JP7140636B2 - 口腔用薬液噴霧製品 - Google Patents
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Description
特に高齢者等によく生じる口腔乾燥(ドライマウス)用の製剤として、特許文献1に記載されるようなゲル状の組成物が提案されているが、多量の液体、固形状・半固形状の製剤を高齢者に施用すると誤嚥を引き起こす可能性がある。
そこで、誤嚥等を極力防ぐため、少量の液体組成物を口腔内に噴霧する噴霧製品が種々提案されている(特許文献2、3)。
そこで本発明者らは、舌表面に効率的に塗布でき、さらに有効成分を口腔内に効率的に滞留させることのできる口腔用液体噴霧製品を提供することを目的とする。
〔1〕 増粘剤を含む薬液がスプレー式容器に充填され、口腔内に噴霧して使用される口腔用薬液噴霧製品であって、
前記薬液の、回転数5rpmで測定した薬液粘度(A)と回転数50rpmで測定した薬液粘度(B)で表すシュードプラスチック指数が下記を満たす口腔用薬液噴霧製品。
((A)/(B))×100≦200
〔2〕 前記増粘剤が、ヒドロキシアルキルセルロース、ローカストビーンガム、グアーガム、及びカラギーナンから選ばれる1種以上である、〔1〕に記載の口腔用薬液噴霧製品。
〔3〕 回転数50rpmで測定した前記薬液の粘度が10~150mPa・sである、〔1〕又は〔2〕に記載の口腔用薬液噴霧製品。
〔4〕 前記薬液のハイドロキシアパタイトに対する接触角が45~85°である、〔1〕~〔3〕のいずれか1に記載の口腔用薬液噴霧製品。
〔5〕 5cmの距離における噴霧パターンの最大直径が20~50mmである、〔1〕~〔4〕のいずれか1に記載の口腔用薬液噴霧製品。
〔6〕 唾液分泌促進用または口腔乾燥改善用である、〔1〕~〔5〕のいずれか1に記載の口腔用薬液噴霧製品。
ここでシュードプラスチック性とは、加わる力の小さいときは見かけの粘度が大きく、力が大きいときは見かけの粘度が小さくなる流体の性質である。薬液のシュードプラスチック性が高いと、噴霧の際に力が加わることで粘度が小さくなるが、薬液が口腔内に拡散し過ぎてしまい舌表面に効率的に薬液を塗布することができない。本発明では、シュードプラスチック性が低い薬液を用いることで、噴霧の力によっても粘度が小さくなり過ぎず、薬液が適度に口腔内に拡散される。
本発明において、シュードプラスチック性は下記指数により定義される。本発明における薬液のシュードプラスチック性は200以下であり、好ましくは150以下である。また、下限値については、ダイラタント流体との区別の観点から10以上が好ましい。
シュードプラスチック性:
20℃条件下、B型粘度計のH1ローターを使用して、回転数5rpmで測定した粘度(A)と回転数50rpmで測定した粘度(B)から次の式で求める。
((A)/(B))×100
本発明において、薬液のシュードプラスチック性を上記範囲とするには、例えば、後述する増粘剤の種類及び配合量を調整する方法が挙げられる。
増粘剤としては、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のヒドロキシアルキルセルロース、ローカストビーンガム、グァーガム、カラギーナン等が好ましく例示できる。なかでも、他の成分との相互作用が少ないという観点からヒドロキシアルキルセルロースが特に好ましい。
増粘剤は単独で用いても、複数種を併用してもよい。
有効成分としては、口腔用薬液噴霧製品の用途に応じて適宜選択される。唾液分泌促進用薬液噴霧製品又は口腔乾燥改善用薬液噴霧製品とする場合には、湿潤剤として海藻類抽出物、多価アルコール、ヒアルロン酸ナトリウム、有機酸、アミノ酸、リン脂質ポリマー等から1種以上を配合することができる。湿潤剤の配合量は特に制限はないが、湿潤剤の総量として5~50質量/容量%が好ましく、10~30質量/容量%がより好ましい。
2価のアルコールとしては、例えばプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール等が挙げられる。中でもプロピレングリコールがさらに好ましい。
3価のアルコールとしては、例えばグリセリン、トリメチロールプロパン等が挙げられる。中でもグリセリンがさらに好ましい。
4価のアルコールとしては、例えばエリスリトール、ジグリセリンが挙げられる。5価のアルコールとしては、例えばキシリトール、リビトールが挙げられる。6価のアルコールとしては、例えばソルビトール、マンニトール、ガラクチトールが挙げられる。キシリトールは甘味料としての作用も有する。
多価アルコールは単独で用いても、複数種を併用してもよい。
多価アルコールの配合量は、製剤の香味を良好にするという観点から、好ましくは1~30質量/容量%、より好ましくは1~20質量/容量%である。
添加剤としては、例えば、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム等のフッ化物;アズレン、アズレンスルホン酸塩、β-グリチルレチン酸、グリチルリチン酸及び塩類、ジヒドロコレステロール、エピジヒドロコレステリン、オウバクエキス、トウキエキス、酢酸dl-α-トコフェロール、ε-アミノカプロン酸、トラネキサム酸等の抗炎症剤;塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、クロルヘキシジン塩、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン等の殺菌剤;メトキシエチレン無水マレイン酸共重合体またはその塩、塩化亜鉛、有機酸亜鉛等の歯石予防剤;ヒノキチオール、アラントイン、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、アラントインジヒドロキシアルミニウム、塩化ナトリウム等の収斂剤;ラウリル硫酸ナトリウム等の発泡剤;ピネン、ペパーミントオイル、シナモンオイル、グローブオイル、オイゲノール、レモンオイル、レモンミントオイル、バニリン、シネオール、ユーカリオイル等の香料;サッカリン、サッカリンナトリウム、スクラロース、ステビア等の甘味料;青色1号、黄色5号、黄色4号、黄色202(1)号、緑色3号、緑色201号、赤色102号等の着色剤;パラベン類、安息香酸ナトリウム等の保存剤;POE硬化ヒマシ油、POE・POPブロックポリマー、POE・POPアルキルエーテル、POEアルキルエーテル、POEアルキルフェニルエーテル、POE脂肪酸エステル、POE高級アルコールエーテル、POE・POP脂肪酸エステル、POEソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル等の非イオン性界面活性剤;ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム、POEアルキルエーテル硫酸塩、ラウロイルサルコシンナトリウム、ミリストイルサルコシンナトリウム、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルリン酸塩、POEアルキルエーテルリン酸塩、N-アシルタウリン塩、POEアルキルエーテルリン酸・リン酸塩、スルホン酸塩等のアニオン性界面活性剤;塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、POEアルキルアミン・脂肪酸アミド等のカチオン性界面活性剤等が挙げられる。
スプレー式容器におけるノズル孔径は、適切な広がりの観点から、0.4~0.6mm、さらに0.45~0.55mmであることが好ましい。
また、噴射量は多すぎると噴射の勢いが強く、舌への痛みが生じるなど使用感の低下につながる一方、少なすぎると有効量を吐出するためのスプレー回数が多くなり、利便性に欠けるという観点から0.07~0.2mL、さらに0.1~0.18mLであることが好ましい。
1プッシュ用量(1プッシュで噴霧される量):0.12~0.16mL
ノズル孔径:0.55mm
ボトル部容量:約80mL
調製した各薬液をスプレー式容器に充填し、室温下、5cmの距離に垂直に設置したろ紙に対して上方斜め45°程度の角度で1プッシュしたときの噴霧パターンを評価した。当該評価についての概要を図1に示す。
噴霧パターンの最も長い距離を最大直径とし、最も短い距離を最小直径とした。また、噴霧粒子径はレーザー光式粒子径分布測定装置(東日コンピューター株式会社製、LDSA-1400A)によって計測した。
結果を表2に示す。また、各検体の噴霧パターンの写真画像を図2に示す。
薬液のシュードプラスチック性は、20℃で、B型粘度計(H1ロータ)を用い、回転数5rpmの粘度(A)と回転数50rpmの粘度(B)を測定し、下記式により算出した。
((A)/(B))×100
結果を表2に示す。
薬液の粘度は、各検体を20℃で、B型粘度計(H2ローター、回転数50rpm)により測定した。
結果を表2に示す。
薬液の接触角は、接触角計(協和界面科学株式会社製 CA-X型)を用いてハイドロキシアパタイトに対する接触角を測定した。
結果を表2に示す(3回の計測結果の平均値)。
例1、例3の各検体に、それぞれ青色の着色剤(ブリリアントブルーFCF、癸巳化成製、製品名:青色1号)を配合し(0.008%)、被験者の口腔内に噴霧した。結果を図3に示す。図3においてブランクとは噴霧前の状態である。
図3より、シュードプラスチック性の低い薬液を用いた例1及び例3の製剤を噴霧した場合は、舌への広がりが適度であることが明らかである。
また、製剤使用時のべたつき感と舌表面への広がる実感について、モニター試験を行った。具体的には被験者6名の口腔内に例1と例3の製剤を噴霧した。その結果、例1、例3の検体ともべたつきを感じにくく、効率的に舌表面に広がる実感が得られたと評価され、さらに、例3の検体よりも例1の検体の方がより強く感じるという結果が得られた。
Claims (4)
- 増粘剤を含む薬液がスプレー式容器に充填され、口腔内に噴霧して使用される口腔用薬液噴霧製品であって、
前記増粘剤が、ヒドロキシアルキルセルロース、ローカストビーンガム、グアーガム、及びカラギーナンから選ばれる1種以上であり、
回転数50rpmで測定した前記薬液の粘度が10~150mPa・sであり、
前記薬液の、回転数5rpmで測定した薬液粘度(A)と回転数50rpmで測定した薬液粘度(B)で表すシュードプラスチック指数が下記を満たす口腔用薬液噴霧製品。
((A)/(B))×100≦200 - 前記薬液のハイドロキシアパタイトに対する接触角が45~85°である、請求項1に記載の口腔用薬液噴霧製品。
- 5cmの距離における噴霧パターンの最大直径が20~50mmである、請求項1または2に記載の口腔用薬液噴霧製品。
- 唾液分泌促進用または口腔乾燥改善用である、請求項1~3のいずれか1項に記載の口腔用薬液噴霧製品。
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