JP6960244B2 - 樹脂フィルム、及びこれを用いたポスター用印刷基材 - Google Patents
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[1]印刷層、光沢付与層、及び基層が少なくともこの順に積層された積層構造を有し、前記印刷層が、前記印刷層の固形分総量に対して、83〜97質量%のプロピレン単独重合体(X)と、合計3〜17質量%のオレフィン系熱可塑性エラストマー(Y1)及び/は軟質ポリプロピレン系樹脂(Y2)とを少なくとも含有することを特徴とする樹脂フィルム。
[2]前記オレフィン系熱可塑性エラストマー(Y1)が、メタロセン触媒系のポリプロピレン系熱可塑性エラストマーである上記[1]に記載の樹脂フィルム。
[3]前記軟質ポリプロピレン系樹脂(Y2)が、メタロセン触媒系の軟質ポリプロピレン系樹脂である上記[1]又は[2]に記載の樹脂フィルム。
[4]前記光沢付与層が、前記光沢付与層の固形分総量に対して、45〜65質量%のオレフィン系(共)重合体と35〜55質量%の無機微細粉末及び/又は有機フィラーとを少なくとも含有する上記[1]〜[3]のいずれか一項に記載の樹脂フィルム。
[7]前記印刷層が、無機微細粉末を実質的に含有しない上記[1]〜[6]のいずれか一項に記載の樹脂フィルム。
[8]上記[1]〜[7]のいずれか一項に記載の樹脂フィルムを備えることを特徴とする、ポスター用印刷基材。
図1は、本発明の一実施形態の樹脂フィルム11(ポスター用印刷基材100)の層構成を示す模式断面図である。樹脂フィルム11は、印刷層21、光沢付与層31、及び基層41が少なくともこの順に積層された積層構造を有する。
印刷層21は、プロピレン単独重合体(X)と、オレフィン系熱可塑性エラストマー(Y1)及び/又は軟質ポリプロピレン系樹脂(Y2)とを少なくとも含有する。図示のとおり、この印刷層21は、樹脂フィルム11の最外層に位置し、その表面に印刷が施されるものである。
光沢付与層31は、樹脂フィルム11の最外層となる印刷層21の内側に積層されるものであり、樹脂フィルム11の光沢度を向上させるためのものである。本実施形態の樹脂フィルム11では、比較的に平滑で透明な印刷層21を最外層に設けることでグロスな光沢を得ているが、樹脂フィルム11内部に入射した光も印刷層21と光沢付与層31との界面で正反射され、或いは光沢付与層31内で乱反射されることで、光沢度がより一層高められている。
基層41は、上述した印刷層21及び光沢付与層31を支持する層であり、光沢付与層31の、印刷層(A)が形成された面とは反対側の面側に積層されている。これにより、本実施形態の樹脂フィルム11は、印刷層21/光沢付与層31/基層41の順に積層した積層構造を含む。このような基層41を備えることで、安定した延伸成形が容易となる傾向にある。
本実施形態の樹脂フィルム11は、印刷層21、光沢付与層31、及び基層41が少なくともこの順に積層された多層構造を有する。ここで本明細書において「この順に積層された」とは、これらがこの順に配列していることを意味し、印刷層21と光沢付与層31との間に、及び/又は、光沢付与層31と基層41との間に、接着剤層や中間層等の任意の層が介在している態様をも包含する趣旨である。以下、必要に応じて、印刷層21をAと、光沢付与層31をBと、基層41をCとそれぞれ表しながら、種々の具体的態様について説明する。
本実施形態の樹脂フィルム11の成形方法は、公知の方法を適宜適用することができ、その種類は特に限定されない。例えば、スクリュー型押出機に接続された単層又は積層のTダイやIダイを利用して、溶融樹脂をシート状に押し出すキャスト成形、スクリュー型押出機に接続されたOダイを利用して、溶融樹脂を筒状に押し出すインフレーション成形、カレンダー成形、圧延成形、熱可塑性樹脂と有機溶媒やオイルとの混合物をキャスト成形又はカレンダー成形した後に溶媒やオイルを除去する方法等を用いて成形することができる。
本実施形態の樹脂フィルム11の積層方法は、公知の方法を適宜適用することができ、その種類は特に限定されない。例えば、フィードブロック、マルチマニホールドを使用した多層ダイス方式と、複数のダイスを使用する押出しラミネーション方式等を適用することができる。また、多層ダイス方式と押出しラミネーション方式を組み合わせて使用することもできる。その他に接着剤を用いたドライラミネートやウェットラミネート、ホットメルトラミネート等、公知のいかなる積層法も用いることができる。
また、本実施形態の樹脂フィルム11は、少なくとも1軸方向以上に延伸されたものであることが好ましい。延伸することによって印刷用紙として各種印刷適性に優れる厚さやコシ(stiffness)が得られ易く、また、樹脂フィルム11の肉厚のバラツキが緩和されて均一厚みが得られ易く、さらには平坦な表面や層間界面が得られ易い傾向にある。
本実施形態の樹脂フィルム11の肉厚(総厚み)は、用途や要求性能に応じて適宜設定すればよく、特に限定されない。通常20μm〜1000μmが好ましく、より好ましくは30μm〜500μmであり、さらに好ましくは40μm〜300μmである。樹脂フィルム11の肉厚が20μm〜1000μmであれば、オフセット印刷する場合に不具合が生じ難く、印刷用紙としての利用価値が高くなる傾向にある。
本実施形態の樹脂フィルム11は、印刷層21表面側の光沢度(JIS P−8142)が70%〜110%であることが好ましく、より好ましくは80〜108%、さらに好ましくは85〜105%である。該光沢度が70%以上であることにより、樹脂フィルム11の印刷層21に印刷を施した際に、高光沢で明るい印刷物の質感や軽快な雰囲気が得られ易い傾向にある。なお、光沢度は、例えば樹脂フィルム11の各層の材料の選択や製造時の延伸条件(温度、倍率等)等により、調整可能である。
本実施形態の樹脂フィルム11の不透明度(JIS P−8138)は、用途や要求性能等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されない。かかる不透明度は、樹脂フィルム11の各層中の無機微細粉末及び/又は有機フィラーの濃度、樹脂フィルムの延伸倍率、樹脂フィルムの延伸温度等により、調整可能である。印刷層21と光沢付与層31に透明乃至半透明のものを採用した場合、該不透明度は、特に基層41の不透明度によって調整するのが容易である。
(11a)酸化処理
本実施形態の樹脂フィルム11は、その表面、特に印刷層21側の表面を酸化処理することが好ましい。このように印刷層21の表面に酸化処理を施すことにより、極性基の存在割合を調整でき、樹脂フィルム11の印刷層21の表面の酸素原子数濃度を調整することができる。そして、樹脂フィルム11の表面が酸化処理され、樹脂フィルム11の印刷層21の表面の酸素原子数濃度が調整されることにより、インキ成分との化学的な結合力が得られ易く、その結果、樹脂フィルム11と紫外線硬化型インキ或いは油性インキとの密着性が向上される傾向にある。
本明細書において、樹脂フィルム11の(印刷層21)表面の酸素原子数濃度は、上記の酸化処理後1週間以内に、X線光電子分光装置((株)島津製作所製、商品名ESCA−3200型)を用いて、1×10 6Torr以下の真空度下、MgのKd線(1254.0eV)をX線源とし、光電子放出角90°の条件で測定した値とする。ここで測定する酸素原子のピークとしては、O1sピーク(533eV)を用いた。
酸化処理を行うことによる紫外線硬化型インキとの良好な密着性の向上効果は、処理後の経時により減衰する傾向がある。そのため、より安定したインキとの密着性を付与するために、アンカー剤を酸化処理後の印刷層21の表面に塗布することが好ましい。かかるアンカー剤としては、当業界で公知のものを適宜用いることができ、その種類は特に限定されない。例えば、ポリイミン系重合体又はポリアミンポリアミドのエチレンイミン付加物を単独或いは混合したもの、又はこれらにさらに架橋剤を加えたもの等が挙げられるが、これらに特に限定されない。ポリイミン系重合体又はポリアミンポリアミドのエチレンイミン付加物としては、ポリエチレンイミン、ポリ(エチレンイミン−尿素)及びポリアミンポリアミドのエチレンイミン付加物、又はこれらのアルキル変性体、シクロアルキル変性体、アリール変性体、アリル変性体、アラルキル変性体、アルキラル変性体、ベンジル変性体、シクロペンチル変性体、若しくは脂肪族環状炭化水素変性体、これらの水酸化物、これら前述のものを数種類複合させたもの等が挙げられるが、これらに特に限定されない。
前述アンカー剤に、ポリマー型帯電防止剤をさらに加えることにより、静電気による樹脂フィルム11への埃の付着や、重送等印刷時の印刷機上トラブルを軽減することができる。ポリマー型帯電防止剤としては、カチオン型、アニオン型、両性型、ノニオン型等が知られており、いずれも使用可能である。具体的には、カチオン型としては、アンモニウム塩構造やホスホニウム塩構造を有するもの等が挙げられるが、これらに特に限定されない。アニオン型としては、スルホン酸、リン酸、カルボン酸等のアルカリ金属塩、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、(無水)マレイン酸等のアルカリ金属塩(例えばリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等)構造を分子構造中に有するもの等が挙げられるが、これらに特に限定されない。両性型としては、前述のカチオン型とアニオン型の両方の構造を同一分子中に含有するもの、具体的にはベタイン型が挙げられる。ノニオン型としては、アルキレンオキシド構造を有するエチレンオキシド重合体や、エチレンオキシド重合成分を分子鎖中に有する重合体等が挙げられるが、これらに特に限定されない。その他、ホウ素を分子構造中に有するポリマー型帯電防止剤も例として挙げることができる。これらの中でも、カチオン型のポリマー型帯電防止剤が好ましく、より好ましくは窒素含有ポリマー型帯電防止剤である。その例としては、例えば第三級窒素又は第四級窒素(アンモニウム塩構造)含有アクリル系ポリマーが挙げられる。
上述したアンカー剤及び帯電防止剤を併用する場合、これらの量比は要求性能に応じて適宜設定でき、特に限定されないが、個々の成分の性能を十分に発揮させる観点から、固形分比率でアンカー剤100質量部に対し、帯電防止剤0〜400質量部が好ましく、より好ましくは20〜300質量部、さらに好ましくは30〜150質量部である。
前述したアンカー剤は、水或いはメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン、キシレン等の溶媒に溶解させ、溶液状態で用いることが一般的である。中でも、水溶液の形態で用いるのが好ましい。塗布時の取扱性等の観点から、アンカー剤溶液濃度は、0.5〜40%程度が好ましく、より好ましくは1〜20%程度である。
アンカー剤の樹脂フィルム11への塗布量は、特に限定されないが、生産コストやベタつきの抑制、インキの密着性の改善効果等の観点から、通常は、固形分換算で0.01〜3g/m 2が好ましく、より好ましくは0.01〜1g/m 2、さらに好ましくは0.02〜0.5g/m 2である。
なお、アンカー剤の樹脂フィルム11への塗布装置としては、当業界で公知の各種塗布装置を用いることができ、特に限定されない。例えば、ダイコーター、バーコーター、リップコーター、ロールコーター、グラビアコーター、スプレーコーター、ブレードコーター、エアーナイフコーター、サイズプレスコーター等の塗布装置を使用することができる。
(12a)粘着剤
本実施形態の樹脂フィルム11は、粘着剤をさらに積層させることで、粘着ラベルとして用いることができる。粘着ラベルに用いる粘着剤としては、一般にゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤が知られており、その種類は特に制限されず、任意のものを用いることができる。ゴム系粘着剤の具体例として、ポリイソブチレンゴム、ブチルゴムとこれらの混合物、或いは、これらゴム系粘着剤にアビエチン酸ロジンエステル、テルペン・フェノール共重合体、テルペン・インデン共重合体等の粘着付与剤を配合したもの等が挙げられるが、これらに特に限定されない。また、アクリル系粘着剤の具体例としては、2−エチルヘキシルアクリレート・アクリル酸n−ブチル共重合体、2−エチルヘキシルアクリレート・アクリル酸エチル・メタクリル酸メチル共重合体等のガラス転移点が−20℃以下のもの等が挙げられるが、これらに特に限定されない。また、これらの粘着剤の形態としては、溶剤型、エマルジョン型、ホットメルト型等があるが、いずれであっても使用可能である。一般的には、溶剤型、エマルジョン型のものが生産性の観点から好ましい。
また、本実施形態の樹脂フィルム11は、前述の粘着剤を介して、さらに剥離紙を設けることにより、粘着ラベル用原紙として使用することもできる。離型紙としては、当業界で知られているものを特に制限なく使用でき、その種類は特に限定されない。例えば上質紙やクラフト紙をそのまま、或いは上質紙やクラフト紙にカレンダー処理したり、樹脂を塗工したり、フィルムをラミネートしたりしたもの、グラシン紙、コート紙、プラスチックフィルム等、及びこれらにシリコーン処理を施したもの等を使用することができる。粘着剤層との剥離性を良好にするため、粘着剤層に接触する面にシリコーン処理が施されている離型紙が好ましく用いられる。
(13a)インキの種類
本実施形態の樹脂フィルム11は、従来から汎用されている溶剤型や酸化重合型等の油性インキのみならず、紫外線硬化型インキに対しても優れた印刷適性を有する。紫外線硬化型インキは、紫外線のエネルギーで光化学反応を起こし、液体状から固体状へ秒単位で固化することにより皮膜を形成するインキである。紫外線硬化型インキとしては、各種のものが知られており、その主成分は、光重合性のプレポリマーやモノマーからなるビヒクル、光重合開始剤、着色料及び助剤が一般的であり、原則として有機溶剤を含まないものが多い。このように有機溶剤を含まないものは、100%固形分となる無溶剤型インキであることが特徴の1つである。溶剤型インキに比べて紫外線硬化型インキを用いるメリットは乾燥が速いこと、皮膜強度が高いこと、印刷工程の脱溶剤を実現できること、印刷版上ではインキが乾燥しないので長時間安定した印刷作業に寄与しやすいこと等が挙げられる。そして、紫外線硬化型乾燥システムの開発により、特にプラスチック類へ印刷を適用する際の大きな障害であった、乾燥性の問題が解決され、数多くの紫外線硬化型インキが、既に実用化されている。
以上詳述したとおり、本実施形態の樹脂フィルム11は、オフセット印刷は勿論のこと、凸版印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷等、種々の印刷方式に対応可能である。
本実施形態の樹脂フィルム11(ポスター用印刷基材100)は、前述のような各種印刷を行うことにより、高光沢で耐候性に優れる印刷物を得ることができる。そのため、例えば、ポスター、パンフレット、カタログや看板等の商業印刷物、本や地図、ブックカバー、しおり等の出版物、包装紙等として有用である。また、本実施形態の樹脂フィルム11は、粘着剤層を積層して粘着ラベル形態とすることで、ラベル、ステッカー、ポップ、シール等の用途に利用できる。さらに本実施形態の樹脂フィルム11は、ヒートシール層を積層してインモールドラベル形態とすることもできる。そして、本実施形態の樹脂フィルム11(ポスター用印刷基材100)は、その基本性能の高さから、例えば日光や雨水の影響を受ける屋外使用を前提とした用途(例えば選挙用ポスター、看板用ポスター、各種ステッカー、各種ラベル)や、サウナや大衆浴場、浴室等の水に晒される用途(ポスター、各種ステッカー、各種ラベル)において殊に有用である。しかも、油性インキ及び紫外線硬化型インキの双方に対応可能であり、印刷方式の多様化が進展している日本全国の数多くの印刷会社において、印刷方式が相違しても比較的に均質な印刷物を、各社同時に且つ比較的に短期間に大量に作製可能となるため、そのような用途(キャンペーン用、オリンピック用、ワールドカップ用、選挙用等)において、殊に有用なものとなる。
(1) プロピレン単独重合体(日本ポリプロ(株)製、商品名「ノバテックPP MA3U」)85質量部、及び平均粒子径1.25μmの重質炭酸カルシウム(備北粉化工業(株)製、商品名「ソフトン1800」)15質量部を混合した樹脂組成物(C)を、270℃に設定した押出機で溶融混練した。その後、これをシート状に押し出し、さらにこれを冷却ロールにより冷却して、無延伸シートを得た。次いで、この無延伸シートを150℃にまで再度加熱させた後、ロール間の速度差を利用してシート流れ方向に5倍の延伸を行って縦延伸樹脂フィルムを得た。
塗布剤(i)成分としてグリシドール変性ポリエチレンイミンを以下の手順で合成した。これはアンカー剤として用いる。攪拌機、環流冷却器、温度計、及び窒素ガス導入口を備えた四つ口フラスコに、ポリエチレンイミン(日本触媒(株)社製、商品名「エポミンP−1000(重合度1600)」)の25質量%水溶液100質量部、グリシドール10質量部、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル10質量部を入れて窒素気流下で攪拌し、80℃で16時間変性反応を行って、グリシドール変性ポリエチレンイミン水溶液を得た。これを乾燥した後、赤外分光分析、 1H−核磁気共鳴分光分析(1H−NMR)、及び13C−核磁気共鳴分光分析(13C−NMR)により、グリシドールのエポキシ基がポリエチレンイミンの窒素に付加して生成した構造、及びポリエチレンイミンの窒素の23%がグリシドールと反応した生成物であることを確認した。
塗布剤(ii)成分としてカチオン系メタクリル酸エステル共重合体を以下の手順で合成した。これは帯電防止剤として用いる。環流冷却器、温度計、窒素置換用ガラス管、及び攪拌装置を取り付けた四つ口フラスコに、ジメチルアミノエチルメタクリレート35質量部、エチルメタアクリレート20質量部、シクロヘキシルメタアクリレート20質量部、ステアリルメタアクリレート25質量部、エチルアルコール150質量と、アゾビスイソブチロニトリル1質量部とを添加し、窒素気流下に80℃で6時間重合反応を行った。次いで、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルアンモニウムクロリドの60質量%エチルアルコール溶液70質量部を加え、さらに80℃で15時間反応させた後、水を滴下しながらエチルアルコールを留去して、最終固形分30%の第4級アンモニウム塩型共重合体を得た。この共重合体は、下記式で示される構造を分子鎖内に含むカチオン系のメタクリル酸エステル共重合体である。
上述の実施例1の樹脂組成物(A)に代えて、表1に記載の原料及び表2に記載の配合比で混合した樹脂組成物を用いる以外は、実施例1と同様に行って、実施例2〜5、7、参考例6、8及び比較例1〜4の樹脂フィルムを得た。得られた各樹脂フィルムについて、前述記載の方法により、光沢度、酸素原子数濃度、UVインキの転移性、UVインキの密着性、油性インキの乾燥性及びブロッキング性の評価を行った。評価結果を、表2にまとめて示す。
(a)光沢度
得られた樹脂フィルムの印刷層((A)層)側表面、及びバックコート層((E)層)側表面の光沢度は、JIS P8142:2005に準拠し、変角光沢計(スガ試験機(株)製、商品名「UGV−6P」)を用いて、入射角/受光角がそれぞれ75°の条件で測定した。
高周波電源(春日電気(株)製、商品名「AGF−B10」)、長さ0.8mのアルミニウム製電極、及びトリーターロールとしてシリコーン被膜ロールを用い、電極とロールとのギャップを5mmとし、得られた樹脂フィルムをライン処理速度15m/分で通過させながら電圧をかけ、印加エネルギー密度2,040J/m 2(34W・分/m 2)の条件で、同フィルムの(A)の層側の表面にコロナ放電処理を行った。コロナ放電処理直後の樹脂フィルムを、5mm×10mmの長方形に切り取り、XPS(X線光電子分光計)測定用の試験片を作製した。XPS測定装置(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製、商品名「K−ALPHA」)を用い、アパーチャー径400μm、スキャン回数10回の条件で、1試験片に対して炭素原子量、酸素原子量、窒素原子量、ナトリウム原子量及び塩素原子量の測定をそれぞれ3回行った。各元素の測定結果の合計を100%としたときの酸素原子の割合を求め、3回の平均値を酸素原子濃度とした。
得られた樹脂フィルムの印刷層((A)層)側の表面に、以下の方法で印刷を施して、得られた印刷物を以下の方法、及び判定基準で適性評価した。
印刷機((株)小久保精密製、商品名「RI−3型印刷適性試験機」)と紫外線硬化型印刷インキ((株)T&K TOKA製、商品名「ベストキュアーUV161(墨)」)とを用いて、UV印刷を行った。なお、印刷後のインキを固化させるための紫外線照射には、紫外線照射機(アイグラフィックス(株)製、商品名「ECS−401GX」)を用いた。
得られた印刷物の印刷面を、ポータブル分光濃度計(エックスライト(株)製、商品名「508」)を用いて1試料あたり9箇所の印刷濃度を測定し、平均値を求めた。本試験では、印刷濃度が1.4以上である場合に転移性良好(○)、1.4未満である場合に転移性不良(×)として可否を判定した。
耐候性促進処理(暴露試験)
ポスター等の用途においては、屋外使用によってUVインキ印刷物のインキの剥がれが発生し問題となる場合がある。しかし耐候性の評価は、実際に屋外で暴露試験を行うと、気候や天候等の種々の変動ファクターによって結果が振れやすい。本明細書では、印刷物に、JIS K−7350−4に準拠して、均一な条件で耐候性の促進処理(暴露試験)を行った後に、UVインキ密着性の評価を行った。より具体的には、以下の条件で促進処理を行った。
次いで、耐候性促進処理を施した試験片を、JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法No.18−2の紙及び板紙−内部結合強さ試験方法−第2部:インターナルボンドテスタ法を参酌し、「インターナルボンドテスター」(熊谷理機工業(株)製、商品名)を用いて印刷面上のインキ層を引き剥がす試験を行った。引き剥がしの際に要した負荷(損失エネルギー)をスケールより求めて、これをUVインキの密着性とした。より具体的には、以下の条件で評価を行った。
印刷機((株)小久保精密製、商品名「RI−3型印刷適性試験機」)と酸化重合型合成紙用インキ「ベストSP(墨)」((株)T&K TOKA製、商品名)を用いた。樹脂フィルムをA4サイズに打ち抜き、これを23℃、相対湿度50%の雰囲気下で3日間調整した後、樹脂フィルムの印刷層(A)表面に、前述の印刷機を用いて酸化重合型合成紙用インキを1.5g/m 2の厚さとなるようにベタ印刷して、印刷物を得た。
得られた印刷物を、23℃、相対湿度50%の雰囲気下で印刷面を上向きに(大気に触れるように)静置し、印刷直後から6時間経過後までは1時間おきに、6時間経過後は24時間経過後に、下記の要領でインキの乾燥状態を評価した。先ず印刷物のベタ印刷箇所に、人差し指の腹を、人差し指が反るくらいに押し込み、印刷面の触感を量るとともに、人差し指の腹に印刷インキを転写させた。次いで別に用意した未印刷の樹脂フィルムの印刷層(A)表面に、同人差し指の腹を再度押し込み、同表面への印刷インキの転写具合を下記の基準で評価した。本試験では、印刷より24時間経過後の評価結果から可否を判定した。
5(可) :印刷面にタック感はなく、指及び樹脂フィルムにインキが全く転写しない
4(可) :印刷面にタック感があり、指先の形状にインキが薄く転写する
3(不可):印刷面にタック感があり、指の腹の輪郭に沿ってインキが薄く転写する
2(不可):印刷面にタック感があり、指の腹の形状全体にインキが薄く転写する
1(不可):印刷面に流動感があり、指の腹の形状全体にインキが濃く転写する
本明細書では、樹脂フィルムのシートを重ね合せて荷重をかけた際に、樹脂フィルム同士がくっついてしまうことをブロッキングという。樹脂フィルムにブロッキングが生じると、印刷時のハンドリング性が低下するのみならず、枚葉オフセット印刷時に複数枚を同時に搬送して機上で紙詰まりを起こす等の問題を生じやすく好ましくない。そのため、以下の手順で、アンチブロッキング性の評価を行った。
○:0gf/20mm〜150gf/20mm
ブロッキングは発生しない。
×:150gf/20mm超
ブロッキングが発生しやすい。
21 印刷層
31 光沢付与層
41 基層
100 ポスター用印刷基材
Claims (8)
- 印刷層、光沢付与層、及び基層が少なくともこの順に積層された積層構造を有し、
前記印刷層が、前記印刷層の固形分総量に対して、83〜97質量%のプロピレン単独重合体(X)と、合計3〜17質量%のオレフィン系熱可塑性エラストマー(Y1)及び/又は軟質ポリプロピレン系樹脂(Y2)とを少なくとも含有する
ことを特徴とする樹脂フィルム。 - 前記オレフィン系熱可塑性エラストマー(Y1)が、メタロセン触媒系のポリプロピレン系熱可塑性エラストマーである
請求項1に記載の樹脂フィルム。 - 前記軟質ポリプロピレン系樹脂(Y2)が、メタロセン触媒系の軟質ポリプロピレン系樹脂である
請求項1又は2に記載の樹脂フィルム。 - 前記光沢付与層が、前記光沢付与層の固形分総量に対して、45〜65質量%のオレフィン系(共)重合体と35〜55質量%の無機微細粉末及び/又は有機フィラーとを少なくとも含有する
請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂フィルム。 - 前記オレフィン系熱可塑性エラストマー(Y1)及び/又は前記軟質ポリプロピレン系樹脂(Y2)が、3〜10g/10minのメルトフローレート(JIS K7210−1:2014)を有する
請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂フィルム。 - 前記プロピレン単独重合体(X)が、1〜20g/10minのメルトフローレート(JIS K7210−1:2014)を有する
請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂フィルム。 - 前記印刷層が、無機微細粉末を実質的に含有しない
請求項1〜6のいずれか一項に記載の樹脂フィルム。 - 請求項1〜7のいずれか一項に記載の樹脂フィルムを備える
ことを特徴とする、ポスター用印刷基材。
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