JP7142433B2 - 収穫機制御システム - Google Patents

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Description

本発明は、圃場の農作物を収穫する収穫装置と、収穫装置によって収穫された収穫物を貯留する収穫物タンクと、収穫物タンクに貯留された収穫物を排出する排出装置と、を有する収穫機を制御する収穫機制御システムに関する。
特許文献1には、圃場の農作物を収穫する収穫装置(特許文献1では「刈取部」)と、収穫装置によって収穫された収穫物を貯留する収穫物タンク(特許文献1では「穀粒タンク」)と、収穫物タンクに貯留された収穫物を排出する排出装置(特許文献1では「穀粒排出装置」)と、を有する収穫機(特許文献1では「コンバイン」)の発明が記載されている。
特開2017-35017号公報
特許文献1には、排出装置による排出作業については詳述されていない。ここで、圃場外に運搬車を停車させた上で、収穫機を運搬車の近傍に停車させ、排出装置によって収穫物を運搬車へ排出することが考えられる。
しかしながら、このような排出作業が手動操作によって行われる場合、作業者は、排出作業の度に、収穫機を運搬車の近傍まで移動させ、停車させる必要がある。さらに、排出作業の回数が多いほど、作業者による操作の負担が増加してしまう。
本発明の目的は、作業者による操作の負担を軽減できる収穫機制御システムを提供することである。
本発明の特徴は、
圃場の農作物を収穫する収穫装置と、前記収穫装置によって収穫された収穫物を貯留する収穫物タンクと、前記収穫物タンクに貯留された収穫物を排出する排出装置と、を有し、手動操作による移動と自動走行とが可能な収穫機を制御する収穫機制御システムであって、
前記収穫機が手動操作によって移動した先の位置で前記排出装置による排出作業が行われた場合に、前記排出装置による排出作業が行われた時点における前記収穫機の停車位置を記憶する位置記憶部と、
前記位置記憶部に記憶された前記収穫機の停車位置に基づいて目標停車位置を設定する位置設定部と、
前記排出装置による排出作業が行われる場合に、前記収穫機が前記目標停車位置に自動的に停車するように前記収穫機の走行を制御する走行制御部と、を備えることにある。
本発明であれば、圃場での収穫作業において最初の排出作業を行うと、その時点における収穫機の停車位置が位置記憶部によって記憶される。そして、2回目以降の排出作業においては、走行制御部の制御により、記憶された停車位置に収穫機が自動的に停車する。
即ち、本発明であれば、手動操作によって収穫機を排出のための位置に停車させる必要があるのは、最初の排出作業のみである。これにより、作業者による操作の負担を軽減できる。
さらに、本発明において、
前記排出装置による排出作業のための前記収穫機の停車位置を指示する指示信号を出力する信号出力部を備え、
前記位置設定部は、圃場での収穫作業において前記排出装置による最初の排出作業が行われる前に前記信号出力部によって前記指示信号が出力された場合、前記指示信号に基づいて前記目標停車位置を設定するように構成されており、
前記位置設定部は、前記指示信号に基づいて設定された前記目標停車位置から前記収穫機が手動操作によって移動した後で前記排出装置による排出作業が行われた場合、前記位置記憶部に記憶された前記収穫機の停車位置に基づいて前記目標停車位置を再設定すると好適である。
この構成によれば、圃場での収穫作業において最初の排出作業が行われる前に、信号出力部が指示信号を出力すると、目標停車位置が設定される。これにより、2回目以降の排出作業だけでなく、最初の排出作業においても、手動操作によって収穫機を排出のための位置に停車させる必要がなくなる。従って、作業者による操作の負担を軽減できる。
しかも、この構成によれば、指示信号により指示された目標停車位置が不適切であった場合には、手動操作によって収穫機を移動させた上で排出作業を行えば、排出作業が行われた時点における収穫機の停車位置が位置記憶部によって記憶される。そして、それ以降の排出作業においては、記憶された停車位置に収穫機が自動的に停車する。即ち、指示された目標停車位置が不適切であった場合に、目標停車位置の修正を容易に行うことができる。
さらに、本発明において、
前記収穫機が手動操作によって移動した先の位置で前記排出装置による排出作業が行われた場合に、前記排出装置による排出作業が行われた時点における前記収穫機の機体の向きを記憶する方向記憶部と、
前記方向記憶部に記憶された前記収穫機の機体の向きに基づいて目標停車方向を設定する方向設定部と、を備え、
前記走行制御部は、前記排出装置による排出作業が行われる場合に、前記収穫機が前記目標停車方向を向いた状態で前記目標停車位置に自動的に停車するように前記収穫機の走行を制御すると好適である。
この構成によれば、圃場での収穫作業において最初の排出作業を行うと、その時点における収穫機の機体の向きが方向記憶部によって記憶される。そして、2回目以降の排出作業において、収穫機は、走行制御部の制御により、記憶された機体の向きを向いて停車する。
従って、この構成によれば、手動操作によって収穫機を排出のための位置に停車させると、それ以降の排出作業においては、手動操作での停車位置及び機体の向きが再現されることとなる。これにより、排出作業を正確に行うことができる。
コンバインの左側面図である。 制御部に関する構成を示すブロック図である。 圃場における周回走行を示す図である。 外周領域及び作業対象領域を示す図である。 刈取走行経路に沿った刈取走行を示す図である。 コンバインが目標停車位置に停車する様子を示す図である。 作業者が通信端末を介して目標停車位置を設定する様子を示す図である。 目標停車位置が再設定される場合の例を示す図である。
本発明を実施するための形態について、図面に基づき説明する。尚、以下の説明においては、特に断りがない限り、図1に示す矢印Fの方向を「前」、矢印Bの方向を「後」とする。また、図1に示す矢印Uの方向を「上」、矢印Dの方向を「下」とする。
〔コンバインの全体構成〕
図1に示すように、普通型のコンバイン1(本発明に係る「収穫機」に相当)は、クローラ式の走行装置11、運転部12、脱穀装置13、穀粒タンク14(本発明に係る「収穫物タンク」に相当)、収穫装置H、搬送装置16、穀粒排出装置18(本発明に係る「排出装置」に相当)、衛星測位モジュール80を備えている。
走行装置11は、コンバイン1における下部に備えられている。コンバイン1は、走行装置11によって自走可能である。
また、運転部12、脱穀装置13、穀粒タンク14は、走行装置11の上側に備えられている。運転部12には、コンバイン1の作業を監視する作業者が搭乗可能である。尚、作業者は、コンバイン1の機外からコンバイン1の作業を監視していても良い。
穀粒排出装置18は、穀粒タンク14の上側に設けられている。また、衛星測位モジュール80は、運転部12の上面に取り付けられている。
収穫装置Hは、コンバイン1における前部に備えられている。そして、搬送装置16は、収穫装置Hの後側に設けられている。また、収穫装置Hは、刈取装置15及びリール17を有している。
刈取装置15は、圃場の植立穀稈を刈り取る。また、リール17は、回転駆動しながら収穫対象の植立穀稈を掻き込む。この構成により、収穫装置Hは、圃場の穀物(本発明に係る「農作物」に相当)を収穫する。そして、コンバイン1は、刈取装置15によって圃場の植立穀稈を刈り取りながら走行装置11によって走行する刈取走行が可能である。
刈取装置15により刈り取られた刈取穀稈は、搬送装置16によって脱穀装置13へ搬送される。脱穀装置13において、刈取穀稈は脱穀処理される。脱穀処理により得られた穀粒(本発明に係る「収穫物」に相当)は、穀粒タンク14に貯留される。穀粒タンク14に貯留された穀粒は、必要に応じて、穀粒排出装置18によって機外に排出される。
このように、コンバイン1は、圃場の穀物を収穫する収穫装置Hと、収穫装置Hによって収穫された穀粒を貯留する穀粒タンク14と、穀粒タンク14に貯留された穀粒を排出する穀粒排出装置18と、を有する。
また、図1に示すように、運転部12には、通信端末4が配置されている。通信端末4は、種々の情報を表示可能に構成されている。本実施形態において、通信端末4は、運転部12に固定されている。しかしながら、本発明はこれに限定されず、通信端末4は、運転部12に対して着脱可能に構成されていても良いし、通信端末4は、コンバイン1の機外に位置していても良い。
また、図2に示すように、コンバイン1は、エンジン51及び排出クラッチC18を備えている。
エンジン51から出力された動力は、排出クラッチC18及び走行装置11に分配される。走行装置11は、エンジン51からの動力により駆動する。
また、排出クラッチC18は、動力を伝達する入状態と、動力を伝達しない切状態と、の間で状態変更可能に構成されている。
排出クラッチC18が切状態であるとき、エンジン51から出力された動力は穀粒排出装置18に伝達されない。このとき、穀粒排出装置18は非駆動状態である。
排出クラッチC18が入状態であるとき、エンジン51から出力された動力は穀粒排出装置18に伝達される。このとき、穀粒排出装置18は、エンジン51からの動力により駆動する。即ち、このとき、穀粒排出装置18は駆動状態である。
ここで、コンバイン1は、図3に示すように圃場における外周側の領域で穀物を収穫しながら周回走行を行った後、図5に示すように圃場における内側の領域で刈取走行を行うことにより、圃場の穀物を収穫するように構成されている。
そして、この収穫作業において、コンバイン1は、収穫機制御システムAによって制御される。以下では、収穫機制御システムAの構成について説明する。
〔収穫機制御システムの構成〕
図2に示すように、収穫機制御システムAは、衛星測位モジュール80、自車方位検出装置81、制御部20、通信端末4を備えている。尚、自車方位検出装置81及び制御部20は、コンバイン1に備えられている。また、上述の通り、衛星測位モジュール80及び通信端末4も、コンバイン1に備えられている。
制御部20は、自車位置算出部21、経路算出部22、走行制御部23、領域算出部24、手動操作信号送信部25、位置記憶部26、位置設定部27、方向記憶部28、方向設定部29、排出クラッチセンサS1を有している。
図1に示すように、衛星測位モジュール80は、GPS(グローバル・ポジショニング・システム)で用いられる人工衛星GSからのGPS信号を受信する。そして、図2に示すように、衛星測位モジュール80は、受信したGPS信号に基づいて、コンバイン1の自車位置を示す測位データを自車位置算出部21へ送る。
自車位置算出部21は、衛星測位モジュール80により出力された測位データに基づいて、コンバイン1の位置座標を経時的に算出する。算出されたコンバイン1の経時的な位置座標は、走行制御部23及び領域算出部24へ送られる。
領域算出部24は、自車位置算出部21から受け取ったコンバイン1の経時的な位置座標に基づいて、図4に示すように、外周領域SA及び作業対象領域CAを算出する。
より具体的には、領域算出部24は、自車位置算出部21から受け取ったコンバイン1の経時的な位置座標に基づいて、圃場の外周側における周回走行でのコンバイン1の走行軌跡を算出する。そして、領域算出部24は、算出されたコンバイン1の走行軌跡に基づいて、コンバイン1が穀物を収穫しながら周回走行した圃場の外周側の領域を外周領域SAとして算出する。また、領域算出部24は、算出された外周領域SAの内側を、作業対象領域CAとして算出する。
例えば、図3においては、圃場の外周側における周回走行のためのコンバイン1の走行経路が矢印で示されている。図3に示す例では、コンバイン1は、3周の周回走行を行う。そして、この走行経路に沿った刈取走行が完了すると、圃場は、図4に示す状態となる。
図4に示すように、領域算出部24は、コンバイン1が穀物を収穫しながら周回走行した圃場の外周側の領域を外周領域SAとして算出する。また、領域算出部24は、算出された外周領域SAの内側を、作業対象領域CAとして算出する。
そして、図2に示すように、領域算出部24による算出結果は、経路算出部22へ送られる。
経路算出部22は、領域算出部24から受け取った算出結果に基づいて、図4に示すように、作業対象領域CAにおける刈取走行のための走行経路である刈取走行経路LIを算出する。尚、図4に示すように、本実施形態において、刈取走行経路LIは、互いに平行な複数の平行線である。
図2に示すように、経路算出部22により算出された刈取走行経路LIは、走行制御部23へ送られる。
走行制御部23は、走行装置11を制御可能に構成されている。そして、走行制御部23は、自車位置算出部21から受け取ったコンバイン1の位置座標と、経路算出部22から受け取った刈取走行経路LIと、に基づいて、コンバイン1の自動走行を制御する。より具体的には、走行制御部23は、図5に示すように、刈取走行経路LIに沿った自動走行によって刈取走行が行われるように、コンバイン1の走行を制御する。
手動操作信号送信部25は、コンバイン1が手動操作によって移動している場合に、所定の信号を、位置記憶部26及び方向記憶部28へ送信する。この信号は、コンバイン1が手動操作によって移動していることを示す信号である。
また、自車位置算出部21は、コンバイン1の位置座標を位置記憶部26へ送る。
また、排出クラッチセンサS1は、排出クラッチC18の入切状態を検知する。排出クラッチセンサS1による検知結果は、位置記憶部26及び方向記憶部28へ送られる。
位置記憶部26は、コンバイン1が手動操作によって移動した先の位置で穀粒排出装置18による排出作業が行われた場合に、穀粒排出装置18による排出作業が行われた時点におけるコンバイン1の停車位置を記憶する。
より具体的には、位置記憶部26は、手動操作信号送信部25からの信号と、排出クラッチセンサS1による検知結果と、に基づいて、コンバイン1が手動操作によって移動した先の位置で穀粒排出装置18による排出作業が行われたか否かを監視する。
尚、排出クラッチセンサS1から、排出クラッチC18が切状態から入状態へ切り替わったことを示す検知結果が位置記憶部26へ送られた場合、位置記憶部26は、穀粒排出装置18による排出作業が行われたと判定する。
そして、コンバイン1が手動操作によって移動した先の位置で穀粒排出装置18による排出作業が行われた場合、位置記憶部26は、その時点でのコンバイン1の停車位置を記憶する。
このように、収穫機制御システムAは、コンバイン1が手動操作によって移動した先の位置で穀粒排出装置18による排出作業が行われた場合に、穀粒排出装置18による排出作業が行われた時点におけるコンバイン1の停車位置を記憶する位置記憶部26を備えている。
位置記憶部26に記憶された停車位置は、位置設定部27へ送られる。そして、位置設定部27は、位置記憶部26に記憶されたコンバイン1の停車位置に基づいて目標停車位置TPを設定する。位置設定部27により設定された目標停車位置TPは、走行制御部23へ送られる。
このように、収穫機制御システムAは、位置記憶部26に記憶されたコンバイン1の停車位置に基づいて目標停車位置TPを設定する位置設定部27を備えている。
自車方位検出装置81は、コンバイン1の機体の向きを検出する。そして、図2に示すように、自車方位検出装置81による検出結果は、方向記憶部28へ送られる。
方向記憶部28は、コンバイン1が手動操作によって移動した先の位置で穀粒排出装置18による排出作業が行われた場合に、穀粒排出装置18による排出作業が行われた時点におけるコンバイン1の機体の向きを記憶する。
より具体的には、方向記憶部28は、手動操作信号送信部25からの信号と、排出クラッチセンサS1による検知結果と、に基づいて、コンバイン1が手動操作によって移動した先の位置で穀粒排出装置18による排出作業が行われたか否かを監視する。
尚、排出クラッチセンサS1から、排出クラッチC18が切状態から入状態へ切り替わったことを示す検知結果が方向記憶部28へ送られた場合、方向記憶部28は、穀粒排出装置18による排出作業が行われたと判定する。
そして、コンバイン1が手動操作によって移動した先の位置で穀粒排出装置18による排出作業が行われた場合、方向記憶部28は、その時点でのコンバイン1の機体の向きを記憶する。
このように、収穫機制御システムAは、コンバイン1が手動操作によって移動した先の位置で穀粒排出装置18による排出作業が行われた場合に、穀粒排出装置18による排出作業が行われた時点におけるコンバイン1の機体の向きを記憶する方向記憶部28を備えている。
方向記憶部28に記憶された機体の向きは、方向設定部29へ送られる。そして、方向設定部29は、方向記憶部28に記憶されたコンバイン1の機体の向きに基づいて目標停車方向TDを設定する。方向設定部29により設定された目標停車方向TDは、走行制御部23へ送られる。
このように、収穫機制御システムAは、方向記憶部28に記憶されたコンバイン1の機体の向きに基づいて目標停車方向TDを設定する方向設定部29を備えている。
そして、走行制御部23は、穀粒排出装置18による排出作業が行われる場合に、コンバイン1が目標停車方向TDを向いた状態で目標停車位置TPに自動的に停車するようにコンバイン1の走行を制御する。
このように、収穫機制御システムAは、穀粒排出装置18による排出作業が行われる場合に、コンバイン1が目標停車位置TPに自動的に停車するようにコンバイン1の走行を制御する走行制御部23を備えている。
〔コンバイン制御システムを利用した収穫作業の流れ〕
以下では、収穫機制御システムAを利用した収穫作業の例として、コンバイン1が、図3に示す圃場で収穫作業を行う場合の流れについて説明する。
最初に、作業者は、コンバイン1を手動で操作し、図3に示すように、圃場内の外周部分において、圃場の境界線に沿って周回するように刈取走行を行う。図3に示す例では、コンバイン1は、3周の周回走行を行う。この周回走行が完了すると、圃場は、図4に示す状態となる。
領域算出部24は、自車位置算出部21から受け取ったコンバイン1の経時的な位置座標に基づいて、図3に示す周回走行でのコンバイン1の走行軌跡を算出する。そして、図4に示すように、領域算出部24は、算出されたコンバイン1の走行軌跡に基づいて、コンバイン1が植立穀稈を刈り取りながら周回走行した圃場の外周側の領域を外周領域SAとして算出する。また、領域算出部24は、算出された外周領域SAの内側を、作業対象領域CAとして算出する。
次に、経路算出部22は、領域算出部24から受け取った算出結果に基づいて、図4に示すように、作業対象領域CAにおける刈取走行経路LIを設定する。
図4に示す例では、作業対象領域CAにおける収穫作業を開始する前に、コンバイン1は、手動操作により運搬車CVの近傍へ移動する。尚、本実施形態においては、運搬車CVは圃場外に停車している。
そして、コンバイン1が運搬車CVの近傍に停車した後、穀粒排出装置18が駆動され、穀粒が排出される。運搬車CVは、コンバイン1が穀粒排出装置18から排出した穀粒を収集し、運搬することができる。
このとき、位置記憶部26は、穀粒排出装置18による排出作業が行われた時点におけるコンバイン1の停車位置を記憶する。また、方向記憶部28は、穀粒排出装置18による排出作業が行われた時点におけるコンバイン1の機体の向きを記憶する。
そして、図5に示すように、位置記憶部26により記憶された停車位置に基づいて、位置設定部27によって目標停車位置TPが設定される。また、方向記憶部28により記憶された機体の向きに基づいて、方向設定部29によって目標停車方向TDが設定される。
そして、作業者が自動走行開始ボタン(図示せず)を押すことにより、図5に示すように、刈取走行経路LIに沿った自動走行が開始される。このとき、走行制御部23は、刈取走行経路LIに沿った自動走行によって刈取走行が行われるように、コンバイン1の走行を制御する。
コンバイン1が刈取走行を続け、穀粒タンク14内の穀粒の量が所定量に達すると、図6に示すように、走行制御部23は、刈取走行経路LIから離脱して目標停車位置TPへ移動するようにコンバイン1の走行を制御する。
そして、走行制御部23の制御により、コンバイン1は、目標停車方向TDを向いた状態で目標停車位置TPに自動的に停車する。さらに、穀粒排出装置18が駆動され、穀粒が運搬車CVへ排出される。穀粒排出装置18による排出作業が完了すると、コンバイン1は、刈取走行経路LIに沿った刈取走行へ復帰する。
そして、作業対象領域CAにおける全ての刈取走行経路LIに沿った刈取走行が完了すると、圃場の全体が収穫済みとなる。
以上で説明した構成であれば、圃場での収穫作業において最初の排出作業を行うと、その時点におけるコンバイン1の停車位置が位置記憶部26によって記憶される。そして、2回目以降の排出作業においては、走行制御部23の制御により、記憶された停車位置にコンバイン1が自動的に停車する。
即ち、以上で説明した構成であれば、手動操作によってコンバイン1を排出のための位置に停車させる必要があるのは、最初の排出作業のみである。これにより、作業者による操作の負担を軽減できる。
〔通信端末を介した目標停車位置の設定について〕
ところで、収穫機制御システムAは、圃場での収穫作業において穀粒排出装置18による最初の排出作業が行われる前に、作業者が通信端末4を介して目標停車位置TPを設定できるように構成されている。
以下では、通信端末4を介した目標停車位置TPの設定について説明する。
図2に示すように、通信端末4は、操作部4a及び信号出力部4bを有している。図7に示すように、操作部4aはタッチパネルにより構成されている。そして、作業者は、圃場での収穫作業において穀粒排出装置18による最初の排出作業が行われる前に、操作部4aを操作することにより、目標停車位置TPを設定できる。
詳述すると、図7に示すように、操作部4aには、圃場の全体図が表示されている。そして、作業者が操作部4aの任意の箇所をタッチすることにより、タッチされた箇所に、目標停車位置TPを示すシンボルが表示される。
そして、図2に示すように、作業者によりタッチされた箇所を示す信号が、操作部4aから信号出力部4bへ送られる。信号出力部4bは、操作部4aから受け取った信号に基づいて、指示信号を出力する。
この指示信号は、穀粒排出装置18による排出作業のためのコンバイン1の停車位置を指示する信号である。そして、この指示信号は、位置設定部27へ送られる。
このように、収穫機制御システムAは、穀粒排出装置18による排出作業のためのコンバイン1の停車位置を指示する指示信号を出力する信号出力部4bを備えている。
そして、このとき、位置設定部27は、信号出力部4bから受け取った指示信号に基づいて、目標停車位置TPを設定する。
このように、位置設定部27は、圃場での収穫作業において穀粒排出装置18による最初の排出作業が行われる前に信号出力部4bによって指示信号が出力された場合、指示信号に基づいて目標停車位置TPを設定するように構成されている。
以上の構成により、作業者は、圃場での収穫作業において穀粒排出装置18による最初の排出作業が行われる前に、操作部4aを操作することにより、目標停車位置TPを設定できる。そして、排出作業が行われる場合、コンバイン1は、信号出力部4bからの指示信号に基づいて設定された目標停車位置TPに自動的に停車することとなる。
ここで、信号出力部4bからの指示信号に基づいて設定された目標停車位置TPは、作業者によるタッチ操作に基づいて設定されている。そのため、目標停車位置TPが、運搬車CVから比較的遠く離れた位置となってしまうことがある。
この場合には、図8に示すように、コンバイン1が、信号出力部4bからの指示信号に基づいて設定された目標停車位置TPに自動的に停車した後、作業者は、その位置から、手動操作によってコンバイン1を移動させることができる。
そして、コンバイン1が手動操作によって移動した後で穀粒排出装置18による排出作業が行われた場合、位置記憶部26は、穀粒排出装置18による排出作業が行われた時点におけるコンバイン1の停車位置を記憶する。また、方向記憶部28は、穀粒排出装置18による排出作業が行われた時点におけるコンバイン1の機体の向きを記憶する。
位置設定部27は、このとき位置記憶部26に記憶された停車位置に基づいて、図8に示すように、目標停車位置TPを再設定する。また、方向設定部29は、このとき方向記憶部28に記憶された機体の向きに基づいて、図8に示すように、目標停車方向TDを設定する。
このように、位置設定部27は、指示信号に基づいて設定された目標停車位置TPからコンバイン1が手動操作によって移動した後で穀粒排出装置18による排出作業が行われた場合、位置記憶部26に記憶されたコンバイン1の停車位置に基づいて目標停車位置TPを再設定する。
尚、以上に記載した実施形態は一例に過ぎないのであり、本発明はこれに限定されるものではなく、適宜変更が可能である。
〔その他の実施形態〕
(1)走行装置11は、ホイール式であっても良いし、セミクローラ式であっても良い。
(2)上記実施形態においては、経路算出部22により算出される刈取走行経路LIは、互いに平行な複数の平行線であるが、本発明はこれに限定されず、経路算出部22により算出される刈取走行経路LIは、互いに平行な複数の平行線でなくても良い。例えば、経路算出部22により算出される刈取走行経路LIは、渦巻き状の走行経路であっても良い。
(3)上記実施形態においては、作業者は、コンバイン1を手動で操作し、図3に示すように、圃場内の外周部分において、圃場の境界線に沿って周回するように刈取走行を行う。しかしながら、本発明はこれに限定されず、コンバイン1が自動で走行し、圃場内の外周部分において、圃場の境界線に沿って周回するように刈取走行を行うように構成されていても良い。
(4)刈取走行経路LIに沿った刈取走行は、作業者がコンバイン1を手動操作することによって行われても良い。
(5)自車位置算出部21、経路算出部22、走行制御部23、領域算出部24、手動操作信号送信部25、位置記憶部26、位置設定部27、方向記憶部28、方向設定部29のうち、一部または全てがコンバイン1の外部に備えられていても良いのであって、例えば、コンバイン1の外部に設けられた管理サーバに備えられていても良い。
(6)方向記憶部28は設けられていなくても良い。
(7)方向設定部29は設けられていなくても良い。
(8)信号出力部4bは設けられていなくても良い。
(9)通信端末4は設けられていなくても良い。
本発明は、普通型のコンバインだけでなく、自脱型のコンバインにも利用可能である。
また、トウモロコシ収穫機、ジャガイモ収穫機、ニンジン収穫機、サトウキビ収穫機等の種々の収穫機にも利用できる。
1 コンバイン(収穫機)
4b 信号出力部
14 穀粒タンク(収穫物タンク)
18 穀粒排出装置(排出装置)
23 走行制御部
26 位置記憶部
27 位置設定部
28 方向記憶部
29 方向設定部
A 収穫機制御システム
H 収穫装置
TD 目標停車方向
TP 目標停車位置

Claims (3)

  1. 圃場の農作物を収穫する収穫装置と、前記収穫装置によって収穫された収穫物を貯留する収穫物タンクと、前記収穫物タンクに貯留された収穫物を排出する排出装置と、を有し、手動操作による移動と自動走行とが可能な収穫機を制御する収穫機制御システムであって、
    前記収穫機が手動操作によって移動した先の位置で前記排出装置による排出作業が行われた場合に、前記排出装置による排出作業が行われた時点における前記収穫機の停車位置を記憶する位置記憶部と、
    前記位置記憶部に記憶された前記収穫機の停車位置に基づいて目標停車位置を設定する位置設定部と、
    前記排出装置による排出作業が行われる場合に、前記収穫機が前記目標停車位置に自動的に停車するように前記収穫機の走行を制御する走行制御部と、を備える収穫機制御システム。
  2. 前記排出装置による排出作業のための前記収穫機の停車位置を指示する指示信号を出力する信号出力部を備え、
    前記位置設定部は、圃場での収穫作業において前記排出装置による最初の排出作業が行われる前に前記信号出力部によって前記指示信号が出力された場合、前記指示信号に基づいて前記目標停車位置を設定するように構成されており、
    前記位置設定部は、前記指示信号に基づいて設定された前記目標停車位置から前記収穫機が手動操作によって移動した後で前記排出装置による排出作業が行われた場合、前記位置記憶部に記憶された前記収穫機の停車位置に基づいて前記目標停車位置を再設定する請求項1に記載の収穫機制御システム。
  3. 前記収穫機が手動操作によって移動した先の位置で前記排出装置による排出作業が行われた場合に、前記排出装置による排出作業が行われた時点における前記収穫機の機体の向きを記憶する方向記憶部と、
    前記方向記憶部に記憶された前記収穫機の機体の向きに基づいて目標停車方向を設定する方向設定部と、を備え、
    前記走行制御部は、前記排出装置による排出作業が行われる場合に、前記収穫機が前記目標停車方向を向いた状態で前記目標停車位置に自動的に停車するように前記収穫機の走行を制御する請求項1または2に記載の収穫機制御システム。
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