JP4887098B2 - 樹脂フィルムとその製造方法、印刷物、ラベル及び樹脂成形品 - Google Patents

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本発明は、オフセット、凸版、フレキソ、グラビア等の印刷への適性に優れた高光沢な樹脂フィルムであり、特に紫外線硬化型インキの転移性及び密着性に優れ、且つ該インキを用いた印刷物の耐候性が極めて良好な樹脂フィルムに関するものである。本発明の樹脂フィルムは、ラベル、ステッカー等の粘着加工紙用の原紙、金型内ラベルの原紙、ポスター、パンフレット、カタログ、看板等の商業印刷用の原紙、包装紙用の原紙、地図、ブックカバー、しおり等の出版用原紙等の素材として有用である。
パルプ紙に代って、ポリプロピレンの2軸延伸フィルムを基材層とし、この表裏面に無機微細粉末を8〜65重量%含有するポリプロピレンの1軸延伸フィルムを紙状層とする合成紙が提案され、実用化されている(例えば特許文献1、2、3)。この合成紙はパルプ紙と比べて非常に強い耐水性を有することが特徴であり、例えば雨水で紙がふやけたり、破れたりはしない。
かかる耐水性を活かした合成紙の利用例として、ポスター用紙がある。それらは制作目的に応じて光沢の優れた多色印刷が要求される場合がある。特に旅行ポスター、映画ポスター、選挙ポスター、及び自動車や清涼飲料等の商品販売促進のためのポスターにおいては、明るく、軽快な雰囲気を醸し出すために光沢のあるオフセット多色印刷が好まれる。
従来、かかるポスター用紙は、例えば印刷後の合成紙に、透明なポリ塩化ビニルフィルム等をラミネートして、光沢が優れた印刷がなされているように視覚に訴えていた。このような透明樹脂フィルムをラミネートしたポスターは、製造工程が複雑であり、日程及びコストの観点で不利であるという問題があった。
かかる問題点を改善する方法として、高光沢の合成紙が提案され(例えば特許文献4、5)、実用化されている。これらの高光沢な合成紙は印刷が施される表面層として、充填剤を実質的に含まないポリプロピレン樹脂よりなる、透明な樹脂層を予め設けたものである。そして高光沢な合成紙上に印刷を施して高光沢な印刷物を得るものである。しかしかかる透明な樹脂層は、インキが食い込む表面の凹凸が極端に少ないものであった。この合成紙は、溶剤型インキや酸化乾燥型インキを使用すれば、インキ中の成分であるビヒクル(低分子量の油成分)が表面層の樹脂に浸透するので、インキの密着性は良好であり問題は無かった。しかしこの合成紙に、近年普及している紫外線硬化型インキを用いて印刷した場合は、インキ成分は合成紙に殆ど浸透せずに、表面層に乗ったままの状態で乾燥固化するため、印刷直後にインキがある程度密着していたとしても、これらをポスター等として屋外に貼付すると、日光や雨水の影響により比較的短期間に密着性が低下し、印刷面のインキが脱落する問題があった。
即ち、従前の表層がポリプロピレン樹脂(プロピレン単独重合体)よりなる合成紙は、表面の充填剤を省き、表面の凹凸を極力少なくすることによって、光沢の優れたものを得ることに成功したが、インキが食い込む表面の凹凸が極端に少なくなることによって、合成紙の紫外線硬化型インキとの密着性、特に屋外使用を前提とした条件下における紫外線硬化型インキとの密着性が劣るものとなっていた。このため市場からは、高光沢な合成紙であって、紫外線硬化型インキの密着が高く、それを保持しうる耐候性への改善要望が高かった。
特公昭46−40794号公報 特開昭56−141339号公報 特開昭56−118437号公報 特開昭61−3748号公報 特開平1−295845号公報
そこで本発明は、高光沢であり、且つ紫外線硬化型インキにて印刷したものであっても極めて良好なインキの密着性を有する印刷物、特にインキの密着に関して優れた耐候性を有する印刷物が得られる樹脂フィルムを提供することを課題とした。
本発明者らは上記の従来技術の問題に鑑み検討を続けた結果、印刷層(A)、光沢付与層(B)、及び基層(C)を順に積層した積層構造を含む樹脂フィルムであって、前記印刷層(A)が、プロピレン系ランダム共重合体及び/又は融点が50〜140℃であるポリエチレンを90〜100%と、無機微細粉末及び/又は有機フィラーを0〜10%含み、前記光沢付与層(B)が、熱可塑性樹脂を70〜100%と、無機微細粉末及び/又は有機フィラーを0〜30%含み、前記基層(C)が熱可塑性樹脂を含み、前記印刷層(A)表面側から測定した光沢度(JIS P−8142)が70〜110%であって、前記印刷層(A)表面側からX線光電子分析法にて測定した酸素原子数濃度が5〜20%であることを特徴とする高光沢な樹脂フィルムによれば、前記課題を克服しうることを見出した。
本発明の樹脂フィルムは、高光沢であり、オフセット印刷は勿論、凸版印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷等にも好適に用いることができる。そしてこの樹脂フィルムに印刷を施した場合、同様に高光沢な外観を有する印刷物を得ることができる。加えて、紫外線硬化型印刷インキの転移性、密着性に優れ、特に紫外線硬化型インキにて印刷した印刷物の耐候性が極めて良好であるという特徴を有するものである。このことから、本発明の樹脂フィルムは、印刷物や粘着ラベルを始めとする広範な用途に供しうるものである。
以下に本発明の樹脂フィルム等についてさらに詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載されている数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。また、特に原料配合について「%」を用いて表される記載は、全て「重量%」を意味する。
[1]樹脂フィルム
(1)印刷層(A):
本発明の樹脂フィルムを構成する印刷層(A)は、樹脂フィルムの最外層となり、その表面に印刷が施されるものである。
従来の高光沢な合成紙との違いは、これを構成する表面層の樹脂にプロピレン系ランダム共重合体及び/又はポリエチレンを90〜100%用いたこと、そして、印刷層の表面側からX線光電子分析法にて測定した酸素原子濃度を5〜20%の範囲に調整したことにある。
印刷層(A)に用いるプロピレン系ランダム共重合体とポリエチレンの配合割合は任意に設定することができ、いずれか一方のみを用いることもできる。好ましくは、プロピレン系ランダム共重合体のみを用いる場合と、プロピレン系ランダム共重合体100重量部に対してポリエチレンを0〜100重量部、より好ましくは0〜50重量部配合して用いる場合である。
高い光沢を得るために、印刷層(A)表面は凹凸が少なく平坦であることが好ましい。表面層が極力平坦であれば、その上に印刷を施しても、入射光に対する正反射が得やすく、グロスな光沢感が得やすい。そのためにはこれに添加する無機微細粉末及び/又は有機フィラーを実質的に含まない程度(0〜3%)にまで少なくすることがより好ましい。
また、本発明の樹脂フィルムは、印刷層(A)の表面側からX線光電子分析法にて測定した酸素原子濃度が5〜20%の範囲にある。この酸素原子濃度を得るために印刷層(A)表面上に酸化処理を施すことが好ましく、その酸化処理は、印加エネルギー600〜12,000J/m2のコロナ放電処理であることが好ましい。
本発明の樹脂フィルムが、紫外線硬化型インキに対して高い密着性を有し、結果として印刷物が長期の屋外使用に耐えうる耐候性を有する理由については、十分には分かっていない。推測として、樹脂フィルムの最外層となりインキと接触する印刷層(A)を、プロピレン系ランダム共重合体を主体とする樹脂により構成する場合には以下の理由が挙げられる。
・共重合体樹脂の非結晶化部位には、比較的分子量の大きい紫外線硬化型インキの樹脂成分(モノマーやプレポリマー)が浸透可能であり、物理的な結合力が得られやすい。
・従前のプロピレン単独重合体等に比べて、酸化処理の効果が得やすく、また効果が持続しやすいため、インキ成分との化学的な結合力が得られやすい。
・従前のプロピレン単独重合体等に比べて柔軟であり、印刷物に外力が加えられても印刷部位(インキの層)と共に変形をし易く、両者層間での剥離が起こりにくい。
(2)光沢付与層(B):
本発明の樹脂フィルムを構成する光沢付与層(B)は、印刷層(A)の内側に順に積層されるものであり、樹脂フィルムの光沢度を向上させるためのものである。
本発明では表面に透明で平滑な樹脂層(印刷層(A))を設けてグロスな光沢を得ているが、内部に入射した光も印刷層(A)と光沢付与層(B)との界面で正反射させて、より効率的に光沢を高めている。
光沢付与層(B)は熱可塑性樹脂70〜100%、無機微細粉末及び/又は有機フィラー0〜30%よりなり、好ましくは熱可塑性樹脂75〜100%、無機微細粉末及び/又は有機フィラー0〜25%よりなる、透明ないし半透明の樹脂フィルム層である。
光沢付与層(B)が無機微細粉末及び/又は有機フィラーを実質的に含まない、透明な熱可塑性樹脂フィルム層である場合に、光沢付与層(B)内部に入射した光は光沢付与層(B)と後述する基層(C)との界面で更に正反射し、よりグロス感のある光沢を高めることができる。光沢付与層(B)に延伸を施すことは、個々の層においてより平坦な界面が得られるために好ましい。
光沢付与層(B)が無機微細粉末及び/又は有機フィラーを含み、且つ延伸されたものである場合、光沢付与層(B)内部にこれらの充填剤を核とした空孔を形成することができる。この場合、光沢付与層(B)内部に入射した光は、この空孔の樹脂/空気の界面で効率的に反射させることができ、前記同様に高い光沢度が得られる。
但し光沢付与層(B)の延伸が一軸延伸の場合、空孔はラグビーボール状であるため、該層での光反射は入射光に対して方向性の乏しい、いわゆる乱反射となり、外観はマットな印象が強い光沢となる。光沢付与層(B)の延伸が二軸延伸の場合、空孔はより扁平な円盤状となり、該層での光反射における正反射の割合は多くなり、外観はパール状の印象が強い光沢となる。いずれにしても充填剤を添加すると、グロス感の強い光沢は得にくくなる傾向がある。
(3)基層(C):
本発明の樹脂フィルムを構成する基層(C)は、光沢付与層(B)に、印刷層(A)とは反対側になる様に積層されるものである。従って本発明の樹脂フィルムは印刷層(A)/光沢付与層(B)/基層(C)の順に積層した積層構造を含むものである。
基層(C)は熱可塑性樹脂を含むものであって、好ましくは熱可塑性樹脂30〜100%、無機微細粉末及び/又は有機フィラー0〜70%を含むものであって、特に好ましくは熱可塑性樹脂50〜100%、無機微細粉末及び/又は有機フィラー0〜50%を含むものである。
基層(C)は、本発明の樹脂フィルムを成形する際の芯材となるものである。特に、本発明の樹脂フィルムを延伸する際に、安定した延伸成形を実現するための支持体として設けるものである。
(4)プロピレン系ランダム共重合体:
本発明の樹脂フィルムを構成する印刷層(A)に用いるプロピレン系ランダム共重合体としては、プロピレンを主体として、これとエチレン,1−ブテン,1−ヘキセン,1−ヘプテン,4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィンとを共重合体させた、様々な立体規則性を有するランダム共重合体を使用することができる。共重合体はプロピレンを50%を超えて含有する。共重合体は2元系でも3元系以上の多元系でもよい。これらのプロピレン系共重合体は組成の異なるものを2種類以上混合して用いることもできる。またこれらのプロピレン系共重合体は融点が70〜160℃であることが好ましい。融点が70℃以上であれば、樹脂が適度な流動性を有するためフィルム成形が容易である。また融点が160℃以下であれば、適度な結晶化度を示すものであり、表面酸化され易く、良好なインキ密着性が得られやすい。
(5)ポリエチレン:
本発明の樹脂フィルムを構成する印刷層(A)に用いるポリエチレンとしては、エチレンを主体とし、これと他の共重合成分とを共重合させたエチレン系共重合体、又はエチレン単独重合体であって、融点が50〜140℃であるものを好ましく使用することができる。
エチレンと共重合させる共重合成分としては、炭素原子数3〜20のα−オレフィンであるプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、4−メチルー1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−イコセンなどが挙げられ、また1分子に2以上の不飽和結合を有するオレフィンであるブタジエン、イソプレン、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネンなどが挙げられ、更にはエチレチンと共重合が可能な不飽和結合を有する、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、アクリロニトリル、無水マレイン酸、アルキルビニルエーテル、アリルグリシジルエーテル、スチレンなどを挙げることができる。これらの中でもプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチルを好ましく採用することができる。
共重合体はエチレンを50%を越えて含有する。共重合体は2元系でも3元系以上の多元系でも良い。これらのエチレン系共重合体は組成の異なるものを2種以上混合して用いることもできる。
(6)熱可塑性樹脂:
本発明の樹脂フィルムを構成する光沢付与層(B)及び基層(C)に用いる熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、非ポリオレフィン系樹脂及びそれらの混合物を挙げることができる。これらの中でも、ポリオレフィン系樹脂が好ましい。
ポリオレフィン系樹脂は炭素原子及び水素原子からなるα−オレフィンからなるものであって、プロピレン単独重合体、エチレン単独重合体、プロピレン系共重合体、エチレン系共重合体、ポリブテン−1、エチレン−ブテン−1共重合体、ポリメチルペンテン、シクロペンタジエン−αオレフィン共重合体等を例示できる。
これらの中でも、融点が150〜170℃であるプロピレン単独重合体、融点が70〜160℃であるプロピレン系共重合体、融点が50〜140℃であるエチレン単独重合体もしくはエチレン系共重合体がより好ましい。
非ポリオレフィン系樹脂はポリオレフィン系樹脂以外のビニル重合体又は不飽和ポリエステルなどである。具体的には酸素含有官能基を有するエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、マレイン酸変性ポリエチレン、マレイン酸変性ポリエチレン、マレイン酸変性ポリプロピレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリビニルアルコールなどの樹脂、あるいはエチレンビニルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、グリセリンモノアリルエーテル、水素化ビスフェノールA、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシプロポキシフェニル)プロパンなどのジオール類、トリメチロールプロパンなどのトリオール類、ペンタエリスリトールなどのテトラオール類等の酸素含有官能基を有する樹脂又は塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等が例示される。
非ポリオレフィン系樹脂の中でも、酸素含有官能基を有する樹脂が好ましい。共重合体は2元系でも3元系以上の多元系でもよく、またランダム共重合体でもブロック共重合体でもグラフト共重合体でもよい。
(7)無機微細粉末及び/又は有機フィラー:
本発明の樹脂フィルムを構成する印刷層(A)は、無機微細粉末及び/又は有機フィラーの様な充填剤を0〜10%含む。10%を超えては表面に凹凸が生じ、所望の光沢度やグロス感が得られにくい傾向にある。好ましくは0〜3%であり、特に好ましくは実質的に含まないことである。ここで「実質的に含まない」とは、無機微細粉末及び/又は有機フィラーを意図して添加しないことを意味し、コンタミネーションしたものはこの限りでない。
本発明の樹脂フィルムを構成する光沢付与層(B)及び基層(C)は、無機微細粉末及び/又は有機フィラーを含むものであっても良い。
本発明の樹脂フィルムに用いる無機微細粉末としては、平均粒径が通常0.01〜15μm、好ましくは0.01〜8μm、更に好ましくは0.03〜4μmのものを使用できる。本発明において無機微細粉末の平均粒径は、レーザー回折式粒子計測装置「マイクロトラック」により測定した。
具体的には、炭酸カルシウム、焼成クレイ、シリカ、アルミノシリケート、けいそう土、タルク、酸化チタン、硫酸バリウム、アルミナ等の無機微細粉末を使用することができる。
有機フィラーとしては、光沢付与層(B)及び基層(C)に用いる熱可塑性樹脂とは異なる種類の樹脂を選択することが好ましい。例えば熱可塑性樹脂フィルムがポリオレフィン系樹脂フィルムである場合には、有機フィラーとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ナイロン−6、ナイロン−6,6、環状オレフィンの単独重合体や環状オレフィンとエチレンとの共重合体等であってその融点が120℃〜300℃、ないしはガラス転移温度が120℃〜280℃を有するものを挙げることができる。
含有量は、光沢付与層(B)において熱可塑性樹脂70〜100%に対し、無機微細粉末及び/又は有機フィラー0〜30%とし、樹脂フィルムの光沢度が70%を下回らない範囲内で選択する。
基層(C)においては無機微細粉末及び/又は有機フィラーの配合量は押出シート成形、延伸成形が出来る限りにおいて、特に制限はされない。樹脂フィルムの光沢度が70%を下回らない範囲内で選択する。
(8)その他の助剤:
本発明の樹脂フィルムには、更に必要に応じて、安定剤、光安定剤、滑剤、分散剤、結晶化剤などを添加することができる。
安定剤としては、立体障害フェノール系、リン系、アミン系の安定剤を通常0.001〜1%の範囲内で添加する。
光安定剤としては、立体障害アミン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系の光安定剤を通常0.001〜1%の範囲内で添加する。
滑剤は、例えば無機微細粉末を分散させたり、成形加工時の目ヤニを防止する目的で使用する。具体的には、シランカップリング剤、オレイン酸やステアリン酸等の高級脂肪酸、及び又はそれらの金属塩、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸及びそれらの塩などを使用することができる。使用量は通常0.01〜4%の範囲内である。
分散剤は無機微細粉末の微分散に用いられ、例えばシランカップリング剤、オレイン酸やステアリン酸等の高級脂肪酸、金属石鹸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸ないしはそれらの塩等を0.01〜4%配合してもよい。
(9)層構成:
本発明の樹脂フィルムは少なくとも印刷層(A)、光沢付与層(B)、基層(C)の3層を含む多層構造である。
本発明の樹脂フィルムは前述3層構造以外に、基層(C)を中心にその両面に印刷層(A)、光沢付与層(B)を対称的に設けたもの(A/B/C/B/A)であっても良く、基層(C)の少なくとも片面に他の樹脂フィルム層(D)等を設けたもの(例えばA/B/C/D,A/B/D/C,A/B/D/C/D)であってもよい。どのような多層構造を有する場合であっても、本発明の樹脂フィルムの印刷層(A)が最外層となる様にすればよい。
さらに本発明の樹脂フィルムは更に他の樹脂フィルム、パルプ抄造紙、平織織布、又は不織布を設けた積層体であってもよい。必要により粘着剤層、離型紙を含むもの(例えばA/B/C/粘着剤/離型紙)であってもよい。
更に本発明の樹脂フィルムに印刷した印刷品を金型内ラベル(インモールドラベル)として用い、金型内で該ラベルを挿入し、インジェクション成形,ブロー成形等の方法で樹脂成形品を製造すれば、該ラベルが一体となった樹脂成形品を得ることができる。インモールドラベルは、樹脂フィルムの印刷層(A)とは反対側の表面に公知のヒートシール樹脂の層を積層したもの(例えばA/B/C/ヒートシール樹脂層)の形態として好適に用いることができる。
本発明の樹脂フィルムを最外層とし、他の樹脂フィルムや樹脂成形品に積層する構造を有する成形体は、本発明における好ましい態様の一つである。
本発明の樹脂フィルムに印刷した印刷品を、ポスターやラベルとして貼付して用いるのみならず、剛度の高い樹脂フィルム等と積層することで立て看板(サインボード)や電飾看板等として活用することができるためである。
樹脂フィルムの剛度を高めるためには他の樹脂フィルムとの積層体であることが好ましい。ここで、剛度の高めるための他の樹脂フィルムには、本発明の樹脂フィルムに使用する樹脂のみならず、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ジアリルフタレート樹脂等の熱硬化性樹脂も好適に使用できる。これらには炭酸カルシウム、アルミノシリケート、アルミナ、焼成クレイ、シリカ、けいそう土、タルク、酸化チタン、硫酸バリウム等の無機微細粉末を含有してもよい。
(10)成形方法:
本発明の樹脂フィルムを成形する方法は特に限定されず、公知の方法の中から適宜選択して使用することができる。
例えば、スクリュー型押出機に接続された単層又は積層のTダイやIダイを利用して溶融樹脂をシート状に押し出すキャスト成形、スクリュー型押出機に接続されたOダイを利用して溶融樹脂を筒状に押し出すインフレーション成形、カレンダー成形、圧延成形、熱可塑性樹脂と有機溶媒やオイルとの混合物をキャスト成形又はカレンダー成形した後に溶媒やオイルを除去する方法などを用いて成形することができる。
(11)積層:
本発明の樹脂フィルムの積層方法は特に限定されず、公知の方法の中から適宜選択して使用することができる。
例えば、フィードブロック、マルチマニホールドを使用した多層ダイス方式と、複数のダイスを使用する押出しラミネーション方式等がある。また多層ダイス方式と押出しラミネーション方式を組み合わせて使用してもよい。その他に接着剤を用いたドライラミネートやウェットラミネート、ホットメルトラミネート等、公知のいかなる積層法も用いることができる。
具体的には、本発明の樹脂フィルムを成形するにあたって、印刷層(A)/光沢付与層(B)/基層(C)を順に積層した積層構造を多層ダイス方式にて共押出により一体に押出成形しても良いし、前述(10)のキャスト成形によって基層(C)を一旦シート状に成形した後、印刷層(A)及び光沢付与層(B)をラミネート方式で積層しても良い。この場合、複数のダイスを用いて印刷層(A)及び光沢付与層(B)は個別に順に積層しても良いし、多層ダイスを用いて印刷層(A)と光沢付与層(B)を共押出して同時に積層しても良い。
(12)延伸:
また本発明の樹脂フィルムは、少なくとも1軸方向以上に延伸されたものであることが好ましい。樹脂フィルムは延伸することによって印刷用紙として適切な厚さやコシ(stiffness)を得るのみならず、樹脂フィルムの肉厚のバラツキを緩和して均一にし、更に平坦な表面や層間界面を得ることができる。
各層の延伸軸数は特に制限されない。例えば3層構造では、A/B/C=1軸/1軸/1軸、1軸/1軸/2軸、1軸/2軸/1軸、2軸/1軸/1軸、1軸/2軸/2軸、2軸/2軸/1軸、2軸/2軸/2軸等が挙げられ、それ以上の層構造の場合、延伸軸数は任意に組み合わせることが可能である。
延伸方法は特に限定されず、公知の方法の中から適宜選択して使用することができる。例えば、ロール群の周速差を利用する縦延伸、テンターオーブンを使用する横延伸、圧延、テンターオーブンとリニアモーターの組み合わせによる同時二軸延伸などを用いることができる。
延伸の際の温度は、基層(C)に用いる熱可塑性樹脂の融点以下(好ましくは融点の2〜20℃低い温度)の温度範囲内で行うのが好ましい。また延伸速度は20〜350m/分の範囲内で行うのが好ましい。
延伸倍率は、基層(C)に用いる熱可塑性樹脂の特性等を考慮して適宜決定する。一方向に延伸する場合は通常2〜12倍、好ましくは3〜10倍、より好ましくは4〜8倍であり、二軸延伸の場合は面積倍率で通常4〜80倍、好ましくは10〜65倍、より好ましくは20〜50倍である。
(13)肉厚:
本発明の樹脂フィルムの肉厚は、通常20μm〜1000μm、好ましくは30μm〜500μmであり、より好ましくは40μm〜300μmである。樹脂フィルムの肉厚が20μm〜1000μmであれば、オフセット印刷する場合に不具合が生じにくく、印刷用紙としての利用価値が高い。
(14)光沢度:
本発明の樹脂フィルムの印刷層(A)表面の光沢度(JIS P−8142)は70%〜110%、好ましくは70〜105%、より好ましくは90〜105%である。
光沢度が70%に満たなければ樹脂フィルムに印刷を施しても、マット調の質感の影響で、印刷物の明るさや、軽快な雰囲気が得られずに、本発明の当初の目的を達成しづらい。本発明の構成では光沢度が110%を超えるものは得られにくい。
光沢度を70%以上にするためには、前述の樹脂フィルムの各層の材料の選択や、製造時の延伸条件(温度、倍率等)を適宜調整するなどにより達成できる。
(15)不透明度:
本発明の樹脂フィルムの不透明度(JIS P−8138)は用途により適宜決められるものである。
本発明の樹脂フィルムの不透明度は、各層が含有する無機微細粉末及び/又は有機フィラーの濃度、樹脂フィルムの延伸倍率、樹脂フィルムの延伸温度等によって調整可能である。本発明の樹脂フィルムでは、印刷層(A)と光沢付与層(B)は透明乃至半透明のものを採用しているので、該不透明度は特に基層(C)の不透明度によって調整するのが容易である。
不透明度が80%乃至100%である本発明の樹脂フィルムは、不透明であり、光の裏抜けが少ない。従ってラベルやシール等の粘着加工用の原紙、ポスターやパンフレット等の商業印刷用の原紙、包装紙用の原紙等の裏地が透けて見えないことが要求される用途に好適に用いられる。前述の不透明度である樹脂フィルムに印刷すれば、印刷された図柄が背面に影響されず、その輪郭が鮮明となり、認識性の良好な印刷物が得られる。
不透明度が30%以上80%未満である本発明の樹脂フィルムは、半透明であり、ブックカバーや電飾看板用途等に用いられる。電飾看板とは、片面乃至両面に多色印刷を施し、背面から電球,蛍光灯,LED等の光を照射してお客や通行人にこれらフィルムに描かれた文字,写真,図柄等の意匠、又は注意書き等に、注意を引かせることができるものである。これらはハンバーガーや寿司等のファースト・フード店のメニュー、百貨店,美術館の店内や路上,地下道等での宣伝広告によく用いられている。
不透明度が1%以上30%未満である本発明の樹脂フィルムは、透明であり、シースルーな粘着ラベル等の用途に用いられる。
[2]表面処理方法
(1)酸化処理:
本発明の樹脂フィルムは表面を酸化処理することが好ましい。酸化処理することにより、樹脂フィルムの表面が後述する特定の酸素原子数濃度を有する様に調整できる。樹脂フィルムの表面が酸化処理され、極性基を有することによって、インキ成分との化学的な結合力を得やすくなり、結果的に樹脂フィルムと紫外線硬化型インキとの密着性が改善される。
本発明の樹脂フィルムの表面への酸化処理方法としては、一般的にフィルムに使用されるコロナ放電処理、フレーム処理、プラズマ処理、グロー放電処理、オゾン処理などの方法を単独又は組み合わせて使用することができる。これらのうちで好ましくはコロナ放電処理、フレーム処理であり、設備や操作の容易さから特に好ましくはコロナ放電処理である。
コロナ放電処理の場合、用いる印加エネルギーは通常600〜12,000J/m2(10〜200W・分/m2)、好ましくは720〜9,000J/m2(12〜150W・分/m2)、より好ましくは900〜7,800J/m2(15〜130W・分/m2)の範囲である。フレーム処理の場合、用いる印加エネルギーは通常5,000〜200,000J/m2、好ましくは10,000〜100,000J/m2の範囲が用いられる。
(2)酸素原子数濃度:
本発明の樹脂フィルム表面の酸素原子数濃度は、上記の酸化処理後1週間以内に、X線光電子分光装置ESCA−3200型((株)島津製作所製)を用いて、1×106Torr以下の真空度下、MgのKd線(1254.0eV)をX線源とし、光電子放出角90°の条件で測定した。測定する酸素原子のピークとしてはO1sピーク(533eV)を用いた。
本発明の樹脂フィルムの酸素原子数濃度は5〜20%であり、好ましくは6〜16%である。5%未満ではフィルム表面に生成する極性基が少なく、紫外線硬化型インキの密着には不利である。20%を超えては効果が頭打ちになるのみならず、過剰な酸化処理によってフィルム表面が粗面化され過ぎて印刷面の光沢度が損なわれかねない。
本発明の樹脂フィルムの酸素原子数濃度を5〜20%の範囲内に調整するためには、例えば前述(1)の酸化処理方法や処理範囲を採用することが好ましい。
(3)アンカー剤:
本発明の樹脂フィルムは、酸化処理を行うことにより紫外線硬化型インキとの良好な密着性が付与される。この効果は処理後の経時により減衰する傾向があり、より安定したインキとの密着性を付与するために、アンカー剤を酸化処理後の印刷層(A)表面に塗布して、塗布層を設けることが好ましい。
該アンカー剤としてはポリイミン系重合体又はポリアミンポリアミドのエチレンイミン付加物を単独あるいは混合したもの、又はこれらに更に架橋剤を加えたものが挙げられる。
ポリイミン系重合体又はポリアミンポリアミドのエチレンイミン付加物としては、ポリエチレンイミン、ポリ(エチレンイミン−尿素)及びポリアミンポリアミドのエチレンイミン付加物、又はこれらのアルキル変性体、シクロアルキル変性体、アリール変性体、アリル変性体、アラルキル変性体、アルキラル変性体、ベンジル変性体、シクロペンチル変性体、もしくは脂肪族環状炭化水素変性体、ないしはこれらの水酸化物、ないしはこれら前述のものを数種類複合させたものを挙げることができる。
(4)帯電防止剤:
前述アンカー剤に、ポリマー型帯電防止剤を加えることにより、静電気による樹脂フィルムへの埃の付着や、重送など印刷時の印刷機上トラブルを軽減することができる。ポリマー型帯電防止剤としては、カチオン型、アニオン型、両性型、ノニオン型などが使用可能である。カチオン型としては、アンモニウム塩構造やホスホニウム塩構造を有するものが挙げられる。アニオン型としては、スルホン酸、リン酸、カルボン酸等のアルカリ金属塩、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、(無水)マレイン酸などのアルカリ金属塩(例としてはリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等)構造を分子構造中に有するものが挙げられる。
両性型としては、前述のカチオン型とアニオン型の両方の構造を同一分子中に含有するもので、例としてはベタイン型が挙げられる。ノニオン型としては、アルキレンオキシド構造を有するエチレンオキシド重合体や、エチレンオキシド重合成分を分子鎖中に有する重合体が挙げられる。その他、ホウ素を分子構造中に有するポリマー型帯電防止剤も例として挙げることができる。これらの中で好ましくはカチオン型のポリマー型帯電防止剤であり、特に窒素含有ポリマー型帯電防止剤であり、より具体的には第三級窒素又は第四級窒素(アンモニウム塩構造)含有アクリル系ポリマーである。
(5)アンカー剤及び帯電防止剤の量比:
本発明に使用するアンカー剤及び帯電防止剤の量比は、個々の成分の性能を十分に発揮するために、固形分比率でアンカー剤100重量部に対し、帯電防止剤は通常0〜400重量部、好ましくは20〜300重量部、より好ましくは30〜150重量部である。
(6)アンカー剤の形態:
前述アンカー剤の各成分は、水或いはメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン、キシレン等の溶媒に溶解させてから用いるものであるが、中でも水溶液の形態で用いるのが普通である。後の塗布工程を鑑みて、アンカー剤溶液濃度は通常0.5〜40%、好ましくは1〜20%程度に調整するのが取り扱いやすく便利である。
(7)アンカー剤の塗布量:
前述アンカー剤の樹脂フィルムへの塗布量は、固形分量で通常0.01〜3g/m2、好ましくは0.01〜1g/m2、より好ましくは0.02〜0.5g/m2である。0.01g/m2に満たなければ印刷インキの密着性の改善効果が得られにくい。また3g/m2を超えては工程中で十分にアンカー剤溶液を乾燥しきれずベタつきの原因となり、過剰の原料使用が生産コスト的にも不利である。
(8)アンカー剤の塗布装置:
前述アンカー剤の樹脂フィルムへの塗布装置としては、ダイコーター、バーコーター、リップコーター、ロールコーター、グラビアコーター、スプレーコーター、ブレードコーター、エアーナイフコーター、サイズプレスコーター等の塗布装置を使用することができる。
[3]粘着ラベル形態
(1)粘着剤:
本発明の樹脂フィルムは粘着剤を積層して粘着ラベルとして用いることができる。
粘着ラベルに用いる粘着剤としては、一般にゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤が代表的であり、本発明では何れも用い得る。ゴム系粘着剤の具体例には、ポリイソブチレンゴム、ブチルゴムとこれらの混合物、或いは、これらゴム系粘着剤にアビエチン酸ロジンエステル、テルペン・フェノール共重合体、テルペン・インデン共重合体などの粘着付与剤を配合したものが挙げられる。アクリル系粘着剤の具体例としては、2−エチルヘキシルアクリレート・アクリル酸n−ブチル共重合体、2−エチルヘキシルアクリレート・アクリル酸エチル・メタクリル酸メチル共重合体などのガラス転移点が−20℃以下のものが挙げられる。
これら粘着剤の形態としては、溶剤型、エマルジョン型、ホットメルト型等が使用可能であり、一般的には溶剤型、エマルジョン型のものを塗工することにより積層される。
かかる塗工は、ダイコーター、バーコーター、コンマコーター、リップコーター、ロールコーター、グラビアコーター、スプレーコーター、ブレードコーター、リバースコーター、エアーナイフコーター等の塗布装置により行われる。塗工されたこれらは必要によりスムージングを行い、乾燥工程を経て粘着剤層を形成する。
粘着剤層の形成は、後述する離型紙へ粘着剤を塗工し、乾燥して形成した粘着剤層に、樹脂フィルムを積層する方法が一般的である。場合によっては樹脂フィルムに直接粘着剤を塗工し、乾燥して形成することもできる。
該粘着剤の塗工量は特に限定されないが、通常は固形分量で3〜60g/m2、好ましくは10〜40g/m2の範囲である。また、この粘着剤層の層間剥離強度は200〜3000g/20mmであることが好ましい。
樹脂フィルムと粘着剤との間の接着力が小さい場合は、該粘着剤を塗工する前に樹脂フィルムの印刷層(A)側とは反対側の粘着剤を設ける面に、予めアンカーコート剤を塗布することが好ましい。該アンカーコート剤としては、ポリウレタン、ポリイソシアネート・ポリエーテルポリオール、ポリイソシアネート・ポリエステルポリオール・ポリエチレンイミン、アルキルチタネートなどが使用でき、これらは一般に、メタノール、酢酸エチル、トルエン、ヘキサンなどの有機溶剤、又は水に溶解して使用される。アンカーコート剤の塗布量は、塗布・乾燥後の固形分量で0.01〜5g/m2であることが好ましく、0.02〜2g/m2であることがより好ましい。
(2)離型紙:
本発明の樹脂フィルムに前述の粘着剤を介し更に剥離紙を設けることにより粘着ラベル用原紙として使用することができる。
樹脂フィルムに粘着剤層を介して設けられる離型紙は、粘着剤層との剥離性を良好にするため、粘着剤層に接触する面にシリコーン処理が施されているのが一般的である。
離型紙としては、通常に市場で用いられているものが使用でき、上質紙やクラフト紙をそのまま、あるいは上質紙やクラフト紙にカレンダー処理したり、樹脂を塗工したり、フィルムをラミネートしたりしたもの、グラシン紙、コート紙、プラスチックフィルムなど、及びこれらにシリコーン処理を施したものを使用することができる。
[4]印刷
(1)インキの種類:
紫外線硬化型インキは、紫外線のエネルギーで光化学反応を起こし、液体状から固体状へ秒単位で固化することにより皮膜を形成するインキである。インキの主成分は、光重合性のプレポリマーやモノマーからなるビヒクル、光重合開始剤、着色料及び助剤で、原則として有機溶剤を含まない。従って100%固形分となる無溶剤型インキであることに最大の特徴がある。溶剤型インキに比べて紫外線硬化型インキを用いるメリットは乾燥が速いこと、皮膜強度が高いこと、印刷工程の脱溶剤を実現できること、印刷版上ではインキが乾燥しないので長時間安定した印刷作業に寄与しやすいことが挙げられる。この紫外線硬化型乾燥システムの開発により、特にプラスチック類へ印刷を適用する際の大きな障害であった「乾燥性」の問題が解決され、既に実用化されている。
本発明の樹脂フィルムには、紫外線硬化型インキであって、オフセット印刷用、凸版印刷用、フレキソ印刷用、スクリーン印刷用等、種々のものが利用可能である。即ち、本発明における紫外線硬化型インキとは、オフセット印刷用インキ、凸版印刷用インキ、フレキソ印刷用インキ、スクリーン印刷用インキなど種々のものを含む。
インキの粘度は各種インキ、各種印刷方式により様々で、例えばオフセット印刷の場合では300〜800dPa・s、フレキソ印刷の場合では1〜2dPa・sと大きく異なる。本発明に用いるインキは各種印刷方式により汎用的に使用されているインキを適宜選定すればよい。
本発明は特に、紫外線硬化型インキの密着性を改善するものであるが、これ以外に溶剤系インキ、酸化乾燥型インキであっても好適に印刷することができる。
(2)印刷装置:
本発明の樹脂フィルムには、オフセット印刷は勿論、凸版印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷等、種々の印刷が可能である。
(3)用途:
本発明の樹脂フィルムは、前述のような各種印刷を行うことにより印刷物を得ることができる。
例えば、ポスター、パンフレット、カタログや看板等の商業印刷物、本や地図、ブックカバー、しおり等の出版物、包装紙等として有用である。
また本発明の樹脂フィルムは、粘着剤層を積層して粘着ラベル形態とすることで、ラベル、ステッカー、ポップ、シール等の用途に利用できる。
更に本発明の樹脂フィルムは、ヒートシール層を積層してインモールドラベル形態とすることで、該ラベルが一体に貼着した樹脂成形品を得ることもできる。
(4)印刷物の評価:
本発明では、以下の方法にしたがって、樹脂フィルムに印刷を施し、得られた印刷物を評価した。
(a)印刷
印刷には印刷機「RI−III型印刷適性試験機」((株)明製作所社製、商品名)と紫外線硬化型印刷インキ「ベストキュアーR161(墨)」((株)T&K TOKA社製、商品名)を用いた。また、印刷後のインキを固化させるための紫外線照射には「ファーストUV2400」(第一プリンティングシステム(株)製、商品名)を用いた。
本発明の樹脂フィルムを23℃、相対湿度50%の雰囲気下で3日間調整した後、樹脂フィルムの印刷層(A)表面に、前述の印刷機を用いて前述のインキを1.5g/m2の厚さとなるようにベタ印刷した。印刷後、前述の紫外線照射器を用いて樹脂フィルムの印刷面に100mJ/cm2の条件にて紫外線照射を行い、インキの乾燥を行った。
後述する全ての実施例及び比較例において、インキ乾燥後に、23℃、相対湿度50%の雰囲気下で2時間調整したサンプルを、後述する(c)インキ密着性と同様の評価したところ、何れも密着性は良好でありインキ残存率はほぼ100%(◎レベル)であった。
(b)耐候性促進処理(暴露試験)
屋外使用を前提とする耐候性の評価は、実際に屋外で暴露試験を行うと、気候や天候等の種々のファクターによって結果が振れやすい。
本発明では、印刷を施した樹脂フィルムにJIS K−7350−4に従い、均一な条件で耐候性の促進処理(暴露試験)を行った。より具体的には、以下の条件を採用した。
・カーボンアークランプとして上部用:直径36mm、長さ410mmのもの、下部用:直径23mm、長さ410mmのものを使用した。
・ガラス製フィルタとしてI型フィルタ(商品名「#255」、スガ試験器(株))を使用した。
・ブラックパネル温度を63℃とした。
・水噴霧システムを用いて水噴霧した。噴霧サイクルは120分中18分水噴霧とした。
・試験片の面の放射照度は255W/m2、暴露期間を30時間とし、放射露光量は2.75×107J/m2であった。
・各試験片(上記(a)の印刷サンプル)は同条件のものを2枚ずつ準備し、全ての試験片を一括して暴露試験機にセットして、耐候性促進処理を実施した。
(c)インキ密着性
紫外線硬化型印刷インキの密着性の評価は、前述の(a)印刷を行い、前述の(b)耐候性促進処理を施した試験片を、23℃、相対湿度50%の雰囲気下で2時間調整した後に、粘着テープ「セロテープR」(ニチバン(株)製、商品名)を印刷面上に強く接着させ、次いで粘着テープを印刷面に沿って手で素早く剥離し、同剥離部分のインキの残存面積を目視で観察して、インキ残存率を求めた。
このインキ残存率が多いほど、樹脂フィルムと紫外線硬化型印刷インキとの密着性が良好であり、且つ紫外線硬化型インキにて印刷した印刷物の耐候性が良好であると言える。
ここでインキ残存率とは、粘着テープの剥離後に樹脂フィルム上にインキが残存している面積を、粘着テープを接着させ剥離した全面積で除することにより得た。以下の判定基準で評価して、同等サンプル2点の平均を求めて、インキ残存率が70%以上(◎乃至○)を合格レベルと判定した。
◎ インキ残存率が90%乃至100%
○ インキ残存率が70%以上、90%未満
△ インキ残存率が70%未満
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
(製造例1)
(1) プロピレン単独重合体「ノバテックPP MA−8Q」(日本ポリケム(株)製、商品名、融点161℃)75重量%に、平均粒径3.0μmの重質炭酸カルシウム「ソフトン1800」(備北粉化工業(株)製、商品名)25重量%を混合した組成物(C)を、270℃に設定した押出機にて混練した後、シート状に押し出し、さらに冷却装置により冷却して、無延伸シートを得た。次いで、このシートを150℃にまで再度加熱させた後、縦方向に5倍の延伸を行って縦延伸樹脂フィルムを得た。
(2) プロピレン系ランダム共重合体「ノバテックPP FG4」(日本ポリプロ(株)製、商品名、融点142℃)(A)と、プロピレン単独重合体「ノバテックPP MA−3AQ」(日本ポリプロ(株)製、商品名、融点162℃)(B)を、270℃に設定した別個の押出機でそれぞれ溶融混練して、ダイ内部で積層した後、一台のダイより共押出し、これを前述(1)の工程で得られた5倍縦延伸樹脂フィルムの一方の面に(A)の層が表面層となるように積層した。
(3) さらにプロピレン系ランダム共重合体「ノバテックPP FG4AQ」(日本ポリプロ(株)製、商品名、融点139℃)55重量%に、平均粒径3.0μmの重質炭酸カルシウム「ソフトン1800」(備北粉化工業(株)製、商品名)45重量%を混合した組成物(E)と、プロピレン単独重合体「ノバテックPP MA−3AQ」(日本ポリプロ(株)製、商品名、融点162℃)(D)を、270℃に設定した別個の押出機でそれぞれ溶融混練し、ダイ内部で積層した後、一台のダイより共押出し、これを前述(1)の工程で得られた5倍縦延伸フィルムのもう一方の面に(E)層が表層となるように積層し、五層構造の積層シートを得た。次いで、この五層構造の積層シートを60℃にまで冷却した後、再び155℃にまで加熱して、テンターを用いて横方向に8.5倍延伸し、165℃でアニーリング処理して60℃にまで冷却した後、耳部をスリットして五層構造(一軸延伸/一軸延伸/二軸延伸/一軸延伸/一軸延伸)の肉厚110μm(A/B/C/D/E=5μm/15μm/70μm/15μm/5μm)の樹脂フィルムを得た。
(4) 該樹脂フィルムの両面に、コロナ放電処理装置「HF400F」(春日電気(株)社製、商品名)を使用して、長さ0.8mのアルミニウム製電極、トリーターロールにはシリコーン被膜ロールを用い、電極とロールとのギャップを5mmとし、ライン処理速度15m/分、印加エネルギー密度2,000J/m2(33W・分/m2)にてコロナ放電処理を行った。
(5) 得られた樹脂フィルムは、(A)層側表面の光沢度が105%、(E)層側表面の光沢度が14%であり、(A)層側表面は高光沢でありグロスな外観を有し、(E)層側表面はマットな外観を有するものであった。(A)層側表面からX線光電子分析法にて測定した酸素原子数濃度は11%であった。
(製造例2)
(1) プロピレン系ランダム共重合体「ノバテックPP FG4」(日本ポリプロ(株)製、商品名、融点142℃)(A)と、プロピレン単独重合体「ノバテックPP MA−8Q」(日本ポリプロ(株)製、商品名、融点161℃)75重量%に、平均粒径3.0μmの重質炭酸カルシウム「ソフトン1800」(備北粉化工業(株)製、商品名)25重量%を混合した組成物(B)と、日本ポリプロ(株)製、プロピレン単独重合体「ノバテックPP MA−3AQ」(商品名、融点162℃)75重量%に、平均粒径3.0μmの重質炭酸カルシウム「ソフトン1800」(備北粉化工業(株)製、商品名)25重量%を混合した組成物(C)を調製した。これらの組成物(A)、(B)及び(C)を270℃に設定した別個の押出機でそれぞれ溶融混練して、ダイ内部で順に積層した後シート状に共押出し、さらに冷却装置により冷却して三層構造の無延伸積層シートを得た。
(2) 次いで、この三層構造の積層シートを冷却装置により60℃にまで冷却した後、150℃にまで再加熱し、縦方向に5倍の延伸を行い、さらに155℃にまで加熱してテンターを用いて横方向に8.5倍延伸し、165℃でアニーリング処理を行い、60℃にまで冷却し、耳部をスリットして三層構造(二軸延伸/二軸延伸/二軸延伸)の肉厚110μm(A/B/C=10μm/90μm/10μm)の樹脂フィルムを得た。
(3) 該樹脂フィルムの(A)層側表面に、コロナ放電処理装置「HF400F」(春日電気(株)社製、商品名)を使用して、長さ0.8mのアルミニウム製電極、トリーターロールにはシリコーン被膜ロールを用い、電極とロールとのギャップを5mmとし、ライン処理速度15m/分、印加エネルギー密度2,000J/m2(33W・分/m2) にてコロナ放電処理を行った。
(製造例3)
(1) プロピレン系ランダム共重合体「ノバテックPP FG4」(日本ポリプロ(株)製、商品名、融点142℃)(A)と、プロピレン単独重合体「ノバテックPP MA−8Q」(日本ポリプロ(株)製、商品名、融点161℃)75重量%に、平均粒径3.0μmの重質炭酸カルシウム「ソフトン1800」(備北粉化工業(株)製、商品名)25重量%を混合した組成物(B)と、プロピレン単独重合体「ノバテックPP MA−3AQ」(日本ポリプロ(株)製、商品名、融点162℃)75重量%に、平均粒径3.0μmの重質炭酸カルシウム「ソフトン1800」(備北粉化工業(株)製、商品名)25重量%を混合した組成物(C)を調製した。これらの組成物(A)、(B)及び(C)を270℃に設定した別個の押出機でそれぞれ溶融混練して、ダイ内部で順に積層した後シート状に共押出し、さらに冷却装置により冷却して三層構造の無延伸積層シートを得た。次いで、150℃にまで再加熱させた後、縦方向に7倍延伸し、155℃でアニーリング処理して三層構造(一軸延伸/一軸延伸/一軸延伸)の肉厚110μm(A/B/C=10μm/90μm/10μm)の樹脂フィルムを得た。
(2) 該樹脂フィルムの(A)層側表面に、コロナ放電処理装置「HF400F」(春日電気(株)社製、商品名)を使用して、長さ0.8mのアルミニウム製電極、トリーターロールにはシリコーン被膜ロールを用い、電極とロールとのギャップを5mmとし、ライン処理速度15m/分、印加エネルギー密度2,000J/m2 (33W・分/m2)にてコロナ放電処理を行った。
(製造例4)
製造例1の組成物(A)を高密度ポリエチレン「ノバテックHD HJ451」(日本ポリエチレン(株)製、商品名、融点132℃)に変更する他は製造例1と同様にして樹脂フィルムを得た。
(製造例5)
製造例1の組成物(A)をプロピレン系ランダム共重合体「ノバテックPP FG4」(日本ポリプロ(株)製、商品名、融点142℃)75重量%と、エチレン−メチルアクリレート共重合体「レクスパール RB6200」(日本ポリエチレン(株)製、商品名、融点77℃、エチレン含有量80%)25重量%の混合物に変更する他は製造例1と同様にして樹脂フィルムを得た。
(製造例6)
製造例1の組成物(B)をプロピレン系ランダム共重合体「ノバテックPP FG4」(日本ポリプロ(株)製、商品名、融点142℃)50重量%と高密度ポリエチレン「ノバテックHD HJ451」(日本ポリエチレン(株)製、商品名、融点132℃)50重量%の混合物に変更する他は製造例1と同様にして樹脂フィルムを得た。
(製造例7)
製造例1の組成物(C)をプロピレン単独重合体「ノバテックPP MA−8Q」(日本ポリプロ(株)製、商品名、融点161℃)95重量%と平均粒径3.0μmの重質炭酸カルシウム「ソフトン1800」(備北粉化工業(株)製、商品名)5重量%を混合した組成物に変更し、また、組成物(B)及び(D)をプロピレン単独重合体「ノバテックPP MA−3AQ」(日本ポリプロ(株)製、商品名、融点162℃)70重量%と平均粒径3.0μmの重質炭酸カルシウム「ソフトン1800」(備北粉化工業(株)製、商品名)30重量%を混合した組成物に変更する他は製造例1と同様にして樹脂フィルムを得た。
(製造例8)
製造例1の組成物(C)をプロピレン単独重合体「ノバテックPP MA−8Q」(日本ポリプロ(株)製、商品名、融点161℃)99重量%と平均粒径3.0μmの重質炭酸カルシウム「ソフトン1800」(備北粉化工業(株)製、商品名)1重量%を混合した組成物に変更し、また、組成物(B)及び(D)をプロピレン単独重合体「ノバテックPP MA−3AQ」(日本ポリプロ(株)製、商品名、融点162℃)99重量%と平均粒径3.0μmの重質炭酸カルシウム「ソフトン1800」(備北粉化工業(株)製、商品名)1重量%を混合した組成物に変更し、さらに、組成物(E)を組成物(A)と同じ物に変更する他は製造例1と同様にして樹脂フィルムを得た。
(製造例9)
従前の表層がプロピレン単独重合体よりなる合成紙として、製造例1の組成物(A)をプロピレン単独重合体「ノバテックPP MA−5Q」(日本ポリプロ(株)製、商品名、融点160℃)に変更し、組成物(B)をプロピレン単独重合体「ノバテックPP MA−3AQ」(日本ポリプロ(株)製、商品名、融点162℃)55重量%と平均粒径3.0μmの重質炭酸カルシウム「ソフトン1800」(備北粉化工業(株)製、商品名)45重量%を混合した組成物に変更する他は製造例1と同様にして樹脂フィルムを得た。
(合成例1)
塗布剤(i)成分としてグリシドール変性ポリイミン系重合体を以下の手順で合成した。このものはアンカー剤として用いる。
攪拌機、環流冷却器、温度計及び窒素ガス導入口を備えた四つ口フラスコに、ポリエチレンイミン「エポミン P−1000(重合度1600)」(日本触媒(株)社製、商品名)の25重量%水溶液100重量部、グリシドール10重量部及びプロピレングリコールモノメチルエーテル10重量部を入れて窒素気流下で攪拌し、80℃で16時間変性反応を行ってグリシドール変性ポリエチレンイミン水溶液を得た。このものを乾燥した後、赤外分光分析、1H−核磁気共鳴分光分析(1H−NMR)、及び13C−核磁気共鳴分光分析(13C−NMR)により、グリシドールのエポキシ基がポリエチレンイミンの窒素に付加して生成した構造、及びポリエチレンイミンの窒素の23%がグリシドールと反応した生成物であることを確認した。
(合成例2)
塗布剤(ii)成分としてカチオン系アクリル共重合体を以下の手順で合成した。このものは帯電防止剤として用いる。
環流冷却器、温度計、窒素置換用ガラス管、及び攪拌装置を取り付けた四つ口フラスコに、ジメチルアミノエチルメタクリレート35重量部、エチルメタアクリレート20重量部、シクロヘキシルメタアクリレート20重量部、ステアリルメタアクリレート25重量部、エチルアルコール150重量部と、アゾビスイソブチロニトリル1重量部を添加し、窒素気流下に80℃で6時間重合反応を行った。
ついで、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルアンモニウムクロリドの60重量%エチルアルコール溶液70重量部を加え、さらに80℃で15時間反応させた後、水を滴下しながらエチルアルコールを留去して、最終固形分30%の第4級アンモニウム塩型共重合体を得た。
この共重合体は、次の一般式で示される基を分子鎖内に含むアクリル酸アルキルエステル系重合体である。
Figure 0004887098
(実施例1)
製造例1の樹脂フィルムの(A)層側表面に、前述の合成例1の塗布剤(i)成分100重量部、合成例2の塗布剤(ii)成分100重量部を含む塗布剤を、ロールコーターを用いて塗膜の肉厚が0.05g/m2となるように塗布し、乾燥させて、樹脂フィルムを得た。
(実施例2)
製造例1の樹脂フィルムを用いた。
(実施例3)
コロナ放電処理の印加エネルギーを900J/m2(15W・分/m2)に変更する他は実施例1と同様にして樹脂フィルムを得た。
(実施例4)
コロナ放電処理の印加エネルギーを7,500J/m2(125W・分/m2)に変更する他は実施例1と同様にして樹脂フィルムを得た。
(実施例5)
製造例4の樹脂フィルムに実施例1と同様の塗布剤を塗布し樹脂フィルムを得た。
(実施例6)
コロナ放電処理の印加エネルギーを7,500J/m2(125W・分/m2)に変更する他は実施例5と同様にして樹脂フィルムを得た。
(実施例7)
製造例5の樹脂フィルムに実施例1と同様の塗布剤を塗布し樹脂フィルムを得た。
(実施例8)
製造例6の樹脂フィルムに実施例1と同様の塗布剤を塗布し樹脂フィルムを得た。
(実施例9)
製造例7の樹脂フィルムに実施例1と同様の塗布剤を塗布し樹脂フィルムを得た。
(実施例10)
製造例8の樹脂フィルムに実施例1と同様の塗布剤を塗布し樹脂フィルムを得た。
(実施例11)
製造例2の樹脂フィルムに実施例1と同様の塗布剤を塗布し、樹脂フィルムを得た。
(実施例12)
製造例3の樹脂フィルムに実施例1と同様の塗布剤を塗布し、樹脂フィルムを得た。
(比較例1)
コロナ放電処理の印加エネルギーを300J/m2(5W・分/m2)に変更する他は実施例1と同様にして樹脂フィルムを得た。
(比較例2)
製造例9の樹脂フィルムに実施例1と同様の塗布剤を塗布し、樹脂フィルムを得た。
(比較例3)
コロナ放電処理の印加エネルギーを900J/m2(15W・分/m2)に変更する他は比較例2と同様にして樹脂フィルムを得た。
(比較例4)
コロナ放電処理の印加エネルギーを7,500J/m2(125W・分/m2)に変更する他は比較例2と同様にして樹脂フィルムを得た。
(比較例5)
特開平7−314622号公報の実施例1に記載の延伸樹脂フィルムに、実施例1と同条件のコロナ放電処理を行い、樹脂フィルムを得た。
(評価結果)
実施例1〜12及び比較例1〜5より得た各樹脂フィルムについて、前述記載の方法により酸素原子数濃度を測定し、JIS P−8142に従い光沢度を測定し、JIS P−8138に準拠して不透明度を測定し、前述記載の方法により耐候促進処理後のインキ密着性について評価を行った。評価の結果を表1に示す。
Figure 0004887098
本発明の樹脂フィルムは、印刷インキの転移性、密着性が優れるだけでなく、特に紫外線硬化型インキにて印刷した印刷物の耐候性が極めて良好であり、オフセットは勿論、凸版、フレキソ、グラビアの印刷適性にも優れている。このような特徴を有することから、本発明の樹脂フィルムは印刷物や粘着ラベルを始めとする広範な用途に供しうるものである。したがって、本発明の産業上の利用可能性は極めて高い。

Claims (19)

  1. 印刷層(A)、光沢付与層(B)、及び基層(C)を順に積層した積層構造を含む樹脂フィルムであって、
    前記印刷層(A)が、プロピレン系ランダム共重合体及び/又は融点が50〜140℃であるポリエチレンを90〜100%と、無機微細粉末及び/又は有機フィラーを0〜10%含み、
    前記光沢付与層(B)が、熱可塑性樹脂を70〜100%と、無機微細粉末及び/又は有機フィラーを0〜30%含み、
    前記基層(C)が熱可塑性樹脂を含み、
    前記印刷層(A)表面側から測定した光沢度(JIS P−8142)が70〜110%であって、
    前記印刷層(A)表面側からX線光電子分析法にて測定した酸素原子数濃度が5〜20%であることを特徴とする樹脂フィルム。
  2. 前記樹脂フィルムの印刷層(A)表面側に紫外線硬化型インキを用いて印刷を施し、該インキを硬化し、更にカーボンアークランプによる暴露試験(JIS K−7350−4)を30時間実施した後の印刷面上に、粘着テープを接着させ、該粘着テープを素早く剥離した後のインキ残存量が70〜100%であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂フィルム。
  3. 前記印刷層(A)が、融点が70〜160℃であるプロピレン系ランダム共重合体を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂フィルム。
  4. 前記印刷層(A)が、融点が50〜140℃であるエチレン単独重合体又は融点が50〜140℃であるエチレン系共重合体を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂フィルム。
  5. 前記光沢付与層(B)及び基層(C)の熱可塑性樹脂がいずれもポリオレフィン系樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂フィルム。
  6. 前記樹脂フィルムが少なくとも一方向に延伸されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂フィルム。
  7. 前記樹脂フィルムの印刷層(A)表層に帯電防止剤及び/又はアンカー剤が塗工されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の樹脂フィルム。
  8. 前記ポリエチレンが、エチレンを50%を超えて重合させた共重合体であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の樹脂フィルム。
  9. 前記ポリエチレンが共重合体であって、共重合成分が炭素原子数3〜20のα−オレフィンであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の樹脂フィルム。
  10. 前記ポリエチレンが、高密度ポリエチレンまたはエチレンとアクリレートの共重合体であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の樹脂フィルム。
  11. 印刷層(A)、光沢付与層(B)、及び基層(C)を順に積層した積層構造を含む樹脂フィルムであって、前記印刷層(A)が、プロピレン系ランダム共重合体及び/又は融点が50〜140℃であるポリエチレンを90〜100%と、無機微細粉末及び/又は有機フィラーを0〜10%含み、前記光沢付与層(B)が、熱可塑性樹脂を70〜100%と、無機微細粉末及び/又は有機フィラーを0〜30%含み、前記基層(C)が熱可塑性樹脂を含み、前記印刷層(A)表面側から測定した光沢度(JIS P−8142)が70〜110%であって、前記印刷層(A)表面側からX線光電子分析法にて測定した酸素原子数濃度が5〜20%である樹脂フィルムの製造方法において、
    前記印刷層(A)表面に酸化処理を施すことによって前記酸素原子数濃度を5〜20%に調整する工程を含むことを特徴とする樹脂フィルムの製造方法。
  12. 前記印刷層(A)表面への酸化処理が印加エネルギー600〜12,000J/m2のコロナ放電処理であることを特徴とする請求項11に記載の樹脂フィルムの製造方法。
  13. 前記印刷層(A)、前記光沢付与層(B)、及び前記基層(C)を共押出法にて積層した後、少なくとも一方向に延伸する工程を含むことを特徴とする請求項11または12に記載の樹脂フィルムの製造方法。
  14. 前記基層(C)上に、前記印刷層(A)及び前記光沢付与層(B)をラミネート法で積層した後、少なくとも一方向に延伸する工程を含むことを特徴とする請求項11または12に記載の樹脂フィルムの製造方法。
  15. 酸化処理後の前記印刷層(A)表層に帯電防止剤及び/又はアンカー剤を塗工することを特徴とする請求項11〜14のいずれか一項に記載の樹脂フィルム。
  16. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の樹脂フィルムを用いた印刷物。
  17. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の樹脂フィルムを用いた粘着ラベル。
  18. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の樹脂フィルムを用いた金型内ラベル。
  19. 請求項18に記載の金型内ラベルを用いて金型内で該ラベルが樹脂と一体となるように成形した樹脂成形品。
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