
具体的には、ガータインナ26のうちの、上部補強部材25との接続部28よりも上方側位置には、図4に示すように、車体の側面に略沿う側部指向壁26aと、側部指向壁26aの後端部から車幅方向内側に屈曲してピラーガータ11の底壁11aに接合される屈曲フランジ26bが形成されている。側部指向壁26aの車幅方向内側には、ベルトアンカー30が取り付けられている。ベルトアンカー30は、側部指向壁26aを貫通するアンカーボルト31によって固定されている。
また、ガータインナ26の側部指向壁26aの前端部には、車幅方向外側に屈曲する前屈曲壁26cが連設されている。前屈曲壁26cの車幅方向外側の端部は、さらに車体前方側に延び、車体側部のアウタパネル16の裏面に接合されている。ピラーガータ11の車幅方向外側の端部はアウタパネル16の後端部に接合されている。これにより、ガータインナ26とピラーガータ11の上部領域は、アウタパネル16とともにリヤピラー27の閉断面を形成している。
ここで、図4に示すように、ピラーガータ11の上部領域の樋溝内には、テールゲート用の開閉ダンパ32の一端部がブラケット33を介して取り付けられている。なお、開閉ダンパ32の他端部は、同様のブラケットを介して図示しないテールゲートに取り付けられている。開閉ダンパ32をピラーガータ11の樋溝内に取り付けるためのブラケット33は、ベルトアンカー30をガータインナ26に固定するためのアンカーボルト31の設置高さとほぼ同高さ位置に配置されている。本実施形態の場合、ベルトアンカー30は、ピラーガータ11の底壁11aを境界に車両前方側に配置され、テールゲート用の開閉ダンパ32は、ピラーガータ11の底壁11aを境界に車両後方側に配置されている。
ガータインナ26の側部指向壁26aの車幅方向外側の面には、ベルトアンカー固定部(アンカーボルト31の貫通部)を補強するための補強板34が固定されている。補強板34は、ピラーガータ11やガータインナ26よりも肉厚の厚いの板材によって形成されている。補強板34は、ガータインナ26の側部指向壁26aの車幅方向外側の面に固定される補強板本体部34aと、補強板本体部34aの後端部から車幅方向内側に屈曲して、屈曲フランジ26bとピラーガータ11の結合部間に介装されるダンパ側補強部34bと、を有している。アンカーボルト31は、ガータインナ26の側部指向壁26aと補強板34の補強板本体部34aを貫通した状態で両者に固定されている。開閉ダンパ取付用のブラケット33は、ガータインナ26の屈曲フランジ26bと、補強板34のダンパ側補強部34bと、ピラーガータ11の底壁11aの三枚重ねの部分にボルト35によって締結固定されている。
図4に示すように、補強板34は、補強板本体部34aの前端部に、車幅方向外側に屈曲して延びる前結合部34cが連設されている。前結合部34cは、ガータインナ26の前屈曲壁26cの後面に重ねられ、その状態でガータインナ26の前屈曲壁26cに溶接固定されている。また、前結合部34cには、車幅方向に沿って延びる一対の補強ビード36が形成されている。
以上の構成において、緊急時等に後席のシートベルトからベルトアンカー30に引っ張り荷重が作用すると、その荷重はガータインナ26の上部領域(上部補強部材25との接続部28と、ルーフサイドレール29との接続部に挟まれた部位)によって受け止められる。この部分は、ガータインナ26が上部補強部材25とルーフサイドレール29に挟まれて高い剛性に保たれているため、ベルトアンカー30に作用する引っ張り荷重を安定して受け止めることができる。
したがって、本実施形態の車体後部構造を採用した場合には、車体の後側部のより上端寄り部分に高い支持剛性をもってベルトアンカー30を設置することができる。
また、本実施形態の車体後部構造では、ピラーガータ11とガータインナ26が、上部補強部材25との接続部28の上方において、ルーフ後端のルーフクロスメンバ12に接続されている。このため、シートベルトからベルトアンカー30に作用する引っ張り荷重を、ルーフクロスメンバ12によっても支持することができる。したがって、リヤピラー27の上部の断面の小さい部分にベルトアンカー30を設置しても、ベルトアンカー30に対する充分な支持剛性を確保することができる。
さらに、本実施形態の車体後部構造は、ガータインナ26の上端部が屈曲して車体前方側に延び、その上端部がルーフサイドレール29の後部と一体化されている(ルーフサイドレール29の後部の一部を形成している)。このため、シートベルトからベルトアンカー30に作用する引っ張り荷重をルーフサイドレール29に効率良く分散支持させることができる。
また、本実施形態の車体後部構造では、リヤピラー27の上部において、ピラーガータ11の底壁11aを境界に車両前方側にベルトアンカー30が配置され、車両後方側にテールゲート用の開閉ダンパ32が配置されている。このため、本構成を採用した場合には、リヤピラー27の上部の狭いスペースにベルトアンカー30と開閉ダンパ32を効率良く設置することができる。
また、本実施形態の車体後部構造は、ガータインナ26の上部領域に、側部指向壁26aと、その側部指向壁26aの後端部から車幅方向に内側に屈曲して延びる屈曲フランジ26bが形成され、側部指向壁26aの車幅方向外側の面に補強板34が固定されている。そして、補強板34は、側部指向壁26aに固定される補強板本体部34aと、屈曲フランジ26bとピラーガータ11との結合部間に介装されるダンパ側補強部34bとを有し、開閉ダンパ32は、屈曲フランジ26bとダンパ側補強部34bとピラーガータ11の三枚重ねの部分に固定されている。このため、リヤピラー27の上部の狭い領域に配置されるベルトアンカー30と開閉ダンパ32の各固定部の剛性と強度を効率良く高め、かつ、車体の後部上方側の剛性も高めることができる。
さらに、本実施形態の車体後部構造の場合、ガータインナ26には、側部指向壁26aの前端部から車幅方向外側に屈曲する前屈曲壁26cが設けられ、補強板34には、前屈曲壁26cに結合される前結合部34cが設けられている。このため、シートベルトからベルトアンカー30に入力された引っ張り荷重を、補強板34のダンパ側補強部34bと前結合部34cを介してガータインナ26に確実に支持させることができる。
また、本実施形態の場合、前結合部34cに補強ビード36が形成されているため、補強板34の前結合部34cに伝達された引っ張り荷重を、ガータインナ26に安定して支持ささせることができる。
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
10…テールゲート開口
11…ピラーガータ
12…ルーフクロスメンバ
16…アウタパネル
19…ダンパハウジング
20…ダンパベース
25…上部補強部材
26…ガータインナ
26a…側部指向壁
26b…屈曲フランジ
26c…前屈曲壁
27…リヤピラー
28…接続部
29…ルーフサイドレール
30…ベルトアンカー
32…開閉ダンパ
34…補強板
34a…補強板本体部
34b…ダンパ側補強部
34c…前結合部
36…補強ビード

Claims (6)

  1. 車体後部のテールゲート開口の側縁部に車体後方を向いて設置されるピラーガータと、
    前記ピラーガータの車体前方側で当該ピラーガータと閉断面を形成するガータインナと、
    前記ピラーガータと前記ガータインナに接合されて、前記ピラーガータと前記ガータインナとともにリヤピラーを形成する車両のアウタパネルと、
    車両のルーフ部の側方に配置され、後部に前記ガータインナの上端部が接続されるルーフサイドレールと、
    後輪懸架用のリヤダンパの上方を覆うダンパハウジングと、
    前記ダンパハウジングの上壁に固定されて前記リヤダンパの上部を支持するダンパベースと、
    前記ダンパベースの車幅方向外側の縁部に連なる位置から車体側部に沿って上方に延び、上部が前記ガータインナに接続される上部補強部材と、
    車室側の後部上方に支持されてシートベルトの支持起点となるベルトアンカーと、を備え、
    前記ベルトアンカーは、前記ガータインナの前記上部補強部材との接続部の上方位置に固定され
    前記ピラーガータを境界に前記ピラーガータの車両前方側に前記ベルトアンカーが配置され、前記ピラーガータを境界に前記ピラーガータの車両後方側にテールゲート用の開閉ダンパが配置され、
    前記ガータインナは、
    車体の側面に略沿う側部指向壁と、
    前記側部指向壁の後端部から車幅方向内側に屈曲して前記ピラーガータに結合される屈曲フランジと、を有し、
    前記側部指向壁の車幅方向外側の面には、前記ガータインナのベルトアンカー固定部を補強するための補強板が固定され、
    前記補強板は、
    前記側部指向壁の車幅方向外側の面に固定される補強板本体部と、
    前記補強板本体部の後端部から車幅方向内側に屈曲して、前記屈曲フランジと前記ピラーガータの結合部間に介装されるダンパ側補強部と、を有し、
    前記開閉ダンパは、前記屈曲フランジと前記ダンパ側補強部と前記ピラーガータの三枚重ねの部分に固定されていることを特徴とする車体後部構造。
  2. 前記ピラーガータとガータインナは、前記上部補強部材との接続部の上方において、ルーフ後端のルーフクロスメンバに接続されていることを特徴とする請求項1に記載の車体後部構造。
  3. 前記ガータインナは、上端部が屈曲して車体前方側に延び、当該上端部が前記ルーフサイドレールの後部の一部を形成していることを特徴とする請求項1または2に記載の車体後部構造。
  4. 前記ガータインナは、前記側部指向壁の前端部から車幅方向外側に屈曲する前屈曲壁を有し、
    前記補強板は、前記前屈曲壁に結合される前結合部を有することを特徴とする請求項に記載の車体後部構造。
  5. 前記前結合部には補強ビードが形成されていることを特徴とする請求項に記載の車体後部構造。
  6. 車体後部のテールゲート開口の側縁部に車体後方を向いて設置されるピラーガータと、
    前記ピラーガータの車体前方側で当該ピラーガータと閉断面を形成するガータインナと、
    前記ピラーガータと前記ガータインナに接合されて、前記ピラーガータと前記ガータインナとともにリヤピラーを形成する車両のアウタパネルと、
    車両のルーフ部の側方に配置され、後部に前記ガータインナの上端部が接続されるルーフサイドレールと、
    後輪懸架用のリヤダンパの上方を覆うダンパハウジングと、
    前記ダンパハウジングの上壁に固定されて前記リヤダンパの上部を支持するダンパベースと、
    前記ダンパベースの車幅方向外側の縁部に連なる位置から車体側部に沿って上方に延び、上部が前記ガータインナに接続される上部補強部材と、
    車室側の後部上方に支持されてシートベルトの支持起点となるベルトアンカーと、を備え、
    前記ベルトアンカーは、前記ガータインナの前記上部補強部材との接続部の上方位置に固定され
    前記ダンパベースの車幅方向外側位置には、前記アウタパネルの内側で車体側部を覆うように延在するリヤインサイドパネルを備え、
    前記上部補強部材は、前記リヤインサイドパネルの車内側面に接合されていることを特徴とする車体後部構造。
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