JP7139130B2 - 印刷用紙 - Google Patents

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Description

本発明は、印刷用紙、特に、油性インキによる両面オフセット印刷に適した印刷用紙に関する。
従来、多孔質熱可塑性樹脂フィルムからなる合成紙は印刷用紙として広く用いられている。合成紙からなる印刷用紙は、パルプ紙と比べて耐水性に優れるため、例えば、雨水で紙がふやけたり破れたりし難いという特徴を有する。したがって、合成紙からなる印刷用紙は、広告、宣伝用の屋外ポスターや、飲食店等におけるメニュー等の水に接触するおそれのある用途で利用されている。また、このような印刷用紙は、印刷物の表面に光沢を付与することができるため、ラミネート加工が不要となり経済性に優れる。
このような合成紙からなる印刷用紙として、特許文献1には、特定組成の印刷層、光沢付与層、及び基層が少なくともこの順に積層された積層構造を有するポスター用印刷基材が開示されている。
特開2017-213889号公報
従来、オフセット印刷には油性インキが用いられている。この油性インキには、あまに油を含む酸化重合型成分と、有機溶剤を含む蒸発乾燥型成分や浸透乾燥型成分とが含まれている。一般に、合成紙用の油性インキには、蒸発乾燥型成分や浸透乾燥型成分よりも酸化重合型成分が多く含まれ、パルプ紙用の油性インキには、酸化重合型成分よりも蒸発乾燥型成分や浸透乾燥型成分が多く含まれている。
したがって、印刷加工を行う際に、印刷用紙を合成紙からパルプ紙に変更するたびに、また、パルプ紙から合成紙に変更するたびに、インキの入れ替えが必要となり、手間がかかるという問題があった。また、パルプ紙用の油性インキを用いて合成紙に印刷加工を施すと、蒸発乾燥型成分や浸透乾燥型成分に含まれる有機溶剤(例えば、ガソリンやミネラルスピリット等)が合成紙を構成する熱可塑性樹脂フィルムの主成分である熱可塑性樹脂(例えばポリプロピレン等)に吸収され、フィルム全体が膨潤し、印刷用紙の平滑性が低下するという問題があった。このようなフィルムの膨潤現象は、溶剤アタックと呼ばれている。
さらに、印刷加工後の印刷用紙は、棒積み状態(印刷用紙の裏面と他の印刷用紙の表面とを対向させて、数百枚以上積層した状態)で保管されることがある。例えば、表面に印刷加工が施された印刷用紙を棒積み状態で保管すると、印刷環境や印刷条件によっては、印刷用紙の表面に対向する他の印刷用紙の裏面に、酸化重合型成分に由来する分解物(例えば酸化分解ガス等)や、蒸発乾燥型成分又は浸透乾燥型成分に由来する分解物(例えば溶剤ガス等)が移行し、シミを形成することがある。
このようなシミは印刷物の汚れとして、その商品価値を下げるおそれがあった。
また、表面への印刷加工後に、裏面に印刷加工を施す場合(両面印刷の場合)には、上記のシミが形成された部分において、インキの乾燥が影響され、裏面に印刷される絵柄に光沢差が生じることがあった。また、上記の分解物によりインキののりが阻害され、印刷される絵柄に濃淡が生じることがあった。このような現象はグロスゴーストとも呼ばれ、後刷りした印刷面に先刷りした印刷面の絵柄に相当する模様が現れる現象をいう。また、グロスゴーストは、後刷り面(上記の例示では印刷用紙の裏面)に絵柄をベタ刷りする際に、顕著に発生する傾向がある。
そこで、本発明は、かかる背景技術に鑑みてなされたものである。その目的は、溶剤アタックの発生を抑制し、パルプ紙と同じインキを用いて印刷加工を施すことが可能、つまり、インキの入れ替えが不要な印刷用紙を提供することにある。また、酸化分解ガス及び溶剤ガスによるシミの発生、並びに、グロスゴーストの発生を抑制することができる印刷用紙を提供することにある。
なお、ここでいう目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも、本発明の他の目的として位置づけることができる。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、熱可塑性樹脂フィルムからなる中間層と、その少なくとも一面に積層される多孔質熱可塑性樹脂フィルムとから構成される印刷用紙において、多孔質熱可塑性樹脂フィルムに特定成分を配合することで、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下に示す各特徴要件を要旨とするものである。
[1]熱可塑性樹脂フィルムからなる中間層と、その少なくとも一面に積層される多孔質熱可塑性樹脂フィルムとから構成され、
前記多孔質熱可塑性樹脂フィルムが、SiO/Alモル比が5以上のゼオライトを含むことを特徴とする印刷用紙。
[2]前記多孔質熱可塑性樹脂フィルムにおける前記ゼオライトの含有量が、熱可塑性樹脂100質量部に対し5~50質量部である、[1]に記載の印刷用紙。
[3]前記多孔質熱可塑性樹脂フィルムが、前記ゼオライト以外の無機微細粉末を含む、[1]又は[2]に記載の印刷用紙。
[4]前記ゼオライトと前記無機微細粉末の合計含有量が、熱可塑性樹脂100質量部に対し50~195質量部である[3]に記載の印刷用紙。
[5]前記ゼオライトの含有量が、前記無機微細粉末100質量部に対し5~80質量部である[3]又は[4]に記載の印刷用紙。
[6]前記無機微細粉末が炭酸カルシウムである、[3]~[5]の何れか一項に記載の印刷用紙。
]前記多孔質熱可塑性樹脂フィルムが延伸フィルムである、[1]~[]の何れか一項に記載の印刷用紙。
]前記多孔質熱可塑性樹脂フィルムが最外層に積層される[1]~[]の何れか一項に記載の印刷用紙。
]前記多孔質熱可塑性樹脂フィルムの前記中間層が積層される面とは反対側の一面に、前記ゼオライトを含まない多孔質熱可塑性樹脂フィルムを備える、[1]~[]の何れか一項に記載の印刷用紙。
本発明に係る第一の印刷用紙は、SiO/Alモル比が5以上のゼオライトを配合した多孔質熱可塑性樹脂フィルムを備えることで、インキの蒸発乾燥型成分や浸透乾燥型成分に含まれる有機溶剤、及び、インキの酸化重合型成分、蒸発乾燥型成分や浸透乾燥型成分に由来する分解物(例えば、酸化分解ガス及び溶剤ガス)の吸着性に特に優れる。したがって、溶剤アタックを抑制し、パルプ紙と同じインキを用いて印刷加工を施すことが可能となる。また、片面印刷加工を施す場合には、印刷面とは反対側の面における酸化分解ガス及び溶剤ガスによるシミの発生を抑制することができる。さらに、両面印刷加工を施す場合には、グロスゴーストの発生を抑制することができる。
本発明に係る第二の印刷用紙は、ゼオライトと炭酸カルシウムとを配合した多孔質熱可塑性樹脂フィルムを備えることで、このフィルム全体へのゼオライトの分散性が向上し、インキの蒸発乾燥型成分や浸透乾燥型成分に含まれる有機溶剤、酸化分解ガス及び溶剤ガスを効率よく吸収することができる。したがって、溶剤アタックを抑制し、パルプ紙と同じインキを用いて印刷加工を施すことが可能となる。また、片面印刷加工を施す場合には、印刷面とは反対側の面における酸化分解ガス及び溶剤ガスによるシミの発生を抑制することができる。さらに、両面印刷加工を施す場合には、グロスゴーストの発生を抑制することができる。
第一の実施形態に係る印刷用紙を示す模式断面図である。 第二の実施形態に係る印刷用紙を示す模式断面図である。 第三の実施形態に係る印刷用紙を示す模式断面図である。 第四の実施形態に係る印刷用紙を示す模式断面図である。 第五の実施形態に係る印刷用紙を示す模式断面図である。
以下の実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はその実施の形態のみに限定されるものではない。また、本明細書において、例えば「1~100」との数値範囲の表記は、その下限値「1」及び上限値「100」の双方を包含するものとする。他の数値範囲の表記も同様である。また、本発明において「主成分」というとき、例えば、樹脂フィルムや樹脂組成物における主成分とは、配合する材料のうち使用質量が最も多い材料を指す。また、(メタ)アクリル酸エステルというときは、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルの両方を包含するものとする。
[印刷用紙]
本発明に係る第一の印刷用紙は、熱可塑性樹脂フィルムからなる中間層と、その少なくとも一面に積層される多孔質熱可塑性樹脂フィルムとから構成され、多孔質熱可塑性樹脂フィルムが、SiO/Alモル比が5以上のゼオライトを含むことを特徴とする。また、本発明に係る第二の印刷用紙は、熱可塑性樹脂フィルムからなる中間層と、その少なくとも一面に積層される多孔質熱可塑性樹脂フィルムとから構成され、多孔質熱可塑性樹脂フィルムが、ゼオライトと炭酸カルシウムとを含むことを特徴とする。
以下の記載では、まず、多孔質熱可塑性樹脂フィルムについて説明し、次いで、中間層について説明する。なお、「第一の印刷用紙における多孔質熱可塑性樹脂フィルム」と「第二の印刷用紙における多孔質熱可塑性樹脂フィルム」とを区別して説明する場合には、それぞれ「多孔質熱可塑性樹脂フィルム(I)」、「多孔質熱可塑性樹脂フィルム(II)」と呼び分けることとし、これらを特に区別せずに説明する場合には、単に「多孔質熱可塑性樹脂フィルム」と総称する。
〔1.多孔質熱可塑性樹脂フィルム〕
多孔質熱可塑性樹脂フィルム(I)は、SiO/Alモル比が5以上のゼオライトを含む。つまり、多孔質熱可塑性樹脂フィルム(I)では、種々の無機微細粉末の中から特定組成のゼオライトが選択され、多孔質熱可塑性樹脂フィルム(I)に配合されている。
また、多孔質熱可塑性樹脂フィルム(II)は、ゼオライトと炭酸カルシウムとを含む。つまり、多孔質熱可塑性樹脂フィルム(II)では、種々の無機微細粉末の中からゼオライトと炭酸カルシウムとが選択され、これらが併用され、多孔質熱可塑性樹脂フィルム(II)に配合されている。
以下において、多孔質熱可塑性樹脂フィルムの構成成分について、ゼオライト、ゼオライト以外の無機微細粉末、熱可塑性樹脂、及びその他の配合剤の順に説明する。
(ゼオライト)
ゼオライトは、主にケイ素元素(Si)、アルミニウム元素(Al)、及び酸素元素(O)から構成される骨格を有する多孔質材料である。また、ゼオライトは当該骨格中の一部又は全部のアルミニウム元素(Al)を、鉄元素(Fe)、ホウ素元素(B)、ガリウム元素(Ga)等の3価の金属元素;亜鉛元素(Zn)等の2価の金属元素に置き換えたものであってもよい。
ゼオライトの平均細孔径は特に限定されないが、好ましくは4Å以上、より好ましくは5Å以上、特に好ましくは6Å以上である。また同平均細孔径は、好ましくは10Å以下、より好ましくは9Å以下、特に好ましくは8Å以下である。平均細孔径が上記範囲のゼオライトを使用することで、溶剤ガスや酸化分解ガスの吸着能や保持能を高めやすい。
ゼオライトの平均粒子径は特に限定されないが、好ましくは10μm以下、より好ましくは8μm以下、特に好ましくは5μm以下である。ゼオライトの平均粒子径が小さいほど、多孔質熱可塑性樹脂フィルム中でのゼオライトの分散性が向上し、且つゼオライト粒子の比表面積が増大することから、溶剤ガス及び酸化分解ガスを、フィルム全体で効率よく吸着することができる。更に粗大粒子による表面の欠陥や印刷の欠陥を防止しやすい。ゼオライトの平均粒子径の下限は特に限定されないが、入手の容易性の観点から、通常0.01μm以上、好ましくは0.05μm以上、より好ましくは0.1μm以上である。
なお、ゼオライトの平均粒子径とは、多孔質熱可塑性樹脂フィルムの厚み方向の切断面を電子顕微鏡により観察し、観察領域より無作為に抽出した100個のゼオライトの粒子径を測定し、これに基づいて算出した平均値である。ゼオライトの粒子径は、粒子の輪郭上の2点間の距離の最大値(最大径)から決定する。
多孔質熱可塑性樹脂フィルム中のゼオライトの含有量は、後述する熱可塑性樹脂100質量部に対し、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、さらに好ましくは15質量部以上であり、好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下、さらに好ましくは25質量部以下である。ゼオライトの含有量が少なすぎると、有機溶剤、酸化分解ガス及び溶剤ガスを十分に吸着できないことがある。一方、ゼオライトの含有量が多すぎると、フィルムを構成する樹脂組成物の混練性や、シート成形性が低下する傾向にある。
また、多孔質熱可塑性樹脂フィルム中のゼオライトの含有量は、後述する無機微細粉末100質量部に対し、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、さらに好ましくは15質量部以上であり、好ましくは80質量部以下、より好ましくは70質量部以下、さらに好ましくは60質量部以下である。無機微細粉末に対するゼオライトの含有量を上記範囲とすることで、フィルムを構成する樹脂組成物の混練性と、シート成形性とのバランスに優れる。
本発明者らは、多孔質熱可塑性樹脂フィルムにゼオライトを配合すると、有機溶剤、酸化分解ガス及び溶剤ガスの吸着性が向上し、有機溶剤に起因する溶剤アタックのほか、酸化分解ガス及び溶剤ガスに起因するシミ及びグロスゴーストの発生を抑制することができることを見出した。そして、さらに本発明者らが鋭意検討した結果、ゼオライトの中でも特に、SiO/Alモル比が5以上のゼオライトを選択することで、多孔質熱可塑性樹脂フィルム(I)を含む印刷用紙では溶剤アタック、シミ及びグロスゴーストを抑制する効果が顕著に奏効されることを見出した。このような効果が顕著に得られる作用機構は明らかではないが、SiO/Alモル比が5以上のゼオライトは疎水性を有するため、有機物の吸着がより効果的に行われているからと推測される。
<SiO/Alモル比が5以上のゼオライト>
SiO/Alモル比が5以上のゼオライトを含む多孔質熱可塑性フィルム(I)を構成層とする印刷用紙に、油性インキによる印刷加工を施すと、インキの蒸発乾燥型成分や浸透乾燥型成分に含まれる有機溶剤、及び、インキの酸化重合型成分、蒸発乾燥型成分や浸透乾燥型成分に由来する分解物(例えば、酸化分解ガス及び溶剤ガス)がゼオライトに優先的に吸着される。その結果、溶剤アタックが抑制され、パルプ紙と同じインキを用いて印刷加工を施すことが可能となる。また、片面印刷加工を施す場合には、印刷面とは反対側の面における酸化分解ガス及び溶剤ガスによるシミの発生を抑制することができる。さらに、両面印刷加工を施す場合には、グロスゴーストの発生を抑制することができる。
溶剤ガス及び酸化分解ガスの吸着性を向上させる観点からは、SiO/Alモル比は5以上であり、好ましくは10以上、より好ましくは100以上である。一方、SiO/Alモル比の上限は特に限定されるものではないが、入手の容易性の観点から、通常1500以下、好ましくは500以下、より好ましくは300以下である。なお、以下において、SiO/Alモル比が5以上のゼオライトを「疎水性ゼオライト」とよぶ。
疎水性ゼオライトとしては、例えば、ベータ型、ZSM-5型、フェリエナイト型、モルデナイト型、L型、又はY型のゼオライトを使用することができる。また、ZSM-5型ゼオライトの類縁体であるZSM-11、シリカライト、シリカライト-2、ペンタシル型メタロケイ酸塩を使用することもできる。これらは単独で用いてもよく、又は組み合わせて用いてもよい。
なお、疎水性ゼオライトの好適な平均細孔径、平均粒子径及び含有量は、上述したゼオライトと同様である。
(無機微細粉末)
本発明における多孔質熱可塑性樹脂フィルムは、通常、ゼオライト以外の無機微細粉末(以下、単に「無機微細粉末」と記載することがある)を含んでいる。ゼオライト以外の無機微細粉末としては、例えば、炭酸カルシウム、焼成クレイ、タルク、珪藻土、二酸化チタン、硫酸バリウム、アルミナ、シリカ、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、白土、マイカ、セリサイト、ベントナイト、セピオライト、バーミキュライト、ドロマイト、ワラストナイト、ガラスファイバー、中空ガラスビーズ、及びこれらの混合物等が挙げられるが、本発明におけるゼオライトを用いる場合、特に炭酸カルシウムが好ましい。
無機微細粉末の平均粒子径は特に限定されないが、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.2μm以上であり、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下である。なお、無機微細粉末の平均粒子径は、上記ゼオライトの平均粒子径と同様の方法で算出することができる。
多孔質熱可塑性樹脂フィルム中の無機微細粉末の含有量は特に限定されないが、後述する熱可塑性樹脂100質量部に対し、好ましくは40質量部以上、より好ましくは50質量部以上、さらに好ましくは60質量部以上であり、好ましくは150質量部以下、より好ましくは120質量部以下、さらに好ましくは100質量部以下である。無機微細粉末の含有量を上記範囲とすることで、多孔質熱可塑性樹脂フィルムに含まれるゼオライトの含有量を相対的に少なくすることができる。ゼオライトは有機物等の吸着性に優れる一方、樹脂組成物に配合されると混練性やシート成形性を低下させることがある。したがって、ゼオライトと無機微細粉末とを併用することで、ゼオライトの含有量を相対的に少なくし、有機溶剤、酸化分解ガス及び溶剤ガスの吸着性を維持しつつ、混練性やシート成形性を向上させることができる。
また、ゼオライトとして疎水性ゼオライトを選択する場合に、多孔質熱可塑性樹脂フィルム(I)における疎水性ゼオライトと無機微細粉末の合計含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対し、好ましくは50質量部以上、より好ましくは65質量部以上、さらに好ましくは80質量部以上であり、好ましくは195質量部以下、より好ましくは160質量部以下、さらに好ましくは125質量部以下である。疎水性ゼオライトと無機微細粉末の合計含有量を上記範囲とすることで、混練性及びシート成形性のバランスに優れた樹脂組成物を得ることができるため、多孔質熱可塑性樹脂フィルム(I)のガス吸着能や生産性に優れる。
<ゼオライトと炭酸カルシウムとの併用>
また、本発明者らは、上記疎水性ゼオライトを配合した多孔質熱可塑性樹脂フィルム(I)を構成層として含む印刷用紙を用いるほか、上記の無機微細粉末の中から炭酸カルシウムを選択し、ゼオライトと併用して配合した多孔質熱可塑性樹脂フィルム(II)を構成層として含む印刷用紙を用いることで、有機溶剤による溶剤アタック、酸化分解ガス及び溶剤ガスによるシミ及びグロスゴーストを抑制する効果が顕著に奏効されることを見出した。このような効果が顕著に得られる作用機構は明らかではないが、ゼオライトが炭酸カルシウムと併用されると、ミキサーや混練機における原料混合時に炭酸カルシウム粒子がゼオライト粒子の解砕を助け、多孔質熱可塑性樹脂フィルム(II)全体へのゼオライトの分散性が向上することや、空孔形成性能の高い炭酸カルシウム粒子が多孔質熱可塑性樹脂フィルムの多孔性を高め、同フィルム内部にガスの通り道となる空孔を形成して、ゼオライトによるガス吸着がより効率的に行われたことが理由として推測される。
無機微細粉末として炭酸カルシウムを選択する場合、つまり、多孔質熱可塑性樹脂フィルム(II)におけるゼオライトと炭酸カルシウムの合計含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対し、好ましくは50質量部以上、より好ましくは65質量部以上、さらに好ましくは80質量部以上であり、好ましくは195質量部以下、より好ましくは160質量部以下、さらに好ましくは125質量部以下である。ゼオライトと炭酸カルシウムの合計含有量を上記範囲とすることで、混練性及びシート成形性のバランスに優れた樹脂組成物を得ることができるため、多孔質熱可塑性樹脂フィルム(II)のガス吸着性や生産性に優れる。
なお、多孔質熱可塑性樹脂フィルム(I)が無機微細粉末を含む場合、無機微細粉末は炭酸カルシウムであってもよいし、多孔質熱可塑性樹脂フィルム(II)に含まれるゼオライトとして疎水性ゼオライトを選択してもよい。
(熱可塑性樹脂)
熱可塑性樹脂の種類は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で限定されない。例えば、熱可塑性樹脂としては、エチレン単独重合体や、エチレンと他の共重合成分とを共重合させたエチレン系共重合体等のポリエチレン系樹脂(高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等)、プロピレン単独重合体、プロピレンブロック共重合体、プロピレンランダム共重合体等のポリプロピレン系樹脂、ポリメチル-1-ペンテン、シクロペンタジエン-αオレフィン共重合体、エチレン-環状オレフィン共重合体等のポリオレフィン系樹脂;エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体の金属塩(アイオノマー)、エチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、マレイン酸変性ポリエチレン、マレイン酸変性ポリプロピレン等の官能基含有ポリオレフィン系樹脂;ナイロン-6、ナイロン-6,6、ナイロン-6,10、ナイロン-6,12等のポリアミド系樹脂;芳香族ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート及びその共重合体、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、脂肪族ポリエステル(ポリブチレンサクシネート、ポリ乳酸等)等の熱可塑性ポリエステル系樹脂;芳香族ポリカーボネート、脂肪族ポリカーボネート等のポリカーボネート樹脂;アタクティックポリスチレン、シンジオタクティックポリスチレン、アクリロニトリル-スチレン(AS)共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)共重合体等のポリスチレン系樹脂;ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリビニルアルコール;塩素化ポリエチレン;塩素化ポリプロピレン;ポリ塩化ビニル樹脂;ポリ塩化ビニリデン;ポリフェニレンスルフィド;等を用いることができる。
熱可塑性樹脂は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、上記で例示した共重合体は、2元系でも3元系以上の多元系でもよい。また、ランダム共重合体でもブロック共重合体でもグラフト共重合体でもよい。
これらの中でも、耐水性、耐溶剤性、耐薬品性及び生産コスト等の観点から、結晶性ポリオレフィン系樹脂を用いることが好ましい。結晶性ポリオレフィン系樹脂はポリオレフィン系樹脂の中でも結晶性を示すものである。結晶性ポリオレフィン系樹脂を用いると、延伸により熱可塑性樹脂フィルムを多孔構造とし、多孔質熱可塑性樹脂フィルムを得ることができ、製造が容易であると共に、その表面に空孔(開口)を十分に形成しやすく維持しやすい。結晶性を示す結晶化度は、通常は20%以上であることが好ましく、35%以上であることがより好ましく、また、上限値については75%以下であることが好ましい。該結晶化度はX線回折、赤外線スペクトル分析等の方法によって測定することができる。同観点では結晶性ポリオレフィン系樹脂の中でも、結晶性プロピレン系樹脂を用いることがより好ましい。
結晶性プロピレン系樹脂としては、プロピレンを単独重合させたアイソタクティック重合体またはシンジオタクティック重合体を用いることが好ましい。またプロピレンと、エチレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、4-メチル-1-ペンテン等のα-オレフィンとを共重合させた様々な立体規則性を有する、プロピレンを主成分とする共重合体を使用することもできる。共重合体は2元系でも3元系以上の多元系でもよく、またランダム共重合体でもブロック共重合体でもよい。
また、結晶性プロピレン系樹脂のMFR(Melt Flow Rate:メルトフローレート)は、通常0.5g/10min以上、好ましくは1.0g/10min以上であり、通常30g/10min以下、好ましくは20g/10min以下である。
(その他の配合剤)
多孔質熱可塑性樹脂フィルムには、必要に応じて、熱安定剤(酸化防止剤)、光安定剤、分散剤、滑剤、有機フィラー等を添加することができる。
例えば、熱安定剤を添加する場合は、通常、多孔質熱可塑性樹脂フィルムの固形分総量100質量部に対して、0.001~1質量部の範囲内で添加する。熱安定剤としては、例えば、立体障害フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等の熱安定剤を使用することができる。
また、光安定剤を使用する場合は、通常、多孔質熱可塑性樹脂フィルムの固形分総量100質量部に対して、0.001~1質量部の範囲内で使用する。光安定剤としては、例えば、立体障害アミン系光安定剤、ベンゾトリアゾール系光安定剤、ベンゾフェノン系光安定剤等を使用することができる。
分散剤や滑剤は、例えば無機微細粉末を分散させる目的で使用する。分散剤や滑剤を添加する場合は、多孔質熱可塑性樹脂フィルムの固形分総量100質量部に対して、通常0.01~4質量部の範囲で使用する。分散剤としては、例えば、シランカップリング剤、オレイン酸やステアリン酸等の高級脂肪酸、金属石鹸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸ないしはそれらの塩等を使用することができる。
また、有機フィラーは、多孔質熱可塑性樹脂フィルムの主成分である熱可塑性樹脂とは異なる種類の樹脂を用いれば、特に限定されない。
多孔質熱可塑性樹脂フィルムは単層構造であってもよいし、多層構造であってもよい。例えば、多孔質熱可塑性樹脂フィルムが多層構造の場合、少なくとも一層が、多孔質熱可塑性樹脂フィルム(I)又は多孔質熱可塑性樹脂フィルム(II)であればよい。この場合、多孔質熱可塑性樹脂フィルム(I),(II)以外の層としては、例えば、ゼオライトを含まない多孔質熱可塑性樹脂フィルム等の配合組成を変更した多孔質熱可塑性樹脂フィルムを用いることができる。なお、多孔質熱可塑性樹脂フィルムが多層構造の場合、各層を、異なる配合組成としてもよいし、同じ配合組成としてもよい。
〔2.中間層〕
中間層は、多孔質熱可塑性樹脂フィルムを支持する層である。中間層は印刷用紙の芯材として機能し、印刷用紙に安定した延伸成形性を付与することができる。
中間層は熱可塑性樹脂フィルムからなり、上述した多孔質熱可塑性樹脂フィルムを支持可能なものである限り、当業界で公知のものを用いることができる。中間層を構成する熱可塑性樹脂フィルムの配合組成は特に限定されない。
代表的には、中間層の固形分総量を基準として、30~100質量部の熱可塑性樹脂と、0~70質量部の無機微細粉末及び/又は有機フィラーを含むものが挙げられる。より好ましくは、中間層の固形分総量を基準として、50~100質量部の熱可塑性樹脂と、0~50質量部の無機微細粉末及び/又は有機フィラーを含むものが挙げられる。これらの成分及び配合組成、さらには任意配合成分の詳細等については、多孔質熱可塑性樹脂フィルムで説明したものと同様であり、ここでの重複した説明は省略する。なお、無機微細粉末及び/又は有機フィラーの全部又は一部に替えて、上述したゼオライトを用いることもできる。
また、中間層は単層構造であってもよいし、多層構造であってもよい。中間層が多層構造の場合、中間層を構成する各層は、異なる配合組成とすることもできるし、同じ配合組成とすることもできる。
また、中間層は無延伸の層であっても、延伸された層であっても構わない。
製造コストを低減し、より平坦な表面及び界面を得る観点からは、中間層はゼオライトを含まず、単層構造であり、一軸延伸又は二軸延伸の層であることが好ましい。
中間層がゼオライト、無機微細粉末や有機フィラー等を含む場合、中間層が延伸されると、延伸に伴いフィルム内部に多数の空孔が形成されるため、多孔質熱可塑性樹脂フィルムと中間層との区別が困難になることがある。この場合、多孔質熱可塑性樹脂フィルムと中間層との区別は、フィルムを構成する成分に着目して行う。具体的には、疎水性ゼオライトを含む層と疎水性ゼオライトを含まない層との界面、又は、ゼオライト及び炭酸カルシウムを含む層と両成分のいずれか一方を含まない層との界面を、多孔質熱可塑性樹脂フィルムと中間層との界面とする。
〔3.層構成〕
本実施形態に係る印刷用紙は、中間層と、中間層の少なくとも一面に積層される多孔質熱可塑性樹脂フィルムとから構成される。つまり、中間層と多孔質熱可塑性樹脂フィルムとが少なくともこの順に積層された多層構造を有する。ここで、本明細書において「この順に積層された」とは、これらがこの順に配列していることを意味し、中間層と多孔質熱可塑性樹脂フィルムとの間に、接着剤層等の任意の層が介在している態様をも包含する趣旨である。なお、多孔質熱可塑性樹脂フィルム及び/又は中間層が多層構造の場合にも、各層の間に任意の層が介在していてもよい。
以下、必要に応じて、中間層をA、多孔質熱可塑性樹脂フィルムをBと表しながら、図面を参照して、種々の具体的態様について説明する。
図1に示すように、第一実施形態に係る印刷用紙101は、中間層(A11)と多孔質熱可塑性樹脂フィルム(B11)との2層構成とすることができる。また、図2に示すように、第二実施形態に係る印刷用紙102は、中間層(A21)の両面に多孔質熱可塑性樹脂フィルム(B21)を設けた3層構成とすることができる。また、図3に示すように、第三実施形態に係る印刷用紙103は、熱可塑性樹脂フィルム(A31)と、その両面に設けられた熱可塑性樹脂フィルム(A32),(A32)とからなる3層構成の中間層、及びこの中間層の両面に設けられた多孔質熱可塑性樹脂フィルム(B31),(B31)からなる5層構成とすることができる。また、図4に示すように、第四実施形態に係る印刷用紙104は、中間層(A41)を中心に、その両面に多孔質熱可塑性樹脂フィルム(B41),(B42)を対称的に設けた構成〔(B42)/(B41)/(A41)/(B41)/(B42)〕とすることもできる。さらに、図5に示すように、第五実施形態に係る印刷用紙105は、熱可塑性樹脂フィルム(A51)と、その両面に設けられた熱可塑性樹脂フィルム(A52),(A52)とからなる3層構成の中間層を中心に、その両面に多孔質熱可塑性樹脂フィルム(B51),(B52)を対称的に設けた構成〔(B52)/(B51)/(A52)/(A51)/(A52)/(B51)/(B52)〕とすることもできる。
図1~5に示すように、多孔質熱可塑性樹脂フィルムBは印刷用紙101~105の最外層に積層することができる。また、図4及び図5に示すように、多孔質熱可塑性樹脂フィルムBが多層構造の場合には、最外層に積層される多孔質熱可塑性樹脂フィルム(B42),(B52)を、多孔質熱可塑性樹脂フィルム(I)又は多孔質熱可塑性樹脂フィルム(II)とすることができる。
一方、図4及び図5に示すように、多孔質熱可塑性樹脂フィルムBが多層構造の場合、多孔質熱可塑性樹脂フィルムBのうち、中間層(A41),(A52)側に積層される多孔質熱可塑性樹脂フィルム(B41),(B51)を、多孔質熱可塑性樹脂フィルム(I)又は多孔質熱可塑性樹脂フィルム(II)とすることもできる。そして、この態様では、多孔質熱可塑性樹脂フィルム(B41),(B51)において中間層Aが積層される面とは反対側の一面に、ゼオライトを含まない多孔質熱可塑性樹脂フィルム(B42),(B52)を配置することができる。ゼオライトを含まない多孔質熱可塑性樹脂フィルム(B42),(B52)を最外層に配置した印刷用紙は、表面の平滑性に優れるため、印刷物に優れた網点再現性や光沢性を付与することができる。
〔4.成形方法〕
本実施形態に係る印刷用紙の成形方法は、公知の方法を適宜適用することができ、その種類は特に限定されない。例えば、スクリュー型押出機に接続された単層又は複層のTダイやIダイを利用して、溶融樹脂をシート状に押し出すキャスト成形、スクリュー型押出機に接続されたOダイを利用して、溶融樹脂を筒状に押し出すインフレーション成形、カレンダー成形、圧延成形、熱可塑性樹脂と有機溶媒やオイルとの混合物をキャスト成形又はカレンダー成形した後に溶媒やオイルを除去する方法等を用いて成形することができる。
〔5.積層〕
本実施形態に係る印刷用紙の積層方法は、公知の方法を適宜適用することができ、その種類は特に限定されない。積層方法としては、例えば、フィードブロック、マルチマニホールドを使用した多層ダイス方式と、複数のダイスを使用する押出しラミネーション方式等を適用することができる。また、多層ダイス方式と押出しラミネーション方式を組み合わせて使用することもできる。その他に接着剤を用いたドライラミネートやウェットラミネート、ホットメルトラミネート等、公知のいかなる積層法も用いることができる。
また、図2に示す印刷用紙102を成形するにあたり、多孔質熱可塑性樹脂フィルム(B21)/中間層(A21)/多孔質熱可塑性樹脂フィルム(B21)をこの順に積層した積層構造を多層ダイス方式にて共押出により一体に押出成形することができる。また、前述したキャスト成形よって一方の多孔質熱可塑性樹脂フィルム(B21)を一旦シート状に成形した後、中間層(A21)及び他方の多孔質熱可塑性樹脂フィルム(B21)をラミネート方式で積層することもできる。このとき、複数のダイスを用いて中間層(A21)及び他方の多孔質熱可塑性樹脂フィルム(B21)を個別に順に積層してもよいし、多層ダイスを用いて中間層(A21)及び他方の多孔質熱可塑性樹脂フィルム(B21)を共押出して同時に積層してもよい。
〔6.延伸〕
また、本実施形態に係る印刷用紙は、少なくとも一軸方向以上に延伸されたものであることが好ましい。つまり、印刷用紙の構成層である多孔質熱可塑性樹脂フィルム及び中間層は延伸フィルムであることが好ましい。延伸することによって印刷用紙として各種印刷適性に優れる厚み寸法やコシ(stiffness)が得られ易く、また、印刷用紙の総厚み寸法のバラツキが緩和されて均一厚みが得られ易く、さらには平坦な表面や層間界面が得られ易い傾向にある。
各層の延伸軸数は、特に制限されない。例えば3層構造では、B/A/B=1軸/1軸/1軸、1軸/1軸/2軸、1軸/2軸/1軸、2軸/1軸/1軸、1軸/2軸/2軸、2軸/2軸/1軸、2軸/2軸/2軸等が挙げられる。2層構成や4層以上の層構成の場合でも、これらと同様に、延伸軸数を任意に組み合わせることが可能である。
延伸方法は特に限定されず、公知の方法の中から適宜選択して使用することができる。例えば、ロール群の周速差を利用する縦延伸、テンターオーブンを使用する横延伸、圧延、縦延伸と横延伸の組み合わせによる逐次二軸延伸、テンターオーブンとパンタグラフの組み合わせによる同時二軸延伸、テンターオーブンとリニアモーターの組み合わせによる同時二軸延伸、インフレーション成形による同時二軸延伸等を用いることができる。
延伸の際の温度は、各層の配合組成、例えば熱可塑性樹脂の融点等を考慮して適宜設定すればよく、特に限定されない。一般的には、熱可塑性樹脂の融点以下が好ましく、より好ましくは該融点よりも2~20℃低い温度の範囲内である。また、延伸速度も特に限定されないが、20~350m/分の範囲内で行うことが好ましい。
延伸倍率は、各層の配合組成等を考慮して適宜設定すればよく、特に限定されない。一軸延伸の場合は、通常2~12倍が好ましく、より好ましくは3~10倍、さらに好ましくは4~8倍であり、二軸延伸の場合は、面積倍率で通常4~80倍が好ましく、より好ましくは10~65倍、さらに好ましくは20~50倍である。
〔7.厚み寸法〕
本実施形態に係る印刷用紙の厚み寸法(総厚み寸法)は、用途や要求性能に応じて適宜設定すればよく、特に限定されない。印刷用紙の総厚み寸法とは、印刷用紙を構成する各層の厚み寸法の総和を意味する。印刷用紙の総厚み寸法は、通常51μm以上、好ましくは63μm以上、より好ましくは75μm以上であり、通常550μm以下、好ましくは400μm以下、より好ましくは300μm以下である。総厚み寸法が上記範囲の印刷用紙であれば、オフセット印刷する場合に不具合が生じ難く、印刷用紙としての利用価値が高くなる傾向にある。
中間層の厚み寸法は特に限定されないが、通常50μm以上、好ましくは60μm以上、より好ましくは70μm以上であり、通常500μm以下、好ましくは300μm以下、より好ましくは200μm以下である。また、多孔質熱可塑性樹脂フィルムの厚み寸法は特に限定されないが、通常1μm以上、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上であり、通常50μm以下、好ましくは30μm以下、より好ましくは15μm以下である。
また、多孔質熱可塑性樹脂フィルムの厚み寸法に対する中間層の厚み寸法の比[(中間層)/(多孔質熱可塑性樹脂フィルム)]は、通常1.1以上、好ましくは3以上、より好ましくは5以上であり、通常30以下、好ましくは20以下、より好ましくは15以下である。多孔質熱可塑性樹脂フィルムの厚み寸法に対する中間層の厚み寸法の比を上記範囲にすることで、印刷用紙の印刷適性を向上させることができる。
〔8.光沢度〕
本実施形態に係る印刷用紙において、多孔質熱可塑性樹脂フィルム表面の光沢度(JIS P-8142)は、好ましくは70~110%、より好ましくは80~108%、さらに好ましくは85~105%である。光沢度が70%以上であることにより、印刷用紙における多孔質熱可塑性樹脂フィルムに印刷を施した際に、高光沢で明るい印刷物の質感や軽快な雰囲気が得られ易い傾向にある。なお、光沢度は、例えば印刷用紙の各層の材料の選択や製造時の延伸条件(温度、倍率等)等により、調整可能である。
〔9.不透明度〕
印刷用紙の不透明度は、ポスターやパンフレット等の商業印刷用の原紙、包装紙用の原紙等の裏地として用いる際に、裏側が透けて見えないことが好ましい観点から、好ましくは80%以上であり、より好ましくは90%以上であり、更に好ましくは95%以上である。不透明度の測定方法は、後述する実施例に記載のとおりである。
なお、不透明度は、印刷用紙の各層に含まれるゼオライト、無機微細粉末や有機フィラーの濃度、印刷用紙の延伸倍率、延伸温度等により、調整可能である。
〔10.密度〕
印刷用紙の密度は、JIS K7130:1999に記載されている方法に従い、印刷用紙の厚み寸法と、試料を10cm×10cmサイズに打ち抜いて質量を測定して得られた秤量の値とから、下記の計算式によって算出できる。
ρ=Wf/Tf
ただし、ρ、Wf及びTfのそれぞれは下記を示す。
ρ :印刷用紙の密度(g/cm
Wf:印刷用紙の坪量(g/cm
Tf:印刷用紙の厚み寸法(cm)
印刷用紙の密度は、強度維持の観点から、好ましくは0.5g/cm以上、より好ましくは0.6g/cm以上である。一方、印刷用紙の軽量化の観点から、印刷用紙の密度は、好ましくは1.3g/cm以下、より好ましくは1.0g/cm以下である。
〔11.空孔率〕
印刷用紙の空孔率は、不透明化や軽量化の観点から、好ましくは1%以上、より好ましくは10%以上、さらに好ましくは20%以上である。一方、油性インキによる溶剤アタック(ぼこつき)を防止する観点から、印刷用紙の空孔率は、好ましくは60%以下、より好ましくは50%以下、さらに好ましくは40%以下である。
空孔率の測定方法は、後述する実施例に記載のとおりである。
なお、印刷用紙を構成する各層の空孔率も、同様の方法により測定することができる。また、空孔率は、印刷用紙の各層に含まれるゼオライト、無機微細粉末や有機フィラーの濃度、印刷用紙の延伸倍率、延伸温度等により、調整可能である。
〔12.白色度〕
印刷用紙の白色度は、印刷内容の視認性を向上させる観点から、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上である。
白色度の測定方法は、後述する実施例に記載のとおりである。
なお、白色度は、印刷用紙の各層に含まれるゼオライト、無機微細粉末や有機フィラーの濃度、印刷用紙の延伸倍率、延伸温度等により、調整可能である。
〔13.表面処理〕
(13a)酸化処理
本実施形態に係る印刷用紙は、その表面、特に多孔質熱可塑性樹脂フィルムの表面を酸化処理することが好ましい。このように多孔質熱可塑性樹脂フィルムの表面に酸化処理を施すことにより、極性基の存在割合を調整でき、印刷用紙の多孔質熱可塑性樹脂フィルムの表面の酸素原子数濃度を調整することができる。そして、印刷用紙の表面が酸化処理され、印刷用紙の多孔質熱可塑性樹脂フィルム表面の酸素原子数濃度が調整されることにより、インキ成分との化学的な結合力が得られ易く、その結果、印刷用紙と油性インキとの密着性が向上される傾向にある。
酸化処理方法としては、一般的にフィルムに使用されるコロナ放電処理、フレーム処理、プラズマ処理、グロー放電処理、オゾン処理等の方法を単独又は組み合わせて使用することができ、その種類は特に限定されない。これらの中でも、好ましくはコロナ放電処理及びフレーム処理であり、設備や操作の容易さからコロナ放電処理がより好ましい。酸化処理量(エネルギー量)は、要求性能等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されない。例えばコロナ放電処理の場合、用いる印加エネルギーは、好ましくは600~12,000J/m2(10~200W・分/m2)、より好ましくは720~9,000J/m2(12~150W・分/m2)、さらに好ましくは900~7,800J/m2(15~130W・分/m2)の範囲である。また、フレーム処理の場合、用いる印加エネルギーは、好ましくは5,000~200,000J/m2、より好ましくは10,000~100,000J/m2の範囲である。
(13b)酸素原子数濃度
本明細書において、印刷用紙の(多孔質熱可塑性樹脂フィルム)表面の酸素原子数濃度は、上記の酸化処理後1週間以内に、X線光電子分光装置((株)島津製作所製、商品名ESCA-3200型)を用いて、1×106Torr以下の真空度下、MgのKd線(1254.0eV)をX線源とし、光電子放出角90°の条件で測定した値とする。ここで測定する酸素原子のピークとしては、O1sピーク(533eV)を用いる。
本実施形態に係る印刷用紙の(多孔質熱可塑性樹脂フィルム)表面の酸素原子数濃度は、好ましくは3.8~20%、より好ましくは4.0~10%である。酸素原子数濃度が好ましい範囲内にあることにより、多孔質熱可塑性樹脂フィルム表面の粗面化及びこれにともなう光沢度の低下を抑制しつつ、インキの密着性が向上される傾向にある。なお、酸素原子数濃度は、上述した酸化処理方法の処理範囲や処理エネルギー量等により調整することが可能である。
(13c)アンカー剤
酸化処理を行うことによるインキとの良好な密着性の向上効果は、処理後、経時的に減衰する傾向がある。そのため、より安定したインキとの密着性を付与するために、アンカー剤を酸化処理後の多孔質熱可塑性樹脂フィルムの表面に塗布することが好ましい。かかるアンカー剤としては、当業界で公知のものを適宜用いることができ、その種類は特に限定されない。例えば、ポリイミン系重合体又はポリアミンポリアミドのエチレンイミン付加物を単独或いは混合したもの、又はこれらにさらに架橋剤を加えたもの等が挙げられるが、これらに特に限定されない。ポリイミン系重合体又はポリアミンポリアミドのエチレンイミン付加物としては、ポリエチレンイミン、ポリ(エチレンイミン-尿素)及びポリアミンポリアミドのエチレンイミン付加物、又はこれらのアルキル変性体、シクロアルキル変性体、アリール変性体、アリル変性体、アラルキル変性体、アルキラル変性体、ベンジル変性体、シクロペンチル変性体、若しくは脂肪族環状炭化水素変性体、これらの水酸化物、これら前述のものを数種類複合させたもの等が挙げられるが、これらに特に限定されない。
(13d)帯電防止剤
前述アンカー剤に、ポリマー型帯電防止剤をさらに加えることにより、静電気による印刷用紙への埃の付着や、重送等印刷時の印刷機上トラブルを軽減することができる。ポリマー型帯電防止剤としては、カチオン型、アニオン型、両性型、ノニオン型等が知られており、いずれも使用可能である。具体的には、カチオン型としては、アンモニウム塩構造やホスホニウム塩構造を有するもの等が挙げられるが、これらに特に限定されない。アニオン型としては、スルホン酸、リン酸、カルボン酸等のアルカリ金属塩、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、(無水)マレイン酸等のアルカリ金属塩(例えばリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等)構造を分子構造中に有するもの等が挙げられるが、これらに特に限定されない。両性型としては、前述のカチオン型とアニオン型の両方の構造を同一分子中に含有するもの、具体的にはベタイン型が挙げられる。ノニオン型としては、アルキレンオキシド構造を有するエチレンオキシド重合体や、エチレンオキシド重合成分を分子鎖中に有する重合体等が挙げられるが、これらに特に限定されない。その他、ホウ素を分子構造中に有するポリマー型帯電防止剤も例として挙げることができる。これらの中でも、カチオン型のポリマー型帯電防止剤が好ましく、より好ましくは窒素含有ポリマー型帯電防止剤である。その例としては、例えば第三級窒素又は第四級窒素(アンモニウム塩構造)含有アクリル系ポリマーが挙げられる。
(13e)アンカー剤及び帯電防止剤の量比
上述したアンカー剤及び帯電防止剤を併用する場合、これらの量比は要求性能に応じて適宜設定でき、特に限定されないが、個々の成分の性能を十分に発揮させる観点から、固形分比率でアンカー剤100質量部に対し、帯電防止剤0~400質量部が好ましく、より好ましくは20~300質量部、さらに好ましくは30~150質量部である。
(13f)アンカー剤の形態
前述したアンカー剤は、水或いはメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン、キシレン等の溶媒に溶解させ、溶液状態で用いることが一般的である。中でも、水溶液の形態で用いるのが好ましい。塗布時の取扱性等の観点から、アンカー剤溶液濃度は、0.5~40%程度が好ましく、より好ましくは1~20%程度である。
(13g)アンカー剤の塗布量
アンカー剤の印刷用紙への塗布量は、特に限定されないが、生産コストやベタつきの抑制、インキの密着性の改善効果等の観点から、固形分換算で0.01~3g/m2が好ましく、より好ましくは0.01~1g/m2、さらに好ましくは0.02~0.5g/m2である。
(13h)アンカー剤の塗布装置
アンカー剤の印刷用紙への塗布装置としては、当業界で公知の各種塗布装置を用いることができ、特に限定されない。例えば、ダイコーター、バーコーター、リップコーター、ロールコーター、グラビアコーター、スプレーコーター、ブレードコーター、エアーナイフコーター、サイズプレスコーター等の塗布装置を使用することができる。
〔14.印刷〕
(14a)インキの種類
本実施形態に係る印刷用紙は、従来から汎用されている酸化重合型成分、蒸発乾燥型成分や浸透乾燥型成分等を含むパルプ紙用の油性インキに対して優れた印刷適性を有するため、パルプ紙から本実施形態に係る印刷用紙に入れ替えても、インキを入れ替える必要がない。また、本実施形態に係る印刷用紙は、蒸発乾燥型成分や浸透乾燥型成分の少ない合成紙用の油性インキや、紫外線硬化型インキに対しても優れた印刷適性を有する。
本実施形態に係る印刷用紙は、オフセット印刷、凸版印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷等の印刷方式にとらわれず、種々の印刷方式に対応することができるが、特にオフセット印刷に適している。また、本実施形態に係る印刷用紙には、オフセット印刷用インキ、凸版印刷用インキ、フレキソ印刷用インキ、スクリーン印刷用インキ等、種々のインキを用いることができるが、特にオフセット印刷用インキを用いることが好ましい。なお、インキの粘度は、インキの種類及び印刷方式等により様々であり、特に限定されない。
(14b)適用可能な印刷装置
以上詳述したとおり、本実施形態に係る印刷用紙は、オフセット印刷は勿論のこと、凸版印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷等、種々の印刷方式に対応可能である。
(14c)用途
本実施形態に係る印刷用紙は、前述のような各種印刷を行うことにより、高光沢で耐候性に優れる印刷物を得ることができる。そのため、例えば、ポスター、パンフレット、カタログ、看板やメニュー等の商業印刷物、本、地図、ブックカバーやしおり等の出版物、包装紙等として有用である。これらの用途の中でも、本実施形態に係る印刷用紙は、その基本性能の高さから、例えば日光や雨水の影響を受ける屋外使用を前提とした用途(例えば選挙用ポスターや看板用ポスターなど)や、サウナや大衆浴場、浴室等の水に晒される用途(ポスターなど)や、飲食店等のメニュー等の水に接触するおそれのある用途において殊に有用である。しかも、パルプ紙用の油性インキ及び合成紙用の油性インキの双方に対応可能であるため、インキの入れ替えを必要とせず、印刷加工の作業性を向上させることができるものである。
以下に実施例と比較例とを挙げて、本発明の特徴をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらにより何ら限定されるものではない。すなわち、以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜変更することができる。
(実施例1)
(I)ポリプロピレン樹脂(商品名:ノバテックPP MA3、日本ポリプロ社製)80質量部、炭酸カルシウム(商品名:ソフトン1800、備北粉化工業社製、平均粒子径:1.25μm)19.5質量部、および二酸化チタン(商品名:タイペークCR-60、石原産業社製、平均粒子径:0.21μm)0.5質量部を混合した樹脂組成物(5)を、270℃に設定した押出機で溶融混練した。その後、これをシート状に押し出し、さらにこれを冷却ロールにより冷却して、無延伸シートを得た。次いで、この無延伸シートを150℃にまで再度加熱させた後、ロール間の速度差を利用してシート流れ方向に4.8倍の延伸を行って縦延伸樹脂フィルムを得た。
(II)また、ポリプロピレン樹脂(商品名:ノバテックPP MA3、日本ポリプロ社製)46質量部、無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂(商品名:モディックP928、三菱ケミカル社製)1質量部、炭酸カルシウム(商品名:カルファインYM23、丸尾カルシウム社製、平均粒子径:0.23μm)32.5質量部、ゼオライト(商品名:アブセンツ3000、ユニオン昭和社製、シリカ/アルミナモル比〔SiO/Alモル比〕:100以上、乾燥品、平均粒子径:3μm)20質量部、および二酸化チタン(商品名:タイペークCR-60、石原産業社製、平均粒子径:0.21μm)0.5質量部を混合した樹脂組成物(1)を、高速ミキサーで混合した後、シリンダー温度を210℃に設定した二軸混練押出機を用いて、ベント孔で脱気しながら溶融混練した。
また別に、ポリプロピレン樹脂(商品名:ノバテックPP MA3、日本ポリプロ社製)48.5質量部、エチレン-環状オレフィン共重合体(商品名:アペル 6011T、三井化学社製)48.5質量部、および炭酸カルシウム(商品名:ソフトン1800、備北粉化工業社製、平均粒子径:1.25μm)3質量部を混合した樹脂組成物(4)を、270℃に設定した押出機で溶融混練した。
次いで、これらの樹脂組成物(1),(4)を1台の多層ダイに供給してダイ内部で積層した後、得られた積層物をダイからシート状に共押し出しし、これを上述(I)の工程で得られた縦延伸樹脂フィルムの一方の面上に、樹脂組成物(1)の層が外側となるように積層し、三層構造の積層シートを得た。
(III)さらに、上述(II)とは別の押出機2台を用いて上述(II)と同様の手順で樹脂組成物(1)および樹脂組成物(4)をそれぞれ溶融混練したものを、上述(II)とは別の多層ダイに供給してダイ内部で積層した後、得られた積層物をダイからシート状に共押し出しし、これを上述(II)の工程で得られた三層構造の積層シートの縦延伸樹脂フィルム側(上述の樹脂組成物(5)の層側)の面上に、樹脂組成物(1)の層が外側となるように積層し、(1)/(4)/(5)/(4)/(1)の五層構造の積層シートを得た。
(IV)得られた五層構造の積層シートを60℃にまで冷却した後、再び150℃にまで再加熱して、テンターを用いてシート幅方向に9倍延伸し、次いで165℃でアニーリング処理した。その後、再び60℃にまで冷却した後、耳部をスリットして、五層構造(一軸延伸/一軸延伸/二軸延伸/一軸延伸/一軸延伸)の総厚み寸法130μm((1)/(4)/(5)/(4)/(1)=8μm/3μm/108μm/3μm/8μm)の印刷用紙を得た。
(V)高周波電源(機器名:AGF-B10、春日電気社製)、長さ0.8mのアルミニウム製電極、及びトリーターロールとしてシリコーン被膜ロールを用い、電極とロールとのギャップを5mmとし、得られた印刷用紙をライン処理速度25m/分で通過させながら、印加エネルギー密度1800J/m2(30W・分/m2)の条件で、同印刷用紙の両表面にコロナ放電処理を行った。
(VI)次いで、コロナ放電処理後の印刷用紙の両表面に、後述する調整例の塗布剤を、ロールコーターを用いて乾燥後の塗膜の固形分が片面当たり0.02g/m2となるように塗布し、乾燥固化させて、実施例1の印刷用紙を得た。この印刷用紙は、図3に示す実施形態に係る印刷用紙である。つまり、実施例1の印刷用紙の積層構成〔(1)/(4)/(5)/(4)/(1)〕は、図3に示す積層構成〔(B31)/(A32)/(A31)/(A32)/(B31)〕に対応している。
(VII)得られた印刷用紙は、多数の微細な空孔を内部に有する白色不透明な合成紙であり、その空孔率は37%、不透明度は97%、白色度は97%であった。また、詳細後述する外観評価において、同印刷用紙の表面に欠陥は確認されるものの、実用レベル内であった。また、詳細後述する印刷条件にて同印刷用紙の片面に油性オフセット印刷を行った際に、溶剤アタックの発生を好適に抑制することができた。さらに、詳細後述する印刷条件にて同印刷用紙の両面に油性オフセット印刷を行った際にグロスゴーストは確認されず、結果は良好であった。
(調整例)
塗布剤成分としてカチオン系メタクリル酸エステル共重合体を以下の手順で合成した。これは主に帯電防止剤として用いる。次いでこれを水で希釈して塗布剤を調製した。
環流冷却器、温度計、窒素置換用ガラス管、及び攪拌装置を取り付けた四つ口フラスコに、ジメチルアミノエチルメタクリレート35質量部、エチルメタクリレート20質量部、シクロヘキシルメタクリレート20質量部、ステアリルメタクリレート25質量部、エチルアルコール150質量と、アゾビスイソブチロニトリル1質量部とを添加し、窒素気流下に80℃で6時間重合反応を行った。次いで、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルアンモニウムクロリドの60質量%エチルアルコール溶液70質量部を加え、さらに80℃で15時間反応させて、下記の化学式で表される第4級アンモニウム塩構造を側鎖に有するメタクリル酸エステル共重合体を得た。
次いで、これに水を滴下しながらエチルアルコールを留去して、最終的に固形分濃度が3%の水溶液を得て、これを塗布剤とした。
Figure 0007139130000001
(実施例2、比較例1)
上述の実施例1の樹脂組成物(1)に代えて、表1に記載の樹脂組成物(2)又は樹脂組成物(3)を用いた以外は、実施例1と同様の手順を行って、実施例2及び比較例1の印刷用紙を得た。得られた各印刷用紙について、詳細後述する方法により、空孔率、不透明度、白色度、および外観(シート成形性)を評価し、また油性オフセット印刷を行った際の溶剤アタック及びグロスゴーストの評価を行った。評価結果を、表2にまとめて示す。
Figure 0007139130000002
Figure 0007139130000003
(実施例3)
上述の実施例1の樹脂組成物(1)に代えて、表1に記載の樹脂組成物(3)を用い、実施例1の樹脂組成物(4)に代えて、表1に記載の樹脂組成物(1)を用いた以外は、実施例1と同様の手順を行って、実施例3の印刷用紙を得た。この印刷用紙は、図4に示す実施形態に係る印刷用紙である。つまり、実施例4の印刷用紙の積層構成〔(3)/(1)/(5)/(1)/(3)〕は、図4に示す積層構成〔(B42)/(B41)/(A41)/(B41)/(B42)〕に対応している。なお、この印刷用紙の最外層(B42)は、ゼオライトを含まない多孔質熱可塑性樹脂フィルムである。
得られた印刷用紙は、多数の微細な空孔を内部に有する白色不透明な合成紙であり、その空孔率は38%、不透明度は98%、白色度は97%であった。また、詳細後述する外観評価において、同印刷用紙の表面に欠陥はほとんど確認されず、結果は良好であった。さらに、詳細後述する印刷条件にて同印刷用紙に油性オフセット印刷を行った際に溶剤アタック及びグロスゴーストは若干確認されるものの、実用レベル内であった。各評価結果を表3に示す。
Figure 0007139130000004
<測定条件及び評価方法>
(1)空孔率
印刷用紙の空孔率は、電子顕微鏡で観察した印刷用紙の断面の一定領域において、空孔が占める面積の比率より求めた。具体的には、測定対象の印刷用紙の任意の一部を切り取り、エポキシ樹脂で包埋して固化させた後、ミクロトームを用いて測定対象の印刷用紙の面方向に垂直に切断し、その切断面が観察面となるように観察試料台に貼り付けた。観察面に金又は金-パラジウム等を蒸着し、電子顕微鏡にて観察しやすい任意の倍率(例えば、500倍~3000倍の拡大倍率)において印刷用紙の空孔を観察し、観察した領域を画像データとして取り込んだ。得られた画像データは画像解析装置にて画像処理を行い、印刷用紙の一定領域における空孔部分の面積率(%)を求めて、空孔率(%)とした。この場合、任意の10箇所以上の観察における測定値を平均して、空孔率とした。
(2)不透明度
印刷用紙の不透明度は、JIS P8149:2000に準拠し、測定背面に、黒色および白色標準板を当て、光の反射率の比(黒色板/白色板)を百分率で示した値として求めた。
(3)白色度
印刷用紙の白色度は、JIS L1015:1999に規定される方法に準拠し、カラーメーターを用いて測定される値である。カラーメーターとして、スガ試験機社製のタッチパネル式カラーコンピューター SM-Tを用いた。
(4)シート成形性(外観)
印刷用紙の成形時の、水分発泡に起因する表面欠陥が目視確認できる度合いを、以下の基準で評価した。
◎:確認できない(実用レベル)
○:若干確認できるが、あまり目立たない(実用レベル)
△:確認でき、やや目立つ(実用レベル)
×:非常に数多く確認でき、目立つ(不可レベル)
(5)溶剤アタック
各実施例、比較例から得られた各印刷用紙を、縦100mm×横100mmサイズの正方形に切り出し、評価用サンプルとした。
次いで、RI印刷適性試験機、および油性オフセットインキ(商品名:Fusion-G MK墨、DIC社製)を用いて、同評価用サンプルの片面に3.5g/mのインキ量で印刷を行い、印刷終了後、1日間室内に放置してインキを自然乾燥させた。なお、この油性オフセットインキは、パルプ紙用のインキとして市販されているものである。
次いで、同印刷サンプルを縦50mm×横50mmサイズの正方形に切り出し、印刷面を下に向けて平坦な台の上に乗せ、サンプルの四隅と台との距離を測定し、その平均値を求めてカール高さを算出した。同カール高さが好ましくは6mm以下、より好ましくは5mm以下である場合は、溶剤アタックが抑制されていると評価することができる。
(6)グロスゴースト
得られた印刷用紙の両表面に、以下の方法で油性オフセット印刷を施して、得られた印刷物を以下の方法、及び判定基準で評価した。
(i)油性オフセット印刷
菊四截寸延び4色オフセット印刷機(機器名:Ryobi524GX、リョービMHIグラフィックテクノロジー社製)、および油性オフセットインキ(商品名:Fusion-G MK墨,藍,紅,透明黄、DIC社製)を用いて、各実施例、比較例から得られた各印刷用紙に油性オフセット印刷を行った。この油性オフセットインキは、パルプ紙用のインキとして市販されているものである。
なお、印刷条件として、PS版(商品名:XP-F、富士フィルム社製)、ブランケット(商品名:D-3000、T&K TOKA社製)、パウダー(商品名:ニッカリコ AS-100S、ニッカ社製)、湿し水(H液(商品名:アストロマーク3、日研化学研究所製)1.0%およびIPA5.0%添加、水温10℃)を用いた。
また、印刷条件として、印刷室内の温度を20~25℃に、相対湿度を40~60%に調整し、印刷する絵柄は先刷り用として文字、図形、写真画像および空白部を含む絵柄を用い、後刷り用としてベタ画像および平網画像を含む絵柄を用い、色順を墨、藍、紅、黄の順とし、印刷速度は8000枚/hrとした。
印刷手順として、先ず先刷り印刷(表面印刷)として、湿し水の供給量を、印刷紙面に地汚れが発生しない極限まで少なくするよう調整し、次いで各色インキ量を、印刷絵柄の単色印刷部のインキ濃度が下記範囲内となるように調整し、インキ濃度の調整後に200枚以上連続印刷を行った。同印刷物は棒積みしたまま、同印刷物上に他の物を乗せない状態で1昼夜(24時間)静置した。
インキ濃度 墨:1.75±0.1、藍:1.45±0.1、紅:1.35±1.0、黄:1.00±0.5
次いで、同印刷物の後刷り印刷(裏面印刷)として、印刷物の刷り順が先刷りと同じになるように反転して紙積みし、湿し水の調整、インキ量の調整、印刷枚数、保管の手順を先刷りと同様に行った。
(ii)評価
得られた印刷物を、下記の手順で観察し、下記の基準で評価した。
先ず後刷り印刷の1日後(24時間後)に、後刷り印刷面における単色墨ベタ部において、先刷り面の印刷部(絵柄)に対応する箇所と、先刷り面の非印刷部に対応する箇所との、見た目の色(光沢)の違いが目視確認できる度合いを、以下の基準で評価した。
◎:確認できない(実用レベル)
○:一部に確認できるが、あまり目立たない(実用レベル)
△:一部に確認でき、やや目立つ(不可レベル)
×:明瞭に確認でき、目立つ(不可レベル)
<総括>
実施例1~3の印刷用紙の評価結果から、本願発明に係る印刷用紙は、パルプ紙に使用される油性オフセットインキを用いて印刷加工を施すことができ、酸化分解ガス及び溶剤ガスによるシミやグロスゴーストの発生を抑制することができるという、優れた品質を具備するものであった。つまり、本願発明に係る印刷用紙は、油性オフセットインキによる両面印刷に適している。
一方、ゼオライトを含まない多孔質熱可塑性樹脂フィルムを備えた比較例1の印刷用紙は、グロスゴーストが発生し、品質に劣るものであった。
なお、実施例3の印刷用紙は、比較例1の印刷用紙と比較すると溶剤アタックが発生しているといえる。これは、印刷用紙の構成層として、溶剤アタックを抑制する効果を有する非晶性樹脂(ここでは、エチレン-環状オレフィン共重合体樹脂)を含む層の有無によるものである。実施例1,2と比較例1との対比から、多孔質熱可塑性樹脂フィルムにおけるゼオライトの含有量を調整することで、溶剤アタックを抑制できることがわかる。
101,102,103,104,105 印刷用紙
11,A21,A31,A32,A41,A51,A52 中間層
11,B21,B31,B41,B42,B51,B52 多孔質熱可塑性樹脂フィルム

Claims (9)

  1. 熱可塑性樹脂フィルムからなる中間層と、その少なくとも一面に積層される多孔質熱可塑性樹脂フィルムとから構成され、
    前記多孔質熱可塑性樹脂フィルムが、SiO/Alモル比が5以上のゼオライトを含むことを特徴とする印刷用紙。
  2. 前記多孔質熱可塑性樹脂フィルムにおける前記ゼオライトの含有量が、熱可塑性樹脂100質量部に対し5~50質量部である、請求項1に記載の印刷用紙。
  3. 前記多孔質熱可塑性樹脂フィルムが、前記ゼオライト以外の無機微細粉末を含む、請求項1又は2に記載の印刷用紙。
  4. 前記ゼオライトと前記無機微細粉末の合計含有量が、熱可塑性樹脂100質量部に対し50~195質量部である請求項3に記載の印刷用紙。
  5. 前記ゼオライトの含有量が、前記無機微細粉末100質量部に対し5~80質量部である請求項3又は4に記載の印刷用紙。
  6. 前記無機微細粉末が炭酸カルシウムである、請求項3~5の何れか一項に記載の印刷用紙。
  7. 前記多孔質熱可塑性樹脂フィルムが延伸フィルムである、請求項1~の何れか一項に記載の印刷用紙。
  8. 前記多孔質熱可塑性樹脂フィルムが最外層に積層される請求項1~の何れか一項に記載の印刷用紙。
  9. 前記多孔質熱可塑性樹脂フィルムの前記中間層が積層される面とは反対側の一面に、前記ゼオライトを含まない多孔質熱可塑性樹脂フィルムを備える、請求項1~の何れか一項に記載の印刷用紙。
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